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ハ 上顎の第1又は第2大臼歯を3根のうち2根残して分割抜歯してブリッジの支台歯とする場合は、頬側2根を残した場合は大臼歯として、又頬側いずれか1根と口蓋根を残した場合は、支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯のポンティック(ダミー)として算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、大臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

ニ 下顎の第1又は第2大臼歯を近遠心2根のうち1根を残して分割抜歯してブリッジの支台とする場合は、1根を支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯ポンティック(ダミー)として算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、小臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

(9) ブリッジを装着するに当たり、ワンピースキャスト法により印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のニの(1) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」又は区分「2のニの(2) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」を、それ以外の方法により支台装置の印象採得を行った場合は1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」又は区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を、ポンティック(ダミー)の印象採得を行った場合は1装置につき同区分「2のイの(1) 簡単なもの」を、咬合採得を行った場合は1装置につき区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のイの(1)の(一) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のイの(1)の(二) 支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合」を、装着した場合は支台装置の装着については1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」又は区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」及び保険医療材料料を、ブリッジの装着については1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「2のイ ブリッジ」の各区分の所定点数を算定する。

(10) 必要があって根を分離切断した下顎大臼歯を支台歯として使う場合の指数は「6」として大臼歯1歯の取扱いとする。ただし、分離切断したのであるから、実態に合わせて指数を減ずることを考慮すべきである。

(11) インレーを支台装置とするブリッジについては、窩洞形成を行った場合の費用は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のロ 複雑なもの」により算定する。なお、インレーを支台装置とするブリッジについては、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の対象としないことから、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の算定はできない。

(12) 「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)の判定条件におけるブリッジの1側の支台歯のRの総計が、隣接するダミーのF及びF・Sの総計の3分の1以上であるという判定条件bは延長ブリッジについては適用しない旨のただし書きは、延長したポンティック(ダミー)については片側に支台歯が存在しないのでそのポンティック(ダミー)のバランスは考慮しないとの意である。したがって、画像54 (3KB)別ウィンドウが開きます

の場合画像55 (1KB)別ウィンドウが開きます

部は判定条件bにかかわっていないので、基本となるブリッジ画像56 (3KB)別ウィンドウが開きます

において条件bを判定することになる。この場合は判定条件bを満たしていないので、画像57 (3KB)別ウィンドウが開きます
もブリッジの設計としては不適である。

(13) 「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)によると延長ブリッジの支台歯は2歯以上となっているが、これは回転力を軽減させるためであるから、支台歯が2歯以上であって条件が整っていれば、必ずしも支台歯は連続している必要はない。

(14) 可動性ブリッジ又はインレーを支台とするブリッジの指数は、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に示した当該支台歯の歯種による指数を用いる。

(15) 欠損ではなく、1歯相当分の間隙のある場合のブリッジの設計において、ポンティック(ダミー)は両隣接支台歯の何れかの形態を模して決定するが、その指数については実態に応じ近似の歯種の指数とする。なお、半歯程度の間隙の場合は隙とする。

(16) 咬合緊密のため有床義歯が装着不可能な症例におけるブリッジの製作の必要性は、歯科医学的判断に待つべきものであるが、診療報酬請求の段階において個々の症例について客観的に妥当なものであるかどうかの判断が困難であるので、これが運用の円滑を期するため、(16)によりこの歯科医学的判断についてあらかじめ指導行政庁等の専門的意見によって調整を加えるものであり、保険者が承認を与えるものではない。

(17) 有床義歯では目的が達せられないか或いは嚥下吸引等の事故を起こす恐れが極めて大である場合であってブリッジを行う以外に方法がないときは、理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、当該ブリッジの適否を決する。

(18) 低位唇側転位の犬歯の抜歯後に生じた欠損部の間隙が側切歯、あるいはそれ以下しかない場合であっても、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)にあるポンティック(ダミー)の抵抗値(F値)を減じることは適切でない。

欠損部の間隙が側切歯半歯以下の極めて小さい場合については、側切歯又は第一小臼歯、あるいは双方の歯冠幅を僅かずつ拡大して歯冠修復を行い、場合によっては補綴隙等を行うことにより対応する。

犬歯のポンティック(ダミー)が必要な場合で、中切歯が既にブリッジの支台として使用されている等の理由で新たに支台として使用できない場合に限って、ブリッジの設計を「②3④⑤」に変更することは差し支えない。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に中切歯の状況等を記載すること。

(19) 側切歯及び犬歯、あるいは犬歯及び第一小臼歯の2歯欠損であって、犬歯が低位唇側転位していたため間隙が1歯分しかない場合に限ってポンティック(ダミー)1歯のブリッジとして差し支えない。

ただし、製作するブリッジのポンティック(ダミー)の形を側切歯とするか犬歯とするかはそれぞれの症例によって異なるものと思われるが、形の如何によらずポンティック(ダミー)の抵抗値(F値)は犬歯の「5」として設計する。

この場合、診療報酬明細書の摘要欄に低位唇側転位の犬歯を含む欠損歯数と補綴歯数の不一致の旨記載すること。

(20) 矯正・先天性欠如等により、第一小臼歯が既に欠損している患者の第二小臼歯を抜歯した場合あるいは第二小臼歯が舌側に転位しているとき、第一小臼歯及び第二小臼歯を抜歯した場合で、間隙は1歯分しかないような小臼歯2歯の欠損であって間隙が狭い場合及び第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯欠損のブリッジにおいて、欠損歯数は3歯であるが、間隙のほうが1歯分程度小さく2歯分となる場合のブリッジについては、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に従って実際の歯式どおり対応する。

ただし、保険適用の有無を確認することになるので、理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出してその適否を決するものとする。また、添付模型の製作の費用は、基本診療料に含まれ、算定できないが、添付フィルム又はその複製については、区分番号E100に掲げる歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムにより算定して差し支えない。ただし、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を明記すること。

(21) 6⑥⑦及び⑤⑥6のような分割延長ブリッジは原則として認められないが、前者については隣接する第二小臼歯が前方ブリッジの支台歯となっているか又は同歯にメタルボンド冠が装着されている症例、後者については隣接する第二大臼歯に金合金又は白金加金の全部鋳造冠が装着されている症例であって、補綴物を除去し、当該歯をブリッジの支台歯として使用することが困難であるため、当該歯の補綴物にレストを設定することによりブリッジの維持を求める構造となる場合はこの限りではない。

ただし、レストの設定に係る費用は算定できない。

M018 有床義歯

(1) 有床義歯については、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

(2) 欠損補綴に当たっての歯数の数え方については、欠損歯数によるものではなく、人工歯の数による。欠損歯が4歯であっても、人工歯の排列上5歯となる場合には、その歯数は5歯とする。

(3) 局部義歯のうち12歯から14歯については、あくまで残存歯があり、局部義歯として補綴を行った場合に限り算定する。なお、1床14歯の局部義歯の場合もあり得る。

(4) 欠損部の後方に天然歯のない場合に製作した義歯を遊離端義歯といい、また、遊離端義歯と中間義歯(欠損部の前後又は左右に天然歯のある場合に製作した義歯をいう。)とが混合している義歯を複合義歯という。

(5) 上顎左側第二大臼歯から上顎右側第二大臼歯が欠損している(欠損歯数14歯)症例において、歯冠の一部が露出した状態の埋伏智歯が残存している場合又は当然抜歯すべき症例のうち何らかの理由で抜歯不可能な場合は、智歯と無関係に総義歯同様の義歯を製作したときは、総義歯として算定する。

(6) 抜歯後1月を経過していなくても歯科医学的にみて適当であると認められる場合に限り、義歯の製作の費用は所定点数により算定する。

(7) 抜歯禁忌症以外の場合で、残根歯に対して歯内療法及び根面被覆処置が完了したものについて、必要があって義歯を製作した場合には、その費用は算定できる。

(8) 残根上の義歯をやむを得ず製作するに際し、残根歯の歯内療法後に行う根面被覆処置として、複合レジンを使用することは差し支えない。この場合、歯冠形成については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、充填については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」及び保険医療材料料を算定する。

