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(4−3−IV)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
IV 外国人労働者の就労環境の整備を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局外国人雇用対策課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 外国人求職者等に対する、職業相談・職業紹介等を適切に実施すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 職業安定法第3条において「求職者の国籍や人種を理由に差別的な取扱を行ってはならない」と定めていることから、外国人求職者等に対する、職業相談・職業紹介等を適切に実施するための体制の整備を図るため、以下の施設を設置している。
(1) 通訳を介した職業相談・職業紹介を行う「外国人雇用サービスコーナー」を公共職業安定所に設置(H13年度は業務量の多い5所の通訳の配置日数を増加)
(2) 留学生等専門的・技術的分野の外国人求職者等に職業相談等情報提供を行う「外国人雇用サービスセンター」の設置
(3) 日系人に対してその特性に応じた職業相談・職業紹介を行う「日系人雇用サービスセンター」の設置
(評価指標)
 通訳配置日数(日)
H9 H10 H11 H12 H13
5,856 6,336 6,816 7,296 8,016
(備考)
 評価指標は、「外国人雇用サービスコーナー」に配置している通訳の年間配置日数の全国計による。
 なお、通訳配置日数の増加は、外国人求職者等の増加に対応して、通訳の配置を段階的に進めていることによる。
(評価指標)
 相談件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
48,292 72,284 62,459 69,328 119,164
(備考)
 評価指標は、外国人雇用サービスコーナー、外国人雇用サービスセンター及び日系人雇用サービスセンターの業務取扱状況報告による。
 また、我が国に在留する外国人数は、景気変動や入管法制の改正に伴い、変動するものであり、相談件数もその影響を受けるものである。
実績目標2 事業主への啓発指導、雇用管理援助等を推進し、雇用管理の改善を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 一般に外国人労働者は日本語や我が国の労働慣行に習熟していないことや入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)により就労が制限されている場合があること等から、就労に当たって適正な雇用・労働条件を確保するため、特に事業主に対し、外国人雇用に関する理解の度合に応じた以下の事業を実施している。
(1) 事業主等に対する外国人労働者の適正な雇用・労働条件の確保と不法就労の防止のための理解・協力を図るためのパンフレットの配布
(2) 毎年6月に政府全体で行う「外国人労働者問題啓発月間」中に行う講演会における外国人労働者の適正な雇用・労働条件の確保及び不法就労の防止を図るための集中的な周知・啓発
(3) 「外国人雇用管理アドバイザー」の事業所訪問等よる外国人雇用事業主が抱える個別の問題に対する具体的な指導・援助
(評価指標)
 事業主向けパンフレット配布部数(部)
H9 H10 H11 H12 H13
250,000 400,000 656,000 563,550 623,550
(備考)
 評価指標は、各労働局及び各公共職業安定所に配布したパンフレット部数である。
(評価指標)
 月間中講演会開催回数(回)
H9 H10 H11 H12 H13
346 208 182
(備考)
 評価指標は、業務取扱状況報告(職業安定局調べ)による。
 なお、評価指標のH9及びH10については、H11以降と当該講演会の開催方法が異なるため、未記入とする。
(評価指標)
 アドバイザー事業所訪問数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
2,701 2,764 3,379 3,009 3,958
(備考)
 評価指標は、業務取扱状況報告(職業安定局調べ)による。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 外国人求職者等に対する、職業相談・職業紹介等を適切に実施すること
有効性  ここ数年の雇用失業状況の悪化に伴い雇用調整を余儀なくされる事業主が増加し、外国人労働者の離職も増加しつつある。このため、昨年度は公共職業安定所に相談に来所する外国人が急増(新規求職者数、H13は45,547件、H12は26,913件、業務取扱状況報告(職業安定局調べ))したが、「外国人雇用サービスセンター」や職業相談窓口に配置した通訳を活用することにより、これら急増する労働者に対して職業相談・職業紹介を適切に実施することができた。
 また、外国人新規求職者が新規求職者全体の5%〜10%を占める公共職業安定所もあり、通訳を介した外国人求職者等への対応は、職業相談等に要する時間の短縮による窓口混雑の緩和の効果をもたらしている。
効率性  外国人新規求職者数は、全国で新規求職者全体の0.6%を占めているが、地域的な偏在が甚だしく、留学生・就学生が多い東京都や製造業の生産工程に従事する日系人が集住する群馬県、静岡県西部、愛知県等の北関東、東海地方などを中心に外国人新規求職者が新規求職者全体の5%〜10%を占める公共職業安定所もある。このような外国人求職者の利用の多い公共職業安定所において重点的に通訳配置を行うことにより、効率的な体制整備を進めている。
 平成13年度現在で、81カ所の「外国人雇用サービスコーナー(公共職業安定所内に設置)」において原則週2回、特に外国人求職者の集中が甚だしいコーナー5カ所については週3回の通訳配置を実施するなど、通訳の効率的な配置に努めている。
 なお、通訳配置に対する1日当たりの相談件数(相談件数/通訳配置日数)は、H13は14.9件で前年(9.4件)より大幅に増加していることから、通訳の拡充により、効率的な通訳の配置が図れているものと考える。
