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○医療費適正化に関する施策についての基本的な方針

(平成二十八年三月三十一日)

(厚生労働省告示第百二十八号)

高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第八条第一項の規定に基づき、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針の全部を次のように改正し、平成二十八年四月一日から適用する。

医療費適正化に関する施策についての基本的な方針

目次

はじめに

第1 都道府県医療費適正化計画の作成に当たって指針となるべき基本的な事項

一 全般的な事項

1 医療費適正化計画の基本理念

(1) 住民の生活の質の維持及び向上を図るものであること

(2) 超高齢社会の到来に対応するものであること

(3) 目標及び施策の達成状況等の評価を適切に行うものであること

2 第三期医療費適正化計画における目標

(1) 住民の健康の保持の推進に関する目標

(2) 医療の効率的な提供の推進に関する目標

3 都道府県医療費適正化計画の作成のための体制の整備

(1) 関係者の意見を反映させる場の設置

(2) 市町村との連携

(3) 保険者等との連携

4 他の計画等との関係

(1) 健康増進計画との調和

(2) 医療計画との調和

(3) 介護保険事業支援計画との調和

(4) 国民健康保険運営方針との調和

5 東日本大震災及び平成28年熊本地震の被災地への配慮

二 計画の内容に関する基本的事項

1 住民の健康の保持の推進に関し、都道府県において達成すべき目標に関する事項

(1) 特定健康診査の実施率に関する数値目標

(2) 特定保健指導の実施率に関する数値目標

(3) メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率に関する数値目標

(4) たばこ対策に関する目標

(5) 予防接種に関する目標

(6) 生活習慣病等の重症化予防の推進に関する目標

(7) その他予防・健康づくりの推進に関する目標

2 医療の効率的な提供の推進に関し、都道府県において達成すべき目標に関する事項

(1) 後発医薬品の使用促進に関する数値目標

(2) 医薬品の適正使用の推進に関する目標

3 目標を達成するために都道府県が取り組むべき施策に関する事項

(1) 住民の健康の保持の推進

(2) 医療の効率的な提供の推進

4 目標を達成するための保険者等、医療機関その他の関係者の連携及び協力に関する事項

5 都道府県における医療費の調査及び分析に関する事項

6 計画期間における医療費の見込みに関する事項

7 計画の達成状況の評価に関する事項

8 その他医療費適正化の推進のために都道府県が必要と認める事項

三 その他

1 計画の期間

2 計画の進行管理

3 計画の公表

第2 都道府県医療費適正化計画の達成状況の評価に関する基本的な事項

一 評価の種類

1 進捗状況の公表

2 進捗状況に関する調査及び分析

3 実績の評価

二 評価結果の活用

1 計画期間中の見直し及び次期計画への反映

2 都道府県別の診療報酬の設定に係る協議への対応

第3 医療費の調査及び分析に関する基本的な事項

一 医療費の調査及び分析を行うに当たっての視点

二 医療費の調査及び分析に必要なデータの把握

第4 医療費適正化に関するその他の事項

一 国、都道府県及び保険者等の役割

二 国の取組

1 国民の健康の保持の推進に係る施策

2 医療の効率的な提供の推進に係る施策

三 都道府県の取組

四 保険者等の取組

五 医療の担い手等の取組

六 国民の取組

第5 この方針の見直し

はじめに

我が国は、国民皆保険の下、誰もが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた。しかしながら、急速な少子高齢化、経済の低成長、国民生活や意識の変化等医療を取り巻く様々な環境が変化してきており、国民皆保険を堅持し続けていくためには、国民の生活の質の維持及び向上を確保しつつ、今後医療に要する費用(以下「医療費」という。)が過度に増大しないようにしていくとともに、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図っていく必要がある。

このための仕組みとして、平成18年の医療制度改革において、医療費の適正化(以下「医療費適正化」という。)を推進するための計画(以下「医療費適正化計画」という。)に関する制度が創設された。医療費適正化計画においては、国民の健康の保持の推進及び医療の効率的な提供の推進に関する目標を定めることとされており、具体的な政策として展開することができ、かつ、実効性が期待される取組を目標の対象として設定することが重要である。

医療費適正化計画に関する制度が創設された平成18年以降も、我が国は他国に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでおり、平成37年にいわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となる超高齢社会を迎える。こうした中で、国民一人ひとりが、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、質が高く効率的な医療提供体制や地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療・介護の総合的な確保を推進するため、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号。以下「医療介護総合確保推進法」という。)が成立した。この中で、地域における効果的かつ効率的な医療提供体制の確保のため、都道府県は、地域医療構想(医療計画(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第1項に規定する医療計画をいう。以下同じ。)に定める地域における将来の医療提供体制に関する構想に関する事項をいう。以下同じ。)を策定することとされたところである。

さらに、平成27年には、医療費適正化の取組を国、都道府県並びに保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号。以下「法」という。)第7条第2項に規定する保険者をいう。以下同じ。)及び後期高齢者医療広域連合(法第48条に規定する後期高齢者医療広域連合をいう。以下同じ。)(以下「保険者等」という。)がそれぞれの立場から進める体制を強化するため、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律(平成27年法律第31号。以下「医療保険制度改革法」という。)により、医療費適正化計画に関する見直しが行われ、病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえた医療費の見込みを医療費適正化計画に盛り込むこととされた。医療費の見込みの算定方法については、平成27年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定。以下「経済・財政再生計画」という。)において「都道府県別の一人当たり医療費の差を半減させることを目指す。」とされている。そのため、データに基づき医療費の地域差についてその背景も含めて分析し、医療費適正化につなげ、当該地域差の縮小を目指していくことを検討していく必要がある。また、平成30年度からは都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となり、都道府県が医療提供体制と医療保険制度の両側面で中心的な役割を担うことが期待される。

この方針は、法第8条第1項の規定に基づき、都道府県が医療費適正化計画を作成するに当たって即すべき事項を定めるとともに、医療費適正化計画の評価並びに医療費の調査及び分析に関する基本的な事項等を定めることにより、医療費適正化が総合的かつ計画的に推進されるようにすることを目的とするものである。

第1 都道府県医療費適正化計画の作成に当たって指針となるべき基本的な事項

一 全般的な事項

1 医療費適正化計画の基本理念

(1) 住民の生活の質の維持及び向上を図るものであること

医療費適正化のための具体的な取組は、第一義的には、今後の住民の健康と医療の在り方を展望し、住民の生活の質を確保・向上する形で、良質かつ適切な医療の効率的な提供を目指すものでなければならない。

(2) 超高齢社会の到来に対応するものであること

平成28年現在、約1700万人と推計される75歳以上の人口は、平成37年には約2200万人に近づくと推計されており、これに伴って現在は国民医療費の約3分の1を占める後期高齢者医療費が国民医療費の半分弱を占めるまでになると予想される。これを踏まえ、医療費適正化のための具体的な取組は、結果として高齢者の医療費の伸び率を中長期にわたって徐々に下げていくものでなければならない。

(3) 目標及び施策の達成状況等の評価を適切に行うものであること

目標及び施策の達成状況等については、計画の初年度と最終年度を除く毎年度、進捗状況を公表するとともに、計画の最終年度には、進捗状況の調査及び分析の結果の公表を行い、必要に応じて対策を講ずるよう努めることとされている。また、計画の最終年度の翌年度には実績に関する評価を行うこととされている。都道府県は、目標を設定した場合は、目標の達成状況及び施策の進捗状況を評価し、必要に応じて計画の見直し等に反映させるものとすること。また、国は全国での取組状況を評価し、必要に応じて計画の見直し等に反映させるものとすること。

2 第三期医療費適正化計画における目標

国民の受療の実態を見ると、高齢期に向けて生活習慣病の外来受療率が徐々に増加し、次に75歳頃を境にして生活習慣病を中心とした入院受療率が上昇している。これを個人に置き換えてみると、不適切な食生活や運動不足等の不健康な生活習慣の継続がやがて糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満症等の発症を招き、通院及び服薬が始まり、生活習慣の改善がないままに、虚血性心疾患や脳血管疾患等の発症に至るという経過をたどることになる。

