政策体系 | 番号 | |
基本目標 | 10 | 国際化時代にふさわしい厚生労働行政を推進すること |
施策目標 | 2 | 国際協力の促進により国際社会へ貢献すること |
I | 福祉医療、労働分野における人材育成のための技術協力を推進すること | |
担当部局・課 | 主管部局・課 | 大臣官房国際課 |
関係部局・課 | 職業能力開発局外国人研修推進室 |
1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 | 開発途上国の行政官の研修を通じて、開発途上国の社会開発に貢献すること | ||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) (社)国際厚生事業団を実施主体とし、発展途上国が問題として抱える福祉・医療分野の専門家並びに政策立案者等の不足による社会福祉や保健医療などの制度の立ち後れ等を踏まえ、日本の過去の経験やノウハウを伝え、人づくりによる開発途上国の自立を目的として、東南アジア諸国等開発途上国の行政官等を招聘し、社会保障、保健医療等に関する研修を行う。 |
|||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
研修生受入人数(人) | 172 | 233 | 399 | 147 | 103 | ||||||
研修参加者からの事業評価 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考) 研修参加者からの事業評価は、各研修参加者に対するアンケート調書に基づく定性的評価である。 |
|||||||||||
実績目標2 | 開発途上国の制度作りの立案・推進のための日本人人材養成研修を通じて、開発途上国の社会開発に貢献すること | ||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) (社)国際厚生事業団を実施主体とし、発展途上国が問題として抱える福祉・医療分野の専門家並びに政策立案者等の不足による社会福祉や保健医療などの制度の立ち後れ等を踏まえ、開発途上国の社会保障、保健医療分野における制度づくりや人づくり支援を行うことができる日本人専門家を養成するための研修事業を海外で行う。 |
|||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
研修生参加者数(人) | 16 | 24 | 26 | 22 | 14 | ||||||
研修参加者からの事業評価 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考) 研修参加者からの事業評価は、各研修参加者に対するアンケート調書に基づく定性的評価である。 |
|||||||||||
実績目標3 | 開発途上国の健全な労使関係の構築に貢献する人材を確保すること | ||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) (1)開発途上国労働問題労使協力事業 (財)日本ILO協会を実施主体として、日本国内の労使団体がアジア・太平洋地域開発途上国の労使団体を対象に労働問題に関する過去の経験やノウハウを伝え、当該開発途上国の労働問題解決に役立ててもらうことを目的として、日本国内及び海外においてセミナーを実施する事業に対し、国庫補助を行う。 |
|||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
セミナー参加者数(人) | 264 | 278 | 248 | 335 | 474 | ||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
参加者からの事業評価 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考) 参加者からの事業評価は、各セミナー参加者による報告書に基づく定性的な評価である。 |
|||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) (2)開発途上国人事・労務管理者育成事業 アジア地域の開発途上国を対象に人事・労務管理能力の向上を図り、各国の経済発展を推進することを目的として、(財)日経連国際協力センターが、当該諸国の人事・労務管理を担当し、企業等の組織においてリーダーシップを有する中堅幹部を我が国の企業に受入れ、研修を行う事業に対し、国庫補助を行う。 |
|||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
研修参加者数(人) | 29 | 26 | 28 | 29 | 16 | ||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
