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○健康保険組合の平成27年度予算の編成について

(平成27年1月16日)

(保保発0116第3号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

(公印省略)

平成27年度の予算については、健康保険組合(以下「組合」という。)の実情や以下に掲げる事項を踏まえ、適正に編成いただくよう、お願い申し上げます。

第1 予算編成の重点事項について

1 保険料率

保険料率は、以下の事項を踏まえて適正な保険料率を設定すること。

(1) 医療費

最近の医療費の動向や、組合における過去実績を踏まえること。

(2) 標準報酬等

標準報酬や賞与は、設立事業所の決算状況や直近の労使交渉の結果を踏まえて推計すること。

なお、標準報酬等の推計は、年度内に収入の不足が生じないよう、適正なものとすること。

(3) 積立金

別途積立金や準備金限度外部分の保有状況を踏まえ、計画的な繰入を見込むこと。

(4) 事業内容の見直し

事業内容全般について必要な見直し等を行うこと。

(5) 特定保険料率

特定保険料率は、平成27年度において保険者が納付すべき前期高齢者納付金等(前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、日雇拠出金、退職者給付拠出金及び老人保健拠出金の合算額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)をいう。以下同じ。)を、被保険者の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の総額の合算額の見込額で除して得た率を基準として定めること。

2 保険料額の負担割合

保険料額の負担割合は、「健康保険組合の事業運営について」(平成19年2月1日付保発第0201001号)の別紙2「健康保険組合事業運営指針」を踏まえ、設定すること。

3 法定準備金

法定準備金は、早急に保険給付に要する費用(納付金等を含めない)に充てる必要が生じた場合に備え、準備金のうち前3年度の保険給付費の平均年額の12分の1については、換金処分の容易な形態により保有すること。

また、法定準備金は、勘定毎にその保有規模が設定されているものではないが、勘定毎の健全性を担保するため、健康保険組合予算編成基準別添(2)別表(1)―1の「本年度末法定準備金保有率」及び「再掲 介護勘定における準備金保有率」の各々が100%となるように積み立てておくこと。

なお、法定準備金の基準については、当分の間、保険給付に要した費用の3か月相当分を2か月相当分に見直されたことに留意すること(「健康保険法施行令等の一部を改正する政令の施行について」(平成26年11月19日付保発1119第4号))。

4 一部負担還元金・付加給付

一部負担還元金・付加給付の最低自己負担額や給付額は、コスト意識や受診する者としない者との負担の均衡等に留意し、組合の財政状況を十分勘案したうえで、「健康保険組合の事業運営について」(平成19年2月1日付保発第0201001号)を踏まえ、適正に設定すること。

5 保健事業

保健事業は、以下の事項を踏まえること。

(1) 特定健康診査・特定保健指導

生活習慣に着目した疾病予防の重要性が一層高まっていることを踏まえ、特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に取り組むこと。その際、被扶養者の特定健康診査等の受診率の向上に特に配慮すること。

(2) 健康教育等

健康増進法に規定する健康増進事業実施者として、「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」(平成16年厚生労働省告示第242号)や、「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」(平成16年厚生労働省告示第308号)に基づき、被保険者等の健康の保持増進のための健康教育・健康相談・健康診査等の事業を積極的に実施するとともに、専門スタッフを活用した保健指導や健康づくりに取り組むこと。

(3) 事業の見直し

従来から継続している事業は、これを漫然と計画することなく、分析・評価を行い、効果が希薄と思われる事業は見直すこと。

(4) ◆データヘルス◆計画

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)に示された、レセプト等のデータの分析に基づく加入者の健康保持増進のための事業計画(以下単に「◆データヘルス◆計画」という。)については、健康保険法等に基づく保健事業の実施等に関する指針の一部を改正する件(平成26年度厚生労働省告示第139号)が告示されたので、これを踏まえて必要な予算を計上すること。

6 レセプト情報の活用

レセプトは、被保険者等の受診状況、医療機関や医薬品に関する情報を知り得るデータであることから、その情報の収集・分析を目的とした事業や、外来における重複・頻回受診等の是正指導を目的とした事業を積極的に取り組むこと。

