戻る

(4-3-I)
実績評価書
平成15年8月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
I 高齢者の雇用就業を促進すること
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課
関係部局・課 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 事業主に対する指導・援助を推進することにより、65歳までの雇用の確保を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1).公共職業安定所による事業主への指導・援助
 希望者全員の65歳までの安定した雇用を確保していない企業に対して、公共職業安定所の職員が企業訪問等により個別指導等を実施する。
(2).高年齢者等雇用安定センターによる事業主への相談援助
 継続雇用導入等に係る相談・援助を行うアドバイザーの派遣、継続雇用制度に関する事例の蓄積・周知等により、事業主による継続雇用制度の導入等の促進を図る。
(3).継続雇用定着促進助成金
 希望者全員を65歳以上の年齢まで継続して雇用する制度を新たに導入する事業主等に対して助成する。
 ⅰ継続雇用制度奨励金(第I種)・・・継続雇用制度の導入及び定着の促進
 ⅱ多数継続雇用助成金(第II種)・・・高年齢者の多数雇用の促進
 ⅲ定年延長等職業適応助成金(第III種)・・・定年延長制度等の円滑な運用の促進
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
65歳までの継続雇用制度を有する企業の割合(従業員30人以上規模企業)(%) 56.0% 59.4% 59.2% 60.9% 61.3%
(備考)
 評価指標は、雇用管理調査より算出した(一律定年制を有している企業を100%とした場合の割合)。
 当該指標は、少なくとも65歳までの勤務延長制度、再雇用制度を有する企業の割合である。
 業員30人未満規模企業については対象外となっている。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
65歳までの雇用を確保する企業割合(従業員30人以上規模企業)(%) 26.3% 28.6% 25.8% 28.0% 27.1%
(備考)
 評価指標は、雇用管理調査より算出した。
 当該指標は、希望者全員について、65歳までの雇用を確保する企業の割合である(「定年制を定めていない企業」、「65歳以上定年企業」、「65歳までの勤務延長制度、再雇用制度を有する企業のうち、原則として希望者全員を対象とする企業」のデータを基に算出)。
 従業員30人未満規模企業については対象外となっている。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
指導・援助の実施件数(件) 14,197 19,142 24,077 29,052
(備考)
 評価指標は、高年齢者雇用確保措置推進指導実施状況報告による。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
継続雇用定着促進助成金の支給決定件数
(件)
7,323 5,802 8,872 15,510 15,365
継続雇用定着促進助成金の支給決定金額
(百万円)
9,113 7,307 11,280 16,319 16,101
(備考)
 評価指標は、中央高年齢者等雇用安定センター調べによる。
 当該助成金は、支給申請後1~5年にわたって分別支給されるが、当該指標は、各年度における新規の支給申請分に係る実績値である。
実績目標2 中高年齢者の再就職の促進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1).再就職援助計画制度
 事業主は、定年、解雇等により離職を余儀なくされる中高年齢者に対し、個別に再就職援助計画書を作成・交付し、これに沿って再就職援助を行うよう努めなければならないこととし、公共職業安定所長は、必要により、事業主に対し再就職援助計画の作成要請を行う(高年齢者雇用安定法)。
(2).公共職業安定所及び高年齢者等雇用安定センターによるきめ細かい相談・援助
(3).在職者求職活動支援助成金
 定年、解雇その他の事業主の都合により離職することとなっている高年齢者等のうち離職後再就職を希望する者に対して一定の再就職援助措置を講じた事業主等に対して支給する。(求職活動支援給付金、再就職支援会社活用給付金、再就職支援体制整備奨励金、在職求職高年齢者等受入給付金の4つの制度で構成)
(4).移動高年齢者等雇用安定助成金
 経営再建のため事業再構築事業主から失業を経ることなく高年齢者等の移籍出向を受入れる子会社等の事業主に対し助成する。
(5).中高年齢者トライアル雇用事業
 世帯主など再就職の緊急性が高い中高年齢者を試行的に受け入れて就業させる事業主に対して試行雇用奨励金を支給する。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
再就職援助計画書交付者数(人) 21,664 59,137
(備考)
 評価指標は、高年齢者雇用状況報告(概ね50人以上規模事業所)による。
 報告時の過去1年間(前年6月1日から当年5月31日まで)の離職者のうち再就職援助計画を作成した対象者数である。
 平成12年10月施行のため、平成13年は平成12年10月1日から平成13年5月31日までの数である。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
要請に基づく再就職援助計画書交付者数
(人)
17,257 56,512 47,729
(備考)
 評価指標は、再就職援助計画作成等状況報告(定例業務報告第320号様式)による。
 評価指標の平成12年度分については、改正高年齢者雇用安定法が施行された10月以降3月までの実績である。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
在職者求職活動支援助成金の支給決定対象者数(人) 77 1,862 6,432
29,300 125,288 35,147
