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(8−2−I)
実績評価書
平成16年2月

政策体系 番号  
基本目標 障害のある人も障害のない人も地域でともに生活し、活動する社会づくりを推進すること
施策目標 必要な保健福祉サービスが的確に提供される体制を整備すること
I 地域における療育システムや社会復帰支援、相談支援体制を整備すること
担当部局・課 主管部局・課 社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課
関係部局・課 社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 平成14年度末まで市町村障害者生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業、精神障害者地域生活支援センターを人口30万人当たり概ね各2ヶ所ずつ整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 市町村障害者生活支援事業及び障害児(者)地域療育等支援事業については、都道府県や市町村が当該事業を実施する場合に事業費の国庫補助を行っている。
 精神障害者地域生活支援センターについては、施設整備費を補助するとともに、運営費を補助している。
(評価指標)   H10 H11 H12 H13 H14
(1) 市町村障害者生活支援事業の実施箇所数
(1) 73 109 160 215 302
(2) 障害児(者)地域療育等支援事業の実施箇所数
(2) 185 234 302 390 470
(3) 精神障害者地域生活支援センターの設置箇所数
(3) 101 188 215 296 377
(備考)
 障害者プランの実績について、毎年度調査を実施。
実績目標2 平成14年度末までに重症心身障害児(者)等の通園事業を約1,300ヶ所整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 障害児通園(デイサービス)事業については、利用者が通いやすいよう公民館等身近な場所で実施することとし、市町村が当該事業を実施する場合に事業費の国庫補助を行っている。
 また、重症心身障害児(者)通園事業については、重症心身障害児施設・肢体不自由児施設等医療機能がある施設、障害児施設・知的障害者援護施設等において、医療機関との緊密な連携を通じ実施することとし、都道府県・指定都市・中核市が当該事業を実施する場合に事業費の国庫補助を行っている。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
重症心身障害児(者)等の通園事業の実施箇所数 458 517 582 640 703
(備考)
 障害者プランの実績について、毎年度調査を実施。
実績目標3 平成14年度末までに精神障害者生活訓練施設を約6千人分、精神障害者社会適応訓練事業を約5千人分整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 精神障害者生活訓練施設については、施設整備費を補助するとともに、運営費を補助している。
 精神障害者社会適応訓練事業については、都道府県及び指定都市に対し補助している。
(評価指標)   H10 H11 H12 H13 H14
精神障害者生活訓練施設の整備量(人分)、精神障害者社会適応訓練事業の実施量(人分) 施設 3,579 4,089 4,499 4,933 5,306
事業 3,542 3,652 3,897 3,880 3,982
(備考)
 障害者プランの実績について、毎年度調査を実施。
実績目標4 精神障害者の長期入院を是正することと
(実績目標を達成するための手段の概要)
 精神障害者社会復帰施設の整備促進、精神障害者居宅生活支援事業の法定化などにより社会復帰を促進するとともに、精神科救急医療体制の拡充などの地域精神医療の充実を図っている。
(評価指標)   H10 H11 H12 H13 H14
平均在院日数、10年以上長期入院患者率 日数 406 390 377 374 調査中
31.1% 30.5% 29.6% 29.0% 28.4%
(備考)
 平均在院日数については「病院報告」により、長期入院患者率については精神保健福祉課調べによる。
実績目標5 平成14年度末までに精神科デイ・ケア施設を約1,000ヶ所整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地方公共団体、医療法人に対して施設整備費を補助している。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
 精神科デイ・ケア施設の整備箇所数 758 864 978 1,077 1,147
(備考)
 整備箇所数は、精神保健福祉課調べによる。
実績目標6 精神保健福祉士の着実な養成を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 精神保健福祉士国家試験を毎年度実施するとともに、受験資格を得る方法の一つである精神保健福祉士養成施設等を指定している。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