なお、レセプト情報の活用により知り得た情報は、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)や、「「健康保険組合における診療報酬明細書等の開示の取扱いについて」の一部改正について」(平成23年6月20日付保保発0620第1号)を踏まえ、プライバシーの保護等に十分に配慮し、必要に応じ、これに必要な予算を計上すること。

7 減額査定があった場合の情報提供

減額査定があった場合の被保険者等への通知の実施について、「健康保険組合における医療費通知の適切な実施について」(昭和60年4月30日付保文発第274号)及び「減額等となった一部負担金等の額の医療費通知への付記について」(平成22年5月21日付保保発0521第4号)により依頼しているところである。

被保険者への適切な情報提供を推進するため、少なくとも、査定の結果による自己負担相当額の減額分が1万円以上のレセプトについては、被保険者等への通知の実施を重ねてお願いする。

8 保険給付の適正化の取組

保険給付に要する費用を適正に支出し、財政の健全化を図るため、以下の事項を重点的に実施するようお願いする。

(1) 医療費通知

被保険者と被扶養者に対し、自らがかかった医療費の実情を理解してもらうとともに、健康に対する認識を深め、これにより組合の健全な運営にも資するようにするため、積極的に取り組むこと。

なお、実施に当たっては、5のとおり、個人情報の保護に万全を期すこと。

(2) レセプトの点検業務

レセプトの点検業務は、保険者の本来業務であることを認識し、不適正な医療費を排除する観点に立って、一層の強化に取り組むこと。

(3) 傷病手当金の適正な支給

レセプト等関係資料との照合確認、調査等により、傷病手当金の適正な支給を実施すること。

(4) 被保険者証の検認

無効となった被保険者証の回収や、被扶養者の認定の適否を確認するため、毎年実施すること。

(5) 後発医薬品の使用促進

後発医薬品の使用促進については、後発医薬品を希望することが明記されたカードの配布や後発医薬品に切り替えた場合の薬代の自己負担軽減額の通知等、被保険者と被扶養者に対する更なる周知に積極的に取り組むこと。

(6) 柔道整復師の療養費の適正化

患者調査等の実施に当たっては、「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」(平成24年3月12日付保保発0312第1号)及び「「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」の適切な実施について」(平成25年3月19日付事務連絡)を踏まえ、柔道整復師の療養費の適正化に取り組むこと。

9 事務処理体制

事務処理体制は、以下の事項を踏まえること。

(1) 保健事業や医療費適正化事業の体制

保健事業や医療費適正化の事業を積極的、かつ、効率的に実施するため、ITの活用や外部委託と併せて、事業内容に見合った職員の適正な配置、研修等による職員の資質の向上など、組合の実情に応じた実施体制の整備に取り組むこと。

なお、外部委託では被保険者等への照会の実施や保険給付の決定などを行えないので、これらの業務を執行する職員は組合の職員であること、委託管理者や補助者として業務を執行する職員が必要であることを踏まえ、事務処理体制を整備すること。

(2) 事務処理の点検体制

事故防止等の観点から、監事による内部監査の徹底などによるチェック体制の一層の強化に取り組むこと。

内部監査等に際しては、「健康保険組合における経理事故防止の事務取扱いについて」(平成23年12月26日付保保発1226第1号)及び「健康保険組合における自己点検の実施について」(平成24年4月13日付保保発0413第4号)を踏まえ、適切に実施すること。

特に、会計帳簿の突合・点検は確実に行うとともに、必要に応じて、監事の補助者として、外部の経理事務に精通した者の活用も検討されたい。

(参考)外部の経理事務に精通した者の例

① 外部の公認会計士等の活用

② 母体企業や適用事業所の財務・監査部などの活用

③ その他、組合間で協同して、①②の活用など

10 共同事業の推進

生活習慣病対策を中心として、より専門性の高い保健指導や事務処理のIT化が求められていることを踏まえ、保健事業や事務処理の充実・効率化と保険者機能の強化の観点から、近隣の組合との共同事業の実施について積極的に検討すること。なお、保健事業等については、健康保険組合連合会等が実施する共同方式の事業への参加についても考慮すること。

