政策評価の結果

(9−1−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 老後生活の経済的自立の基礎となる所得保障の充実を図ること
I 公的年金制度の安定的かつ適正な運営を図ること
担当部局・課 主管課 年金局年金課
関係課 年金局数理課、運用指導課


1.現状分析

実績目標1 公的年金給付が老後生活に役に立つこと
(評価指標)
モデル年金額 (月額)
H9 H10 H11 H12 H13
230,983円 同左 同左 238,125円 同左
実績目標2 公的年金の財政が安定していること
(評価指標)
積立度合(厚生年金 )
H9 H10 H11 H12 H13
5.4 5.3 5.3 5.2
(評価指標)
積立度合(国民年金 )
H9 H10 H11 H12 H13
2.6 2.8 2.9 3.0
(評価指標)
最終保険料率(厚生年金)
H9 H10 H11 H12 H13
年収の
(@)19.8%
(A)21.6%
(評価指標)
最終保険料(国民年金)
H9 H10 H11 H12 H13
月額
(@)18,500円
(A)25,200円
実績目標3 公的年金積立金について、基本ポートフォリオを適切に管理するとともに、適切な情報開示を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
年度末の各資産の構成割合と移行ポートフォリオの乖離幅
評価欄
参照
ディスクローズの充実(回数)
1回 1回 1回 1回 4回


2.評価

現状分析 「国民生活基礎調査」(2001年)によれば、高齢者世帯(65歳以上のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の所得に占める公的年金等の割合は平均すると6割を超えている。また、「家計調査」(2001年)では、無職の高齢者夫婦世帯においては実収入236,288円中公的年金等社会保障給付の収入は199,305円となっており、無職の高齢者夫婦の世帯の家計は、平均的に見ると厚生年金のモデル年金の水準(238,125円)にほぼ匹敵する社会保障給付を主な収入として営まれている。このように、今日、公的年金制度は高齢期の生活の基本部分を支えるものとして重要な役割を担っている。
 また、平成11年に財政再計算が実施された結果、制度の長期的な安定を図る制度改正が平成12年に行われ、施行されているが、再計算の前提を平成14年1月に発表された新しい将来人口推計に置き換えた場合には、最終的な保険料水準が、高位推計で約0.5割程度、中位推計で約1.5割程度、低位推計で約2.5〜3割程度上昇することが見込まれている状況にある。
施策手段の適正性の評価  公的年金制度は、世代間扶養を基本とする社会保険方式によって運営されているが、このような仕組みは、世界の主要国でもほぼ例外なく採用されており、今日、長期間にわたる経済社会の変動に対応し、広く国民の老後の生活を確実に保障できる合理的な仕組みであると評価している。
 保険料の負担と年金の受給が長期間にわたるため、社会経済の変動に対応して長期的な制度の安定、給付と負担の均衡を確保することが重要であり、これまで、財政再計算を少なくとも5年に1度行うとともに必要な制度改正を行い、年金制度が長期的に安定し老後の所得保障機能を果たし続けることができるよう努めてきたところである。
 急速に少子・高齢化が進行することが見込まれている我が国においては、将来世代の保険料負担が急激に上昇し過度なものとならないようにすることが重要であり、一定の積立金を保有し、その運用収入を給付に充てて将来世代の保険料負担が過度なものとなるのを避けることは合理的である。
 この年金の積立金の運用に関しては、より小さなリスクで効率的に収益を上げることができるよう、長期的に維持すべき資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、それを忠実に達成するという運用方法を採用しており、長期的な観点からの運用の方法としては合理的なものである。
総合的な評価  5年に1度の財政再計算や年金積立金の適切な長期運用により、今日、公的年金制度は、老後生活の経済的自立の基礎となる所得保障として国民生活に不可欠な役割を果たしている。
 しかしながら、急速な少子・高齢化の進行や厳しい経済金融情勢、雇用の流動化、女性のライフスタイルの多様化など、公的年金制度をとりまく環境は大きく変化している。
 このような状況に対応し、平成16年に行う次期年金制度改正に向けて、社会全体での世代間扶養を基本とする社会保険方式に適切な国庫負担を組み合わせる方式の下で、恒久的な改革を目指す方向で、国民に開かれた議論を行って、持続可能な年金制度を構築することが必要である。


