各 国 比 較 表
1.高齢者をめぐる人口・労働市場の動向
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | 日本 | |||
総人口(2005年) | 約2億9,800万人 | 約6,000万人 | 約8,300万人 | 約6,000万人 | 約1億2,800万人 | ||
合計特殊出生率 | 2.05(2005年) | 1.79(2005年) | 1.36(2004年) | 2.00(2006年速報値) | 1.26(2005年) | ||
高齢者(65歳以上) | |||||||
高齢者人口 (2005年) |
約3,700万人 | 約1,000万人 | 約1,600万人 | 約1,000万人 | 約2,600万人 | ||
高齢化率 注1 (2005年) |
12.3% | 16.0% | 18.8% | 16.6% | 20.1% | ||
高齢化率見込み (2050年) |
20.6% | 23.2% | 28.4% | 27.1% | 39.6% | ||
公式引退年齢 注2 (2004年) |
65.3歳 | 男性 65.0歳 女性 60.0歳 |
65.0歳 | 60.0歳 | 60.0歳 | ||
実引退年齢 注3 (1999-2004年) |
男性 64.2歳 女性 63.1歳 |
男性 63.0歳 女性 61.6歳 |
男性 61.3歳 女性 60.6歳 |
男性 59.3歳 女性 59.5歳 |
男性 69.3歳 女性 66.1歳 |
||
就業率 (2005年) |
55-64歳 | 60.8% | 56.8% | 45.5% | 40.7% | 63.9% | |
15-64歳 | 71.5% | 72.6% | 65.5% | 62.3% | 69.3% | ||
失業率 (2005年) |
55-64歳 | 3.3% | 2.7% | 12.7% | 6.8% | 4.1% | |
15-64歳 | 5.1% | 4.6% | 11.3% | 9.9% | 4.6% |
資料出所: |
総人口及び高齢者(65歳以上):国連 "World Population Prospects: The 2004 Revision"の中位推計(英米独仏)、総務省統計局「平成17年国政調査 第1次基本集計結果」(日本の2005年)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」の出生中位(死亡中位)推計(日本の2050年) 合計特殊出生率:米国立健康統計センター(NCHS)、英国家統計局、独連邦統計局、仏国立統計経済研究所(INSEE)、厚生労働省「平成18年人口動態統計の年間推計」 公式引退年齢及び実引退年齢 :OECD事務局(雇用労働社会問題局)資料、就業率及び失業率:OECD”Labour Market Statistics - Indicator”,”Employment Outlook2006” |
注1 高齢化率は65歳人口/総人口
注2 公式引退年齢は、公的老齢年金を満額受給可能な最低年齢
注3 実引退年齢は、40歳以上の者が労働力を離れた(継続就労の意思なく退職した)年齢の平均値
注2 公式引退年齢は、公的老齢年金を満額受給可能な最低年齢
注3 実引退年齢は、40歳以上の者が労働力を離れた(継続就労の意思なく退職した)年齢の平均値
2.高齢者の引退と社会保障制度 [ 手厚い社会保障制度による所得保障は、高齢者の就労意欲を削ぎ、引退を促進する恐れがある ]
(1)公的年金保険制度 [ 老後の所得保障制度。受給可能となる年齢が低く給付水準が高い場合、早期引退を促進する恐れがある ]
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | |||
制度名 (民間被用者の一般制度) |
老齢・遺族・障害年金 (OASDI) |
基礎年金(Basic State Pension)及び国家第二年金(S2P:State Second Pension) | 一般年金保険 (Allgemeine Rentenversicherung) |
一般制度(régime général) | ||
受給要件 | (満額)支給開始年齢 (2006年) |
65歳8か月 | 男性65歳、女性60歳 | 65歳(重度障害者は63歳) | 60歳 | |