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
在職者求職活動支援助成金の支給決定金額(百万円) 3 189 809
6,000 13,050 6,120
(備考)
 評価指標の上段は中央高年齢者等雇用安定センター調べによる実績値、下段は予算積算上の数値である。
 在職者求職活動支援助成金は平成12年10月からの事業である。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
移動高年齢者等雇用安定助成金の支給決定対象者数(人) 1,762
30,000
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
移動高年齢者等雇用安定助成金の支給決定金額(百万円) 400
6,000
(備考)
 評価指標の上段は中央高年齢者等雇用安定センター調べによる実績値、下段は予算積算上の数値である。
 移動高年齢者等雇用安定助成金は平成13年12月からの事業である。
 支給要件が対象労働者を雇い入れてから6ヶ月を経過した日の翌日以後からとなるため、平成13年度中に支給決定はなく、予算計上もしていない。
(評価指標) H10 H12 H12 H13 H14
中高年齢者トライアル開始者数
(人)
中高年齢者トライアル常用雇用移行者数
(人)
(備考)
 中高年齢者トライアル雇用事業は、平成15年4月からの事業である。
 評価指標は、中高年齢者トライアル雇用実施状況報告による。
実績目標3 高年齢者の意欲・能力に応じた多様な社会参加の促進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1).シルバー人材センター事業
 定年退職後等において、臨時的かつ短期的な就業等を希望する高年齢者に対して、地域の日常生活に密着した仕事を提供するシルバー人材センター等を支援する。
(2).高年齢者職業経験活用センター事業(高年齢者雇用就業機会提供事業)
 高齢者に対し、その職業経験を通じて得られた知識及び技能の活用を図ることができる短期的な雇用による就業の機会を提供する高年齢者職業経験活用センター等を支援する。
(3).高年齢者共同就業機会創出支援事業
 高齢者が共同して事業を創業し知識や経験を活かして雇用就業機会の拡大を図る場合に助成する。
(4).高齢期雇用就業支援コーナーによる相談・援助
 高齢者等を雇用する事業主、離職予定高年齢者等に対して、高齢期の雇用就業に関する相談・援助を実施する。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
シルバー人材センター会員の就業延人員
(千人日)
41,415 45,689 51,311 54,865 58,321
(備考)
 評価指標は、(社)全国シルバー人材センター事業協会の調べによる。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
高年齢職業経験活用センターによる派遣延人数
(人)
190 293 240 322 381
(備考)
 評価指標は、全国高年齢者職業経験活用センターの調べによる。
 評価指標の派遣延人数は4箇所の高年齢者職業経験活用センターの合計である。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
高年齢者共同就業機会創出助成金の支給決定件数(件) 12 238 220 203
50 300 300 300
高年齢者共同就業機会創出助成金の支給決定金額(百万円) 47 962 912 856
250 1,500 1,500 1,500
(備考)
 評価指標の上段は中央高年齢者等雇用安定センター調べによる実績値、下段は予算積算上の数値である。
 高年齢者共同就業機会創出助成金は平成12年1月からの事業である。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 ここ数年、景気低迷の影響を受けて、雇用失業情勢は全体として厳しい中で、中高年齢者を対象とした早期退職勧奨等により中高年齢者は特に厳しい状況に直面しており、また、65歳までの雇用確保措置の普及が急速に進みにくい状況にある。
 こうした状況下ではあるが、厚生年金の支給開始年齢引上げに伴い、65歳までの雇用に向けた事業主の認識・具体的な取組は進んでおり、中高年齢者の早期再就職に向けた諸制度も定着しつつある。さらに、団塊の世代が60歳台を迎える前に、シルバー人材センター等を通じた多様な社会参加の形態の普及が着実に進んでいる。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
実績目標1について
 定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの安定した雇用の確保については、高年齢者雇用安定法上、事業主の努力義務(罰則等は定められていない)とされており、労使間合意に基づく事業主の自主的取組が基本となっている。従って、これを推進していくためには、公共職業安定所による指導のほか、技術的な相談・援助や財政的な支援を組み合わせて、事業主の自主的な取組を促していくことが有効な手段となる。
 普及状況については、ここ数年、景気低迷の影響による早期退職勧奨、中高年齢者等の失業率の上昇等もあって、雇用の維持が大きな課題となり、65歳までの雇用確保措置の普及が非常に厳しい状況の中で、65歳までの雇用を確保する企業の割合は横這いであるものの、65歳までの継続雇用制度を有する企業は増加傾向にある(評価指標参照)。
 また、継続雇用定着促進助成金は、希望者全員の65歳までの雇用を確保する制度導入を行った事業主への支給であり、今後さらに企業における高年齢者雇用確保措置の実施を促進していくためには、企業に対してより積極的な働きかけが必要であるが、その際には本助成金の活用が有効であり、当初見込んでいた活用度に達している状況をみると継続雇用制度等の普及に有効に寄与しているものと考えられる。ただし、継続雇用助成金助成金のうち定年延長等職業適応助成金(III種)は、ニーズが乏しく、また、高年齢者雇用確保制度の円滑な運用を図るための講習等は、高年齢者等雇用安定センター等で今後も拡充していくこととしていることから、平成14年度をもって廃止した。

