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(3−1−III)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること。
施策目標 労働条件の確保・改善を図ること
III 賃金対策の推進を図ること
担当部局・課 主管部局・課 労働基準局賃金時間課
労働基準局監督課労働条件確保改善対策室
関係部局・課  

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 最低賃金制の適正な運営を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 本制度は、最低賃金法に基づき国が法的強制力をもって賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとするものである。最低賃金額はほぼ毎年改定されていることから、都道府県労働局等において、市町村広報誌への掲載等を通じ周知啓発を図り、制度の適正な運営を推進する。
(評価指標)
 最低賃金制の周知状況(市町村広報誌への掲載状況)(単位:件)
H11 H12 H13 H14 H15
2,946 2,913 2,902 2,684
(備考)厚生労働省労働基準局賃金時間課調べ
(評価指標)
 最低賃金制の運営状況(地域別最低賃金及び産業別最低賃金の設定件数)
(単位:件)
H11 H12 H13 H14 H15
299 300 300 298 298
(備考)厚生労働省労働基準局賃金時間課調べ
実績目標2 未払賃金の立替払制度の適正な運営を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 本制度は、企業倒産により賃金の支払を受けられないまま退職を余儀なくされた労働者に対し、未払賃金のうち一定範囲のものを国が事業主に代わって立替払するものであり、独立行政法人労働者健康福祉機構及び労働基準監督署等において、法令に基づき適正な事務処理に努めているところである。
(評価指標)
立替払制度の運営状況(立替払件数)
(単位:件)
H11 H12 H13 H14 H15
2,773 3,538 3,900 4,734 4,313
(備考)
資料出所)独立行政法人労働者健康福祉機構調べ
(評価指標)
立替払制度の運営状況(支給労動者数)
(単位:人)
H11 H12 H13 H14 H15
46,402 51,437 56,895 72,823 61,309
(備考)
資料出所)独立行政法人労働者健康福祉機構調べ
(評価指標)
立替払制度の運営状況(立替払額)
(単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
20,149 20,792 25,565 47,642 34,190
(備考)
資料出所)独立行政法人労働者健康福祉機構調べ

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
(実績目標1について)
 本来、賃金は労使が対等の立場で自主的に決めるべきものであるが、中小企業等においてはこのような賃金決定方式をとることがほとんど期待されない状況にある。
また、最低賃金の適用労働者数をみると、地域別最低賃金は5,000万人余り、産業別最低賃金は約400万人とされるが、適用される最低賃金額を知らない使用者が少なからず存在し、近年における最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導結果をみると、最低賃金法の違反率は約10%弱で推移しているところである。
(実績目標2について)
 本制度は、本制度の要件に該当する労働者から申請があれば、調査の上、立替払を行うものであることから、申請件数は、必然的に雇用経済情勢に大きく左右されるものであり、昨今の厳しい雇用経済情勢の下、平成15年度も多数の労働者から申請がなされ、立替払の実績は、過去最高であった平成14年度に次ぐ高水準で推移している。
 今後においても立替払の実績は高水準で推移することが見込まれる。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
(実績目標1について)
 地域別又は産業別に設定された最低賃金は、ほぼ毎年改定が行われるため、設定された最低賃金額の適正な運営を図り、労働者に不公正な低賃金が支払われることを未然に防止する等の観点から、時期に応じ、広範に最新情報を提供することができる広報誌等を用い、本制度の周知啓発を行うことが有効な方策であるといえる。
(実績目標2について)
 企業倒産に伴い退職した労働者の生活の安定を図るため、本制度により、一定範囲の未払賃金の立替払を行っている。
 なお、平成15年度における立替払実施状況は、立替払件数4,313件、支給労働者数61,309人、立替払額34,190百万円である。
政策手段の効率性の評価
(実績目標1について)
 地域の広範囲に存在する労使に対し、最低賃金制度を遵守させ制度の普及定着を図るためには、国のみが周知広報を行うよりもその地域に密着して情報を提供することができる市町村広報誌等を活用した広報活動を行うことが効率的であるといえる。また、産業別最低賃金についても関係労使団体が発行する業界誌等を活用し広報展開を行うことは効率的であるといえる。
(実績目標2について)
 立替払制度については、労働基準監督署等において未払賃金額の確認等の事務を行い、独立行政法人労働者健康福祉機構においても支払事務等を行うことにより、その運用を効果的に行っている。
総合的な評価
(実績目標1について)
 近年の厳しい雇用経済情勢を反映し、最低賃金額の改定件数が減少していることなどから、広報誌等への掲載件数は減少傾向で推移している。しかしながら、本制度においては、低賃金労働者の生活の安定を図るというセーフティネットとしての機能を果たすために、関係労使に意識啓発を行い、それを遵守させることが不可欠である。このため、地域に根ざした広報活動を行い、その周知啓発がなされている現状においては、目標をほぼ達成した。
(実績目標2について)
 昨今の厳しい雇用経済情勢の下、立替払の実績が依然高水準で推移している現状においては、本制度が担う役割は引き続き重要である。
 本制度は、企業倒産により賃金の支払を受けられないまま退職を余儀なくされた労働者に対し、未払賃金のうち一定範囲のものを国が事業主に代わって立替払することにより、労働者の生活の安定を図るというセーフティーネットとしての機能を果たし ており、目標をほぼ達成した。
評価結果分類 分析分類
(2) (3)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5) 会計検査院による指摘
なし


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