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(3−6−II)
実績評価書
平成15年8月

政策体系 番号  
基本目標  労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標  安定した労使関係等の形成を促進すること
II  集団的労使関係のルールの確立及び普及等を図ること
担当部局・課 主管部局・課 政策統括官付労政担当参事官室
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1  労働組合法、労働関係調整法に関して、その適正な実施を図るため指導・啓発を図ること。
(実績目標を達成するための手段の概要)
 都道府県労政主管課及び労政事務所では、地域の労使関係の実情の把握に努める とともに、企業経営者、労働者を対象としたセミナー等を適宜開催している。また相談業務も行っており、これらの施策を通じて指導・啓発を行っている。
 不当労働行為の救済申立てや労使紛争が生じた場合には労働組合法及び労働関係調整法に基づき、労働委員会を通じて対応する。
(評価指標)   H10 H11 H12 H13 H14
争議件数 件数 1,164 1,102 958 884  
争議による労働損失日数 日数 101,508 87,069 35,050 29,101  
(備考)
 数値は「労働争議統計調査年報告(厚生労働省大臣官房統計情報部)」から引用。
実績目標2  会社分割における労働契約等の承継に関して、労働契約承継法や、その適切な実施を図るために必要な事項を定めた指針の着実な施行を図ること。
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働契約承継法の関連法令、指針等を解説したリーフレットを作成し、都道府県労政事務所等を通じて事業主、労働者等に配布し、その周知広報を図っている。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
 法令及び指針の施行状況
(備考)
 評価指標は、定性的な指標である。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 労働組合の組織率が低下する中、全国的に影響を及ぼすような集団的労使紛争は減少している。しかし、近年の経済情勢が厳しいこともあり、憲法に規定された団結権や、その目的たる労働者の労働条件の維持・向上を阻害するような紛争は、いまだ全国各地で発生しているところである。
 内外の経済的環境の変化に伴い、会社分割を活用して事業再構築を図る企業は多く生じているが、これに伴う、労働者の労働条件の変更等に関して法令に違反する取扱いがなされた実例は聞いていない。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 現状を踏まえると、都道府県において個別的な事情を踏まえて指導・啓発を行い、国においては統一的見解を示すとともに都道府県の施策について一定の助成を行うという方法が、法の理解の促進という観点から有効であると考える。
 平成14年度における会社分割制度の利用企業は650社にのぼったが(民間調査会社の調査)、会社分割に伴う労働契約の承継等に関し、手続違反、個別労働紛争は報告されていない。これは、労働契約承継法や、その適切な実施を図るために必要な事項を定めた指針が着実に周知され、遵守されている結果であり、当該政策が有効であるものと考えられる。
政策手段の効率性の評価
 現状を踏まえると、都道府県においては地域の実情を把握しながら適宜、法についての指導・啓発を行い、国においては労働委員会を通じる等の手段により基本的・統一的な考え方を示すといった役割分担は効率的であると考える。
 リーフレットに労働契約承継法等の問合せ先として記載されている当室へも問合せが寄せられているところである。これはリーフレットの配布等により、関係者に法令等が広く周知されてきた結果であり、当該政策が効率的に実施されているものと考えられる。
総合的な評価
 労働者の労働条件の維持・向上は、労使関係を安定させ、社会経済の発展の基礎となるものであるが、争議件数・損失日数が減少傾向にあること、また、労働契約承継法の関連法令及び指針は、リーフレットの作成・配布を通じた周知広報により、遵守され、適正に運用されていることから、目標の達成に向けて進展があったものと考えるが、新たな就業形態等への対応など、なお改善の余地があるところである。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)


3.政策への反映方針

 集団的労使関係法について、社会の複雑化に対応したルールの普及を引き続き図っていくこととしている。
 企業組織再編に伴う労働問題について、社会経済環境の動向を見守りつつ、今後も法令及び指針の着実な施行又は検討を引き続き実施していくこととしている。
反映分類
(3)


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 合併・営業譲渡における労働契約等の承継に関して、学識経験者から成る研究会において検討がなされたが、平成14年8月に報告書が取りまとめられて終了した。
(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし
(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応については、現在、政府において検討を進めているガイドラインを早急に策定するとともに、施行後、当該問題の実態把握に努めた上で、法的措置を含め必要な検討を行うこと。【会社更生法案に対する附帯決議(平成14年11月26日 衆議院法務委員会)】
 企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応については、現在、政府において検討を進めているガイドラインを早急に策定し、その周知を図るとともに、当該問題の実態把握に努めた上で、法的措置を含め検討を行うこと。【会社更生法案に対する附帯決議(平成14年12月5日 参議院法務委員会)】
(5)会計検査院による指摘
なし


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