(参考)
 継続雇用定着促進助成金の予算額と実績額の比較(中央高年齢者等雇用安定センター調べ)



予算額
実績額(百万円)
H1341,20447,091
H1448,17959,044

実績目標2について
 定年、解雇等により離職する高年齢者等が再就職を希望する場合の援助の実施については、高年齢者雇用安定法上、事業主の努力義務(罰則等は定められていない)とされており、労使間合意に基づく事業主の自主的取組が基本となっている。従って、これを推進するためには、公共職業安定所による事業主に対する再就職援助計画作成指導のほか、技術的相談・援助や財政的な支援を組み合わせて、事業主の自主的な取組を促していくことが有効な手段となる。
 「再就職援助計画書交付者数」については、平成13年度の「要請に基づく再就職援助計画書交付者数」の大幅増加を受けて、約2.73倍に増加している。他方、平成14年度の「要請に基づく再就職援助計画書交付者数」は、平成13年度に比べて減少している。これは、公共職業安定所からの要請件数に対する「交付対象者がいない」旨の報告を受けた件数が増加したためであり、公共職業安定所からの要請件数自体は増加しており、より有効な要請手法について留意する必要がある。
 さらに、再就職援助計画を公共職業安定所に持参した中高年齢者に対しては、同計画書を参酌してきめ細かい相談・援助を実施することとしており、中高年齢者の在職中からの再就職の促進に一定の役割を果たしていると考えられる。
 また、定年、解雇等によって離職した高年齢者等労働移動が円滑に行われるようにすることは重要であり、それを支援する助成金である在職者求職活動支援助成金は、有効な手段である。支給決定件数は平成13年度1,862件から平成14年度6,432件と大幅に増加しており、着実に浸透しつつあるが、予算額と実行額が乖離しており、当初見込んでいた活用度に達していない。
 本助成金の個々の制度にその理由を求めると、再就職支援会社活用給付金及び在職求職高年齢者等受入給付金については、助成対象を離職後7日以内という極めて短期間での再就職に限定していたことが一因として考えられることから、離職者の標準的な再就職までに要する期間等の実態を踏まえ、平成14年12月に3か月以内に緩和したところであり、今後活用は促進されていくものと考えられる。また、本助成金のうち再就職支援体制整備奨励金については、実績が全くなく、また、事業主団体等に再就職援助に関する体制整備を求めることが現実にそぐわない面も否定できない。
 中高年の再就職の促進を図る手段として、企業グループ内で高年齢者等の雇用確保を支援する移動高年齢者等雇用安定助成金は、有効な手段であり、また、企業の自主的取組を支援するために政策的必要性は高い。ただし、予算額と実行額が乖離しており、当初見込んでいた活用度に達していない。平成15年4月からは産業活力再生特別措置法の認定事業主について手続を簡素化する特例を設けたところであり、産業政策における事業再構築支援施策と図りつつ今後の利用促進が期待される。

