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(1−11−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 11 全国民に必要な医療を保障できる安定的・効率的な医療保険制度を構築すること
I 適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること
担当部局・課 主管課 保険局総務課 保険課 国民健康保険課 医療課
関係課 調査課


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 医療保険財政の安定を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 <医療制度改革>
 高齢化の進展等に伴う医療費の増加、経済の低迷による保険料収入の伸び悩み等により、医療保険財政は大変厳しい状況にあり、平成9年度以降、着実に医療制度改革を進めている。平成12年においては、健康保険の高額療養費の見直しや保険料率の上限の見直し、老人医療の一部負担金について月額上限付きの定率1割負担制を導入すること等の改正を行った。(平成13年1月施行)
 <財政窮迫健康保険組合の指定>
 平成12年の健康保険法等の改正により、財政窮迫状態にある健康保険組合に対する指定制度を創設した。(平成13年1月施行)
 <指定市町村の指定>
 医療費が著しく高額であるとして指定された市町村は、厚生労働大臣の定める指針に従い、国民健康保険事業の運営の安定化に関する計画を定め、療養の給付等に要する費用の適正化等の措置を講じることとされている。
 <国保財政の安定化>
 低所得の被保険者が多い等、財政基盤の脆弱な国民健康保険においては、保険給付費の5割を国庫負担で賄うとともに、
(1)低所得者に係る保険料軽減相当額を一般会計から繰り入れ、国がその1/2を補填する保険基盤安定制度
(2)高額な医療費の負担を都道府県単位で調整する高額医療費共同事業に対する地方財政措置による支援
(3)財政の安定化や保険料負担の平準化等に資するために一般会計から繰入れを行い、繰入額について地方財政措置を行う財政安定化支援事業
等により、国保財政の安定化を図っている。
(評価指標)
赤字保険者数(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
998 966 1,240 1,137 -
(評価指標)
赤字保険者数(市町村国保)
H9 H10 H11 H12 H13
1,543 1,817 1,967 1,722 -
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」による。市町村国保については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
 ・健康保険組合数  平成12年度末 1,756
 ・市町村数  平成12年度末 3,242
(評価指標)
財政窮迫健保組合の指定件数
H9 H10 H11 H12 H13
- - - - 40
(備考)
 ・健康保険法第38条の2第1項の規定に基づく指定組合数。
 ・平成13年1月より施行のため、平成9年から12年の評価指標はない。
(評価指標)
国保安定化計画の指定市町村数
H9 H10 H11 H12 H13
119 120 120 124 129
(備考)
 ・国民健康保険法第68条の2第1項の規定に基づく指定市町村数。
 ・指定市町村は、当該年度ごとに指定。
(評価指標)
制度別収支状況(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
▲1,700 40,500 ▲199,200 ▲116,300
制度別収支状況(政府管掌健康保険、百万円) ▲95,000 3,400
(▲3,500)
▲316,300 ▲156,900
制度別収支状況(市町村国保、赤字補填額を加味したもの、百万円) ▲196,900 ▲301,100 ▲323,500 ▲328,400
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保については「国民健康保険事業年報」による。
 ・制度別収支状況(政府管掌健康保険)の平成10年度の括弧内は、健康保険組合の解散に伴う承継財産を除いた場合の計数。
 ・制度別収支状況(政府管掌健康保険)の平成12年度は、医療分の計数。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(参考指標)
国民医療費のNI比(%)
H9 H10 H11 H12 H13
7.4 7.8 8.1 8.0
(参考指標)
一人当たり保険料額(健保組合、円)
H9 H10 H11 H12 H13
296,877 302,810 300,859
一人当たり保険料額(政府管掌健康保険、円) 360,377 363,866 364,862
一人当たり保険料額(市町村国保、円) 76,630 75,918 76,194
(参考指標)
一人当たり給付費額(健保組合、円)
H9 H10 H11 H12 H13
94,217 91,884 92,533
一人当たり給付費額(政府管掌健康保険、円) 112,9444 108,829 108,260
一人当たり給付費額(市町村国保、円) 164,844 166,772 169,457
(備考)
 ・指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・平成13年の国民医療費及び平成12年・13年の一人当たり保険料額・一人当たり給付費額は未集計。
 ・健保組合・政府管掌健康保険の一人当たり保険料額は事業主負担分を除いたもの。
実績目標2 保険者の適用・徴収・給付事務を適正かつ効率的なものとすること

