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(4−3−II)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
II 障害者の雇用を促進すること
担当部局・課 主管課 職業安定局高齢・障害者対策部障害者雇用対策課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 障害者に対するきめ細かな相談、職業紹介等を実施することを通じて障害者の就職の促進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 公共職業安定所において、障害者の方を中心に相談する窓口を別途設け、きめ細かな職業相談・職業紹介等を実施している。
(評価指標)
新規求職申込件数
H9 H10 H11 H12 H13
77,025 78,489 76,432 77,612 83,557
(備考)
評価指標は職業安定局調べによる
(評価指標)
有効求職者数
H9 H10 H11 H12 H13
102,715 115,848 126,254 131,957 143,777
(備考)
評価指標は職業安定局調べによる
評価指標は各年度3月末の数字である
(評価指標)
就職件数
H9 H10 H11 H12 H13
28,325 25,653 26,446 28,361 27,072
(備考)
評価指標は職業安定局調べによる
実績目標2 障害者雇用率制度の厳正な運用を通じて障害者の雇い入れの促進等を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、民間企業・国・地方公共団体は、一定の割合以上、身体障害者又は知的障害者を雇用しなければならないこととされている。これに基づき、雇用率未達成の企業等に対し、雇用率達成指導を行い、必要な場合には雇入れ計画の作成命令、適正実施勧告を行うなど、制度の厳正な運用を図っている。
(評価指標)
実雇用率
H9 H10 H11 H12 H13
1.47% 1.48% 1.49% 1.49% 1.49%
実雇用率(法定雇用率の適用される一般民間企業、特殊法人、国、地方公共団体の機関において、実際に雇用されている障害者の常用労働者または職員数に対する割合のこと。知的障害も身体障害者と同様にカウントされ、重度身体障害者又は重度知的障害者は、1人を2人に相当する者としてカウントされる。各年6月1日現在。)
(備考)
評価指標は障害者雇用状況報告(職業安定局調べ)による
(評価指標)
法定雇用率未達成企業割合
H9 H10 H11 H12 H13
49.8% 49.9% 55.3% 55.7% 56.3%
(備考)
評価指標は障害者雇用状況報告(職業安定局調べ)による
(評価指標)
雇入れ計画作成命令件数
H9 H10 H11 H12 H13
227 217 142 117 159
(備考)
評価指標は職業安定局調べによる
(評価指標)
適正実施勧告件数
H9 H10 H11 H12 H13
9 10 29 30 26
(備考)
評価指標は職業安定局調べによる
(評価指標)
就職件数
H9 H10 H11 H12 H13
28,325 25,653 26,446 28,361 27,072
(備考)
評価指標は職業安定局調べによる
実績目標3 障害者雇用に係る事業主支援・援助の実施を通じて障害者の働く場の整備を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 障害者雇用納付金制度により、障害者を雇用する経済的負担の軽減と、その奨励・維持のため、雇用率を超えて身体障害者又は知的障害者を雇用している事業主に対しては、その雇用率を超える人数に一定の額を乗じた調整金を、また、常用労働者数が300人以下の規模で障害者を多数雇用している事業主には報奨金を支給している。さらに、障害者の雇い入れ又は雇用の継続を図る事業主が、作業施設や作業設備の設置・整備又は継続などの措置について、助成金を支給することによって、障害者の雇用の促進及び雇用の継続を容易にしている。
 また、障害者雇用機会創出事業により、短期間のトライアル雇用を行い、雇用管理等の支援障害者の雇用機会の創出を図っている。
(評価指標)
調整金支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
3,594 3,819 2,483 2,146 2,196
(備考)
評価指標は日本障害者雇用促進協会事業報告書による。
(評価指標)
調整金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
5,764 6,207 3,514 3,177 3,335
(備考)
評価指標は日本障害者雇用促進協会調べによる。
(評価指標)
報奨金支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
3,881 3,776 3,206 2,535 2,373
(備考)
評価指標は日本障害者雇用促進協会事業報告書による。
(評価指標)
報奨金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
5,995 5,836 4,863 4,476 4,367
(備考)
評価指標は日本障害者雇用促進協会調べによる。
(評価指標)
障害者雇用機会創出事業における奨励金の支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
2,181
(備考)
評価指標は日本障害者雇用促進協会調べによる
トライアル雇用開始者数は2,181人、うち本雇用へ移行した者1,730人
本事業は、平成13年度からの事業である
(評価指標)
障害者雇用機会創出事業における奨励金の支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
344
(備考)
評価指標は日本障害者雇用促進協会調べによる
本事業は、平成13年度からの事業である