このことから、医療費の急増を抑えていくために重要な政策は、一つは、若い時からの生活習慣病の予防対策である。生活習慣病の発症を予防することができれば、通院しなければならない者が減少し、さらには重症化や合併症の発症を抑え、入院が必要となる者も結果として減ることとなる。また、生活習慣病に患した後の対策も重要である。例えば糖尿病では、重症化して人工透析に移行した場合には、個人の生活の質(QOL)が著しく低下することに加え、多額の医療費が必要になることが指摘されている。生活習慣病の発症予防として、個人の生活習慣の改善を促す取組を進めることに併せ、生活習慣病に患した後には、速やかに医療機関の受診を勧奨するとともに、その重症化を予防するための取組を進めることが重要である。

また、高齢期には生活習慣病の予防対策に併せて、心身機能の低下に起因した疾病の予防の重要性も指摘されており、今後は、こうした高齢期の特性に合わせ、栄養指導等の取組を進めていくことも重要である。

生活習慣病予防の対策としては、平成20年度から、特定健康診査(法第18条第1項に規定する特定健康診査をいう。以下同じ。)及び特定保健指導(法第18条第1項に規定する特定保健指導をいう。以下同じ。)(以下「特定健康診査等」という。)の実施が保険者に義務付けられている。特定健康診査等の受診率は、年々向上してきているとはいえ、依然として目標との乖離が大きい状況にあり、引き続き、受診率を向上させるための取組を進めることが必要である。また、糖尿病の重症化予防の取組としては、特定健康診査等の結果に基づき、保険者において医療機関への受診勧奨を進めることに加え、最近では、一部の保険者等において、糖尿病性腎症の患者に対し、医療機関及び薬局と連携して専門的な保健指導を実施する取組も行われ、その効果も現れてきている。こうした糖尿病性腎症の重症化予防の取組など、一部の保険者等が実施している先進的な保健事業を全国に展開していくため、平成27年7月には、民間主導の活動体である日本健康会議が発足したところであり、都道府県においても、この動きと連動して、市町村(特別区を含む。以下同じ。)や保険者等の取組を推進することが重要である。

次に、第二期医療費適正化計画の計画期間においては、高齢者の入院医療費と平均在院日数との高い相関関係を踏まえ、平均在院日数の短縮を目標として、病院・病床機能の分化・強化、在宅医療の推進及び医療と介護の連携の強化を図ること等の取組を推進してきた。その結果、平均在院日数については、全ての病床において、着実に短くなるか、持続的に短縮傾向にあり、また、病院病床数も全ての病床で減少が続いている。

今後、急速な少子高齢化の進展が見込まれる中にあっては、患者の視点に立って、どの地域の患者も、その状態像に即した適切な医療を適切な場所で受けられることを目指すことが必要であり、医療機関の自主的な取組により、医療機関の病床を医療ニーズの内容に応じて機能分化しながら、切れ目のない医療・介護を提供することにより、限られた医療資源を有効に活用することが医療費適正化の観点からも重要である。このため、第三期医療費適正化計画の計画期間においては、病床機能の分化及び連携の推進並びに地域包括ケアシステムの構築の推進を目指すこととする。

上記に加え、第二期医療費適正化計画の計画期間では、後発医薬品の使用促進に係る目標を位置付けてきた。後発医薬品の使用促進については、これまで、平成25年4月に策定した「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」において、平成30年3月末までに、後発医薬品の使用割合を60%以上とすることを目標として取組を推進してきた。その後、後発医薬品の使用割合は着実に伸び続けており、こうした状況も踏まえ、経済・財政再生計画において、平成29年央に70%以上とするとともに、平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする新たな目標が位置付けられた。そして、この80%以上とする目標の具体的な達成時期については、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)において、平成32年9月までとされたところである。こうした動きを踏まえ、第三期医療費適正化計画の計画期間においては、都道府県においても数値目標を設定し、国と一体となって、後発医薬品を使用することができる環境の整備等の取組を進めることとする。

さらに、都道府県独自の判断でその他の医療費適正化に資する取組を行うことが有効である。例えば、重複投薬の是正や医薬品の適正使用の推進等について都道府県における目標を設定し、都道府県が適切な投薬に関する普及啓発や保険者等による医療機関及び薬局と連携した訪問指導の実施を支援する等の取組によって、医療費適正化を目指すことが考えられる。

こうした考え方に立ち、具体的にはおおむね以下の事項について目標を定めるものとする。

(1) 住民の健康の保持の推進に関する目標

① 特定健康診査の実施率

② 特定保健指導の実施率

③ メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率

④ たばこ対策

⑤ 予防接種

⑥ 生活習慣病等の重症化予防の推進

⑦ その他予防・健康づくりの推進

(2) 医療の効率的な提供の推進に関する目標

① 後発医薬品の使用割合

② 医薬品の適正使用の推進

3 都道府県医療費適正化計画の作成のための体制の整備

(1) 関係者の意見を反映させる場の設置

医療費適正化対策の推進は、幅広い関係者の協力を得て、地域の実情に応じたものとすることが求められる。このため、外部の専門家及び関係者(学識経験者、保健医療関係者、保険者等の代表者等)の意見を反映することが必要であり、そのための検討会や懇談会等を開催することが望ましい。なお、この場合においては、既存の審議会等を活用しても差し支えない。

(2) 市町村との連携

市町村は、住民の健康の保持の推進に関しては、健康増進の啓発事業等を実施する立場であり、また、医療と介護の連携の推進に関しては、介護保険施設その他の介護サービスの基盤整備を担う立場の一つである。地域主権の観点からも、市町村が医療費適正化の推進に積極的に関わりを持つことが期待される。このため、都道府県医療費適正化計画を作成又は変更する過程において、関係市町村に協議する(法第9条第7項)等都道府県は市町村との間の連携を図ることが必要である。

(3) 保険者等との連携

特定健康診査等の保健事業の実施主体である保険者等においては、平成26年度からは特定健康診査等やレセプト情報を活用した効果的かつ効率的な保健事業を推進することとされ、各保険者等において当該事業の実施計画(以下「◆データヘルス◆計画」という。)の策定及びそれに基づく事業の実施が進められている。

また、保険者等では、加入者の立場に立って、良質な医療を効率的に提供していく観点から、医療関係者とともに、今後の医療提供体制の在り方の検討に参画していくことが期待されているところであり、医療介護総合確保推進法において都道府県が医療計画を策定する際には、保険者協議会の意見を聴かなければならない(医療法第30条の4第14項)とされたところである。

さらに、医療保険制度改革法においては、都道府県が医療費適正化計画を作成又は変更する際には、保険者協議会に協議しなければならない(法第9条第7項)とされたところであり、今後、都道府県においては、保険者協議会を通じて、より一層保険者等との連携を図ることが必要である。

4 他の計画等との関係

都道府県医療費適正化計画は、「住民の健康の保持の推進」と「医療の効率的な提供の推進」を主たる柱とすることから、前者は、都道府県健康増進計画(健康増進法(平成14年法律第103号)第8条第1項に規定する都道府県健康増進計画をいう。以下「健康増進計画」という。)と、後者は、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画(介護保険法第118条第1項に規定する都道府県介護保険事業支援計画をいう。以下「介護保険事業支援計画」という。)と密接に関連する。また、平成30年度からは都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となることから、都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に関する方針(以下「都道府県国民健康保険運営方針」という。)と調和を図ることも求められる。

このため、以下のとおり、これらの計画と調和が保たれたものとすることが必要である。

(1) 健康増進計画との調和

健康増進計画における生活習慣病対策に係る目標及びこれを達成するために必要な取組の内容が、第三期都道府県医療費適正化計画における住民の健康の保持の推進に関する目標及び取組の内容と整合し、両者が相まって高い予防効果を発揮するようにする必要がある。

このため、健康増進計画の内容を踏まえることが望ましい。

(2) 医療計画との調和

医療計画における良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保に係る目標及びこれを達成するために必要な取組の内容と、第三期都道府県医療費適正化計画における医療の効率的な提供の推進に関する目標及び取組の内容とが整合し、良質かつ適切な医療を効率的かつ安定的に提供する体制が実現されるようにする必要がある。