(9−1−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 老後生活の経済的自立の基礎となる所得保障の充実を図ること
II 公的年金の上乗せの年金制度(企業年金等)の適正な運営を図ること
担当部局・課 主管課 年金局企業年金国民年金基金課
関係課 年金局運用指導課


1.現状分析

実績目標1 公的年金の上乗せの年金制度が普及していること
(評価指標)
厚生年金基金の設立数  (件)
H9 H10 H11 H12 H13
1,874 1,858 1,835 1,801 1,737
(評価指標)
厚生年金基金の加入員数  (万人)
H9 H10 H11 H12 H13
1,225 1,200 1,169 1,140 1,087
(評価指標)
国民年金基金の設立数  (件)
H9 H10 H11 H12 H13
72 72 72 72 72
(評価指標)
国民年金基金の加入員数  (万人)
H9 H10 H11 H12 H13
72 73 77 76 79
(評価指標)
確定拠出年金(企業型)の実施件数 (件)
H9 H10 H11 H12 H13
70
(評価指標)
確定拠出年金(個人型)の加入者数 (人)
H9 H10 H11 H12 H13
443


2.評価

現状分析  公的年金に上乗せされる年金制度は創設以来順調に拡大を続けてきたが、近年の厳しい経済環境の下、厚生年金基金の基金数及び加入者数は減少傾向にある。
施策手段の適正性の評価  厚生年金基金の基金数等は減少傾向にあり、これは現下の厳しい経済環境によるものであり、税制上の優遇措置の効果が薄れたと認める根拠はない。なお、今後は、新たに導入された確定給付企業年金及び確定拠出年金の導入が進んでいくものと考えられる(下記参照)。
総合的な評価  公的年金に上乗せされる年金制度として、これまでの厚生年金基金、国民年金基金に加え、確定給付企業年金及び確定拠出年金が導入され、事業主や加入者にとっての選択肢が揃ったところである。
 確定給付企業年金は、厚生年金基金と異なり厚生年金の代行を行わない確定給付企業年金であるが、厚生年金基金と同様の受給権の保護のための措置が図られた制度である。また、確定拠出年金は、導入コストが低いために中小企業にも導入しやすい制度であり、かつ、転職の際の年金資産の移換(ポータビリティ)が確保された制度である。このため、今後は、厚生年金基金及び国民年金基金に加え、確定給付企業年金及び確定拠出年金の導入が進んでいくものと考えられる。


(9−3−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 高齢者の健康づくり・生きがいづくりを推進するとともに、生活支援を推進すること
I 高齢者の介護予防と健康づくりを推進すること
担当部局・課 主管課 老健局老人保健課
関係課 老健局計画課


1.現状分析

実績目標1 介護予防事業を推進すること
(評価指標)介護予防事業の実施市町村数(各メニューごと)
H9 H10 H11 H12 H13
  転倒骨折予防教室 534 1,285
アクティビティ・痴呆介護教室(*) 484 690
IADL訓練事業 182 499
地域住民グループ支援事業 280 412
実績目標2 老人保健事業(保健事業第4次計画)を推進すること
(評価指標)個別健康教育の実施延べ人員数(市町村ごと)
H9 H10 H11 H12 H13
13,767
(評価指標)基本健康診査の受診率(%)
H9 H10 H11 H12 H13
(38.9) (39.4) (40.4) 41.2


