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(5−2−III)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 労働者の職業能力の開発及び向上を図るとともに、その能力を十分に発揮できるような環境を整備すること
施策目標 労働力需給の動向に対応した職業能力開発を展開すること
III ホワイトカラーの職業能力開発を促進すること
担当部局・課 主管課 職業能力開発局能力開発課
関係課 職業能力開発局育成支援課


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 生涯職業能力開発促進センターにおいてホワイトカラーに係る先端的な職業訓練コースの開発・展開を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
ホワイトカラーの職業能力開発に関する中核的な拠点である生涯職業能力開発促進センターにおいて、先端的な職業訓練コースの開発・展開に資する情報の集積と産業界の課題に対応した実践的な教育訓練コース等の研究開発を実施するとともに、先導的、モデル的教育訓練コースを実施する。
(評価指標)
新たなコースの開発・展開数
H9 H10 H11 H12 H13
33 32 30 35 34
(備考)
上記コース数は生涯職業能力開発促進センターにおけるホワイトカラー向け先端的職業訓練コース数(離職者向け、在職者向け訓練コース数を合算したもの)
実績目標2 職業能力習得制度(ビジネス・キャリア制度)を通して、ホワイトカラーの専門的知識の段階的、体系的な知識の習得を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 ホワイトカラー労働者が企業組織の枠組みを超えて通用し得る専門的知識を体系的に習得できるよう、学習手段(講座)の満たすべき基準を明確にするとともに、その習得された成果の確認及び客観的評価を行う。具体的には、ホワイトカラー労働者の職務を人事労務等10分野に区分し、各職務に必要な専門的知識を内容・レベルにより学習単位に分割し、それぞれの学習単位毎に学習すべき内容を体系化することにより、専門的知識を段階的かつ体系的に習得させる教育訓練システムを実施する。
(評価指標)
職業能力習得制度認定講座受講者数(人)
職業能力習得制度修了認定試験合格者数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
約55,000
4,102
67,295
5,063
70,911
7,922
63,327
10,240
集計中
12,086
(備考)
平成9年度の職業能力制度認定講座受講者数は概算値。
評価指標は、制度の実施機関である中央職業能力開発協会の集計による。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 生涯職業能力開発促進センターにおいてホワイトカラーに係る先端的な職業訓練コースの開発・展開を図ること
有効性  開発されたホワイトカラー向け訓練コースは、生涯職業能力開発促進センターにおいて実施、検証された後、全国の公共職業能力開発施設において普及が図られるものである。また上記の成果をふまえた離職者向け訓練コースの就職実績は約60%(12年度)と高い就職率を示しており、その有効性は高いものである。(厚生労働省「職業能力開発定例業務統計報告」より)
例)生産経営実務科の開発・展開
  平成9年 生涯センターにてコース開発
  平成10年 生涯センターにてプロダクトマネジメントビジネス科
 (生産経営実務科のモデルコース)を開設
  平成11年より 北海道職業能力開発促進センターほか13施設で開講
効率性  本事業については、事業主団体等と連携を図りつつ、産業界の課題に対応した実践的かつ先端的な訓練コースを新たに開発し、一定期間の試行により訓練効果等を確認したうえで全国の公共職業能力開発施設で本格実施に移行していること等に鑑みれば、事業の効率性は高いものと考えられる。
実績目標2 職業能力習得制度(ビジネス・キャリア制度)を通して、ホワイトカラーの専門的知識の段階的、体系的な知識の習得を推進すること
有効性  本制度により、労働者個人は、(1)企業内での自己のキャリア・アップに活用できること、(2)自分に適した学習計画を立て、当該計画に基づく職業能力開発に努められること、(3)自分の職務内容や過去の受講履歴などに応じて、自分に必要なものを、必要なときに、必要なだけ学習できること、(4)当該学習分野の内容を習得していることが公的に証明され、自分の能力を客観的に示すことができるようになる。
 また、企業は、(1)これまでのOJTを中心とした職能別教育と組合わせることにより、従業員の職務遂行能力向上の効果が期待できること、(2)従業員の体系的・段階的なキャリア開発を支援していく手段として活用できること、(3)適切な人材開発の実施や人材配置の参考として活用できること、(4)従業員あるいは中途採用者の客観的評価・能力を測る材料とすることができるようになる。
 なお、本制度の平成12年度の認定講座受講者数は63,327人となっており、(平成13年度に関しては現在集計中)ホワイトカラーの専門的知識の段階的、体系的な知識の習得を推進するに当たって有効な制度であると認められる。
効率性  業種・業態の規模により各企業で必要とされる業務知識等は異なるが、企業においては、当該制度の教育訓練プログラムと企業独自の実務教育(OJT、OFF-JT)の的確な組合せにより労働者の効率的な能力開発を支援することが可能となる。また、自社の現状を踏まえ、当該制度認定講座を社内能力開発体系へ組み込むことにより、効率的に自社内における労働者の職業能力開発の推進を図ることが可能となる。
 労働者においては、自分に適した学習計画を立て、当該計画に基づき効率的に職業能力開発に努めることができるようになるとともに、必要な専門的知識を習得していることが公的に評価されることにより、更に効率的に職業能力開発を図ることが可能となる。
 さらに、本制度は、従来、民間教育訓練機関による教育訓練コース相互の関連が不明確であったり、教育訓練コースごとのレベルの不統一等、全体として各々の位置関係がとらえにくい状況のために継続的・体系的な学習計画を立てることが困難であったものを、様々な教育訓練機関等で実施されている各種教育訓練コースの質、量、レベルを公的に保証し、ホワイトカラーの職業能力開発について、専門的知識を段階的・体系的に習得するためのOFF-JTによる学習システムとして、効率的かつ効果的な運営を行っている。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  インターネットをはじめとする情報通信の普及など産業構造の変化の中で、急速に高度化、複雑化するホワイトカラーの職務内容に対応し、また、職務内容や職務経験が多様なホワイトカラー労働者の、個別の事情に応じ得る職業能力開発施策が求められているところである。
施策手段の適正性の評価  ホワイトカラーに係る先端的な職業訓練コースの開発・展開については、ホワイトカラーの職業能力開発に関する先導的な研究開発と実施検証を行う施設である生涯職業能力開発促進センターが、産業界等との連携により実施するものである。また、開発された先端的なコースは、実施、検証の後、全国の能力開発施設において普及が図られるものであり、ホワイトカラーの職業能力の促進に資しているものと考えられる。以上の点をふまえれば、当該施策は手段として適正であるといえる。
 職業能力習得制度は、ホワイトカラー労働者を対象として、企業での実務に即した学習カリキュラムになっている。また、学習する事項を細分化しているため、取り組みやすく、必要なことを必要なときに必要なだけ学習できる等、段階的かつ体系的な学習機会を提供する制度であり、また、企業の教育プログラムにも取り入れ可能である等、活用しやすい学習支援システムとして構築されていることから、ホワイトカラー労働者の主体的な職業能力開発の手段として適正である。
総合的な評価  ホワイトカラーに係る先端的な職業訓練コースの開発・展開については、概ね適切に実施されているところである。今後、急激な社会変化、産業界のニーズの変化により的確に対応し、訓練コースの開発に反映させていくこととする。
 また、職業能力習得制度は上記の通り、ホワイトカラー労働者の自発的な職業能力開発に一定の効果があり、社会的認知度も広がりを見せている。今後引き続き、ホワイトカラー労働者の学習支援機能としての活用促進を図る。