(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康保険については、事業主を通じ、適正な適用・徴収・給付事務を行わせることとし、特に保険料の源泉徴収が認められている。
 国民健康保険については、口座振替の推進や徴収員による徴収の強化に努めるほか、短期被保険者証や被保険者資格証明書の活用を図るなど、収納率の向上のため様々な取組を進めている。
 厚生労働省としては、各保険者の財政力等を勘案して配分する調整交付金について、収納率に応じて調整を行うことにより、各保険者の収納努力を促すほか、積極的に収納対策事業に取り組み、収納率の向上に努めている保険者に対し、特別調整交付金の交付を行っている。
(評価指標)
保険料の徴収額(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,724,400 5,759,500 5,685,800 5,592,900
(評価指標)
保険料の収納額(政管健保、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,988,810 6,045,110 5,922,875 6,117,943
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
保険料(税)の収納額(市町村国保・国保組合、百万円) 2,973,268 3,001,823 3,053,260 3,234,463
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
保険料の徴収率(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
99.9 99.9 99.9 99.9
(評価指標)
保険料の収納率(政管健保)
H9 H10 H11 H12 H13
97.9 97.7 97.3 97.1
(評価指標)
保険料(税)収納率(市町村国保・国保組合、%)
H9 H10 H11 H12 H13
93.47 92.97 92.55 92.49 − 
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保  組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
実績目標3 保険者が被保険者及び被扶養者の資格、標準報酬等を適正に把握すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康保険については事業主を通じ、必要な情報を把握することとしている。
 国民健康保険においては、国民健康保険法による届出の他、市町村国保においては、住民基本台帳法による届出によっても被保険者の異動を把握しており、また主として住民税の課税情報により、保険料の賦課に必要な情報を把握している。
 厚生労働省としては、被用者保険の保険者を通じ事業主に対し、離職者へ資格取得届の早期提出を指導することを依頼する等、被用者保険から国民健康保険への異動の円滑化を図っている。
(評価指標)
資格関係事由によるレセプト返戻率(基金)(件数率、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.726 0.721 0.732 0.732
(備考)
 ・指標は、社会保険診療報酬支払基金調べ。
実績目標4 保険料の適切かつ効率的な納入を促進し、保険料等を滞納する事業主及び被保険者に対し、納付の督促等を確実に実施すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康保険については、事業主を通じ、適正な適用・徴収・給付事務を行わせることとし、特に保険料の源泉徴収が認められている。
 国民健康保険については、口座振替の推進や徴収員による徴収の強化に努めるほか、短期被保険者証や被保険者資格証明書の活用を図るなど、収納率の向上のため様々な取組を進めている。
 厚生労働省としては、各保険者の財政力等を勘案して配分する調整交付金について、収納率に応じて調整を行うことにより、各保険者の収納努力を促すほか、積極的に収納対策事業に取り組み、収納率の向上に努めている保険者に対し、特別調整交付金の交付を行っている。
(評価指標)
保険料の徴収額(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,724,400 5,759,500 5,685,800 5,592,900
(評価指標)
保険料の収納額(政管健保、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,988,810 6,045,110 5,922,875 6,117,943
(評価指標)
保険料(税)の収納額(市町村国保・国保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
2,973,268 3,001,823 3,053,260 3,234,463
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
保険料の徴収率(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
99.9 99.9 99.9 99.9
(評価指標)
保険料の収納率(政管健保)
H9 H10 H11 H12 H13
97.9 97.7 97.3 97.1
(評価指標)
保険料(税)収納率(市町村国保・国保組合、%)
H9 H10 H11 H12 H13
93.47 92.97 92.55 92.49 − 
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
滞納処分件数(市町村国保・国保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
62,122 45,937 51,237 45,511
(備考)
 ・国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
実績目標5 レセプト点検や医療費通知等を通じて、医療費の給付を適正に行うこと
(実績目標を達成するための手段の概要)
 保険者は自主的に医療費通知・レセプト点検等の医療費の給付の適正化の取組みを実施しているところであり、厚生労働省としても、第三者行為求償事務の励行を含め取組の普及に努めているところである。
 市町村国保については、実効的なレセプト点検を奨励するため、レセプト点検の実施状況が特に顕著であった市町村に対して特別調整交付金を交付している。
(評価指標)
医療費通知実施保険者数(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
1,695 1,646
(評価指標)
医療費通知実施保険者数(市町村国保・国保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
3,382 3,385 3,385 3,381
(備考)
 ・健康保険組合数 平成10年度末 1,794
 平成13年度末 1,722
 ・市町村国保数 平成12年度末 3,242
国保組合数 平成12年度末 166
 ・評価指標は、健保組合については、平成10年度は、健康保険組合連合会調べ、平成13年度は保険課調べ。
 ・平成9、11、12年度については未調査。
 ・市町村国保及び国保組合については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
レセプト点検実施保険者数(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
1,709
(評価指標)
レセプト点検実施保険者数(市町村国保)
H9 H10 H11 H12 H13
3,249 3,249 3,245 3,242
(備考)
 ・健康保険組合数 平成11年度末 1,780
 ・市町村国保数 平成12年度末 3,242
全市町村国保がレセプト点検を実施している。