※ 2003〜2027年にかけ65歳から67歳に引上げ中 | ※ 女性は2010〜2020年にかけ65歳に引上げ予定 ※男女とも2024〜2046年にかけ68歳に引上げ予定(法案審議中) |
※ 2012〜2029年にかけ67歳へ引上げ予定(閣議決定) | (被保険者期間が40年以上の場合のみ満額支給) | |||
最低加入期間 (必要となる被保険者期間) |
10年間 | 男性11年、女性9.75年 | 5年 | 3か月 | ||
繰 上 げ ( 早 期 ) 支 給 制 度 | 制度有無 | 有 | 無 | 有 | 有 | |
年金の受給要件に加えて必要となる要件 | 追加要件はない(年金の受給要件である最低加入期間(10年間)を満たせばよい) | 被保険者期間が15年以上の女性、長期失業者、高齢パート就労促進制度活用者 | 被保険者期間が35年以上の者 | 被保険者期間が42年以上の者 | ||
可能な年齢 | 62歳〜 | 60歳〜 ※2016年末に廃止 |
63歳〜 ※2010〜2011年にかけ62歳に引下げ予定 |
56歳〜 ※繰上げ支給は2004年から開始 |
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給付減額率 (繰上げ期間に応じ年金給付が減額される) |
繰上げ期間が36か月までは約0.56%/月、36か月以降は約0.42%/月(62歳まで繰上げた場合約23.3%減額) | 0.3%/月 | 給付は減額されない。 満額受給可能。 |
|||
(60歳まで繰上げた場合18%減額) | (63歳まで繰上げた場合7.2%減額) | |||||
繰 下 げ 支 給 制 度 | 可能な年齢 | 〜70歳 | 上限なし※2005年に上限5年の制限を廃止 | 上限なし | 上限なし ※繰下げ支給は2004年から開始。 |
|
給付増額率 (繰下げ期間に応じ年金給付が増額される) |
0.625%/月 (7.5%/年) ※増額率は現在引上げ中であり2008年には8%/年となる |
10.4%/年 ※ 2005年に増額率を7.5%/年から引上げ |
0.5%/月 (6%/年) |
0.75%/四半期(3%/年) ※2007年1月から就業継続者については、より高い増額率(4〜5%/年)の適用を実施 |
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備考 | 他の選択肢として一時金制度あり | 被保険者期間が40年以上の者のみ適用 | ||||
所得代替率 (男性:2002年) |
51.0% | 47.6% | 71.8% | 68.8% | ||
年金受給中の就労 | (満額)支給開始年齢前 (繰上げ支給時) |
在職者の年金額は賃金額が一定水準以上になると賃金額に応じ減額される。 | 在職者の年金額は賃金額が一定水準以上になると賃金額に応じ減額される。 | 年金額と賃金額の合計が引退(年金支給開始)直前の賃金額を越えない場合、年金額は減額されない。 ※ 2007年1月から引退直前の賃金が低水準な者については年金額と賃金額の合計額が最低賃金(SMIC)の1.6倍まで就労しても年金額が減額されなくなった。 |
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(満額)支給開始年齢後 | 在職していても年金額は減額されない。 | 在職していても年金額は減額されない。 | 在職していても年金額は減額されない。 |
(2)失業保険制度
[ 仕事を探している失業者(求職者)の生活を支える制度。容易に受給でき給付内容が充実している場合、早期引退を促進する恐れがある ]
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | ||
制度名 | 連邦・州失業保険(UC) | 拠出制求職者給付(JSA) | 失業給付(Arbeitslosengeld) | 雇用復帰支援手当(ARE) | |
主な受給要件 | 最低雇用(保険料納付)期間 | 州毎に異なるが、離職前に一定の雇用期間が必要 | 離職前過去2年間のうち1年以上の保険料納付 | 離職前過去2年間のうち1年以上の保険料納付 | 離職前過去22か月間のうち6か月以上の雇用期間 |
自発的離職者 | 受給不可 | 受給可 | 受給可 | 受給不可 | |
求職活動義務 | 有 | ||||