(参考)
 再就職援助計画の要請件数と再就職援助計画交付者数の比較(再就職援助計画作成等状況報告)

 

H14
H13
再就職援助計画作成要請件数11,411件10,902件
交付報告書受理件数3,419件3,784件
交付対象者がいない旨の報告を受けた件数4,424件3,140件

実績目標3について
 高年齢者の多様な社会参加の形態としては、常用雇用のほか、裁量的な雇用、任意就業、創業等様々なものがあり、これを推進していくためには、相談体制を整備するとともに、それぞれの形態に応じた推進策を講じていくことが有効である。
 このうち、臨時・短期の任意就業を推進するシルバー人材センターについては、平成14年度末現在で1,790団体(前年度末に比して約100団体増加)設置され、就業延人数は増加傾向にあり、全国広範囲の地域で、就業機会の確保・提供体制は確実に広がっている。
 さらに、同事業は、介護・高齢者生活支援などの地域の福祉政策に貢献するとともに、地域社会の活性化にも大きく寄与している。
 短期的派遣を推進する高年齢者職業経験活用センターについては、既存施設での派遣延人数は着実に伸びており、一定の効果は上げているものの、政策効果は限定的なものに止まっている。
 また、高年齢者共同就業機会創出助成金は、高年齢者のもつ経験、能力を活かして創業することを支援するもので、高年齢者の多様な社会参加の促進を図る手段として有効であり、平成12年度以降、毎年200件以上の創業が行われた。平成14年12月から年齢要件の緩和を行ったことから、さらに高年齢者の多様な社会参加を促進していくものと期待される。
政策手段の効率性の評価
実績目標1について
 相談・援助の実施に当たっては、高年齢者雇用確保措置の導入状況に応じて対象事業主を6分類した上で、企業規模に応じた、重点的な指導を行うとともに、高年齢者等雇用安定センターのアドバイザー派遣による技術的・専門的な支援をこれに組み合わせて効率的に実施している。
 また、企業の継続雇用制度等に関する自主的取組を促進させる継続雇用定着促進助成金については、導入した制度の内容・企業規模等に応じて、制度導入に係る経費の一定割合を助成するという考え方で助成金額を定めることにより、必要十分な助成を行っているものである。

実績目標2について
 中高年齢者を離職させる事業主に対して高年齢者雇用安定法に基づいて再就職援助を行う努力義務を付し、これを実効のあるものとするため、事業主指導等の業務の一環として周知・啓発・指導を行うとともに、必要により公共職業安定所長が再就職援助計画の作成要請を行うこととしている。
 さらに、在職者求職活動支援助成金は、送り出し事業主及び受入事業主に対して一定の助成を行うことにより、事業主による再就職援助を促し、高年齢者等の円滑な労働移動を促進することが出来る仕組みになっており、移動高年齢者等雇用安定助成金は、企業グループ内で失業を避けつつ円滑な労働移動を促進する仕組みとなっている。これらの施策は、事業主による再就職援助を促し、離職予定者の早期の再就職の促進が図られることで、長期失業者の発生を防止し、中高年齢者の直接的な雇用就業対策に必要な経費を低減することが可能となり、効率的な手段であると考える。

実績目標3について
 シルバー人材センターの運営にはその運営経費の一部について国庫補助(平成14年度約115億円交付)を行っているところであるが、シルバー人材センターによる仕事の受注に係る契約金額は約2,700億円に達しており、事業は効率的に運営されている。
 高年齢者職業経験活用センターの運営には指定後当初の3年間についてその運営費の一部を助成することとしているが、現時点では、新規の指定がないことから、当該助成のための支出はない。
 また、高年齢者共同就業機会創出助成金は、高年齢者が3人以上集まって創業した場合に、創業経費の一部を助成するという考え方で支給される助成金である。また、1人以上労働者を雇用することが支給要件となっているが、現実には平均8人の就業者を創出しており、受給企業の9割以上が存続していることから、事業拡大によるさらなる雇用増も期待でき、累乗的な政策効果が見込まれるとともに、中高年齢者の直接的な雇用就業対策に必要な経費を低減することが可能となり、効率的な手段であると考える。
総合的な評価
 要件緩和後の効果が現れていないなど正確な把握ができない施策もあるが、昨年度実施された各施策については、高齢者の雇用就業を促進に一定の役割を果たしており、施策目標達成に向けて進展があったと考える。
 なお、移動高年齢者等雇用安定助成金については、活用が進んでいないこともあり、平成15年4月からは産業活力再生特別措置法の認定事業主について手続を簡素化する特例を設けたところであり、産業政策における事業再構築支援施策と図りつつ今後の利用促進が期待される。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)


