政策評価の結果

(4−1−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働力需給のミスマッチの解消を図るために需給調整機能を強化すること
I 公共職業安定機関における需給調整機能を強化すること
担当部局・課 主管課 職業安定局業務指導課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 セーフティネットとして、きめ細かな職業相談・職業紹介を実施すること
(評価指標)
 紹介件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
4,806,505 6,036,202 6,836,936 6,939,039 8,245,570
(評価指標)
 就職件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
1,583,737 1,667,986 1,762,950 1,868,742 1,902,981
(評価指標)
新規求人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
6,524,512 5,806,286 6,046,487 7,253,463 6,982,478
(評価指標) H9
(3月のみ)
H10 H11 H12 H13
求人開拓数(人) 67,353 1,137,532 1,380,499 1,905,237 2,142,492
新規求人数に占める割合(%) 10.9% 19.6% 22.8% 26.3% 30.7%
実績目標2 求人情報、労働市場情報等の提供を図ること
(評価指標)
 ハローワークインターネットサービスのアクセス件数
H9 H10 H11 H12 H13
1,235,079 4,716,731 12,818,288
実績目標3 求人年齢制限の緩和を図ること
(評価指標) 年齢階層別求人数 H9 H10 H11 H12 H13
年齢計 6,030,045 5,325,097 5,539,316 6,670,865 6,419,111
44歳以下 4,895,763 4,290,360 4,469,694 5,421,832 5,005,959
45〜54歳 742,031 677,374 705,913 827,693 850,967
55歳以上 392,251 357,363 363,709 421,340 562,185
実績目標4 適切な職業訓練受講指示を行うこと
(評価指標)
 職業訓練受講指示件数
H9 H10 H11 H12 H13
44,516 57,262 113,399 172,642 218,341


2.評価

現状分析  昨年度から、失業率が過去最高記録を示すなど、厳しい雇用失業情勢が続いており、また、今後不良債権処理によりさらに離転職を余儀なくされる者が増加するものと考えられている。
施策手段の適正性の評価  現状分析のとおり、社会経済情勢が厳しいにもかかわらず、公共職業安定機関による求人開拓による求人の確保、求人年齢制限の緩和、求人情報等の提供、職業訓練の受講指示、職業紹介等の施策における各指標は上昇しており、また、それぞれの施策が連携を図りつつ着実に行われた結果、就職件数も伸びをみせている。
 それに加え、新たにカウンセリング機能を強化している点についても、利用者から評価されていることから、施策として適正である。
総合的な評価  昨年度実施された各施策については、上記評価のとおり、良好に機能していると考えられる。ただし、昨年度後半に実施された各施策については、施策が定着しているとは言い難いことから、今年度の実施結果を踏まえて次年度以降に評価検証を行うこととする。


(4−1−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働力需給のミスマッチの解消を図るために需給調整機能を強化すること
III 官民の連携により労働力需給調整機能を強化すること
担当部局・課 主管課 職業安定局民間需給調整課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 しごと情報ネットにより求人情報へのアクセスの円滑化を図ること
(評価指標)
 しごと情報ネット参加機関数
H9 H10 H11 H12 H13
3,439
(評価指標)
H9 H10 H11 H12 H13
 しごと情報ネットアクセス件数
【PC版】
35.0
 しごと情報ネットアクセス件数
【携帯版】
33.5


2.評価

現状分析  産業・職業構造の変化、労働力人口の高齢化等に伴い、求人・求職のミスマッチによるいわゆる構造的、摩擦的失業は、中長期的に増加するおそれがあり、労働市場における労働力需給調整機能を官民の連携により今以上に高めていくことが喫緊の課題となっている。
施策手段の適正性の評価  近年のインターネットや携帯電話の普及状況にかんがみると、求人情報へのアクセス手法としてこうした手法を提供することは、求人情報へのアクセスの円滑化を図る上で非常に効果的であり、労働力需給調整機能の強化に資するものである。
総合的な評価  しごと情報ネットは、豊富な求人情報へ多数の求職者が容易にアクセスすることを可能とすることを通じて求人情報へのアクセスの円滑化を図っており、労働力需給調整機能を強化し、労働力需給のミスマッチの解消を図る上で相当の役割を果たしている。
 今後は、労働市場における労働力需給調整機能を官民の連携により今以上に高めていくため、さらなる求人情報へのアクセスの円滑化を図ること、アクセスが可能となる情報の範囲を拡充することが必要と考えられる。


(4−2−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
I 中小企業、新規・成長分野企業等における雇用機会を創出するとともに労働力の確保を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局産業雇用構造調整室
関係課 職業安定局民間需給調整課


1.現状分析

実績目標1 中小企業労働力確保法に基づく各種助成措置の積極的な活用により、中小企業における雇用機会の創出、雇用管理の改善を図ること
(評価指標)
中小企業雇用創出人材確保助成金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
9,159 89,772 136,670
(評価指標)
 中小企業雇用創出人材確保助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
7,119 73,190 98,176
(評価指標)
 中小企業雇用創出雇用管理助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
0 327 2,517 2,641
(評価指標)
 中小企業雇用創出雇用管理助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
0 125 915 919
(評価指標)
 受給資格者創業特別助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
101 1,073 1,301
(評価指標)
 受給資格者創業特別助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
53 537 647
(評価指標)
 中小企業雇用創出等能力開発給付金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
21,855 33,229 41,768 35,934 25,434
(評価指標)
 中小企業雇用創出等能力開発給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
686 1,049 1,314 1,251 1,055
(評価指標)
 中小企業雇用環境整備奨励金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
301 323 379 363 330
(評価指標)
 中小企業雇用環境整備奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
1,264 1,458 1,363 1,287 1,255
(評価指標)
 中小企業高度人材確保助成金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
504 678 1,222 1,108 860
(評価指標)
 中小企業高度人材確保助成金支給決定 金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
467 613 1,429 1,355 942
(評価指標)
 中小企業人材確保推進事業助成金支給決定団体数(団体)
H9 H10 H11 H12 H13
448 444 474 482 475
(評価指標)
 中小企業人材確保推進事業助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
2,012 2,116 2,077 2,048 1,971
実績目標2 新規・成長分野雇用創出特別奨励金の積極的な活用により、新規・成長分野企業等における雇用機会の創出を図ること
(評価指標)
 新規・成長分野雇用創出特別奨励金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
1,114 20,295 47,900
(評価指標)
 新規・成長分野雇用創出特別奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
693 13,661 29,244
実績目標3 介護労働者法に基づく助成措置等により、雇用管理の改善等を図ること
(評価指標)
 介護人材確保助成金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
7,752 7,205
(評価指標)
 介護人材確保助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
4,627 8,304
(評価指標)
 介護雇用管理助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
98 371
(評価指標)
 介護雇用管理助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
22 89
(評価指標)
 介護雇用環境整備奨励金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
10 47
(評価指標)
 介護雇用環境整備奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
12 102
(評価指標)
 介護能力開発給付金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
94 243
(評価指標)
介護能力開発給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
15 49
(評価指標)
 介護労働者福祉助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
963 942 900 839 844
(評価指標)
介護労働者福祉助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
85 84 79 74 72
(評価指標)
 介護労働環境改善事業助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
7 8 13 14 15
(評価指標)
介護労働環境改善事業助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
27 37 57 65 72


