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(6−2−II)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 多様な就業ニーズに対応した就業環境を整備すること
II 在宅ワークを魅力ある就業形態とすること
担当部局・課 主管課 雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインの周知・啓発を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
在宅ワークを行う上で、契約をめぐるトラブルの発生が少なくないことから、在宅ワークを安心して行うことができるようにし、紛争が起こることを未然に防止するために、平成12年6月に、標記ガイドラインを策定した。
 都道府県労働局雇用均等室においては、あらゆる機会を捉えて、在宅ワークに発注している事業所に対する、標記ガイドランの周知・啓発に努めるとともに、平成13年度には、在宅ワークガイドラインに係る自主点検票を作成し、雇用均等室を通じて、在宅ワークに発注している発注者に配布し、回収への協力を呼びかけた。
 (財)21世紀職業財団では、平成12年度から、在宅ワークをこれから始めたい者や始めて間もない者を対象に、在宅ワーク支援事業を実施している。
 具体的には、在宅ワークの基礎知識やノウハウを理解してもらうための、在宅ワークハンドブックの配布、電話やEメールによる相談の受付、各種セミナー等の開催等を実施。財団では、こうした支援事業を通じて、在宅ワーカー等に対し、ガイドラインの周知・啓発を実施。
(評価指標)
 在宅ワークハンドブックの配布数
H9 H10 H11 H12 H13
5,000 9,000
(備考)
 ・評価指標の在宅ワークハンドブックの作成は平成12年度からの事業である。
(評価指標)
 在宅ワーカーからの相談件数
H9 H10 H11 H12 H13
170 813
(備考)
 ・評価指標の相談事業は平成12年度からの事業である。
(評価指標)
 在宅ワーカーのセミナーの受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
28 445
(備考)
評価指標のセミナーの実施は平成12年度からの事業である。
(評価指標)
 自主点検票の配布数
H9 H10 H11 H12 H13
10,000
(備考)
評価指標の自主点検票の配布は平成13年度からの事業である。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインの周知・啓発を図ること
有効性  在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインは、在宅ワークの仕事を注文する者(以下、「発注者」という。)に対し、在宅ワーカーと契約を締結する際に守るべき最低限のルールを示し、トラブルを未然に防ぐことを目的としている。
 都道府県労働局雇用均等室においては、平成12年度以降、発注者に対してガイドラインの内容を説明したパンフレットを約1万7,000部配布し、併せて説明会を開催したほか、平成13年度からは発注者自身にガイドライン遵守状況を確認することができるガイドラインに係る自主点検票を10,000部配布し、発注者に対し、あらかじめ契約条件を文書で明示することの必要性等についての周知・啓発を行った。
 (財)21世紀職業財団においては、在宅ワーク希望者や在宅ワークを始めて間もない者を対象とした、在宅ワークの基礎知識をまとめた在宅ワークハンドブックの配布、相談の受付、セミナーの開催等各種支援事業を活用して、発注者との契約の締結に際し、守るべき適正なルールがあることについて周知・啓発を行った。
 こうした取組により、トラブルの未然防止を図った。
効率性  事業所に対する周知・啓発については、雇用均等室が行うこととし、在宅ワーク希望者及び始めて間もない者に対する周知・啓発は(財)21世紀職業財団が、在宅ワーク支援事業の実施に併せて行うことで、より幅広く効果的な周知・啓発に努めている。
 在宅ワーク希望者及び始めて間もない者については、発注者との契約を締結するに当たって、実際にトラブルに見舞われる可能性が高い者であるため、在宅ワークを行う上で必要な基礎的知識や技能の修得のための支援事業(情報提供、相談及びセミナー等)を実施する機会の中で、ガイドラインに関する周知・啓発を併せて行うことにより、その効果的な実施に努めている。
 また、雇用均等室では、事業所への各種情報提供の一環として、他の広報関係資料等送付の際に、併せて在宅ワーク情報も送付することで、経費の効率化に努めており、(財)21世紀職業財団では、在宅ワーク支援事業の広報に当たり、ホームページを活用するほか、チラシ等の配布、地方公共団体及び関係機関の広報誌等を活用している。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  在宅ワークを行う上で、報酬額や納期の設定、一方的な発注の打ち切り等に関するトラブルの発生が少なくない。「在宅就業実態調査」(日本労働研究機構平成9年実施)の結果によると、発注者の約2割が在宅ワーカーとのトラブルが生じていると回答している。その内容は、仕事の出来具合に関するもの、仕事の納期に関するものが多く、報酬の支払いに関するもの、仕事の量・頻度に関するものが続いている。一方、在宅ワーカーも、15.2%がトラブルがある、と回答しており、そのうち半数は、報酬の支払いによるものであった。
 さらに、発注者の半数は口頭契約をしており、契約の締結時に、在宅ワーカーに対し、報酬額、その支払い時期・方法、納期、作業が遅延した場合や作業成果に瑕疵がある場合の取扱いといった契約の基本的な内容が明示されないことが、トラブルの発生につながるものと、「在宅就労問題研究会」(労働省開催、座長:諏訪康雄法政大学社会学部教授)において指摘されている。
施策手段の適正性の評価
都道府県労働局雇用均等室においては、発注者を対象に、在宅ワークの適正な実施のためのパンフレットと併せて自主点検票を送付することにより、発注者の意識を高める上で一定の成果があった。
21世紀職業財団では、在宅ワーク支援事業において、在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインに係る広報・啓発を行うことにより、在宅ワーク希望者や在宅ワークを始めて間もない者に対するガイドラインの周知・啓発に対し、一定の成果があった。
21世紀職業財団におけるホームページを活用した情報提供は、情報通信機器を活用して仕事を行う在宅ワーカーの利便性に適している。
セミナーの開催は、在宅ワーカー等が多い東京と大阪において実施しているが、他都道府県在住者の利便性等に鑑み、今後、検討を要する。
21世紀職業財団の相談事業において蓄積した相談事例を、ホームページ等により情報提供し、トラブルの発生を未然に防止することへの必要性への理解を促し、ガイドラインの周知・啓発への効果的な手段とすることが重要である。
総合的な評価
ガイドラインの周知・啓発をさらに進める必要があるので、今後とも、発注者に対しては、自主点検票の配布により意識を高めるとともに、在宅ワーク支援事業においては、引き続き、在宅ワーク希望者等のニーズを的確に捉えた事業展開につとめ、在宅ワーク希望者等に対するガイドラインの周知・広報の機会の拡充に努めることとする。


3.政策への反映方針

 引き続きガイドラインの効果的な周知・啓発に努めることにより、在宅ワーカーが適正な就業条件の下で在宅ワークを行うことで、在宅ワークを魅力ある就業形態としていくこととする。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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