精神保健福祉士登録者数 4,169 6,655 9,332 12,666
(備考)
 試験は平成10年から実施。登録は平成11年から実施。
登録者数は指定登録機関(社会福祉振興・試験センター)からの報告による。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 施設や事業実施数、精神保健福祉士の登録者数等は着実に増加しており、障害者が地域で生活するにあたって利用できるサービスが着実に増えている。一方で、障害者プランで示された目標整備数と自治体における実際の整備数に乖離がある事業もある。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 市町村障害者生活支援事業については、障害保健福祉圏域(概ね人口30万人)数に2を乗じることによって導かれる目標値690か所に対し、平成14年度までの実施割合は44%と低調ではあるが、近年、当該事業が持つ役割の重要性が見直されており、特に平成14年度には、対前年比140%の伸びを示した。
 障害児(者)地域療育等支援事業については、障害保健福祉圏域(概ね人口30万人)数に2を乗じることによって導かれる目標値690か所に対し、平成14年度までにその68%を実施した。当該事業の重要性が認識されるとともに、実施か所数は着実に増加してきており、実績目標を達成するために講じた手段は有効であると考えられる。
 また、精神障害者地域生活支援センターについても、障害福祉圏域数に2を乗じることによって導かれる目標値690か所に対し、平成14年度までにその55%を実施した。施設数は事業開始以降着実に増加しているところであり、事業の有効性は認められるものと考える。
 障害児通園(デイサービス)事業については、当初、目標値を1,002か所(20人規模型302か所、5人規模型700か所)としていたが、地方自治体の要望を踏まえ、効率的な運営を図る観点から、平成10年度から、新たに10人規模型の事業に対する運営費補助を開始した。これに伴い、5人規模型を計画的に10人規模型へ移行した結果、目標値は652か所(20人規模型302か所、10人規模型350か所)となった。重症心身障害児(者)通園事業の目標値236か所と合わせると修正後の目標値は888か所となり、これに対する実施率は平成14年度現在で79%である。事業実施か所数が着実に増加傾向にあり、実績目標を達成するために講じた手段は有効であると考えられる。
 精神障害者生活訓練施設については約6000人分、精神障害者社会適応訓練事業については約5000人分の整備を目標としていたが、平成14年度までに、それぞれ88%、80%を実施した。事業の実施量は着実に増加しており、事業の有効性は認められるものと考えられる。
 精神障害者の長期入院の是正については、社会復帰の促進と地域精神医療体制の充実を図ることにより、平均在院日数及び10年以上長期入院患者率が着実に減少しているところであり、事業の有効性は認められるものと考えられる。なお、平均在院日数及び長期入院率は未だ高い状況にあり、社会的入院の解消を含めた更なる施策の推進が必要である。
 また、精神科デイ・ケアの施設整備事業も、着実に増加しているところであり、事業の有効性は認められるものと考えられる。
 精神保健福祉士試験は平成10年度から実施し、試験に合格して登録した者は毎年着実に増加しているところであり、事業の有効性は認められるものと考えられる。
政策手段の効率性の評価
 市町村障害者生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業及び精神障害者地域生活支援センターは、都道府県や市町村が要した事業費について、国が補助をしているものであり、都道府県は事業、配置の適正性等について審査した上で事業等を行い補助し、国はそれを財政的にバックアップするという役割分担により、効率的に事業が実施されているものと考えられる。
 また、障害児通園(デイサービス)事業、重症心身障害児(者)通園事業、精神障害者生活訓練施設の整備事業及び精神障害者社会適応訓練事業は、都道府県、市町村等が要した事業費について、国が補助をしているものであり、都道府県は事業の適正性等について審査した上で補助し、国はそれを財政的にバックアップするという役割分担により、効率的に事業が実施されているものと考えられる。
 精神障害者の長期入院の是正については、長期入院の要因について分析した上で事業を実施しており、効率的に実施されているものと考えられる。
 精神科デイ・ケアについては、施設整備費に対し補助を行っているが、その運営費は診療報酬でまかなわれており、事業実績等に応じた支援がなされていることから、効率的に事業が実施されているものと考えられる。
 精神保健福祉士の養成については、養成施設の指定等は厚生労働省で実施する一方、国家試験の事務及び合格者の登録に関する事務は、財団法人社会福祉振興・試験センターが他の資格の国家試験と合わせて実施する体制をとっており、適切な役割分担により効率的に事業が実施されているものと考えられる。
総合的な評価
 精神障害者デイ・ケア施設の整備については、実績目標を達成でき、それ以外の事 業についても達成することができなかった評価指標もあるもののその件数等は着実に増加・改善しており、実績目標の達成に向けて進展があった。
評価結果分類 分析分類
(3) (1)


