戻る

(2−5−I)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること
施策目標 生活衛生関係営業の振興等により生活衛生の向上・増進を図ること
I 生活衛生関係営業における衛生水準の確保及び振興を図ること
担当部局・課 主管部局・課 健康局生活衛生課
関係部局・課  

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 生活衛生関係営業の経営の安定・強化・充実を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 生活衛生関係営業の経営の安定・強化・充実を図るために、「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」(昭和32年法律第164号)第3条により、国民生活に密着している業種の営業者の組合化を図るとともに同法第56条の2に基づき定められた振興指針に沿った振興計画を作成している。
(評価指標)
振興計画の認定件数(件)
H11 H12 H13 H14 H15
518 517 519 519 519
(備考)
 振興計画の認定件数は、厚生労働省健康局生活衛生課及び地方厚生局で把握した件数である。
実績目標2 営業における高齢社会への対応を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 生活衛生関係営業の振興、衛生水準の向上及び高齢社会への対応を図るといった観点から、関係組合が設けているシルバースター登録制度(※1)、福祉浴場(※2)についての情報提供を行っている。

※1 :シルバースター登録制度とは、高齢者が利用しやすいよう、宿泊施設の設備・サービス・料理面で一定基準に整備された旅館・ホテルを対象とした認定登録制度である。
※2 :福祉浴場(デイセントー)とは老人等の健康増進、疾病予防等を図るため、公衆浴場の施設を利用した入浴介助等を伴う入浴サービス事業を実施する公衆浴場である。
(評価指標) H11 H12 H13 H14 H15
(1) シルバースター登録旅館数(件)
779 850 922 953 973
(2) 福祉浴場を実施している公衆浴場数(件)
125 232 242
(備考)
 評価指標は、(1)については全国旅館生活衛生同業組合連合会調べ。(2)については健康局生活衛生課及び全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会が各都道府県公衆浴場業生活衛生同業組合から聞き取ったもの(平成13年度より調査実施)。
実績目標3 消費者・利用者の権利利益を擁護すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 提供する役務の内容や施設や設備の表示の適正化等により、利用者や消費者がサービスや商品を購入する際の選択の利便を図るという消費者保護の観点から、厚生労働大臣が指定する業種(現在は、理容業、クリーニング業、美容業の3業種。麺類業と飲食店業の指定について検討中。)について標準営業約款を定めている。
(評価指標) 標準営業約款登録施設数
(件)
H11 H12 H13 H14 H15
  理容業
66,181 65,901 61,853 59,521 59,350
  美容業
29,476 28,764 27,223 26,105 26,085
  クリーニング業
5,852 5,362 5,271 4,885 4,721
(備考)
 評価指標は、全国生活衛生営業指導センター調べによる。
 標準営業約款登録施設数が減少傾向であるのは、高齢化等で廃業する組合加入の理髪店等が多かったため。なお、営業約款の業種拡大として、麺類及び一般飲食業において検討がなされている。

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 振興指針に基づく振興計画の認定件数は、全586組合中、519件(平成15年10月末)であり、慢性的な不況の中で休業・廃業する営業者が多く、休止状態に陥っている組合がある状況にもかかわらず9割弱の認定件数を維持している。
 シルバースター登録旅館は、973件(平成16年4月末)であり、前年と比較して20件増加している。
 福祉浴場実施公衆浴場数は、242件(平成16年3月末)であり、前年と比較して10件増加している。
 標準営業約款登録件数(平成16年3月末)は、(理容業59,350件、美容業26,085件、クリーニング業4,721件)であり、それぞれ前年度に比べて若干減少している。これは慢性的な不況や高齢化等で廃業する組合加入の理髪店等が多かったためである。
 全組合が振興計画を提出し、認定が受けられるような指導、シルバースター等の登録旅館等が増加するように組合に対しての各種の情報提供及び消費者擁護の施策の実施を今後とも引き続き実施する必要がある。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 生活衛生関係営業の経営の安定・強化・充実を図ることについては、5年ごとに策定される振興指針(平成15年度は理容業、美容業、クリーニング業、飲食店営業(すし店)、興行場営業の全面改正(平成16年度から平成20年度まで)がなされた。)に基づき、各組合が策定した振興計画に従い、5年間にわたる計画的な事業運営を実施することにより、経営の安定と強化につながるものであり、小規模零細企業である生活衛生営業者が個別では実施できない事業について、組合を通じて計画的に経営の安定・強化・充実を図ることができ、また、国民の衛生水準の向上に資しているものであるため、当該施策は有効である。
 営業における高齢化社会への対応を図ることについては、旅館組合及び浴場組合に対し各種の情報を提供しているところであるが、シルバースター登録旅館及び福祉浴場が増えることによって、高齢者の利用が促進され、ひいては国民の福利厚生の向上につながり、効果が上がっている。
 標準営業約款の設定、登録によって、消費者・利用者はサービス等を購入する際に選択の利便を図ることができ、その権利利益を擁護するに資する。また、消費者とのトラブル防止という営業者への利益にもつながり、有効である。
政策手段の効率性の評価
 振興計画の策定については、国からの資金的な支援は無いものの、振興指針の運用に関する指導を通じて振興計画の立案等に与える影響は大きいものがあり、経営の安定・強化・充実及び生活衛生水準の向上を推進する上で効率的な手法である。
 シルバースター登録件数及び福祉浴場の実施数は、高齢社会の到来を反映して年々増えており、効果的に行われている。なお、シルバースター登録は、個々の旅館、ホテルの創意工夫を凝らした組合独自の制度であり、また、福祉浴場は、各公衆浴場及び自治体が連携を図って自主的に実施されているものであり、財政上の観点からも効率的な手法である。
 標準営業約款制度については、毎年11月を「標準営業約款普及登録促進月間」と定め、全国生活衛生営業指導センター及び各都道府県生活衛生営業指導センターを通じてポスター、チラシやテレビ、ラジオ等のマスコミへの情報提供という方法及び消費者団体との懇談会等の場を用いて約款制度の周知を行うことで約款の登録の推進を行っている。これにより、生活衛生関係営業における衛生水準の確保を効率的に進めている。
総合的な評価
 生活衛生関係営業において、各種施策が一定の実績をあげており、また、国民の身体に重要な影響を及ぼすような事例はほとんど報告されていないことから、各種施策は生活衛生水準の確保及び生活衛生関係営業の振興を図る上で一定の効果をあげていると考えられる。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 標準営業約款の設定に当たっては、学識経験者等を入れた検討委員会を開催している。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。

(5) 会計検査院による指摘
 なし。


トップへ
戻る