第2 予算の計上について

1 事務費

事務費の国庫負担収入は、一般分と介護分の合計額を計上すること。

(1) 一般分

一般分の被保険者1人当たり月額は、単一組合(連合形態を含む)では11円とし、総合組合では16円とすること。

(2) 介護分

介護分の介護保険第2号被保険者(40歳から64歳の被保険者・被扶養者の合計)1人当たり月額は、単一組合(連合形態を含む)では2円とし、総合組合では3円とすること。

(3) 組合会

組合会費については、臨時開催も可能となる予算を見込むこと。

(4) 社会保障・税番号制度

システム改修等にかかる予算補助については、平成27年度政府予算案に計上している。

なお、補助金の交付に備え、収入科目の「(款)国庫補助金収入(項)国庫補助金収入(目)社会保障・税番号制度システム整備費補助金」に名目計上(1千円)すること。

2 保険給付費の計上

組合の過去の実績値や、以下の内容を踏まえ、組合の実情に応じた適正な計上を行うこと。

(1) 高額療養費の見直し

平成27年1月から、高額療養費の所得区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことから、「健康保険法施行令等の一部を改正する政令の施行について」(平成26年11月19日付保発1119第2号)を踏まえて見込むこと。

(2) 70歳代前半の被保険者の一部負担金等の軽減特例措置

平成26年度から新たに70歳になる者から段階的に法定の負担割合となったことから、「「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置実施要綱」の一部改正等について」(平成26年12月22日付保発1222第5号)を踏まえて見込むこと。

(3) 審査手数料

診療報酬明細書の審査手数料は、組合が選択した審査支払機関の手数料を計上すること。

(4) 被災者等に対する一部負担金等の減免措置

東日本大震災等による被災被保険者等に対する一部負担金等の減免措置を講じる組合にあっては、平成26年度における一部負担金免除証明書の発行枚数や、組合が定める免除対象者範囲などを踏まえて見込むこと。

なお、東京電力福島第一原発の事故による避難指示区域等(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域、特定避難勧奨地点)及び旧緊急時避難準備区域等(旧緊急時避難準備区域、指定が解除された特定避難勧奨地点)の住民に対する一部負担金等の減免措置については、平成26年10月以降は既に区域設定等が解除された地域の上位所得層(被保険者の標準報酬月額が53万円以上)及び平成27年10月以降は平成26年度に指定が解除された避難指示解除準備区域の上位所得層を除いて、引き続き延長することとして、組合の財政状況に応じた予算補助を平成27年度政府予算案に計上している。

また、今後の自然災害に対して同様の措置を講じる方針である組合については、これも踏まえ見込むこと(これまでの実績が乏しく見込みによる計上ができない場合にあっては、名目計上(1千円)して差し支えない。)。

3 前期高齢者納付金(前期高齢者交付金)、後期高齢者支援金、病床転換支援金、退職者給付拠出金、老人保健拠出金

前期高齢者納付金(前期高齢者交付金)、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金及び老人保健拠出金の見込額は、「健康保険組合の平成27年度予算編成における納付金等の見込額の算出方法について」(平成27年1月15日付事務連絡)を参考に計上すること。

なお、病床転換支援金は、平成27年度において拠出を求めないので、予算の計上は不要である。

また、納付金等で、過年度の概算納付額と確定納付額の差により、見込額がマイナスとなる場合は、事務費拠出金のみの金額を支出科目に計上し、還付金は(款)雑収入(項)雑入(目)補助金等追加収入に計上すること。

なお、今後、所要の法律改正等が行われる場合は、算定方法等も見直されることにご留意されたい。

4 日雇拠出金

日雇拠出金の見込額は、「健康保険組合の平成27年度予算編成における納付金等の見込額の算出方法について」(平成27年1月15日付事務連絡)を参考に計上すること。

5 介護納付金

介護納付金の見込額については、「平成27年度介護給付費・地域支援事業支援納付金の算定に係る諸係数等について」(平成27年1月14日付事務連絡)を参考に計上すること。