3.政策への反映方針

 平成14年12月に策定された新障害者基本計画(平成15年度から24年度までの10年間)に沿って、その前期5年間(平成15年度から19年度まで)において重点的に実施する施策及び達成目標を定めた重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)に基づき、引き続き、必要な整備の推進を図ることとする。
 また、平成15年度から始まった支援費制度において不可欠となる相談支援機能は、個々の市町村におけるサービス提供資源の実態や地域の障害者のニーズ等に即し、かつ、地域の創意工夫を生かして弾力的に展開されるべき住民サービスの一つであることから、地域の主体性や自主性に委ねる方が、事業を進めていく上でより望ましいため、市町村障害者生活支援事業及び障害児(者)地域療育等支援事業について、平成15年度から都道府県・市町村の一般財源により実施することとしたところである。
 さらに、精神障害者社会適応訓練事業は、昭和57年度より「通院患者リハビリテーション事業」として、予算事業において実施してきたところであるが、制度発足から20年を経て、本事業が全国に定着していること及び自治事務であることに鑑み、平成15年度から都道府県・指定都市の一般財源により実施することとしたところである。
 今後も当該事業の促進に向けて地方自治体への要請等を行っていくことにより、地域における相談支援体制や療育システムの整備を図ることが必要であると考えている。

【参考】
新障害者プラン目標
精神障害者地域生活支援センター 約  470か所
重症心身障害児(者)通園事業 約  280か所
精神障害者生活訓練施設(援護寮) 約6,700人分
反映分類
(2)


4.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
社会保障審議会障害者部会精神障害分会報告書「今後の精神保健医療福祉施策について」(平成14年12月19日)
2. 基本的な考え方
「受入れ条件が整えば退院可能」な約7万2千人の精神病床患者の退院・社会復帰を図ること。また、これに伴い、入院患者の減少、ひいては精神病床数の減少を見込むこと
3. 具体的な施策のあり方について
1) 精神障害者の地域生活の支援
(3) 地域医療の確保
<方向>
地域医療を確保するため、二次医療圏では、精神保健・医療の一般的な需要(一般的な身体合併症への対応を含む。)に対応し、三次医療圏では、重大な身体合併症を有する精神障害者の医療等、専門的な精神科医療に対する需要に対応できるようにすることが望ましい。
2) 社会復帰施設の充実
<方向>
精神障害者の社会復帰を支援するため、地域移行の推進を前提とした上で、精神障害者社会復帰施設を計画的に整備し、その適切な活用を推進する。
特に、今後10年のうちに、「受入れ条件が整えば退院可能」な約7万2千人の退院・社会復帰を目指すために必要な施設を整備する。
社会復帰施設の整備等にあたっては、精神病床数の動向を見つつ、効率的に進めていくものとする。
4) 精神保健医療福祉関係職種の確保と資質の向上
<方向>
精神保健・医療・福祉に携わる医師、看護職員、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理技術者等について、その確保と資質の向上を図る。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
障害者対策に関する新長期計画(平成5年3月 障害者対策推進本部決定)(抄)
 教育・育成
(1)  地域における療育体制の整備
 在宅対策、施設対策の両者を有機的関連の下に推進し、地域における療育体制の整備を図るため、次のように施策の推進を図る。
 各種障害児関連施設、心身障害児通園事業(デイサービス)、相談機関等を、地域の障害児がその必要に応じ利用できるよう、これら施設等の適正配置、施設等の間の連携等地域における療育体制の整備を進める。特に、心身に障害がある幼児のための心身障害児通園事業(デイサービス)の整備を引き続き推進する。
 保健・医療
(3)  精神保健対策の推進
(1)  精神障害者に対し適切な医療の機会が提供できるよう、精神科における救急医療体制、重症な入院患者や身体合併症を有する者等に対する医療体制を確立するとともに、リハビリテーション医療を推進する。
 福祉
(2)  福祉サービスの充実
(1)  在宅対策の推進
 在宅の精神障害者に対しては、通所型施設の整備に加え、グループホーム等生活の自立を支援するための事業等の充実を図る。
(2)  施設対策の推進
 精神障害者に対しては、他の福祉施設との均衡にも配慮しつつ、援護寮、福祉ホーム等社会復帰施設の整備を促進する。

