(整理番号30)
事業評価書( |
| ・事後) |
平成17年8月
評価対象(事業名) | パートタイム労働者の均衡処遇に向けた事業主の取組に対する助成金の支給事業 | |
担当部局・課 | 主管部局・課 | 雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課 |
関係部局・課 |
1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
番号 | ||
基本目標 | 6 | 男女がともに能力を発揮し、安心して子供を産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること |
施策目標 | 2 | 多様な就業ニーズに対応した就業環境を整備すること |
I | パートタイム労働者を魅力ある就業形態とすること |
(2) 事業の概要
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パートタイム労働者の正社員との均衡を考慮した処遇(均衡処遇)に向けた取組を行う事業主を支援するため、以下の支援を行う。
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H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | ||||||||||||
573 | 545 | 489 | 448 | 446 (204) |
(3) 問題分析
(1)現状分析 近年、パートタイム労働者は著しく増加するとともに(平成5年で929万人、平成16年で1,237万人。週間就業時間35時間未満の非農林業の雇用者で、休業者を除く。総務省「労働力調査」)、店長など、これまで正社員が担ってきた基幹的役割を果たすパートタイム労働者も出現している。その一方、パートタイム労働者と正社員(一般労働者)の賃金格差は拡大傾向にある(一般労働者に対するパートタイム労働者の1時間当たり所定内給与額は、女性は平成5年で70.1%、平成16年で65.7%、男性は平成5年で54.9%、平成16年で50.4%。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。 このように、パートタイム労働者は我が国経済社会に欠くことのできない存在となっている中で、公正な処遇が必ずしも十分に図られていない現状がある。 また、最近では、若年者層において、パートタイム労働者として入職する者が急増しているが(パートタイム労働者として入職する者の割合は、高卒男子が平成8年で7.0%、平成14年で28.3%。高卒女子が平成8年で17.6%、平成14年で38.6%。厚生労働省「雇用動向調査」)、パートタイム労働者のような非典型労働者に対しては、企業においてキャリア形成に必要な職業教育が十分になされていない状況にあり、将来において深刻な職業能力の不足をもたらす可能性も指摘されているところである。 パートタイム労働者を含めた非典型労働者と正社員との処遇格差の存在は、労働市場の「二重性」としてOECDなど、国際機関からも指摘されているところであり、今後の人口減少社会に向けて女性や高齢者をはじめとする貴重な労働力を有効に活用していくためにも、処遇の均衡に向けた積極的取組が急務となっている。 (2)問題点 国としては、パートタイム労働法に基づく指針において、均衡処遇の考え方等を示し、本指針の周知を中心として、その社会的浸透・定着を図る取組を行っているところであるが、企業がパートタイム労働者を雇用する理由をみると、人件費が割安だから(65%)、1日の忙しい時間帯に対処するため(39.2%)、簡単な内容の仕事だから(31.4%)、一時的な繁忙に対処するため等を挙ているなど(厚生労働省「平成13年パートタイム労働者総合実態調査」)、事業主の均衡処遇に向けた意識は依然として低いと言わざるを得ない。また、たとえ均衡処遇への取組の意欲があったとしても、資金的余力や取組方法に関するノウハウの不足により、具体的な取組に結びついていないものと考えられる。 (3)問題分析 パートタイム労働者に対する均衡処遇が進まない理由としては、事業主が処遇見直しに向けて取り組む際のノウハウの欠如や経済的負担が大きいこと、また、均衡処遇を行った場合のプラス面が理解されていないことが挙げられる。 (4)事業の必要性 取組への意欲を持ちながらも、資金的な制約により均衡処遇に向けた具体的な取組に踏み込めない事業主に対して、人事処遇制度の見直しに必要な財政的支援を行うことによって、それぞれの企業の状況に応じた取組を促すことができる。 また、事業の実績を積むことにより、事業主に、今後少子・高齢化が進展する中で、均衡処遇への取組が、女性、高齢者等のパートタイム労働者を希望する層からの優秀な人材の確保、定着に役立つものであり、パートタイム労働者の処遇に関する納得性の向上、労働者の定着率やモラルの向上を通じて企業活力の向上につながるものであるという理解を広く普及・定着させる効果も期待できる。 |