免除措置はない | 免除措置はない | 58歳以上の者の免除措置あり ※ 2007年末廃止予定 |
57.5歳以上の者の免除措置あり | ||
給付水準 | 州毎に異なるが、概ね課税前所得の50% | 週57.45ポンド (約1万2千円) (25歳以上の者の場合) |
離職前の手取り賃金の67%(扶養する子がない者は60%) | 離職前の課税前賃金(日額)の57.4%(離職前の課税前賃金月額が1,846ユーロ(約25万円)以上のフルタイム労働者の場合) | |
給付期間 | 州毎に異なるが、概ね最長26週 (失業情勢が悪化した場合、最長39週) |
最長182日(26週) | 55歳未満の者は最長12か月 55歳以上の者は最長18か月 ※ 2006年2月改正前の給付期間は、57歳以上の場合で最長32か月 |
50歳以上の者は最長36か月 57.5歳以上の者は最長42か月 ※ 2006年1月改正により57.5歳以上で満額年金が受給可能な者の失業給付の期間が最長42か月から36か月に短縮 |
(3)失業扶助制度
[ 主に失業保険受給終了後の求職者の生活を支える制度。要件を満たせば年金支給開始年齢まで受給できるため、高齢者の就労意欲を削ぐ恐れがある ]
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | ||
制度 有無 | 無 | 有 | 有 | 有 | |
制度名 | 所 得 調 査 制 求 職 者 給 付 (Income-based JSA) |
失業給付II (ArbeitslosengeldII) |
連帯失業手当(ASS: l’allocation de solidarité spécifique) |
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主な受給要件 | 一定水準以下の資力(資産及び収入)であり、失業保険の受給資格がないこと。 | ||||
求職活動義務 | 有 | ||||
60歳以上の者は免除措置あり | 58歳以上の者は免除措置あり | 55歳以上の者は免除措置あり | |||
給付水準 | 生活保護と同程度の水準。 | ||||
給付期間 | 受給要件を満たせば、受給期間を更新することにより年金支給開始年齢まで受給可 |
(4)高齢者の就労と関連するその他の社会保障制度 [ 本来の趣旨と異なり、実態上年金の支給まで所得保障として機能する制度など ]
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス |
【全国民をカバーする公的医療保険制度の不在】 | 【就 労 不 能 給 付 (Incapacity Benefit)】 | 【障 害 年 金 (Rente wegen verminderter Erwerbsfahigkeit)】 | 【年金相当給付(AER:allocation equivalent retraite)】 |
アメリカには65歳以上の者を対象とした公的医療保険(メディケア)はあるが、全国民をカバーする公的医療保険がなく、現役世代の多くの者は、企業が福利厚生の一環として提供する医療保険に頼っている。これが、結果として労働者に就労のインセンティブを与え、早期引退を抑制していると考えられる。 |
疾病や障害によって全く就労することができない者に対し、年金支給開始年齢(男性65歳、女性60歳)まで支給される保険給付である。 本来の趣旨と異なり、実態上、年金受給までの所得保障として機能しており、高齢者の早期引退を促しているといわれている。 |
疾病や障害によって1日に6時間未満しか就労できない65歳(年金支給開始年齢)未満の者に対し、支給される障害年金である。 本来の趣旨と異なり、実態上、年金受給までの所得保障として機能しており、高齢者の早期引退を促しているといわれている。 |
被保険者期間が40年以上の失業者に対し、60歳(年金支給開始年齢)まで所得を保障するため、支給される手当である。 |
3.年齢に関する法規則等 [ 雇用における年齢差別を禁止し、高齢者の就労促進をはかる法制度 ]
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | ||