(3) 介護保険事業支援計画との調和

介護保険事業支援計画における介護給付等対象サービス(介護保険法第24条第2項に規定する介護給付等対象サービスをいう。以下同じ。)の量の見込みに関する事項及び介護保険施設等の整備等に関する取組の内容と、第三期都道府県医療費適正化計画における医療と介護の連携等に関する取組の内容とが整合し、介護給付等対象サービスを提供する体制の確保及び地域支援事業(同法第115条の45に規定する地域支援事業をいう。)の実施が図られるようにする必要がある。このため、介護保険事業支援計画の内容を第三期都道府県医療費適正化計画に適切に反映させることが必要である。

(4) 国民健康保険運営方針との調和

都道府県は、国民健康保険の安定的な財政運営及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の広域的かつ効率的な運営の推進を図るため、平成30年度までに、都道府県国民健康保険運営方針を定めることとされている。

都道府県国民健康保険運営方針においては、国民健康保険の医療費及び財政の見通しに関する事項、医療費適正化の取組に関する事項等を定めることとされており、これらの内容と、第三期都道府県医療費適正化計画における住民の健康の保持の推進並びに医療の効率的な推進に関する目標及び取組内容とが整合し、国民健康保険の安定的な財政運営及び効率的な運営の推進が図られるようにする必要がある。

5 東日本大震災及び平成28年熊本地震の被災地への配慮

東日本大震災(平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)及び平成28年熊本地震による災害により被害を受けた地域においては、目標の設定等について、被災地の実態を踏まえた柔軟な対応を行うこととしても差し支えない。

二 計画の内容に関する基本的事項

1 住民の健康の保持の推進に関し、都道府県において達成すべき目標に関する事項

第三期都道府県医療費適正化計画における「住民の健康の保持の推進」に関する目標としては、おおむね以下のものを定めることが望ましいと考えられる。

これらの目標については、第5に掲げるこの方針の見直しを踏まえ、必要に応じ見直しを行う。

(1) 特定健康診査の実施率に関する数値目標

特定健康診査の実施率に関する全国目標は、平成35年度において40歳から74歳までの対象者の70%以上が特定健康診査を受診することとする。

各都道府県の目標値は、第二期都道府県医療費適正化計画の計画期間における各保険者の特定健康診査の実施率の実績を踏まえ、全国目標の実施率を保険者全体で達成するために、各制度ごとの保険者が実績に対して等しく実施率を引き上げた場合の各制度ごとの実施率を保険者種別ごとの目標とするという考え方に基づき、これと各都道府県における保険者の構成割合を勘案して別紙一の推計方法により算出した数値を参考に、各都道府県において設定することが考えられる。

(2) 特定保健指導の実施率に関する数値目標

特定保健指導の実施率に関する全国目標は、平成35年度において、当該年度における特定保健指導が必要と判定された対象者の45%以上が特定保健指導を受けることとする。

各都道府県の目標値は、第二期都道府県医療費適正化計画の計画期間における各保険者の特定保健指導の実施率の実績を踏まえ、全国目標の実施率を保険者全体で達成するために、各制度ごとの保険者が実績に対して等しく実施率を引き上げた場合の各制度ごとの実施率を保険者種別ごとの目標とするという考え方に基づき、これと各都道府県における保険者の構成割合を勘案して別紙一の推計方法により算出した数値を参考に、各都道府県において設定することが考えられる。

(3) メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率に関する数値目標

① 基本的な数値目標

メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率(特定保健指導の対象者の減少率をいう。以下この①において同じ。)に関する各都道府県の目標値は、平成20年度と比べた、平成35年度時点でのメタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率を、25%以上の減少とすることを目安に、各都道府県において設定することが考えられる。

メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率は、各都道府県における、平成20年度の特定保健指導対象者の推定数(平成20年度の年齢階層別(40歳から74歳までの5歳階級)及び性別での特定保健指導対象者が含まれる割合を、平成20年3月31日現在での住民基本台帳人口(年齢階層別(40歳から74歳までの5歳階級)及び性別)で乗じた数をいう。以下同じ。)から平成35年度の特定保健指導対象者の推定数(平成35年度の年齢階層別(40歳から74歳までの5歳階級)及び性別での特定保健指導対象者が含まれる割合を、平成20年3月31日現在での住民基本台帳人口(年齢階層別(40歳から74歳までの5歳階級)及び性別)で乗じた数をいう。)を減じた数を、平成20年度の特定保健指導対象者の推定数で除して算出することが考えられる。

② その他の数値目標

①に加え、特定保健指導の対象者ではなく、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率並びに非服薬者(高血圧症、脂質異常症又は糖尿病の治療に係る薬剤を服用していない者をいう。)のうちのメタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率を算出し、それぞれの推移も①と併せて見ていくことが考えられる。なお、これらの減少率も、①と同様の手法で年齢階層別に補正して算出することが考えられる。

(4) たばこ対策に関する目標

がん、循環器疾患等の生活習慣病の発症予防のためには、予防可能な最大の危険因子の一つである喫煙による健康被害を回避することが重要である。また、受動喫煙は、様々な疾病の原因となっている。こうした喫煙による健康被害を予防するためには、国だけではなく、都道府県においても普及啓発等の取組を行うことが重要である。

このため、都道府県においては、例えば、禁煙の普及啓発施策に関する目標を設定することが考えられる。

(5) 予防接種に関する目標

疾病予防という公衆衛生の観点及び住民の健康の保持の観点から、予防接種の適正な実施が重要である。予防接種の対象者が適切に接種を受けるためには、国や市町村だけではなく、都道府県においても、関係団体との連携や普及啓発等の取組を行うことが重要である。

このため、都道府県においては、予防接種の普及啓発施策に関する目標を設定することが考えられる。

(6) 生活習慣病等の重症化予防の推進に関する目標

生活習慣病等の症状の進展、合併症の発症等の重症化予防のためには、都道府県、保険者等及び地域の医療関係団体等が連携を図り、関係者が一体となって取組を行うことが重要である。

このため、都道府県においては、例えば、医療関係者や保険者等との連携を図りながら行う糖尿病の重症化予防の取組や、高齢者の特性に応じた重症化予防の取組の推進に関する目標を設定することが考えられる。

(7) その他予防・健康づくりの推進に関する目標

上記の目標以外に、健康寿命の延伸の観点から予防・健康づくりの取組を通じた健康の保持の推進を図ることが重要であり、保険者等においては、◆データヘルス◆計画に基づく種々の保健事業が実施されているところである。

都道府県においても、保険者等で実施されている保健事業を踏まえ、例えば、生活習慣に関する正しい知識の普及啓発、住民に対する予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組及びがん検診、肝炎ウイルス検診等の特定健康診査以外の健診・検診に関する目標を設定することなどが考えられる。

2 医療の効率的な提供の推進に関し、都道府県において達成すべき目標に関する事項

第三期都道府県医療費適正化計画においては、病床機能の分化及び連携の推進並びに地域包括ケアシステムの構築の推進を目指すとともに、「医療の効率的な提供の推進」に関する目標として、おおむね以下のものを定めることが望ましいと考えられる。

この目標については、第5に掲げるこの方針の見直しを踏まえ、見直しを行う。

(1) 後発医薬品の使用促進に関する数値目標

後発医薬品の使用割合を平成32年9月までに80%以上とするという国における新しい目標を踏まえ、都道府県においても、この目標の達成に向け、患者及び医療関係者が安心して後発医薬品を使用することができるよう、後発医薬品の使用促進策の策定や普及啓発の取組を行うことが重要である。

このため、各都道府県においては、後発医薬品の使用促進に係る環境の整備を図る観点から、平成32年9月までに後発医薬品の使用割合を80%以上とすることを前提に、計画期間の最終年度の平成35年度には、後発医薬品の使用割合が80%以上に到達しているとする目標を設定することや、普及啓発等施策に関する目標を設定することも考えられる。

(2) 医薬品の適正使用の推進に関する目標

今後、医療費の増大が見込まれる中では、重複投薬の是正等、医薬品の適正使用を推進することが重要である。このため、都道府県においては、患者や医療機関及び薬局に対する医薬品の適正使用に関する普及啓発や保険者等による医療機関及び薬局と連携した訪問指導の実施等、重複投薬の是正に関する目標を設定することが考えられる。