2.評価

現状分析
(1)総務省「事業所・企業統計調査」(平成8〜11年)によれば、廃業率(5.6%)が開業率(3.5%)を上回っており、また、厚生労働省「雇用保険事業年報」によれば、バブル崩壊以降、開業率は低下傾向にあった。こうした中、平成11年の中小企業政策審議会の答申(「21世紀に向けた新たな中小企業政策の在り方」)において、「意欲ある中小企業者の成長、経営の革新へ向けての取組や創業への自助努力を積極的に支援していく必要がある。」とするともに、中小企業を「魅力ある就業機会創出の担い手」と位置づけており、このような中小企業の活力を活かした雇用機会の創出が、我が国の重要な課題となっている。

(2)代表的な新規・成長分野である「情報サービス」、「医療・社会福祉・教育サービス」に係る新規求人数(常用)をみると、これらの分野の求人数は全産業と比較して伸び率がおおむね高く、今後も引き続き雇用の拡大が期待できることから、これら成長分野への就職の促進を図っていく必要がある。

(参考)代表的な新規・成長分野における新規求人数(常用)
  H10年度 H11年度 H12年度 H13年度
情報サービス 409,654 446,401 636,363 632,236
(-5.17%) (8.97%) (42.55%) (-0.65%)
医療・社会福祉・教育 295,733 312,861 360,116 399,455
サービス (1.64%) (5.79%) (15.10%) (10.92%)
全産業 3,768,909 3,825,859 4,546,420 4,288,511
(-15.41%) (1.51%) (18.83%) (-5.67%)
※( )内は、対前年度伸び率
 資料出所:「職業安定業務統計」

(3)介護分野は、我が国における急速な高齢化の進展や介護保険制度の施行を背景として、今後も労働需要の拡大が見込まれる分野である。
(単位:万人)
  平成12年度 平成16年度
要介護・要支援高齢者 270 310
介護分野労働需要見込み 47 80
(資料出所)厚生省推計(ゴールドプラン21による)
施策手段の適正性の評価
(1)創業等に係る雇用機会の創出については、それまで低下傾向にあった開業率が、平成11年度から上昇に転じている中で(厚生労働省「雇用保険事業年報」)、助成金の実績もあがっていることから、創業等に係る雇入れ支援という手段は有効と考えられる。また、雇用管理改善については、個別の中小企業事業主が取り組むことが困難な面があると考えられる一方、団体の取組については高い実績をあげていることから、特に団体の雇用管理改善に対する取組を支援する手段は有効である。
(2)新規・成長分野雇用創出特別奨励金については、新規求人数の伸び率の高い医療・福祉、情報通信等の分野を中心に実績が上がっており、これら新規・成長分野の事業主の前倒し雇用の意欲を促進し、就職の緊要度の高い中高年の非自発的離職者等を早期就職に結びつけることに有効であると考えられる。
(3)雇用管理の改善等に取り組もうとする意思を有する介護関連事業主に対して、必要な経費の一部を助成すること、福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して事務費を助成すること及び介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して助成することについては、雇用管理の改善等に有効であり、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出及び労働力の確保に資するものである。
 また、介護サービスインストラクターを介護労働安定センターの支部に配置するための介護労働者雇用管理改善等援助事業については、介護労働者の雇用管理の改善等を図るための手段として、雇用管理の改善や介護事業等に関する専門的な知識を有する者が個別に相談や調査を行うことにより介護事業者を支援することが有効である。
 さらに、介護労働者受給サービス事業については、民営職業紹介所団体と企業等との介護クーポン制度に関する提携を促進することにより、在宅介護分野における受給システムの確立が図られ、より容易に介護サービスを受けることが可能になることから、手段として適正である。
総合的な評価
(1)創業等に係る雇用機会の創出に対する支援についてみると、それまで低下傾向にあった開業率が、平成11年度から上昇に転じている中で(厚生労働省「雇用保険事業年報」)、助成金の実績も上がっていることから、中小企業雇用創出人材確保助成金は、雇用機会の創出に寄与していると考えられるが、雇用管理改善に対する支援については、団体の取組は高い実績をあげている一方で、中小企業事業主の雇用管理改善の取組に係る実績は必ずしも高くない。
 このため、雇用保険財政が逼迫する中で、雇用保険三事業関係助成金について不断に見直しを行うとされていること等から、状況に応じて、助成内容及び支給業務の見直しを検討していく必要がある。
(2)新規・成長分野雇用創出特別奨励金については、雇用失業情勢に的確に対応し、必要な見直しを行い、その実績は順調に推移しており、新規・成長分野における雇用機会の創出に寄与していると考えられることから、今後も本奨励金の活用を通して、新規・成長分野における積極的な雇用機会の創出に努める。
(3)雇用管理の改善等に取り組もうとする意思を有する介護関連事業主に対して、必要な経費の一部を助成すること、福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して事務費を助成すること及び介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して助成すること等は雇用管理の改善等に有効であることから、良好な雇用機会を創出し雇用の安定を図るという施策目標に対し有効に機能していると考えられる。


