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◆児童福祉法施行に関する件◆

(昭和二三年三月三一日)

(発児第二〇号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)

児童福祉法は客年一二月一二日公布せられ、これに伴う政令及び省令の一部は、夫々本日公布せられたのであるがこの法律は敗戦後のわが国における戦災孤児浮浪者などの急激な増加、乳幼児の保健状態の悪化等の諸事情に鑑み、これらの保護の万全を期し、進んで国見らが、児童の福祉を保障する根本理念を明示したものであつて、この運用の成否は、わが国児童保護事業の消長に直接に影響するものであるから、この法律制定の趣旨の普及徹底に努めるはもちろん更に児童の福祉の増進に関する諸措置をとるに当つては遺漏なきよう特に左記事項につき周密な注意を払い、以つてこの法律の所期する目的を達成するよう努められたい。

第一 一般事項(なお、この通牒においては、児童福祉法を法と、児童福祉法施行令を令と、児童福祉法施行規則を則と略称する。)

一 この法律は、児童に関する総合法規であつて第一条及び第二条に規定する「児童の福祉を保障するための原理」は、児童福祉司若しくは児童委員又は児童相談所の相談及び指導並びに児童福祉委員会の調査審議の指導理念であるのみでなく、児童に関するあらゆる法令の施行にあたり、適用されるものであること。

二 この法律は学校教育法、労働基準法、少年法、国民医療法等との関連が極めて密接であるから常に関係機関との連絡をはかり、法律施行の円滑を期すること。

三 この法律は単に、保護を要する児童のみを対象とするものではなく、積極的に一般児童の不良化防止、福祉増進等に、努めるものであるから後述の児童相談所、児童福祉司、児童委員等各機関を積極的に活用すること。

四 少年教護法及び児童虐待防止法並びにこれらに関する命令等は、廃止されこの法律に吸収されることになつたが、これらの法律による処分は、そのままこの法律による処分とみなされるものであるが、その間の措置につき過誤なきを期すること。なお、国立少年教護院官制及び道府県立少年教護院職員令は、これを存置し一部改正する予定であること。

第二 地方児童福祉委員会

一 地方児童福祉委員会は、児童福祉に関する民間の世論を代表し、その推進力となるものであるから、その人選については児童福祉事業関係者の外、広い見地より、一流の学識経験者、実業家、文学者、新聞放送等の宣伝関係者等広く民間各階層の有力人物を網羅すること。なお委員長には民間人を以つてこれに充てるよう指導すること。

二 昭和二一年四月一五日社発第三八七号通牒に基づく浮浪児等に関する児童保護委員会及び同年九月一九日厚生省発社第一一五号通牒に基づく東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、及び福岡県の浮浪児等保護委員会においては、従来の委員であつて適当なものは、これをこの地方児童福祉委員会の委員に選任するとともに、選任せられない委員についても適当なものは、この委員会の臨時委員又は児童委員に選任する等の方途を講じ、或いはその他適当な方法により、今後も引き続き児童福祉事業に熱意と関心とをもつよう配意すること。

右七都府県以外の地方においても、児童保護委員会を設置してある県においては、前項に準じて措置すること。

三 貴管下の市町村において、浮浪児その他児童保護に関する委員会のある場合は、その実際の働きは地方児童福祉委員会の下部組織としてこれを活用し、常にこれと密接な連絡をとりその育成につとめること。

四 関係地方児童福祉委員会は、従来より設置してある京浜地方浮浪児等保護委員会又は、京阪神地方浮浪児等保護委員会と密接な連絡をとり児童福祉の実を挙げるよう努めること。

五 地方児童福祉委員会は、児童問題を調査審議することを建前とするものであるが、次の場合は、具体的行政に実質的に関与するものであるから単なる諮問機関を超えた機関であること。

(一) 法第三五条第三項により、児童福祉施設の設置を命ずるとき。

(二) 法第四六条第二項又は法第五八条第二項により児童福祉施設に対し、事業の停止を命ずるとき。

(三) 則第三一条により、里親になることを希望するものを里親として里親登録簿に登録するとき。

(四) 則第三三条により、里親に関して必要な事項を都道府県知事が定めるとき。

六 委員会は、何都道府県地方児童福祉委員会と称すること。

七 委員会の委員を任命したときは、委員の職、氏名、年齢等を記載した名簿を当省に報告すること。なお、解任のときも、これを報告すること。

第三 児童福祉司及び児童委員

一 児童福祉司の選任に際しては、令第八条により、人格円満で実行力があり真にケースワーカーとして適当な人物を採用すること。

二 削除

三 児童福祉司の配置数については、昭和二二年一二月二三日厚生省児発第二六号を以つて通知済みであるが、貴管下の配置については差し当り児童問題の多い都市を中心として担当させるよう配慮すること。

