a | 失業給付受給者の就労促進
各国とも、失業給付受給者の就労促進施策を積極的に進めている。例えば、イギリスは、求職者手当受給者に職業訓練への参加等を義務づける等のニューディール政策によって、その就労促進を図っている。フランスにおいては、2001年の失業保険制度の改革によって、失業給付を受給するためには、雇用復帰援助プラン(就職斡旋及び職業訓練等を含む就労促進措置。失業者ごとに個別計画を策定)への参加が義務づけられるようになった。また、デンマークにおいては、失業給付の受給期間の短縮、2年以上受給する場合のその者に対する職業訓練への参加の義務付け等が行われた。 |
b | 公的扶助受給者の就労促進
公的扶助受給者に対する就労促進施策も積極的に行われている。例えば、アメリカの貧困家庭一時扶助制度は、生涯の給付期間に上限を設けるとともに、給付開始から24ヵ月以内に就労活動(民間での就労、就労体験等)を行うことを受給者に求めている。ドイツの社会扶助においては、就労扶助という形で、就労能力のある受給者に対し、その就労困難性の度合いに応じて、就労準備活動(就労に慣れるためのプログラムへの参加等)から助成金付き就職までのいくつかの選択肢を用意し、受給者にいずれかの活動に参加することを要請し、一定の成果を挙げている。 |
c | 改革の特徴
これらの改革は、必ずしも給付の削減という面のみを有しているわけではない。援助が必要な者に対してはこれを提供していく配慮もなされている。例えばアメリカにおいては、貧困家庭一時扶助の給付期間を生涯で最大5年間とする制度改正が行われたが、同時に連邦から州への補助金の基本額を、この制度の前身である要扶養児童家庭扶助に対する補助金の最も高かった額を基準に算定するなどの配慮を行っている。また、他の種々の公的扶助制度が活用されることを前提に制度改正が行われている。したがって、貧困家庭一時扶助の受給期間終了後も、他の公的扶助を受給することはできる。デンマークにおいても、将来現金援助金の支給水準を引き下げることとしているが、家族のある者については、引下げ幅に限度を設けることとしている。 |