(4−2−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 2 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
II 地域の実情に即した雇用機会の創出等を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課
関係課 職業能力開発局育成支援課


1.現状分析

実績目標1 雇用機会が不足している地域の雇用開発を促進すること
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定人数
( )は旧制度(地域雇用開発助成金)のもの
H9 H10 H11 H12 H13

(7,406)

(3,364)

(2,736)

(4,107)

(4,054)
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定金額
( )は旧制度(地域雇用開発助成金)のもの
H9 H10 H11 H12 H13

(8,131)

(3,883)

(3,220)

(4,880)
1
(6,148)
実績目標2 能力のミスマッチが発生している地域の雇用開発を促進すること
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給決定件数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
実績目標3 地域求職者に関する情報が適切に提供されていない地域の雇用開発を促進すること
(評価指標)
地域求職活動援助事業に係る企業合同説明会等の実施回数
H9 H10 H11 H12 H13
41
(評価指標)
地域求職活動援助事業に係る企業合同説明会等の参加者数
H9 H10 H11 H12 H13
15,293
実績目標4 高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域の雇用開発を促進すること
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定人数
 ( )は旧制度(地域高度技能人材開発助成金)のもの
H9 H10 H11 H12 H13

(−)

(19)

(90)

(57)

(57)
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定金額
 ( )は旧制度(地域高度技能活用雇用環境整備奨励金)のもの
H9 H10 H11 H12 H13

(8)

(120)

(234)

(193)
1
(152)
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給決定件数(人)
 ( )は旧制度(地域人材高度化能力開発給付金)のもの
H9 H10 H11 H12 H13

(45,313)

(140,740)

(175,143)

(80,213)

(55,499)
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給金額
 ( )は旧制度(地域人材高度化能力開発給付金)のもの
H9 H10 H11 H12 H13

(931)

(3,569)

(4,614)

(1,985)

(1,384)
実績目標5 緊急地域雇用創出特別交付金を活用して、各地域のニーズを踏まえた事業を実施し、公的部門における緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図ること
(評価指標)
緊急地域雇用創出特別交付金事業費
H9 H10 H11 H12 H13
8,900
(評価指標)
新規雇用・就業者数
H9 H10 H11 H12 H13
23,000


2.評価

現状分析  現在、地域ごとの雇用情勢には大きな格差があり、完全失業率(平成14年4月〜6月)を地域ブロックごとに見ると、北陸(3.9%)、中国(4.3%)、東海(4.4%)などが比較的低水準であるのに対し、近畿(6.8%)、東北(6.4%)、九州(6.3%)などは6%を超えて高水準となっている。
 このように地域により状況は異なり、地域の特性に応じた雇用機会の創出を図るためには、地方自治体の産業政策、地域振興策と連携した雇用対策の推進が必要となっている。
 また、地域雇用開発促進法に基づく各地域については、平成14年3月末現在で雇用機会増大促進地域が3府県4地域、能力開発就職促進地域が3県4地域、求職活動援助地域が17府県22地域、高度技能活用雇用安定地域が27都府県25地域となっており、各地域の実情に応じた施策が実施されている。
施策手段の適正性の評価  地域の実情に即した雇用機会の創出には、地域の特性に応じた支援が必要であり、地域雇用開発促進法(平成13年10月施行)においては、各地域の実情に応じて類型化し、事業所の設置・整備に伴う雇入れ助成(地域雇用開発促進助成金)、教育訓練等に対する助成(地域人材高度化能力開発助成金)、求職者に対する情報提供等(地域求職活動援助事業)の支援を行っている。また、地域ニーズに応じた臨時・応急的な雇用機会の創出を図るため緊急雇用創出特別交付金を各都道府県に交付している。
 地域雇用開発促進助成金については、創設された当初であり、実績が出ていないために評価は困難であるが、雇用機会が不足している地域においては、計画による雇用予定数が4,821人となっており、今後効果があるものと考えられる。
 ただし、高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域においては、雇入れ予定数は49人となっており、現時点では必ずしも高い効果が見込まれる状況ではないものと考えられる。
 地域人材高度化能力開発助成金については、支給実績が出ていないため、評価は困難であるが、今後効果があるものと考えられる。
 地域求職活動援助事業については、合同説明会に15,000人を超える参加があり、当該地域内の求職者の就職活動の改善に効果があったと考えられる。
 また、緊急地域雇用創出特別交付金については、地方公共団体が外部委託を中心に、地域ニーズに応じ、緊急かつ応急の雇用創出を行う事業を企画・実施しており、平成13年度には約23,000人の新規雇用創出が図られており、地域における雇用創出に一定の効果があったものと考えられる。
総合的な評価  雇用機会が不足している地域においては、地域雇用開発促進助成金の活用により、今後、効果が現れるものと考えられる。ただし、高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域における同助成金については、必ずしも高い効果が見込まれる状況にないため、雇用機会の創出への支援という政策目的の達成が真に図られているか検証し、在り方について検討していく必要がある。地域人材高度化能力開発助成金については、支給実績が出ていない段階であり、今後効果があるものと考えられるが、実績により見直しの検討も考えられる。
 地域求職者に関する情報が適切に提供されていない地域で実施されている地域求職活動援助事業については、地域の求職活動を円滑にする効果があったと考えられ、今後は都道府県との連携をより強め、地域の産業政策や地域振興策とあいまった事業を実施していく必要がある。
 また、緊急地域雇用創出特別交付金については、平成16年度末までの措置として、地域における臨時的かつ緊急の雇用創出が図られているところである。
 以上より、実績が未確定のため評価が困難な部分および実績によっては見直しの検討が考えられる部分もあるが、全体としては地域の雇用開発に効果があったといえる。


(4−2−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
III 事業活動の縮小を余儀なくされた企業における雇用の維持・安定を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 失業者の発生を予防すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
雇用調整助成金の対象者数 休業 352 1,164 2,405 991 451
(新)220
(旧)231
教育訓練 29 85 316 261 44
(新)11
(旧)33
出向 11,409 4,032 3,583 5,752 3,242
(新)0
(旧)3,242
(評価指標)
雇用調整助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
15,168 28,693 56,426 24,059 11,549