 ・評価指標は、市町村国保については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
第三者求償件数(市町村国保・国保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
66,358 59,901 61,569 75,868
(備考)
 ・評価指標は、市町村国保及び国保組合については、国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は、確定していない。
実績目標6 審査支払機関の事務が適正かつ効率的なものとなるようにすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 審査支払機関の事務の適正化・効率化のため、レセプトの電算化を推進することとしており、これについては、
 ・レセプト電算処理システムに参加する地域や医療機関を指定する個別指定制度を平成13年10月1日に廃止。
 ・新たな傷病名マスターを平成14年6月から適用。
 ・平成13年度第二次補正予算において、国立病院、特定機能病院等のレセプト電算化に要する経費を措置。
 ・レセプトのオンライン請求の実現に向けて、セキュリティの確保、経済効果等に関する検証事業を平成14年度に実施
等により、着実な推進を行っているところ。
 平成13年12月に公表した「保健医療分野におけるグランドデザイン」においては、平成16年度において病院レセプトの5割以上、平成18年度において同7割以上に普及を図ることを目標としている。
(評価指標)
電算処理されたレセプトの割合(支払基金審査分、医科、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.21  0.25  0.34  0.39  0.71
(評価指標)
電算処理されたレセプトの割合(国保連審査分、医科、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.23 0.28 0.35 0.42 0.76
(備考)
 ・評価指標は、社会保険診療報酬支払基金審査分については社会保険診療報酬支払基金の実施状況調査による毎年度3月時点の割合、国民健康保険団体連合会審査分については国民健康保険中央会の実施状況調査による毎年度3月時点の割合とした。
(評価指標)
(社会保険診療報酬支払基金分)
H9 H10 H11 H12 H13
査定率(原審査、点数率、%) 0.232 0.249 0.244 0.248
査定後認容率(基金責任分、点数率、%) 0.135 0.129 0.120 0.097
(評価指標)
(国民健康保険団体連合会分)
査定率(原審査、点数率、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.237 0.208 0.211 0.194  −
(備考)
 ・査定率:審査支払機関の一次審査による診療報酬の査定額の全請求額に占める割合
 ・査定後容認率:保険者等からの再審査請求による査定額の全請求額に占める割合
 ・評価指標は、社会保険診療報酬支払基金分については社会保険診療報酬支払基金調べ。国民健康保険団体連合会分については「都道府県国民健康保険団体連合会事業の概況」による。
 ・平成9年度については未調査。(社会保険診療報酬支払基金)
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。(国民健康保険団体連合会分)
実績目標7 保険医療機関等に対する適切な指導を行うこと
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地方社会保険事務局、都道府県等が、保険医療機関、保険医等に対し、保険診療の取扱い、保険請求の方法等を周知徹底する観点から、講習又は個別の面談の方式により指導を実施
(評価指標)
指導件数
H9 H10 H11 H12 H13
19,852 26,705 32,323 32,368
(備考)
指導件数の内訳((1)保険医療機関等、(2)保険医等)
平成9年度:(1)13,729 (2)6,123
平成10年度:(1)15,449 (2)11,256
平成11年度:(1)17,239 (2)15,084
平成12年度:(1)16,518 (2)15,850
平成13年度の指導件数は集計中。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 医療保険財政の安定を図ること
有効性  平成12年度の改革は、厳しい運営が引き続き迫られている医療保険制度において、高齢者の定率負担の導入等一定の方向性を示すもの。
 財政窮迫あるいは高医療費の保険者について、特に財政健全化等の措置を講じることについては、近年件数も増加しており、当該保険者に対して効果的な手段であると考えられる。
実績目標2 保険者の適用・徴収・給付事務を適正かつ効率的なものとすること
有効性  健康保険においては、健保組合、政管健保とも大変高い徴収率となっており、適切な納付の督促等が実施されていると評価できる。
 国民健康保険については、保険料について普通徴収によらざるを得ないが、医療費が増嵩する一方で経済が低迷する中、口座振替の勧奨や被保険者資格証明書の活用等市町村の収納努力に加え、調整交付金の調整等により収納の取組みを促進したことなどにより、収納率の極端な落ち込みは見られないところである。介護保険法の施行に伴う介護保険料の上乗せ賦課が始められた後も、収納率に大きな変化はなかったところである。
実績目標3 保険者が被保険者及び被扶養者の資格、標準報酬等を適正に把握すること
有効性  事業所単位で適用を行う健康保険においては、被保険者の適用に必要な情報は事業主を通じて把握することが合理的であり、適正かつ効率的な事務の実施に大きく寄与している。
 国民健康保険においては、届出により資格の得喪を把握するとともに、課税情報を用いることにより大部分の被保険者の保険料賦課に必要な情報を把握することが可能である。また、被用者保険から国民健康保険への異動に際して、事業主を通じて離職者に情報提供を行うことは実効的な手段である。
実績目標4 保険料の適切かつ効率的な納入を促進し、保険料等を滞納する事業主及び被保険者に対し、納付の督促等を確実に実施すること
有効性  健康保険においては、健保組合、政管健保とも大変高い徴収率となっており、適切な納付の督促等が実施されていると評価できる。
 国民健康保険については、保険料について普通徴収によらざるを得ないが、医療費が増嵩する一方で経済が低迷する中、口座振替の勧奨や被保険者資格証明書の活用等市町村の収納努力に加え、調整交付金の調整等により収納の取組みを促進したことなどにより、収納率の極端な落ち込みは見られないところである。介護保険法の施行に伴う介護保険料の上乗せ賦課が始められた後も、収納率に大きな変化はなかったところである。
 厚生労働省の励行の結果、第三者求償事務については件数が増加しているところである。
実績目標5 レセプト点検や医療費通知等を通じて、医療費の給付を適正に行うこと
有効性 レセプト点検や医療費通知は、従来よりその推進に努めた結果、ほぼすべての保険者が実施するに至っている。
実績目標6 審査支払機関の事務が適正かつ効率的なものになるようにすること
有効性  レセプト電算処理については、平成14年度にはこれまで以上の大幅な伸びとなっているが、「保健医療分野におけるグランドデザイン」に掲げた目標を達成するためには、更なる推進策が必要であるところ。
 また、社会保険診療報酬支払基金においては、審査の精度の向上の指標として再審査容認の件数を削減するための取り組みを行った結果、再審査容認における基金責任分は減少している。
実績目標7 保険医療機関等に対する適切な指導を行うこと
有効性  社会保険事務局等の指導により診療報酬点数の算定要件及び請求方法等について周知徹底を図るとともに、保険者に返還すべき額を以下のとおり把握し、保険診療の取扱いについて一層の適正化を推進した結果、指導件数は増加しており、適切な指導の実施に有効であったと評価できる。
返還額(万円)
平成9年度:213,283
平成10年度:265,231
平成11年度:312,465
平成12年度:323,761

