(整理番号12)
事業評価書( |
| ・事後) |
平成17年8月
評価対象(事業名) | がん対策情報センター(仮称) | ||
担当部局・課 | 主管部局・課 | 医政局国立病院課 | |
関係部局・課 | 健康局総務課生活習慣病対策室 |
1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
番号 | ||
基本目標 | 1 | 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること |
施策目標 | 1 | 地域において適切かつ効率的に医療を提供できる体制を整備すること |
I | 日常生活圏の中で必要な医療が提供できる体制を整備すること |
(2) 事業の概要
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がん医療水準均てん化の推進に資するため、国立がんセンターにがん対策情報センター(仮称)を設置し、国民・患者に対する最新情報の提供、がん診療施設に対する診療支援、医療従事者に対する研修、臨床研究・治験の基盤整備等の研究支援などを行うとともに、がん死亡率、罹患率、生存率をはじめとするがん対策の企画立案に必要な基礎データの蓄積など、がん対策に関連する様々な情報の収集、分析、発信等を行う。 | ||||||||
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H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | ||||
− | − | − | − | 1,828 |
(3) 問題分析
(1)現状分析 がんは日本人の第一位の死亡原因であり、国民の健康にとって重大な脅威であることから、あらゆる可能な施策を総合的に活用し、最も効果的で効率的な対策の実施が求められている。 (2)問題点 がんの診断・治療に関する情報の格差が、医療施設間、地域間で存在することが問題となっている。また、国民・患者は、がん医療の進歩に期待しつつも、実際に享受できる医療サービスには満足していない現状があり、この現状の改善や不安の解消を強く求めている。 (3)問題分析 現状では、がん登録の整備がなされている医療機関は少ないため、全国レベルで比較可能な治療成績のデータは十分に得られていない。このため、医療関係者にとっても、自施設の診療レベルの正確な評価ができておらず、一般国民に対しても医療機関の選択に資する正確な情報を提供できる現状にはない。したがって、がん診療に関する情報の収集・提供体制の整備をすることによって、がん医療水準均てん化を推進することが必要である。 (4)事業の必要性 がん医療水準均てん化の推進のためには、様々ながん対策に関連する情報の収集、分析、発信等を担う情報基盤の整備が必要である。そのため、国立がんセンター、地域がん診療拠点病院(仮称)等により、がん対策に係る「がん情報提供ネットワーク」を構築する。がん対策情報センター(仮称)は、その中核的組織としての役割を担う。 |
(4) 事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | 平成22年度に評価 | ||||||||
政策効果が発現する時期 | |||||||||
アウトカム指標 | H18 | H19 | H20 | H21 | H22 | 目標値/基準値 | |||
中高年における年齢調整がん死亡率(人口10万対)の低減 | 184.3 (40-59歳) |
− | − | − | 165-175 | 5-10%低減 | |||
(説明)第3次対がん10か年総合戦略において「がんの罹患率と死亡率の激減」が目標とされていることによる。 ただし、当該事業を含むがん対策全体の評価指標となるものである。 |
(モニタリングの方法) 人口動態統計により、全国の年齢調整がん死亡率を地域別にモニタリングする。 |
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アウトプット指標 | H18 | H19 | H20 | H21 | H22 | 目標値/基準値 | |||
各種指標 | |||||||||
(説明)ホームページアクセス件数及び研修受講者数 | (モニタリングの方法) 業務実績の情報収集により評価を行う。 |
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参考指標(過去数年度の推移を含む) | H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||
がん罹患率 | 男:382 女:287 |
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(説明)第3次対がん10か年総合戦略において「がんの罹患率と死亡率の激減」が目標とされていることによる。 | (モニタリングの方法) 地域がん登録により、がん罹患率を推計する。
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2.評価
(1) 必要性
行政関与の必要性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由)がん医療については、医療提供者(医療施設等)と患者との間に大きな情報格差が存在しており、患者保護のために、公的な機関により、公平・公正で、正確かつ適切な情報を提供する必要がある。また、がん罹患率や地域格差などのデータは、民間にとっては収集するインセンティブが働きにくいのが現状である。 加えて、がん医療に関する情報の収集・分析・提供のためには、がん医療におけるナショナルセンターである国立がんセンターの既存の機能(診療、研究、研修等)及びそれに基づく知識・技術の蓄積を活用することが効率的・効果的である。 また、抗がん剤開発は不採算であること、がん医療には集学的治療が必要であることから、がん治療の進歩には公的研究・公的支援が不可欠である。 よって、全国レベルの医療機関ネットワークと研究組織間の有機的な連携・役割分担とその司令塔となる機構を行政が関与し構築することが必要である。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由)がんは日本人の第一位の死亡原因であり、国民の健康にとって重大な脅威となっている。