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 障害者に対するきめ細かな相談、職業紹介等を実施することを通じて障害者の就職の促進を図ること
有効性  失業率が過去最高を記録するなど、厳しい雇用失業情勢が続く中、求職者の増加に見られるように障害者の求職ニーズは高い。また、知的障害者の有効求職者数は平成9年度末の18,241人から平成13年度末の28,794人へ、精神障害者の有効求職者数は平成9年度末の5,657人から平成13年度末の10,885人へ増加するなど、就職にあたりよりきめ細かな職業相談・職業紹介等の支援を必要とする求職者が増えている。厳しい社会経済情勢は、障害者の雇用失業情勢にも大きな影響を与えているが、平成13年度の就職件数は27,072件と対前年度比5%減に留まっており、安定所における職業紹介等が効果的に実施されていると考える。

〈参考指標〉
完全失業率の推移(平成13年度 季節調整値〉(%)
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
4.8 4.9 4.9 5.0 5.0 5.3 5.3 5.4 5.5 5.3 5.3 5.2

知的障害者及び精神障害者の有効求職者数(各年度末)(人)
  H9 H10 H11 H12 H13
知的障害者 18,241 21,473 24,211 25,982 28,794
精神障害者 5,657 6,955 8,040 9,342 10,885

効率性  雇用失業情勢が厳しい状況で、求職者の量・質ともにニーズが高まっている一方、公共職業安定所の人員は減少しているところであり、こうした状況で就職件数を対前年度比5%減に抑えることができたのは、安定所における職業相談・職業紹介が効率的に行われているためであると考える。

〈参考指標〉 公共職業安定所の定員の推移
H9 H10 H11 H12 H13
12,843 12,816 12,801 12,766 12,692

実績目標2 障害者雇用率制度の厳正な運用を通じて障害者の雇い入れの促進等を図ること
有効性  法定雇用率未達成企業の割合が56.3%と前年より増加しているが、失業率が過去最高を記録するなど、厳しい雇用失業情勢が続く中、平成13年6月1日現在の実雇用率は、前年同率を維持し、また就職件数は前年度比5%減に抑えられているなど、当該制度を厳正に実施することの有効性は認められる。
効率性  雇用率の達成のため、未達成の企業等については、計画作成命令の発出、適正実施勧告等、段階をおいて指導を行っており、対象企業等の指導への対応状況に応じた効率的な手段であると考える。
実績目標3 障害者雇用に係る事業主支援・援助の実施を通じて障害者の働く場の整備を図ること
有効性  障害者の雇用には、作業施設の改善、介助者の配置等職場環境整備のための経済的負担を伴うための負担を軽減するための支援措置が必要である。また、障害者の雇用に事業主が取り組むためにはきっかけづくりが必要であり、トライアル雇用のニーズは高い。
 厳しい雇用失業情勢にもかかわらず、調整金については、支給決定件数・支給決定金額ともに前年度を上回っており障害者の雇用の維持・安定に有効に機能していると考える。報奨金については、中小企業における経営環境の悪化が続く中、支給決定件数については前年比約6%の減、支給決定金額についても約2%の減となっているものの、障害者雇用を下支えするための手段としての有効性は認められる。
 雇用納付金制度に基づく助成金は、平成13年度は支給決定件数が11,108件、支給決定金額が6,009百万円となっており、現行制度となった平成10年度と比較して支給決定件数で約2倍、支給決定金額で1.6倍の伸びを示しており、障害者雇用における事業主の経済的負担を軽減し、障害者雇用の促進と維持に有効な手段である。
 また、トライアル雇用については、トライアル雇用を開始した2,181人のうち、約8割の1,730人が本雇用へ移行するという実績を上げており、有効性は高い。

