添付一覧
○◆主任児童委員の設置について◆
(平成五年三月三一日)
(児発第二八三号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童家庭・社会・援護局長連名通知)
児童委員の活動については、昭和五五年九月一三日児発第七二一号厚生省児童家庭局長通知「児童委員の活動要領の改正について」により示されているところであるが、今般、児童福祉に関する事項を専門的に担当する「主任児童委員」を新たに設置することとし、別添「主任児童委員設置運営要綱」を定めたので、これが設置運営に当たって万全を期されたく通知する。
また、本通知の施行に伴い、関係通知を別添1から別添4のとおり改正するので、併せて御了知願いたい。
別添
主任児童委員設置運営要綱
1 主任児童委員の設置の趣旨
近年の出生率の継続的な低下等に伴い、「健やかに子どもを生み育てる環境づくり」が社会全体の課題となっているなかで、地域において児童・妊産婦の福祉に関する相談・援助活動を行う者である児童委員への期待が高まっている。
従って、児童福祉に関する事項を専門的に担当する児童委員(以下「主任児童委員」という。)を新たに設置し、従来の区域を担当する児童委員と一体となった活動を展開することにより児童委員活動の一層の推進を図るものである。
2 主任児童委員の定数
主任児童委員の定数は、昭和四七年五月二二日社庶第八七号厚生省社会局長通知「民生委員の定数及び配置基準について」の2の(1)の②「主任児童委員配置基準表」により算出された数とすること。
3 主任児童委員の職務
(1) 主任児童委員は、民生委員法第一三条に基づく事項を担当する者とし、児童福祉に関する事項を担当すること。
(2) 主任児童委員は、昭和五五年九月一三日児発第七二一号厚生省児童家庭局長通知「児童委員の活動要領の改正について」に掲げる任務及び活動事項について、児童福祉関係機関と区域を担当する児童委員との連絡・調整の業務を行うこと。特に、次に掲げる事項については、区域を担当する児童委員と一体となって積極的に行うことが望ましいものであること。
ア 市区町村、児童相談所、福祉事務所(家庭児童相談室)、保健所、学校及び教育委員会等の関係機関との連携を密接にし、児童及び児童を取り巻く家庭環境・社会環境について詳細な情報収集を行うこと。
イ 健やかに子どもを生み育てる環境づくりに関しては、地域ぐるみで子育てを行うための啓発活動を企画し、活動の実施に当たって、その中心的役割を果たすこと。
ウ 地域における児童健全育成活動や母子保健活動の推進に関しては、関係機関、特に、児童館活動や母親クラブ活動等の関係者との連携を密接にし、次のような活動を行うこと。
(ア) 児童館の運営委員会、地域児童健全育成推進事業の連絡協議会、こどもの遊び場づくり(こどもの町)推進事業の「こどもの町」推進会議、ひきこもり・不登校児童福祉教育連絡会議等、地域における健全育成関係の協議会等へ参画すること。
(イ) 児童の事故防止等、児童健全育成活動に対する地域住民の参加の促進を図ること。
(ウ) ボランティア活動、地域活動等への児童の参加の促進、支援を行うこと。
(エ) 保育所等を拠点とした子育てネットワークづくりの促進のために必要な協力を行うこと。
(オ) 母子保健推進員等との協力により、妊産婦に対する健康診査等受診勧奨、各種相談支援等を行うこと。
エ 児童の権利が著しく侵害されていたり、侵害されていると思われる場合や児童の健全育成にとって好ましくない環境があると思われる場合等について、関係行政機関等への連絡・通報や意見具申を行うこと。
(3) 主任児童委員は、区域を担当する児童委員が当該区域内の児童及び妊産婦等に対して行う調査・指導等の活動に対し、必要な援助・協力を行うこと。特に、次に掲げる事項については、区域を担当する児童委員の活動に積極的に援助・協力することが望ましいものであること。
ア 保護者から置き去りにされた児童、虐待されている児童等の発見及び実情把握
イ 各種の福祉施策の紹介、斡旋
