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(9−4−II)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 介護保険制度の適切な運営等を通じて、介護を必要とする高齢者への支援を図ること
II 質・量両面にわたり介護サービス基盤の整備を図ること
担当部局・課 主管課 老健局計画課
関係課 老健局振興課


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 必要な介護サービス量の確保を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 全国の自治体におけるサービス提供見込みを積上げて策定したゴールドプラン21に基づき、各自治体の介護関連施設整備に関する取組みについて必要な支援を行う。
 良質なサービスを提供できる訪問介護員・介護支援専門員を養成するため、都道府県において実施する養成研修等に対する助言や経費補助を行う。
 介護サービスの質、種類とも不足している離島や山間等の過疎地域において、利用者が適切にサービスを選択できる環境整備を行うため、(1)地域住民のニーズ調査、(2)新規参入予定事業者に対する事業の立ち上げ相談などの事業者誘致の活動、(3)事業者の参入状況などの情報提供体制の構築、(4)関係機関相互の密接な連携の確保、(5)基準該当事業所の立ち上げ支援などの地域資源等を活用した介護サービスの育成・振興等の事業を行う。
(評価指標)介護サービスの提供量 H9 H10 H11 H12 H13
  訪問看護員(人) 136,661 157,711 176,450
訪問看護ステーション(箇所数) 2,559 3,384 4,470 4,730
通所介護、通所リハビリテーション(箇所数) 9,616 11,458 13,350 12,948
短期入所生活介護、短期入所療養介護(人分) 43,566 49,242 57,085
痴呆性高齢者グループホーム
(箇所数)
41 103 266 903 1,676
介護老人福祉施設(人分) 262,961 279,147 296,937 298,912
介護老人保健施設(人分) 180,855 207,595 230,092 233,536
ケアハウス(人分) 29,529 37,492 44,176 48,257
生活支援ハウス(箇所数) 227 243 266 292
(備考) 11年度以前の数値については、痴呆対応型共同生活介護を除き、「老人保健福祉計画等調査」による。12年度以降は、次のとおり別の統計調査となるため、基本的に11年度以前と12年度以降の数値を比較することは困難である。
12年度の数値については、痴呆対応型共同生活介護、ケアハウス及び生活支援ハウスを除き、「介護サービス施設・事業所調査」による。
痴呆性高齢者グループホームについては、11年度までは運営費を補助した事業所数であり、12年度以降は指定事業所数(厚生労働省老健局振興課調べ)である。
12年度のケアハウスの数値は、「福祉行政報告例」による。
12年度の生活支援ハウスの数値は、厚生労働省老健局計画課調べによる。
なお、13年度の数値は未確定。
(評価指標)指定事業所数 H9 H10 H11 H12 H13
  訪問介護 13,489 14,739
訪問入浴介護 2,817 2,800
訪問看護 58,254 59,438
訪問リハビリテーション 44,875 46,073
通所介護 8,867 9,812
通所リハビリテーション 5,618 5,672
短期入所生活介護 4,832 4,974
短期入所療養介護 6,609 6,632
痴呆対応型生活介護 1,092 1,676
特定施設入所者生活介護 318 400
居宅療養管理指導 133,999 136,560
福祉用具貸与 5,112 5,844
居宅介護支援事業者 22,149 23,114
指定介護老人福祉施設 4,605 4,741
介護老人保健施設 2,753 2,824
指定介護療養型医療施設 3,959 3,965
(備考)厚生労働省老健局振興課調べによる。
(評価指標)訪問介護員養成研修の養成者数
H9 H10 H11 H12 H13
89,320 171,239 413,210 352,396
(備考)厚生労働省老健局振興課調べによる。なお、13年度の訪問介護員養成者数調査を、今後実施する予定である。
(評価指標)介護支援専門員実務研修の養成者数
H9 H10 H11 H12 H13
91,269 68,081 43,854 32,560
