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(4−2−V)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
V 産業の特性に応じた雇用の安定を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課建設・港湾対策室
関係課 職業安定局雇用開発課農山村雇用対策室


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づき、その雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 雇用管理責任者に対して必要な知識の習得及び向上を図るための研修を行う。また、教育訓練、福利厚生及び雇用改善等に取り組む事業主に対して、その取組みを促進させるため必要な経費を助成する。
(評価指標)
 雇用管理研修等受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
11,420 13,193 11,181 9,242 8,104
(備考)
 評価指標は、雇用管理研修、職長研修又は雇用管理援助担当者研修を受講した雇用管理責任者の人数。
 評価指標は、雇用・能力開発機構調べによる。
(評価指標)
 建設雇用改善助成金の支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13
53,742 54,854 58,570 58,757 55,021
(備考)
 評価指標は、雇用・能力開発機構調べによる。
(評価指標)
建設雇用改善助成金の支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
7,375,230 6,655,206 6,327,374 6,079,652 5,309,446
(備考)
 評価指標は、雇用・能力開発機構調べによる。
実績目標2 港湾労働者の雇用の改善等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 港湾運送に必要な労働力の確保に資するため、港湾労働者派遣事業の運営を行う派遣元責任者に対し派遣元事業主における適正な雇用管理及び事業運営の適正化のための研修を行うとともに、港湾労働者の福祉の増進を図るため、雇用管理者に対して適正な雇用管理を行うための知識の習得及び向上を図るための研修を行う。
(評価指標)
 派遣元責任者研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
1,046 192
(備考)
 平成12年度は法改正により港湾労働者派遣制度を開始した最初の年度であり、派遣制度を活用するため、派遣の許可取得に必要な当該研修に多くの受講者が集まった。
 このため、平成12年度の評価指標は例外であり、平成13年度以降の派遣元責任者研修の受講者数を評価指標としてみるのが適当である。
(評価指標)
 雇用管理者研修の受講者数
H9 H10 H11 H12 H13
 496  606  688 1,044  501
(備考)
 平成12年度の雇用管理者研修については、当時開始された港湾労働者派遣制度に関する説明も行ったため、多数の受講者が集まった。
 このため、多数の受講者数がでた平成12年度の評価指標は例外である。
(評価指標)
 常用港湾労働者の就労割合
H9 H10 H11 H12 H13
98.6 98.8 98.6 98.0 98.0
(備考)
 評価指標は、港湾労働者(常用労働者、派遣労働者、日雇労働者)の就労日数のうち常用労働者及び派遣労働者の就労日数の占める割合。
 この指標は、港湾労働者派遣制度の迅速かつ適正な活用等により、日雇労働者に頼らない常用労働者の労働力の確保の割合をみるもの。
実績目標3 林業事業体の事業主等に雇用管理改善の必要性と知識を普及することにより、雇用管理改善を推進し、林業労働者の労働力確保を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 雇用管理改善を促進するため、林業関係の事業主団体等に林業雇用改善促進事業を委託して、事業主等に対する研修等を実施。
(評価指標)
 雇用管理改善セミナーの開催状況
H9 H10 H11 H12 H13
116
(備考)
 評価指標は、職業安定局調べによる。
(H12年以前は集計をしていない)
(評価指標)
 農林漁業労働者の充足率
H9 H10 H11 H12 H13
28.4 34.4 37.6 35.2 41.7
(備考)
 評価指標は、職業安定業務統計による。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づき、その雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図ること
有効性  建設雇用改善助成金支給決定件数等(13年度実績55,021件、5,309,446千円)及び雇用管理研修等受講者数(13年度実績8,104人)は、最近ではやや減少傾向にあるが、建設業における事業主の雇用改善等への取組みは景気に大きく左右されるものであり、建設労働者の雇用の改善等に取り組もうとする事業主に対して、必要な経費を助成し、その取組を推進していくことは、建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図る上で引き続き重要である。
効率性  建設労働者の雇用の改善等を図るための措置は、直接収益に結びつくものでないこと、また、公共投資の大幅な減少や不良債権処理の急速な進展などによって経営的に厳しいことから、助成金の有効な活用がなければ雇用の改善等の推進が困難となる。したがって、厳しい経営が迫られている中で、必要な経費を助成することで、雇用の改善等を推進できることは、建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図る上で効率的である。
実績目標2 港湾労働者の雇用の改善等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図ること
有効性  派遣元責任者講習については、約200名が受講したことにより、新たに派遣元責任者としての資格を得たこととなり、派遣事業における適正性や信頼性の確保が強化された。また、雇用管理者研修については、平年度とほぼ同水準の約500名の雇用管理者に対して、常用労働者によって荷役作業を行うことを原則とする港湾労働法の趣旨の徹底を図っている。これらの取組みにより港湾運送に必要な労働力の確保や港湾労働者の福祉の増進が図られ、常用港湾労働者の就労割合が98.0%という高い水準を維持している。したがって、派遣元責任者研修及び雇用管理者研修を行うことは、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図る上で有効である。
効率性  派遣元責任者研修及び雇用管理者研修を行わなければ、市場に不適切な事業者が参入することにより指導監督事務が増大し、また、事後の適正な運営を継続的に確保することが困難となる。したがって、派遣元責任者研修及び雇用管理者研修を行うことは、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の福祉の増進を図る上で効率的である。
実績目標3 林業事業体の事業主等に雇用管理改善の必要性と知識を普及することにより、雇用管理改善を推進し、林業労働者の労働力確保を図ること
有効性 平成13年度は116の雇用管理改善セミナーが開催され、研修を行うとともに相談・指導及び採用改善を行ったことにより、林業事業主、労務管理担当者等に雇用管理改善の必要性の認識と知識が普及し、雇用管理に関する意識が高まった。平成13年度の農林漁業の充足率は41.7%と高くなっている。また、林業への新規就業者数は平成12年から13年にかけて若干減少したが、増加傾向にあり、林業雇用改善推進事業は有効であるといえる。
(参考)
 新規参入者数(人)(林野庁業務資料)
 平成8年 1,513
 平成9年 1,631
 平成10年 1,653
 平成11年 2,065
 平成12年 2,310
 平成13年 2,290
効率性  雇用管理改善セミナーについては、林業の実情に詳しい林業関係団体を委託先としており、その結果として、地域の実情に応じた雇用管理改善に取り組むことができ、効率的な事業の推進が行われている。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析
(1) 建設労働者関係については、厳しい経済情勢のため、工事受注が減少するなど難しい経営が迫られており、雇用の改善等が進みにくい環境にある。
(2) 港湾労働者関係については、昨今の厳しい経済情勢の中で、労働者を常用労働者から、より安価な日雇労働者への切り替えが行われることが危惧されている。
(3) 林業労働者関係については、新規就業者数は増加の傾向にあるものの、平成12年国勢調査の結果では林業就業者数は6万8千人とさらに減少している。うち50歳以上が68%と、平成7年より下がったものの、高齢者が多数を占めている。
 世代交代が必要であるが、木材価格の低迷等から事業量が少なく林業事業体の経営が厳しいことから、求人が増加する一方で、定着して林業の将来を担いうる若年者でその求人を充足することが難しいというミスマッチがみられている。
施策手段の適正性の評価
(1) 建設労働者関係については、雇用管理研修等受講者数は前年に比べて減少しているものの、雇用管理研修は、雇用管理責任者に対し雇用管理を行うために必要な知識を習得させようとするものであり、研修で習得された知識は雇用管理責任者を通じて事業場に直接反映されるなどその効果は高く、かかる研修を受講させることは、雇用の改善等を図る上で必要不可欠である。また、最近では建設雇用改善助成金支給決定件数等が多少増減しているものの、助成金の活用は、事業主の雇用の改善等の取組みを支援していくために必要不可欠である。
(2) 港湾労働者関係については、雇用の改善等や適切な港湾労働者派遣事業の運営等を行うには、それらを担う雇用管理者や派遣元責任者の適正かつ効果的な育成が必要不可欠であり、その結果、13年度の常用港湾労働者の就労割合は98.0%という高い水準を維持している。
(3) 林業労働者関係については、林業の実情に詳しい林業関係団体が地域の実情に応じて雇用改善に有効な事業に取り組むことにより効率的な事業の推進が確実なものとなった。
総合的な評価
(1) 建設労働者関係については、雇用管理研修等受講者数や建設雇用改善助成金支給決定件数等は、最近ではやや減少傾向にあるものの、厳しい経済情勢下において、雇用管理研修及び助成金が建設労働者の雇用の改善等に対して果たした役割は大きいものであり、建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進が図られるものになっている。
(2) 港湾労働者関係については、雇用管理者による港湾労働者の雇用の改善等及び派遣元責任者による港湾労働者派遣事業の適切な運営により、港湾運送に良質な労働力を確保できた結果、13年度の常用港湾労働者の就労割合は98.0%という高い水準を維持しており、港湾労働者の福祉の増進が図られるものになっている。
(3) 林業労働者関係については、平成13年度の農林漁業の充足率は41.7%と高く、また、上昇しており効果的であった。