2.評価

現状分析  介護予防事業は、12年度から実施されているが、その実施市町村数は着実に増加している。
 個別健康教育は、12年度から新たに導入された事業であり、12年度実績では全国的に定着しているとは言いがたいが、16年度までに全市町村実施に向けて推進しているところである。
 老人保健事業は、実施主体が市町村であり、実施方法等については各市町村により異なるが、実績を見ても基本健康診査受診率は、9年度から徐々に伸びていることから、受診率向上のために努力していると考えられる。
施策手段の適正性の評価  介護予防事業はメニュー事業であり、各市町村は一定の限度額の範囲内で自由に各事業を組み立てて実施することが可能であることから、各市町村においては、事業内容の精査を行い、地域の実情に応じて真に必要と考えられる事業を効率的に実施することとなり、地方分権の考え方に沿って事業の適正な運営が図られることとなるものである。
 高齢者の健康づくりのためには、生活習慣病の予防や疾患又はその危険因子の早期発見による生活指導や適切な治療が重要である。疾患又はその危険因子の早期発見による生活指導や適切な治療のためには、基本健康診査が有効であるが、さらに、個別健康教育による管理は、生活習慣病の予防のために有効である。
 また、これを支援するために、保健師等を対象に、指導的役割を果たす者を養成するための個別健康教育指導者養成研修を実施している。
総合的な評価  ゴールドプラン21においては、今後取り組むべき具体的施策として、良質な介護サービス基盤の計画的な整備と併せ、「介護予防・生活支援対策の積極的な取組み」を車の両輪として進めていくことが重要である旨が明記されているところ。その中の一分野であり、上記のように厚生労働省の施策目標にも資するところが大きい介護予防事業について、積極的な取組みを行う市町村に対して、国としても引き続き支援を行っていくことが重要である。
 個別健康教育については、16年度までに全市町村実施に向けて、現在推進しているところであるが、地域住民の自身の健康に対する意識の向上及び健康増進につながるものと考えており、着実に実施していきたい。
 基本健康診査の受診率については、12年度実績では41.2%であるが、保健事業第4次計画の終了年次である16年度までに50%を目標としており、この目標に向けて現在実施しているところである。目標達成に向けて、生活習慣病等の正しい知識の普及及び早期発見、早期治療の重要性等の普及を引き続き実施していくことが重要であると考える。


(9−3−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 高齢者の健康づくり・生きがいづくりを推進するとともに、生活支援を推進すること
II 高齢者の社会参加・生きがいづくりを推進すること
担当部局・課 主管課 老健局振興課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 高齢者の社会参加・生きがいづくりの支援を推進すること
(評価指標)高齢者の生きがいと健康づくり推進事業の実施市町村数
H9 H10 H11 H12 H13
628 798
(評価指標)老人クラブ活動等事業の老人クラブ数(単位:千クラブ)
H9 H10 H11 H12 H13
123 129
(評価指標)老人クラブ活動等事業の老人クラブ加入者数(単位:千人)
H9 H10 H11 H12 H13
8,093 8,462


2.評価

現状分析  地域において、高齢者の様々な社会参加の活動事業が行われているが、さらに参加者を増やし、事業の推進を図っていく必要がある。
施策手段の適正性の評価  施策目標の達成を図るための目安となる評価指標は、12〜13年度において、いずれも大きな伸びを示しており、施策目標を達成するために、現在講じている地域の自主性を尊重しつつ推進していく手段が有効であると考えられる。
総合的な評価  市町村の高齢者の生きがいと健康づくり推進事業、老人クラブの活動は、いずれも着実に実施数が増加しており、施策目標の達成のためには効果的である。
 今後、更に高齢者の健康づくり、生きがいづくりを推進していくためには、引き続きこれらの事業に対する支援を推進していく必要がある。


(9−3−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 高齢者の健康づくり・生きがいづくりを推進するとともに、生活支援を推進すること
III 高齢者の生活支援を推進すること
担当部局・課 主管課 老健局計画課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 高齢者の生活支援事業(配食サービス等)を推進すること
(評価指標)生活支援事業の実施市町村数(各メニューごと)
H9 H10 H11 H12 H13
  配食サービス 2,220 2,393
外出支援サービス 1,468 1,715
寝具類洗濯等サービス 1,264 1,479
軽度生活援助事業 1,997 2,166
住宅改修支援事業 716 561
住宅改修理由書作成の委託助成 2,169 2,410
訪問理美容サービス事業 473 674
高齢者共同生活支援事業 11 13
実績目標2 生活支援のための施設の整備を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
  生活支援ハウスの箇所数 227 243 266 292
ケアハウスの入所定員数 24,479 31,228 38,444 45,272


