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(4−3−III)
実績評価書
平成15年8月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
III 若年者の雇用を促進すること
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局業務指導課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 若年者に対する就職支援を実施し、その円滑な就職を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 大学生等について、学生職業センター等において就職に関する情報の提供、職業相談、職業紹介等を行い、円滑な就職を図る。
 高校生については、学校と連携しながら、求人の開拓、職業相談、就職面接会の実施等により、新規卒業者の円滑な就職を図る。
 職業経験、技能、知識等の不足から就職が困難な場合の多い若年者については、企業が一定期間トライアル雇用することにより、企業の求める能力等との水準と若年求職者の現状の格差を縮小しつつ、その適性や業務遂行可能性を見極め、その後の常用雇用への移行を図るため、若年者を一定期間試行的に雇用する事業主に対し奨励金を支給する。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
学生職業センター利用者数(人) 207,950 299,569 370,024 395,022 401,110
(備考)
業務報告(職業安定局調べ)による。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
就職ガイダンス参加者数(高校)(人)
(備考)
H15年度新規事業
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
高校新卒者就職率(%) 96.8 95.6 95.9 94.8 ※90.0
(備考)
各年6月末現在。(※H14の実績は公表前のため、3月末現在の実績を記載。)
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
若年者トライアル雇用事業の開始者数
(人)
4,650 31,464
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
若年者トライアル雇用事業の常用雇用移行者数
(人)
72 18,141
(備考)
評価指標の若年者トライアル雇用事業は、平成13年12月に開始。
業務報告(職業安定局調べ)による。
実績目標2 若年者の職業意識啓発を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 在学中の早い段階から、高校、大学等各段階において学校と連携した職業意識形成支援・啓発を図るため、インターンシップの活用等による職業体験機会の提供や職業意識啓発のための各種セミナーの開催・職業講話等を実施する。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
セミナー等参加者数(大学等)(人) 10,171 15,770 14,176 22,548
(備考)
業務報告(職業安定局調べ)による。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
インターンシップ参加者数(大学等)(人) 1,347 1,601 2,316 3,352
(備考)
業務報告(職業安定局調べ)による。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
職業講話等参加者数(高校)(人) 121,704 187,731 230,401
(備考)
業務報告(職業安定局調べ)による。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
キャリア探索プログラム参加者数(高校)(人)
(備考)
H15年度新規事業。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
ジュニアインターンシップ参加者数(高校)(人) 2,923 21,569 40,924 67,868
(備考)
業務報告(職業安定局調べ)による。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 平成15年3月卒業の大学生について、4月1日現在の就職率が92.8%と、前年同期を0.7ポイント上回る結果となった。また、平成15年3月卒業の高卒者についても、求人が大幅に減少(平成14年度21万6千人、対前年同期比10.1%減、ピーク時(平成4年度の約1/7))する中で、3月末現在の就職率が90.0%と前年同期を0.3ポイント上回る結果となった。
 また、最近10年で15〜24歳の失業者数が約30万人増加、同世代の失業率も約2倍になっている。また、フリーターも92年から00年で約90万人増加、無業者比率も激増する等若年者をとりまく雇用・就業状況は、極めて厳しい。

(参考)
15〜24歳の失業者数92年40万人02年69万人
15〜24歳の失業率92年4.5%02年9.9%
フリーター数92年101万人00年193万人
大卒無業比率92年5.7%02年21.7%(約12万人)
高卒無業比率92年4.7%02年10.5%(約14万人)

 本年6月10日に「若者自立・挑戦戦略会議」において策定された「若者自立・挑戦プラン」より抜粋

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
実績目標1について
 比較的自由に活動できる大学生等については、学生センター等やインターネットによる情報提供を行い、希望する者に学生センター等で職業相談等を行うこととし、学事日程等から自由に活動できない高校生については、採用活動が適正に行われるようにする観点から選考開始期日を定め、学校を通じた就職活動を支援する手法は、若年者の就職促進に有効であり、学生センター等の利用者が対前年比で1.5%増加、学生センターのホームページへのアクセス件数が対前年比63.9%増加するなど利用実績も順調に推移している。
 その結果、現状分析に記載したとおり、大学新卒者、高校新卒者の就職率がいずれも前年実績を上回る結果となった。
 また、若年者に対し、トライアル雇用を実施することは、トライアル雇用期間中に企業と若年者相互の理解を深め、常用雇用への移行を図ることが出来る点、常用雇用に当たって十分な見極めが出来る点等から職業経験、技能、知識等の不足から就職が困難な場合の多い若年者の常用雇用の促進に有効であり、平成14年度にトライアル雇用を開始した31,464人のうち、同期間にトライアル雇用を終了した22,819人の約8割に当たる18,141人の常用雇用が実現された。

