戻る

(4−2−II)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
II 地域の実情に即した雇用機会の創出等を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課
関係課 職業能力開発局育成支援課


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 雇用機会が不足している地域の雇用開発を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 雇用機会が不足している地域における雇用構造の改善を図るため、その地域内で事業所を設置又は整備し、その地域に居住する求職者等を、常用労働者として雇い入れる事業主に対して地域雇用開発促進助成金(平成13年10月より)を支給する。
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定人数
H9 H10 H11 H12 H13

(7,406)

(3,364)

(2,736)

(4,107)

(4,054)
(備考)
平成13年10月に地域雇用開発助成金を整理統合し創設。
本助成金のうち、対象労働者の雇入れ人数に対して支給される地域雇用促進奨励金は、事業所の設置・整備及び雇入れ完了日から6ヶ月後に支給となるため平成13年度中の支給はない。
( )内の数値は旧制度(地域雇用開発助成金)のものである。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13

(8,131)

(3,883)

(3,220)

(4,880)
1
(6,148)
(備考)
平成13年10月に地域雇用開発助成金を整理統合し創設。
なお、平成13年度実績は、本助成金のうち事業所の設置・整備及び雇入れ終了時に、事業所の設置・設備費用助成として支給される地域雇用促進特別奨励金によるものである。
( )内の数値は旧制度(地域雇用開発助成金)のものである。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
実績目標2 能力のミスマッチが発生している地域の雇用開発を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 能力のミスマッチが発生している地域の雇用開発促進のために、当該地域内の求職者を雇い入れ、当該雇い入れ者に対して職業訓練を受けさせ、又は職業能力開発休暇を付与する事業主に対して地域人材高度化能力開発助成金(平成13年10月より)を支給する。
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給決定件数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
(備考)
平成13年10月にキャリア形成促進助成金の特例として創設。本助成金は、訓練終了後直近の4月もしくは10月に支給のため平成13年度中の支給はない。
評価指標は職業能力開発局調べによる。
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
(備考)
平成13年10月にキャリア形成促進助成金の特例として創設。本助成金は、訓練終了後直近の4月もしくは10月に支給のため平成13年度中の支給はない。
評価指標は職業能力開発局調べによる。
実績目標3 地域求職者に関する情報が適切に提供されていない地域の雇用開発を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地域求職活動援助計画に係る地域において、求職者に対して求人に関する情報を適切に提供するため、人材受入情報の収集・提供、企業合同説明会、職業講習の実施等の事業を実施し、求職者の安定した職業への就業を援助する。
(評価指標)
地域求職活動援助事業に係る企業合同説明会等の実施回数
H9 H10 H11 H12 H13
41
(備考)
平成13年10月1日施行。企業合同説明会(17府県22地域にて実施。)の実施回数。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
(評価指標)
地域求職活動援助事業に係る企業合同説明会等の参加者数
H9 H10 H11 H12 H13
15,293
(備考)
平成13年10月1日施行。企業合同説明会(17府県22地域にて実施。)の参加者数。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
実績目標4 高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域の雇用開発を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域の雇用開発を促進するために、当該地域に所在する事業所であって、高度技能労働者を雇い入れ、又は労働環境改善に資する設備もしくは福祉施設を設置・整備して、併せて新たに地域求職者等を雇い入れる事業主に対して、地域雇用開発促進助成金を支給する(平成13年10月からの措置)。また、その雇用する労働者に対して職業訓練を受けさせ、又は職業能力開発休暇を付与する事業主に対して地域人材高度化能力開発助成金を支給する(平成13年10月より)。
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定人数
※( )内の単位は支給決定件数
H9 H10 H11 H12 H13

(−)

(19)

(90)

(57)

(57)
(備考)
平成13年10月に地域雇用開発助成金を整理統合し創設。
本助成金のうち、対象労働者の雇入れ人数に応じて支給される地域雇用促進奨励金は、事業所の設置・整備及び雇入れ完了日から6ヶ月後に支給となるため平成13年度中の支給はない。
( )内の数値は旧制度(地域高度技能人材確保助成金)のものである(単位は支給決定件数)。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
(評価指標)
地域雇用開発促進助成金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13

(8)

(120)

(234)