2.評価

現状分析  生活支援事業は12年度から実施されているが、その実施市町村数は着実に増加している。また、ケアハウスや生活支援ハウスについても、ゴールドプラン21に沿って着実に整備が進められている。
施策手段の適正性の評価  生活支援事業はメニュー事業であり、各市町村は一定の限度額の範囲内で自由に各事業を組み立てて実施することが可能であることから、各市町村においては、事業内容の精査を行い、地域の実情に応じて真に必要と考えられる事業を効率的に実施することとなり、地方分権の考え方に沿って事業の適正な運営が図られることとなるものである。
 また、ケアハウスについて、設置主体を民間企業等に拡大し、PFI法の枠組みを活用した整備を行う一定の場合を新たに国庫補助対象に追加したほか、生活支援ハウスについて、介護老人保健施設に併設、隣接したものについても補助対象とするなど、各地域の実情に応じて効率的に施設整備を促進することが可能となるような体制を構築してきているところである。
総合的な評価  ゴールドプラン21においては、今後取り組むべき具体的施策として、良質な介護サービス基盤の計画的な整備と併せ、「介護予防・生活支援対策の積極的な取組み」を車の両輪として進めていくこと及び「高齢者の生活支援のための施設」の整備が重要である旨が明記されているところである。その中の一分野であり、上記のように厚生労働省の施策目標にも資するところが大きい生活支援事業について、積極的な取組みを行う市町村に対して国としても引き続き支援を行っていくことや、高齢者の生活支援のための施設の整備に対する支援を引き続き行っていくことが重要である。


(9−4−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 介護保険制度の適切な運営等を通じて、介護を必要とする高齢者への支援を図ること
I 介護保険制度の適切な運営を図ること
担当部局・課 主管課 老健局総務課
関係課 老健局介護保険指導室・介護保険課・計画課・振興課・老人保健課


1.現状分析

実績目標1 介護保険の円滑な実施を図ること
(評価指標)認定結果に対する不服審査請求率
(単位:‰(パーミル))
H9 H10 H11 H12 H13
0.09 0.04
(評価指標)介護保険料の収納率
(単位:%)
H9 H10 H11 H12 H13
98.7 98.9
実績目標2 介護サービスの利用の促進など、介護保険制度の定着を図ること
(評価指標)介護サービスの利用者数
(単位:千人)
【上段:1か月平均、下段:備考の期間計】
H9 H10 H11 H12 H13
1,847 2,195
20,313 26,342
(評価指標)介護サービスの給付額
(単位:億円)
【上段:1か月平均、下段:備考の期間計】
H9 H10 H11 H12 H13
2,945 3,404
32,400 40,858


