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(4−2−V)

総合評価
〔概要〕

施策目標
(法案名)
施策目標4−2−V 産業の特性に応じた雇用の安定を図ること

「港湾労働法施行規則の一部を改正する省令案」等

1 評価テーマの設定
評価の背景事情 〔背景事情〕
 港湾運送の波動性に効率的かつ的確に対応するための企業外労働者を活用する方策として、港湾運送事業主に雇用される常用労働者を港湾運送事業主間で活用していくための「港湾労働者派遣制度」の導入等を内容とする「港湾労働法の一部を改正する法律」(平成12年法律第72号。以下「改正法」という。)が平成12年10月1日に施行され、規制改革の影響や貨物輸送のコンテナ化等の近代的荷役の進展等に対応するための新たな港湾労働体制がスタートした。平成13年11月29日には、港運労使間において、港湾における荷役作業の24時間364日の実施(港湾のフルオープン化)の合意がなされるなど、改正法施行後において、港湾労働を取り巻く環境に新たな変化が生じてきており、こうした新たな環境の変化も踏まえた今後の港湾労働対策の在り方を検討する必要がある。
〔契機等〕
 「港湾労働法の一部を改正する法律」(平成12年法律第72号)附則第4条において、「政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされている。
担当局課 職業安定局建設・港湾対策室
2 評価の実施に当たっての設定条件、事前準備
  → 情報・データの収集、測定・分析の実施方法等
実施時期
評価期間
労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会(平成15年6月〜平成16年2月)

労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会
(平成15年12月、平成16年2月)
(港湾雇用安定等計画案諮問 平成16年2月)
(港湾雇用安定等計画案答申 平成16年3月)

労働政策審議会職業安定分科会(平成16年1月、3月)

(報告書提出 平成16年1月)
(省令案要綱等諮問・答申 平成16年3月)
評価対象 以下の4点を中心に評価を行うこととした。
 港湾労働者派遣制度
 港湾雇用秩序維持対策
 港湾労働者の雇用改善
 港湾労働者の職業能力開発
評価項目
港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進
港湾労働を取り巻く環境の変化を踏まえた港湾労働力の確保
評価に際して収集した情報・データ及び各種の評価手法を用いてこれらについて行った分析・測定の内容
 平成15年6月〜平成16年2月において、労働政策審議会(港湾労働専門委員会)において、制度見直しを検討した。

 また、平成15年7月に、港湾運送事業の雇用の実態を把握するため、以下の内容の調査を行い、調査結果を労働政策審議会(港湾労働専門委員会)へ提出し、制度見直しのための検討の材料とした。
 調査名
 港湾運送事業雇用実態調査
 調査対象
 港湾労働法第2条第1項第1号の規定に基づく港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港及び関門港)において、港湾労働法第2条第1項第2号の規定に基づく港湾運送の業務を行うすべての事業所
 調査項目
(1)事業所の属性に関する事項
(2)港湾運送事業量に関する事項
(3)常用労働者の労働条件に関する事項
(4)港湾派遣労働者及び日雇労働者の利用に関する事項
(5)荷役の波動性に関する事項
(6)教育訓練の実施に関する事項
3 評価結果のとりまとめ
評価結果
 港湾労働者派遣制度
 港湾労働者派遣制度については、着実に定着してきているといえるものの、(1)港湾労働法適用事業所に占める港湾労働者派遣制度の許可取得事業所の割合は、平成15年10月1日現在で28.9%(厚生労働省調べ)にとどまっており、また、(2)平成14年度における港湾労働者の月平均就労延べ数全体に占める就労延べ数の割合は、港湾労働者派遣制度が0.3%(厚生労働省調べ)であるのに対し、日雇労働者は1.9%(厚生労働省調べ)であるなど、港湾労働者派遣制度のより一層の有効活用の促進及びそれによる港湾の雇用秩序維持の推進を図ることが必要。
 このため、港湾労働者派遣制度について次の改善を行うべき。
(1) 港湾労働者派遣制度については、派遣就業をする日数について「1人1月につき5日」と上限が設けられているところであるが、当該制度の有効活用の促進の観点から、専ら派遣を事業とする事業主及び専ら派遣就業のみに従事する労働者が生ずることのないようにする等、当該制度の趣旨を損なうことのないよう留意しつつ、関係労使の意見等を踏まえ、その上限を「1人1月7日」に緩和すべき。
(2) また、港湾労働者派遣制度に係る許可・届出等に係る手続きをできる限り簡素化すべき。