6 保健事業費

(1) 基本的な考え

保健事業費は、第1の5及び6を踏まえた効果的な事業計画を策定のうえ、計上すること。

(2) 特定健康診査事業費及び特定保健指導事業費

特定健康診査事業費及び特定保健指導事業費については、第2期(平成25年度から平成29年度)特定健康診査等実施計画に基づき計上すること。

特定健康診査・保健指導補助金の見込額については、第2期特定健康診査等実施計画及び「健康保険組合特定健康診査・保健指導費の国庫補助について」(平成23年3月31日付厚生労働省発保0331第1号)の別紙「健康保険組合特定健康診査・保健指導国庫補助金交付要綱」に準じて計上されたい。

なお、この交付要綱で示す「基準単価」は、別表1に示す「予算基準単価」のとおりである。

(3) 健康保険法第63条第3項第3号に該当する病院若しくは診療所経費

健康保険法第63条第3項第3号に該当する病院若しくは診療所を有する組合については、この施設が健康診査や人間ドックのみを実施する施設で、療養の給付を行わない場合は、その経費(ただし、職員にかかる俸給及び諸給を除く。(俸給等は(款)病院診療所費に計上すること。))は、(款)保健事業費(項)保健事業費(目)疾病予防費に計上すること。ただし、一部でも療養の給付が行われている場合は、(款)病院診療所費に全額を計上すること。

なお、健康診査や人間ドックのみを実施する施設を直営で有する組合にあっては、常に費用対効果に意識を置くこと。

(4) 保養所費

(目)直営保養所費については、組合が所有する保養所を直営又は外部委託している場合、その運営経費を計上すること。

保養所として施設を借り上げている場合は、(目)借上保養所費に経費を計上し、また、組合の加入者の利用料補助を主とする場合は、(目)契約保養所費に経費を計上すること。

(5) ◆データヘルス◆計画

◆データヘルス◆計画(保健事業の実施計画)の策定に関する費用については、(目)保健指導宣伝費に計上すること。

なお、この計画に基づき保健事業を実施する場合は、その実施にかかる費用は、実施した保健事業ごとに費用計上すること。

7 財政運営安定化資金

中期財政運営を導入している場合のみ計上すること。

8 予備費・還付金

過去の実績等に基づき計上すること。

また、還付金については、これまでの実績が乏しく見込みによる計上ができない場合にあっては、名目計上(1千円)して差し支えない。

9 特例退職被保険者の予算の計上

特定健康保険組合における特例退職被保険者の予算は、予算編成基準及びこの通知によるほか、「特定健康保険組合の昭和60年度予算の追加(更正)について」(昭和60年3月16日付保文発第149号)を参考に、組合の実情に応じて計上すること。

10 東日本大震災等による被災被保険者等を対象とした特定健康診査・保健指導補助金の取扱い

平成27年度における東京電力福島第一原発の事故による避難指示区域等の住民(平成26年10月以降は既に区域設定等が解除された地域の上位所得層及び平成27年10月以降は平成26年度に指定が解除された避難指示解除準備区域の上位所得層を除く。)に対する自己負担の免除措置については、平成27年度政府予算案に計上していることから、特定健康診査・保健指導補助金にこの補助分を計上されたい。

11 高齢者医療制度円滑運営事業費補助金

糖尿病性腎症患者重症化予防事業の実施に要する費用の予算補助を平成27年度政府予算案に計上している。

12 財政調整事業交付金

健康保険組合連合会からの交付金を見積計上する場合は、過大な見込となることのないよう慎重に算出すること(積立金の保有水準や交付率等によって、減少が見込まれることに留意すること。)。

13 健康保険組合給付費等臨時補助金

当該補助金については廃止となったところであるが、現行基準等に照らして交付対象となる健保組合に対しては、高齢者医療運営円滑化等補助金の枠内で引き続き措置する予定であるため、収入科目の「(款)国庫補助金収入(項)国庫補助金収入(目)高齢者医療支援金等負担金助成事業費」及び「(款)国庫補助金収入(項)国庫補助金収入(目)被用者保険運営円滑化推進事業費」いずれにも名目計上(1千円)すること。