2.評価

現状分析  労働力調査(総務省統計局)によれば平成13年度平均の雇用失業情勢は、完全失業率が5.2%(前年度4.7%)と高い位置で推移し、完全失業者数は同年度平均348万人と、前年度から29万人増加し、3年連続300万人を超えた。このような状況下で職業安定業務統計(厚生労働省職業安定局)による平成13年度平均の有効求人倍率は0.56倍(前年度0.62倍)と低水準で推移しており、一度失業した場合の再就職が非常に困難であることがうかがえる。また労働経済動向調査によれば平成14年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は調査産業計31%となり、事業活動の急激な縮小を余儀なくされた事業主がその雇用する労働者を解雇することなく雇用調整により対処しようとする際に助成が必要な現状である。
施策手段の適正性の評価  雇用失業情勢は依然として厳しい中、平成13年度は約451千人の被保険者が対象となり、実施された約130万人日の休業に対して助成金が支給され、雇用維持のために雇用調整助成金が活用されていると言える。また、平成13年10月の制度改正により、業種にかかわりなく本助成金を活用できることとし、併せて産業構造の転換の妨げとならないよう支給期間を短縮するなど景気変動に伴う一時的な雇用調整が必要な事業主に対して支援するよう見直したところである。
総合的な評価  現下の厳しい雇用失業情勢の下、平成13年10月の制度改正による効果は大きく、雇用の維持に対して本助成金の果たす役割は大きいと言える。今後も制度改正の趣旨の周知徹底を図ることが必要である。


(4−2−IV−@)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
IV 円滑な労働移動を促進すること
@ 労働移動を余儀なくされた労働者の円滑な労働移動を促進すること
担当部局・課 主管課 職業安定局業務指導課
関係課 職業安定局産業雇用構造調整室


1.現状分析

実績目標1 在職中からの計画的な再就職支援を行うことにより、できるかぎり失業を経ない労働移動の促進を図ること
(評価指標)
 再就職援助計画作成状況(認定事業所数)
H9 H10 H11 H12 H13
2,336
(評価指標)
 再就職援助計画作成状況(対象労働者数)
H9 H10 H11 H12 H13
129,026
実績目標2 労働移動支援助成金の積極的な活用により、計画的な労働移動の促進を図ること
(評価指標)
 求職活動等支援給付金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
2,390
(評価指標)
 求職活動等支援給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
127
(評価指標)
 再就職支援給付金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
2
(評価指標)
 再就職支援給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
0.3
(評価指標)
 定着講習支援給付金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
(評価指標)
 定着講習支援給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
(評価指標)
 労働移動支援体制整備奨励金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
(評価指標)
 労働移動支援体制整備奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13


2.評価

現状分析  最近の労働移動の状況を見ると、平成11年以降、完全失業率が傾向的に上昇している状況下にあっても、入職率、離職率とも増加傾向にあり、労働移動は増加している(延べ労働移動率:平成11年、29.1%、平成12年、30.6%、平成13年、32.0%「雇用動向調査」)。
 また、雇用政策研究会報告「雇用政策の課題と当面の展開」によると、「今後、産業構造がサービス化する中で、産業間移動を主体として労働移動が増加する結果、これまで従事してきた産業から、新たな産業へ転職する者が増加する」とされており、円滑な労働移動が行われることを通じて、労働市場全体で雇用の安定を図ることが一層重要となっている。
施策手段の適正性の評価  求職活動等支援給付金は、制度創設後、月を追うごとに支給人数が増加している。
 なお、制度創設時は、再就職援助計画の認定主体(国)と労働援助支援助成金の支給主体(雇用・能力開発機構)が異なっていたため、両者間の連携不足という問題が見られた。
総合的な評価  平成13年10月の創設から間もない制度であることから、十分なデータに基づく評価は難しいが、再就職援助計画制度及び労働移動支援助成金は、離職を余儀なくされた労働者の円滑な労働移動の促進に一定の役割を果たしたと考えられる。
 今後は、制度の周知はもとより、再就職援助計画の認定の際の事業主が実施する再就職援助措置の実施に関する公共職業安定所の指導・援助の徹底、再就職援助計画の認定主体と労働移動支援助成金の支給主体の一体化による連携の強化等により、制度の積極的な活用を図る措置が必要である。


(4−2−IV−A)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
IV 円滑な労働移動を促進すること
A 労働者が自発的に労働移動を行う際に環境を整備すること
担当部局・課 主管課 職業安定局業務指導課
関係課 職業安定局民間需給調整課


1.現状分析

実績目標1 求人情報、労働市場情報等の提供を図ること
(評価指標)
 ハローワーク・インターネット・サービスのアクセス件数
H9 H10 H11 H12 H13
1,235,079 4,716,731 12,818,288
実績目標2 しごと情報ネットにより求人情報へのアクセスの円滑化を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
・しごと情報ネット参加機関数 3,439
・求人情報件数 約47万件
・しごと情報ネットアクセス件数
【PC版】
35.0
・しごと情報ネットアクセス件数
【携帯版】
33.5


2.評価

現状分析  産業・職業構造の変化、労働力人口の高齢化等に伴い、求人・求職のミスマッチによるいわゆる構造的、摩擦的失業は、中長期的に増加するおそれがある。

〈参考〉
  H9 H10 H11 H12 H13
完全失業率 3.4% 4.1% 4.7% 4.7% 5.0%
  うち需要不足
 失業
0.5% 0.9% 1.3% 1.0% 1.1%
うち構造的・
 摩擦的失業
2.9% 3.2% 3.4% 3.7% 3.9%