(9) 骨植堅固で保存可能な残根歯を利用したアタッチメントを使用した総義歯については算定できない。

(10) 前歯部の間隙のみがある場合、これを有床義歯の隙により補綴することは歯科医学的に適切でない。

(11) 小児義歯は原則として認められないが、後継永久歯が無く著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症、象牙質形成不全症、象牙質異形成症又はエナメル質形成不全症であって脆弱な乳歯の早期崩壊又は後継永久歯の先天欠損を伴う場合、外胚葉性異形成症、低フォスファターゼ症、パピヨン=ルフェブル症候群及び先天性好中球機能不全症、その他の先天性疾患により後継永久歯が無い場合若しくはこれに準ずる状態であって、小児義歯以外には咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対する小児義歯に限り、有床義歯により算定する。なお、小児義歯に係る費用を算定する場合は、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に義歯の装着年月日、装着部位及び小児義歯が必要となった疾患名を記載すること。なお、先天性疾患以外の疾患により後継永久歯がない場合に準ずる状態であって、小児義歯以外には咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対して小児義歯を適用する場合においては、予め理由書及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、保険適用の適否を決するものとする。

(12) 模型上で抜歯後を推定して製作する即時義歯は認められるが、即時義歯の仮床試適に係る費用は算定できない。ただし、即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できない。

なお、歯肉の退縮等により比較的早期に床裏装を行った場合は、区分番号M029に掲げる有床義歯修理により算定する。

(13) 有床義歯を1日で製作し装着することは、特殊な症例で歯科医学的に適切な場合に限り、その費用は算定できる。ただし、常態として1~2日で製作し装着を行うものの、装着後の調整指導を実施しない保険医療機関においては認められない。

M019 熱可塑性樹脂有床義歯

(1) 熱可塑性樹脂有床義歯とは、熱可塑性を有する、義歯床用ポリエーテルサルホン樹脂、義歯床用ポリサルホン樹脂、義歯床用強化ポリカーボネート樹脂又はアクリリック樹脂により製作された有床義歯であって、臨床上使用できる強度を有しているものをいう。

(2) 熱可塑性樹脂有床義歯については、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

M020 鋳造鉤

(1) 14カラット金合金による鉤は2歯欠損までの有床義歯の場合に限り算定できる。

(2) 保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料により算定する。

(3) ローチのバークラスプ及び鋳造によるバックアクション鉤は両翼鉤として算定し、2歯以上にわたるバークラスプは、双歯鉤として算定する。

なお、保険医療材料料については、別に定める鋳造鉤の使用材料料の双歯鉤の大・小臼歯により算定する。

M021 線鉤

バックアクション鉤等に要する費用は、本区分の「1 双歯鉤」により算定する。

M023 バー

(1) 保持装置とは、孤立した中間欠損部分を補綴するため、局部義歯の鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子をいう。

(2) 鋳造バー、屈曲バーに保持装置を装着した場合は、その使用個数に応じて算定する。

(3) 緩圧式バーは「1 鋳造バー」又は「2 屈曲バー」により算定し、ケネディバーは「1 鋳造バー」により算定する。

(4) バー義歯が破損し、バーの取替えが必要な症例に限り新たなバーに要する費用は算定できる。

また、有床義歯修理の際に、新たにバーを付与した場合も歯科医学上適切な場合に限り算定できる。

(5) 有床義歯及び熱可塑性樹脂有床義歯の製作や床修理に際し、補強線を使用した場合の当該補強線に係る費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

なお、補強線は、歯牙欠損部、残存歯牙の植立状態、対咬関係、顎堤の形態及び粘膜の性状等を勘案し、義歯の破損防止のために使用するものをいう。

M024 臼歯金属歯

局部義歯又は総義歯において臼歯金属歯を使用した場合には、区分番号M018に掲げる有床義歯の所定点数及び区分番号M024に掲げる臼歯金属歯の所定点数を合算して算定する。

M025 口蓋補綴、顎補綴

(1) 義歯を装着した口蓋補綴又は顎補綴を行った場合の費用は、義歯の費用と口蓋補綴又は顎補綴の費用をそれぞれ算定する。

(2) 口蓋裂に起因する鼻咽腔閉鎖機能不全による言語療法のため鼻咽腔閉鎖機能改善の必要があり、いわゆるスピーチエイド等の発音補整装置を装着した場合は本区分により算定する。

なお、当該装置の調整に要する費用は1回につき区分番号M029に掲げる有床義歯修理により算定する。

(3) 濾胞性歯嚢胞の摘出の際、術前にあらかじめ製作しておいた口蓋板の装着を行った場合は、「1 印象採得が困難なもの」により算定する。

(4) 舌の切除等の外科的療法を行った後の発音障害に対して、必要があって有床義歯に発音補助装置を付加して製作し装着した場合、当該発音補助装置については「1 印象採得が困難なもの」により算定する。ただし、区分番号M003に掲げる印象採得の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 区分番号J022に掲げる顎・口蓋裂形成術を実施する患者に対して必要があってホッツ床(哺乳床)を装着した場合は、当該区分の「1 印象採得が困難なもの」により、同一の患者に対して3回を限度として算定する。ただし、印象採得、材料、装着、修理、調整等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 口腔外科領域における悪性腫瘍摘出術の術後、ラジウム照射を行うため、その保持と防禦を兼ねた特別な装置を製作し装着した場合には、当該所定点数の各区分により算定する。

<その他の技術>

(ろう着)

歯冠修復物及び欠損補綴物をろう着した場合の費用は、当該歯冠修復物及び欠損補綴物の製作等に係る所定点数に含まれ別に算定できない。

M026 補綴隙

(1) 補綴隙は、必要と認められる場合に限り前歯部にはレジン隙を、臼歯部には金属隙の使用が認められるが、その費用は、いずれも補綴隙の所定点数により算定する。なお、総義歯については認められない。

(2) 間隙が広く補綴物を必要とする場合は、金属冠に使用しても差し支えない。

<修理>

M029 有床義歯修理

(1) 有床義歯の修理の費用は、人工歯数に関係なく所定点数により算定する。この場合、修理に伴って鉤を新たに製作したときは、その鉤の費用については、鉤の所定点数により算定する。

(2) 有床義歯修理の場合において、例えば陶歯の破折脱落のため陶歯を新たに使用した場合、又は1歯を抜歯し、旧義歯床を延長して新たに1歯分の補綴をした場合の費用は、有床義歯修理と人工歯料の所定点数を合算して算定する。

(3) 破損した有床義歯を修理した後、新たに有床義歯を製作した場合の費用は、それぞれ所定点数により算定する。

(4) 鉤歯の抜歯又は鉤の破損等のため不適合となった鉤を連結部から切断した場合は、修理又は床裏装を前提に切断した場合に限り、除去料を算定する。

(5) 「注3」に規定する加算は、当該加算に係る施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、破損した有床義歯に係る診療を行い、修理のために患者から当該有床義歯を預かった場合であって、当該患者の求めに応じて、当該有床義歯を預かった日(以下「預かり日」という。)から起算して2日以内において、当該保険医療機関内に配置されている歯科技工士を活用して修理を行い、装着した場合に所定点数に加算する。なお、当該加算の算定に当たっては、預かり日、当該有床義歯の修理に係る指示を行った歯科医師名、修理を担当する歯科技工士名及び修理の内容を記載した文書を作成し、診療録に添付すること。

M030 有床義歯内面適合法

(1) 有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)は、アクリリック樹脂又は熱可塑性樹脂で製作された義歯床の粘膜面を一層削除し、新たに義歯床の床裏装を行った場合に当該義歯の人工歯数に応じ所定点数を算定する。

(2) 義歯が不適合で有床義歯を新たに製作することを前提に行った床裏装は、有床義歯修理の所定点数により算定する。

(3) 義歯破損に際し義歯修理のみにより当初の目的を達せられない場合、歯科医学的判断により、床裏装を行ったときは、修理及び有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)の点数をそれぞれ算定する。ただし、同一日に直接法により床裏装を行った場合の修理の費用は、有床義歯床裏装の所定点数に含まれる。

