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(9−3−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 高齢者ができる限り自立し、生きがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを推進すること
施策目標 高齢者の健康づくり・生きがいづくりを推進するとともに、生活支援を推進すること
I 高齢者の介護予防と健康づくりを推進すること
担当部局・課 主管課 老健局老人保健課
関係課 老健局計画課


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 介護予防事業を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 家に閉じこもりがちな高齢者、要介護状態になるおそれのある高齢者等に対し、外出するきっかけとなり、介護予防に係る知識の習得・意識の向上を図ることができる場を提供すること等を通じて、それらの者の自立した生活の促進及び要介護状態になることの予防を図ることを目的として、市町村が地域の実情に応じて実施する下記のような事業について国庫補助を行うことにより、事業の推進を図る。
(評価指標)
介護予防事業の実施市町村数(各メニューごと)
H9 H10 H11 H12 H13
  転倒骨折予防教室 534 1,285
アクティビティ・痴呆介護教室(*) 484 690
IADL訓練事業 182 499
地域住民グループ支援事業 280 412
(備考)本事業は12年度に創設。実施市町村数は、各年度ごとの国庫補助の交付決定ベースの数値。
(*) この事業の名称は、13年5月の要綱改正以降のもの。それ以前は、「痴呆予防・介護事業」とされていた。
実績目標2 老人保健事業(保健事業第4次計画)を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 個別健康教育は、疾病の特性や個人の生活習慣等を具体的に把握しながら、継続的な教育を行い、生活習慣行動の改善を支援し、生活習慣病の予防に資することを目的とする。
 基本健康診査は、近年の循環器疾患等の動向を踏まえ、これらの疾患又はその危険因子を早期に発見し、栄養や運動等の生活指導や適切な治療と結びつけることによって、これらの疾患等を予防することを目的とする。
(評価指標)
個別健康教育の実施延べ人
員数(市町村ごと)
H9 H10 H11 H12 H13
13,767
(備考)評価指標は、地域保健・老人保健事業報告(統計情報部)による。
評価指標の個別健康教育は、12年度からの事業である。
(評価指標)
基本健康診査の受診率(%)
H9 H10 H11 H12 H13
(38.9) (39.4) (40.4) 41.2
(備考)評価指標は、地域保健・老人保健事業報告(統計情報部)による。
※( )は3次計画の実績