2.評価

現状分析  「介護保険制度の適切な運営等を通じて、介護を必要とする高齢者への支援を図る」という施策目標については、介護サービスの利用が伸びているなど、介護保険制度が国民の間に定着しつつある状況である。
 引き続き、介護保険制度の円滑な実施、及び介護サービスの定着に向けた取組を進めるとともに、あわせて質・量両面にわたる介護サービス基盤の整備を図っていくことが、介護を必要とする高齢者への支援につながるものと考えられる。
施策手段の適正性の評価
(1) 介護保険制度について
 介護を必要とする高齢者への支援については、介護保険制度の円滑な実施、一層の定着を図るとともに、15年度に向け各市町村における介護保険事業計画の見直し及び介護報酬の見直しを進めていくことが重要と考えられる。
(2) 他施策との連携について
 介護保険制度及びその他の高齢者生活支援の推進施策などの連携により、地域において総合的に高齢者の生活を支援していく体制を構築していくことが必要と考えられ、引き続き、各自治体における取組を支援していくことが重要と考えられる。
総合的な評価
(1) 介護保険制度の円滑な実施と一層の定着
 介護保険制度は、介護サービスの利用状況、保険料の収納状況などからも、全体として円滑に実施されており、国民の間に定着しつつあるものと考えられる。
 引き続き、一層の定着を図るため、現場の方々の声に耳を傾けながら、制度の運用面での改善や、介護サービスの基盤整備や質の向上に取り組んでいくことが求められると考えられる。
 また、15年4月に向け、介護保険制度施行後初となる介護保険事業計画、保険料の改定、介護報酬の見直しについて着実に実施していくことが、介護保険制度全体の円滑な実施と一層の定着を図るうえで重要になると考えられる。
(2) 施策及び方向性
@ 自治体における第2期介護保険事業計画の策定と保険料の改定
 各保険者のサービス利用量の見込み、サービス基盤整備や保険料の水準を決める介護保険事業計画(5年計画)は、3年ごとに見直しを行うこととされている。
 現在、15年度に向けて各自治体で第2期介護保険事業計画の策定及び高齢者の保険料改定の作業が進められている。
 この作業に当たっては、わがまちの介護保険をどうしていくのかという視点で、これまでの実績の分析・評価をもとに、地域における目指すべき給付と負担の水準について、住民の参画も得ながら検討していくことが大切であり、自治体の支援に努めていくこととしている。
A 介護報酬の見直し
 厚生労働省では、介護報酬の見直しの検討を進めている。15年4月からの見直しに向け、社会保障審議会・介護給付費分科会での議論を踏まえ、適正な介護報酬の見直しに向けた検討を進めていくこととしている。


(9−4−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 介護保険制度の適切な運営等を通じて、介護を必要とする高齢者への支援を図ること
II 質・量両面にわたり介護サービス基盤の整備を図ること
担当部局・課 主管課 老健局計画課
関係課 老健局振興課


1.現状分析

実績目標1 必要な介護サービス量の確保を図ること
(評価指標)介護サービスの提供量
H9 H10 H11 H12 H13
  訪問看護員(人) 136,661 157,711 176,450
訪問看護ステーション(箇所数) 2,559 3,384 4,470 4,730
通所介護、通所リハビリテーション(箇所数) 9,616 11,458 13,350 12,948
短期入所生活介護、短期入所療養介護(人分) 43,566 49,242 57,085
痴呆性高齢者グループホーム(箇所数) 41 103 266 903 1,676
介護老人福祉施設(人分) 262,961 279,147 296,937 298,912
介護老人保健施設(人分) 180,855 207,595 230,092 233,536
ケアハウス(人分) 29,529 37,492 44,176 48,257
生活支援ハウス(箇所数) 227 243 266 292
(評価指標)指定事業所数
H9 H10 H11 H12 H13
  訪問介護 13,489 14,739
訪問入浴介護 2,817 2,800
訪問看護 58,254 59,438
訪問リハビリテーション 44,875 46,073
通所介護 8,867 9,812
通所リハビリテーション 5,618 5,672
短期入所生活介護 4,832 4,974
短期入所療養介護 6,609 6,632
痴呆対応型生活介護 1,092 1,676
特定施設入所者生活介護 318 400
居宅療養管理指導 133,999 136,560
福祉用具貸与 5,112 5,844
居宅介護支援事業者 22,149 23,114
指定介護老人福祉施設 4,605 4,741
介護老人保健施設 2,753 2,824
指定介護療養型医療施設 3,959 3,965
(評価指標)訪問介護員養成研修の養成者数
H9 H10 H11 H12 H13
89,320 171,239 413,210 352,396
(評価指標)介護支援専門員実務研修の養成者数
H9 H10 H11 H12 H13
91,269 68,081 43,854 32,560
(評価指標)離島等サービス確保対策事業の実施市町村数
H9 H10 H11 H12 H13
88
実績目標2 介護サービスの質の向上を図ること
(評価指標)介護支援専門員現任研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
71,717
(評価指標)介護相談員養成研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
1,400 2,943
実績目標3 痴呆性高齢者支援対策を推進すること
(評価指標)指導者・実務者研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
3,435 9,074
(評価指標)痴呆性高齢者グループホーム(箇所数:再掲)
H9 H10 H11 H12 H13
41 103 266 903 1,676