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  医療保険財政は、近年の経済の低迷、高齢化の一層の進展等により、大変厳しい状況が続いている。
 保険者の適用・徴収・給付事務については、保険者の自主的な取り組みにより、おおむね適正な運営が行われていると評価することができるが、近年の経済の低迷等により若干の数値の悪化も見られるところである。レセプト点検や医療費通知等については、ほぼ全ての保険者が実施するに至っているところである。
 審査支払い事務の効率化については、引き続き取組の推進が必要である。
 保険医療機関に対する指導監督は、適正に行われているものと評価できる。
施策手段の適正性の評価  上記の通り、それぞれの分野において、施策はおおむね有効かつ適正に行われているものと評価することができる。
総合的な評価  医療保険の分野においては、各目標について、社会経済状況の変化など、外在的な要因による影響も大きい。近年の経済の低迷、少子高齢化の進展等により、医療保険財政は大変厳しい状況にあり、今後とも目標の達成のためには、引き続き各取組の強化が必要である。高齢化のピーク時においても制度の安定的な運営を図るため、今後の医療保険制度の体系の在り方等についても引き続き検討していく必要がある。


3.政策への反映方針

 それぞれの施策について引き続きその推進・強化に努めるとともに、平成14年度においては、高齢化のピーク時においても制度の安定的な運営を図るため、健康保険法等の一部を改正する法律附則において医療制度を巡る基本的な課題について期限を区切って検討することとしていることから、これらを踏まえて適切な施策の見直しを行っていく必要がある。
 政策評価は今年初めての取り組みでもあり、今後の実績の積み重ねを待つ必要があるが、指標については今後とも見直していく必要がある。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 平成13年11月26日に、社会保障審議会医療保険部会において、「平成14年度医療制度改革について」と題する意見書がとりまとめられた。

(2)各種政府決定との関係及び順守状況
 政府・与党社会保障改革協議会の「医療制度改革大綱」(H13.11.29)に基づき、健康保険法等の一部を改正する法律案を第154回国会に提出し、平成14年7月26日に成立。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
「特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告 −事業の見直し等を中心として− 社会保険診療報酬支払基金」(平成14年1月)において、社会保険診療報酬支払基金の審査業務の効率化等について勧告がなされている。

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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