年齢差別禁止の根拠法令 | 雇用における年齢差別禁止法(The Age Discrimination in Employment Act of 1967:ADEA) | 2006年雇用均等(年齢)規則(Employment Equality (Age) Regulations 2006) | 一般雇用機会均等法(Allgemeines Gleichbehandlungsgesetz:AGG(通称、反差別法))など | 労働法典L.122-45条(差別防止に関する一般規定)など(「差別防止に関する法律」(Loi relative à la lutte contre les discriminations)により改正) | |
施行年月 | 1967年 | 2006年10月 | 2006年8月 | (2001年11月に改正) | |
保護対象年齢 | 40歳以上のみ | 全年齢 | 全年齢 | 全年齢 | |
定年制 | 原則不可 | 可 | 可 | 可 | |
可能な定年年齢 | 65歳以上 | 65歳以上 | 65歳以上 | ||
例外(上記以外で認められる定年制) |
(1)特定の業務(パイロットなど)の正常な遂行のため合理的に必要とされる定年制 (2)高級管理職で一定額以上の退職給付(年金)を受給できる者に対する65歳以上定年制 |
65歳未満の定年制も一定要件下では可 | 65歳未満の定年制も一定要件下では可 | 年金の満額受給権があり、労働協約等に定めがある場合は60歳以上65歳未満の定年制も可。(政府の計画では65歳未満定年制は2009年末までに廃止予定) | |
高齢者の解雇に対する特別な保護等 | 先任権制度 | 高齢者に対する雇用保護制度の付与(適用除外措置の廃止) | 解雇制限法による高齢者の解雇保護 | 高齢者の解雇時の追加負担制度(ドラランド拠出金)の廃止 | |
労働協約において勤続年数の長い者はレイオフ(一時的解雇)やリコール(再雇用)等の際に優先的に処遇される権利を定めている場合が多い。 | 65歳以上の者にも(1)不公正に解雇されない権利及び(2)余剰人員整理解雇手当の請求権、を付与した。 | 不当解雇された労働者が、元の条件で職場復帰できない場合、和解金が支払われる。対象者が、50歳以上の場合、和解金が上乗せされる。 | 50 歳以上の労働者を解雇する場合、企業が失業保険の拠出金を支払う制度を2010年までに段階的に廃止していく方針。 | ||
65歳以上の者の就労請求権 | 整理解雇時における高齢者等への配慮義務 | ||||
労働者は、65歳を超えて就労を請求する権利を有しており、使用者はそれを考慮する義務がある。 | 企業が経済的な理由による解雇(整理解雇)を行う際に定めなければならない解雇の順番の基準において、高齢者等の状況を特に考慮しなければならない。 |
4 段階的な引退を支援するための制度 [ 高齢者の就労能力や就労意欲にあわせ、就労時間を減らすことにより就労年数を長くするための制度 ]
ドイツ | フランス | |
制度名 | 高齢者パート就労促進制度 | 段階的引退制度(RP) |
制度概要 | 55歳以上の労働者の労働時間を半分まで短縮して(パート就労への移行)、空いたポストに失業者等を受け入れ、当該高齢労働者の従前手取り賃金の70%及び従前賃金ベースの年金保険料の90%を支払い、年金受給開始年齢まで雇用を確保した事業主に対し、連邦雇用庁が資金援助する制度である。 | 年金の満額受給に必要な被保険者期間(原則40年)を満たし、老齢年金の支給開始年齢(原則60歳)に達した者が、従前の使用者のもとでパート就労しながら、満額年金の一部(「部分年金」と呼ばれる)を受給できる制度である。フルタイムと比較した就労時間が60〜80%の場合は30%の部分年金、40〜60%の場合は50%の部分年金、40%未満の場合は70%の部分年金が支給される。 |
利用実績等 |
高齢パート就労制度活用者数 (連邦雇用庁の助成数) 約9万人(2005年) |
1988年の制度発足から2002年1月1日までの利用者総数は723件(2001年新規利用者は183人) |
備考 |
当該制度において、雇用を継続する期間の前半はフルタイム就業し、後半は有給休暇活用により事実上引退扱いとする通称「ブロックモデル」での活用が認められており、実際、過半数がブロックモデルで利用していることから、本来の趣旨と異なり、早期引退制度として活用されているといわれている。 政府は2009年末に同制度の廃止を打ち出している。 |