 港湾雇用秩序維持対策
 港湾運送の現状を踏まえると、港湾における雇用秩序の維持に関しては、現行の基本的な枠組みを維持しつつ、上記1のような措置をとることにより、港湾労働者派遣制度を更に有効に機能させることを通じて推進していくことを基本とすべき。
 港湾労働者派遣制度の機能が有効に発揮されるためには、派遣先のニーズに十分対応できる労働者が派遣元から派遣されることが重要であり、それが労働安全衛生の確保にもつながるものである。
 このため、(1)派遣先が派遣を求める際には具体的な業務の内容が分かるものとすること及び(2)派遣就業中の労働者の労働安全衛生の確保は派遣先もまた責任を有することについて徹底を図ることが必要。
 また、港湾労働者雇用安定センターにおいては、港湾労働者派遣契約の締結のあっせんに際し、これまで以上に、港湾派遣労働者に従事させようとする業務の内容等をきめ細やかに確認するなど、その機能の充実を図ることが必要。
 さらに、港湾労働者からの申告に対する迅速な対応、効果的な現場パトロール及び立入検査等を引き続き的確に実施し、違法就労の防止を図っていくことが必要。

 港湾労働者の雇用改善
 平成14年8月の港湾労働者の実労働時間は1日平均8.8時間、年間換算で2,239時間(屋外労働者職種別賃金調査)となっており、平成14年の全産業における労働者の年間総実労働時間である1,825時間(毎月勤労統計調査)に比して長くなっており、平成11年と比べ113時間長くなっている。また、平成15年6月30日現在で何らかの形で週休二日制を導入している6大港の港湾運送事業所の割合は79.9%(港湾運送事業雇用実態調査)となっており、平成15年1月1日現在の全産業における何らかの週休二日制の導入割合である88.4%(就労条件総合調査)に比して導入率が低くなっている。
 また、平成15年6月30日現在で、6大港の港湾運送事業所うち、港湾のフルオープン化に伴い、平日における早朝荷役、日曜・祝日における夜間・早朝荷役が「大幅に」又は「ある程度」増加していると回答している事業所の割合は10.6%にとどまっており、交代制勤務を導入している事業所の割合も7.5%にとどまっている(いずれも港湾運送事業雇用実態調査)が、税関の執務時間外における通関体制の本格的実施が開始されるなど、今後、日曜・夜間荷役が増加することが考えられる。
 このため、港湾のフルオープン化等による日曜・夜間荷役の増加に伴い、労働環境の悪化が生じることがないよう、必要な指導を行うとともに、関係者が協力して必要な福祉対策の実施に努めるほか、日曜・夜間荷役が継続的に実施される場合には、労使間の協議に基づき、交替制勤務の導入等による適切な雇用管理の実施を図り、共同受注・共同就労の増加等に対応して事業主が協力して労働安全衛生対策を講ずる等、港湾労働を取り巻く環境の変化に的確に対応した労働環境の整備を図るべき。

 港湾労働者の職業能力開発
 教育訓練については、平成14年7月1日から平成15年6月30日までの1年間に六大港の港湾運送事業所の61.6%が社内又は委託による教育訓練を実施した(港湾運送事業雇用実態調査)ほか、港湾職業能力開発短期大学校をはじめとする公共職業能力開発施設や港湾技能研修センターにおいて、港湾運送業務に係る職業訓練の実施や講師の派遣、施設の提供等が積極的に行われ、一定の成果を上げているが、近年、コンテナ輸送の増大等、港湾における輸送革新はより一層進展しているところであり、それに対応した教育訓練を積極的に実施していくことが重要。
 このため、事業主による技術革新の進展等に対応した教育訓練の実施促進を図るほか、公共職業能力開発施設及び港湾技能研修センターにおいては、荷役機械の技術革新の進展等に合わせた訓練設備の整備や現場実習の積極的な実施などにより、事業主のニーズに合った教育訓練の実施に努めることが必要。また、共同受注・共同就労の増加に対応して事業主が協力して教育訓練を実施するなどの対応が求められる。
結果の取りまとめに当たって講じた措置  平成15年12月3日に港湾労働専門委員会においてとりまとめられた港湾労働専門委員会報告書を基に、港湾労働法施行規則の一部を改正する省令案要綱等を策定し、平成16年3月9日に開催された労働政策審議会に諮問し、同日、「妥当と認める」との答申を得た。
 また、港湾雇用安定等計画案を策定し、平成16年2月24日に労働政策審議会に諮問し、平成16年3月9日「妥当と認める」との答申を得た。
4 評価結果の公表
報告書等 「港湾労働専門委員会報告書」(平成15年12月3日とりまとめ)

「港湾労働法施行規則の一部を改正する省令案要綱等」(平成16年3月9日諮問・答申)
5 評価結果を受けて講じようとする措置
措置内容 港湾労働法施行規則の一部を改正する省令及び平成12年労働省告示第76号(港湾労働法第14条第1項第2号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める日数を定める件)の一部を改正する告示の制定、港湾労働者派遣制度に係る許可基準の一部改正並びに港湾雇用安定等計画の策定〔要綱は別紙1、計画は別紙2〕
6 その他
評価の実施体制 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会〔名簿は別紙3〕


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