参加者からの事業評価 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考) 参加者からの事業評価は、研修終了後のアンケート、フォローアップ調査報告書等に基づく定性的な評価である。 | |||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) (3)ASEAN労使関係プロジェクト支援事業 ASEAN域内の安定的な労使関係を構築し、経済の安定成長を促進することを目的として、ASEAN地域に対する我が国の経験の提供及び後発の国々(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)に対する労使関係の制度整備を支援する。2002(H14)年度から3か年計画で、ASEAN事務局を通じ、日・ASEAN協力委員会の開催、実地調査の実施、国別及び地域セミナーの開催等の支援事業を行う。 なお、セミナー開催については、(財)日本ILO協会に委託を行う。 | |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
セミナー等参加者数(人) | − | − | − | − | 276 | ||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
参加者からの事業評価 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考) 参加者からの事業評価は、各セミナー等の報告書に基づく定性的な評価である。 | |||||||||||
実績目標4 | 開発途上国において職業訓練指導を担う者を養成すること | ||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 開発途上国における工業化の進展等に伴う技能者不足に対処するため、開発途上国における職業訓練体制の整備充実を目的として、我が国で職業訓練指導員を養成する唯一の専門的施設として設置運営されている職業能力開発総合大学校長期課程(4年間)及び研究課程(2年間)において留学生を受入れ、職業訓練指導員として必要な専門科目、指導技法、訓練開発施設の運営管理ノウハウに至るまで幅広い分野にわたる技術、知識を付与する「外国人留学生受入事業」を実施 |
|||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
外国人留学生受入事業における外国人留学生の受入人数 (人) | 10 | 16 | 16 | 18 | 18 | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
外国人留学生受入事業における帰国留学生の就職状況 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考) ・評価指標は、定性的な指標である。 | |||||||||||
実績目標5 | 開発途上国の労働者等の受入を通して、開発途上国への技能移転を推進すること | ||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) (1)開発途上国から民間企業の在職労働者を研修生として受入れ、将来これら諸国の民間企業において指導的立場に立つ者を養成する「国際技能開発計画」、(2)開発途上国で将来熟練労働者となる青年を我が国へ受入れ、高度な産業技術に係る職種を中心として技能を修得する「外国人基礎技能研修生受入事業」、(3)外国人研修生受入れ企業等に対する各種の指導、援助を行う「外国人研修指導、援助事業」、(4)技能実習制度の適正かつ円滑な推進を図るための「技能実習制度推進事業」を実施 |
|||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
国際技能開発計画における外国人研修受入人数(人) | 197 | 162 | 158 | 141 | 75 | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
国際技能開発計画における帰国研修生の復職、就職、待遇、昇進状況 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
外国人基礎技能研修生受入事業における外国人研修生受入人数(人) | 526 | 519 | 534 | 450 | 249 | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
外国人基礎技能研修生受入事業における帰国研修生の復職、就職、待遇、昇進状況 | − | − | − | − | − | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
外国人研修指導、援助事業における、集合座学研修を効果的に実施するための公共職業能力開発施設での集合研修実施支援人数(人) | 511 | 614 | 1,081 | 533 | 579 | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