(備考)本事業は10年度からの事業である。養成者数は厚生労働省老健局振興課調べによる。
(評価指標)離島等サービス確保対策事業の実施市町村数
H9 H10 H11 H12 H13
88
(備考)厚生労働省老健局振興課調べによる。
実績目標2 介護サービスの質の向上を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 現任の介護支援専門員に対して研修を行うことにより、介護保険制度の要である介護支援専門員の資質の向上を図ることを目的とし、都道府県が行う現任研修に対して所要の補助を行う。
 介護サービスの提供の場を訪ねサービスを利用する高齢者等の話を聞き、相談に応じる等の活動を行う介護相談員の養成について国庫補助を行う。
(評価指標)介護支援専門員現任研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
71,717
(備考)本事業は、12年度からの事業である。受講者数は、厚生労働省老健局振興課調べによる。なお、13年度の受講者数は今後調査する予定である。
(評価指標)介護相談員養成研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
1,400 2,943
(備考)本事業は、12年度からの事業である。受講者数は、厚生労働省老健局計画課調べによる。
実績目標3 痴呆性高齢者支援対策を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 痴呆性高齢者に対する介護サービスの充実を図るために、都道府県等で痴呆介護に関し指導的立場にある者及び介護保険施設に従事する介護職員等に対する研修について国庫補助を行う。
 痴呆性高齢者グループホームの整備について、国庫補助を行う。
(評価指標)指導者・実務者研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
3,435 9,074
(備考)本事業は、12年度からの事業である。受講者数は、厚生労働省老健局計画課調べによる。なお、13年度の受講者の内訳は指導者養成研修受講者 151人、実務者研修受講者数 8,923人である。
(評価指標)痴呆性高齢者グループホーム(箇所数:再掲)
H9 H10 H11 H12 H13
41 103 266 903 1,676
(備考)11年度までは運営費を補助した事業所数であり、12年度以降は指定事業所数(厚生労働省老健局振興課調べ)である。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 必要な介護サービス量の確保を図ること
有効性  国として、ゴールドプラン21に基づき、各自治体の基盤整備に関する取組みについて、必要な支援を行っているが、例えば、介護老人福祉施設や介護老人保健施設の整備について国庫補助を行うことは、施設設立の際の設置者の負担の軽減を通じて、これらの施設の整備の推進に寄与するものである。
 介護が必要となった高齢者がその必要度合いに応じて必要な量の介護サービスを適切に受けられる体制を地域で構築することが、介護保険制度の円滑な実施につながることから、都道府県に対し、訪問介護員養成研修における助言や介護支援専門員実務研修の経費に対する補助を行ってきたところである。これらの施策が介護保険制度下における介護サービスの安定的な供給を可能にさせると同時に副次的な効果として福祉分野においての雇用創出に一定の役割を果たしているものと推測される。
 離島等サービス確保対策事業については、介護サービスのニーズ調査、基準該当サービス誘致のための事業者説明会、介護サービス事業所設立のためのパンフレットの作成並びに基準該当事業所の立ち上げ支援等の事業が行われており、離島等地域における介護サービスの育成・振興について、一定の効果があったと考えられる。
実績目標2 介護サービスの質の向上を図ること
有効性  介護サービスの質の向上については、サービス量の確保とともに介護保険制度の円滑な実施のために、当然取り組まなければならない車の両輪ともいうべき重点施策である。特に制度の要である介護支援専門員の資質向上は制度発足から3年を迎えるこの時期、取り組まなければならない喫緊の課題である。実務研修を終了した介護支援専門員が現任研修としてケアマネジメントの課題や対人援助技術等を継続的に学ぶことによって、介護支援専門員全体のレベルアップが図られることとなる。
 また、介護相談員派遣事業により、一定の研修を受けた介護相談員が、当該市町村事業の一環として介護保険施設の訪問等を行い、利用者とサービス提供事業者との間の橋渡しを行っているが、これにより利用者の疑問や不満・不安の解消を図りつつ、サービスの質の向上が図られている。
