(整理番号13)
事業評価書(
事前
・事後)
平成17年8月

評価対象(事業名) 有期契約労働者就業環境改善プロジェクト
担当部局・課 主管部局・課 労働基準局監督課
関係部局・課  


1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働条件の確保・改善を図ること
I 法定労働条件の確保・改善を図ること

(2) 事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 全国の中小企業を傘下に持つ全国的な中小企業団体を活用し「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年10月)」(以下「更新・雇止め基準」という。)等有期労働契約に関する法令等制度の内容を周知徹底するとともに、有識者等を参集した委員会を開催し、地域ごとに取組が必要な業種等を選定し、地域の事業主団体を通じて、専門家の助言指導のもと企業における有期契約労働者を活用するための条件整備に向けた取組を行う。
予算概算要求額 (単位:百万円)
H14 H15 H16 H17 H18
384

(3) 問題分析
(1)現状分析
 有期契約労働者は年々増加(平成16年746万人)しているところであるが、賃金、福利厚生、教育訓練など様々な点について正社員との格差(厚生労働省「有期労働契約に関する調査」(平成13年)によれば、正社員より賃金が少ないと回答した有期契約労働者が70.9%、「有期契約労働者は福利厚生を利用できない」、「利用範囲は制限されている」と回答した有期契約労働者が33.1%、「有期契約労働者には訓練機会がない」、「正社員に比べて訓練機会が少ない」と回答した有期契約労働者が46.2%となっている。)が生じており、また有期労働契約の更新・雇止めに関するトラブルなども増加している。

(2)問題点
 有期契約労働者に関する様々なトラブルの原因は、使用者が有期契約労働者を雇用する上での関係法令について十分認識していないことに加え、有期労働契約が労使双方から良好な雇用契約として認識され活用されているような企業のノウハウが他の企業に広まっていないこと、さらに有期契約労働者について、賃金、福利厚生、教育訓練等が低位に置かれているということが考えられる。

(3)問題分析
 (2)のような問題が生じているのは、使用者が有期労働契約に関連する法令等を学ぶ機会が少ないことや、有期労働契約制度を有効に活用し、企業にとって必要な人材を効果的に活用している事例を知る機会がなく、たとえ知ったとしても改善に向けて主体的に取り組むための時間的、人員的余裕がないことが考えられる。

(4)事業の必要性
 これらの問題点を解決するためには、使用者が有期労働契約に関連する法令を十分に理解するとともに、各企業における有期契約労働者を活用するための条件整備に向けた取組が必要であるが、そのためのノウハウや体制を有していない企業自らの自主的な取組を期待することは困難なことから、取組を行おうとする企業をサポートしていくために関係法令や好事例を学ぶ機会を提供するとともに、専門家による指導助言のもと具体的な取組を図らせていく体制が必要である。

(4) 事業の目標
目標達成年度  
政策効果が発現する時期 実施以降随時、効果の発現が見込まれる。
アウトカム指標 H18 H19 H20 H21 H22 目標値/基準値
             
(説明)
事業の活用により制度を見直した事業場数
(モニタリングの方法)
業務報告による
アウトプット指標 H18 H19 H20 H21 H22 目標値/基準値
             
(説明)
事業を活用した事業場数
(モニタリングの方法)
業務報告による


2.評価

(1) 必要性
行政関与の必要性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 有期契約労働者を活用するための条件整備に向けた取組を行うためには、法令の知識や好事例等の情報が必要なことに加え、改善に向けての時間、人員体制の余裕が必要であるが、企業ではこれらの知識や人員体制等が十分ではないことから、国がサポートしていかなければ目的を達成し得ないものである。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 有期労働契約関係法令の周知徹底については、全国斉一的に取り組む必要があること、また、有期契約の活用のための条件整備は全国どこにおいても必要であることから、労働行政の一環として国が直接取り組む必要がある。
民営化や外部委託の可否
   否
(理由)
 有期労働契約に関する法令等制度の周知徹底については、全国の中小企業を傘下にもつ全国的な中小企業団体に委託し、有期契約労働者の活用のための条件整備については、国において地域ごとに有識者等の参集を求め、その議論のもと、地域の実情に応じて取り組むべき対象業種の選定等を行った上で、実施することが適当な地域の事業主団体に委託する。
緊要性の有無
   無
(理由)
 現在、労働基準局において労働契約法制の検討がされているが、この中間報告(平成17年4月)において「更新・雇止め基準」の法制化が指摘されているところであり、法制化を見据えた土壌を形成しておくとともに、今後ますます増加する有期契約労働者を巡る問題を早急に解消し、誰もが安心して快適に働ける環境の整備を図っていくことが必要である。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 有期労働契約の条件整備に向けた有期労働契約関係法令の学習、好事例の研究→企業における条件整備に向けた取組み意欲の醸成→専門家による助言指導→企業における有期労働契約制度の整備→有期契約労働者の就業環境の改善
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 個々の企業において有期契約労働者を活用するための条件整備に取り組むことにより、有期契約労働者の就業環境の改善が図られる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 企業における有期契約労働者の活用のための条件整備は、労働関係法令上強制的に適用される部分を除き基本的には労使間の問題であり、企業を取り巻く状況により、その進捗の程度には必然的に差が生じる。

(3) 効率性
手段の適正性
 有期契約労働者を活用するための条件整備は、地域の実情や業種の特性に応じて行う必要があり全国一律の行政指導では困難である一方、整備のための体制が十分でない企業の自主性のみに任せていては取組が進まないことから、事業主団体に委託して集団的に取り組ませることが必要であり、手段として適正である。
費用と効果の関係に関する評価
 本事業は、地域の実情に応じ事業の導入が必要な業種や取り組むべき重点事項を絞り込み、これを基に事業主団体が主体となり実施するものであり、大きな効果が期待できる。
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  
(有の場合の整理の考え方)


(4) その他
 なし

(5) 反映の方向性
 評価結果を踏まえ、平成18年度予算概算要求において所要の予算を要求する。


3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 都道府県労働局において、有識者等で構成する「労働条件確保改善委員会」を開催し、有期契約労働者の就業環境に関し、地域の実情に応じ特に取組が必要と考えられる対象業種の選定、取組の重点項目の設定等に係る議論を行い、条件整備に向けた計画を策定することとしている。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし

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