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(3−1−II)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働条件の確保・改善を図ること
II 労働時間対策の推進を図ること
担当部局・課 主管課 労働基準局賃金時間課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標 労働時間短縮の促進を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働時間短縮に係る政府目標である年間総実労働時間1800時間の達成に向け、所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、週40時間労働制の定着を図るため以下の取組を行う。
時間外労働時間数の限度基準の設定及びその履行確保に向けた指導
労働時間の短縮を図るための措置に係る事業主等に対する相談その他の援助
事業主の団体で労働時間の短縮に関する援助を行うもの又は労働時間の短縮を行う事業主に対する助成金の支給
労働時間の短縮に関する情報及び資料の総合的な収集並びに事業主等に対する提供
労働時間の短縮に関する啓発活動
(評価指標)
労働時間の状況(年間総実労働時間等)
H9 H10 H11 H12 H13
1,896 1,868 1,848 1,854 1,843
(備考)
 資料出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
(評価指標)
助成金の支給状況(労働時間制度改善助成金等の支給件数)
・労働時間制度改善助成金
H9 H10 H11 H12 H13
20
・長期休暇制度基盤整備助成金 25
(備考)


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標 労働時間短縮の促進を図ること
有効性  平成13年度の年間総実労働時間数は1,843時間で、前年度の1,854時間から11時間減少し目標としている1,800時間に一歩近づき、そのうち、所定外労働時間数についても前年度の140時時間から133時間に減少している。
 労働時間短縮を目的とした助成金の1つである長期休暇制度基盤整備助成金については、平成13年度は25団体(構成事業場数9,783)に対して支給した。構成事業場における年次有給休暇取得率は事業開始前には40.0%であったものが、終了時には45.0%に上昇するなど、労働時間短縮に向け少しずつではあるが着実に効果をあげている。また、これらの助成金の支給に加え、事業主等に対し労働時間に関する制度改善の取組に関する研修、事業場における労働時間短縮の阻害要因の分析・把握、専門家からの助言・指導等を行ったことにより、変形労働時間制等を導入し所定外労働時間を短縮した事業場や年次有給休暇の計画的取得を進め年次有給休暇取得率を向上させた事業場が相当数みられることから、これらの施策は全体としては有効に実施されている。
効率性  総労働時間数自体の減少は見られたものの年次有給休暇の取得が進まない状況にあるが、例えば長期休暇制度基盤整備助成金の対象となった団体においては、計画年休の導入事業場が2.5倍、年休の取得率が5割台から7割台になる例も出るなど大きく改善しており、運営プロセス等の効率性には問題がない。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  年間総実労働時間数は、政府が労基法の改正を行って本格的に時短に取り組み始めた昭和62年の2,120時間から着実に減少を続け減少の傾向にある。〔厚生労働省「毎月勤労統計調査」〕
 平成13年度の年間総実労働時間数は1,843時間で、前年度の1,854時間から11時間減少し目標としている1,800時間に一歩近づいた。うち、所定外労働時間数についても前年度の140時時間から133時間に減少している。一方、1年前のデータとなるが平成12年の年次有給休暇の取得率は、49.5%(平成11年50.5%)〔就労条件総合調査、賃金労働時間制度等総合調査〕と低下した。
施策手段の適正性の評価  対象別(個別事業主、事業主団体)に個々の施策手段は計画的に実行されており、有効に機能していると考える。労働時間短縮を目的とした助成金の1つである長期休暇制度基盤整備助成金については、平成13年度は25団体(構成事業場数9,783)に対して支給した。構成事業場における年次有給休暇取得率は事業開始前には40.0%であったものが、終了時には45.0%に上昇するなど、労働時間短縮に向け少しずつではあるが着実に効果をあげている。また、これらの助成金の支給に加え、事業主等に対し労働時間に関する制度改善の取組に関する研修、事業場における労働時間短縮の阻害要因の分析・把握、専門家からの助言・指導等を行ったことにより、変形労働時間制等を導入し所定外労働時間を短縮した事業場が相当数みられることから、これらの施策は全体としては有効に実施されている。
総合的な評価  年間総実労働時間は減少していることから、個々の施策手段は妥当であると考える。しかしながら、1,800時間という目標が未達成であることから、更に効率的に年次有給休暇の取得率向上及び所定外労働削減のための取組を促進する必要がある。特に年次有給休暇取得促進のための一助として長期連続休暇の取得促進に係る利用促進が必要である。


