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(1−7−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 血液製剤の国内自給を推進するとともに、安全性の向上を図ること
I 血液製剤の国内自給の推進を図ること
担当部局・課 主管課 医薬局血液対策課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 効果的な献血の普及を推進し、年次計画による原料血漿確保目標量を確保すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地域における効果的な献血の普及活動を推進するとともに、平成10年度以降毎年度、対前年度7万L増の原料血漿確保目標量を設定し、献血可能人口等地域の実情を踏まえて、これを各都道府県ごとに割当てている。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
原料血漿確保量(万L) 77.5 82.6 91.9 95.5 104.3
原料血漿確保目標量(万L) 77.0 80.0 87.0 94.0 101.0
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による。
(評価指標)
 献血者数(万人)
H9 H10 H11 H12 H13
599.9 613.7 613.9 587.8 577.4
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による。
(評価指標)
 献血量(万L)
H9 H10 H11 H12 H13
186.8 193.5 196.5 190.7 191.8
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による。
実績目標2 輸血用血液製剤の国内自給を維持し、血漿分画製剤の国内自給を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 血液製剤の需要を的確に把握し、必要な量の原料血漿を計画的に確保するとともに、適正使用を推進する。
(評価指標)
輸血用血液製剤の国内自給率(%)
H9 H10 H11 H12 H13
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
アルブミン製剤の国内自給率(%) 25.9 26.4 26.9 29.7 33.8
免疫グロブリン製剤の国内自給率(%) 56.4 61.4 66.2 72.6 80.6
血液凝固第VIII因子製剤(血液由来)の国内自給率(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
(備考)
評価指標は、(財)血液製剤調査機構による。
血液凝固第VIII因子製剤の国内自給率は、遺伝子組換え製剤を含めると、平成12年度の33.8%から52.2%に向上しているが、これは一部の輸入製剤について、出荷一時停止問題が生じたことによる。
実績目標3 献血受入体制を整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 主要な駅の周辺(繁華街)に献血ルームを設置するとともに、成分採血装置の整備等を通じて、より効率的に献血への協力を得られるよう環境整備を行う。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
献血ルーム数 117 124 127 123 125
成分採血装置数 2,524 2,574 2,546 2,521 2,481
(備考)
 評価指標は、日本赤十字社による。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 効果的な献血の普及を推進し、年次計画による原料血漿確保目標量を確保すること
有効性  平成13年度においては、前年度原料血漿確保目標量に対して7万L増の101万Lを目標とし、各都道府県ごとに目標量を示して、啓発普及に努める等献血を推進した結果、36都道府県で目標が達成され、全体としても104.3万Lと目標を達成した。 
効率性  平成13年度の献血者数は、対前年比約10万人減であるが、原料血漿の効率的な確保に有効である成分献血者数は8.7万人増であり、これにより原料血漿の確保目標を達成した。
実績目標2 輸血用血液製剤の国内自給を維持し、血漿分画製剤の国内自給を推進すること
有効性  輸血用血液製剤については、引き続き国内自給が達成されている。血漿分画製剤のうち、その多くを輸入に依存しているアルブミン製剤については、「血液製剤の使用指針」等を周知し、適正使用の推進に努めるとともに、計画的に献血を推進することにより、平成13年度の自給率は前年の29.7%から33.8%に向上した。
 また、平成13年度のグロブリン製剤の自給率は、前年度の72.6%から80.6%に向上し、献血由来の血液凝固第VIII因子製剤については、前年に引き続き100%の自給率である(遺伝子組換え製剤を含めると、平成12年度の33.8%から52.2%に向上しているが、これは一部輸入製剤について、出荷一時停止問題が生じたことによる。
実績目標3 献血受入体制を整備すること
有効性  平成10年度以降、献血ルームを拡充・整備することにより成分献血の推進を図っているところである。平成13年の献血ルームにおける成分献血者数は、対前年比8.1%増の125万人であり、血液センター・移動採血車等を含めた受入施設の中で74%に相当し、原料血漿確保に大きく貢献している。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  献血血液による血液製剤の国内自給を達成するため、「血液行政の在り方に関する懇談会」の報告(平成9年12月)に基づき、平成20年に原料血漿150万Lを確保することを目標としている。平成10年度以降原料血漿の計画的な増量を図り、平成13年度においては104.3万Lを確保しており、概ね順調に推移している。
 なお、主な血漿分画製剤の平成13年度の自給率は、アルブミン製剤33.8%、グロブリン製剤80.6%、血液凝固第VIII因子製剤100%(遺伝子組換え製剤を含めると52.2%)である。
施策手段の適正性の評価  血液製剤の国内自給を推進するため、我が国の血液事業は、昭和39年の閣議決定「献血の推進」に基づいて行われており、医療に必要な血液製剤を献血で確保できるよう、献血思想の普及と組織化、献血受入体制の整備について国、地方公共団体、日本赤十字社等の関係者が、それぞれの役割を果たしつつ推進してきている。
 今後、少子高齢化が進展する中で、献血者を確保することは必ずしも容易でないと見込まれることから、地域における効果的な献血の普及活動、献血受入体制の整備等を通じ、計画的に原料血漿の確保を図ることが必要である。
 また、「血液製剤の使用指針」等の策定及び周知により、血漿分画製剤の適正使用が推進されてきたところであるが、なお改善の余地もあると見られることから、一層の取組が必要である。
総合的な評価  献血の推進による計画的な原料血漿の確保、血液製剤の適正使用の推進等により、毎年、献血血液による血液製剤の国内自給率は向上しているが、多くの血漿分画製剤について未だ相当量を輸入に依存している。そのため、今後とも、血液製剤の中長期的な需給見通しに基づき、関係機関の協力を得て献血の推進を図るための体制整備に努め、国内原料血漿の計画的な確保を図るとともに、一層の適正使用を進めること等により、国内自給を推進することとしている。


3.政策への反映方針

 血液製剤の国内自給について、目標を設定し計画的に達成していくことは、極めて重要である。
 このため、「採血及び供血あつせん業取締法」を改正し、新たに「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」とし、その中では、国内自給の原則を「基本理念」として明確化し、関係者の責務を明確にするとともに、国の「基本方針」、「献血推進計画」等に基づき、具体的な施策を推進することとしている。
 なお、血液製剤の使用量など需給に関する状況が変わってきていることから、改正法の施行に併せて、国内自給の達成に向けて今後の需給推計を見直すこととしている。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
特になし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
特になし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
特になし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 平成14年7月24日衆議院厚生労働委員会において、「血液製剤の国内自給が達成できるよう全力の傾注と、献血に対する国民の理解・協力を得るための関係省庁間の連携体制の強化を図るべきである」との旨の委員会決議が行われている。

(5)会計検査院による指摘
特になし


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