平成15年度は男女雇用機会均等法第21条違反のあった企業に対し、5,194件の是正指導を行い、そのほとんどが是正されている。
また、これまでの行政指導対象となっている企業には、セクシュアルハラスメント防止の必要性、意義や法及び指針の内容についての認識が不足している企業が特に中小企業に多くみられるところであるが、セクシュアルハラスメント防止実践講習の参加企業に対し行ったアンケートによると、セクシュアルハラスメント防止対策の取組状況について、「方針の明確化と周知・啓発」、「相談・苦情受付窓口」を実施している企業の割合は、平成11年度にはそれぞれ49.0%、34.3%であったが、平成14年度には61.2%、48.2%となっており、実施している企業割合が増えている。セクシュアルハラスメント防止対策のノウハウを提供する講習会等を実施してきたことにより、事業主のセクシュアルハラスメント防止対策への理解が進み、防止対策の基本的な取組は進展しつつあると考えられる。
なお、セクシュアルハラスメント防止実践講習の参加者は減少傾向にあるが、これは、基礎的なコースへの講習参加者が減少しているためである。
基礎的なコースの講習参加者の減少や、法の内容の不知による違反が減少していることから、セクシュアルハラスメントに対する防止対策の基本的な認識や取組は進みつつあると考える。しかし、指針において求められている実際にセクシュアルハラスメントが起こったときの対応等についてはなお十分ではないため、深刻な状況に陥り相談に来る女性労働者は減っていないと考えている。 |
特に事業場からの報告徴収は、年間事業場訪問計画表を作成し、年度当初から計画的に実施している。また、報告徴収ヒアリング票を活用し、的確な実態把握及び必要な助言、指導等を効率的に行っている。
また、セクシュアルハラスメント防止のための具体的なノウハウを提供するためのセミナー等の実施については、(財)21世紀職業財団に委託することにより、効率的に行っている。 |
事業主のセクシュアルハラスメント防止対策への一定の理解、取組は進んできており、男女雇用機会均等法第21条違反のあった企業についても、法の不知による違反は減少し、かつ違反に対する是正指導についてもそのほとんどが是正されている。
また、報告徴収ヒアリング票を活用し、的確な実態把握及び必要な助言、指導等を効率的に行っており、目標達成に向けて一定の進展があったといえる。しかしながら、職場において実質的な男女均等取扱いを実現するためには、男女雇用機会均等法に基づく行政指導の実施及び個別紛争の解決援助と併せて、実効あるセクシュアルハラスメント防止対策を徹底していくための事業を、今後とも上記の手法等を用いて、適切に行っていくことが必要である。
|