四 児童福祉司の義務は飽くまでも事業第一線の現場において、ケースワークに当るものであるから、事務職員と判然と区別し児童福祉司を事務的な職員に流用充当しないよう厳に留意すること。

五 児童福祉司は、児童相談所を職務執行の拠点とし、その担当区域に児童相談所がないときは、地方事務所、支庁、市区町村役場又は適当な児童福祉施設とする。

六 民生委員は、すべてこの法律による児童委員となるものであること。なおこのため、民生委員は改選され、民生委員と同時に児童委員たるにふさわしい者を選ぶことになつたのであるが、この趣旨に鑑み次のような措置を講ずること。

(一) 児童委員の職務につき、講習会を開催すること。

(二) 民生委員会を利用し児童問題につき研究させること。

七 児童福祉司及び児童委員の服務については、次の諸点に注意すること。

(一) 常時担当区域内の児童及び妊産婦の状況を調査し、常に実情を把握しておくこと。

(二) 児童福祉に関する事項について相談に応じ、又福祉の措置を講ずべき者を早期に発見し、これに必要な注意を与え、又必要な措置をとること。なおその職務遂行の適確迅速を期するとともに、福祉の措置の便に資するため、児童票を整備し、且つ、児童福祉司は、職務日誌を作成すること。

(三) 担当区域内の市町村地方事務所及び都道府県の関係職員と密接に連絡し業務上の疎通を図ること。

(四) 児童相談所、児童福祉施設その他児童関係の施設と密接に連絡しその機能を助けること。

(五) 担当区域内において必要のあるときは、集団指導を行い積極的に児童のレクリエーシヨン等福祉を進めること。

(六) 児童福祉司は、担当区域内の児童委員を指導しその協力を得て、これを行うこと。

(七) 法第二六条第一項第二号又は、法第二七条第一項第二号により児童福祉司又は児童委員が児童又はその保護者を指導するときは、常に児童及びその保護者に密接に連絡し保護誘益の実を挙げること。

八 貴庁の民生部長、児童課長その他関係職員は、児童福祉司及び児童委員の職務の重要性に鑑み、その監督に意を用いるとともにその指導訓練につき格別の配意をすること。

九 貴管下の児童福祉司に定時的に会合を催さしめ、これを指導するとともに児童福祉司の職務上の相互練磨に努めさせること。

一○ 児童福祉司の指導訓練については、当省においても短期講習会を計画中であるが各地方においても職務を行うに必要な講習会を考慮すること。

一一 客年一二月二三日付児乙発第四六号に基づき設置された補導員は、教護の対象となるべき児童の特殊性に鑑み特定の教護院に配置する都道府県吏員であるから、本年一月二三日付通牒の趣旨に基づき、児童福祉司及び児童委員と緊密に連絡し、教護院退院者及び要教護児童のケースワークに従事すること。

第四 児童相談所

一 児童相談所は児童に関する問題の指導的機関としての位置にあるものであるから、その設置の場所及び管轄区域については、人口数、人口密度、青少年犯罪の頻度、その他、要保護児童の数等を勘案し、その機能の発揮について格別の工夫を加えること。なお、他の施設を利用して児童相談所を設置するときは保健所、児童福祉施設、学校等児童問題の相談指導等に関係のある施設を利用すること。

二 児童相談所の設備を整えるにあたつては、現在の資材状況から考えて、遊休器材の活用等十分工夫をこらすとともになるべく児童を面接指導すべき小室を設けること。

三 都道府県以外の設置した児童問題の相談指導等を行う施設のうちには、教育相談、育児相談等については優れた施設がある現状であるので、その機能についても十分活用しうるよう連絡すること。

