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◆民生委員の関係行政機関の業務に対する協力事務について◆

(昭和三七年一二月四日)

(社発第七九四号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)

近代的社会福祉事業の発展には、公私社会福祉事業関係者の緊密な協力が必要とされている。この意味において、民間篤志家として、自主的に社会福祉の増進に努めることを本来の使命とする民生委員についても、社会福祉関係諸法令の施行事務について関係行政機関の業務に協力することが強く期待されているところである。

今般、民生委員のこの協力事務の内容を左記のとおりとりまとめたので、民生委員の指導について遺憾のないようせられたく通知する。

なお、児童委員の協力事務については、今般昭和二十八年九月二十四日児発第四五一号による「児童委員活動要領」が改訂され、別途通知されたので、同活動要領により指導されたい。

一 生活保護についての協力事務

(1) 要保護者を発見した場合の連絡

民生委員は、生活調査をその職務としているので、これによって要保護者を発見した場合等においては、すみやかに市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事に連絡すること。

(2) 保護申請等の連絡

本人に限らず、その親戚、知人又は近隣者から相談又は申出のあった場合に、保護申請の手続を教えるか、又は自ら福祉事務所に連絡すること。

(3) 生活実態調査についての協力

社会福祉主事が、要保護者の生活実態調査を行なう際には、民生委員は、参考資料を提供する等積極的にこれに協力すること。

(4) 保護の決定についての意見具申

保護の要否、種類、程度及び方法の決定は、すべて保護の実施機関の責任と権限に属するものであるが、民生委員は、これに役立たしめるため必要に応じ参考意見を述べること。

(5) 保護開始後の指導についての協力

保護開始後の被保護者に対する生活指導の責任は、すべて社会福祉主事にあることはいうまでもないが、民生委員は、福祉事務所が指導方針及びその方法を決定するにあたり、必要に応じ参考意見を述べることのほか、社会福祉主事が行なう生活指導をより一層効果あらしめるため、福祉事務所の方針に従って、積極的に生活指導の協力を行なうこと。

(6) 保護の変更、停止又は廃止の措置を必要とする事由が生じた場合の連絡

被保護者から相談を受けた場合その他被保護者の生活状態に変動がある等、保護の変更、停止又は廃止の措置を必要とする事由を発見したときは、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事に連絡すること。

二 身体障害者福祉についての協力事務

(1) 福祉の措置を要する身体障害者を発見した場合の連絡

地域における身体障害者の生活状態その他の実情の把握に努め、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)による身体障害者手帳の交付、更生医療給付、補装具の交付等の福祉の措置を要する者又は戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)による更生医療の給付又は補装具の支給を受けることを要する者を発見した場合には、その措置を受けるように指導するとともに、市町村長、福祉事務所長、身体障害者福祉司又は社会福祉主事に連絡すること。

(2) 相談及び援助

身体障害者又はその家族等の相談に応じ、身体障害者の自立更生意欲を向上させるよう援助指導すること。

(3) 求人の開拓等

身体障害者の就職あっ旋、求人の開拓等についての関係機関との協力の下に必要な援助を与えること。

(4) 後指導

一応社会復帰した身体障害者に対して、その生活意欲の一層の向上をはかるよう指導、激励し、文化的社会的活動の活発化等について必要な便宜を提供すること。

(5) 広報活動

身体障害者援護の制度を一般国民に周知徹底させ、身体障害者の福祉に関し一般の理解を深めるようその啓発に努めること。

三 知的障害者福祉についての協力事務

(1) 知的障害者援護施設への収容その他の福祉の措置を必要とする知的障害者の発見に努め、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)による福祉の措置を受けるよう指導するとともに、市町村長、福祉事務所長、知的障害者福祉司又は社会福祉主事に連絡すること。

(2) 相談及び援助

知的障害者の援護についての相談に応じ、知的障害者援護に関する制度を説明するとともに、知的障害者の家庭環境、近隣その他の社会環境の調整をはかり、また知的障害者の就職あっ旋、求人の開拓に必要な援助を与えること。

(3) 職親の開拓

職親に対する知的障害者の援護委託に関し、知的障害者福祉司等の関係機関の業務に協力するとともに、とくに、適当な事業主等に対し、職親制度の啓発に努めること。

(4) 広報活動

知的障害者援護の制度を一般国民に周知徹底させ、知的障害者の福祉に関し地域社会の理解を高める等その啓発に努めること。

四 婦人保護についての協力事務

(1) 要保護女子を発見した場合の連絡

売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)に規定する要保護女子を発見した場合は、婦人相談所長又は婦人相談員に連絡すること。

(2) 調査についての協力

婦人相談所が行なう要保護女子及びその家庭についての調査に協力すること。

(3) 相談

要保護女子又はその家族等の相談に応じ、要保護女子の保護更生に関する制度、手続等を説明するとともに必要に応じ婦人相談所長又は婦人相談員に連絡すること。

(4) 婦人相談員の行なう指導等についての協力

婦人相談員の行なう要保護女子の居宅指導等について、参考となる意見を述べ又は資料を提供する等積極的に協力するとともに、婦人相談所の方針に従って、自ら要保護女子の指導を行なうこと。

(5) 啓蒙活動

婦人相談所の行なう社会環境浄化の活動に参加し、女子の転落防止と保護更生に関し、地域住民の啓蒙指導にあたること。