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◆希少疾病用医薬品等の指定に関する取扱いについて◆

(令和2年8月31日)

(/薬生薬審発0831第7号/薬生機審発0831第7号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

(公印省略)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第77条の2第1項に基づく希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品(以下「希少疾病用医薬品等」という。)の指定については、従来、「希少疾病用医薬品の指定基準の取扱いについて」(平成27年4月1日薬食発第0401第11号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「旧通知」という。)等に従って取り扱ってきたところです。

今般、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和2年厚生労働省令第155号)により、希少疾病用医薬品等に係る公示の方法が規定されたことに伴い、希少疾病用医薬品等の指定に関しては下記のとおり取り扱うこととしましたので、御了知の上、貴管下関係業者に対し、周知方御配慮お願いします。

なお、本通知は令和2年9月1日から適用することとし、同日以降、旧通知は、廃止します。

1 指定の基準

法第77条の2第1項の規定による希少疾病用医薬品等の指定は、指定の申請に係る医薬品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)につき、次の(1)から(3)までのいずれの要件にも該当するものについて行うものであること。

(1) 対象者数

ア 対象者数の基準

医薬品等の用途に係る対象者の数が、本邦において5万人未満であること。

ただし、その用途が指定難病(難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号。以下「難病法」という。)第5条第1項に規定する指定難病をいう。以下同じ。)の場合は、対象者の数が同項に規定する人数(人口のおおむね千分の一程度)未満であること。

イ 対象者数の推定方法

厚生労働科学研究事業や関連学会の信頼できる調査結果等を利用して対象者数を推定する必要がある。しかし、患者数にかかる調査が十分ではなく、確実な人数を示すことができない疾病の場合は、複数の統計データ等に基づき、かつ、複数の手法により推計することが望ましい。

ただし、医薬品等の用途が指定難病である場合は、対象者数については要件を満たしているものとみなすので、別途対象者数を推定する必要はない。

ウ 指定対象となる疾患の範囲

特定の疾患の患者数に関して、医学薬学上の明確な理由なしに、「重篤な」等の接頭語、ただし書き等を追加することによって、患者数を5万人未満として計算するいわゆる「輪切り」申請については、原則として認めない。

一方、例えば、年齢層(小児を含む)、治療体系、治療ライン、リスク分類、投薬の必要性等を含め、医学薬学上の適切な根拠に基づき、高いアンメットニーズがありつつも開発が進んでいない範囲に限定した対象疾患に対して製造販売をしようとするのであれば、当該疾患については「輪切り」には該当しない。ただし、疾患全体の患者数が5万人を大幅に超える場合は、患者数は複数の根拠に基づき慎重に確認するものとする。

エ 感染症の疾病の予防の用途について

感染性の疾病の予防の用途に用いる医薬品又は再生医療等製品にあっては、対象者数は、当該申請時において当該医薬品又は再生医療等製品につき、製造販売の承認が与えられたならば、1年間に、その用途に使用すると見込まれる者の人数とする。「感染性の疾病の予防の用途に用いる医薬品」とは、次のいずれかの要件に該当する医薬品を含むが、これらに限らない。

① 国内での発生が稀で、特定の集団に限定して流行している感染症の予防に用いるワクチン

② 海外でのみ発生している感染症で、その流行地域への訪問者(渡航者)等が用いる渡航者用ワクチン

③ 国民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれのある新興・再興感染症に対するワクチンであって、当該感染症の流行に対応して使用するために流行前に開発され、承認を与えられたとしても直ちに使用されないもの

(2) 医療上の必要性

当該医薬品等の製造販売承認が与えられたならば、その用途に関し特に優れた使用価値を有すると見込まれること。

なお、法第77条の2第1項第2号の「特に優れた使用価値を有する」とは、原則として、次のア及びイに該当するなど、特に医療上の必要性の高いことをいうものであること。

ア 対象疾患の重篤性等

指定対象の疾患としては、原則として、重篤な疾病又は国民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれのある感染症を対象とする。重篤な疾病とは、致死的であることのほか、著しく生活の質を落とす状態が長期的に継続する場合などが該当する。

イ 対象疾患に対する有用性

次の①~③のいずれかに該当し、対象疾患に対する有用性を有する医薬品等を対象とする。

① 既承認薬等(標準的に用いられている治療法・予防法を含むが、未承認・適応外で使用されている医薬品等を除く。以下②~③において同じ。)がないこと。

② 既承認薬等がある場合であって、いずれの既承認薬による治療を行った場合でも予後不良など、当該既承認薬等のみでは治療法・予防法として十分ではなく複数の選択肢が臨床的に必要とされていること(医療環境・投与環境から既承認薬の投与が困難である患者が一定数存在すると考えられる場合を含む。)。例えば、新規作用機序であって非臨床試験の結果等から効果が期待できること、医療環境・投与環境から既承認薬の投与が困難である患者に対する投与が可能となることが考えられることなど、医薬品等としての有用性が一定程度期待されること。

③ 既承認薬等がある場合であって、臨床試験の結果等に基づき当該既承認薬等と比較して高い有効性又は安全性が期待されること。

なお、高い有効性又は安全性が期待される場合としては、次のような場合が該当しうると考えられるが、これらに限らず、薬剤、疾患の特性等に応じ個別に判断すること。

● 適切に設計された比較臨床試験において既承認薬と直接比較した結果により有効性又は安全性における優越性が示されていること

● 既承認薬と直接比較した臨床試験以外の臨床試験の結果等から、既承認薬と比較して著しく高い有効性又は安全性が十分に期待されること

● 国内又は国際的に認められている主要なガイドラインにおいて、有効性又は安全性の観点から一定の科学的根拠に基づき既承認薬と比較して高い優先度に位置づけられていること