施策手段の適正性の評価  このような状況において、労働者の自発的な労働移動を円滑に行うためには、適切な求人情報等が提供されることが必要であるため、インターネット等により広く求人情報等の提供を行っているところであり、そのアクセス件数も増加しているところである。
 求職者が、自身の希望に合致した求人情報等にインターネット等により容易にアクセスできる環境を整備することは、円滑な労働移動の促進に資するものであり、手段として適正である。
総合的な評価  ハローワーク・インターネット・サービス及びしごと情報ネットの整備などにより、求職者が求人情報等へ容易にアクセスできるようにすることは、円滑な労働移動の促進に資するものであり、そのアクセス件数の増加をみても良好に機能していると考えられる。
 現在、求人企業名等については各公共職業安定機関において個別に提供しているが、インターネット上で提供していないことを考えれば、求職者が入手できる情報が不足していると考えられる。


(4−2−V)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
V 産業の特性に応じた雇用の安定を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課建設・港湾対策室
関係課 職業安定局雇用開発課農山村雇用対策室


1.現状分析

実績目標1 建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づき、その雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図ること
(評価指標)
 雇用管理研修等受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
11,420 13,193 11,181 9,242 8,104
(評価指標)
 建設雇用改善助成金の支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
53,742 54,854 58,570 58,757 55,021
(評価指標)
建設雇用改善助成金の支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
7,375,230 6,655,206 6,327,374 6,079,652 5,309,446
実績目標2 港湾労働者の雇用の改善等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図ること
(評価指標)
 派遣元責任者研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
1,046 192
(評価指標)
 雇用管理者研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
496 606 688 1,044 501
(評価指標)
 常用港湾労働者の就労割合
H9 H10 H11 H12 H13
98.6 98.8 98.6 98.0 98.0
実績目標3 林業事業体の事業主等に雇用管理改善の必要性と知識を普及することにより、雇用管理改善を推進し、林業労働者の労働力確保を図ること
(評価指標)
 雇用管理改善セミナーの開催状況
H9 H10 H11 H12 H13
116
(評価指標)
 農林漁業労働者の充足率
H9 H10 H11 H12 H13
28.4 34.4 37.6 35.2 41.7


2.評価

現状分析
(1) 建設労働者関係については、厳しい経済情勢のため、工事受注が減少するなど難しい経営が迫られており、雇用の改善等が進みにくい環境にある。
(2) 港湾労働者関係については、昨今の厳しい経済情勢の中で、労働者を常用労働者から、より安価な日雇労働者への切り替えが行われることが危惧されている。
(3) 林業労働者関係については、新規就業者数は増加の傾向にあるものの、平成12年国勢調査の結果では林業就業者数は6万8千人とさらに減少している。うち50歳以上が68%と、平成7年より下がったものの、高齢者が多数を占めている。
 世代交代が必要であるが、木材価格の低迷等から事業量が少なく林業事業体の経営が厳しいことから、求人が増加する一方で、定着して林業の将来を担いうる若年者でその求人を充足することが難しいというミスマッチがみられている。
施策手段の適正性の評価
(1) 建設労働者関係については、雇用管理研修等受講者数は前年に比べて減少しているものの、雇用管理研修は、雇用管理責任者に対し雇用管理を行うために必要な知識を習得させようとするものであり、研修で習得された知識は雇用管理責任者を通じて事業場に直接反映されるなどその効果は高く、かかる研修を受講させることは、雇用の改善等を図る上で必要不可欠である。また、最近では建設雇用改善助成金支給決定件数等が多少増減しているものの、助成金の活用は、事業主の雇用の改善等の取組みを支援していくために必要不可欠である。
(2) 港湾労働者関係については、雇用の改善等や適切な港湾労働者派遣事業の運営等を行うには、それらを担う雇用管理者や派遣元責任者の適正かつ効果的な育成が必要不可欠であり、その結果、13年度の常用港湾労働者の就労割合は98.0%という高い水準を維持している。
(3) 林業労働者関係については、林業の実情に詳しい林業関係団体が地域の実情に応じて雇用改善に有効な事業に取り組むことにより効率的な事業の推進が確実なものとなった。
総合的な評価
(1) 建設労働者関係については、雇用管理研修等受講者数や建設雇用改善助成金支給決定件数等は、最近ではやや減少傾向にあるものの、厳しい経済情勢下において、雇用管理研修及び助成金が建設労働者の雇用の改善等に対して果たした役割は大きいものであり、建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進が図られるものになっている。
(2) 港湾労働者関係については、雇用管理者による港湾労働者の雇用の改善等及び派遣元責任者による港湾労働者派遣事業の適切な運営により、港湾運送に良質な労働力を確保できた結果、13年度の常用港湾労働者の就労割合は98.0%という高い水準を維持しており、港湾労働者の福祉の増進が図られるものになっている。
(3) 林業労働者関係については、平成13年度の農林漁業の充足率は41.7%と高く、また、上昇しており効果的であった。


(4−3−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
I 高齢者の雇用就業を促進すること
担当部局・課 主管課 職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課
関係課 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課


1.現状分析

実績目標1 事業主に対する指導・援助を推進することにより、65歳までの雇用の確保を促進すること
(評価指標)65歳までの継続雇用制度を有する企業の割合(従業員30人以上規模企業) H9 H10 H11 H12 H13
54.3% 56.0% 59.4% 59.2% 60.9%
(評価指標)65歳までの雇用を確保する企業割合(従業員30人以上規模企業) H9 H10 H11 H12 H13
25.1% 26.3% 28.6% 25.8% 28.0%
(評価指標)指導・援助の実施件数 H9 H10 H11 H12 H13
14,197 19,142 24,077
(評価指標)継続雇用定着促進助成金支給決定件数 H9 H10 H11 H12 H13
4,542 7,323 5,802 8,872 15,509
(評価指標)継続雇用定着促進助成金支給決定金額(百万円単位) H9 H10 H11 H12 H13
5,601 9,113 7,307 11,280 16,318
実績目標2 中高年齢者の再就職の促進を図ること
(評価指標)再就職援助計画書交付者数 H9 H10 H11 H12 H13
- 21,664
(評価指標)要請に基づく再就職援助計画書交付者数 H9 H10 H11 H12 H13
17,257 56,512
実績目標3 高年齢者の意欲・能力に応じた多様な社会参加の促進を図ること
(評価指標)シルバー人材センター会員の就業延人数(千人日) H9 H10 H11 H12 H13
37,907 41,415 45,689 51,311 54,865
(評価指標)高年齢者職業経験活用センターによる派遣延人数 H9 H10 H11 H12 H13
136 190 293 240 322