第3 予算編成の特例措置について

1 平成23年3月11日に発生した東日本大震災等による被災被保険者等に対する一部負担金等の減免を実施した組合は、次の特例措置を実施すること。

(1) 準備金保有率

準備金保有率の算出に当たっては、平成24年度、平成25年度、平成26年度及び平成27年度の保険給付費(見込)から、平成24年度及び平成25年度は東京電力福島第一原発の事故による警戒区域等の住民に対する一部負担金等の減免、平成26年度は東京電力福島第一原発の事故による避難指示区域等の住民(平成26年10月以降は既に区域設定等が解除された地域の上位所得層を除く。)に対する一部負担金等の減免、平成27年度は東京電力福島第一原発の事故による避難指示区域等の住民(平成26年10月以降は既に区域設定等が解除された地域の上位所得層及び平成27年10月以降は平成26年度に指定が解除された避難指示解除準備区域の上位所得層を除く。)に対する一部負担金の減免に要した費用を控除して計算すること。

(2) 法定給付費等に要する保険料率及び実質保険料率

法定給付費等に要する保険料率及び実質保険料率の算出に当たっては、平成27年2月以降も東京電力福島第一原発の事故による避難指示区域等の住民(平成26年10月以降は既に区域設定等が解除された地域の上位所得層及び平成27年10月以降は平成26年度に指定が解除された避難指示解除準備区域の上位所得層を除く。)に対する一部負担金等の減免の実施を予定する組合では、平成27年度の保険給付費(見込)から、その一部負担金等の減免に要する費用(見込)を控除して計算すること。

2 指定組合は、国庫補助金の予算計上において、厚生労働大臣が承認した財政健全化計画における補助金額を計上して差し支えない。

3 予算編成基準による一般勘定の予算の編成が困難な組合は、次の特例措置を認めるものとする。

(1) 予算編成に当たり財源が不足する場合は、保険料率の引上げに代えて、繰越金、別途積立金繰入及び準備金繰入(準備金限度内部分繰入を除く。)により、財源を確保して差し支えない。

(2) 診療報酬等の未払金は、支出予算に計上し、保険料率の引き上げ、付加給付の見直し、積立金の取り崩し等により返済すること。

これらの対策を実施しても未払金の返済ができないと見込まれる組合は、別表2「診療報酬等未払金返済計画」を策定のうえ、地方厚生(支)局保険担当課に協議し、これが認められた場合は、この計画に計上した平成27年度の返済額を支出予算に計上すること。

なお、社会保険診療報酬支払基金に対して診療報酬等支払計画書を提出している組合は、この計画書を踏まえて診療報酬等未払金返済計画を策定すること。

診療報酬等未払金返済計画書は、予算届出書に添付すること。

(3) 保険料率改定が組合会等で承認が得られず、かつ、準備金の限度内部分の繰入れを行っても財源が不足する場合は、地方厚生(支)局保険担当課に今後の財政運営方針を示したうえで、国庫補助金(予算計上が可能な特定健康診査・保健指導補助金を除く。)収入を見積計上して差し支えないこと。

ただし、計上することで準備金限度内部分を充たすことになる場合は、準備金限度内部分を超える額については見積計上できないこと。

(4) 国庫補助金について、平成27年度に交付されることが見込まれる場合は、名目計上(1千円)して差し支えないこと。

第4 積立計画について

1 対象組合

(1) 平成27年度予算において、準備金限度内部分を満たしていない組合は、別表3(様式1)の「準備金限度内部分にかかる積立計画」(以下単に「積立計画」という。)を策定すること。

(2) 平成27年度予算において、準備金限度内部分を満たしている組合においても、平成26年度決算確定時などの年度途中で、準備金限度内部分を満たさないと見込まれる場合には、上記(1)と同様に積立計画を策定すること。

なお、平成26年度以降に新設した組合、指定組合(健全化計画期間が平成27年度に該当しない場合を除く。)及び既策定組合(既に積立計画を策定している組合をいう。以下同じ。)については、積立計画の策定は必要としない。

