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◆民生委員法の施行に関する件◆

(昭和二三年七月二九日)

(発社第八五号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官依命通達)

本日民生委員法が公布せられ即日施行されることとなつたが、本法施行の適否は、直接国民生活の安定の上に、ひいては祖国再建の成否にも至大の影響あるに鑑み左記事項御留意の上本法の趣旨の普及徹底を図るは勿論民生委員制度の整備、その適切なる運用、特に民生委員の指導訓練には格別の意を用いられ関係諸機関を指導督励してその目的達成に万遺憾のないよう期せられたく命によつて通牒する。

第一 一般事項

一 本法制定の趣旨は、現下の社会情勢上、民生委員の職務が益々複雑多岐にして国民生活と至大の関係を有するに至り、その職責の重要と、その人を得ることの必要性がいよいよ切実となつたのでこれを法律上の制度として一層整備強化するの必要に基くものであつて、民生委員制度の本質に変更を加えるものではないから、従来の短所は、勿論改むべきも、その長所は、益々これを伸長せしむるよう留意すること。

二 本法は、民生委員の本質並びに民生委員に関する原則を規定したもので、生活保護法並びに児童福祉法は、民生委員の特殊活動分野につき規定したものであること。

三 民生委員の指導精神を社会奉仕の精神と規定したのは、時代の思潮を考慮して字句を代えたに過ぎないのであつて、指導精神を変えたわけではないから、この点特に関係者に周知徹底すると共に民生委員の活動は、その精神的要素に負う所が頗る多いから今後一層これが発揚に努めること。

四~六 削除

七 民生委員の指導訓練については、別途通牒の予定であること。

八 削除

九 本法の円滑な運用は、その趣旨の普及徹底にまつことが極めて大きいから、常にこれが積極的普及及び宣伝に努めること。なお、民生委員の家をポスター、門標等で一般にこれを周知する方法を講ずること。

第二・三 削除

第四 民生委員の職務に関する事項

一 削除

二 本法に規定する民生委員の職務の具体的内容は次の通りであること。

(イ)一般に生活困難な者については、その原因を精査し、これが矯正除去の措置を講ずると共に勤労の習慣を馴致するように努めること。

(ロ)削除

(ハ)前項以外の者については、或は社会保険、各種共済制度を利用せしめ或は各種社会施設と密接な連絡をとる等夫々適当な保護指導の途を講ずること。

(ニ)社会教化、戸籍整理、職業の紹介斡旋、相談指導等の事務に就ても努力すること。

(ホ)社会事業に関係ある社会施設の現況、利用状況等を常に調査研究してその機能の発揚に努めると共に、担任区域内に適当な社会施設の新設普及を要するときは、これに十分協力すること。

(ヘ)常に社会事業思想の啓蒙宣伝に努め、担当区域内における国民たすけあい精神の培養に努めること。

(ト)なお民生委員が行う生活の指導とは、要保護者及びこれと紙一重の差にある人々に対する個別指導及び環境改善、保護衛生、リクレエーション等集団指導を必要とする地区に対する指導であつて、指導を受けることの必要な人々に対しその必要な限度内の指導を意味し一般国民に対する一般生活の指導ではないこと。

三 社会情勢の複雑多岐化につれて、専門委員(事項委員)の活動はいよいよその重要性を増すから、一層これが活用を図ること。

四 民生委員の職務執行の公平を期するために、要すれば、二人乃至数人で組をつくり、各組ごとに一地区を担当させることも考えられること。この際各組に婦人民生委員を加えることは、最も望ましいこと。

五 職務執行について青年団、婦人会等各階層の協力と援助を受けるように努めること。

六 法第一五条は職務遂行に当つての心構につき特に近代社会事状に即応すべきことを規定したものであつて法第二条の努力目標と照応するものとなること。

七 法第一六条において解嘱せられるものとするとあるのは都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の市長より規定違反の具申があつた場合は当該民生委員は当然解嘱せられることを意味していること。

第五 民生委員協議会に関する事項

一 民生委員協議会は、従来の民生委員会に該当するものであること。

本法施行の際、現に存する民生委員会は、附則第三二条の趣旨よりみて民生委員協議会に乗り継ぐものであること。

二 民生委員協議会は、民生委員を中心として自主的に構成され運営される民生委員の連絡協議の機関であること。

三 斯業に特に関係の深い官公署、団体等の関係者を必要に応じて顧問等の資格で民生委員協議会に参加させ、相互の連絡と、民生委員の専門的知識の培養とを図るを資するよう考慮すること。

四 民生委員協議会に随時関係深い方面よりの参会を求めて専門的事項に関する研究を深めると共に、戦災者、引揚者、傷痍者、遺家族、離職者、一般生活困窮者等援護の対象となる立場の者の出席を求めて懇談裡にその事情、意向を聴取し、相互の連絡理解に資する等の措置を講ずること。

五・六 削除

七 民生委員協議会の状況は、これを詳細に記録して保存せしめ、又は必要なる場合には、その状況を報告せしめる等、常に適切なる指導監督を加うべきこと。

八~一○ 削除

第六 削除

第七 経費に関する事項

本法施行に要する経費については、別途通牒する予定であること。

第八 その他

一 本通牒中第一の五、七、八、九、第四の四は、本法審議の際における国会の要望に基くものであること。

二 従来の通牒で、本法令並びにこれに基いて発する通牒にもとづかないものは、本法施行後においても、なお、その効力を有すること。