(4) 事業の目標
目標達成年度 | ||||||
政策効果が発現する時期 H18 | ||||||
アウトプット指標 | H18 | H19 | H20 | H21 | H22 | 目標値/基準値 |
助成金支給事業所数 | 428事業所 | |||||
(説明) | (モニタリングの方法) 助成金支給事業所数の把握 |
2.評価
行政関与の必要性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) パートタイム労働者の均衡処遇については、民間における取組が十分になされていない現状であり、また、事業主の自主性に任せたままでは自発的な取組が期待しにくいことから、行政が関与して、その取組を促す必要がある。 | |||||
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) パートタイム労働者の処遇に関する問題は、労働条件などの問題に密接に関わり、国が行う労働行政と不可分であるため、労働行政の一環として、国が直接取り組む必要がある。 | |||||
民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 本事業を実施するに当たっては、パートタイム労働施策に関する事業について技術的知見のある21世紀職業財団において実施することとしている。 | |||||
緊要性の有無 |
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(理由) パートタイム労働者が増加傾向にあり、また、少子・高齢化の進展の中で、人的資源の有効活用が求められている労働市場の状況に鑑み、パートタイム労働者の処遇改善は喫緊の課題である。 |
(2) 有効性
政策効果が発現する経路 |
(投入)企業においてパートタイム労働者の均衡処遇に取り組むに当たって国が財政的支援を行う。 ↓ (効果)企業において、パートタイム労働者の均衡処遇が進む結果、パートタイム労働者を希望する層からの優秀な人材の確保及び定着率の向上、さらには企業の生産性が向上し、国民経済の発展に寄与する効果がある。 他方、パートタイム労働者においては、短時間就業を希望する若年者、女性や高齢者の就業可能性、経済的自立性を高めるとともに、経済的自立性を高める効果がある。 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
パートタイム労働者の均衡処遇が進むことにより、短時間就業を希望する若年者、女性や高齢者の就業可能性、経済的自立性を高め、社会の支え手を増やす。 短時間就業の環境をよくすることで、仕事と育児の両立可能性を向上させ、少子化を抑え、社会の活力を増強する効果がある。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
(特になし) |
(3) 効率性
手段の適正性 | |||||
(a)当該事業を行わなかった場合 パートタイム労働者の均衡処遇が進まず、企業においては優秀な人材の確保及び定着率の向上が困難となり、労働力の活用に無駄が生じるとともに、パートタイム労働者においては就業可能性や経済的自立性の向上等均衡処遇の推進によって得られるはずの利益を享受できなくなる。 (b)ほかに想定しうる手段で行った場合 均衡処遇の考え方についての啓発事業のみでは、パートタイム労働者の処遇見直しに向けた問題意識は喚起できても、人事制度の見直しに向けたノウハウの欠如や経済的負担により、実施が困難な場合が少なくないと考えられる。 (c)当該事業を行った場合 パートタイム労働者の均衡処遇に向けた取組に対して経済的支援が行われることにより、企業による導入に弾みがつき、均衡処遇に取り組む企業が着実に増加すると考えられる。 | |||||
費用と効果の関係に関する評価 | |||||
本事業によって、企業におけるパートタイム労働者の均衡処遇への取組を推進することにより、同業、同地域の他社の取組を誘発する等、投入費用と比較して大きな効果が期待できる。 | |||||
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
(4) その他
近年、パートタイム労働者は増加傾向にあり、その雇用管理の改善は早急に求められており、本事業は、社会全体におけるパートタイム労働者の均衡処遇をさらに進めるために不可欠な事業であることから、その優先度は非常に高いと考えられる。 |
(5) 反映の方向性
評価結果を踏まえ、平成18年度予算概算要求において、所要の予算を要求する。 |
3.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日 閣議決定)
(3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし (5)会計検査院による指摘 なし |