また、複数疾患を有する患者は、複数種類の医薬品の投与を受けている可能性が高いが、それが副作用の発生や医薬品の飲み残しなどにつながっているとの指摘がある。都道府県において、例えば、適切な投薬に関する普及啓発や保険者等による医療機関及び薬局と連携した服薬状況の確認及び併用禁忌の防止の取組の実施等、複数種類の医薬品の投与の適正化に関する目標を設定することが考えられる。なお、複数種類の医薬品の投与の適否については、一概に判断できないことに留意が必要である。

3 目標を達成するために都道府県が取り組むべき施策に関する事項

第三期都道府県医療費適正化計画において、1及び2で設定した目標値の達成のために、都道府県が講ずることが必要な施策としては、以下のものが考えられる。

(1) 住民の健康の保持の推進

各都道府県は、その都道府県域内で実施される特定健康診査等をはじめとする保健事業等について、保険者等、市町村等における取組やデータ等を把握し、全体を俯瞰する立場から円滑な実施を支援するとともに、自らも広報・普及啓発など一般的な住民向けの健康増進対策を実施することが必要である。また、計画に基づく施策の実施に関して必要があると認めるときは、保険者等の関係者に対して、都道府県ごとに組織される保険者協議会を通じて必要な協力を求め、計画の目標の達成に向けて、主体的な取組を行うことが必要である。

その際、全体として医療費適正化が達成されるように、例えば、特定健康診査等の実施主体である保険者に対して保健所から提供された地域の疾病状況等の情報を提供するほか、特に、被用者保険の被扶養者の特定健康診査等の実施率の向上に向けて、市町村が行うがん検診等各種検診の情報と特定健康診査等の情報を共有化し、同時実施等に関する効果的な周知について技術的助言を行うことが期待される。また、特定健康診査等に携わる人材育成のための研修の実施、加入者の指導等の保健事業の共同実施等を行っている保険者協議会に対する助言や職員の派遣による支援、幼少期からの健康に関する意識の向上や市町村における先進的な取組事例等についての情報提供、都道府県自身によるデータの分析やマスメディア等を利用した健康増進に関する普及啓発等の取組を行うことが考えられる。

こうした取組を通じて、都道府県が特定健康診査等の実施率の向上並びにメタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少に主体的な役割を果たすことが期待される。

また、たばこ対策としては、保険者等、医療機関、薬局等と連携した普及啓発の促進や、相談体制の整備等の取組を行うことが考えられる。

予防接種については、住民の健康意識を高めることが医療費適正化にも資するとの観点から、接種率の向上に向け、実施主体である市町村に加えて保険者等が普及啓発等を行うことが期待されるところであり、都道府県においては、その支援を行うことが考えられる。また、感染症の発生動向の調査及び情報の公開、医療関係者との連携、都道府県内の市町村間の広域的な連携の支援等に取り組むことが考えられる。

生活習慣病の重症化予防については、すでに一部の保険者等が取り組んでいるところであるが、より効果的かつ効率的に取組を推進するために、都道府県が保険者等や医療関係者と連携し、また、民間事業者の活用も図りつつ、当該都道府県内において事業を横展開していくことが期待される。また、栄養指導等の高齢者の特性に応じた保健事業についても、後期高齢者医療広域連合において取組を推進するため、国としても支援することとしており、都道府県においても保険者協議会を通じて、必要に応じて支援や助言をしていくことが考えられる。

その他予防・健康づくりについては、すでに一部の保険者等や市町村において、加入者や住民に対して、健康情報を分かりやすく伝える取組や、個人が自主的に健康づくりに取り組んだ場合等に健康器具等に還元可能なポイントを提供する等の個人の健康づくりに向けた自助努力を喚起する取組が実施されている。都道府県としても、このような予防・健康づくりの取組を推進していくため、保険者協議会を通じて、保険者等の取組の実態を把握するとともに、効果的な取組を広げていくことについて、保険者等と協力していくことが期待されている。

(2) 医療の効率的な提供の推進

① 病床機能の分化及び連携並びに地域包括ケアシステムの構築

第三期医療費適正化計画においては、都道府県は、病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえ、医療費の見込みを定めることとしている。地域における効果的かつ効率的な医療提供体制の確保のため、平成27年度より、各都道府県において順次、地域医療構想の策定が行われているところであり、また、病床機能の分化及び連携の推進のため、地域連携パスの整備・活用の推進などに取り組むこととされているが、これらは第三期都道府県医療費適正化計画においても、都道府県が取り組むべき施策として考えられる。

また、その際、病床機能の分化及び連携を推進するためには、まちづくりの視点にも留意しつつ、患者ができる限り住み慣れた地域で生活を継続できる体制整備を進めることが重要である。このため、今後の介護療養病床を含む療養病床の在り方に係る検討にも留意しつつ、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など多様な住まいの整備、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことを可能とする観点からの医療・介護サービス等の充実など、地域包括ケアシステムの構築に関する施策を第三期医療費適正化計画に記載することが考えられる。

なお、都道府県医療費適正化計画の策定の際は、医療計画及び介護保険事業支援計画の関係する箇所における記述の要旨又は概要を再掲することや医療計画と一体的に作成することでも差し支えないこととする。

② 後発医薬品の使用促進

第三期都道府県医療費適正化計画においては、各都道府県が設定する後発医薬品の使用促進に関する数値目標の達成に向け、都道府県域内における後発医薬品の使用促進策等について記載することが考えられる。こうした施策としては、例えば、後発医薬品を医療関係者や患者が安心して使用することができるよう、医療関係者、保険者や都道府県担当者等が参画する、後発医薬品の使用促進に関する協議会を活用して、医療関係者への情報提供など都道府県域内における普及啓発等に関する施策を策定・実施することが考えられる。また、都道府県域内の後発医薬品の薬効別の使用割合のデータ等を把握・分析することにより、保険者等の後発医薬品の使用促進に係る取組を支援することや、保険者等と地域の医療関係者との連携が進むよう、都道府県はその関係構築に向けた支援を行うこと等も考えられる。

③ 医薬品の適正使用の推進

重複投薬の是正は、患者にとって安全かつ効果的な服薬に資するものであり、医薬品の適正使用につながることから、第三期都道府県医療費適正化計画において、医薬品の適正使用のための取組を記載することが考えられる。重複投薬の是正に向けた施策としては、服用薬の一元的かつ継続的な把握ができるよう、保険者協議会を通じて保険者等による重複投薬の是正に向けた取組の支援を行うことや、処方医と連携したかかりつけ薬剤師・薬局による取組の推進等を行うことが考えられる。

このほか、複数種類の医薬品の投与を受けている患者に対して、その服薬状況の分析も踏まえ、保険者協議会を通じた保険者等による医療機関及び薬局と連携した服薬状況の確認及び併用禁忌の防止の取組を促進するなど、医薬品の適正使用に係る施策を推進することも考えられる。なお、その際、施策の推進に当たっては、複数種類の医薬品の投与についての適否については、一概には判断できないため、一律に一定種類以上の医薬品の投与を是正することを目的とした取組は適当ではないことに留意が必要である。

これらの施策を実施する際は、関係者等の意見の把握に努め、施策の課題を抽出し、その解決に向けた目標の設定及び施策の明示、進捗状況の評価等を実施し、必要があるときは、施策に反映していくことが有効である。特に、個々の取り組むべき施策が個別目標の達成に向けてどれだけの効果をもたらしているか、施策全体として効果を発揮しているかという観点から評価を行うことが重要である。

4 目標を達成するための保険者等、医療機関その他の関係者の連携及び協力に関する事項

3に掲げた取組を円滑に進めていくために、都道府県は、住民の健康の保持の推進に関しては保険者等及び健診・保健指導機関等と、医療の効率的な提供の推進に関しては医療機関及び介護サービス事業者等と、普段から情報交換を行い、相互に連携及び協力を行えるような体制作りに努める必要がある。

こうした情報交換の場としては、保険者協議会のほか、地域・職域連携推進協議会、医療審議会等の積極的な活用が期待されるが、会議の場だけではなく様々な機会を活用して積極的に連携・協力を図ることが重要である。

特に、都道府県においては、保険者等による医療費適正化の取組と連携を深めることが必要である。このため、都道府県医療費適正化計画の策定に当たっては、第1の一の3(1)の関係者の意見を反映させる場への参画を保険者等に求めることに加えて、保険者協議会の構成員の一員として運営に参画するなど、連携を深めることが望ましい。また、保険者協議会その他の機会を活用して、必要に応じて、保険者等が行う保健事業の実施状況等を把握したり、保険者等が把握している加入者のニーズ等を聴取するなど、積極的に保険者等と連携することが望ましい。