(4) 床裏装に際しての印象採得料は、区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」により算定する。

(5) 口蓋補綴を行い、有床義歯装着後、当該義歯不適合のため床裏装を行った場合は、「2 総義歯」により算定する。

(6) 有床義歯の換床を行った場合は、本区分により算定する。

M032 帯環金属冠修理

(1) 修理に際して同時に抜髄又は根管充填等の処置を行った場合は、それらの処置の費用はそれぞれの所定点数により算定する。

(2) 歯科医学的に適切なブリッジの修理については、当該ブリッジが別に定める材料価格基準に収載されている代用合金材料で製作されている場合は、「2 その他の合金冠」の所定点数に当該ブリッジのポンティック(ダミー)と支台歯の数の合計数を乗じて得た点数により算定する。

(3) ブリッジの修理に際し印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のイの(1) 簡単なもの」により算定する。

(4) ブリッジの修理に際し装着を行った場合は、支台装置1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1のイ 鋳造歯冠修復又は硬質レジンジャケット冠」又は区分番号M005に掲げる装着の「1のロ その他」により、ブリッジ1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「2のイ ブリッジ」の各区分の所定点数により算定する。ただし、口腔内においてポンティック(ダミー)部分を修理した場合の装着料の算定は認められない。

(5) 平成4年3月までに保険給付をされていたブリッジで同月までに装着されたものが、破損した場合の修理(保険給付の修理と同一の場合)あるいは脱落した際の再装着の費用は所定点数により算定する。

M033 金合金鉤修理

金合金鉤修理の所定点数は、14カラット金合金鋳造鉤以外の金合金鉤(従来の金鉤)について修理を行った場合に算定し、14カラット金合金鋳造鉤の修理は算定できない。

M034 歯冠継続歯修理

(1) 前歯部のポンティック(ダミー)の修理は、本区分により算定する。

(2) 咬合面が金属であるレジン裏装を行った臼歯部ブリッジのポンティック(ダミー)においてレジン裏装が脱落し、これを即時重合レジンで修理した場合は本区分により算定する。

(3) レジンジャケット冠の一部破損に対して、口腔内において即時硬化レジンで修理した場合は、本区分により算定する。

第13部 歯科矯正

通則

1 歯科矯正は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養に限り保険診療の対象とする。

2 歯科矯正の費用は、第1節の各区分の注に「保険医療材料料を含むものとする。」等と規定されている場合を除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の保険医療材料料を合算して算定する。

3 区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の算定に基づく診断を行った患者に限り、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養として歯科矯正を行うことができる。

4 印象採得、咬合採得及び装着については、それぞれの診療行為を行った日に算定する。

5 歯科矯正料の項に掲げられていない歯科矯正のうち、特殊な歯科矯正の歯科矯正料は、その都度当局に内議し、最も近似する歯科矯正として準用が通知された算定方法により算定する。

6 歯科矯正においては、患者が任意に診療を中止し、1月を経過した後、再び同一症状又は同一病名で当該保険医療機関に受診した場合は、初診料は算定できない。

7 別に厚生労働大臣が定める疾患とは、次のものをいう。

(1) 唇顎口蓋裂

(2) ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)

(3) 鎖骨・頭蓋骨異形成

(4) クルーゾン症候群

(5) トリチャーコリンズ症候群

(6) ピエールロバン症候群

(7) ダウン症候群

(8) ラッセルシルバー症候群

(9) ターナー症候群

(10) ベックウィズ・ヴィードマン症候群

(11) 尖頭合指症

(12) ロンベルグ症候群

(13) 先天性ミオパチー

(14) 顔面半側肥大症

(15) エリス・ヴァン・クレベルド症候群

(16) 軟骨形成不全症

(17) 外胚葉異形成症

(18) 神経線維腫症

(19) 基底細胞母斑症候群

(20) ヌーナン症候群

(21) マルファン症候群

(22) プラダーウィリー症候群

(23) 顔面裂

(24) 筋ジストロフィー

(25) 大理石骨病

(26) 色素失調症

(27) 口―顔―指症候群

(28) メービウス症候群

(29) カブキ症候群

(30) クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群

(31) ◆ウィリアムズ症候群◆

(32) ビンダー症候群

(33) スティックラー症候群

8 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対する歯科矯正の療養は、当該疾患に係る育成医療及び更生医療を担当する保険医療機関からの情報提供等に基づき連携して行われるものである。

第1節 歯科矯正料

N000 歯科矯正診断料

(1) 歯科矯正診断料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる場合であって、当該疾患の治療を行った医科の保険医療機関又は患者若しくはその家族からの情報及び資料により、当該患者が当該疾患を現に有することが確認された場合に限り算定する。

(2) 歯科矯正診断料は、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析するとともに、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真等を行い、これらの分析結果や評価等と過去に行った治療内容の評価と併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラム及び区分番号N004に掲げる模型調製の費用は別に算定できる。

(3) 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者であって、顎切除等の手術を必要とするものに係る歯科矯正診断料については、当該手術を担当する保険医療機関名及び担当保険医氏名を治療計画書に記載する。

(4) 「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいう。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 保険医療機関名、担当保険医氏名等

(5) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(6) 歯科矯正診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した治療計画書の要点を記載すること。

(7) 歯科矯正診断料を算定した後、「注2」に掲げる歯科矯正診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、歯科矯正診断料は、算定できない。

(8) 歯科矯正診断料の算定に係る歯列矯正は、歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び別に厚生労働大臣が定める疾患に係る育成医療及び更生医療等当該疾患に係る手術等を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師との十分な連携を図り行うこと。

N001 顎口腔機能診断料

(1) 顎口腔機能診断料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関に限り算定する。

(2) 顎口腔機能診断料は、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等について、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真及び予測模型等による評価又は分析を行い、これらの結果と既に行った治療内容の評価を併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラム及び区分番号N004に掲げる模型調製の費用は別に算定できる。

(3) 「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいう。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関が共同して作成した手術予定等年月日を含む治療計画書、計画策定及び変更年月日等

ホ 顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当保険医氏名

ヘ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関名、担当保険医氏名等

(4) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(5) 顎口腔機能診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した治療計画書の要点を記載すること。

(6) 顎口腔機能診断料を算定した後、「注2」に掲げる顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合には、顎口腔機能診断料は算定できない。

(7) 顎口腔機能診断料の算定に係る歯科矯正及び顎離断等の手術は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関で実施される歯科矯正を担当する歯科医師及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師の十分な連携の下に行い、これら一連の治療に関する記録は、当該療養を担当するそれぞれの歯科医師又は医師において保管すること。

N002 歯科矯正管理料

(1) 「注1」に規定する「計画的な歯科矯正管理」とは、歯と顎の変化及び移動の把握並びにそれに基づく治療計画の点検及び修正をいう。

また、「注1」に規定する「経過模型による歯の移動等の管理」とは、経過模型を製作し、過去に製作した経過模型と対比し、歯の移動等を把握することをいう。

(2) 「注1」に規定する「療養上必要な指導」とは、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づいた矯正装置の取扱い、口腔衛生、栄養、日常生活その他療養上必要な指導等をいう。

なお、療養上必要な指導を行った場合には、患者の症状の経過に応じて、既に行われた指導等の評価及びそれに基づいて行った指導の詳細な内容を診療録に記載する。

(3) 区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」若しくは区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書が作成されていない場合又は当該保険医療機関において歯科矯正の動的治療が行われていない場合には、歯科矯正管理料は算定できない。

(4) 「注1」の「文書」とは、病名、症状、療養上必要な指導及び計画的な歯科矯正管理の状況(治療計画の策定及び変更年月日を含む。)、保険医療機関名、当該管理を行った主治の歯科医師の氏名、顎切除、顎離断等の手術を必要とする療養を行う場合においては、当該手術を担当する保険医療機関名及び担当保険医氏名等を記載したものをいう。