実績目標3 痴呆性高齢者支援対策を推進すること
有効性  痴呆性高齢者グループホームは痴呆の状態にあるものについて、共同生活住居において、家庭的な環境の下で入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするためのものであるが、その整備について国庫補助を行うことは、施設設立の際の設置者の負担の軽減を通じて、その整備の推進に寄与するものである。
 また、高齢者介護実務者及びその指導的立場にある者に対し、痴呆性高齢者の介護に関する実践的研修を実施することにより、痴呆介護技術の向上を図り、痴呆介護の専門職員を養成しているが、これにより痴呆性高齢者に対する介護サービスの充実が図られている。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  ゴールドプラン21に沿って介護基盤整備が進められており、介護サービスの提供量は着実に増加している。
 介護支援専門員、訪問介護員並びに介護相談員の養成(実務)研修、現任研修を継続して実施することで恒常的なマンパワーの確保及び質の向上が図られているが、介護サービスの質を担保していくためには、人材の育成を引き続き進めるとともに地域の関係機関が連携してケアマネジメント体制を構築する必要がある。
 離島等サービス確保対策事業においては、自治体に対するヒアリングや要望書などから、必要な介護サービスが確保されていない現状が見られる。地域の特性に起因する介護ニーズの少なさ、移動に係る船賃等、通常の地域では想定できない障壁があり、介護サービスの質・量を確保するため、継続的な支援が必要である。
 痴呆性高齢者支援対策については、痴呆性高齢者グループホームの整備が急速に進んでいるほか、痴呆介護の指導者の養成も着実に進められている。
施策手段の適正性の評価  老人福祉施設等の設立には多額の費用を要するものであるため、その整備について国庫補助を行うことは、施設設立の際の設置者の負担の軽減を通じて、その施設の整備の推進に寄与するものであり、介護サービスの提供量を確保するための有効な手段となっている。
 介護支援専門員、訪問介護員並びに介護相談員の養成(実務)研修は自治体(都道府県)の自治事務となっている。このことは、介護保険制度の趣旨からして当然のことであるが、これらの事務事業に対して国が助言又は経費補助を行うことで地域の特色を生かしながらも一定の質が担保された研修事業を実施することができるため、施策目標の達成のための有効な手段となり得る。
 離島等サービス確保対策事業においては、離島等地域が抱える問題は、地域によって様々である。そのため、自治体が地域の現状を勘案した実効性のある施策について国庫補助を行うもので、適正な手段と考えられる。
 痴呆性高齢者グループホームは、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、痴呆の進行を穏やかにし、家庭の負担の軽減に資するものである。また、痴呆介護者指導者養成研修及び実務者研修は、痴呆介護技術の向上、痴呆性高齢者に対するサービスの充実を図るものであり、施策目標の達成のための有効な手段となっている。
総合的な評価  介護関連施設の整備については、全国の自治体におけるサービス提供見込みを積み上げて策定したゴールドプラン21に基づき、各自治体の基盤整備に関する取組みについて、国としても必要な支援を行ってきているところであり、上記のように当省の施策目標にも資するところが大きいことから、引き続き支援を行うことが必要である。
 介護支援専門員、訪問介護員並びに介護相談員の養成(実務)研修は恒常的なマンパワーの確保及び質の向上に有効であり、質・量両面にわたる介護サービス基盤の整備、介護保険制度の安定的な運営につながっていると評価できる。しかしながら、制度が成熟するにつれて新たに発生する課題や利用者からのニーズに的確に対応していくため、適宜、研修プログラムの改訂や介護サービスに従事する人材を支援していく体制の強化等を進めていく必要がある。
 離島等サービス確保対策事業においては、離島等の過疎地域における介護サービス確保という課題に対して一定の効果があったと考えられるが、引き続き、本事業の趣旨を周知し、より実効性のある事業展開を確保できるよう継続的に支援していく必要がある。
 痴呆対応型グループホームの整備の促進及び痴呆介護指導者養成研修及び実務者研修は、痴呆性高齢者の介護に対し質・量両面において支援していると評価できる。今後、痴呆性高齢者が増加していくと予想されている中で、引き続きこれら施策を推進していく必要がある。


