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○労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について

(昭和五〇年二月二四日)

(基発第一一〇号)

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(昭和五〇年政令第四号)は、昭和五〇年一月一四日公布され、本年四月一日(一部の規定は、同年一月一六日、同年一〇月一日又は昭和五一年一月一日)から施行されることとなった。

ついては、今回の政令改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、特に下記事項に留意してその運用に遺憾のないようにされたい。

なお、本政令の施行に伴い、昭和四七年九月一八日付け基発第六〇二号通達の記のⅡの六の(六)中「高圧または交流で三〇〇ボルトをこえる低圧の充電電路に対して」を「七、〇〇〇ボルト以下の充電電路について」に改め、同(七)中「高圧または交流で三〇〇ボルトをこえる低圧の充電電路に対して」を「七、〇〇〇ボルト以下の充電電路に」に改め、同(八)中「有し、高圧または特別高圧の充電電路に対して用いる」を「有する」に改め、同(九)中「で、高圧、特別高圧または交流で三〇〇ボルトをこえる低圧の充電電路に対して用いるもの」を削り、同(一〇)中「高圧または低圧の充電電路について」を「七、〇〇〇ボルト以下の充電電路に」に改める。

一 第六条関係

(一) 第五号の二の「透過写真の撮影の作業」は、透過写真の撮影に当たり当然必要とされる作業をいうが、出張して透過写真の撮影を行う場合におけるガンマ線照射装置の運搬の作業は含まれないものであること。

(二) 第五号の二に掲げる作業の作業主任者と放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三二年法律第一六七号)により選任される放射線取扱主任者との関係については、後者は事業所に最低一人おかれれば足りることから、前者は後者の包括的な監督下にあることが一般に予想されるものであること。なお、このような性格を有する放射線取扱主任者については、たとえば事業者が機械等の定期自主検査等の場合にその意見を尊重することは、法の趣旨にも合致するものであること。

(三) 第八号の二の「コンクリート破砕器」とは、クロム酸鉛等を主成分とする火薬を充てんした薬筒と点火具からなる火工品であって、コンクリート建設物、岩盤等の破砕に使用されるものをいうこと。

(四) 第八号の二に掲げる作業は、第二〇条第一号の業務に該当しないものであること。

(五) 今回の第一八号の改正は、新たに、第三類物質を製造する作業並びに第一類、第二類及び第三類物質を取り扱う作業を加えたものであること。

(六) 第一八号の特定化学物質等を「取り扱う作業」には、次のような、特定化学物質等のガス、蒸気、粉じん等に労働者の身体がばくろされるおそれがない作業は含まれないものであること。

イ 隔離された室内において、リモートコントロール等により監視又はコントロールを行う作業

ロ 亜硫酸ガス、一酸化炭素等を排煙脱硫装置等により処理する作業のうち、当該装置からのろう洩物によりばくろされるおそれがないもの

ハ 石綿を建築物内外装工事に使用する場合等であって、石綿成形品の張付け等発じんのおそれのない作業

(七) 第一八号の「試験研究のため取り扱う作業」は、一般に、取り扱う特定化学物質等の量が少ないこと、特定化学物質等についての知識を有する者によって取り扱われていること等にかんがみ、作業主任者を選任すべき作業から除外したものであること。

なお、「試験研究」には、分析作業(作業環境測定又は計量のため日常的に行うものを含む。)が含まれること。

二 第一三条関係

(一) 第三九号の「物体の飛来若しくは落下による危険を防止するための」◆保護帽◆とは、帽体、着装体、あごひも及びこれらの附属品により構成され、主として頭頂部を飛来物又は落下物から保護する目的で用いられるものをいい、同号の「墜落による危険を防止するための」◆保護帽◆とは、帽体、衝撃吸収ライナー、あごひも及びこれらの附属品により構成され、墜落の際に頭部に加わる衝撃を緩和する目的で用いられるものをいうこと。従って、乗車用安全帽、バンプキヤツプ等は、本号には該当しないものであること。

なお、電気用安全帽であって物体の飛来又は落下による危険をも防止するためのものについては、第一五号の「絶縁用保護具」に該当するほか、本号にも該当するものであること。

(二) 第四〇号の「墜落による危険を防止するための」安全帯とは、ベルト、ロープ及びその附属品により構成され、作業中の労働者の墜落による危険を防止するために用いられる保護具をいい、次の図のような例が含まれるものであること。なお、船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられる消防用設備としての命綱は、その構造及び使用目的が異なり、本号には該当しないものであること。

イ ロープを一本掛にして使用する安全帯の例

ロ ロープをU字掛にして使用する安全帯の例

三 第一四条関係

(一) 第一三条第一〇号に係る「歯の接触予防装置のうち可動式のもの」とは、その覆いの下端が送給する加工材に常に接触する方式のものをいい、ほぞ取り盤、走行丸のこ盤、パネルソー等に用いられるものは含まれないものであること。