(5) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(6) 歯科矯正管理料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した文書の要点を記載すること。

(7) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科矯正管理料は算定できない。

(8) 歯科矯正管理を行った場合の説明等に使用した経過模型、口腔内写真、顔面写真等の費用は、歯科矯正管理料に含まれ別に算定できない。

(9) 保定における保定装置の調整の費用は、歯科矯正管理料に含まれる。

N003 歯科矯正セファログラム

(1) 歯科矯正セファログラムとは、焦点と被写体の中心及びフィルム面が常に一定の距離を保持し、かつ、エックス線の主線が両耳桿の延長線に対して、0度、90度又は45度に保てる規格の機器を用いて撮影したものをいう。

なお、常に一定の距離とは、個々の患者につき、焦点と被写体の中心及びフィルム面の距離が経年的に一定であることをいう。

(2) 一連とは、側貌、前後像、斜位像等の撮影を全て含むものである。

(3) 歯科矯正セファログラムに用いたフィルムに係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N004 模型調製

(1) 平行模型は、咬合平面が水平になるよう製作したときに、顎態模型は、眼耳平面を基準として顎顔面頭蓋との関係を明らかにした模型を製作したときに算定する。

(2) プラスターベースは、平行模型及び顎態模型を一定の規格に維持した状態で長期にわたって保管する必要があるために用いるものである。プラスターベースの使用に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 平行模型は、歯科矯正を開始したとき、動的処置を開始したとき、マルチブラケット法を開始したとき、顎離断等の手術を開始したとき及び保定を開始したとき、それぞれ一回に限り算定する。

(4) 予測模型は、歯及び顎の移動後の咬合状態の予測を模型上にあらわしたものである。

(5) 予測模型は、歯科矯正の治療においてダイナミックポジショナー及びスプリングリテーナーを製作した場合にはそれぞれ一回算定する。なお、歯科矯正を開始したとき又は動的処置を開始したときは、いずれかについて1回に限り算定するものとし、顎離断等の手術を開始したときも1回に限り算定する。

(6) 製作した模型については、保定期間を含む一連の治療が終了した日の属する月の翌月の初日から起算して3年を保存期間とする。

N005 動的処置

(1) 動的処置とは、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づき策定された区分番号N008に掲げる装着の「注1」又は「注3」に規定する力系に関するチャートに基づき、矯正装置に用いた主線、弾線、スクリュー等の調整並びに床の削除及び添加により、歯及び顎の移動・拡大等を計画的に行うものとする。

(2) 動的処置の費用は、区分番号N008に掲げる装着の「1 装置」を算定した場合においては、当該費用に含まれ別に算定できない。なお、保定装置の使用期間中においても算定できない。

(3) 同一月内における装置の装着と日を異にして行った動的処置は、同一月内の第1回目として取り扱う。

N006 印象採得

(1) 歯科矯正における印象採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。

(2) マルチブラケット装置の印象採得をステップⅠ、ステップⅡ、ステップⅢ及びステップⅣの各ステップにおいて行った場合は、各ステップにつき1回に限り算定する。

(3) 「2のイ 印象採得が簡単なもの」に該当するものは、先天性異常が軟組織に限局している場合をいう。

(4) 「2のロ 印象採得が困難なもの」に該当するものは、先天性異常が硬組織に及ぶ場合若しくは顎変形症の場合をいう。なお、硬組織に及ぶ場合とは、先天性異常として骨の欠損及び癒合不全、著しい顎の過成長及び劣成長を伴うものをいう。

(5) 「2のハ 印象採得が著しく困難なもの」に該当するものは、(4)に該当する場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合又は残孔の状態にある場合をいう。

(6) リトラクター又はプロトラクターを製作するために顎顔面の採型を行った場合は、「2のハ 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。

(7) 双線弧線装置を使用して歯科矯正を行う場合の第1回目の装置の印象採得の費用は本区分の「1 マルチブラケット装置」を、装着の費用は区分番号N008に掲げる装着の「1のロ 固定式装置」及び装置の費用は区分番号N018に掲げるマルチブラケット装置の「1のロ 4装置目以降の場合」により算定するものとし、第2回目以降の装置の費用については区分番号N018に掲げるマルチブラケット装置の「1のロ 4装置目以降の場合」のみを算定する。なお、区分番号N008に掲げる装着の「注1」又は「注3」の加算については、各区分の算定要件を満たしている場合に算定できる。

N007 咬合採得

(1) 歯科矯正における咬合採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。

(2) マルチブラケット装置の場合は、算定できない。

(3) 「2 困難なもの」に該当するものは、先天性異常が硬組織に及ぶ場合若しくは顎変形症の場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合をいう。

(4) 「3 構成咬合」とは、アクチバトール、ダイナミックポジショナーの製作のために筋の機能を賦活し、その装置が有効に働き得る咬合状態を採得するものをいう。

N008 装着

(1) 「1のイ 可撤式装置」に該当するものは、患者が自由に着脱できる床装置、アクチバトール、リトラクター等である。

(2) 「1のロ 固定式装置」に該当するものは、患者が自由に着脱できないリンガルアーチ、マルチブラケット装置、ポータータイプの拡大装置等である。

(3) 装置の装着料は、マルチブラケット装置を除き第1回目の装着時にのみ算定できる。

(4) マルチブラケット装置の装着料は、各ステップにつき1回に限り算定する。

(5) ポータータイプ又はスケレトンタイプの拡大装置に使用する帯環の装着に係る費用は、装置の装着に係る費用に含まれ別に算定できない。

(6) マルチブラケット装置の装着時の結紮に係る費用は、所定点数に含まれる。

(7) フォースシステムとは、歯及び顎の移動に関して負荷する矯正力の計画を立てることをいい、力系に関するチャートとは、フォースシステムを基にした矯正装置の選択及び設計のチャートをいう。

(8) メタルリテーナーを除いた保定装置の製作に当たって、フォースシステムを行った場合であっても、フォースシステムの費用は算定できない。

(9) 「注1」又は「注3」の加算を算定する場合は、診療録に、口腔内の状況、力系に関するチャート、治療装置の名称及び設計等を記載すること。

N009 撤去

ポータータイプの拡大装置の撤去の費用は、同装置を最終的に撤去する場合に1回に限り帯環の数に応じて算定する。

N010 セパレイティング

(1) セパレイティングとは、帯環を調製装着するため、歯間を離開させることをいい、相隣接する2歯間の接触面を1箇所として算定する。なお、これに使用した真鍮線等の撤去に要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 叢生(クラウディング)について、唇顎口蓋裂に起因した咬合異常の歯科矯正を行う際に歯の隣接面の削除を行った場合は、区分番号I000―2に掲げる咬合調整の各区分により算定する。

N011 結紮

マルチブラケット装置において結紮を行った場合にのみ算定する。

N012 床装置

マルチブラケット装置以外の装置については、次により算定する。

イ 「1 簡単なもの」については、顎の狭窄を伴わない場合に装着する装置について算定する。

ロ 「2 複雑なもの」については、前後又は側方の顎の狭窄を伴う場合又は残孔の状態にある場合に装着する装置について算定する。

N013 リトラクター

(1) 本区分に該当するものは、マンディブラリトラクター及びマキシラリリトラクターである。

(2) 「注」のスライディングプレートの製作のために行う印象採得、咬合採得、保険医療材料等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N014 プロトラクター

本区分に該当するものは、ホーンタイプ、フレームタイプ及びフェイスボウタイプの装置である。

N015 拡大装置

本区分に該当するものは、プレートタイプ、ポータータイプ、インナーボウタイプ及びスケレトンタイプの拡大装置である。

N016 アクチバトール(FKO)