2.評価

現状分析  ゴールドプラン21に沿って介護基盤整備が進められており、介護サービスの提供量は着実に増加している。
 介護支援専門員、訪問介護員並びに介護相談員の養成(実務)研修、現任研修を継続して実施することで恒常的なマンパワーの確保及び質の向上が図られているが、介護サービスの質を担保していくためには、人材の育成を引き続き進めるとともに地域の関係機関が連携してケアマネジメント体制を構築する必要がある。
 離島等サービス確保対策事業においては、自治体に対するヒアリングや要望書などから、必要な介護サービスが確保されていない現状が見られる。地域の特性に起因する介護ニーズの少なさ、移動に係る船賃等、通常の地域では想定できない障壁があり、介護サービスの質・量を確保するため、継続的な支援が必要である。
 痴呆性高齢者支援対策については、痴呆性高齢者グループホームの整備が急速に進んでいるほか、痴呆介護の指導者の養成も着実に進められている。
施策手段の適正性の評価  老人福祉施設等の設立には多額の費用を要するものであるため、その整備について国庫補助を行うことは、施設設立の際の設置者の負担の軽減を通じて、その施設の整備の推進に寄与するものであり、介護サービスの提供量を確保するための有効な手段となっている。
 介護支援専門員、訪問介護員並びに介護相談員の養成(実務)研修は自治体(都道府県)の自治事務となっている。このことは、介護保険制度の趣旨からして当然のことであるが、これらの事務事業に対して国が助言又は経費補助を行うことで地域の特色を生かしながらも一定の質が担保された研修事業を実施することができるため、施策目標の達成のための有効な手段となり得る。
 離島等サービス確保対策事業においては、離島等地域が抱える問題は、地域によって様々である。そのため、自治体が地域の現状を勘案した実効性のある施策について国庫補助を行うもので、適正な手段と考えられる。
 痴呆性高齢者グループホームは、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、痴呆の進行を穏やかにし、家庭の負担の軽減に資するものである。また、痴呆介護者指導者養成研修及び実務者研修は、痴呆介護技術の向上、痴呆性高齢者に対するサービスの充実を図るものであり、施策目標の達成のための有効な手段となっている。
総合的な評価  介護関連施設の整備については、全国の自治体におけるサービス提供見込みを積み上げて策定したゴールドプラン21に基づき、各自治体の基盤整備に関する取組みについて、国としても必要な支援を行ってきているところであり、上記のように当省の施策目標にも資するところが大きいことから、引き続き支援を行うことが必要である。 介護支援専門員、訪問介護員並びに介護相談員の養成(実務)研修は恒常的なマンパワーの確保及び質の向上に有効であり、質・量両面にわたる介護サービス基盤の整備、介護保険制度の安定的な運営につながっていると評価できる。しかしながら、制度が成熟するにつれて新たに発生する課題や利用者からのニーズに的確に対応していくため、適宜、研修プログラムの改訂や介護サービスに従事する人材を支援していく体制の強化等を進めていく必要がある。
 離島等サービス確保対策事業においては、離島等の過疎地域における介護サービス確保という課題に対して一定の効果があったと考えられるが、引き続き、本事業の趣旨を周知し、より実効性のある事業展開を確保できるよう継続的に支援していく必要がある。
 痴呆対応型グループホームの整備の促進及び痴呆介護指導者養成研修及び実務者研修は、痴呆性高齢者の介護に対し質・量両面において支援していると評価できる。今後、痴呆性高齢者が増加していくと予想されている中で、引き続きこれら施策を推進していく必要がある。


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政策評価の結果