(193)
1
(152)
(備考)
平成13年10月に地域雇用開発助成金を整理統合し創設。
なお、平成13年度実績は、本助成金のうち事業所の設置・整備及び雇入れ終了時に、事業所の設置・設備費用助成として支給される地域雇用促進特別奨励金によるものである。
( )内の数値は旧制度(地域高度技能活用雇用環境整備奨励金)のものであり、労働環境改善設備又は福祉施設の設置・整備を行い、併せて地域求職者を雇い入れた場合の事業主に対する助成として支給されたものである。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給決定件数(人)
H9 H10 H11 H12 H13

(45,313)

(140,740)

(175,143)

(80,213)

(55,499)
(備考)
平成13年10月にキャリア形成促進助成金の特例として創設。本助成金は、訓練終了後直近の4月もしくは10月に支給のため平成13年度中の支給はない。
( )内の数値は旧制度(地域人材高度化能力開発給付金)のもの
評価指標は職業能力開発局調べによる。
(評価指標)
地域人材高度化能力開発助成金の支給金額
H9 H10 H11 H12 H13

(931)

(3,569)

(4,614)

(1,985)

(1,384)
(備考)
平成13年10月にキャリア形成促進助成金の特例として創設。本助成金は、訓練終了後直近の4月もしくは10月に支給のため平成13年度中の支給はない。
( )内の数値は旧制度(地域人材高度化能力開発給付金)のもの
評価指標は職業能力開発局調べによる。
実績目標5 緊急地域雇用創出特別交付金を活用して、各地域のニーズを踏まえた事業を実施し、公的部門における緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図ること。
(実績目標を達成するための手段の概要)
 緊急地域雇用創出特別交付金は、構造改革の集中調整期間における臨時応急の措置として、地方公共団体が地域の実情に応じて、創意工夫に基づく事業を実施し、臨時的な雇用・就業機会を創出するもの(平成16年度末まで)。
(参考)
平成13年度予算第一号補正額 3,500億円
(評価指標)
緊急地域雇用創出特別交付金事業費
H9 H10 H11 H12 H13
8,900
(備考)
評価指標は、「緊急地域雇用創出特別基金事業実績報告書(平成13年度第4四半期)」による。
(評価指標)
新規雇用・就業者数
H9 H10 H11 H12 H13
23,000
(備考)
評価指標は、「緊急地域雇用創出特別基金事業実績報告書(平成13年度第4四半期)」による。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 雇用機会が不足している地域の雇用開発を促進すること
有効性  地域雇用開発促進助成金は、平成13年10月に地域雇用開発助成金を整理統合し、創設したものであるため、平成13年度の支給実績は出ていない段階である(助成期間(6ヶ月間)の都合により平成13年度分支給は平成14年度に発生する)が、助成金を活用しようとする計画の受理状況(平成13年10月から3月まで)を見ると、雇用機会が不足している地域において4,821人の雇用創出が見込まれており、施策としての有効性は高いと考えられる。