法第9条第10項においては、保険者協議会を組織している都道府県は、都道府県医療費適正化計画の作成及び当該計画に基づく施策の実施に関して必要があると認め、当該保険者協議会を組織する保険者等に対して必要な協力を求める場合は、当該保険者協議会を通じて協力を求めることができることとされている。医療費適正化の推進に向け、保険者協議会等を積極的に活用することが期待される。

5 都道府県における医療費の調査及び分析に関する事項

都道府県は、都道府県医療費適正化計画の内容に資するよう、医療費の伸びやその構造等の要因分析を行う必要がある。詳細は第3を参照のこと。

6 計画期間における医療費の見込みに関する事項

都道府県は、各都道府県の医療費の現状に基づき、平成35年度の医療費の見込みを算出する。

具体的な算出方法は、別紙二によるものとするが、このうち、入院外医療費に係る見込みについては、計画最終年度に特定健康診査等の全国目標及び後発医薬品の使用割合の全国目標を達成した場合の医療費から、なお残る地域差を縮減したものとする。なお、経済・財政再生計画において「都道府県別の一人当たり医療費の差を半減させることを目指す。」とされている。本方針では、数値目標を定める特定健康診査等の受診率の向上及び後発医薬品の使用促進の効果を取り除いた後の都道府県別の平成35年度の一人当たり入院外医療費について、年齢調整を行い、なお残る一人当たり入院外医療費の地域差について全国平均との差を半減することをもって、地域差半減として取り扱う。別紙二に示す推計式では地域差半減には到達しない見込みであるため、引き続き、第三期医療費適正化計画の計画期間に向けて、医療費適正化に関する分析を継続的に行うとともに、都道府県や保険者等において一定程度普及し、かつ、地域差縮減につながる効果が一定程度認められる取組については、分析結果も踏まえて国において追加を検討する。入院医療費については、病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえ、算出することとする。

7 計画の達成状況の評価に関する事項

都道府県医療費適正化計画の進捗状況を把握するとともに、計画の達成状況に関して評価を行い、その結果をその後の取組に活かしていくため、都道府県は、計画の初年度及び最終年度を除く毎年度、進捗状況の公表を行う。また、計画の最終年度に、進捗状況の調査及び分析を行い、次期計画に適切にその結果を反映させるとともに、最終年度の翌年度に計画の実績に関する評価を行う。詳細は第2を参照のこと。

8 その他医療費適正化の推進のために都道府県が必要と認める事項

第三期医療費適正化計画においては、都道府県独自の取組を主体的に計画に位置付けることが望まれる。その場合は、関連する事業内容等について、3に準じて定めること。

都道府県独自の取組を位置付けるに当たっては、都道府県が保有するデータ又は国から提供するデータを基に課題の分析を行い、取組に反映することが望まれる。こうした取組の例としては、例えば、情報通信技術等を活用した保健師等の訪問指導による重複頻回受診の是正や診療報酬明細書の審査及び点検の充実、医療費通知の充実、意識啓発を通じた適正な受診の促進、地域連携パスに関する協議会の設置・活用、医療機関間の主要な診療情報の相互参照を可能とする地域医療情報連携システムの導入など情報通信技術を活用した医療機関間の連携等が考えられる。なお、これら取組例のうち、市町村等都道府県以外が実施主体となる取組については、その積極的実施の支援又は促進が都道府県の施策となる。

三 その他

1 計画の期間

法第9条第1項の規定により、都道府県医療費適正化計画は6年を一期とするものとされているが、医療保険制度改革法附則第25条第1項の規定を踏まえ、都道府県は平成28年4月1日以後、速やかに、都道府県医療費適正化計画を定めるものとされている。第二期都道府県医療費適正化計画の計画期間が終了する前に第三期都道府県医療費適正化計画を定めた場合は、その策定日から平成35年度までを計画期間とすることとなる。一方、第二期都道府県医療費適正化計画の計画期間終了に伴い第三期都道府県医療費適正化計画を定めた場合には、平成30年度から平成35年度までを計画期間として作成することとなる。

2 計画の進行管理

都道府県医療費適正化計画は、計画の実効性を高めるため、計画作成、実施、点検・評価及び見直し・改善の一連の循環により進行管理をしていくこととしている。詳細は第2を参照のこと。

3 計画の公表

法第9条第8項の規定により、都道府県は、都道府県医療費適正化計画を作成したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出するほか、これを公表するよう努めることとする。

第2 都道府県医療費適正化計画の達成状況の評価に関する基本的な事項

一 評価の種類

1 進捗状況の公表

都道府県は、計画に掲げた目標の達成に向けた進捗状況を把握するため、法第11条第1項の規定により、年度(計画最終年度及び実績評価を行った年度を除く。)ごとに都道府県医療費適正化計画の進捗状況を公表するよう努めるものとする。

2 進捗状況に関する調査及び分析

都道府県は、第四期医療費適正化計画の作成に資するため、法第11条第2項の規定により、計画期間の最終年度である平成35年度に計画の進捗状況に関する調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。また、医療費適正化基本方針の作成に資するため、厚生労働大臣に報告するよう努めるものとする。

3 実績の評価

都道府県は、法第12条の規定により、第三期都道府県医療費適正化計画期間終了の翌年度である平成36年度に目標の達成状況を中心とした実績評価を行うことが必要であり、その内容を公表するよう努めるとともに、厚生労働大臣に報告するものとする。なお、第二期都道府県医療費適正化計画についても、第二期都道府県医療費適正化計画終了の翌年度に目標の達成状況を中心とした実績評価を行うことが必要であり、その内容を公表するよう努めるとともに、厚生労働大臣に報告するものとする。

評価に際しては、計画に定めた施策の取組状況並びに目標値の達成状況及び施策の取組状況との因果関係について分析を行うことが望ましい。

二 評価結果の活用

1 計画期間中の見直し及び次期計画への反映

毎年度の進捗状況を踏まえ、計画に掲げた目標の達成が困難と見込まれる場合には、その要因を分析し、必要に応じ、目標を達成するために取り組むべき施策等の内容について見直しを行った上で、必要な対策を講ずるよう努めるものとする。

また、計画期間の最終年度における進捗状況に関する調査及び分析の際に、目標の達成状況について経年的に要因分析を行い、その分析に基づいて必要な対策を講ずるよう努めるとともに、第四期医療費適正化計画の作成に活用するものとする。

2 都道府県別の診療報酬の設定に係る協議への対応

法第14条第1項において、厚生労働大臣は、計画期間終了の翌年度に自らが行う実績評価の結果、全国及び各都道府県における医療の効率的な提供の推進に関する目標を達成し、医療費適正化を推進するために必要と認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができるとされている。

この定めをするに当たってあらかじめ行われる関係都道府県知事との協議に際しては、都道府県は自らが行った実績評価を適宜活用して対応するものとする。

第3 医療費の調査及び分析に関する基本的な事項

一 医療費の調査及び分析を行うに当たっての視点

都道府県は、医療費が伸びている要因の分析を行う必要があることから、医療費の多くを占める高齢者の医療費を中心に、全国の平均値及び他の都道府県の値等との比較を行い、全国的な位置付けを把握し、医療費又は医療費の伸びが低い都道府県や近隣の都道府県との違い、その原因等を分析する必要がある。

その際、都道府県別の医療費には、保険者等の所在地ごとに集計された医療費、医療機関の所在地ごとに集計された医療費、住民ごとの医療費の三種類があり、それぞれの医療費について、その実績と動向に関し、分析を行う必要がある。

二 医療費の調査及び分析に必要なデータの把握

都道府県は、地域内の医療費の実態を把握するため、国民健康保険事業年報等から、性別、年齢別及び疾患別の受診件数、受診日数及び医療費のデータを入手する必要がある。

また、地域内における医療機関の病床数の状況や、保険者が実施する特定健康診査等の実施状況についてのデータを把握していく必要がある。

なお、都道府県が行う医療費の調査及び分析のため、入院医療費・入院外医療費のデータのうち、主要疾患に係る受療率・一人当たり日数・一日当たり点数それぞれについての都道府県別・二次医療圏別、年齢階級別及び男女別のデータ、保険者種別ごとの特定健康診査等の実施状況についてのデータ等は、国から提供していくこととする。