外国人研修指導、援助事業における、中小企業に対する日本語教育における支援研修生人数(人) | 1,098 | 1,475 | 1,821 | 2,288 | 1,823 | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
技能実習制度推進事業における、セミナー参加者数(人) | 324 | 342 | 251 | 350 | 247 | ||||||
(備考)
| |||||||||||
(評価指標) | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 | ||||||
技能実習制度推進事業における、指導書等の作成数(部) | 9,000 | 15,300 | 8,000 | 9,000 | 4,500 | ||||||
(備考)
|
2.評価
(1) 現状分析
東南アジア諸国を始めとするアジア・太平洋地域の開発途上国においては、過去の我が国の援助及び自国の経済成長によってある程度の開発が進められてきたが、20世紀末に起こったアジア通貨危機に見るようにその社会的基盤は未だ脆弱であり、今後の一層の開発には、人材開発を中心としたソフト分野の支援を始めとする技術支援が不可欠である。 脆弱な社会基盤の中で社会開発の先鞭をつけていくのは中央政府であり、その安定性と役割は非常に重要であり、人材開発の中でも中央政府の機能向上及び人材育成が最優先課題となっている。 しかしながら、開発途上国においては、経済・産業発展のために必要とされる技術者及び技能労働者の人材不足はもとより、これら人材を指導する管理・監督者、職業訓練を行う指導員、特に開発の礎となる福祉医療分野や労使関係安定のための取組みを行う人材が非常に不足している現状にある。 加えて、開発途上国からも、我が国に対し各種分野の技術、技能移転を通じた人材養成に係る国際協力の要請が強く、こうした人材の育成に対する支援を積極的かつ効果的に行うことが必要となっている。 |
(2) 評価結果
開発途上国の社会保障・保健医療分野の開発に資するため、我が国の過去の経験や知識を供与し、当該国の人材開発を進めることは、開発途上国の自立性と持続可能な開発を確保する上で、重要な方法である。 毎年、過去の研修参加国に調査団を派遣し、過去の研修参加者に対する面談調査のほか、当該国政府に対しても、関係省庁幹部・担当者との面談を通じて、研修の成果を確認している。研修参加者から有効であったとの評価を受けるとともに、東南アジア諸国中、実に7カ国において、本研修が当該国政府の中にあって、昇進等にあたり考慮される条件のひとつになっていることが確認され、本研修が当該国政府の人材開発において重要な役割を果たしていることが裏付けられている。 (実績目標2) 過去の研修参加者119名中、25名が国際協力事業団派遣の専門家等として、当該分野の国際協力の現場に参加している。また、約8割の既研修参加者と年1回の定期的な調査を含めての連絡をとっており、彼らを厚生労働省及びJICA等の要請に応えて派遣できる体制を整えており、増大するプロジェクトに要する人材の確保に役立っている。 さらに、研修参加者からは、当該研修で習得した知識、現場の視察等の経験を生かし、今後の日本人専門家としての活動に役立てたい等の評価を得ている。 (実績目標3) (1)について 我が国の労使団体の協力を得て(財)日本ILO協会が各開発途上国労使団体を対象に実施するセミナーであり、各途上国労働者団体は我が国の連合及び各産業別組合から、使用者団体は日経連(現日本経団連)等経営者団体から、それぞれ民間団体の特質等を踏まえたより詳細で具体的な労働問題解決のノウハウ等を学ぶことができるので、有効である。また、研修参加者からも、各テーマについて相互理解が深まり、当セミナーにおいて得られた経験を自国の状況に合わせて積極的に活用していきたい等の高い評価が得られた。 (2)について 1988年に開催された国際経営者団体サミットにおいて、東アジアをはじめとする開発途上国経営者団体から出された日経連に対する人事労務に関する人材育成支援への強い要望を受けて開始されたものである。相手国経営者団体を通じて適正な研修対象者の選定に始まり、日本語を使用して行われる企業内実地研修に備えた日本語研修、日本の人事労務管理の基礎研修、企業内実地研修等日本の人事労務管理システムを学べるだけでなく、システムの背景にある日本文化や歴史等も無理なく学べるプログラムが組まれており、開発途上国から極めて高い評価を得ている。更に当該研修に参加した者は、研修終了後アンケートやフォローアップ調査報告書に示されているように、研修で取得・経験した技術を実際の人事・労務管理に適用して実践し、各国の企業リーダーとして活躍するのみならず、研修中に培われた連帯感により継続した人的ネットワークを構築し、日本及び各途上国間の友好的で安定的な協力関係を持続させる効果も認められている。 (3)について 本事業は、厚生労働省が直接、日・ASEAN協力委員会の開催、現地実地調査等の支援事業を行っていることにより、ASEAN側の要望と必要な支援内容を的確に把握し、速やかに事業計画に反映することができるので、有効である。