利用者の拡大を図るため、要件緩和など様々な改正が行われており、2008年には高齢者雇用における効果という観点から評価が行われる予定。 |
5.積極的な就業促進政策 [ 各国とも高齢者や事業主に対し、様々な支援を行っている ]
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | |
供給側(求職者及び労働者)に対する施策(相談、援助等) |
【高齢者地域社会サービス雇用事業】 ・開始年月 1965年 ・適用範囲 55歳以上で低所得の者 ・具体的内容 州・地方政府や、指定を受けた非営利団体が、事業の全経費は連邦政府の負担で、事業を実施する。 対象者は、最低賃金相当の賃金を得ながら週20時間程度、福祉サービス業に従事する。 ・利用実績等 定員は約6万人であり、年間延べ約10万人程度の参加見込 |
【ニューディール50プラス(New Deal 50+)】 |
【高齢者向けの職業継続訓練の促進(Fbw)】 ・開始年月 2002年1月 ・適用範囲 従業員100人未満の企業の50歳以上の労働者で職業継続訓練に参加する者 ・具体的内容 訓練受講料、交通費、子の養育費、泊まり込みの場合の宿泊・食事費用が訓練期間中支給される。 ※ 政府は、適用範囲を拡大する方向で検討中 【高齢労働者の賃金保障(EGS)】 ・開始年月 2003年1月 ・適用範囲 50歳以上の失業者で失業給付の受給残日数が180日以上ある者 ・具体的内容 再就職した対象者に対し、失業前の手取り賃金と新たな職の手取り賃金の差額の50%が、失業給付の受給残日数と同期間受給できる ・利用実績等 約4千人(2005年) |
【「被用者の職業人生にわたる訓練機会」に関する全国業種横断的協約】 ・開始年月 2004年5月 ・適用範囲 全ての企業の全被用者が対象 ・具体的内容 フランスの企業は、社員への訓練機会の付与が法律で義務づけられており、労使が高齢労働者・熟練労働者のための様々な訓練参加権を労働協約で規定し、参加促進を図っている。 例) 20年以上の職務経験がある45歳以上の被用者で勤続1年以上の者は、優先的に技能検定を受講できる他、時間外の職業訓練を受講する場合は、給与の50%相当の教育訓練手当が企業から支給される。 |
需要側(事業主)に対する施策(助成措置等) | なし |
【エイジ・ポジティブ(Age Positive)】 ・開始年月 1999年12月 ・具体的内容 年齢差別是正キャンペーンであり、ウェブサイト上で政府の年齢差別是正政策や好事例についての情報提供等を実施している。 事務局は雇用年金省に置かれている。 |
【統合助成金(EGZ)】 ・具体的内容 就職困難な失業者を雇い入れる事業主に対し、対象労働者の賃金の50%を12か月間支給する。失業者が50歳以上の場合は、特例として支給期間は36か月までとなる。ただし、12か月経過するごとに助成は10%ずつ減額される(特例措置は2009年12月末日まで有効)。 ・利用実績等(2005年) 約6万1千人 うち50歳以上の者 約2万4千人 【失業保険料の免除】 ・開始年月 2003年1月 ・具体的内容 55歳以上の失業者を新たに雇用した事業主に対し、事業主負担分の失業保険料(賃金の2.1%)を免除する(2007年末まで有効)。 |
【雇用主導契約 (CIE)】 ・開始年月 1995年(2005年1月改正) ・具体的内容 公共職業安定所(ANPE)とCIE協定を結び、高齢者や障害者等就職に困難を抱える者をCIEに基づいて雇用した事業主に対し、最低賃金(SMIC)の47%を上限に、最長2年間の賃金補助を実施する。 ・利用実績等 2005年のCIE利用者に占める50歳以上の割合は17.5%で同年5〜12月の契約数は約15,000件。 【50歳以上の求職者を採用する使用者に対する逓減支援(ADE + 50ans)】 ・開始年月 2003年1月 ・具体的内容 50歳以上で失業期間3か月以上の失業保険給付受給者を、期間の定めのない雇用契約(CDI)又は12〜18か月の有期雇用契約(CDD)により雇用した企業に対し対象者の賃金助成を実施。 |
(参考)各国の公的年金制度(民間被用者の老齢年金1を中心に)
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(参考)各国の失業保険制度
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(参考)各国の失業扶助制度