3.政策への反映方針

 ホワイトカラーに係る先端的な職業訓練コースの開発展開については、今後の実施状況を見極めた上で、必要に応じ事業の見直しを図る。
 職業能力習得制度については、昨今の雇用・労働環境の変化に対応するためには、ホワイトカラー労働者の自発的な職業能力開発を推進する仕組みとして当該制度のさらなる活用促進を図るとともに、職務遂行能力の評価機能を強化する等により、労働者と企業・業界等の双方に対しメリットがもたらされるようにする。所要の見直しを図ることにより、ホワイトカラー労働者の実務に即した専門的知識等の職務遂行能力を適正に評価できる機能を強化することとする。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 職業能力習得制度は、ホワイトカラー層を取り巻く社会経済環境の構造的変化が進行する中で、ホワイトカラー層に対する従来からの教育訓練システムが必ずしもこれに十分対応しきれていないこと、ホワイトカラー層については、ブルーカラー層に比べ、職業能力開発のための明確な指針となるものが乏しいこと等の背景の下、「産業人生涯職業能力開発システム整備推進委員会(平成4年7月)」において、(1)地域や企業規模等にかかわらずホワイトカラーの学習機会が実質的に確保され、かつ開かれた新たなシステムの必要性、(2)ホワイトカラーの教育内容及び学習形態に係る多様なニーズに対応した柔軟な教育訓練システムの構築の必要性等、について提言されたことを踏まえ、平成5年に創設した。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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