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◆民生委員・児童委員の改選について◆

(昭和五八年七月三〇日)

(社庶第六七号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長・厚生省児童家庭局長通知)

民生委員・児童委員は、社会奉仕の精神をもつて自主的に社会福祉の増進に努めるものであり、その職務は、低所得者の自立更生の援護、老人、身体障害者、児童・母子、精神薄弱者等の福祉向上及び公的社会福祉施策への協力等広範にわたつている。最近における社会情勢の変化、生活環境の複雑化、家族構成の変化等は地域における社会連帯意識の希薄化等をもたらし、このため地域における福祉問題が新たに提起されていることにかんがみ、民生委員・児童委員活動の一層の展開が期待されている。

特に、最近、在宅福祉を中心とした地域福祉の充実が重要な課題となつてきており、こうした時代の要請に適切に応えるためには、地域住民の自主的、主体的な活動の展開が求められている。

本年一二月一日を期して行われる民生委員・児童委員の改選は、このような背景のもとに行われるものであつて、この期に適任者を確保することの重要性は大きい。

よつて、今回の改選に当たつては、昭和三七年八月二三日厚生省発社第二八五号厚生事務次官通知及び昭和三七年八月二三日社発第五四七号本職通知によるほか、特に次の事項に留意のうえ、適任者の確保に努められたい。

一 選任に当たつての一般方針について

(一) 民生委員・児童委員の改選は、民生委員・児童委員としての適任者を確保することを主眼として行なわれるものであることから、現在の民生委員・児童委員の再任についても考慮すべきことはいうまでもないが、その一部については活動が充分でない等の批判を受ける向もなしとしないので、現在の民生委員・児童委員の中から選任するときは、次に掲げる活動実績及び将来にわたつて積極的な活動が期待できるかどうかを充分検討すること。

ア 低所得者の実態把握と援護活動の実績(福祉票、児童票の整備状況、世帯更生運動実施状況、世帯更生資金貸付制度に対する協力状況等)

イ ひとりぐらし老人等病弱高齢者の把握と日常援護活動の実績

ウ 児童委員としての活動実績(子供を事故から守る運動、丈夫な子供を育てる母親運動への参加状況等)

エ 各種報告の提出状況等(民生委員・児童委員活動記録等)

オ 民生委員協議会その他関係諸会合への出席状況

カ 心配ごと相談活動への参加状況

キ 福祉事務所その他関係業務に対する協力状況

ク 共同募金、歳末たすけあいその他各種行事に対する参加協力の状況

ケ ボランテイアセンターへの協力等ボランテイア活動振興のための活動状況

(二) 現在、民生委員・児童委員でない者を新たに選任する場合は、社会福祉に対する理解と熱意のあることはもちろんのこと、地域の実情に通じ、積極的な活動が期待できる者を選出すること。

(三) 人間尊重を基盤とした社会連帯の意識を高め、社会奉仕の心情、態度を育てるとともに、社会福祉についての理解と関心を深め、住民参加による地域福祉の推進を図ることが今日重要な課題となつているので、特に、これらの問題についても十分な理解と関心を有し、かつ、積極的な活動ができる者を選任するよう努めること。

(四) 地域改善対策特別措置法、過疎地域対策緊急措置法等の適用対象地域にあつては、それぞれの施策について十分な理解と活動ができる者を選任するよう配意すること。

二 年齢について

民生委員・児童委員が地域社会の信頼を得、住民の期待に応えるためには、活発な行動力と柔軟な指導力を有する適任者の確保が強く要請されていることにかんがみ、民生委員・児童委員の年齢は次によることとしたので留意されたい。

(一) 現在、民生委員・児童委員でない者を新たに選任する場合には、六五歳未満の者を選出するよう努めること。

なお、今回、「おおむね六○歳未満」を「六五歳未満」に改めたが、その趣旨は、停年制の延長等により適任者の確保に支障が生じている点を配慮したものである。従つて、従来の基準でも十分適任者の確保が可能な都道府県・指定都市についてまで今回の措置により年齢制限の引上げを求める趣旨のものではないこと。

(二) 現在の民生委員・児童委員の中から選任する場合は、七五歳未満の者を選出するよう努めること。

三 婦人民生委員・児童委員の選任について

民生委員・児童委員活動の中で妊産婦の保健福祉、子供会、母親クラブ等の育成援助、青少年不良化防止活動並びに母子活動及び要保護女子の援護指導等については、婦人の特性を生かした地域福祉活動が強く要請されているので、これらの問題について理

解と関心を有し、かつ積極的な活動が期待できる婦人の民生委員・児童委員の選任に努めること。

四 民生委員推薦会及び民生委員推薦準備会について

(一) 民生委員・児童委員の選任の適否は、その推薦母体である推薦会及び推薦準備会の構成及び運営いかんにかかつていることにかんがみ、かりそめにも政治的その他の利害関係により委員を委嘱し、または、運営することのないよう市町村に対し十分指導すること。

(二) 推薦会及び推薦準備会の委員に対しては、事前に講習会開催等の方法により推薦に関する心構えや必要な知識について十分周知徹底を図ること。

五 指導訓練について

今回の改選により新たに選任された者については、特に昭和三五年一月一五日社発第一号「民生委員・児童委員の指導訓練について」本職通知によるほか、昭和五二年五月一二日の全国民生委員・児童委員大会において決定された「制度創設六○周年を期して活動強化方策(これからの民生委員・児童委員活動)」等により適宜必要な事項について指導訓練に努め、民生委員・児童委員の活動に支障をきたすことのないよう配慮されたいこと。

六 その他

(一) 民生委員・児童委員の定数については、都道府県・指定都市において、その一部を留保することなく、全定数について民生委員・児童委員を選任すること。

(二) 民生委員・児童委員の活動に必要な経費については、地方交付税における基準財政需要額算定の基礎となる単位費用積算基礎において、本年度は四一、○○○円が計上されているので民生委員・児童委員活動の推進を図るため、所要の財源措置を講じられたいこと。