2.評価

現状分析  ここ数年、景気低迷の影響を受けて、雇用失業情勢は全体として厳しい中で、中高年齢者を対象とした早期退職勧奨等により中高年齢者は特に厳しい状況に直面しており、また、65歳までの雇用確保措置の普及が急速に進みにくい状況にある。
 こうした状況下ではあるが、65歳までの雇用に向けた事業主の認識・具体的な取組は進んでおり、中高年齢者の早期再就職に向けた諸制度も定着しつつある。さらに、団塊の世代が60歳台を迎える前に、シルバー人材センター等を通じた多様な社会参加の形態の普及が着実に進んでいる。
施策手段の適正性の評価  高齢者の雇用就業を促進するため実施している上記の3つの実績目標の体系に沿った諸施策は適正に機能している。
 ただし、全体の雇用失業対策の中で中高年齢者の再就職の促進を目標とした諸施策(各種助成金、再就職援助計画等)が一般対策と重なる部分が多い。また、高年齢者の多様な社会参加の形態の一つである裁量的な雇用(短期的派遣)については、派遣法の改正により、高齢者派遣の特例措置が解除されたため、高年齢者職業経験活用センターの優位性が低下し、政策効果が限定的なものに止まっている。
総合的な評価  厚生年金の支給開始年齢の段階的な引上げ、高齢化の更なる進展等を受けて、高齢者の雇用就業を促進していくことは一層重要になっている。
 現在の高齢者を取り巻く厳しい雇用失業情勢等に鑑みると、現在の3つの実績目標の体系の下に、諸施策を実施していくことが有効であると考える。
 ただし、中高年齢者の再就職の促進を目標とした諸施策(各種助成金、再就職援助計画等)が一般対策と重なる部分が多いので、今後、実績等を踏まえて、一層効果的なものとなるよう整理・合理化を検討していく必要がある。
 また、裁量的な雇用(短期的な雇用)の推進策についても、見直しを検討していく必要がある。
 中長期的には、年齢にかかわりなく働くことができる社会の実現に向けて、諸施策を重点化・強化していくことが重要である。


(4−3−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
II 障害者の雇用を促進すること
担当部局・課 主管課 職業安定局高齢・障害者対策部障害者雇用対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 障害者に対するきめ細かな相談、職業紹介等を実施することを通じて障害者の就職の促進を図ること
(評価指標)
新規求職申込件数
H9 H10 H11 H12 H13
77,025 78,489 76,432 77,612 83,557
(評価指標)
有効求職者数
H9 H10 H11 H12 H13
102,715 115,848 126,254 131,957 143,777
(評価指標)
就職件数
H9 H10 H11 H12 H13
28,325 25,653 26,446 28,361 27,072
実績目標2 障害者雇用率制度の厳正な運用を通じて障害者の雇い入れの促進等を図ること
(評価指標)
実雇用率
H9 H10 H11 H12 H13
1.47% 1.48% 1.49% 1.49% 1.49%
実雇用率(法定雇用率の適用される一般民間企業、特殊法人、国、地方公共団体の機関において、実際に雇用されている障害者の常用労働者または職員数に対する割合のこと。知的障害も身体障害者と同様にカウントされ、重度身体障害者又は重度知的障害者は、1人を2人に相当する者としてカウントされる。各年6月1日現在。)
(評価指標)
法定雇用率未達成企業割合
H9 H10 H11 H12 H13
49.8% 49.9% 55.3% 55.7% 56.3%
(評価指標)
雇入れ計画作成命令件数
H9 H10 H11 H12 H13
227 217 142 117 159
(評価指標)
適正実施勧告件数
H9 H10 H11 H12 H13
9 10 29 30 26
(評価指標)
就職件数
H9 H10 H11 H12 H13
28,325 25,653 26,446 28,361 27,072
実績目標3 障害者雇用に係る事業主支援・援助の実施を通じて障害者の働く場の整備を図ること
(評価指標)
調整金支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
3,594 3,819 2,483 2,146 2,196
(評価指標)
調整金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
5,764 6,207 3,514 3,177 3,335
(評価指標)
報奨金支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
3,881 3,776 3,206 2,535 2,373
(評価指標)
報奨金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
5,995 5,836 4,863 4,476 4,367
(評価指標)
障害者雇用機会創出事業における奨励金の支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
2,181
(評価指標)
障害者雇用機会創出事業における奨励金の支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
344


2.評価

現状分析  障害者の雇用については、厳しさを増している雇用情勢の下、求職者数が過去最高を記録するなど厳しい状況にある。その結果、平成13年度の就職件数は、わずかながらも前年度より減少している。さらに、このような状況に対応し、障害者の職場を拡大し、雇用の分野のノーマライゼーションの実現を図るとともに、保険福祉施策との連携による総合的支援の充実を図るため、「障害者の雇用の促進等に関する法律を改正する法律案」を平成14年4月に改正したところである。
施策手段の適正性の評価  雇用失業情勢が厳しい中、各指標はおおむね現状の水準を保っており、昨年度から実施された雇用機会創出事業がめざましい実績を上げるなど、障害者の雇用の促進を図るための適正な手段であると考える。
総合的な評価  昨年度に実施された施策については、厳しい雇用失業情勢が続く中で、劇的な効果はないものの、着実に実績を残していると認識しており、障害者の雇用の促進に大きく寄与しているものと考える。


(4−3−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
III 若年者の雇用を促進すること
担当部局・課 主管課 職業安定局業務指導課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 新卒者に対する就職支援を実施し、その円滑な就職を図ること
(評価指標)
学生職業センター利用者数
H9 H10 H11 H12 H13
173,385 207,950 299,569 370,024 395,022
(評価指標)
高校新卒者就職率
H9 H10 H11 H12 H13
98.2 96.8 95.6 95.9 94.8
実績目標2 若年者の職業意識啓発を図ること
(評価指標)
セミナー等参加者数(大学等)
H9 H10 H11 H12 H13
10,171 15,770 14,176
(評価指標)
インターンシップ参加者数(大学等)
H9 H10 H11 H12 H13
1,347 1,601 2,316
(評価指標)
職業講話等参加者数(高校)
H9 H10 H11 H12 H13
121,704 187,731
(評価指標)
ジュニアインターンシップ参加者数(高校)
H9 H10 H11 H12 H13
2,923 21,569 40,924


