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○保険者努力支援制度における評価指標の候補の提示について

(平成28年4月28日)

(保国発0428第1号)

(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)

(公印省略)

持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律(平成27年法律第31号)が平成27年5月29日に公布され、平成30年度から医療費適正化への取組や国保固有の構造問題への対応等を通じて保険者機能の役割を発揮することにより、国保の財政基盤を強化する観点から、適正かつ客観的な評価指標に基づき、保険者としての努力を行っていると評価される都道府県や市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し交付金を交付する保険者努力支援制度が実施されることとされた。さらに、平成27年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」では、国民健康保険において、保険者努力支援制度の趣旨を現行補助制度に前倒しで反映することとされた。

このため、国保基盤強化協議会事務レベルワーキング及び保険者による健診・保健指導等に関する検討会における地方団体及び関係者の議論を踏まえ、下記のとおり評価指標の候補を定め、平成28年度から特別調整交付金の算定に際し、保険者努力支援制度の趣旨を前倒しで反映することとしたので、その内容についてお知らせする。

各都道府県におかれては、下記内容を御了知の上、管内の各市町村及び関係者への周知を図るとともに、各市町村において、下記指標を踏まえた被保険者の予防・健康づくりや医療費適正化等の取組の一層の強化が図られるよう、関係者との連携など必要な支援についても遺漏なきを期されたい。

なお、下記指標を踏まえた特別調整交付金の具体的な算定方法については、本年秋を目途に、特別調整交付金の交付基準等に係る通知において、お示しする予定であるが、それまでに評価指標の追加・変更等の可能性もあることを申し添える。

第1 保険者共通の指標

1 特定健康診査・特定保健指導の受診率、メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率

(1) 特定健康診査の受診率(平成26年度の実績を評価)

① 第二期特定健康診査等実施計画期間における目標値(60%)を達成しているか。

② ①の基準は達成していないが、平成25年度の全自治体上位3割に当たる44.1%を達成しているか。

③ ①及び②の基準は達成していないが、平成25年度の全自治体上位5割に当たる38.4%を達成しているか。

④ ①から③までの基準は達成していないが、平成25年度の実績と比較し、受診率が1%以上向上しているか。

(2) 特定保健指導の受診率(平成26年度の実績を評価)

① 第二期特定健康診査等実施計画期間における目標値(60%)を達成しているか。

② ①の基準は達成していないが、平成25年度の全自治体上位3割に当たる44.2%を達成しているか。

③ ①及び②の基準は達成していないが、平成25年度の全自治体上位5割に当たる28.1%を達成しているか。

④ ①から③までの基準は達成していないが、平成25年度の実績と比較し、受診率が5%以上向上しているか。

(3) メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率(平成26年度の実績を評価)

・ メタボリックシンドローム該当者及び予備群が一定程度減少しているか。

2 特定健診以外の他の健診の実施や健診結果等に基づく受診勧奨等の取組の実施状況

(1) がん検診受診率(平成26年度の実績を評価)

① 胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんの5つのがん検診の平均受診率が平成25年度の全自治体上位5割に当たる12.6%を達成しているか。

② 上記基準は達成していないが、平成25年度と比較し、受診率が1%以上向上しているか。

(2) 歯周疾患(病)検診実施状況(平成28年度の実施状況を評価)

・ 歯周疾患(病)検診を実施しているか。

3 糖尿病の重症化予防の取組の実施状況

○ 重症化予防の取組の実施状況(平成28年度の実施状況を評価)

・ 以下の基準を全て満たす糖尿病性腎症重症化予防の取組を実施しているか。

① 対象者の抽出基準が明確であること

② かかりつけ医と連携した取組であること

③ 保健指導を実施する場合には、専門職が取組に携わること

④ 事業の評価を実施すること

⑤ 取組の実施にあたり、地域の実情に応じて各都道府県の糖尿病対策推進会議等との連携(各都道府県による対応策の議論や取組内容の共有など)を図ること

※ 取組方法については、受診勧奨、保健指導、受診勧奨と保健指導を一体化した取組等の中から地域の実情に応じ適切なものを選択する。

4 広く加入者に対して行う予防・健康づくりの取組の実施状況

(1) 個人へのインセンティブの提供の実施(平成28年度の実施状況を評価)

① 一般住民の予防・健康づくりの取組や成果に対しポイント等を付与し、そのポイント数に応じて報奨を設けるなど、一般住民による取組を推進する事業を実施しているか。

② その際、PDCAサイクル等で見直しを行うことができるよう、インセンティブが一般住民の行動変容につながったかどうか、効果検証を行っているか。

(2) 個人への分かりやすい情報提供の実施(平成28年度の実施状況を評価)