ただし、既策定組合においては、以下の3~5については、これに準じた取扱いとすること。

2 積立計画の策定

(1) 積立計画の策定に当たっては、平成27年度からの最長2年間を計画期間とし、原則、計画期間中に準備金限度内部分を満たす計画とすること。ただし、初年度では、保険給付費と前期高齢者納付金等の1か月分相当を確保されたい。

なお、積立計画を初年度で達成する計画の場合には、2年度目の計画の作成は必要としない。

(2) 積立計画は、過去の実績等を踏まえ、組合の実情に応じた改善対策を講じること。また、確実に遂行できるよう、地方厚生(支)局保険担当課(以下単に「保険担当課」という。)と協議のうえ、策定すること。

(3) 積立計画の策定に当たってのその他の主な留意点は、次のとおり。

① 保険給付費の算出に当たっては、毎年度における1人当たり医療費の適正な伸び率等を用い、的確に算出すること。

② 前期高齢者納付金等の算出に当たっては、当年度の算出方法をもとに、当年度の概算分と前々年度の精算分をそれぞれ的確に算出すること。

③ 国や健康保険組合連合会からの補助金等の算出に当たっては、過大な見込となることのないよう慎重に算出すること(積立金の保有水準や交付率等によって、減少が見込まれることに留意すること。)。

3 積立計画の提出

積立計画は、組合会の議決を経たうえで、1の(1)の対象組合は予算書の届出と併せて、1の(2)の対象組合は策定の都度、保険担当課に2部提出し、保険担当課は1部を当課に提出すること。

4 積立計画の実施状況の報告及び積立計画の変更

(1) 積立計画の各実施年度の翌年9月末日までに、別表3(様式2)(準備金限度内部分にかかる積立計画(実施状況報告))を保険担当課に2部提出し、保険担当課は1部を当課に提出すること。なお、積立計画を初年度で達成した場合には、次年度の提出は必要としない。

(2) 積立計画の達成が困難と見込まれる場合には、保険担当課と協議のうえ、積立計画の変更を行うこと。

変更の申請に当たっては、変更後の積立計画に、変更の理由と変更前の積立計画の写しを添付すること。

5 予算科目

積立計画の策定により、予算上生じる剰余額は、一般勘定又は介護勘定において、それぞれ(款)予備費(項)予備費(目)予備費に計上すること。

第5 中期財政運営の導入組合の予算の計上について

中期財政運営を導入する組合は、第3にかかわらず「健康保険組合の中期財政運営の導入について」(平成4年12月2日付保文発第804号)を踏まえ、(款)財政運営安定資金(項)別途積立金繰入(目)別途積立金繰入に予算の計上等を行うこと。

計上に当たっては、経済全体の景気変動や、設立事業所における過去の決算状況などを踏まえた将来推計を行い、適正な財政運営計画を策定すること。

第6 その他

1 予算書の届出にあっては、健康保険組合予算編成基準の第1の6による添付文書の他、組合会の会議録(写)、別表3(様式1)を添付すること(別表3(様式1)はこれを策定した組合のみ添付すること。なお、組合会の会議録(写)は1部、別表3(様式1)は2部登録すること。)。

収入支出予算概要表は、平成27年3月末日までに保険担当課に正本1部(地方厚生(支)局分)、副本2部の計3部を提出すること。なお、提出の際は、収入支出予算概要表(その1)の右上に、正本又は副本の表記をすること(提出された副本1部については、健康保険組合連合会に回送される。)。

2 施設等の賃貸事業により賃貸料を徴収している組合は、過去の実績等を参考として、これを見込んで計上して差し支えない。なお、賃貸料収入及び敷金・保証金の経理上の取扱いについては、平成23年11月2日付事務連絡「「健康保険組合の所有する施設等の賃貸について」に関するQ&Aについて」を参考とすること。

3 必要に応じて保険担当課に対して助言又は指導を求め、適正に編成を行うこと。

(別表1)

(別表2)

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別表3

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