3.政策への反映方針

 継続雇用定着促進助成金のI種及びII種については、今後の高齢者雇用対策全体の見直しの中で、ニーズを踏まえつつ、高齢者雇用の促進に真に有効なものとなるよう引き続き検討する。
 在職者求職活動支援助成金については、高年齢者の雇用の促進に一定の役割を果たしており、施策目標内の一部の政策の廃止、縮小及び拡充等予算要求を検討する。
 具体的には、求職活動支援給付金については、求職活動のための休暇取得後の再就職状況を把握した上で、取得後の再就職状況についての目標を設定し、政策効果の定期的な点検を行う仕組みを取り入れ、点検結果を基に随時見直しを行うことを検討する。また、予算額と実績額が乖離しており、適切な予算計上に留意する。なお、再就職支援会社活用給付金及び在職求職高年齢者受入給付金については、離職から再就職までの期間に係る要件の緩和の効果を注視しつつ、今後、労働移動の受け入れ先事業所に対する支援については、政策効果を見極め、より実効的な方策についても検討する。政策手段として有効性・効率性ともに乏しいと考えられる再就職支援体制整備奨励金は廃止する。
 移動高年齢者等雇用安定助成金は、予算額と実績額が乖離しており、適切な予算計上に留意する。
 シルバー人材センターが地域における高齢者の需給調整機能から社会参加促進機能まで、総合的に支援を行えるよう、事業を推進するための見直しを検討する。
 高年齢者共同就業機会創出助成金については、雇用創出効果を確かなものとするため、助成後の企業の存続率や労働者の雇い入れ状況を把握すること等により、政策効果を定期的に点検し、点検結果を基に不断の見直しを行うことを検討する。なお、実績額が予算額と若干乖離していることから、昨年12月の要件緩和の影響を踏まえつつ、適切な予算計上に留意する。
反映分類
(2) (4)


4.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 「年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者会議報告」(平成15年1月)において、「今後10年間を、65歳までの雇用を確かなものとするとともに年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた基盤整備の期間と位置付け、政労使を始め関係者が一体となった取組を集中的に実施していくことが必要である。」とされている。
 「今後の高齢者雇用対策に関する研究会報告書」(平成15年7月)において、「当面の課題としては、年金支給開始年齢の引上げや団塊の世代の高齢化を踏まえ、雇用と年金との接続を強化し、少なくとも年金支給開始年齢となる65歳までは年齢が理由となって働くことが阻害されることのないシステムの整備を行っていくことが急務である。」とされている。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
 「第9次雇用対策基本計画」において、「向こう10年程度の間において、65歳定年制の普及を目指しつつも、少なくとも意欲と能力のある高齢者が再雇用又は他企業への再就職などを含め何らかの形で65歳まで働き続けることが出来ることを確保していくこととする。」とされている。(平成11年8月閣議決定)

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 総務省の行政監察による勧告「高齢者雇用対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(平成14年3月)において、「定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は改善に係る公共職業安定所等における業務の適切な実施」や「各種助成金等の効果的支給」等について指摘がなされている。

(4)国会による決議等の状況(警告決議、附帯決議等)
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において「高年齢者の65歳までの継続雇用を実現するため、法改正を含め高齢者雇用対策の抜本的な見直しを行うこと。」、「雇用保険三事業の各種給付金等について、政策評価を適切に行い、今後とも必要な見直しを行うよう努めるとともに、中小企業の利用に配慮しつつ、不正受給の防止に万全を期すこと」とされている。(平成15年4月15日衆議院厚生労働委員会)
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において「高年齢者の65歳までの継続雇用を実現するため、法改正を含め高齢者雇用対策の抜本的な見直しを行うこと。」、「雇用保険三事業の各種給付金等については、政策評価を適切に行い、真に失業予防や再就職の促進に有用であると認められるものを実施するよう、不断の見直しを行うとともに、中小企業の利用促進に配慮しつつ、不正受給の防止にも万全を期すこと」とされている。(平成15年4月24日参議院厚生労働委員会)

(5)会計検査院による指摘
 なし


トップへ
戻る