実績目標2 事業主への啓発指導、雇用管理援助等を推進し、雇用管理の改善を図ること
有効性  外国人労働者の雇用の際には、一般に外国人労働者は日本語や我が国の労働慣行に習熟していないことや入管法により就労が制限される場合があること等の特性を事業主がよく理解しなければ適切な雇用管理の改善は図れない。
 このため、外国人雇用に関する事業主の理解の度合に応じて、啓発用パンフレットの配布、講演会の開催や事業主が抱える個々の問題に対する具体的な指導・援助等を体系的に実施することは有効であり、特に、「外国人雇用管理アドバイザー」の事業主の要請に基づく事業所訪問の需要は高まっている(H13は3,958件、H12は3,009件)。
 こうした取組の結果、各事業所において外国人労働者の特性に応じた適切な雇用管理が浸透してきていることから、就労目的の在留資格による新規入国外国人の増(H13は約14万2千人、H12は約13万人、法務省入国管理局発表資料)や不法残留者数の減(H14は約22万4千人、H13は約23万2千人、法務省入国管理局発表資料)につながっていると考える。
効率性
(1) 「外国人労働者問題啓発月間」中に行う講演会については、他の目的で事業主が集まる会合と併せて開催して差し支えないこととしていることから、上記のとおり、有効性を高めつつ、効率的に開催できる仕組みとなっていること、
(2) 「外国人雇用管理アドバイザー」は、原則的に事業主からの要請に基づく事業所訪問回数により謝金を支払うこととしていることから、経費の無駄な支出を抑える仕組みとなっていること、
などから、費用対効果を含む効率性を考慮した施策の実施となっている。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  外国人労働者については、政府の基本方針(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定))として、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進することとしている。 また、我が国で就労する外国人労働者は、平成12年現在、合法、不法を合わせて約71万人(法務省入国管理局発表資料(一部厚生労働省が推計))と推計しており、我が国の労働力人口の1%以上に相当している。そのうち、我が国が積極的に受入れを推進している専門的、技術的分野の外国人労働者は、約15万人と前年に比べ約23%増加するなど、昨今の厳しい雇用失業情勢の中でも、専門的、技術的分野の外国人労働者に対する需要は伸びていると考えられる。
施策手段の適正性の評価  上記「現状分析」のとおり、外国人労働者が増加する中で、一般的に外国人労働者は日本語や我が国の労働慣行に習熟していないことや入管法により就労が制限されている場合があること等から、就労に当たって特に適正な雇用・労働条件を確保する必要がある。
 通訳の配置等による適切な外国人求職者対応及び事業主啓発用パンフレットの配布等による事業主対応は、外国人労働者の適切かつ円滑な受入れ・定着に必要な情報を外国人労働者及び事業主の双方に対して周知する方法であることから、外国人労働者の就労環境を整備するのに適正な手段であると考える。
 また、外国人雇用管理アドバイザー制度は、現実に問題を抱える事業主からのニーズに応じて具体的な指導・援助を行うものであり、本制度により、これら事業主のニーズに積極的に応えていくことは、外国人の就労環境の改善に適当な方法である。
総合的な評価  上記「施策手段の適正性の評価」のとおり、外国人労働者や事業主のニーズに応じた支援を費用対効果も考慮のうえ効率的に実施していることから、「外国人労働者の就労環境の整備」が図られているものと考えられる。
 ただし、外国人労働者が増加・多様化する中で、外国人求職者や事業主に対する支援のあり方については、今後も検討していく必要はある。


3.政策への反映方針

 外国人労働者に関しては、政府の基本方針(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定)など)に基づき、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進する観点及び一般に日本語や我が国の労働慣行等に習熟していないという特性を有する外国人労働者の雇用の安定を図る観点から、外国人労働者や事業主のニーズに応じ、各種支援を行っているところであり、平成14年度においては、外国人雇用サービスコーナーの充実を図るとともに、IT分野の外国人技術者等専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ促進・定着を図るため、関係機関と連携しつつ、雇用管理のあり方を検討し、その結果を踏まえ、雇用管理改善のための事業等を行うこととしている。
 なお、平成15年度概算要求において、継続事業のうち外国人雇用対策関係事業(要求額78百万円)は、留学生及び専門的、技術的分野の外国人に対する支援に係る経費のため、「新重点4分野」の「(1) 人間力の向上・発揮」に資することから優先性を有すると考える。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 学識経験者による「外国人雇用問題研究会」において、外国人雇用問題について、幅広く議論を行い、平成14年7月5日に「外国人雇用問題研究会報告書」を取りまとめた。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 外国人雇用対策については、政府の基本方針(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定)など)に基づき、各種施策を実施している。
 また、「e-Japan重点計画-2002-」(平成14年6月策定)に基づき、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着の促進を図るための事業を実施している。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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