第4 医療費適正化に関するその他の事項

一 国、都道府県及び保険者等の役割

医療費適正化の取組については、国、都道府県及び保険者等がそれぞれの役割の下、推進していく必要がある。

二 国の取組

医療費適正化の取組に当たっては、医療保険と介護保険の制度全般を所管する国がその役割と責任を果たすことが前提であり、国は、都道府県及び保険者等による医療費適正化の取組が円滑かつ効率的に実施されるよう必要な支援を行うとともに、国民の健康の保持の推進及び医療の効率的な推進を図る観点から、次に掲げる施策を推進していく役割がある。

1 国民の健康の保持の推進に係る施策

国においては、保険者等における加入者の健康課題を踏まえた保健事業全般の推進を図るため、保険者等が策定する◆データヘルス◆計画の精度を向上させるための支援や保険者等が保健事業を実施する上で活用する民間事業者の育成・普及を行うとともに、特定健康診査等の予算補助の実施や平成30年度から始まる保険者努力支援制度の創設、後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直し等により、保険者等に対する誘因策(インセンティブ)を強化するなど、保険者等が保健事業を実施していくための必要な環境整備を行う。

たばこ対策については、喫煙による健康被害を最小限にするために、国においても受動喫煙対策の強化、普及啓発及び禁煙支援等の取組を行っていく。

予防接種については、予防接種に関する啓発及び知識の普及、予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保等の必要な措置、予防接種事業に従事する者に対する研修の実施等必要な措置並びに予防接種の有効性及び安全性の向上を図るために必要な調査及び研究について着実な実施を図るとともに、副反応報告制度の運用及び健康被害の救済についても円滑な運用を行う。

生活習慣病の重症化予防については、多くの保険者等で取組が推進されるよう、日本健康会議とも連携しつつ、実施に当たっての民間事業者の育成や普及に加え、効果的な事例の収集、取組を広げるための課題の検証や推進方策の検討を行い、保険者等に提供する等の必要な支援を行う。また、高齢者の特性に応じた保健事業を推進する観点から、モデル事業の実施や効果的な事例の周知を行っていく。

その他保険者等の予防・健康づくりの取組として、加入者に健康情報を分かりやすく伝える取組や、加入者が自主的に健康づくりに取り組んだ場合等に健康器具等に還元可能なポイントを提供する等の個人の健康づくりに向けた自助努力を喚起する取組が推進されるよう、実施に当たってのガイドラインの策定等を行っていく。

2 医療の効率的な提供の推進に係る施策

病床機能の分化及び連携については、医療介護総合確保基金を通じた都道府県に対する財政支援や都道府県及び市町村が医療及び介護に係る情報の分析を行うための基盤整備を行っていく。

また、後発医薬品の使用促進については、患者及び医療関係者が安心して後発医薬品を使用することができるよう、医療関係者に対する啓発資料の送付や情報提供を進めるとともに、安定供給体制の確保について、医薬品の製造販売業者への指導等を行っていく。残薬、重複投薬、不適切な複数種類の医薬品の投与及び長期投薬を減らすための取組などの医薬品の適正使用の推進については、医療関係者や保険者等と連携し、国民に対し、かかりつけ薬剤師・薬局の必要性の周知や、処方医との連携を通じたかかりつけ薬剤師・薬局の機能強化のための支援等を行っていく。

三 都道府県の取組

都道府県は、地域医療構想の策定を進め、医療提供体制の整備を推進する、保険者等の取組の進捗状況を踏まえて保険者協議会を通じて必要な協力を求めるなど、都道府県医療費適正化計画の推進に関し、目標達成に向け、主体的な取組を行うほか、平成30年度からは国民健康保険の財政運営の責任の主体としての保険者機能の発揮という役割を担うこととなる。具体的な取組は第1の二の3を参照のこと。

四 保険者等の取組

保険者等は、加入者の資格管理や保険料の徴収等、医療保険を運営する主体としての役割に加え、保健事業等を通じた加入者の健康管理や医療の質及び効率性向上のための医療提供体制側への働きかけを行う等、保険者機能の強化を図ることが重要である。

具体的には、保健事業の実施主体として、特定健康診査等の実施のほか、加入者の健康の保持増進のために必要な事業を積極的に推進していく役割を担い、平成27年度からは◆データヘルス◆計画に基づき事業の実施が行われている。平成30年度に向けて同計画の内容を見直しつつ、加入者の健康課題も踏まえ、より効果的かつ効率的に保健事業を実施することが期待されている。

さらにその中で、日本健康会議の取組とも連動しつつ、すでに一部の保険者等において実施されている医療関係者と連携した重症化予防に係る取組や、加入者の健康管理等に係る自助努力を支援する取組など、効果的な取組を各保険者等の実情に応じて推進していくことが期待されている。

また、後発医薬品の使用促進のため、自己負担の差額通知等の取組を推進することや、医療機関と連携した訪問指導の実施等により、重複投薬の是正に向けた取組を各保険者等の実情に応じて行うことに加え、都道府県が医療計画や医療費適正化計画の作成等を行う際に加入者の立場から意見を出すことも期待されている。

五 医療の担い手等の取組

医療の担い手等(法第6条に規定する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手並びに医療法第1条の2第2項に規定する医療提供施設の開設者及び管理者をいう。)は、特定健康診査等の実施や医療の提供に際して、質が高く効率的な医療を提供する役割がある。

保険者等が重症化予防等の保健事業を実施するに当たって、保険者等と連携した取組や病床機能の分化及び連携を進めるために、協議の場(医療法第30条の14第1項に規定する協議の場をいう。)において議論を深めるとともに、そこで示されたデータを踏まえて、自らが所属する医療機関の位置付けを確認しつつ、医療機関相互の協議により、地域における病床機能の分化及び連携に応じた自主的な取組を進めていくことが期待されている。

また、患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応や調剤に必要な体制の整備に努めること及び医薬品の処方医とかかりつけ薬剤師・薬局等との連携の下、一元的・継続的な薬学的管理を通じた重複投薬等の是正等の取組を行うことが期待されている。

六 国民の取組

国民は、自らの加齢に伴って生じる心身の変化等を自覚して常に健康の保持増進に努めることが必要である。

このため、特定健康診査の結果等の健康情報の把握に努め、保険者等の支援も受けながら、積極的に健康づくりの取組を行うことが期待されている。また、医療機関等の機能に応じ、医療を適切に受けるよう努めることが期待されている。

第5 この方針の見直し

この方針は、第三期都道府県医療費適正化計画の作成に資するよう定めたものである。この方針については、地域医療構想の策定状況、地域包括ケアシステムの構築の推進状況及び医療費適正化に関する分析や取組の状況その他の事情を勘案し、必要な見直しを行うものとする。

(平28厚労告389・平29厚労告356・一部改正)

別紙一

標準的な特定健康診査等の目標値の推計方法

標準的な特定健康診査等の目標値の推計方法の例は次のとおりとする。

1 基本的事項

(1) 推計対象

第三期医療費適正化計画の計画期間の最終年度(平成35年度)における特定健康診査実施率・特定保健指導実施率の目標を推計の対象とする。

(2) 基礎データ

特定健康診査受診者数・特定保健指導対象者数等の実績等

(3) 推計の流れ

① 保険者種別ごとの特定健康診査受診者数・特定健康診査実施率等の実績を基礎として、特定健康診査対象者の保険者種別ごとの構成割合を推計する。

② 保険者種別ごとの特定健康診査の実施率の目標値と①で推計した保険者種別ごとの構成割合を基礎として、総計の特定健康診査実施率の目標値を推計する。

③ ②の推計結果と保険者種別ごとの特定保健指導対象者数等を基礎として、特定保健指導対象者の保険者種別ごとの構成割合を推計する。

④ 保険者種別ごとの特定保健指導の実施率の目標値と③で推計した保険者種別ごとの構成割合を基礎として、総計の特定保健指導実施率の目標値を推計する。

なお、規模が小さいこと等から実績を直接使用することが困難であると見込まれる場合は、複数の保険者種別をまとめて推計する等必要に応じて補正等を行うこととする。また、地域の実情を考慮する必要がある場合は、全国と各地域の実績の違いに着目して推計に反映させることとする。