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 介護予防事業を推進すること
有効性  例えば、転倒骨折予防教室の普及により高齢者が骨折するケースが減少することや、アクティビティサービスの普及により高齢者が痴呆になった場合の症状の増悪が防止されること等を通じて、高齢者の身体的機能の維持向上が図られ、高齢者が要介護状態になったり、その状態が悪化したりすることが減少することとなることから、本事業は介護予防のために極めて有効である。
効率性  在宅の高齢者が要介護状態になったり、その状態が悪化したりすることを防止することにより、要介護者に対するサービス提供に係るものである介護保険財政の健全化に資することとなることから、介護関連経費全体としてみた場合のコストの効率化につながる。
実績目標2 老人保健事業(保健事業第4次計画)を推進すること
有効性  個別健康教育は、対象者の特性にあった指導が可能であり、一人一人の対象者の生活背景の違いや考え方・知識レベルに合わせて指導できる教育方法である。また、対象者の生活状況を体系的に把握(アセスメント)することで、対象者の改善点を客観化して保健指導に取り組むことができる。さらに面接等により、生活改善の方向付け、確認・強化及び評価をすることで、対象者の生活上の問題点を通じ、健康的な生活習慣の支援をすることができる。
 基本健康診査は、日々の運動や栄養と深く関係している心臓病、脳卒中などの疾病の予防と早期発見、早期治療、定期的な健康診査の受診と日常生活の見直し・改善につながっており、住民がQOL(生活の質)を高め生涯充実した安心できる生活を送ることを可能にしている。
効率性  個別健康教育、基本健康診査を含む老人保健事業は、市町村を実施主体として「保健事業実施要領」に沿って実施されているが、より効果的で効率的な保健事業の推進のため、市町村自らが事業評価を行い、自己点検と問題点の発見ができるよう、国において「老人保健事業評価マニュアル」を作成している。その中で事業の進め方(プロセス)については、(1)情報の集約方法、(2)対象者の選定方法、(3)保健師などスタッフの活動内容、(4)関係者間の連携、などの項目に関するチェックリストを作成し、評価の目安として数値指標を設定している。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  介護予防事業は、12年度から実施されているが、「1.施策目標に関する実績の状況」に掲げたとおり、その実施市町村数は着実に増加している。
 個別健康教育は、12年度から新たに導入された事業であり、12年度実績では全国的に定着しているとは言いがたいが、16年度までに全市町村実施に向けて推進しているところである。
 老人保健事業は、実施主体が市町村であり、実施方法等については各市町村により異なるが、実績を見ても基本健康診査受診率は、9年度から徐々に伸びていることから、受診率向上のために努力していると考えられる。
施策手段の適正性の評価  介護予防事業はメニュー事業であり、各市町村は一定の限度額の範囲内で自由に各事業を組み立てて実施することが可能であることから、各市町村においては、事業内容の精査を行い、地域の実情に応じて真に必要と考えられる事業を効率的に実施することとなり、地方分権の考え方に沿って事業の適正な運営が図られることとなるものである。
 高齢者の健康づくりのためには、生活習慣病の予防や疾患又はその危険因子の早期発見による生活指導や適切な治療が重要である。疾患又はその危険因子の早期発見による生活指導や適切な治療のためには、基本健康診査が有効であるが、さらに、個別健康教育による管理は、生活習慣病の予防のために有効である。
 また、これを支援するために、保健師等を対象に、指導的役割を果たす者を養成するための個別健康教育指導者養成研修を実施している。
総合的な評価  ゴールドプラン21においては、今後取り組むべき具体的施策として、良質な介護サービス基盤の計画的な整備と併せ、「介護予防・生活支援対策の積極的な取組み」を車の両輪として進めていくことが重要である旨が明記されているところである。その中の一分野であり、上記のように厚生労働省の施策目標にも資するところが大きい介護予防事業について積極的な取組みを行う市町村に対して、国としても引き続き支援を行っていくことが重要である。
 個別健康教育については、16年度までに全市町村実施に向けて、現在推進しているところであるが、地域住民の自身の健康に対する意識の向上及び健康増進につながるものと考えており、着実に実施していきたい。
 基本健康診査の受診率については、12年度実績では41.2%であるが、保健事業第4次計画の終了年次である16年度までに50%を目標としており、この目標に向けて現在実施しているところである。目標達成に向けて、生活習慣病等の正しい知識の普及及び早期発見、早期治療の重要性等の普及を引き続き実施していくことが重要であると考える。


3.政策への反映方針

(1) 介護予防・地域支え合い事業  15年度要望額 50,000,000千円
 今後ますます高齢者人口が増大する状況下においては、要介護期間ができる限り短くなるような介護予防の推進がますます重要な課題となってきている。したがって、市町村が地域の実情に応じて実施する介護予防に資する事業の一層の推進を図るため、上記事業を要望するものである。

(2) 保健事業費等負担金 15年度要望額 29,365,550千円
 高齢者の健康づくりのためには、生活習慣病の予防や疾患又はその危険因子の早期発見による生活指導や適切な治療が重要であるため、個別健康教育や基本健康診査等の老人保健事業を引き続き実施する必要がある。

(3) 地域リハビリテーション推進事業費 15年度要望額 266,375千円
 高齢者が寝たきりや閉じこもり状態になることを予防し、住み慣れた地域で安全で生き生きと生活するためには、「地域リハビリテーション支援体制整備推進事業」及び「脳卒中情報システム事業」を引き続き実施する必要がある。


4.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
がん検診評価委員会、老人保健事業推進・評価委員会

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
特になし

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
特になし

(4) 国会による決議等の状況
特になし

(5) 会計検査院による指摘
特になし


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