実績目標2について
 就業体験を通じて自身の適性や将来について考えることができるインターンシップは、若年者の職業意識啓発を図る上で有効な手段である。また、職業意識の形成が十分に図られていない在学中の早い段階からセミナー等に参加することも同様に有効な手段と考える。
 こうした取組の結果、大学生等については、セミナー等参加者が前年比59.0%増加したほか、インターンシップ参加者が44.7%の増加となった。また、高校生については、職業講話等の参加者が前年比22.7%増加、ジュニアインターンシップの参加者が65.8%増加と、いずれも大幅に増加したことから、若年者の職業意識の啓発に効果があったと考えられる。
政策手段の効率性の評価
実績目標1について
 大学生等については、比較的自由に活動できるため、学生センター等やインターネットによる情報提供を行い、希望する者に学生センター等で職業相談等を行うこととしている。一方、高校生の就職については、学事日程への影響を考慮して、採用活動が適正に行われるようにする観点から選考開始期日が定められており、学校を通じた就職活動を支援することとしており、いずれの場合も対象者の把握等学校との連携を密に行うことで、効率的な業務実施が図られたと考えられる。

実績目標2について
 若年者の失業率・離職率の高さの要因として職業意識形成の不十分さがあるため、生徒のことをよく知る学校と職業についての専門機関である公共職業安定機関との密接な連携の下、在学中の早い段階からセミナーやインターンシップ等を実施し職業意識の啓発を図ることは効率的である。
総合的な評価
 これらの施策によって、若年者の就職環境について厳しい状況が続く中、高校生、大学生等ともに、昨年度を上回る就職率となるとともに、フリーター等の若者失業者についてもトライアル雇用終了者の約8割の常用雇用が実現される等施策目標をほぼ達成した。
 また、職業意識啓発に係る施策の利用者が大幅に増加しており、若年者の当該事業に対する期待が大きいことが伺えるため、引き続き、学校等関係者との連携の下、新規学卒者の就職支援や在学中の早い段階からの職業意識形成支援等の充実を図り、就職時の適職選択、就職後の定着を図ることが重要である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.政策への反映方針

 評価結果を踏まえ、本年度においては、「総合的な学習の時間」等を活用したジュニア・インターンシップの拡充や様々な職業で働く者等が学校に出向いて職業に関する話をすること等により、職業体験機会の充実等を図るとともに、(1)新規高卒者に対する就職ガイダンス、(2)高校進路指導者を対象とするセミナーや安定所における実地研修、(3)生徒の保護者向けセミナーを新たに実施することとしている。
 また、本年6月10日に「若者自立・挑戦戦略会議」において「若者自立・挑戦プラン」が策定されたところであり、それを踏まえ、平成16年度の概算要求に当たっては、同プランを踏まえ、若年者トライアル雇用事業の積極的活用の推進、若年者ジョブサポーターによる就職支援の充実、地域における若年者対策のための新たな仕組みの整備(若年者のためのワンストップサービスセンター)等の見直しを検討した上で、インターンシップ等の活用等従来からの取組みも含め地域の自主性と多様性を尊重しつつ、関係府省の連携の強化を図り、引き続き実施することとする。
反映分類
(4)


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」において「今後の時代を担う若年者の人間力強化のため、「若者自立・挑戦プラン」を推進する。その際、地域、企業、若年者の状況に十分配慮する。」、「若年者について、現下のフリーター、無業者の増大に対処し、職業人としての自覚の涵養・職業意欲の喚起を前提として地方自治体、学校、民間団体、民間事業者との密接な連携・協力のもとに、複数紹介、トライアル雇用や就職支援相談員(ジョブ・サポーター)を活用した一体一の個別総合的な職業相談・紹介体制を整備する。」、「全国一律的な制度から、地域の個性や自主性を活かした雇用促進策へ転換する。地域の新たな取組として、自治体と地域の企業、学校、ハローワーク、民間事業者等の連携の下、その実情に応じ若年者のためのワンストップ・センターを整備する。」とされている。(平成15年6月27日閣議決定)

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし。

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において「雇用保険三事業の各種給付金等について、政策評価を適切に行い、今後とも必要な見直しを行うよう努めるとともに、中小企業の利用に配慮しつつ、不正受給の防止に万全を期すこと」とされている。(平成15年4月15日衆議院厚生労働委員会)
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において「雇用保険三事業の各種給付金等については、政策評価を適切に行い、真に失業予防や再就職の促進に有用であると認められるものを実施するよう、不断の見直しを行うとともに、中小企業の利用促進に配慮しつつ、不正受給の防止にも万全を期すこと」とされている。(平成15年4月24日参議院厚生労働委員会)

(5)会計検査院による指摘
なし。

(6)その他
 「若年者自立・挑戦プラン」において「インターンシップについて、単位認定の促進、期間の多様化などにより内容を充実し、実施の拡大を図る。また、各省が連携して、国、地方の各レベルで関係者による連絡・推進協議会を設置するなど推進体制を強化する。」、「就職未内定生徒、未就職卒業者等が、ジョブサポーターにより、就職活動から職場定着までの一貫したマンツーマンのきめ細かな就職支援を受けられる体制を整備する。」、「トライアル雇用の積極的活用」、「若者の生の声を聞き、きめ細やかな効果のある政策を展開するための新たな仕組みとして、地域の主体的な取り組みによる若年者のためのワンストップセンターの整備を推進する」とされている。(平成15年6月10日若者自立・挑戦戦略会議)


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