以下、①~④について標準的な方法を説明する。

2 特定健康診査対象者の保険者種別ごとの構成割合の推計

都道府県別・保険者種別の特定健康診査受診者数を保険者種別ごとの特定健康診査実施率で除すること等により、特定健康診査対象者数を推計し、それを基に、特定健康診査対象者の保険者種別ごとの構成割合を推計する。

3 特定健康診査実施率の目標値の推計

2で推計した特定健康診査対象者の保険者種別ごとの構成割合に、保険者種別ごとの特定健康診査の実施率の目標値を乗じて足し上げることにより、総計の特定健康診査実施率の目標値を推計する。

4 特定保健指導対象者の保険者種別ごとの構成割合の推計

保険者種別ごとに次式により算定した推計値のそれぞれについて、各推計値を足し上げた総計に対する比率を算出し、それを基に、特定保健指導対象者の保険者種別ごとの構成割合を推計する。

2で推計した特定健康診査対象者の構成割合×保険者種別ごとの特定健康診査の実施率の目標値×(足下の特定保健指導対象者数/足下の特定健康診査受診者数)

5 特定保健指導実施率の目標値の推計

4で推計した特定保健指導対象者の保険者種別ごとの構成割合に、保険者種別ごとの特定保健指導の実施率の目標値を乗じて足し上げることにより、総計の特定保健指導実施率の目標値を推計する。

別紙二

(平28厚労告389・全改)

標準的な都道府県医療費の推計方法

医療費の見込みを算出する際には、以下の項目を踏まえることとする。

1 基本的事項

(1) 推計期間

第三期医療費適正化計画の計画期間の最終年度(平成35年度)までとする。

(2) 推計の対象となる医療費

住民住所地別の都道府県医療費を推計の対象とする。

(3) 基礎データ

都道府県医療費の推計に使用するデータは次に掲げる統計を基礎とする。

① 患者統計(厚生労働省政策統括官)

② 国民医療費(厚生労働省政策統括官)

③ 病院報告(厚生労働省政策統括官)

④ 医療費の動向(厚生労働省保険局)

⑤ 後期高齢者医療事業年報(厚生労働省保険局)

⑥ 国民健康保険事業年報(厚生労働省保険局)

⑦ 健康保険・船員保険事業年報(厚生労働省保険局)

⑧ 都道府県別将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)

⑨ その他国勢統計(総務省統計局)、推計人口(総務省統計局)等

(4) 推計の流れ

① 基準年度(平成26年度)の住民住所地別の都道府県医療費の推計

② 医療費適正化の取組を行う前の都道府県医療費の伸び率の算出

③ 医療費適正化の取組を行う前の都道府県医療費の将来推計

④ 病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえた都道府県医療費の将来推計

⑤ 医療費適正化の取組を行った場合の効果の算出

⑥ 都道府県医療費の将来推計

以下①~⑥について標準的な方法を説明する。

2 基準年度(平成26年度)の住民住所地別の都道府県医療費の推計方法

将来推計の初期値となる基準年度(平成26年度)の都道府県医療費は、平成25年度の事業統計(後期高齢者医療事業年報、国民健康保険事業年報及び健康保険・船員保険事業年報等をいう。以下同じ。)や医療費の動向を基に医療保険に係る医療費の実績推計値を作成し、これと平成26年度の医療費の動向の対前年度伸び率を基に医療保険に係る医療費の平成26年度実績見込みを推計し、さらに、公費負担等も含めた国民医療費ベースに変換したものとする。推計は入院外(調剤、訪問看護及び療養費等を含む。以下同じ。)及び歯科別の診療種別ごとに行うものとする。具体的な推計方法は以下のとおりとする。

(1) 事業統計等を基にした平成25年度の医療保険に係る都道府県医療費の推計

① 後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度については、都道府県別の事業統計は住民住所地別のデータとなっているため、これを後期高齢者医療の都道府県医療費とする。

② 国民健康保険

市町村国民健康保険については、都道府県別の事業統計が住民住所地別のデータとなっているため、これを市町村国民健康保険の都道府県医療費とする。

国民健康保険組合については、事業統計に都道府県別のデータが無いため、医療費の動向(概算医療費)の国民健康保険組合の都道府県別データに一律の補正率を乗じて、国民健康保険組合の医療費の総計が事業統計と一致するように推計する。

③ 被用者保険

医療費の動向(概算医療費)の医療機関の所在地別医療費(被用者保険に係るものに限る。以下同じ。)を基に、患者統計の住民の住所地別の患者数(被用者保険に係るものに限る。以下同じ。)を医療機関の所在地別の患者数(被用者保険に係るものに限る。以下同じ。)で除した率等を用いて次式により算出し、さらに、一律の補正率を乗じて、被用者保険の医療費の総計が事業統計と一致するように推計する。

被用者保険に係る住民の住所地別医療費=医療機関の所在地別医療費×α(延べ患者数の変換率)×β(一日当たり医療費の変換率)

α=住民の住所地別の患者数÷医療機関の所在地別の患者数

β=住民の住所地別の一日当たり医療費÷医療機関の所在地別の一日当たり医療費

※ αは患者統計のデータ、βは国民健康保険の事業統計を代用して算出

(2) 医療保険に係る都道府県医療費の平成26年度実績見込みの作成

(1)で推計した医療費に平成26年度の医療費の動向(概算医療費)における都道府県別の医療機関の所在地別の医療費を基に、2(1)③と同様の手法で算出した住民住所地別の医療費の対前年度比を入院外及び歯科別の診療種別ごとに乗ずることによって推計する。

(3) 国民医療費ベースの医療費への変換

(1)と同様の手法で推計した平成23年度の医療保険に係る都道府県医療費と平成23年度の都道府県別の国民医療費の比率を補正率とし、これを平成26年度の医療保険に係る都道府県医療費の実績見込みに乗ずることにより国民医療費ベースの都道府県別医療費へ変換する。なお、増加分は公費負担等とし、入院外及び歯科別の診療種別ごとの内訳は医療保険に係る医療費における構成割合と同様と仮定して推計する。

3 医療費適正化の取組を行う前の都道府県医療費の伸び率の算出方法

将来推計においては、基準年度(平成26年度)から推計年度までの一人当たり医療費の伸び率を、過去の都道府県別の医療費を基礎として、総人口の変動、診療報酬改定及び高齢化の影響を考慮して入院外及び歯科別の診療種別ごとに算出したものを用いる。この一人当たり医療費の伸び率の算出の考え方は次のとおりとする。

(1) 算定基礎期間

平成21年度から平成25年度まで(5年間)を算定基礎期間とする。

(2) 一人当たり医療費の伸び率の設定の考え方

診療種別ごとに算定した医療費の動向(概算医療費)における都道府県別の医療機関の所在地別の医療費を基に、2(1)③と同様の手法で算出した住民住所地別の医療費の伸び率から都道府県別の総人口の変動、診療報酬改定及び高齢化の影響を除去し、医療の高度化等に起因する一人当たり医療費の伸び率を算出する。これに将来の診療報酬改定及び高齢化の影響を加味し、推計年度までの伸び率とする。具体的な一人当たり医療費の伸び率の設定方法は以下のとおりとする。

① 医療の高度化等に起因する一人当たり医療費の伸び率の設定

算定基礎期間における医療費の伸び率から、人口変動率並びに(3)及び(4)において整理される診療報酬改定及び高齢化の影響を除去したものを平均し、伸び率を設定する。

なお、算定基礎期間における医療費適正化等の効果(平均在院日数の減少の影響及び後発医薬品の使用促進の影響)を勘案し、この影響を加算又は除去した伸び率を算定する必要があるため、平成26年度から平成29年度までは上記の算定結果に対して0.17%を減じ、平成30年度から平成35年度までは上記の算定結果に対して0.52%を加算するものとする。

② 基準年度から推計年度にかけての伸び率の設定

基準年度から推計年度までの①で算定した医療の高度化等に起因する一人当たり医療費の伸び率の累積に、(3)及び(4)において整理される診療報酬改定の影響及び診療種別ごとに算定した基準年度から推計年度までの高齢化の影響を加えて算出する。