イギリス | ドイツ | フランス | ||
制度名 | 所得調査制求職者給付(Income-based JSA) | 失業給付II(ArbeitslosengeldII) | 連帯失業手当(ASS) | |
根拠法令 | 求職者給付法(Jobseekers Act 1995) | 社会法典第2編(SGBII) 「求職者のための基礎保障 (Grundscicherung fur arbeitsuchende) 」 |
労働法典第L.351-10 条 | |
管理運営主体 | 雇用年金省が管理運営し、実際の給付は同省所管のジョブセンター・プラスで受ける。 | 連邦雇用庁及び地方自治体 | 制度管理は国、事業の管理運営は地域商工業雇用協会(Assédic)及び全国商工業雇用連合(Unédic)が行う | |
財源 | 政府の一般財源(全額国庫負担) | 連邦政府の一般財源(全額国庫負担。ただし、受給者に対する住居費及び暖房費は地方自治体の一般財源) | 政府の一般財源(全額国庫負担) | |
受給対象者 | 原則として18歳以上年金受給年齢(男性65歳、女性60歳)未満の失業者であるイギリス居住者(ただし、16歳及び17歳の者については例外があり)。 | 働くことはできるが仕事がなく生活に困窮している者(大半は失業給付の受給期間が終了した者) | 原則失業給付の受給期間を満了した長期失業者。ただし、50歳以上の失業者は、失業保険給付(雇用復帰支援手当(ARE))の代わりにASSの受給が可能 | |
受給要件 | (1)職業に就いていないこと又は収入のある仕事に週平均16時間以上従事していないこと (2)就労を行う能力を有し、求職活動を積極的に行い、かつ直ちに就職し得ること (3)パーソナル・アドバイザーとの間で求職者協定を締結し、2週間に1度ジョブセンター・プラスに来所すること (4)現在フルタイムの教育を受けていないこと (5)拠出制求職者給付の受給資格がないこと又は拠出制求職者給付を超える生活費を必要とすること (6)資産が16,000ポンド(約320万円)以下であること(7)収入のある仕事に週24時間以上従事している配偶者がいないこと ※ 60歳から64歳の失業者の場合は、求職活動の義務及び求職者協定の締結義務は免除される。 |
(1)15歳以上65歳未満であること (2)1日3時間以上は就労できる者であること (3)適当な仕事に就き、資産や収入を利用しても自身の生計を十分に確保できない状態にあること。 (4)資産の保有に関しては、現金は対象者及び対象者の配偶者(以下「対象者等」という)それぞれが、年齢1歳ごとに150ユーロ(最低3,100ユーロ(約42万5千円)〜最高9,750ユーロ(約133万円))認められる。また、年金目的の貯蓄については、別途、対象者等の年齢1歳ごとに250ユーロ(最高16,250ユーロ(約222万7千円))認められる。 |
(1)離職前10年間に5年以上就業していたこと(ただし、子どもを育てるために休業していた場合は、3年を上限として子ども一人につき1年、就業年数の条件を軽減できる) (2)実際に求職活動を行っていること(ただし、55歳以上の者については免除される) (3)手当を申請した時点で、一定以上の月収(2006年1月1日現在、単身者997.50ユーロ(約13万7千円)、夫婦1,567.50ユーロ(約21万5千円))がないこと なお、ASSの代わりに最低社会復帰扶助(RMI;Revenu minimum d’insertion)(後述)の受給を選択することも可能で、どちらか一方のみ受給することができる。 |
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給付内容 | ||||
給付水準 | 世帯構成に応じた個人手当及び各世帯の事情(障害者、年金受給者がいる等)を要件とした加算金を合わせた適用額から受給者の収入を差し引いた額が給付額となる。また、資産が一定水準を超えると給付が減額される。 個人手当 25歳以上の単身者 57.45ポンド(約1万2千円)/週 両者とも18歳以上のカップル 57.45ポンド/週 加算金 年金受給者(カップル) 83.95ポンド(約1万7千円)/週 (2006年4月現在) |
