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(1−5−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること
I 結核等感染症の発生・まん延の防止を図ること
担当部局・課 主管課 健康局結核感染症課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 都市部におけるDOTS対策の実施を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 住所不定者に代表される社会的・経済的背景から治療を中断し、社会の中で感染源となる者の存在は、近年の結核の増加要因の一つとなっている。また、このような中途半端な治療は、多剤耐性結核を引き起こす危険性も大きい。 
 この問題は、特に都市部で大きく、罹患率の高い地域が存在していることから、有症状健診の実施、直接服薬確認による短期化学療法などからなるDOTS対策を実施し、治療完了率の向上と罹患率の低下を目指す。
(評価指標)新規結核登録患者数
H9 H10 H11 H12 H13
42,715 41,033 43,818 39,384
(評価指標)新規塗抹陽性患者数
H9 H10 H11 H12 H13
15,967 13,405 14,482 13,220
(評価指標)小児(14歳以下)の新規結核登録患者数
H9 H10 H11 H12 H13
285 274 280 220
(備考)平成10年以降は、非定型抗酸菌陽性者数を除く。
平成13年の結核発生動向調査は9月下旬公表予定。
実績目標2 若年層の性感染症対策を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 性感染症は若年層を中心に増加傾向にあるため、感染症法に基づく「性感染症に関する特定感染症予防指針」を踏まえ、性感染症に関する正しい知識の普及、保健所における匿名・無料の検査の実施などの対策を実施する。
(評価指標)淋菌感染症報告数
H9 H10 H11 H12 H13
11,847 16,926 20,471
(評価指標)性器クラミジア報告数
H9 H10 H11 H12 H13
25,033 37,028 40,309
(評価指標)性器ヘルペス報告数
H9 H10 H11 H12 H13
6,566 8,946 9,158
(評価指標)尖形コンジローム報告数
H9 H10 H11 H12 H13
3,190 4,553 5,123
(評価指標)梅毒報告数
H9 H10 H11 H12 H13
735 749 567
(備考)平成11年4月施行の「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく「感染症発生動向調査」による届出医療機関からの報告数であり、全数ではない。(ただし、梅毒は全数)
また、平成11年は4月から12月までの数字である。
実績目標3 法に基づく予防接種の実施を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 国民の健康に大きな影響を及ぼす感染症の発生およびまん延を防止するため、法に基づく予防接種について、予防接種に関する正しい知識の普及、予防接種従事者の資質の向上、健康被害に対する救済措置などを実施する。
(評価指標)ジフテリア報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
 2  1  0
 0  1  0
(評価指標)百日せき報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
2,653 3,804 1,800
 2  0  1
(評価指標)急性灰白髄炎報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
 0  1  0
 0  0  0
(評価指標)麻しん報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
5,958 22,978 35,302
29 18 21
(評価指標)風しん報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
2,972 3,123 2,590
 0  0  1
(評価指標)日本脳炎報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
 5  7  5
 0  1  0
(評価指標)破傷風報告数(上段)
(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
65 91 75
10 10 12
(評価指標)インフルエンザ報告数(上段)、死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
769,964 305,248
575 214
(備考)平成11年4月施行の「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく「感染症発生動向調査」による。
百日せき、麻しん、風しん、インフルエンザの報告数については、届出医療機関からの報告数であり、全数ではない。
また、平成11年は4月から12月までの数字である。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 都市部におけるDOTS対策の実施を図ること
有効性  平成9年より増加に転じた新規結核登録患者数は、平成12年には減少している。
 DOTS事業は、「結核対策特別促進事業」の一部として平成12年度より本格的に実施しているが、同事業が平成12年の結核患者減少に一定の効果をあげたと考えている。
効率性  現在の結核罹患率等を考慮すると、罹患率の高い都市部を対象に行うDOTS事業は、他の人の前で服薬することから確実な治療が可能となり、治療中断率を引き下げ、再発による感染の拡大防止等による結核患者の減少対策として、従来の服薬方法に比べて効率的である。
実績目標2 若年層の性感染症対策を図ること
有効性  性感染症の患者は、医療機関による診察を受けないことがあるため、その実態を把握することは困難である。また、医療の提供に当たっての配慮や検査の推奨などにより報告された性感染症の患者数も増加を続けている。しかし、これは性感染症に関する認識が向上しているためと考えられ、普及啓発等は若年層の性感染症対策に効果をあげていると考えている。
効率性  性感染症の予防は一人一人が注意深く行動することが肝要であり、感染症法に基づく「性感染症に関する特定感染症予防指針」を踏まえて行っている情報提供を中心とした普及啓発が費用面で効率的である。
実績目標3 法に基づく予防接種の実施を推進すること
有効性  予防接種の対象となる疾病の患者数・死亡者数は、予防接種後減少傾向にあり、予防接種による予防の効果があがっている。
 しかし、麻しんについては、他の先進国と比べて患者が多く、また地域(都道府県)レベルの流行がみられ、接種時期、接種方法等予防接種の効果的な接種のあり方について、検討を行う必要があると考えられる。
効率性  予防接種による感受性対策が、感染源を早期に発見して隔離等を行う感染源対策や環境衛生の向上を図る感染経路対策よりも疾病のまん延防止効果が認められる。
 したがって、予防接種法に基づき、原則として接種時期を迎えた全員を対象に予防接種を行う現行の方式が効率的である。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  感染症の発生は、予防接種の普及や公衆衛生の向上により全体として改善されている状況にある。
 特に結核については罹患率の高い都市部においてDOTS事業を行い、治療完遂を目指し、性感染症については若年層を中心に予防等の知識を普及し、予防接種については麻しんを除き予防効果を上げている。
施策手段の適正性の評価  結核等感染症の発生防止のために、効率よく服薬させるDOTS対策の実施、実態把握の困難な性感染症に対する地道な普及啓発活動、接種時期を迎えた全員を対象に効率よく行う予防接種など、感染症法、予防接種法等に基づき、個々の感染症の特性、発生動向等に応じた適切な手段を選択していると考えている。
総合的な評価  感染症の発生は全体として改善状況にある。しかしながら、個々の感染症の中には、地域間格差、高齢化の影響、生活の多様化等の新たな状況の変化が生じており、その対応が重要な課題となっていることから、今後とも時代の変化に対応した適切な政策手段を選択し、着実な実施を図っていく必要がある。


3.政策への反映方針

 麻しんの予防接種については、技術的な問題が生じている可能性があると考えられるため、専門家の意見をうかがいながら、検討を行うこととする。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 厚生科学審議会において、結核対策全般について、DOTSの充実も含めた見直し作業を行っている。
 「ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会」を設置し、ポリオ及び麻しんの予防接種に生じている技術的問題について、専門家による再検討を行う予定。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 平成13年10月の「予防接種法の一部を改正する法律」の成立の際に、衆議 院及び参議院で付帯決議が行われた。

(5)会計検査院による指摘
なし


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