したがって、あらゆる可能な施策を総合的に活用し、最も効果的で効率的な対策の実施が求められている。 「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報告書(平成17年4月)では、がん医療水準の都道府県間格差が指摘されている。全国どこでも最適ながん医療が受けられるよう、都道府県間のがん医療格差の解消を図るためには、全国的な情報基盤の整備が不可欠である。 「がん対策推進アクションプラン2005」においては、情報提供ネットワークを構築するためには、がん医療に関する情報の収集・分析を国が担い、当該情報の提供は地方・民間の各拠点病院を通じて行うこととしているところであり、国と地方の役割分担を明確にしている。 また、がん医療に関する情報の収集・分析・発信等のためには、国立がんセンターの既存の機能(診療、研究、研修等)及びそれに基づく知識・技術の蓄積を活用することが効率的・効果的である。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由)対策の本質である情報の収集(創出も含む)、分析については国立がんセンターの既存の機能(診療、研究、研修等)及びそれに基づく知識・技術の蓄積を活用することが効率的・効果的であることから、民営化や外部委託は適当ではない。 | |||||
緊要性の有無 |
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(理由) がんは日本人の第一位の死亡原因であり、その対策の充実強化は、緊急の課題である。 また、「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報告書(平成17年4月)では、がん医療水準の都道府県間格差が指摘されている。全国どこでも最適ながん医療が受けられるよう、都道府県間のがん医療格差の解消を図るためには、早急に全国的な情報基盤の整備を行うことが不可欠であるとされている。 |
(2) 有効性
政策効果が発現する経路 |
がん専門医等の育成や診療支援のみならず、がん対策情報センター(仮称)から発信されるがん情報は、がん情報提供ネットワークを経て、地域がん診療拠点病院(仮称)等の医療機関や患者へ提供されるとともに、ホームページ等を通じて、医療関係者や患者・国民へ直接提供され、がん医療水準の均てん化に寄与するとともに、国民・患者のがん医療に対する不安を解消し、満足度の向上につながると考えられる。 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
(今後見込まれる効果) 地域がん診療拠点病院(仮称)と連携しつつ、がん専門医等がん医療専門スタッフの育成、放射線画像・病理診断の支援、標準治療の普及、臨床試験・治験の推進等を図ることにより、がん医療水準均てん化の推進につなげる。また、がんに関する、正確かつ適切な情報の提供を医療関係者、患者向けに行うとともに、地域がん診療拠点病院(仮称)に設置される相談支援センター(仮称)と連携して、これらの情報が個別患者に提供されることによって、患者及びその家族の不安や疑問に適切に対応できる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
政策の有効性、特に、がん死亡率の低減の評価に当たっては、がん対策情報センター(仮称)のみでなく、第3次対がん10か年総合戦略、「がん対策推進アクションプラン2005」を含めた総合的な評価を行う必要がある。 |
(3) 効率性
手段の適正性 | |||||
国立がんセンターは、がん対策の中核機関として、診療、研究、研修の中心的役割を担っており、臨床試験の実施体制、診療ガイドライン、海外の最新医療情報等の知識・技術の蓄積があるとともに、種々のがん領域の診断専門家や、教育研修用に活用可能な資源(放射線画像、病理組織等)が揃っている。これらを有効に活用することが効率的・効果的である。 また、個々の患者の個別具体的な相談に対しては、地域の実情等を熟知する地域がん診療拠点病院(仮称)の相談支援センター(仮称)を窓口にして情報提供を行うことが適切である。 がん医療水準の均てん化を推進し、国民・患者のがん医療に対する満足度を向上させるためには、このようながん情報提供ネットワークが最も効率的・効果的である。 |
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費用と効果の関係に関する評価 | |||||
がん対策情報センター(仮称)と、地域がん診療拠点病院(仮称)の相談支援センター(仮称)とによるがん情報提供ネットワークの運用により、診療連携の円滑化等が進み、重複診療や治療中断等の減少や、医療リソースの効率的使用が促進され、ひいては医療費の適正化につながる。 | |||||
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
(4) その他
平成16年度から開始された第3次対がん10か年総合戦略の課題の中で、特に、早急に取り組むべき課題としてがん医療水準の均てん化が挙げられたところである。 |
(5) 反映の方向性
評価結果を踏まえ、平成18年度予算概算要求において所要の予算を要求する。 |
3.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 「国立がんセンターの今後の在り方検討会」報告書(平成16年2月、委員長:久道茂 宮城県立がんセンター総長) 「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報告書(平成17年4月、座長:垣添忠生 国立がんセンター総長) (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2005」(平成17年6月) (がん対策・ライフサイエンス研究の推進を図る) バイオテクノロジー戦略大綱(平成14年12月、バイオテクノロジー戦略会議) (臨床研究・治験の環境整備) (3)総務省による行政評価・監視等の状況 (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) (5)会計検査院による指摘 |