本区分に該当するものは、アクチバトール及びダイナミックポジショナーである。

N017 リンガルアーチ

(1) 本区分に該当するものは、リンガルアーチ(舌側弧線装置)及びレビアルアーチ(唇側弧線装置)である。

(2) リンガルアーチにおいて、主線の前歯部分のみを再製作し、ろう着した場合は、区分番号N028に掲げる床装置修理により算定する。

N018 マルチブラケット装置

マルチブラケット装置については、次により算定する。

イ マルチブラケット装置とは、帯環及びダイレクトボンドブラケットを除いたアーチワイヤーをいう。

ロ ステップが進んだ場合には、前のステップに戻って算定できない。

ハ ステップⅠとは、レベリングを行うことをいう。

ニ ステップⅡとは、主として直径0.014~0.016インチのワイヤーを用いた前歯部の歯科矯正又は犬歯のリトラクションを行うことをいう。

ホ ステップⅢとは、主として直径0.016~0.018インチのワイヤー又は角ワイヤーを用いた側方歯部の歯科矯正を行うことをいう。

ヘ ステップⅣとは、主として直径0.016~0.018インチあるいはそれ以上のワイヤー又は角ワイヤーを用いた臼歯部の歯科矯正及び歯列弓全体の最終的な歯科矯正を行うことをいう。

ト セクショナルアーチを行う場合の第1回目の装置の印象採得の費用は区分番号N006に掲げる印象採得の「1 マルチブラケット装置」、装着の費用は区分番号N008に掲げる装着の「1のロ 固定式装置」及び装置の費用は本区分の「1のロ 4装置目以降の場合」に掲げる所定点数により算定するものとし、第2回目以降の装置の費用については、本区分の「1のロ 4装置目以降の場合」のみの算定とする。

なお、区分番号N008に掲げる装着の「注1」及び「注3」の加算については、各区分の算定要件を満たしている場合に算定できる。

N019 保定装置

(1) 保定装置とは、動的処置の終了後、移動させた歯及び顎を一定期間同位置に保持する装置をいう。

(2) 動的処置に使用した矯正装置をそのまま保定装置として使用した場合には、保定装置の費用は算定できない。

(3) メタルリテーナーは、前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大を行った後の保定を維持する場合であって、メタルリテーナーを使用する必要性がある場合に限って算定する。

(4) 「5 リンガルバー」に該当するものは、リンガルバー及びパラタルバーを使用する装置である。

N020 鉤

「2 複雑なもの」に該当するものは、アダムス鉤である。

N021 帯環

帯環製作の場合のろう着の費用は、当該各区分の所定点数に含まれるものであるが、帯環にチューブ、ブラケット等をろう着する場合の費用は、区分番号N027に掲げる矯正用ろう着により算定する。

N023 フック

本区分に該当するものは、リンガルボタン、クリーク、フック等であるが、チューブに付随していて新たなろう着の必要のないものは算定できない。

N024 弾線

弾線をリンガルアーチ等に用いるためにろう着を行った場合の費用は、区分番号N027に掲げる矯正用ろう着により算定する。

N025 トルキングアーチ

トルキングアーチについては、装着、結紮等の費用は別に算定できない。

N026 附加装置

(1) 附加装置には、保険医療材料等(交換用のエラスティクスを含む。)の費用を含む。

(2) 超弾性コイルスプリングを用いて顎間又は顎内固定を行った場合は、1箇所1個につき、「2 コイルスプリング」及び「4 アップライトスプリング」に掲げる所定点数を合算した点数により算定する。

N027 矯正用ろう着

本区分に該当するものは、通常のろう着、自在ろう着、電気熔接である。

なお、チューブ、ブラケット等を電気熔接する場合には、1個につき1か所として算定する。

N028 床装置修理

本区分に該当するものは、床装置の破損等であるが、床装置において動的処置の段階で床の添加を行う場合の床の添加に要する費用は、区分番号N005に掲げる動的処置に含まれ別に算定できない。

第14部 病理診断

通則

第14部に規定する病理診断に係る費用以外の費用の算定は、医科点数表の例により算定する。

病理診断・判断料

O001 口腔病理診断料

(1) 口腔病理診断料を算定できる保険医療機関は、病理診断を専ら担当する歯科医師又は医師が勤務する病院でなければならないが、年間の剖検数・生検数が十分にあること、剖検室等の設備や必要な機器等を備えていること、病理部門の要員を備えていること等を満たしていることが望ましい。

(2) 当該保険医療機関以外に勤務する病理診断を行う歯科医師又は医師が、保険医療機関に出向いて病理診断を行った場合等、当該保険医療機関における勤務の実態がない場合においては、口腔病理診断料は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の保険医療機関(衛生検査所等を含む。)で作製した病理標本につき診断を行った場合には、月1回に限り所定点数を算定する。なお、患者が当該傷病につき当該保険医療機関を受診していない場合(テレパソロジーによる術中迅速病理組織標本作製を行う場合を除く。)においては、療養の給付の対象とならない。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3

別添3

調剤報酬点数表に関する事項

<通則>

1 保険薬局は、当該保険薬局において調剤される医薬品の品質確保について万全を期さなければならない。

2 保険薬剤師は、投与日数が長期間にわたる処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと。

また、分割調剤を行う場合(上記の場合のほか、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が全て不可の場合の署名欄に処方医の署名又は記名・押印がない処方せん(以下「後発医薬品への変更が可能な処方せん」という。)を提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により、分割調剤を行う場合を含む。)は、その総量は、当然処方せんに記載された用量を超えてはならず、また、第2回以後の調剤においては使用期間の日数(ただし、処方せん交付の日を含めて4日を超える場合は4日とする。)と用量(日分)に示された日数との和から第1回調剤日から起算して当該調剤日までの日数を差し引いた日分を超えては交付できない。例えば、4月3日交付、使用期間4日間、用量10日分の処方せんで4月4日に5日分の調剤を受け、次に10日に調剤を受けに来た場合は(10+4)-7=7であるから、残りの5日分を全部交付して差し支えないが、もし第2回の調剤を4月13日に受けに来た場合、(10+4)-10=4となるので4日分しか交付できない。

3 保険薬局において分割調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、処方せんに薬剤師法第26条に規定する事項及び分割理由等の必要な事項を記入し、調剤録を作成した後、処方せんを患者に返却すること。

4 「区分番号00」の「注3」の後発医薬品調剤体制加算、「区分番号01」の「注8」の加算(以下「後発医薬品調剤加算」という。)及び「区分番号14」の後発医薬品情報提供料の算定対象となる後発医薬品については、「診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品について」(平成22年3月5日保医発0305第14号)を参照すること。

5 保険薬局は、薬局内の見やすい場所に調剤報酬点数表の一覧等を掲示するとともに、患者の求めに応じて、その内容を説明すること。

<調剤技術料>

区分00 調剤基本料

(1) 調剤基本料は、患者等が提出する処方せんの枚数に関係なく処方せんの受付1回につき算定する。なお、同一保険薬局において分割調剤を行う場合は、調剤基本料は初回のみ算定し、2回目以降については、「注4」又は「注5」のとおり算定するが、異なる保険薬局で分割調剤を行う場合は、各保険薬局においてそれぞれ調剤基本料を算定できる。

(2) 同一患者から同一日に複数の処方せんを受け付けた場合、同一保険医療機関の同一医師によって交付された処方せん又は同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて交付された処方せんについては一括して受付1回と数える。

ただし、同一の保険医療機関から交付された場合であっても、歯科の処方せんについては歯科以外の処方せんと歯科の処方せんを別受付として算定できる。

(3) 2以上の異なる保険医療機関が交付した処方せんを同時に受け付けた場合においては、受付回数はそれぞれ数え2回以上とする。

(4) 処方せんの受付回数が月に4,000回を超える薬局に該当するか否かの取扱いは、次の基準による。ただし、受付回数の計算に当たり、「区分番号01」の「注4」の時間外加算、休日加算若しくは深夜加算若しくは「区分番号01」の「注5」の夜間・休日等加算を算定する調剤料に係る処方せん、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料、「区分番号15の2」の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料若しくは「区分番号15の3」の在宅患者緊急時等共同指導料の基となる調剤に係る処方せん又は介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表の「5」の居宅療養管理指導費のロの(2)若しくは指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表の「5」の介護予防居宅療養管理指導費のロの(2)の基となる調剤に係る処方せんを受け付けた場合には、当該処方せんの受付は受付回数に含めないものとする。

