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◆民生委員・児童委員の定数増に伴う選任について◆

(昭和四七年六月五日)

(社庶第九〇号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会・児童家庭局長連名通知)

近時、人口構造の変化、過密・過疎地域等における新たな福祉問題の発生などにより、民生委員・児童委員の果すべき役割は一層複雑困難の度を加えている。

このため民生委員・児童委員の負担を軽減し、地域福祉活動の推進を期するため、昭和四十七年度から民生委員・児童委員の総定数を一六万人(前年度一二万人)とし、大幅な増員を図ることとしたが、これを機に従前の定数にかかる配置基準を改め、昭和四十七年五月二十二日社庶第八七号「民生委員の定数及び配置基準について」厚生省社会局長通知に基づく定数増にかかる選任を本年七月一日を期して行なうこととした。

ついては、今回の選任にあたつては、昭和三十七年八月二十三日厚生省発社第二八五号厚生事務次官及び昭和三十七年八月二十三日社発第五四七号本職通知によるほか、次の事項に留意のうえ、適任者の確保に遺憾のないようされたく通知する。

1 定数増に伴う選任の趣旨について

民生委員・児童委員は社会奉仕の精神をもつて自主的に社会福祉の増進に努めることを本来の使命とするものであつて、その職務は、地域福祉活動の充実強化をはじめ、低所得者の自立更生の援護、老人、児童、身体障害者、母子、精神薄弱者等の福祉の向上並びに社会福祉施策への協力等広範囲にわたつているところであるが、近時、人口の急増地域又は過疎地域等において住民福祉にかかわる問題が多発している実情にかんがみ、地域住民の福祉サービスをより適確に行ない得る適任者を確保することにあること。

2 一般的事項について

(1) 民生委員推薦会及び民生委員審査会の委員に対しては、定数増にかかる選任の趣旨を周知徹底させるとともに、地域住民に対しても民生委員・児童委員の制度の理解と認識を深めるように指導啓発すること。

(2) 市町村の地域の実情に応じ民生委員・児童委員の担当範囲等を検討し、市町村ごとに選任基準等を示し、適任者が得られるように指導すること。

3 適任者の確保について

(1) 民生委員・児童委員の質的水準の向上を図ることは、制度の健全な運用を確保するうえから極めて重要である。したがつて選任にあたつては、社会福祉に関し理解と熱意を有することはもちろんのこと、積極的な活動が期待できる者を選出すること。

(2) 民生委員・児童委員が地域社会の信頼を得、住民の期待にこたえるためには、活発な行動力と住民生活の実態に即応した近代的かつ柔軟な指導力が強く要請されることにかんがみ、特別の事情がある場合を除き、おおむね六○歳未満の者を選任するよう努めること。

(3) 民生委員・児童委員の活動の一環として従前から母子保健対策、児童の健全育成措置等のため、婦人の特性を生かした地域福祉活動が強く要請されているので、特にこれらの問題についても十分な理解を有し、かつ、積極的な活動が期待できる者を選任するよう努めること。

(4) 近年における著しい社会経済の進展の反面、地域社会等における連帯感も大きく変化し、かつまた、人口の老齢化、核家族化等により適応力の弱い老人、心身障害者等の福祉が重要な課題となつているので、特にこれらの問題についても十分な理解を有し、かつ、積極的な活動が期待できる者を選任するよう努めること。

(5) 社会的又は地域的条件等のため、特別の施策が必要とされている同和対策事業特別措置法、離島振興法、過疎地域対策緊急措置法並びに豪雪地帯対策特別措置法等の対象地域にあつては、それぞれの福祉施策について十分な理解と活動ができる者を選任するよう特段の配慮をすること。

4 委嘱時期について

今回の定数増にかかる民生委員・児童委員の委嘱は、本年七月一日付をもつて行なうことを原則とすること。

5 指導訓練について

民生委員・児童委員としての活動を行なううえにおいて最近の福祉施策の充実に伴い広汎な知識等を有することが必要とされるが、昭和四十六年十二月一日の改選により相当数の新任者が選出され、かつまた、今回の定数増にかかる選任により、民生委員・児童委員の定数に占める新任者の割合は極めて多くなる見込である。

これら新任者の指導訓練については、民生委員法の健全な運用のためには重要な問題であるので、昭和三十五年一月十五日社発第一号「民生委員・児童委員の指導訓練について」本職通知によるほか、適宜必要な事項について指導訓練に努め、民生委員・児童委員の活動に支障をきたすことのないよう配慮すること。

6 その他

(1) 民生委員・児童委員は、社会奉仕の精神をもつて保護指導にあたり、活動に際しては、生活を保障するための給与を受けない、いわゆる名誉職とされているところであるが、民生委員・児童委員活動を行なうために必要な実費については、地方交付税における基準財政需要額算定の基礎となる単位費用積算基礎において昭和四十七年度一人年額九○○○円が計上されているところである。

ついては、民生委員・児童委員活動の推進を図る一環としてこの経費の趣旨を理解のうえ、所要の措置について特段のご配意を願いたい。

(2) 民生委員法第二十五条に定める民生委員協議会の総務の職にある者については、今回の定数増を機に、担当区域等を縮少する等の措置をとり、民生委員協議会の活動の充実強化を図るよう配慮すること。