四 児童相談所の所長及び所員の任用資格はおおむね児童福祉司の任用資格に準ずる程度とすること。なお、所員は全て、ケースワーカーとして能力を養うよう努めること。

五 児童相談所の取り扱う児童の範囲は、つとめて広くし浮浪児、不良児、精神薄弱児等特殊児童のみを取り扱うという印象を一般に与えないように留意すること。但し、当面の問題としては右の特殊児童の福祉増進に重点をおくこと。

六 児童相談所は、相談に応じ又児童の資質の鑑別を行うにあたつて、医学的診断(精神病学的診断を含む。)、心理学的検査(知能検査及び性格検査を含む。)、一時保護所における生活観察環境調査等を十分行つたのち、判定を下し、事務的又は形式的に流れないよう特に注意すること。なお、相談及び鑑別の結果は、これを児童記録表に整理記載しておくこと。

七 法第二七条第一項第三号の措置を要する旨の認定をするにあたつては、特に慎重を期すること。なお、環境調査は単に聴取によるばかりでなく必要に応じては実地調査を行うこと。

八 児童相談所長は、附設一時保護所の監督につき十分注意すること。一時保護中の児童の衣食住遊戯等については、十分考慮し逃走等を惹起しないように努めること。

九 関係児童福祉施設とは、常時緊密な連絡をとり、その実情に精通し、施設及びその経営者の特色に応じ入所児童の振り分けを適切に行うこと。このため関係児童福祉施設の職員を兼務させ又は嘱託する等の措置を講ずること。

一○ 中央児童相談所においては、当該都道府県内の児童相談所より児童記録表その他の報告書を徴し、県内の児童問題の動向を適確に把握しておくこと。

一一 児童相談所においては、必要に応じ、出張相談及び巡回相談をなし得るように計画すること。

第五 福祉の措置及び保障

一 法第一九条第四項により、保健指導を受ける費用を負担することができない者が、保健指導を受けようとするときは、都道府県知事の発行する保健指導票を提出させ、医師又は助産婦は、この保健指導票を証拠として、都道府県より保健指導に要する費用の支払を求めるものであること。なお保健指導票は、予め、児童委員に交付しておく等の適宜の措置を講ずること。

二 保健指導に要する費用に関して追つて通牒の予定であること。

三 都道府県知事が、則第七条により、医師及び助産婦を指定するときには、保健指導を受ける者が、広く医師又は助産婦の選択ができるように、広くこれを指定しておくこと。

四 母子手帳の取扱は、従来の妊産婦手帳の取扱とほぼ同一であるが、次の諸点において異なること。

(一) 従来の妊産婦手帳は、交付の対象を妊産婦としたが、母子手帳はそれの交付の対象は、母を通じてその子としていること。従つて、二人以上の子を出産したときは二つ以上の母子手帳を交付すべきこと。

(二) 捨子等の場合において、母子手帳がないときは、その捨子等につき、母子手帳を交付するものであること。

五 従来の妊産婦手帳規程により、交付された妊産婦手帳は、この法律により交付された母子手帳とみなされ、法施行後もなお有効であること。なお小学校就学前の児童であつて、本年一月一日現在従来交付された妊産婦手帳を失つている者は、母子手帳の交付を受けるものであること。

六 市町村長は、児童福祉司又は児童委員と連絡を密にし、法第二二条から第二四条までにより、保護を要するものを放置することがないよう万全の注意を払うこと。

七 法第二六条又は法第二七条の措置の完璧を期するためには、これら保護を要する児童を早期発見することが先決問題であるから、児童相談所は、市町村、警察署、学校等と連絡を計り、早期発見に努めること。なお、一般法人についてもこれらの児童を発見した場合には、即刻これを児童相談所に通告するように啓発し指導すること。

八 少年法により、少年審判所の保護処分をなすべき犯罪少年及び虞犯少年については、法第二五条但書及び少年法第二九条により、少年審判所又はその職員に通告することになつているので、少年審判所とは特に連絡を密にすること。

九 児童相談所長又は、都道府県知事が、夫々法第二六条第一項第二号又は法第二七条第一項第二号により児童又はその保護者を児童福祉司又は児童委員に指導させる措置をとるときは、関係吏員は、形式的に児童又はその保護者に児童福祉司又は児童委員の指導に付する旨を告げるのみでなく、児童の具体的環境及び性状より判断して、将来に対する懇切な訓戒等を与えること。