障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略〜(平成7年12月 障害者推進本部)(抄)
地域で共に生活するために
 地域における障害児療育システムの構築
 各都道府県域において、療育に関する専門的指導等を行うことのできる、障害児療育の拠点となる施設の機能の充実を図るとともに、市町村が行う心身障害児通園事業等の地域療育に対し、障害児通園施設等が指導・支援する事業を、概ね人口30万人当たり概ね2か所ずつを目標として実施する。
 在宅の障害児が身近な場所に通うことができるよう、保育所等を活用した小規模の心身障害児通園事業及び重症心身障害児(者)のための通園事業を約1,300か所を目標として計画期間内に整備する。
 精神障害者の保健医療福祉施策の充実
(1)  社会復帰・福祉施策の充実
 グループホーム、福祉ホーム、授産施設及び福祉工場に加え、精神障害者生活訓練施設(援護寮)については約6,000人分を目標として、精神障害者社会適応訓練事業については約5,000人分を目標として、計画期間内に整備する。
 地域で生活する精神障害者の日常生活の支援や日常的な相談への対応、地域住民との交流を支援する事業を、社会復帰施設に付置する形で、概ね人口30万人当たり概ね2か所ずつを目標として実施する。
(2)  より良い精神医療の確保
 医学的リハビリテーションにより精神障害者の社会復帰を促進する等のため、精神科デイケア施設を約1,000か所を目標として計画期間内に整備する。
 総合的な支援体制の整備
 身近な地域において、障害者に対し総合的な相談・生活支援・情報提供を行う事業を、概ね人口30万人当たり概ね2か所ずつを目標として実施する。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、附帯決議等)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成11年5月21日衆議院厚生委員会)
 精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図る観点から、精神障害者やその家族その他の関係者の意見も尊重しつつ、他の障害者施策との均衡や雇用政策との連携に留意し、障害者プランの着実な推進を図るなど、精神保健福祉施策の充実に努めること。
 精神病床に係る人員配置基準、医療計画その他の精神医療提供体制及び長期入院患者の療養の在り方について、その充実に向けて早急に検討を行うこと。
 チーム医療及び精神保健福祉サービスの一層の推進を図るため、人材の育成・確保に努めること。また、現在検討中の臨床心理技術者の国家資格制度の創設については、速やかに結論を得ること。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成11年4月27日参議院国民福祉委員会)
 精神病床に係る人員配置基準、医療計画その他の精神医療提供体制及び長期入院患者の療養の在り方について、早急に検討を行うこと。
12  精神障害者に関する各種資格制限の緩和と撤廃について検討し、その結果に基づいて、速やかに必要な措置を講ずること。

(5) 会計検査院による指摘
なし


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