2.評価

現状分析  経済状況が低迷する中、大卒者については、依然厳しい状況が続いているものの、前年をわずかに上回る就職率(92.1%、対前年差+0.2%ポイント)となった。一方、高卒者の就職状況については、企業が採用を手控え、採用する企業でも大学等の高学歴層にシフトしたことなどから、求人が大幅に減少し(平成13年度24万1千人、対前年比△11.4%)、就職率が過去最低と厳しい結果になった。
施策手段の適正性の評価  大学生等の就職の支援については、各大学において職業紹介を行っていることから、これを側面から支援する観点から、学生職業センター等において、求人情報の提供、職業指導、職業相談等を行うことは適正である。一方、高校生の就職の支援については、学校が職業紹介を行っていることから、これと連携し、求人の確保等に努めることは施策として適正である。
 また、職業意識啓発については、各学校と連携し、在学中の早い段階からインターンシップ、各種セミナー等により意識啓発を図っていく必要があるが、高校生については、ジュニアインターンシップ等の実施が就職率の向上に必ずしも結びついていないことから、その内容について見直しを行う必要がある。
総合的な評価  大学生等については、これらの施策によって前年並みの就職率を達成したものの、高校生については、景気の影響や企業の即戦力志向等により過去最低となった。今後は、求人の確保に努めるとともに、求人情報の共有化を進める等の効果的な活用が必要である。
 職業意識啓発については、参加者が大幅に増加しており、若年者の当該事業に対する期待が大きいことが伺えるため、就職時の適職選択、就職後の定着のためにも引き続き実施していくべきである。しかしながら、高校生の内定率が過去最低になったこと等を考えれば、施策をより有効なものとするための見直しを行う必要がある。


(4−3−IV)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
IV 外国人労働者の就労環境の整備を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局外国人雇用対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 外国人求職者等に対する、職業相談・職業紹介等を適切に実施すること
(評価指標)
 通訳配置日数(日)
H9 H10 H11 H12 H13
5,856 6,336 6,816 7,296 8,016
(評価指標)
 相談件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
48,292 72,284 62,459 69,328 119,164
実績目標2 事業主への啓発指導、雇用管理援助等を推進し、雇用管理の改善を図ること
(評価指標)
 事業主向けパンフレット配布部数(部)
H9 H10 H11 H12 H13
250,000 400,000 656,000 563,550 623,550
(評価指標)
 月間中講演会開催回数(回)
H9 H10 H11 H12 H13
346 208 182
(評価指標)
 アドバイザー事業所訪問数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
2,701 2,764 3,379 3,009 3,958


2.評価

現状分析  外国人労働者については、政府の基本方針(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定))として、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進することとしている。 また、我が国で就労する外国人労働者は、平成12年現在、合法、不法を合わせて約71万人(法務省入国管理局発表資料(一部厚生労働省が推計))と推計しており、我が国の労働力人口の1%以上に相当している。そのうち、我が国が積極的に受入れを推進している専門的、技術的分野の外国人労働者は、約15万人と前年に比べ約23%増加するなど、昨今の厳しい雇用失業情勢の中でも、専門的、技術的分野の外国人労働者に対する需要は伸びていると考えられる。
施策手段の適正性の評価  上記「現状分析」のとおり、外国人労働者が増加する中で、一般的に外国人労働者は日本語や我が国の労働慣行に習熟していないことや入管法により就労が制限されている場合があること等から、就労に当たって特に適正な雇用・労働条件を確保する必要がある。
 通訳の配置等による適切な外国人求職者対応及び事業主啓発用パンフレットの配布等による事業主対応は、外国人労働者の適切かつ円滑な受入れ・定着に必要な情報を外国人労働者及び事業主の双方に対して周知する方法であることから、外国人労働者の就労環境を整備するのに適正な手段であると考える。
 また、外国人雇用管理アドバイザー制度は、現実に問題を抱える事業主からのニーズに応じて具体的な指導・援助を行うものであり、本制度により、これら事業主のニーズに積極的に応えていくことは、外国人の就労環境の改善に適当な方法である。
総合的な評価  上記「施策手段の適正性の評価」のとおり、外国人労働者や事業主のニーズに応じた支援を費用対効果も考慮のうえ効率的に実施していることから、「外国人労働者の就労環境の整備」が図られているものと考えられる。
 ただし、外国人労働者が増加・多様化する中で、外国人求職者や事業主に対する支援のあり方については、今後も検討していく必要はある。


(4−3−V)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
V 就職困難者等の雇用の安定・促進を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課
関係課 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課


1.現状分析

実績目標1 就職困難者等の円滑な就職等を図ること
(評価指標)
特定求職者雇用開発助成金支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
166,483 167,325 265,620 259,280 188,400
(評価指標)
特定求職者雇用開発助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
57,912 57,110 85,598 88,169 65,900