給付基準月額(単身者:2007年1月現在) 345ユーロ(約4万7千円) なお、対象者が就労した場合、一定の範囲で控除が認められるが、それ以上就労した場合は、給付が減額される。 また、就労可能な家族には、基準月額の80%、 就労できない14歳以上の家族には基準月額の80%、14歳未満の児童には基準月額の60%が別途支給される。 ※ 2006年7月から旧東ドイツ地区の単身者の基準月額が331ユーロから345ユーロに引上げられた |
月間収入に応じて給付額が決まる。 単身者の場合、 月間収入560ユーロ(約7万7千円)未満で14.25ユーロ(約2千円)(日額)、 月間収入560ユーロ以上997.50ユーロ未満で997.50ユーロと収入の差額(月額)、 月間収入997.50ユーロ以上で給付ゼロ (2006年1月1日現在) |
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給付期間 | 資力調査により低所得であることが確認され、求職者要件を満たしていれば年金支給開始年齢(男性65歳、女性60歳)まで無制限 | 上限無し(65歳まで受給可能) | 原則6か月(55歳未満の者は2年まで、それ以上の者は制限なく更新可能) | |
給付実績等 | 約62万0,100人(2005年2月) (拠出制求職者給付(前述)の併給者約1万5千人を含む) |
受給者 498万人 支給総額 250億ユーロ (約3兆4千億円) (いずれも2005年実績) |
受給者 約37万人(2006年11月30日現在) うち50〜59歳が全体の約4割、60歳以上が約1割を占める。 |
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備考 | 58歳以上の受給者は、求職活動義務を免除されている。 なお、適当な仕事の紹介を拒否した受給者は、給付の3割が3か月に渡り減額される。 |
60歳未満で、満額年金拠出期間(原則40年)を終えた失業者は、年金受給開始年齢(60歳)までの間の所得補償手当である年金相当給付(AER)の受給が可能(所得制限あり、基準月額936ユーロ(約12万8千円))。 なお、連帯失業手当(ASS)、年金相当給付(AER)のいずれも受給できない場合、生活保護に相当する最低社会復帰扶助(RMI)の受給が可能 |
(参考)各国の年齢差別禁止法
アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | EU | |
根拠法令 | 雇用における年齢差別禁止法 (The Age Discrimination in Employment Act of 1967:ADEA) 1967年施行 |
2006年雇用均等(年齢)規則(Employment Equality (Age) Regulations 2006) 2006年10月1日施行 |
一般雇用機会均等法(AGG:Allgemeines Gleichbehandlungsgesetz) 通称、反差別法2006年8月18日施行 |
労働法典L.122-45条(差別防止に関する一般規定)など(2001年11月施行「差別防止に関する法律」(Loi relative à la lutte contre les discriminations)により改正) | 一般雇用機会均等指令(COUNCIL DIRECTIVE 2000/78/EC) 2000年12月施行 2006年末までにEU加盟国に本指令に対応する国内法の施行を求める |
適用範囲 | 企業規模20人以上の使用者、労働組合及び職業紹介機関における40歳以上の労働者 なお、大半の州は20人未満の中小企業を対象に含める法を定めている。 |
(1)自営業者、警察、労働組合・使用者団体等の構成員を含むすべての労働者や使用者 (2)求職者、又は離職者 (3)職業訓練に関連した雇用契約を締結し、又は応募している者 |
雇用・職業関連に関しては雇用者、養成訓練生、在宅就業者が対象となる | 官公庁、自由業、民間会社、職業団体、各種社団 | 公務及び民間両部門の全ての者(自営業を含む) |
禁止される差別事項 | (1)年齢を理由とした雇い入れ、解雇、賃金、労働条件等に関する差別 (2)職業紹介機関における年齢を理由とした職業紹介の拒否、その他の差別 (3)労働組合における年齢を理由とする組合加入の拒否、除名その他の差別 (4)この法律に基づく訴訟、調査等に参加したことを理由とする差別 (5)この法律で禁止する差別を記載した広告の記事、印刷及び出版 |