(参考)
地域雇用開発促進助成金
平成13年度計画受理人数 4,821人
効率性  地域雇用開発促進助成金は、地域雇用開発等促進法に基づく各種助成金が、地域類型創設のたびにそれぞれの目的に沿って類似創設され、煩雑化してきたことから、経済・産業構造の転換等に伴う地域雇用対策の見直しを踏まえ、地域の実情に応じた助成という基本的な考え方は維持しつつ、整理合理化し、平成13年10月に創設されたものである。
 支給手続きに関しても支給対象労働者の賃金額により助成額を算定する方式から確定保険料により助成金額を算定する方式に改めるなど、簡素合理化を図っている。
 これにより、利用者にとって助成金の選択が容易となり、また安定所職員の作業効率の改善も図られている。
実績目標2 能力のミスマッチが発生している地域の雇用開発を促進すること
有効性  地域人材高度化能力開発助成金は、平成13年10月に地域人材高度化能力開発給付金等を整理統合し、創設したものであるため、平成13年度の支給実績は出ていない段階である(支給期間の都合により平成13年度分支給は平成14年度に発生する)。
 そのため、現段階で地域人材高度化能力開発助成金につき有効性を判断することは困難である。
効率性  地域人材高度化能力開発助成金は地域人材高度化能力開発給付金等の助成金を整理合理化し、キャリア形成助成金の特例として平成13年10月に創設されたもので、教育訓練への助成に加えて、雇用する労働者が教育訓練を受けるために職業能力開発休暇を与える場合にも助成することとなっており、より効果的に能力開発を支援するものとなっている。
 支給手続きに関しても支給対象労働者の賃金額により助成額を算定する方式から確定保険料により助成金額を算定する方式に改めるなど、簡素合理化を図っている。
実績目標3 地域求職者に関する情報が適切に提供されていない地域の雇用開発を促進すること
有効性  求人に関する情報が適切に提供されていない地域内の求職者に対して、地域求職活動援助事業を活用し、従事する業務内容、労働条件等適切な人材受け入れ情報の提供等を行うことにより、当該求職者の就職活動の改善を図っている。平成13年度は17府県22地域において、計41回の企業合同説明会を開催し、15,293人の参加があり、当該地域内の求職者の就職活動の円滑化に有効であったといえる。
効率性  地域雇用開発促進法に基づき、都道府県が計画を策定し、厚生労働大臣が同意した場合に、雇用保険三事業に合致するものについて委託事業を実施することとしている。
 このことから、各都道府県の自主性が発揮され、地域の実情に応じた雇用開発が効率的に推進されている。
実績目標4 高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域の雇用開発を促進すること
有効性  地域雇用開発促進助成金および地域人材高度化能力開発助成金は、平成13年10月に創設したものであるため、平成13年度の支給実績は出ていない段階である(平成13年度分支給は平成14年度に発生する)。地域雇用開発促進助成金を活用しようとする雇入れ計画の受理状況(平成13年10月から平成14年3月まで)から雇用開発(雇入れ)予定数を見ると、49人となっている。
効率性  地域雇用開発促進助成金は、地域雇用開発等促進法に基づく各種助成金が、地域類型創設のたびにそれぞれの目的に沿って類似創設され、煩雑化してきたことから、経済・産業構造の転換等に伴う地域雇用対策の見直しを踏まえ、地域の実情に応じた助成という基本的な考え方は維持しつつ、整理合理化し、平成13年10月に創設されたものである。
 地域人材高度化能力開発助成金は地域人材高度化能力開発給付金等の助成金を整理合理化し、キャリア形成助成金の特例として平成13年10月に創設されたもので、教育訓練への助成に加えて、雇用する労働者が教育訓練を受けるために職業能力開発休暇を与える場合にも助成することとなっており、より効果的に能力開発を支援するものとなっている。
 支給手続きに関しても支給対象労働者の賃金額により助成額を算定する方式から確定保険料により助成金額を算定する方式に改めるなど、簡素合理化を図っている。
 これにより、利用者にとって助成金の利用が容易となり、また安定所職員の作業効率の改善も図られている。
実績目標5 緊急地域雇用創出特別交付金を活用して、各地域のニーズを踏まえた事業を実施し、公的部門における緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図ること。
有効性  緊急地域雇用創出特別交付金は、平成13年度第一号補正において3,500億円を確保し、各都道府県に交付して平成14年1月から各事業が開始されたところである。平成13年度における事業額及び新規雇用・失業者数は、それぞれ約89億円及び約23,000人となっており、地域ニーズに応じた臨時・応急的な雇用創出が図られている。
