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(3−8−I)
実績評価書
平成15年8月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働保険適用徴収業務の適正かつ円滑な実施を図ること
I 労働保険の適用促進及び労働保険料の適正徴収を図ること
担当部局・課 主管課 労働基準局労働保険徴収課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 労働保険の適用対象事業場を適正に把握し、適用を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働保険の適用促進を図るためには、未手続事業場の的確な把握を行うことが重要であるので、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所間の連携を密にして、電話帳の消し込み、事業主団体名簿の活用等、創意工夫を凝らした把握を行い、把握した未手続事業場に対しては、地域別、業種別等の実態を踏まえ、中期的な展望に立った年次別の具体的な適用促進計画を策定し、計画的な適用促進に努める。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
新規適用事業場数(事業場)
298,107 284,191 299,545 275,940
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険適用関係業務統計表
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
廃止事業場数(事業場)
296,673 294,594 286,855 286,120
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険適用関係業務統計表
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
適用事業場数(事業場)
3,059,158 3,048,755 3,061,445 3,051,265
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険適用関係業務統計表
実績目標2 労働保険料の適正徴収の確保を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
・労働保険料算定基礎調査の実施
 労働保険料算定基礎調査は、事業場に立ち入り、事業主に対し質問、帳簿書類等の調査を行い、適正な労働保険料の額を確認することにより、労働保険料等の適正な徴収を図るとともに、労働保険料の負担の公平を期するものである。
・滞納整理の実施
 労働保険料が未納の事業場に対し、電話、文書、訪問等により納入督励する。それでもなお事業主が納付しない場合は、労働保険料を強制的に徴収するため、滞納者の財産を差し押さえ、差押財産を換価してその代金をもって労働保険料等に充当する措置を採り得る。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
労働保険料収納済歳入額(百万円)
3,291,861 3,106,480 3,078,031 3,631,918
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険特別会計歳入歳出決定計算書


2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 平成10年度から平成13年度までの評価指標を見ると、適用事業場数はほぼ一定であるが、経済情勢が悪化すれば企業倒産の増加及び新規起業の減少は必然的に起こる現象であり、仮に施策や事務事業の投入量が一定であったとしても、外部要因としての経済情勢の悪化の影響を大きく受けて新規適用事業場数の減少及び廃止事業場数の増加につながる可能性は否定できない。
 また、労働保険料の徴収についても、評価指標である労働保険料収納済歳入額は、景気の低迷及び賃金総額の伸び悩み等の経済を取り巻く状況にも左右されることになるが、平成13年度における労働保険料徴収済歳入額の急激な増加は、雇用保険率の引上げによるものである。
 なお、収納率は平成12年度が97.57%、平成13年度が97.70%となっている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 労働保険の適用対象事業場の適正把握及び適用促進に関しては、労働保険制度の周知を目的とした労働保険適用促進月間(毎年10月実施)の実施、電話帳の消し込み等により把握した未手続事業場の計画的な解消により、毎年一定の事業場が労働保険の新規適用を受けているところであり、当該手段は有効性が高いものである。
 労働保険料の適正徴収の確保に関しては、平成13年度においては、60,914事業場について労働保険料算定基礎調査を実施しており、そのうち44.3%に当たる27,040事業場に労働保険料の過不足が認められている。滞納整理の実施については、平成13年度に延べ100,133件の納入督励をすることにより、21,832百万円の現金領収及び13,741百万円の納付受託がなされているところであり、一定の効果が上がっていることから当該手段は有効性が高いものである。
 また、差押え等の滞納処分は、強制的に労働保険料を徴収する手段として有効であるとともに、滞納者の財産処分を制限することで、間接的に納付を促す効果もある。
政策手段の効率性の評価
 労働保険の適用対象事業場の適正把握及び適用促進に関しては、労働保険は、自主申告・自主納付を前提とした制度であることから、継続的な制度の周知活動及び各局の地域の実情に基づく計画的な適用促進活動を実施することにより、毎年一定の事業場が、労働保険の新規適用を受けていることから、未手続事業場の解消は確実に行われており、効率性が高いものである。
 労働保険料の適正徴収の確保に関しては、毎年、都道府県労働局では労働保険料算定基礎調査年間業務計画及び滞納整理年間業務計画を立てており、管内事業場の特性に応じて対象事業場を選定することで、労働保険料の適正徴収が確保されていることから、効率性が高いものである。
総合的な評価
 労働保険の適用促進及び労働保険料の適正徴収を図るために行っている労働保険制度の周知を目的とした労働保険適用促進月間(毎年10月実施)の実施、電話帳の消し込み等により把握した未手続事業場の計画的な解消、労働保険料算定基礎調査、滞納整理等は有効かつ適正な方法であり、外部要因としての経済情勢の悪化の影響を受けているものの、適用を廃止する事業場数の4年連続減少、雇用保険率の引上げに対応して適切に労働保険料を収納していること(収納率97.70%)等から、目標達成に向けて進展があった。
評価結果分類 分析分類
(3) (3)


3.政策への反映方針

 今後も労働保険に係る周知広報、算定基礎調査、納入督励等を計画的に実施するほか、関係行政機関との連携を図ることなどにより、未手続事業場や倒産に係る事業場の情報を効果的に収集することとする。
反映分類
(3)


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
平成12年度会計検査院決算検査報告により、不当事項として指摘を受けた。


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