(1)採用、労働条件、昇進、解雇、及び職業訓練等の取扱いにおける年齢差別を禁止 (2)直接差別のみならず、間接差別についても禁止 (3)見せしめ的行為、嫌がらせについても禁止 (4)従来は、65歳以上の者について、不公正解雇制度及び余剰人員整理解雇手当の請求権の適用除外とされていたが、この年齢制限が撤廃される。 |
(1)人種または民族、性別、宗教若しくは信条、障害、年齢又は性的志向に基づく雇用・職業に関する(選抜基準、採用、訓練、解雇、賃金、組合への加入等)差別は禁止。 また、賃貸住宅への入居などに関する差別なども禁止。 (2)直接差別のみならず間接差別についても禁止 (3)嫌がらせについても禁止 |
(1)差別禁止事項(募集、採用、賃金、昇進、訓練、解雇等) (2)直接差別のみならず間接差別についても禁止 |
(1)宗教若しくは信条、障害、年齢又は性的志向に基づく、雇用・職業に関する(選抜基準、採用、訓練、解雇、賃金、組合への加入等)差別は原則禁止 (2)直接差別のみならず間接差別についても禁止 (3)不利益取扱い、嫌がらせについても禁止 |
差別禁止例外事項 | (1)真正な職業上の資格(特定の業務(パイロットなど)の正常な遂行のため合理的に必要とされるもの) (2)年齢以外の合理的理由がある場合。 (3)真正な(合理的な理由に基づく)先任権制度(後述) (4)真正な(合理的な理由に基づく)労働者福利制度 (5)真正な(合理的な理由に基づく)高級管理職等の定年制 |
(1)正当な職業上の必要性が認められる場合又は客観的に正当化される場合 (2)定年制 (3)勤続年数に基づく取扱いの差異 (4)年齢別の最低賃金 |
(1)合法的な目的に基づく客観的・合理的な場合。 例)介護を行う者、高齢者及び若年者の就労促進のため、雇用及び職業訓練への参加、雇用及び職業条件につき特別の条件設定をすること (2)定年制 (3)差別要因が職業上必須である場合 (4)積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション) (5)公的な社会保障給付金 |
使用者の雇用方針上、客観的且つ合理的であると正当化され、その手段が適切な場合 (1)若年者あるいは高齢者の保護を目的として当該人の採用を拒否したり、特別な労働条件を設定すること (2)一定の訓練の必要性や、退職までに通常予想できる就労時間を確保することを理由として、採用の上限年齢を設けること (3)健康状態や障害を理由に産業医が就労不能と判断した場合の処遇 |
(1)合法的な目的に基づく客観的・合理的な場合。 例)介護を行う者、高齢者及び若年者の就労促進のため、雇用及び職業訓練への参加、雇用及び職業条件につき特別の条件設定をすること (2)定年制 (3)差別要因が職業上必須である場合 (4)積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション) (5)公的な社会保障給付金 |
違反時の救済措置 | (差別されたと考える)労働者は、連邦の独立行政委員会である雇用機会均等委員会(EEOC)に救済を申立てることができる ただし、州独自の救済機関である公正雇用慣行機関(FEPA)がある地域では先にFEPAに申立てを行う必要がある。 |
差別されたと考える労働者は、当該労働者は雇用審判所、郡裁判所(イングランド及びウェールズ)又は執行官裁判所(スコットランド)に救済を申立てることができる。 | 差別されたと考える者は、家族・高齢者・女性・青少年省の反差別問題事務所に相談できる。また、反差別問題事務所は当事者間の調停を行うこともできる。 なお、職業・雇用に関し差別されたと考える者は、労働裁判所へ訴え、損害賠償請求することができる。 |
損害賠償、列挙された差別事由のすべてを対象とした刑法典規定により拘束刑及び罰金刑が科される なお、紛争処理機関としては、労働審判所、刑事裁判所等がある |
・差別されたと考える者が、司法又は行政に救済申立てをできるようにしなければならない ・国内規定を担保するため、違反時の罰則を設けなければならない。 |
備考 | 年齢に関するEEOCへの申立て件数 16,585件(2005年度) |
解雇に関する差別については、既存の法律である解雇保護法の適用が優先される。 | 2005年6月、差別対策・平等促進高等機関(HALDE)が発足し、従来の司法手続きによる救済と比べて、短時間で制裁措置の実施が可能となった。 |