一○ 児童福祉司又は児童委員が法第二六条第一項第一号又は法第二七条第一項第二号により児童又はその保護者を指導するときは、これらの者の家庭の資産、環境及び本人の年齢、性行、健康等につき深甚な考慮を払い、各事例毎に適切な指導を行い、その結果は、毎月一回意見を附して、これを児童相談所に提出すること。

一一 法第二八条の家事審判所の審判を受ける場合は、都道府県知事が本年一月一日から施行された家事審判所法家事審判規則(昭和二二年一二月二九日最高裁判所規則第一五号)及び特別家事審判規則(昭和二二年一二月二九日最高裁判所規則第一六号)により承認の申し立てを行うものであるから、右の諸法令に則り遺漏のないようにすること。

一二 従来の少年教護法によれば児童を国立少年教護院に入院させるには、厚生大臣の入院命令を必要としたのであるが、この法律においては、都道府県知事が児童相談所の鑑別に基づき国立教護院の長の承認を受ければ足り厚生大臣の入院命令はこれを必要としないこと。なお、国立教護院に入院させるべき児童は、従来と変更のないものであること。

一三 則第二七条に掲げる事項があつた場合には、児童福祉施設の長は児童相談所を経て、且つ、児童相談所長は、これにその意見を附して、当該都道府県知事に届け出て都道府県知事は、この届け出に基づき、則第二八条により所要の措置を講ずるものであること。

一四 教護院等から逃亡した場合は、関係機関と連絡し、捜査の結果三○日以上手懸りのない場合においては、児童福祉施設の長は、直ちに則第二七条第二号の措置の停止の申請を都道府県知事になすこと。

一五 里親を登録するに当つては次の条件を具備していることを要件とすること。

(一) 本人が児童の育成に興味をもち、児童自身のために養育しようとするものであること。

(二) 本人に健全な常識があること。

(三) 本人及びその家族に遺伝性疾患、伝染性疾患等がないこと。

(四) 相当の資産を有していること。

(五) 居住地の環境が良好であること。

なお、児童を里親に委託するときは、次の点に注意しておくこと。

(一) 当該児童を委託した場合において、里親の家庭に不和を惹き起すようなことがないこと。

(二) 委託される児童の適性からみて、里親がなるべくこれに相応している職業を有していること。

一六 里親制度の運営については、地方により相当の相違があるものと考えられるので、この運営の詳細については、地方児童福祉委員会の意見を十分徴し地方の実情に即応するよう措置すること。

一七 児童を里親に委託したときは、都道府県知事は、児童相談所等を通じ、法第二九条又は第三○条の規定を活用し、厳重にこれを監督し、いやしくも児童の労働力の搾取とみられるような行為がないようにすること。

一八 一般に児童を他人に委託するときは、この法律による里親の制度を利用し、里親に委託するように宣伝指導に努めること。

一九 都道府県知事は、児童虐待等の場合を発見するため、法第二九条により、児童委員又は、児童の福祉に関する事務に従事している吏員(児童福祉司も含む。)をして児童の住所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせること。但し、これを濫用すれば個人の権利及び自由に対して重大な障害になるものであるから、その行使につき深甚な注意を払いいやしくも指弾されるような行為のないよう万全の注意を払うこと。

二○ 精神薄弱児施設、療育施設又は教護院に入所せしめた児童の在所期間が、一八歳以上に及ぶ場合には、これら児童の労働力の利用を目的としてこれらを在所させることを防止する目的を以つて児童相談所に再鑑別させる措置をとり、人権保障の万全を期するよう特に留意すること。

二一 法第二九条、第四六条及び法第六二条に規定する児童の福祉に関する事務に従事する吏員の中には、市町村の吏員をも包含するものであること。

二二 都道府県が設置した一時保護所は、すべて児童相談所の附設の形式をとり、独立の一時保護所は、これを認めないものであること。

二三 法第三三条第一項又は第二項により、児童を一時保護するときは、処遇、環境、施設又は家屋の状況等よりみて児童を一時保護するところを選ぶこと。

二四 児童相談所附設の一時保護所は、養護施設の実質を備えるべきものであるから、その設備及び運営については、養護施設に準じたものとするものであること。

二五 法第三四条第一項の罰則は、従来の児童虐待防止法罰則の趣旨を拡充し、その不備を補つたものであること。なお、従来児童虐待防止法の施行規則として各都道府県において制定したものには都道府県知事の許可を得れば、禁止の解除を受け得る旨の規定が挿入されていたが、この法律においては、法第三四条第一項に掲げる各条項は、例外なく禁止せられるものであること。