2.評価

現状分析  労働力調査(総務省統計局)によると平成13年度平均の60歳以上65歳未満の高齢者の完全失業率は8.1%(年齢計5.2%)と前年度に比べて0.2%増加し、依然として高水準で推移し、職業安定業務統計(厚生労働省職業安定局)による同年度平均の60歳以上65歳未満の者の有効求人倍率も0.11倍(年齢計0.54倍)と極めて低調であり、依然として高齢者には厳しい雇用情勢が続いている。
 また、障害者の職業紹介等状況報告(厚生労働省調べ)による障害者の新規求職者数の平成13年度累計は83,557人となっているが、同期間の障害者の就職件数は27,072件と就職率は4割に満たないため、雇用機会の増大が必要となっている。
 さらに、母子家庭の母等の就業状況を見ると、母子世帯95.5万世帯中13万世帯が不就業となっており(厚生労働省雇用均等・児童家庭局「平成10年度全国母子世帯等調査」)、このような未就業の者に対する早期就職のための支援が喫緊の課題となっている。また、母子世帯になる前の状況を見ると、就業していなかった者の割合は38.2%であり(日本労働研究機構「母子世帯の母への就業支援に関する調査」)、就職の準備が十分でなく未就業期間のある者が多くなっている。
 特定求職者雇用開発助成金の対象となる就職困難者の他、ホームレスについては、平成13年9月末の調査(厚生労働省社会援護局)では、24,090人と、平成11年度の調査に比較して、約20%も増加しているところである。
施策手段の適正性の評価  現状の極めて厳しい雇用情勢の中で、就職困難者の雇用に結びつく雇用機会の増大を図るためには何らかのインセンティブが必要である。このため、平成13年10月に制度改正により、対象者の年齢要件を引き上げたことは限られた求人数に対して真に支援の必要な就職困難者のインセンティブとなるべく図られた措置であり、施策手段として適正である。また、公共職業安定所紹介要件緩和による雇い入れ経路の拡大は潜在的な対象者の掘り起こしを図ったものであり、いずれも就職困難者の雇用の促進に資するためのものである。
総合的な評価  高齢者、障害者等の就職困難者を取り巻く状況は、雇用情勢の悪化に伴い極めて厳しいものとなっている。こうした状況下で特定求職者雇用開発助成金は雇い入れのインセンティブとして活用され、平成13年度においては188,400人(延べ)が対象労働者として支給を受けており、就職困難者の雇用の促進、雇用機会の増大に資するものである。また、平成13年度の制度改正により対象労働者の重点化、対象者の雇い入れ経路を公共職業安定所の紹介だけでなく、無料・有料の職業紹介事業者による紹介も認め、より多くの真に支援が必要な者に対する助成が可能になり、これらの者の雇用の促進、雇用機会の増大が図られることが期待される。よって今後制度利用の一層の活発化を図るためにも周知徹底して行くことが必要である。


(4−4−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 求職活動中の生活の保障等を行うこと
I 雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用保険課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 セーフティネットとして財政が安定していること
(評価指標)収支バランス(失業等給付関係)
収入額
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
19,423 17,397 17,317 16,239 23,829
  うち 保険料収入 12,923 12,929 12,335 12,164 18,251
 支出額
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
23,203 27,018 27,806 26,660 27,275
  うち 失業等給付費 21,939 25,762 26,550 25,138 26,007
 積立金残高
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
38,975 29,354 18,865 8,444 4,998
(評価指標)収支バランス(三事業関係)
 保険料収入額
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,656 5,660 5,399 5,324 5,346
 支出額
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,037 4,680 5,392 6,015 5,839
 雇用安定資金残高
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
2,806 3,786 3,793 3,102 2,609
実績目標2 給付を適正に行うこと
(評価指標)適用状況
 適用事業所数(年度月平均)
(千所)
H9 H10 H11 H12 H13
1,978 1,995 2,002 2,018 2,028
 新規適用事業所数
(千所)
H9 H10 H11 H12 H13
83 77 87 98 90
 廃止事業所数
(千所)
H9 H10 H11 H12 H13
54 62 80 81 89
 被保険者数(年度月平均)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
34,387 34,195 33,902 33,905 34,111
(評価指標)失業等給付給付状況
 基本手当基本分(受給者実人員)  (年度月平均)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
899 1,053 1,068 1,029 1,106
 基本手当基本分(給付額)
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
16,005 19,216 20,125 18,923 20,128
 再就職手当(受給者数)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
396 418 396 403 394
 再就職手当(給付額)
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
1,759 1,927 1,842 1,598 1,221
 教育訓練給付(受給者数)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
0.2 150 270 285
 教育訓練給付(給付額)
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
0.1 131 271 395
 雇用継続給付(高年齢雇用継続給付)  (初回受給者数)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
89 100 105 115 141
 雇用継続給付(高年齢雇用継続給付)  (給付額)
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
567 773 954 1,086 1,250
 雇用継続給付(育児休業基本給付金)  (初回受給者数)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
65 71 76 85 93
 雇用継続給付(育児休業給付)  (給付額)
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
257 292 321 372 597
 雇用継続給付(介護休業給付)  (受給者数)
(千人)
H9 H10 H11 H12 H13
3 4 5
 雇用継続給付(介護休業給付)  (給付額)
(億円)
H9 H10 H11 H12 H13
5 6 12


2.評価

現状分析 雇用保険制度については、厳しい財政状況にあることを背景として、雇用を取り巻く状況の構造的変化を見据えつつ、雇用保険が今後とも雇用に係るセーフティネットの中核として安定的かつ十分な役割を果たしていくことができるようにするという観点から、平成12年に雇用保険法の改正を行った。その主な内容は以下のとおり。
 (1) 基本手当の所定給付日数について、一般の離職者に対する所定給付日数を全体として圧縮する一方、中高年層を中心に倒産、解雇等による離職者に対して十分な給付日数を確保することにより重点化を図ったこと。
 (2) 失業等給付に係る国庫負担率及び保険料率に係る暫定措置を廃止するとともに、保険料率の引上げを行ったこと。
 平成13年度においては、この改正雇用保険法の施行により、収入が増加する一方、支出が抑制されることが見込まれたものの、依然として厳しい雇用失業情勢の下、受給者実人員もこれまでで最高の水準で推移したため、支出が保険料等収入を上回ったが、積立金の取り崩しにより対処した。
 こうした中、支給業務を担当する公共職業安定所においては、受給者数が増加する中においても、法令等に基づき適正な給付に努めているところである。
施策手段の適正性の評価 適正な給付の実施など制度の適正な運営に努めてきたところであるが、厳しい雇用失業情勢により受給者が傾向的に増加している結果、支給額の増大により、雇用保険制度は財政的に大変厳しい状況に直面している。
総合的な評価 雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等に努めているものの、雇用保険制度が今後とも雇用のセーフティネットとしての役割を十全に果たしていくという観点から、給付と負担の両面において不断の見直しが必要である。


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