3.政策への反映方針

(1) 建設労働者関係については、厳しい経済情勢のため、工事受注が減少するなど難しい経営が迫られている中で、雇用管理研修の実施、助成金の活用により、雇用の改善、能力の開発・向上及び福祉の増進が図られているため、現行の施策を継続することとする。
(2) 港湾労働者関係については、昨今の厳しい経済情勢の中で、労働者を常用労働者から、より安価な日雇労働者への切り替えが行われることが危惧される中で、雇用の改善等や適切な港湾労働者派遣事業の運営等により港湾運送に必要な質の高い労働力が確保され、常用労働者の就労割合は、高い水準を保っているため、現行の施策を継続することとする。
(3) 林業労働者関係については、当事業は一定の成果を挙げているところであるが、今後、地球環境問題への対応により、森林整備の必要性から林業を巡る状況が変化することが考えられるため、林野庁と連携しながら地域求職活動援助事業(地域林業雇用改善促進事業)を活用した効果的方法を検討することとする。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
特になし。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第 10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
 平成13年12月19日に閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」において、雇用・能力開発機構の助成金事業につき講ずべき措置として、「国が明確な政策目標を定め、併せて当該目標が達成された場合又は一定期間経過後には助成措置を終了することを明記する。さらに、事後評価を行い、その評価結果を踏まえて助成の在り方を適宜見直す」こととされている。本政策目標が達成された場合には、当該計画を踏まえ、建設雇用改善助成金については終了するものとする。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
特になし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
特になし

(5)会計検査院による指摘
特になし


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