また、(財)日本ILO協会に委託するセミナー事業については、ASEAN各国より我が国の経験に大いに学ぶ姿勢があるのみならず、地域全体でお互いの成功事例を共有できる点で高い評価を得ている。特に後発の国々において、健全な労使関係の構築を支援していく点で極めて意義は大きい。 (実績目標4) 外国人留学生受入事業における平成14年度の外国人留学生の受入れ状況は、長期課程16人、研究課程2人、合計18人となっており、職業訓練指導員として必要な専門科目、指導技法、訓練開発施設の運営管理ノウハウに至るまで幅広い分野にわたる技術、知識について、新たに18人を対象に付与していることから、開発途上国の職業訓練指導員の養成に有効であったと認められる。 また、当該事業における帰国留学生の就職状況についてみれば、その多くが母国において公共職業訓練施設の職業訓練指導員又は職業能力開発行政に従事しており、母国の職業訓練体制の整備に大きな役割を果たしていることから、開発途上国における職業訓練指導を担う者を養成する効果が高く、有効性は高いものと認められる。 (実績目標5) 国際技能開発計画における平成14年度の外国人研修生の受入れは75人、外国人基礎技能研修生受入事業における平成14年度の外国人研修生の受入れは249人となっており、開発途上国の民間企業において指導的立場に立つ者や熟練労働者となる者への技術・技能の修得が、新たに342人に対して図られていることから、開発途上国への技術移転に有効であったと認められる。 また、これら事業における、帰国研修生の復職、就職、待遇、昇進状況についてみれば、これまでに受入れた多くの開発途上国の研修生が、母国において管理職や熟練技能労働者として従事し、ILO等の国際機関のみならずアジア等世界各国における関係各界からも高い評価を得ているものであることから、開発途上国への技術移転を推進する効果が高く、有効性は高いものと認められる。 さらに、平成14年度の外国人研修指導、援助事業における公共職業能力開発施設での集合研修実施支援人数は579人、中小企業に対する日本語教育における支援研修生人数は1,823人となっており、また、技能実習制度推進事業におけるセミナー参加者数は247人、指導書等の作成数は4,500部となっており、これらの事業により、我が国の有する技術・技能の開発途上国への移転を図ることを目的とする外国人研修・技能実習制度の適正かつ円滑な推進が図られているものであり、開発途上国への技術移転を推進する効果が高く、有効性は高いものと認められる。 | |||||
研修の実施に当たっては、当該分野の専門家による研修プログラム検討委員会を開催し、毎年研修内容の見直しに努めている。研修プログラムは我が国の知識経験を技術移転するのみならず、参加各国のお互いの情報交換を通じて、一方的な研修ではなく、双方向の研修を実現している。さらに、国際機関等と連携し、国際的な見地からの情報提供も行われるよう配慮しており、近隣諸国の実例、さらには、世界的な動きも把握できるほか、日本の経験を学んだ上で、自国において如何に応用し適用するかといった演習の手法を用いて途上国のキャパシティービルディングに主眼をおいたものとしており、研修終了後、直ちに研修成果を具現化できる即効性の高い効率的な研修となっている。 また、本研修においては、比較的退職率の低い当該国の中央行政官を対象にしていることから、脆弱な当該国政府の人材開発という観点ではコストパフォーマンスの点で非常に効率的である。 (実績目標2) 開発途上国への協力に資する人材には、バックグラウンドとなるべき専門的知識に加えて、開発途上国の現場をよく知り適切に対応できる柔軟性が求められるが、本研修においては、培われたノウハウを活用して、専門的知識を深めることと開発途上国の現場を知ることとのバランスのとれた内容の研修が効率的に運営されている。 また、研修費用についても海外の研究機関等との日頃の密接な連携を基に低廉なものに押さえられている。 (実績目標3) (1)について 毎年事業内容の見直しや円滑な推進を行うため、実施主体である(財)日本ILO協会において、公益・労働者・使用者の三者代表で「開発途上国労使問題労使協力事業 労使国際協力推進委員会」を設置し、事業推進について検討を行い、事業をより効率的に実施するよう努めている。また、事業の実施においても、労働者団体としては日本の連合及び産業別労働組合に、使用者団体としては日経連にそれぞれ協力を求めることで、開発途上国労使団体のニーズに細かく対応できるように図られている。 (2)について 対象国については、アジア地域の中で各国の発展レベル、相手国経営者団体の運用状況等を踏まえ、固定化しないように柔軟に選定を行っている。また、対象国のニーズ・研修実施の必要性を考察するため、実地研修受入れ企業の担当者も交えて研修のフォローアップを行っており、研修員の帰国後の動向把握、研修員との会合、対象国における評価調査等を行い、事業をより効率的に実施するよう努めている。また、受入れ企業の担当者も交えてフォローアップを実施することは、受入れ協力への理解を深めることに寄与し、その結果、研修員が希望する業種における企業実習を受けることが可能となっている。 (3)について 本事業は、ASEAN地域活動の調整・実施を行う機関であるASEAN事務局を通じて行うものであり、ASEAN地域の一体性を損ねることなく、各国への連絡・調整を滞りなく行うことができる。また、ASEAN各国の要望等についても把握することが可能であり、後発の国々を中心に国別に必要性がある支援を実施することができるので、効率的である。また、(財)日本ILO協会に委託するセミナー事業については、厚生労働省が直接行う支援事業と緊密な連携を図り無駄を廃しつつ実施している。 (実績目標4) 外国人留学生受入事業は、職業訓練指導員養成施設が整備されていない国を対象としていること、また、留学生の受入れを行う職業能力開発総合大学校は我が国唯一の職業訓練指導員養成の専門的施設であることから、職業能力開発総合大学校の有する貴重な資源やノウハウを開発途上国の職業訓練指導員の養成確保への協力に積極的に活用していくことが最も効率的であると認められる。 (実績目標5) 国際技能開発計画は、(財)日本ILO協会への補助事業として実施しているものであるが、指導者養成のためには、我が国企業の既存の企業内訓練システムの活用、すなわち、民間企業の生産現場を活用しながら技能のみならず品質管理、生産・工程管理等の能力を付与する研修が最も効率的であり、また、労使の理解を得るためにも、公労使三者の協力の下設立された(財)日本ILO協会の補助事業とすることが最も適切かつ効率的であると認められる。 また、外国人基礎技能研修生受入事業は、中央職業能力開発協会への委託事業として実施しているものであるが、熟練技能者の養成には、我が国企業の既存の企業内訓練システムを活用して技能を修得させることが最も効率的であり、また、当該研修の管理・指導を適切に行うという観点から、技能開発・向上のノウハウを有する能力開発の専門機関である中央職業能力開発協会及び地方職業能力開発協会において実施し、その蓄積された研修ノウハウを活用することが最も効果的かつ効率的であると認められる。外国人研修指導、援助事業及び技能実習制度推進事業は、(財)国際研修協力機構(JITCO)への補助及び委託事業として実施しているものであるが、これら事業については、外国人研修・技能実習制度の適正かつ円滑な推進を図るために実施しているものであることから、外国人研修生の受入れの拡大と開発途上国への技術、技能等の円滑な移転を支援することを目的として設立され、外国人研修・技能実習制度についてノウハウを有する(財)国際研修協力機構が一元的に実施することが、最も効果的かつ効率的であると認められる。 | |||||
労働分野においては、アジア・太平洋地域開発途上国における労使関係安定に資するための人材開発・育成に対し、我が国の労使団体及び各国労使団体のの自主的な協力を得て支援を行うことは、各対象国に対し、より実践的で細かいニーズに沿った事業が行えるものであり、各国からの高い評価を得ているところである。また、継続的な支援により、日本企業の海外進出等に不可欠な人的ネットワークの構築及び最新情報の取得等のメリットもある。
|
3.政策への反映方針
厚生分野においては、シンガポール、韓国、マレーシアやタイといったかつての開発途上国が中進国になり、あるいは、これに近づきつつある中で、それらの国々の人材育成も他国の力を借りることなく自力でできるようになってきたことは、本研修事業を含めた技術協力の成果といえるが、これらの国々に続く、フィリピン、インドネシア、インドシナ3国、ミャンマー、バングラデシュ等、アジア地域においても、まだまだ、自立的に持続可能な開発ができずにいる国々に対する中央政府職員への研修事業は引き続き重要である。今後は研修事業等の対象国につき、優先順位を見直し、さらに、重点分野を特定する等の絞込みを行いつつ、引き続き、福祉医療分野における日本人専門家養成事業とともに途上国の中央政府の機能強化をなお一層支援していくことが重要である。 労働分野においても、未だ社会基盤の脆弱な開発途上国が数多く存在し、これら諸国に対する支援の継続が必要となっている。よって今後は、日本企業が多く進出し、日本の労使団体と関係が深いアジア地域、ASEAN地域への支援を重視し、より我が国が支援のメリットを受けられる観点から事業の絞り込み等を行いつつ、開発途上国の健全な労使関係の構築に貢献する人材の確保を支援する事業を引き続き実施していくことが重要である。
|
4.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 本研修事業の実施に当たっては、事業ごとに学識経験者等からなる専門委員会を組織して研修事業内容を策定しており、毎年、研修内容を改善してきている。 (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 なし (3)総務省による行政評価・監視等の状況 平成13年7月31日、総務省行政評価局が政策評価ヒアリングを実施。特段の指摘事項やコメントはなし。 (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし (5)会計検査院による指摘 なし |