3.政策への反映方針

 総労働時間数自体の減少は見られたものの年次有給休暇の取得が進まない状況にあり、また、年休取得促進に係る支援措置の利用も十分ではないため、既存の各種事業、措置の有効活用を図るとともに長期連続休暇の取得促進のため年次有給休暇の計画的取得を促す利用促進が必要である。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 平成13年10月に10年ぶりに「所定外労働削減要綱」を改定(平成13年10月16日改正)したが、これに先立ち有識者による研究会を開催、その議論を踏まえて案を作成し、その後、労働政策審議会労働条件分科会の了承を得た。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 「所定外労働の削減等による年間総実労働時間1800時間の達成・定着、フレックスタイム制の普及等による自律的、創造的かつ効率的な働き方の実現。」(資料出所:経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針[平成11年7月8日閣議決定])
 「労働時間の短縮の流れを一層確実なものとし、平成17年度までの間に年間総実労働時間1800時間の達成・定着を図るため、年次有給休暇の取得促進及び所定外労働の削減に重点を置いて取組を進める。」(資料出所:労働時間短縮推進計画 平成13年8月3日閣議決定)

 平成14年6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」中、長期連続休暇制度の導入促進に係る記述が、盛り込まれている。
 ○人間力戦略
  ・厚生労働省、関係府省は、長期連続休暇制度の導入促進に努める。
 ○産業発掘戦略
  ・厚生労働省、国土交通省等の関係府省は協力して、平成14年度から、学校の夏休みの一部を秋休みに移行したり、長期休暇を地域ごとにずらすなどの休暇の分散化を推奨するとともに、年休計画表の作成の一層の促進等を通じ、休暇の長期連続化や休暇取得時期の多様化を推奨する。文部科学省は必要に応じ協力する。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 ○「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案」の審議の際、衆参両院で、各派共同提案による附帯決議案が提出され、いずれも全会一致で採択された。
平成13年3月23日 衆議院労働委員会
 「政府は、累次の経済計画における国際公約ともなっている年間総実労働時間千八百時間が未だ達成されていないことも踏まえ、一日も早く国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現できるよう、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 政府目標である年間総実労働時間千八百時間を実現するため、関係省庁間の連携・協力を一層強化し、本法に基づく実効性ある労働時間短縮推進計画を策定し、政府の強い指導により労働時間短縮対策を総合的に推進すること。
 時間外労働を削減するため、限度基準に基づく指導に努めるとともに、「所定外労働削減要綱」について、実効性を高めるよう見直しを行い、これに基づく周知を行うこと。また、いわゆる「サービス残業」は違法であることから、労働時間管理の徹底を指導するなど、監督行政による重点的な監督指導を行うこと。
 男女共同参画社会に向けた新しい働き方の実現のための時間外労働の限度基準の見直し、並びに、時間外・休日及び深夜労働の割増率の水準の見直しについて、検討を行うこと。
 年次有給休暇の取得率向上に向けて、長期休暇制度の普及促進等実効性ある施策を行うこと。
 本年四月一日より一週四十四時間に短縮される特例措置対象事業場を含め中小零細企業における労働時間短縮の促進のための環境整備その他必要な援助等を行うこと。
 変形労働時間制、及び裁量労働制の運用にあたっては、長時間労働にならないよう適切な監督指導を実施し、制度の趣旨を踏まえた適正な労働条件の確保を図るものとすること。」
平成13年3月29日 参議院労働委員会
 「政府は、累次の経済計画における国際公約ともなっている年間総実労働時間千八百時間が未だ達成されていないことも踏まえ、一日も早く国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現できるよう、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 政府目標である年間総実労働時間千八百時間を早期に実現するため、関係省庁間の連携・協力を一層強化し、本法に基づく実効性ある労働時間短縮推進計画を策定し、政府の強い指導により労働時間短縮対策を総合的に推進すること。
 年次有給休暇の取得率向上に向けて、計画年休制度の導入促進や長期休暇制度の普及促進等実効性ある施策を推進すること。
 時間外労働を削減するため、限度基準に基づく指導に努めるとともに、「所定外労働削減要綱」について、実効性を高めるよう見直しを行い、これに基づく周知を行うこと。また、いわゆる「サービス残業」は違法であることから、この解消に向けて、始業、就業時刻の把握等労働時間管理の徹底を指導するなど、重点的な監督指導を行うこと。
 男女共同参画社会に向けた新しい働き方の実現のための時間外労働の限度基準の見直し、並びに、時間外・休日及び深夜労働の割増率の水準の見直しについて、検討を行うこと。
 本年四月一日より一週四十四時間に短縮される特例措置対象事業場を含め中小零細企業における労働時間短縮の推進のための環境整備その他必要な援助等を行うこと。
 変形労働時間制及び裁量労働制の運用に当たっては、長時間労働にならないよう適切な監督指導を実施し、制度の趣旨を踏まえた適正な労働条件の確保を図るものとすること。
右決議する。」

(5)会計検査院による指摘
なし


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