(イ) | 港湾労働法の趣旨の徹底を図るための事業主に対する指導の実施
事業主の企業外労働力への安易な依存を排除し、港湾労働者の常用化を促進するため、事業所等の積極的な訪問等を通じ、必要な指導を行うことにより、港湾における荷役作業については、各事業主に雇用される常用労働者によって処理することを原則とする港湾労働法の趣旨の徹底を図る。 |
(ロ) | 常用労働者の雇用の安定の確保
港湾労働者派遣制度の適正な運営及び有効活用の促進並びに雇用秩序維持対策を講ずることにより、事業主に雇用される常用労働者の就労の機会を確保し、常用労働者の雇用の安定を図る。 |
(ハ) | 直接雇用の日雇労働者問題への対応
平成14年度における直接雇用の日雇労働者の月間平均就労延数は、9,384人日で、港湾労働者全体の月間平均就労延数の1.8%を占めているに過ぎない。しかしながら、各事業主に雇用される常用労働者の平成14年度における月間平均就労日数(港湾労働者派遣制度による就労日数を含む。)は、17.2日であり、港湾労働者派遣制度の更なる活用により、各事業主に雇用される常用労働者の就労日数を増加させ、直接雇用の日雇労働者の使用を減少させることが可能である。このため、各事業主における直接雇用の日雇労働者の利用状況の的確な把握に努め、直接雇用の日雇労働者を多数使用する事業主に対しては、雇用管理に関する勧告を含め、必要な指導を行い、直接雇用の日雇労働者の月間平均就労延数の減少に努めることとする。 |
(ニ) | 人付きリース問題への対応
小型フォークリフトの人付きリースの借受け台数は、平成4年度には月平均で延べ10,680台であったものが、平成14年度には月平均で延べ1,651台まで減少しているところであるが、人付きリースについては、その運転手の行う作業が、借り受けた事業主の指示の下に港湾労働者の行う荷役作業と一体となって行われる実態にある場合は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に違反するものであり、人付きリースの会社はもとより、当該会社から人付きリースを受け入れた事業主についても、労働者派遣法上の措置の対象となるものである。特に許可を受けて港湾労働者派遣を行う事業主が、人付きリースの受入れを行うことは、港湾労働者派遣制度の適正な運営の観点からも問題があると考えられる。
人付きリースにより処理されている荷役作業については、基本的に、港湾労働者派遣制度を利用し、他の事業主に雇用される常用労働者を使用することにより処理することが可能なものである。
このため、人付きリースの完全縮小を行うため、人付きリースの利用状況の的確な把握に努めつつ、港湾労働者派遣制度の更なる活用の促進、改善計画の策定等の個別指導の拡充等を行うこととする。 |
(ホ) | 雇用秩序の維持
港湾における荷役作業については、各事業主に雇用される常用労働者による対応を原則としているところであり、港湾運送の波動性に対応した企業外労働力については、港湾労働者派遣制度に基づき派遣される他の事業主に雇用される常用労働者による労働力の需給の調整が原則とされ、港湾労働者派遣制度を利用したにもかかわらず必要な労働力を確保できない場合には公共職業安定所の紹介による日雇労働者の雇入れが認められ、さらにその適格な紹介が受けられない等の場合に限り日雇労働者の直接雇用が例外的な措置として認められているところである。このような港湾における雇用秩序が維持されることは、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図る観点から必要不可欠なことである。
このため、港湾労働法遵守強化旬間等を通じて、港湾関係者の遵法意識の一層の高揚を図るとともに、雇用秩序連絡会議の積極的開催、港湾労働者からの申告に対する迅速な対応、現場パトロール及び立入検査の効果的な実施、雇用管理に関する勧告等により、違法就労の防止を図ることとする。
また、労働者派遣法又は職業安定法(昭和22年法律第141号)に違反する形態による労働力の需給調整については、港湾における雇用秩序を混乱させるものであることから、その是正指導及び防止の徹底を図る。 |
(ヘ) | 公共職業安定所における適格紹介等の実施
公共職業安定所においては、常用労働者に係る適格紹介の実施、求人・求職情報の積極的な提供等を行うとともに、日雇労働者の求職の動向等の的確な把握に努め、公共職業安定所の紹介による必要な労働力の確保に努める。 |
(ト) | 港湾労働者雇用安定センターに対する指導及び助言の実施
港湾労働者派遣制度による効率的かつ的確な労働力の需給の調整を実施するため、港湾労働者雇用安定センターが行う事業主支援業務及び雇用福祉事業関係業務の実施について必要な指導及び助言を行う。 |
(チ) | 共同受注・共同就労の適正な実施を図るための事業主に対する指導の実施
共同受注・共同就労については、それぞれの作業が適正な請負として実施される必要がある。このため、共同受注・共同就労を「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)に照らし適正な請負として実施すべきことについて、事業所等の積極的な訪問等を通じ、必要な指導を行う。 |