(3) 診療報酬改定

診療報酬改定の影響は、一律に現れるものと仮定し推計に用いることとする。

診療報酬改定は、一人当たり医療費の伸び率に対して、算定基礎期間においては、平成22年度は0.19%、平成24年度は0.004%、基準年度から推計年度にかけての期間においては、平成28年度は▲1.31%の影響があるものとする。

(4) 高齢化の影響

一人当たり医療費の伸び率のうち高齢化による伸び率を算出する。

具体的には、国民医療費における年齢階級別一人当たり医療費を固定し、都道府県別の年齢階級別人口が変化した場合の一人当たり医療費の伸び率により高齢化の影響を、基準年度から推計年度にかけて、入院外及び歯科別の診療種別ごとに算出する。

4 医療費適正化の取組を行う前の都道府県医療費の将来推計の方法

(1) 医療保険に係る入院外及び歯科の医療費の算出

上記の2で算出した基準年度(平成26年度)の医療保険に係る都道府県別医療費を都道府県別人口で除して算出した一人当たり医療費と、3で算出した一人当たり医療費の伸び率及び都道府県別将来推計人口を基礎として次式の考え方により算出する。

医療費適正化の取組を行う前の都道府県医療費=平成26年度の一人当たり医療費×平成26年度から推計年度までの一人当たり医療費の伸び率×都道府県別将来推計人口(推計年度)

(2) 国民医療費ベースの医療費への変換

(1)で推計された医療保険に係る都道府県医療費に2(3)で算出した補正率を乗じて国民医療費ベースの医療費に変換する。なお、増加分は公費負担等とし、入院外及び歯科別の診療種別ごとの内訳は医療保険に係る医療費における構成割合と同様と仮定して推計する。

5 病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえた都道府県医療費の将来推計の方法

医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第30条の33の2に規定する病床の機能の区分及び在宅医療等に関する区分ごとに法第16条に基づき収集するデータを用いて算出した値に、3と同様の手法で算出した入院医療費の医療の高度化等に起因する都道府県別医療費の伸び率を乗じ、それを一人当たり医療費とする。これに、同条に基づき収集するデータを用いて算出した都道府県別に平成35年度に見込まれる各区分ごとの患者数の見込みを乗じ、精神病床、結核病床及び感染症病床に関する医療費を加え、次式により算定する。

病床機能の分化及び連携に伴う在宅医療等の増加分については、現時点では移行する患者の状態等は明らかではなく医療費の推計式は示さない。なお、都道府県が独自に推計することは可能とし、今後検討が進められる移行する患者の状態等や必要な受け皿などに留意しつつ、都道府県からの求めに応じ、推計方法にかかる助言等を行っていく。

病床機能の分化及び連携の推進の成果=各区分ごとの一人当たり医療費×平成35年度の各区分ごとの患者数の見込み+精神病床、結核病床及び感染症病床に関する医療費

6 医療費適正化の取組を行った場合の効果の算出方法及び都道府県医療費の将来推計の方法

第三期医療費適正化計画においては、病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえた都道府県医療費の将来推計及び医療費適正化対策として「生活習慣病対策」及び「後発医薬品の使用促進」に加え、「地域差縮減に向けた取組」について、以下に示す考え方により、これらの医療費適正化効果を織り込み都道府県医療費の将来推計を作成する。

また、都道府県でこれら以外の適正化の取組(以下「都道府県の独自の取組」という。)を行っている場合については、その取組の効果について、都道府県において必要に応じて織り込むこととされたい。

以下の(1)から(3)まで及び都道府県の独自の取組において推計した推計値をもって医療費適正化の効果とする。

なお、以下で用いる平成35年度の入院外医療費は4(2)で算出したものを用いる。

(1) 特定健康診査及び特定保健指導の実施率の向上による効果算定

平成25年度の各都道府県における40歳から74歳までの特定健康診査の対象者について、特定健康診査の実施率が70%であり、かつ、そのうち特定保健指導の対象者が17%と仮定して、特定保健指導の実施率が45%という目標を達成した場合の該当者数(以下「特定健康診査等の目標を達成した場合の特定保健指導の該当者数」という。)から、平成25年度の特定保健指導の実施者数を差し引いて、特定保健指導による効果額を用いて、次式により算定する。

{(平成25年度における特定健康診査等の目標を達成した場合の特定保健指導の該当者数-平成25年度の特定保健指導の実施者数)×特定保健指導による効果額(平成20年度に特定保健指導を受けた者と受けていない者の年間平均医療費の差を用いる。ただし、都道府県独自の効果額を用いることも可能とする。)}÷平成25年度の入院外医療費×平成35年度の入院外医療費の推計値

(2) 後発医薬品の使用促進による効果算定

平成25年10月時点で後発品のある先発品を全て後発品に置き換えた場合の効果額及び平成25年10月の数量シェアを用いて、次式により算定する。

なお、経済・財政再生計画において、平成29年央には後発医薬品の数量シェアを70%以上とすることとなっていることを踏まえ、そこから平成35年度において仮に後発医薬品の数量シェアが80%となった場合を推計している。

{法第16条に基づき収集するデータを用いて算出した平成25年10月時点で後発品のある先発品を全て後発品に置き換えた場合の効果額÷(1-平成25年10月の数量シェア)×(0.8-0.7)}×12÷平成25年度の入院外医療費×平成35年度の入院外医療費の推計値

(3) 地域差縮減に向けた取組による効果算定

経済・財政再生計画において「都道府県別の一人当たり医療費の差を半減させることを目指す。」とされている。そのため、本方針では、数値目標を定める特定健康診査等の受診率の向上及び後発医薬品の使用促進の効果を取り除いた後の都道府県別の平成35年度の一人当たり入院外医療費について、年齢調整を行い、なお残る一人当たり入院外医療費の地域差について全国平均との差を半減することをもって、地域差半減として取り扱う。

地域差縮減に向けた取組としては、糖尿病の重症化予防の取組の推進、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師・薬局の役割の発揮、病院と診療所の連携の推進による効果を①から③までにより算定する。また、①から③までの取組のみによっては地域差半減には到達しない見込みであるため、引き続き、第三期医療費適正化計画の計画期間に向けて、医療費適正化に関する分析を継続的に行うとともに、都道府県や保険者等において一定程度普及し、かつ、地域差縮減につながる効果が一定程度認められる取組については、分析結果も踏まえて国において追加を検討する。

① 糖尿病に関する取組の推進については、平成25年度の当該都道府県における40歳以上の糖尿病の一人当たり医療費と全国平均の一人当たり医療費との差を用いて、次式により算定する。

なお、全国平均を下回る都道府県については、例えば、全国平均を上回る都道府県の中で全国平均に近い都道府県と同等程度の効果が期待されると仮定した推計などを行うことが望ましい。

{(平成25年度の当該都道府県における40歳以上の糖尿病の一人当たり医療費-平成25年度の全国平均の一人当たり医療費)÷2×平成25年度の40歳以上の人口}÷平成25年度の入院外医療費×平成35年度の入院外医療費の推計値

② かかりつけ医、かかりつけ薬剤師・薬局の役割の発揮、病院と診療所の連携の推進による重複投薬の適正化については、平成25年10月に3医療機関以上から同一の成分の医薬品の投与を受けている患者数を用いて、次式により算定する。

(平成25年10月時点で3医療機関以上からの重複投薬に係る調剤費等のうち、2医療機関を超える調剤費等の一人当たり調剤費等×平成25年10月時点で3医療機関以上から重複投薬を受けている患者数÷2)×12÷平成25年度の入院外医療費×平成35年度の入院外医療費の推計値

③ かかりつけ医、かかりつけ薬剤師・薬局の役割の発揮、病院と診療所の連携の推進による複数種類の医薬品の投与の適正化については、平成25年10月に同一成分の医薬品を15種類以上投与されている65歳以上の患者数と一人当たりの調剤費等を用いて、次式により算定する。

{(平成25年10月時点で15種類以上の投薬を受ける65歳以上の高齢者の一人当たり調剤費等-平成25年10月時点で14種類の投薬を受ける65歳以上の高齢者の一人当たり調剤費等)×平成25年10月時点で15種類以上の投薬を受ける65歳以上の高齢者数÷2}×12÷平成25年度の入院外医療費×平成35年度の入院外医療費の推計値