ア 前年2月末日以降継続して保険薬局に指定されている薬局について

前年3月1日から当年2月末日までの12か月の受付回数が48,000回を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

イ 前年3月1日から前年11月30日までの間に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から当年2月末日までの受付回数が4,000回に月数を乗じて得た回数を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

ウ 前年12月1日以降に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から3か月間の受付回数が12,000回を超えるか否かで判定し、当該3か月の最終月の翌々月1日から翌年3月31日まで適用する。なお、適用開始までの間は40点を算定する。

(5) 特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が70%を超える薬局に該当するか否かの取扱いは、次の基準による。

ア 前年2月末日以降継続して保険薬局に指定されている薬局について

前年3月1日から当年2月末日までの12か月間に受け付けた処方せんのうち特定の保険医療機関に係るものの受付回数を、当該期間に受け付けたすべての処方せんの受付回数で除して得た割合が70%を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

イ 前年3月1日から前年11月30日までの間に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から当年2月末日までに受け付けた処方せんのうち特定の保険医療機関に係るものの受付回数を、当該期間に受け付けたすべての処方せんの受付回数で除して得た割合が70%を超えるか否かで判定し、4月1日から翌年3月31日まで適用する。

ウ 前年12月1日以降に新規に保険薬局に指定された薬局について

指定の日の属する月の翌月1日から3か月間に受け付けた処方せんのうち特定の保険医療機関に係るものの受付回数を、当該期間に受け付けたすべての処方せんの受付回数で除して得た割合が70%を超えるか否かで判定し、当該3か月の最終月の翌々月1日から翌年3月31日まで適用する。なお、適用開始までの間は40点を算定する。

(6) 開設者の変更(親から子へ、個人形態から法人形態へ、有限会社から株式会社へ等)又は薬局の改築等の理由により薬事法上の薬局の許可を取得し直し、保険薬局の指定について薬局の当該許可の日までの遡及指定が認められる場合は、(4)のウ及び(5)のウの記載にかかわらず、当該遡及指定前の実績に基づき調剤基本料を算定する。

(7) 「注4」については、長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要があり、分割調剤を行った場合で、1処方せんの2回目以降の調剤を同一の保険薬局において2回目以降行った場合に算定する。

(8) 「注4」に係る分割調剤を行う場合は、処方せんの受付時に、当該処方せんを発行した医療機関等に対し照会を行うとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。

(9) 「注5」については、後発医薬品への変更が可能な処方せんを提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により分割調剤を行った場合で、同一の保険薬局において1処方せんの2回目の調剤を行った場合に限り算定する。この場合において、2回目の調剤を行う際には、先発医薬品から後発医薬品への変更による患者の体調の変化、副作用が疑われる症状の有無等を確認するとともに、患者の意向を踏まえ、後発医薬品又は変更前の先発医薬品の調剤を行うこととする。なお、その際に、所定の要件を満たせば、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料及び「区分番号11」の薬剤情報提供料を算定できる。

(10) 「注5」に係る分割調剤を行った場合は、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。また、2回目の調剤の際に、患者の意向により変更前の先発医薬品の調剤を行った場合も、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、先発医薬品に再変更した理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。

(11) 1処方せんについて、「注4」に係る分割調剤の2回目以降の調剤と「注5」に係る分割調剤の2回目の調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、いずれか一方の分割調剤に係る点数のみを算定する。

区分01 調剤料

(1) 内服薬

ア 内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。以下同じ。)の調剤料については、内服用滴剤とそれ以外の内服薬とは所定単位及び所定点数が異なる。(内服用滴剤は「区分番号01」の「注1」による。)

イ 内服薬(内服用滴剤以外のもの)についての調剤料及び薬剤料の算定はそれぞれ「1剤」及び「1剤1日分」を所定単位とし、内服用滴剤についての調剤料及び薬剤料は「1調剤」を所定単位として算定するが、この場合の「1剤」とは、調剤料の算定の上で適切なものとして認められる単位をいうものであり、次の点に留意する。

(イ) 1回の処方において、2種類以上の薬剤を調剤する場合には、それぞれの内服薬を個別の薬包等に調剤しても、服用時点が同一であるものについては、1剤として算定する。

(ロ) 服用時点が同一である薬剤については、投与日数にかかわらず1剤として算定する。

(ハ) (イ)及び(ロ)における「服用時点が同一である」とは、2種類以上の薬剤について服用日1日を通じて服用時点(例えば「朝食後、夕食後服用」、「1日3回食後服用」、「就寝前服用」、「6時間毎服用」等)が同一であることをいう。また、食事を目安とする服用時点については、食前、食後及び食間の3区分とすることとし、服用時点が「食直前」、「食前30分」等であっても、調剤料の算定にあっては、「食前」とみなし、1剤として扱う。

(ニ) (イ)及び(ロ)にかかわらず、次の場合は、それぞれを別剤として算定できる。

① 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合

② 内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合

③ 内服錠とチュアブル錠又は舌下錠等のように服用方法が異なる場合

ウ 内服薬の調剤料は、1回の処方せん受付について、4剤以上ある場合についても、3剤として算定する。ただし、この場合、内服用滴剤は剤数に含めないが、浸煎薬又は湯薬を同時に調剤した場合には、当該浸煎薬又は湯薬の調剤数を内服薬の剤数に含めることとする。

エ 同一薬局で同一処方せんを分割調剤した場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数により算定する。

オ 隔日投与等投与しない日がある処方に係る内服薬の調剤料は、実際の投与日数により算定する。

カ ドライシロップ剤を投与する場合において、調剤の際に溶解し、液剤(シロップ剤)にして患者に投与するときは内服用液剤として算定し、散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定する。また、ドライシロップ剤を水に溶かして同時服用の他の液剤と一緒に投与する場合は1剤として算定し、ドライシロップ剤を散剤として、同時服用の他の固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)と一緒に投与する場合も1剤として算定する。

なお、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成22年3月5日保医発0305第12号)に基づき、ドライシロップ剤の医薬品から類似する別剤形の後発医薬品に変更して調剤する場合又は類似する別剤形の医薬品からドライシロップ剤の後発医薬品に変更して調剤する場合は、同通知の第2の4を参照すること。

キ 嚥下困難者用製剤加算は、嚥下障害等があって、市販されている剤形では薬剤の服用が困難な患者に対し、医師の了解を得た上で錠剤を砕く等剤形を加工した後調剤を行うことを評価するものである。

ク 剤形の加工は、薬剤の性質、製剤の特徴等についての薬学的な知識に基づいて行わなければならないこと。

ケ 嚥下困難者用製剤加算は、処方せん受付1回につき1回算定できるものであること。

コ 剤形を加工したものを用いて他の薬剤と計量混合した場合の計量混合調剤加算は算定できないものであること。

サ 嚥下困難者用製剤加算を算定した場合においては、一包化加算及び自家製剤加算は算定できないものであること。

シ 薬剤師が剤形の加工の必要を認め、医師の了解を得た後剤形の加工を行った場合は、その旨調剤録等に記載すること。

ス 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。

セ 一包化は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものであること。

ソ 一包化加算は、処方せんの受付1回につき1回算定できるものであり、投与日数が56日分以下の場合には、一包化を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに30点を加算した点数を、投与日数が57日分以上の場合には、投与日数にかかわらず270点を所定点数に加算する。

タ 薬剤師が一包化の必要を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合は、その旨及び一包化の理由を調剤録等に記載すること。

チ 患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等も算定できるが、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。

ツ 同一薬局で同一処方せんに係る分割調剤をした上で、2回目以降の調剤について一包化を行った場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を所定点数に加算する。