二六 法第三四条第二項により、養護施設、精神薄弱児施設、療育施設又は教護院において禁止された児童の酷使という概念は、時間的にみて、又は行為の態様において児童の労働力を過度に使用することを意味するものであるが、その具体的な適用については、法第三四条第三項により、これらの施設に定められる最低基準がその重要な基準となるのであること。

第六 児童福祉施設

一 都道府県は、法第三五条第一項により、児童福祉施設を設置する義務を有するが、当分のうち、この設置義務は、令第一○条第一項により児童福祉施設中教護院のみに限定されるものであること。

二 児童福祉施設の定義は、法第三六条から第四四条までに規定しているが具体的には、法第四五条の規定により定める設備及び運営に関する最低基準によつて規定されるはずであり、差し当り次の諸点に注意すること。

(一) この法律における助産施設は、国民医療法に規定する産院ではなく、経済的理由により、入院助産を受けることが出来ない妊産婦を入所させる施設としてこの法律により認可したもののみを指すものであること。

(二) 児童厚生施設には、営利を目的とするものは、これを包含しないのであること。

(三) 療育施設には、盲、つんぼ・・おし・・の児童を保護する施設を、養護施設には、教護院等を退所した児童を収容して独立自活に必要な知識技能を与えるいわゆるアフタアーケエヤ、の施設を夫々含むものであること。

三 昭和二三年一月一日現在において法第三六条から第四四条までに規定する児童福祉施設の実態を有するものについては、次のような措置をとること。

(一) 少年教護法による少年教護院は、法第六七条によつて、当然この法律による教護院となること。

(二) 生活保護法による保護施設としての認可を受けたものであつて、児童福祉施設の実態を有する施設は、法第六九条により当然この法律による児童福祉施設になるものであること。

(三) (一)(二)以外の施設は、本年六月三○日までに法第三五条第二項の認可を申請しなければならないこと。

(四) 貴都道府県においては、児童福祉施設の各種類ごとにその施設の台帳を作成すること。

四 法第四七条の規定により親権を行う必要がある場合とは、教護院等において、やむを得ない場合に限ること。

五 養護施設、精神薄弱児施設及び療育施設に入所している児童に対する学校教育法による教育については、次のような場合が考えられること。なお、教護院においては従来と同様であること。

(一) 附近の小学校若しくは中学校又は養護学校に通学せしめる場合

(二) 施設内附近にある小学校若しくは中学校又は養護学校の分校を設置する場合

(三) 施設自体を独立の小学校若しくは中学校又は養護学校とする場合

六 都道府県知事が、児童福祉施設を認可するときは、別に定める最低基準に合致することは、もちろん、児童福祉施設の分布及び利用状況等を詳細調査してこれをすること。

七 削除

八 (一) 本人及びその扶養義務者において入院のための費用を負担することができない乳児を入院させて、これを養育することを目的とする乳児院、(二) 法第五六条第一項但書の規定により費用を負担することができないと認められた女子で配偶者のない者又はこれに準ずる事情にある者及びこれらの者の監護すべき児童を入所させることを目的とする母子寮、(三) 同項但書の規定により費用を負担することができないと認められた者の委託を受けて、その乳児又は幼児を保育することを目的とする保育所、(四) 同項但書の規定により費用を負担することが出来ないと認められた者の監護すべき児童で身体の虚弱な者に適正な環境を与えて、その健康増進を図ることを目的とする療育施設並びに、(五) 身体の機能の不自由な児童を治療するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする療育施設として、この法律による認可申請があつたときは、左の標準に合致するものを認可すること。

(一) 右に掲げる各施設に収容すべき児童の外に他の児童を収容するときは、各施設に収容すべき児童が、各施設の取扱総人員の半数以上であること。但し、各施設が相当多数各施設に収容すべき者を取り扱い、又は地方的事情によつて、その施設が緊要のものであるときは、右の比率に達しないときでも特に認可しても差し支えないこと。