① 特定健診等の受診者に、ICT等を活用して健診結果を提供しているか。

② 疾病リスクとの関係で検査の数値の持つ意味について分かりやすく説明しているか。

③ 疾病リスクにより医療機関を受診することが必要な場合には、確実に受診勧奨を実施しているか。

※ 可能であれば、検査値を改善するための生活習慣についてのアドバイスも提供していること

5 加入者の適正受診・適正服薬を促す取組の実施状況

○ 重複服薬者に対する取組(平成28年度の実施状況を評価)

・ 例えば、「同一月に2以上の医療機関より、同一の薬効の薬剤の投与を受けている」場合といった重複投与者の抽出を行い、その者に対して何らかのアプローチをするなどの取組を実施しているか。

6 後発医薬品の使用促進に関する取組の実施状況

(1) 後発医薬品の促進の取組(平成28年度の実施状況を評価)

① 後発医薬品の使用割合(数量ベース及金額ベース)及び後発医薬品の薬剤費額を把握しているか。

② 後発医薬品の使用状況について、性年齢別等に類型化し、把握した上で、事業目標を立てているか。

③ 後発医薬品の差額通知の事業を実施し、通知前後で後発医薬品への切り替えが行われているか確認をしているか。

(2) 後発医薬品の使用割合(平成27年度の実績を評価)

① 使用割合が平成26年度の全自治体上位1割に当たる66.2%を達成しているか。

② 使用割合が平成26年度の全自治体上位3割に当たる61.0%を達成しているか。

③ ①及び②の基準は達成していないが、平成26年度と比較し、使用割合が10%以上向上しているか。

第2 国保固有の指標

1 収納率向上に関する取組の実施状況

(1) 保険料(税)収納率(平成27年度実績を評価)

① 現年度分の収納率が市町村規模別の平成26年度の全自治体上位3割又は上位5割に当たる収納率を達成しているか。

被保険者数

評価指標

平成26年度

上位3割

平成26年度

上位5割

10万人以上

90.83%

89.80%

5万~10万人

91.11%

89.97%

1万人~5万人

93.77%

92.69%

1万人未満

96.52%

95.19%

② 上記基準は達成していないが、平成26年度と比較し収納率が1%以上向上しているか。

③ 過年度分の収納率が平成26年度と比較し、5%以上向上しているか。

2 医療費等の分析(平成28年度の実施状況を評価)

○ ◆データヘルス◆計画の策定状況

◆データヘルス◆計画を策定しているか。

3 給付の適正化等(平成28年度の実施状況を評価)

○ 医療費通知の取組の実施状況

・医療費通知について、一定の基準を満たす取組を実施しているか。

※回数、医療機関名の表示、柔道整復療養費の対応 等

4 地域包括ケアの推進(在宅医療・介護の連携等)

○ 地域包括ケア推進の取組(平成28年度の実施状況を評価)

・国保の視点から地域包括ケアの推進に資する例えば下記のような取組を国保部局で実施しているか。

① 地域包括ケアの構築に向けた医療・介護・保健・福祉・住まいなど部局横断的な議論の場への国保部局の参画

② 地域包括ケアに資する地域のネットワークへの国保部局の参画

③ KDB・レセプトデータを活用した健康事業・介護予防・生活支援の対象となる被保険者の抽出

④ 個々の国保被保険者に対する保健活動・保健事業の実施状況について、地域の医療・介護・保健・福祉サービス関係者との情報共有の仕組み

⑤ 国保被保険者を含む高齢者などの居場所・拠点、コミュニティ、生きがい、自立、健康づくりにつながる住民主体の地域活動の国保部局としての支援の実施

⑥ 国保直診施設を拠点とした地域包括ケアの推進に向けた取組の実施

⑦ 後期高齢者医療制度と連携した保健事業の実施

※ 上記に類する取組を一つでも実施する場合に評価することとする。

5 第三者求償

○ 第三者求償の取組状況(平成28年度の実施状況を評価)

① 第三者行為によって生じた保険給付の疑いのあるレセプトを抽出し、被保険者に確認作業を行っているか。

② 第三者求償の適正な事務を行うために、一般社団法人日本損害保険協会等と第三者行為による傷病届の提出に関する覚書を締結し、連携した対応を実施しているか。

③ 第三者求償事務に係る評価指標について、数値目標を設定しているか。

(平成28年4月4日国民健康保険課長通知)