ウ 児童相談所等からの調査委嘱、指導の委託に基づく調査・指導、その他関係機関に対する協力事項
エ 児童福祉施設入所中の児童と保護者との間の連絡調整
オ 児童福祉施設を退所した児童とその保護者の事後指導
(4) 主任児童委員は、生活保護法、身体障害者福祉法、老人福祉法などの行政事務への協力に関しては、制度の周知徹底等を行うにとどめ、主任児童委員としての活動を実施することに伴い、これら法律に基づく個別世帯の指導援助等が必要となることを発見した場合には、速やかに当該世帯が生活する区域を担当する民生委員・児童委員に連絡し、必要な指導援助等を要請し、自らは個別世帯の指導援助等は行わないことを原則とすること。
従って、生活福祉資金貸付業務や老人世帯への訪問活動等は行わないものであること。
(5) 主任児童委員が活動を行うに当たっては、児童及び保護者への共感による相互の信頼関係に立って支援することを基本に、社会福祉及びその他の多様な社会資源の提供に努めるとともに家庭のプライバシーの保護に留意しなければならないこと。
また、市区町村、児童相談所、福祉事務所(家庭児童相談室)等の行政機関からの個別ケースにかかる調査・指導等の依頼については、原則として区域を担当する児童委員に対して行われるので、主任児童委員は区域を担当する児童委員の活動に、必要に応じて支援、協力するものであることに留意しなければならないこと。
4 主任児童委員の推薦及び委嘱
(1) 主任児童委員は、民生委員法及びこれに基づく諸通知に示す手続きに従い、民生委員・児童委員としてふさわしい者を都道府県知事又は指定都市及び中核市の市長の推薦を受けて厚生大臣が委嘱し、また、都道府県知事又は指定都市及び中核市の市長は従来どおり民生委員・児童委員としての担当区域を定めた辞令を交付するとともに、新たに主任児童委員としての別紙様式による辞令を交付すること。
(2) 主任児童委員を推薦するに当たって、民生委員・児童委員としてふさわしい者を推薦委員会で推薦することとなるが、さらに市町村等で独自に「推薦準備会」等を設け推薦委員会に協力、援助等を行っている場合には、その推薦準備会等のメンバーに常日頃から児童福祉問題に関心を持ち、児童の健全育成活動に関する心構えや必要な知識について十分周知徹底されている者を複数含める等の配慮を行うこと。
(3) 主任児童委員の任期は民生委員法第一〇条の規定によること。
なお、創設に当たって平成六年一月一日付けで一斉に委嘱すること。
5 主任児童委員の選任基準
主任児童委員に充てられる者は、昭和三七年八月二三日厚生省発社第二八五号厚生事務次官通知「民生委員・児童委員の選任について」の「第一 推せんに関する事項」の「1 民生委員・児童委員の資格要件」及び昭和三七年八月二三日社発第五四七号厚生省社会局長・児童局長連名通知「民生委員・児童委員の選任について」の「民生委員・児童委員選任要領」の「第三 民生委員・児童委員の適格要件」並びに平成四年七月一四日社援企第四号厚生省社会・援護局長・児童家庭局長連名通知「民生委員・児童委員の改選について」の「1 選任に当たっての一般方針について」に該当し、かつ以下に掲げる基準に照らして主任児童委員にふさわしい者を推薦すること。
ア 児童福祉に関する理解と熱意を有し、また次に例示する者など専門的な知識・経験を有し、地域における児童健全育成活動の中心となり、積極的な活動が期待できる者を選出すること。
(ア) 児童福祉施設等の施設長若しくは児童指導員若しくは保母等として勤務した者又は里親として児童養育の経験がある者
(イ) 学校等の教員の経験を有する者
(ウ) 保健婦、助産婦、看護婦、保母等の資格を有する者
(エ) 子供会活動、少年スポーツ活動、少年補導活動、愛育班活動等の活動実績を有する者
イ 女性の積極的な登用に努め、少なくとも主任児童委員の定数が複数となる民生委員協議会にあっては、その半数は女性となるよう努めること。
ウ 原則として、五五歳未満の者を推薦するよう努めること。
別添1~4 略
(別紙様式)