効率性  緊急地域雇用創出特別交付金は、平成11年度補正で行われた緊急地域雇用特別交付金の一部に雇用創出効果が低い事業がみられたなどの問題点を踏まえ、地域の実情に応じたものという基本的な考え方は維持しつつ、新たに、都道府県事業計画全体で、(1)事業費に占める人件費の割合が概ね8割以上であること、(2)失業者の雇入れ割合が概ね3/4以上であること等の要件を設け、より雇用創出が高い事業を企画するようにしたところである。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  現在、地域ごとの雇用情勢には大きな格差があり、完全失業率(平成14年4月〜6月)を地域ブロックごとに見ると、北陸(3.9%)、中国(4.3%)、東海(4.4%)などが比較的低水準であるのに対し、近畿(6.8%)、東北(6.4%)、九州(6.3%)などは6%を超えて高水準となっている。
 このように地域により状況は異なり、地域の特性に応じた雇用機会の創出を図るためには、地方自治体の産業政策、地域振興策と連携した雇用対策の推進が必要となっている。
 また、地域雇用開発促進法に基づく各地域については、平成14年3月末現在で雇用機会増大促進地域が3府県4地域、能力開発就職促進地域が3県4地域、求職活動援助地域が17府県22地域、高度技能活用雇用安定地域が27都府県25地域となっており、各地域の実情に応じた施策が実施されている。
施策手段の適正性の評価  地域の実情に即した雇用機会の創出には、地域の特性に応じた支援が必要であり、地域雇用開発促進法(平成13年10月施行)においては、各地域の実情に応じて類型化し、事業所の設置・整備に伴う雇入れ助成(地域雇用開発促進助成金)、教育訓練等に対する助成(地域人材高度化能力開発助成金)、求職者に対する情報提供等(地域求職活動援助事業)の支援を行っている。また、地域ニーズに応じた臨時・応急的な雇用機会の創出を図るため緊急雇用創出特別交付金を各都道府県に交付している。
 地域雇用開発促進助成金については、創設された当初であり、実績が出ていないために評価は困難であるが、雇用機会が不足している地域においては、計画による雇用予定数が4,821人となっており、今後効果があるものと考えられる。
 ただし、高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域においては、雇入れ予定数は49人となっており、現時点では必ずしも高い効果が見込まれる状況ではないものと考えられる。
 地域人材高度化能力開発助成金については、支給実績が出ていないため、評価は困難であるが、今後効果があるものと考えられる。
 地域求職活動援助事業については、合同説明会に15,000人を超える参加があり、当該地域内の求職者の就職活動の改善に効果があったと考えられる。
 また、緊急地域雇用創出特別交付金については、地方公共団体が外部委託を中心に、地域ニーズに応じ、緊急かつ応急の雇用創出を行う事業を企画・実施しており、平成13年度には約23,000人の新規雇用創出が図られており、地域における雇用創出に一定の効果があったものと考えられる。
総合的な評価  雇用機会が不足している地域においては、地域雇用開発促進助成金の活用により、今後、効果が現れるものと考えられる。ただし、高度技能労働者を活用する事業所が集積している地域における同助成金については、必ずしも高い効果が見込まれる状況にないため、雇用機会の創出への支援という政策目的の達成が真に図られているか検証し、在り方について検討していく必要がある。地域人材高度化能力開発助成金については、支給実績が出ていない段階であり、今後効果があるものと考えられるが、実績により見直しの検討も考えられる。
 地域求職者に関する情報が適切に提供されていない地域で実施されている地域求職活動援助事業については、地域の求職活動を円滑にする効果があったと考えられ、今後は都道府県との連携をより強め、地域の産業政策や地域振興策とあいまった事業を実施していく必要がある。
 また、緊急地域雇用創出特別交付金については、平成16年度末までの措置として、地域における臨時的かつ緊急の雇用創出が図られているところである。
 以上より、実績が未確定のため評価が困難な部分および実績によっては見直しの検討が考えられる部分もあるが、全体としては地域の雇用開発に効果があったといえる。


3.政策への反映方針

 地域雇用開発促進助成金については、雇用機会の創出への支援という政策目的の達成が真に図られているか検証し、労働政策審議会職業安定分科会等の意見も踏まえつつ、必要に応じて見直しを検討することとする。
 地域求職活動援助事業については、都道府県との連携をより強め、地域の産業政策や地域振興策とあいまった事業を実施していく。また、平成15年度からは一部新規として、自営廃業に伴う離職者等が再就職活動に必要な情報提供や職場定着のための事業を行うこととしており、地域の求職活動を円滑にするさらなる効果が期待される。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
 緊急地域雇用創出特別交付金は、平成13年9月20日に産業構造改革・雇用対策本部で「地域の実情に応じた雇用創出を推進していくため、改正雇用対策法の施行にあわせ見直しをする助成金制度の効果的な運用に努めるとともに、今年度までの事業である「緊急地域雇用特別交付金」の見直しを行う。」と決定されたことを踏まえて創設された。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


トップへ
戻る