テ 一包化加算を算定した場合においては、自家製剤加算(「区分番号01」の「注6」に規定する加算をいう。以下同じ。)及び計量混合加算(「区分番号01」の「注7」に規定する加算をいう。以下同じ。)は算定できないものであること。

ト 時間外加算、休日加算及び深夜加算の加算額を算定する場合の基礎額には、嚥下困難者用製剤加算及び一包化加算に係る加算分は含めないものであること。

ナ 内服用滴剤を調剤した場合の調剤料は、投薬日数にかかわらず、1調剤につき「注1」の所定点数を算定する。この場合の内服用滴剤とは、内服用の液剤であって、1回の使用量が極めて少量(1滴ないし数滴)であり、スポイト、滴瓶等により分割使用するものをいう。なお、当該薬剤の薬剤料は、1調剤分全量を1単位として薬剤料の項により算定するものであり、1剤1日分を所定単位とするものではない。

(2) 屯服薬

屯服薬の調剤料は、調剤した剤数、回数にかかわらず、1回の処方せん受付につき所定点数を算定する。

(3) 浸煎薬

ア 浸煎薬とは、生薬を薬局において浸煎し、液剤として製したものをいう。

イ 浸煎薬の調剤料は、日数にかかわらず、1調剤につき算定する。

ウ 浸煎薬の調剤料は、1回の処方せん受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。ただし、内服薬又は湯薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、湯薬については調剤数を浸煎薬の調剤数に含めることとする。

(4) 湯薬

ア 湯薬とは、薬局において2種以上の生薬(粗切、中切又は細切したもの)を混合調剤し、患者が服用するために煎じる量ごとに分包したものをいう。

イ 湯薬の調剤料は、1調剤につき投薬日数に応じて所定点数を算定する。

ウ 湯薬の調剤料は、1回の処方せん受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。ただし、内服薬又は浸煎薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、浸煎薬については調剤数を湯薬の調剤数に含めることとする。

(5) 注射薬

ア 注射薬の調剤料は、調剤した調剤数、日数にかかわらず、1回の処方せん受付につき所定点数を算定する。

イ 注射薬のうち支給できるものは、在宅医療における自己注射等のために投与される薬剤(インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤、活性化プロトロンビン複合体、乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体、自己連続携行式腹膜灌流用灌流液、在宅中心静脈栄養法用輸液、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブトルファノール製剤、ブプレノルフィン製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、ヒトソマトメジンC製剤、人工腎臓用透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水、プロスタグランジンI2製剤、塩酸モルヒネ製剤、エタネルセプト製剤、注射用水、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤、クエン酸フェンタニル製剤、複方オキシコドン製剤、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、リン酸デキサメタゾンナトリウム製剤、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム製剤、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断剤、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤、トラネキサム酸製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤、メトクロプラミド製剤、プロクロルペラジン製剤、臭化ブチルスコポラミン製剤、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤、アダリムマブ製剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン及びテリパラチド製剤)に限る。

なお、「塩酸モルヒネ製剤」、「クエン酸フェンタニル製剤」及び「複方オキシコドン製剤」は、薬液が取り出せない構造で、かつ患者等が注入速度を変えることができない注入ポンプ等に、必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。ただし、患者又はその家族等の意を受け、かつ、これらの麻薬である注射薬の処方医の指示を受けた看護師が、患家に当該注射薬を持参し、患者の施用を補助する場合又は保険薬局の保険薬剤師が、患家に麻薬である注射薬を持参し、当該注射薬の処方医の指示を受けた看護師に手渡す場合は、この限りでない。

ウ イの「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは、高カロリー輸液をいい、高カロリー輸液以外にビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

なお、上記イに掲げる薬剤のうち、処方医及び保険薬剤師の医学薬学的な判断に基づき適当と認められるものについて、在宅中心静脈栄養法用輸液に添加して投与することは差し支えない。

(7) 外用薬

ア 外用薬の調剤料は、投与日数にかかわらず、1調剤につき算定する。

イ 外用薬の調剤料は、1回の処方せん受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。

ウ トローチについては、外用薬として算定する。

(8) 注射薬の無菌製剤処理

ア 「注2」の「無菌製剤処理」とは、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネット等の無菌環境の中で、無菌化した器具を使用し、無菌的な製剤を行うことをいう。

イ 注射薬調剤料の無菌製剤処理加算は、2以上の注射薬を無菌的に混合して、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤を製剤した場合に算定し、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤を1日分製剤する毎にそれぞれ40点又は50点を加算する。

ウ 抗悪性腫瘍剤として無菌製剤処理加算の対象になる薬剤は、悪性腫瘍等に対して用いる細胞毒性を有する注射剤として独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)第4条第5項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(平成16年厚生労働省告示第185号)において指定されたものをいう。

エ 無菌製剤処理加算は、2以上の中心静脈栄養法用輸液若しくは2以上の抗悪性腫瘍剤を同一日の使用のために製剤した場合又は中心静脈栄養法用輸液及び抗悪性腫瘍剤を合わせて1つの注射剤として製剤した場合においても、1日につき1回に限り、それぞれ40点若しくは50点又は50点を算定するものとする。

オ 無菌製剤処理を伴わない調剤であって、患者が施用時に混合するものについては、無菌製剤処理加算は算定できない。

(9) 麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算

ア 「向精神薬」とは、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第6号の規定に基づく同法別表第3に掲げる向精神薬をいう。

イ 本加算は、麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬を調剤する場合において、処方中に麻薬が含まれているときに1調剤行為につき70点、それ以外のときに1調剤行為につき8点を加算するものであり、処方中の麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬の品目数、投薬日数に関係なく当該所定点数を算定する。

ウ 使用した薬剤の成分が麻薬、覚せい剤原料又は毒薬であっても、その倍散の製剤若しくは予製剤等で規制含有量以下のため麻薬、覚せい剤原料又は毒薬の取扱いを受けていない場合は、本加算は算定できない。

エ 重複した規制を受けている薬剤については、当該薬剤が麻薬である場合は1調剤につき70点を算定し、それ以外の場合は1調剤につき8点を算定する。

オ 本加算は、内服薬のほか、屯服薬、注射薬、外用薬についても算定できる。

(10) 調剤技術料の時間外加算等

ア 時間外加算は調剤基本料を含めた調剤技術料の100分の100、休日加算は100分の140、深夜加算は100分の200であり、これらの加算は重複して算定できない。

イ 時間外加算等を算定する場合の基礎額(調剤基本料+調剤料)には、基準調剤加算及び後発医薬品調剤体制加算並びに後発医薬品調剤加算は含まれ、麻薬・向精神薬・覚せい剤原料・毒薬加算、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は含まれない。

ウ 時間外加算

(イ) 各都道府県における保険薬局の開局時間の実態、患者の来局上の便宜等を考慮して、一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休業日とする保険薬局における当該休業日とする。

(ロ) (イ)により時間外とされる場合においても、当該保険薬局が常態として調剤応需の態勢をとり、開局時間内と同様な取扱いで調剤を行っているときは、時間外の取扱いとはしない。

(ハ) 時間外加算等を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側のわかりやすい場所に表示する。

(ニ) 「注4」のただし書に規定する時間外加算の特例の適用を受ける保険薬局とは、一般の保険薬局の開局時間以外の時間における救急医療の確保のため、国又は地方公共団体等の開設に係る専ら夜間における救急医療の確保のため設けられている保険薬局に限られる。

(ホ) 「注4」のただし書に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、当該地域において一般の保険薬局が概ね調剤応需の態勢を解除し、翌日調剤応需の態勢を再開するまでの時間であって、深夜時間を除いた時間をいう。

エ 休日加算

(イ) 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日、3日、12月29日、30日及び31日は休日として取り扱う。

(ロ) 休日加算は次の患者について算定できるものとする。なお、①以外の理由により常態として又は臨時に当該休日に開局している保険薬局の開局時間内に調剤を受けた患者については算定できない。

① 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による休日当番保険薬局等、客観的に休日における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者