(二) 電気用安全帽であつて上記二の(一)のなお書に該当するものについては、第一三条第一五号に掲げる機械等に係る検定のほか、第一三条第三九号に掲げる機械等に係る検定をも受けるべきものであること。

四 第一五条関係

(一) 今回の第四号の改正は、「化学設備」の範囲を拡大し、従来の化学設備のほか、引火点が六五度以上の物を引火点以上の温度で製造し、又は取り扱う設備をも含むものとしたものであること。

(二) 第四号の「引火点が六五度以上の物を引火点以上の温度で製造し、若しくは取り扱う設備」とは、引火点が六五度以上の物に係る加熱炉、反応器、蒸留器、貯蔵タンク等のうち、加熱、反応、蒸留、固化防止等のため、その内部の温度が引火点以上となるものをいうこと。

五 第一六条関係

第一項第五号の「ビス(クロロメチル)エーテル」は、別表第三第二号のクロロメチルメチルエーテルに不純物として含まれていることがあり、その場合、第一六条第一項第八号に該当する場合があるので留意すること。

六 第一八条関係

(一) 第二号の二の「石綿」及び第三九号のうち石綿を含有する製剤その他の物には、石綿製の耐火服その他最終製品であつて譲渡等を受けた者が切断、研磨等を要しないものは含まれないものであること。

(二) 第四号の「塩化ビニル」とは、塩化ビニルのモノマー(単量体)をいうものであること(第二二条第二項第一〇号及び別表第三第二号六において同じ。)。

(三) 第九号の四の「コールタール」には、コールタールピツチが含まれるものであること(第二二条第二項第一四号及び別表第三第二号一四において同じ。)。

七 第二一条関係

(一) 第七号の「コークス炉上において……コークス製造の作業を行う場合の当該作業場」には、コークス炉に石炭等の原料を装入する作業、上昇管内部の堆積物を除去する作業等が行われる炉上の作業場をいうものであること。

(二) 第七号の「コークス炉に接してコークス製造の作業を行う場合の当該作業場」とは、一般に「コークス炉の炉そくの作業場」と称されているもので、具体的には、押出し機、ガイド車、消火車等の運転の作業、働中のコークス炉の炉壁の補修の作業、炉ぶたの保守点検の作業、プラツトホームの清掃の作業等コークス炉からの発散物に直接被ばくして作業が行われる作業場をいい、貯炭場、炉ぶたの修理工場等は、これに含まれないものであること。

八 第二二条関係

石綿又はこれを含有する製剤その他の物を製造し、又は取り扱う業務については、従来、じん肺法(昭和三五年法律第三〇号)に基づく健康診断が行われてきたところであるが、最近、石綿による肺がん又は中皮しゆの発生が疫学的に明らかとなつたため、特別の項目についての健康診断を行うべき有害な業務としたものであること。

九 第二三条関係

(一) 第四号の「鉱石から製造する事業場」とは、鉱石から一貫して製造する事業場をいうこと。

(二) 第五号の「三酸化素を製造する工程においてばい焼若しくは精製を行う」業務には、素鉱山におけるもののほか、銅製錬工程等において副生する煙煤から三酸化素を製造するものも含まれるものであること。

(三) 第五号の「素をその重量の三パーセントを超えて含有する鉱石」には、金石が含まれること。

(四) 第五号の「ポツト法」及び「グリナワルド法」とは、銅製錬の工程において銅鉱石をばい焼する方法であること。

なお、このばい焼方法は、現在行われていないこと。

(五) 第六号の「製鉄用コークス……を製造する業務」には、次のような業務が含まれるものであること(ただし、臨時に製鉄用コークスを製造するものは含まれないものであること。)。

イ 同一のコークス炉において製鉄用コークス及びその他のコークス(一般用コークス、鋳物用コークス等)を同時に製造する業務

ロ 同一のコークス炉において製鉄用コークス及びその他のコークスを交互に製造する業務

なお、製鉄用コークスを製造する業務である以上、製鉄業以外の業種(化学工業、ガス業等)の事業場において行われる場合、他の業務と合せて行われる場合等であつても、同号の「製鉄用コークス……を製造する業務」に該当するものであること。

(六) 第六号の「コークス炉上において若しくはコークス炉に接して……行う業務」とは、上記七の作業場において行われる業務をいうものであること。

一〇 別表第一関係

第三号の五の「亜塩素酸塩類」及び第三号の六の「次亜塩素酸塩類」については、固体のものに限るものであること。

一一 別表第三関係

第二号の三〇の「ベンゼン」は、従来、別表第八の有機溶剤として規制されていたものであるが、一九七一年のILO総会で採択された「ベンゼンから生ずる中毒の危害に対する保護に関する条約」(第一三六号条約)において溶剤等としての使用が制限されていること、がん原物質として報告されていること等により、今般、特定化学物質等に含めることとしたものであること。