(二) 一施設内で土地及び建物を区劃して、専ら右に掲げる各施設に収容すべき児童を取り扱い、その区劃を限つて、(一)の措置を取つても差し支えないこと。

九 都道府県知事は、児童福祉施設の廃止の承認申請があつたときは、則第三十八条に掲げる諸事由につき十分調査をとげるのはもちろん、その設備につき国庫の補助を受けたものについては、予め当省協議の上右の承認をすること。なお、都道府県が、児童福祉施設を廃止しようとするときも同様であること。

第七 保母

一 児童福祉施設において児童を保育する女子については、今回新たに保母という資格を設け、昭和二三年四月一日現在児童福祉施設において児童を保育する女子は、昭和二五年一二月三一日までは、右の資格を有しない者も継続してその保育に従事することができるが、右期日以後は、全て有資格者となるべきものであること。

二 児童福祉施設において児童の保育に従事する女子とは、保育所におけるいわゆる保母のみに限るものではなく、広く児童福祉施設において自己の責任において児童の世話、指導等保護に当る女子をいうものであること。但し、助産婦、看護婦又は保健婦を除くはもちろん従来の母子寮のいわゆる寮母、保母を援ける保母助手、代用保母等の如き女子等は、これに該当しないものであること。

三 保母の養成計画については、本年二月七日児乙発第三号第一期保育施設保母講習会に関する件により貴都道府県に一部指示しているが、なお右通牒の趣旨と同様の養成計画を貴都道府県独自に計画するときは、予め当省と協議の上令第一三条第一項第一号の認可を受けられたきこと。

四 保母試験は、昭和二三年度から、都道府県知事が施行することとなるのであるが、試験科目の具体的内容、保母試験委員の選考、受験手数料等の詳細については、追つて、通牒する予定であるから、これに基づいて措置すること。

五 恒久的保母養成施設設置の詳細については、別途通牒するものであること。

第八 費用

一 この法律による保護のために費用を支出する場合は、里親を除けば、全て児童福祉施設に収容された場合のみであつて、居宅において保護する場合は、従前の通り生活保護法によるものであること。

二 生活保護法による保護施設及び右の以外の施設であつて、児童福祉施設とみなされ、又は児童福祉施設として認可された施設に、生活保護法の適用を受け収容保護されている児童に対す生活扶助費及びこれに伴う事務費は、この法律施行後においては、これを法第二七条第一項第三号の措置に要する費用によりこれを支出するものであること。なお、生活保護法により個人に委託したものであつて、その個人がこの法律による里親の実態を備えているときは、これを里親として登録し右と同様の措置をとるものであること。但し、法により措置した場合に限ること。

三 生活保護法により、宿所を提供する事業若しくは託児事業を営む施設及び右以外の施設であつて児童福祉法による母子寮又は保育所とみなされ、又は母子寮若しくは保育所として認可された施設において生活保護法の適用を受け保護されている母子又は乳児若しくは幼児がこれらの施設を利用するに要する費用は、この法律施行後においては、法第二三条又は第二四条の措置に要する費用によりこれを支出するものであること。但し、法により措置した場合に限ること。

四 生活保護法による助産を受けているものであつて、この法律による助産施設として認可された施設に入所している者にたいする助産の費用は、法第二二条の措置に要する費用により支出するものであること。なお、法第二二条の措置に要する費用の対象となるのは、分娩の介助、分娩前後の処置及び看護(助産に伴う医療を含む。)に限るものであること。但し、法により措置した場合に限ること。

五 助産施設は、施設そのものが、貧困なる女子に助産せしめる施設であるから、法第二二条により助産施設に入所させた者には、法第五六条第一項の費用徴収は、これを行わないこと。

六 法第五六条第二項の但書の場合ほ、則第五○条に規定しているところであるが同条により、従来の少年教護法においては、何等の費用を負担していなかつた市町村も、原則として法第五六条第二項本文の費用を負担するものであること。

七 則第五○条第三号により都道府県知事の免除は、一時保護に要する費用に関する場合に限定するものであること右の費用以外につき同号により免除しようとするときは、都道府県知事は、予め当省に協議すること。

八 費用に関する事項については、その一部については、客年一二月二三日厚生省発児第二六号及び本年三月一八日厚生省児発第一三七号により、通牒済みであるが、本年四月一日より施行されるべき条項については、追つて通牒する予定であること。