3.政策への反映方針

(1) 社会福祉施設整備費 15年度要望額 149,140,000千円
 (介護関連施設の施設整備費補助は、上記の予算額の内数)
 介護関連施設の整備については、全国の自治体におけるサービス提供見込みを積み上げて策定したゴールドプラン21に基づき、各自治体の基盤整備に関する取組みについて、国としても必要な支援を行うものである。

(2) ケアマネジメントリーダー活動等支援事業 15年度要望額 1,302,614千円
 介護支援専門員現任研修事業 147,745千円
 介護支援専門員実務研修事業 117,806千円
 訪問介護員資質向上等推進事業 660,062千円
   ┌
   │
   └
・介護支援専門員実務研修における研修時間枠の拡大
・介護支援専門員現任研修におけるカリキュラムの改訂等


 身体拘束廃止推進事業 38,757千円
 介護相談員等派遣事業 400,000千円
 ケアプラン指導研修事業 189,274千円
 痴呆介護指導者養成事業費 222,960千円
 高齢者痴呆介護研究センター運営事業費 406,172千円
 在宅介護支援センター運営事業費 26,697,623千円
 養護老人ホーム等保護費負担金 56,822,006千円
 安心な高齢化社会のためには、介護サービスの量の確保のみならず、それに相まって、そのサービスの質の向上を図ることが重要な課題となっている。上記の事業は、介護サービスの質の向上を目的としたものであり、介護保険制度の円滑な実施のためには、緊急かつ重要な課題であることから、15年度の要求にあたり、「新重点4分野」の1つである「公平で安心な高齢化社会・少子化対策」に位置づけたところである。
 具体的には、介護支援専門員や訪問介護員の資質の向上等、身体拘束廃止のための幅広い取り組みへの支援、サービス提供側と利用者の橋渡しを行う相談員の養成、痴呆性高齢者に対する介護サービスの充実、市町村が実施する在宅介護支援センターの運営に対する支援等を行うものである。

(3) サービス事業者振興事業 15年度要望額 122,036千円
 介護サービス事業者間の相互の連携の推進するとともに、新規参入を希望する民間事業者等を支援すること等により、事業者の振興を図り、利用者が適切にサービスを選択できる市場環境を整備する。
 利用者が等しく多様な事業主体の中から、自らの介護ニーズに応じてサービス事業者を選択できる環境が整備されることにより、自立した日常生活を営むことができる。

(4) 福祉用具・住宅改修研修事業  15年度要望額127,499千円
 利用者と身近に接する介護支援専門員や在宅介護支援センターの職員等に対し、専門的な研修を実施し、福祉用具・住宅改修の効果的な活用を促進する。

(5) 福祉用具・住宅改修活用広域支援事業 15年度要望額 69,748千円
 各県・政令市に設置されている介護実習・普及センター等を拠点として、福祉用具・住宅改修に関する援助困難事例に対応可能な支援体制の整備・強化を図る。

(6) 福祉用具・住宅改修地域利用促進事業 15年度要望額 233,637千円
 各市町村に設置されている在宅介護支援センター等を拠点として、利用者に身近な場所で福祉用具を容易に選択・入手でき、住宅改修を行える支援体制の整備・強化を図る。


4.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
・介護支援専門員現任研修カリキュラム等に関する研究委員会報告(13年度)
・身体拘束ゼロ推進会議による「身体拘束ゼロへの手引き」の作成(12年度)

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 特になし

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
【身体拘束廃止について】
 総務省行政評価局は、13年度に「介護保険の運営状況に関する実態調査」を実施し、その結果、改善を講じる必要がある事項(身体拘束廃止の趣旨の周知徹底、記録の作成・保存の励行等)について、14年4月に厚生労働省に対して勧告を行ったところであるが、これらの事項はこれまでの厚生労働省としての取組と重なるものであり、引き続き取組を進めていくこととしている。

(4) 国会による決議等の状況
 特になし

(5) 会計検査院による指摘
 特になし


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