〈参考指標〉
  障害者雇用納付金制度に基づく助成金の実績
  H10 H11 H12 H13
支給決定件数(件) 5,670 7,799 9,648 11,108
支給決定金額(百万円) 3,824 4,782 4,813 6,009
 評価指標は日本障害者雇用促進協会事業報告書による。現行の制度になってからの集計。

効率性  納付金制度に基づく助成金については、事業主に対して一定の助成を行うことにより、障害者の就業環境の改善等に取り組むことを促進できるため、実績目標の達成において効率的な手段であると考える。 
 また、雇用機会創出事業においては、奨励金一ヶ月あたり1人5万9千円、平成13年度実績344百万円により、トライアル雇用を開始した2,181人のうち、約8割にあたる1,730人が常用雇用へ移行したところであり、低い投入コストにもかかわらず、実績も上がっていることから、本年度は、効率的に運営されているものと考える。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  障害者の雇用については、厳しさを増している雇用情勢の下、求職者数が過去最高を記録するなど厳しい状況にある。その結果、平成13年度の就職件数は、わずかながらも前年度より減少している。さらに、このような状況に対応し、障害者の職場を拡大し、雇用の分野のノーマライゼーションの実現を図るとともに、保険福祉施策との連携による総合的支援の充実を図るため、「障害者の雇用の促進等に関する法律を改正する法律案」を平成14年4月に改正したところである。
施策手段の適正性の評価  雇用失業情勢が厳しい中、各指標はおおむね現状の水準を保っており、昨年度から実施された雇用機会創出事業がめざましい実績を上げるなど、障害者の雇用の促進を図るための適正な手段であると考える。
総合的な評価  昨年度に実施された施策については、厳しい雇用失業情勢が続く中で、劇的な効果はないものの、着実に実績を残していると認識しており、障害者の雇用の促進に大きく寄与しているものと考える。


3.政策への反映方針

 障害者を取り巻く社会経済情勢が依然として厳しい中、14年度においては、4月に可決・成立した「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」に基づき施策のさらなる充実と着実な実施を図ることとする。
 なお、平成15年度概算要求において、継続事業のうち障害者試行雇用事業、IT技術を活用した重度障害者の職業自立推進事業など障害者雇用対策関係事業(要求額1,172百万円)は、障害者の自立を支援するための事業であり、「新重点4分野」の「(1) 人間力の向上・発揮」に資することから優先性を有すると考える。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 「我が国の障害者雇用施策においては、障害者雇用率制度が最も重要な柱の一つであって障害者の雇用の場の確保、職域の拡大に大きく寄与している。企業、国、地方公共団体等においては、雇用率未達成を目標として障害者雇用の更なる積極的取組が望まれるとともに、雇用率達成指導や納付金制度の活用、障害種別の特性に配慮した雇用管理のノウハウの提供や職域の開拓等により、一層の障害者雇用の促進が図られることが必要である。(「労働政策審議会障害者雇用分科会意見書」平成14年1月9日、労働政策審議会)

(2)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「雇用率制度の厳正な運用を図るため、企業名及びその雇用率の公表を前提とした指導を強化するとともに、必要な体制整備に努めること。」「障害者のトライアル雇用を実施する障害者雇用機会創出事業については、その実績にかんがみ、十分な運用が可能となるよう配慮すること。」(「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」平成14年4月23日、参議院厚生労働委員会)
 「企業名及びその雇用率の公表を前提とした指導を強化して雇用率制度の厳正な運用を図るとともに、そのための体制整備に努めること。」(「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」平成14年4月10日、衆議院厚生労働委員会)


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