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(2−1−III)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること
施策目標 食品の安全性を確保すること
III 食品添加物の規格基準や残留農薬基準の整備等を通じ、食品の安全性の確保を図ること
担当部局・課 主管部局・課 食品安全部基準審査課
関係部局・課  

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 食品添加物中既存添加物の規格数を平成16年度までに総数100までに増加させること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 食品添加物公定書作成検討会を設置し、新規規格案を策定し、食品安全委員会及び薬事・食品衛生審議会に諮問する。
(評価指標)
 既存添加物の規格数(品目)
H11 H12 H13 H14 H15
72 72 72 72 72
(備考)
 既存添加物の規格数については、食品の安全性の観点から、施策目標のより一層の充実を図るため、実績目標を平成17年度までに総数120品目まで増加させることを検討しているところである。
実績目標2 暫定基準の設定及び残留基準が設定されていない農薬が残留する食品の流通等を原則禁止する制度(いわゆるポジティブリスト制)の導入
(実績目標を達成するための手段の概要)
 コーデックス基準(※)や国内の農薬取締法に基づく登録保留基準等を参考に、食品衛生法第11条第1項に基づく規格として暫定基準を設定する。これらの暫定基準は、これまでに定めている残留基準とは異なり、個別の物質毎に厳密な安全性評価を実施せずに設定されるため、ポジティブリスト制の施行後、速やかに科学的知見に基づき見直すこととしている。また、残留基準が設定されていない農薬が残留する食品の流通等を原則禁止するために、一律基準等を作成する。さらに、平成15年6月の農薬取締法改正に基づき、国内での登録と同時に食品衛生法に基づく残留基準の設定を行うこととなっている。

:消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的とする、FAO/WHO合同食品規格委員会(Codex委員会)において作成される国際食品規格
(評価指標) H11 H12 H13 H14 H15
 ・ 残留基準設定農薬数
199 214 229 229 240
 ・ 食品中に残留する農薬等の暫定基準案(第1次案)(品目数)
647
 ・ 食品中に残留する農薬等の暫定基準案(第2次案)(品目数)
(備考)
 農薬等の暫定基準案(第1次案)は平成15年10月、暫定基準(第2次案)は平成16年8月にそれぞれ公表。

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 食品添加物の規格については、平成15年8月に、「第8版食品添加物公定書作成検討会」を設置して検討を開始した。現時点で新規品目として、類似の成分、製法の添加物については同時に規格を設定することが効率的であることから、当初の予定(約30品目)を上回る約50品目の既存添加物について専門的な検討を行っている。
 農薬については、平成16年7月現在、242農薬について残留基準を設定している。また、平成18年5月までに施行することとされているポジティブリスト制の導入に向けて、平成15年10月に、農薬等647品目の暫定基準案(第1次案)を公表し、広く意見を募集した。平成16年8月に、農薬等約700品目の暫定基準(第2次案)を公表し、再度広く意見を募集しているところであるが、引き続き、寄せられた御意見等を踏まえ、暫定基準の設定及び分析法の検討等の作業を行っている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 新たに既存添加物の規格の検討を行なうに当たっては、多岐にわたり高度かつ専門的な知識を要することから、学識経験者等による「第8版食品添加物公定書作成検討会」を設置し、効率的及び科学的議論に基づく内容の精査及び見直しを行っており、検討会の報告書をもとに、薬事・食品衛生審議会及び食品安全委員会に諮ることとしている。この手段が政策目標の達成のために最も有効である。
 また、現在までに242農薬について残留農薬基準が設定されており、農薬取締法に基づく登録と同時に、基準を設定していくこととしている。さらに、ポジティブリスト制の円滑な導入に向けて、暫定基準及び分析法等を整備しているところである。
 このように、我が国で残留基準が設定されていない農薬等に暫定基準を設定することにより、輸入食品中の残留農薬など従来基準がなかったため監視等が行えなかったものに対しても監視等が行えるようになるため、食品の安全確保の観点からみて有効である。
政策手段の効率性の評価
 既存添加物については、平成15年8月に「第8版食品添加物公定書作成検討会」を設置し、次期公定書の作成において50以上の既存添加物の規格を追加すべく検討を行っている。食品添加物公定書の内容は多岐にわたり高度かつ専門的であり、検討には時間を要するため、その作成に当たって、学識経験者による検討会を設置し、科学的議論に基づく内容の精査及び見直しを効率的かつ機動的に行なっている。検討会の報告書をもとに、薬事・食品衛生審議会及び食品安全委員会に諮ることが最も効率的である。
 また、残留農薬基準の整備については、食品の安全性の確保を推進するため、学識経験者等専門家で構成される薬事・食品衛生審議会において審議し、平成15年度に11農薬、平成16年度に入ってからは2農薬について新たに残留基準を設定しており、着実に基準整備を進めてきたところである。さらに、平成18年5月までのポジティブリスト制導入に向けて、これまでに科学的な安全性に関する評価を行い、設定された登録保留基準、国際的な基準設定状況を考慮して、約700品目の基準を暫定的に設定することとしている。
総合的な評価
 食品の安全性を確保する観点から、既存添加物の規格基準の設定を進めていくこと は重要である。現在、既存添加物の規格基準の設定を、平成17年度までに120品目作成できるよう年次計画をたて、作業を進めているところである。
 農薬については、残留基準設定農薬の数は増加し続けているところである。また、平成18年5月までのポジティブリスト制の導入に向け、より一層の食品の安全確保の推進のため、残留基準及び暫定基準等の整備が、継続的に進められているところである。
評価結果分類 分析分類
(3) (1)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 薬事・食品衛生審議会及び食品安全委員会における学識経験者の意見を聴いて、食品添加物及び残留農薬の安全性等の評価を行っている。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「食品衛生法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」
 ○  参議院厚生労働委員会(平成15年5月22日)
 食品添加物の指定及び農薬等の残留基準設定については、国際的基準との整合性を考慮しつつ、厳密なリスク評価に基づく指定等を行うこと。また既存添加物の安全性評価及び残留基準未設定の農薬等に係る基準設定を一層促進すること。

(5) 会計検査院による指摘
 なし。


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