● 添付文書上の注意喚起の程度が明らかに異なる(例えば、既承認の適応での警告欄における記載が異なる)場合など、安全性プロファイルが明らかに異なり既承認薬の投与が困難である一定数の患者が治療可能になることから、安全性において優れている蓋然性が高いこと

(3) 開発の可能性

国内での開発を行うことのできる体制及び計画を有していること。

具体的には、承認申請に至るまでに実施する予定の臨床試験の概観が明らかとなっていること。また、少なくとも初めて人に投与する臨床試験を実施するために必要な非臨床試験については概ね完了していること。

2 指定の方法

希少疾病用医薬品等の指定については、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて行う。

なお、指定した医薬品等については、指定年月日、医薬品等の名称、対象疾病並びに申請者の氏名及び住所を厚生労働省のホームページに掲載する。

3 指定の相談

希少疾病用医薬品等の指定の申請にあたっては、事前に、厚生労働省医薬局医薬品審査管理課又は医療機器審査管理課の指定業務担当者に相談すること。

4 指定の申請

(1) 申請書の記載

希少疾病用医薬品等の指定を受けようとする者は、施行規則様式第107(1)、様式第107(2)又は様式第107(3)による申請書を提出すること。

(2) 申請書の添付資料

施行規則第250条第2項の規定により申請書に添付すべき資料が定められているが、その具体的な内容は次のとおりであること。なお、このほか、必要に応じて資料の提出を求めることがあること。

ア 対象者数に関する資料

当該医薬品等の用途に係る対象者数に関する客観的な統計資料

イ 医療上の必要性に関する資料

(ア) 病因、症状等対象疾病に関する資料

(イ) 類似の医薬品等の有無、治療方法の有無など医療の現状に関する資料

ウ 当該医薬品等を使用する理論的根拠となる資料

(ア) 医薬品の場合

施行規則第40条第1項第1号に掲げる資料のうち申請時において入手可能な資料の概要

(イ) 医療機器・体外診断用医薬品の場合

施行規則第114条の19第1項第1号又は第2号に掲げる資料のうち申請時において入手可能な資料の概要

(ウ) 再生医療等製品の場合

施行規則第137条の23に掲げる資料のうち申請時において入手可能な資料の概要

エ 開発計画

予定している試験項目、試験期間など開発計画の概要を説明する資料

オ 希少疾病用医薬品等の概要

部会説明用資料及び公表用資料として、別紙様式1、別紙様式2又は別紙様式3に従って作成した概要(名称、予定される効能・効果、予定される使用目的又は効果、予定される効能、効果又は性能及び申請者名については英名又は英語表記を併記すること)

5 試験研究等の中止

法第77条の2第1項の規定による指定を受けた者(以下「指定取得者」という。)は、当該指定に係る希少疾病用医薬品等の試験研究、製造販売又は製造を中止しようとするときは、法第77条の5の規定に基づき、速やかに厚生労働大臣に届け出ること。

なお、中止の届出は、施行規則様式第108による届書を提出することにより行うこと。

6 指定の取消

法第77条の5の規定による中止の届出があったときは、法第77条の6第1項の規定に基づき、厚生労働大臣は、指定の取消しを行う。また、法第77条の6第2項の規定に基づき、次のいずれかに該当するときは、指定を取り消すことがある。

なお、指定の取消しの公示は、2に準じて行う。また、アにより取り消しを行う際は、事前に指定を受けた者の意見を聴くこととする。

ア 1の要件を欠くと認められるとき。

イ 指定申請書の虚偽記載等不正があったと認められるとき。

ウ 正当な理由なく希少疾病用医薬品等の試験研究又は製造販売が行われないとき。

エ 指定を受けた者について法その他薬事に関する法令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反する行為があったとき。

7 承継の取扱い

指定取得者から、他の者に本邦での開発権を譲渡する場合、指定取得者は、5に従って、試験研究等の中止の届出を行い、開発権を譲渡された者(以下「承継予定者」という。)は、4(1)及び(2)のオの資料を提出すること。ただし、指定取得者が指定を受けた時点から、資料の内容に変更が生じている場合には、当該変更部分について、承継時点でも指定要件を充足することを示す資料も併せて提出すること。なお、承継は別途発出する指定書を以て認めるものとする。

なお、承継を検討している指定取得者は事前に3に記載する指定業務担当者へ相談すること。その際、承継に係る契約書の写しや承継の経緯等が把握できる資料等も提出すること。

8 優先審査及び優先相談の取扱い

希少疾病用医薬品のうち、優先審査及び優先相談の対象となるのは、当面の間、従前の希少疾病用医薬品の指定の基準を満たすものに限るものとする。このため、当該要件に該当することを積極的に示す根拠がないものについては、希少疾病用医薬品としての優先審査及び優先相談の対象とはならない。優先審査及び優先相談への該当性については、希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書に記載することとする。

指定の段階で優先審査及び優先相談には該当しないとされた希少疾病用医薬品であって、開発の進展とともに優先審査及び優先相談に該当すると考えられる品目については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の相談(原則として、申請前に申請資料のまとめ方等について行う相談の際に行う。)を活用することにより、該当性を明らかにすることで、優先審査及び優先相談の適用を受けることができる。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3