② 当該休日を開局しないこととしている保険薬局で、又は当該休日に調剤を行っている保険薬局の開局時間以外の時間(深夜を除く。)に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者

オ 深夜加算

深夜加算は、次の患者について算定できるものとする。なお、(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該深夜時間帯を開局時間としている保険薬局において調剤を受けた患者については算定できない。

(イ) 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による深夜当番保険薬局等、客観的に深夜における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者

(ロ) 深夜時間帯(午後10時から午前6時までの間)を開局時間としていない保険薬局、及び当該保険薬局の開局時間が深夜時間帯にまで及んでいる場合にあっては、当該開局時間と深夜時間帯とが重複していない時間に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者

(11) 調剤料の夜間・休日等加算

ア 夜間・休日等加算は、午後7時(土曜日にあっては午後1時)から午前8時までの間(休日加算の対象となる休日を除く。)又は休日加算の対象となる休日であって、保険薬局が表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合に、処方せんの受付1回につき、調剤料の加算として算定する。ただし、時間外加算等の要件を満たす場合には、夜間・休日等加算ではなく、時間外加算等を算定する。

イ 夜間・休日等加算を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側のわかりやすい場所に表示するとともに、夜間・休日等加算の対象となる日及び受付時間帯を薬局内のわかりやすい場所に掲示する。また、平日又は土曜日に夜間・休日等加算を算定する患者については、処方せんの受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又は調剤録に記載する。

(12) 自家製剤加算

ア 「注6」の自家製剤加算は、イの(1)に掲げる場合以外の場合においては、投薬量、投薬日数等に関係なく、自家製剤による1調剤行為に対し算定し、イの(1)に掲げる錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の内服薬(特別の乳幼児用製剤を行った場合を除く。)を自家製剤の上調剤した場合においては、自家製剤を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。

イ 本加算に係る自家製剤とは、個々の患者に対し市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等必要と認められる添加剤の使用、ろ過、加温、滅菌等)を行った次のような場合であり、既製剤を単に小分けする場合は該当しない。

(イ) 錠剤を粉砕して散剤とすること。

(ロ) 主薬を溶解して点眼剤を無菌に製すること。

(ハ) 主薬に基剤を加えて坐剤とすること。

ウ 「注6」のただし書に規定する「別に厚生労働大臣が定める薬剤」とは、薬価基準に収載されている薬剤と同一剤形及び同一規格を有する薬剤をいう。

エ 薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品と異なる剤形の医薬品を自家製剤の上調剤した場合に、次の場合を除き自家製剤加算を算定できる。

(イ) 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合

(ロ) 液剤を調剤する場合であって、薬事法上の承認事項において用時溶解して使用することとされている医薬品を交付時に溶解した場合

オ 割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。

カ 自家製剤加算を算定した場合には、計量混合調剤加算は算定できない。

キ 「予製剤」とは、あらかじめ想定される調剤のために、複数回分を製剤し、処方せん受付時に当該製剤を投与することをいう。

ク 「注6」のイ及びロの「特別の乳幼児用製剤を行った場合」とは、6歳未満の乳幼児(以下、「乳幼児」という。)に薬剤を調剤するときに、乳幼児が安全に、又は容易に服用できるように特別な工夫を施して製剤した場合をいう。

ケ 通常、成人又は6歳以上の小児に対しても行うような製剤を乳幼児に対して自家製剤として行った場合は、「注6」の「イ」により算定する。なお、通常、成人又は6歳以上の小児に対して矯味剤等を加える必要がない薬剤を乳幼児に対して調剤する場合において、薬剤師が必要性を認めて、処方医の了解を得た後で、単に矯味剤等を加えて製剤した場合であっても、「注6」の「ロ」を算定できる。

コ 自家製剤を行った場合には、賦形剤の名称、分量等を含め製剤工程を調剤録等に記載すること。

サ 自家製剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。

(13) 計量混合調剤加算

ア 「注7」の計量混合調剤加算は、薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品(液剤、散剤若しくは顆粒剤又は軟・硬膏剤に限る。)を計量し、かつ、混合して、液剤、散剤若しくは顆粒剤として内服薬又は屯服薬を調剤した場合及び軟・硬膏剤等として外用薬を調剤した場合に、投薬量、投薬日数に関係なく、計量して混合するという1調剤行為に対し算定できる。なお、同注のただし書に規定する場合とは、次の場合をいう。

(イ) 液剤、散剤、顆粒剤、軟・硬膏剤について注6の自家製剤加算を算定した場合

(ロ) 薬価基準に収載されている薬剤と同一剤形及び同一規格を有する薬剤を調剤した場合

イ ドライシロップ剤を液剤と混合した場合は、計量混合調剤加算を算定するものとする。

ウ 「注7」のイの「特別の乳幼児用製剤を行った場合」とは、乳幼児に薬剤を調剤するときに、処方された医薬品が微量のため、そのままでは調剤又は服用が困難である場合において、医師の了解を得た上で賦形剤、矯味矯臭剤等を混合し、乳幼児が正確に、又は容易に服用できるようにした場合をいう。ただし、調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合はこの限りではない。

エ 計量混合調剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。

(14) 後発医薬品調剤加算

ア 「注8」の後発医薬品調剤加算は、一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合であって、保険薬局において患者の同意を得た上で後発医薬品を調剤した場合又は処方せんによる指示に基づき後発医薬品を調剤した場合(後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合で、患者の同意を得た上で、処方せんに記載された後発医薬品と異なる後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合を含む。)のいずれの場合においても算定できる。

イ 内服薬(内服用滴剤を除く。)については1剤につき、その他のものについては1調剤につき、2点を加算する。なお、1剤に複数の後発医薬品が含まれている場合についても2点を加算するものとする。

ウ 後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合で、処方せんに記載された先発医薬品を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)に変更して調剤した場合又は処方せんに記載された後発医薬品と異なる後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合であって、後発医薬品調剤加算を算定する場合には、調剤した薬剤の銘柄(含量規格が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を、類似する別剤形の後発医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む。)等について、当該処方せんを発行した保険医療機関に情報提供することとする。ただし、当該保険医療機関との間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない。

なお、処方せんに記載された医薬品を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)に変更して調剤する場合は、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成22年3月5日保医発0305第12号)を参照すること。

<薬学管理料>

薬学管理等は、患者等のプライバシーに十分配慮した上で実施しなければならないものとする。

なお、患者に対する服薬指導、服薬支援等を行う際に、日付、曜日、服用時点等の別に薬剤を整理することができる資材(以下「服薬カレンダー」という。)を提供する場合にあっては、患者から実費を徴収しても差し支えない。

区分10 薬剤服用歴管理指導料

(1) 薬剤服用歴管理指導料は、保険薬剤師が、患者に対して、次に掲げる指導等のすべてを行った場合に算定する。

ア 患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認した上で、次に掲げる事項その他の事項を情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと。

(イ) 当該薬剤の名称(一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんの場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、形状(色、剤形等)

(ロ) 用法、用量、効能、効果

(ハ) 副作用及び相互作用

(ニ) 服用及び保管取扱い上の注意事項

(ホ) 保険薬局の名称、情報提供を行った保険薬剤師の氏名

(ヘ) 保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

イ 患者又はその家族等と対話することにより、当該患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等の情報を収集し、その要点を薬剤服用歴の記録に記載するとともに、これに基づき、投与される薬剤の適正使用のために必要な服薬指導を行うこと。

(2) 薬剤服用歴管理指導料は、同一患者について第1回目の処方せん受付時から算定できる。

(3) 薬剤服用歴管理指導料を算定する場合は、薬剤服用歴の記録に、次の事項等を記載する。

ア 氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所・必要に応じて緊急時の連絡先等の患者についての記録

イ 処方した保険医療機関名及び保険医氏名・処方日・処方内容等の処方についての記録

ウ 調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録

エ 患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の患者についての情報の記録

オ 患者又はその家族等からの相談事項の要点

カ 服薬状況

キ 患者の服薬中の体調の変化

ク 併用薬等(一般用医薬品、医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報

ケ 合併症を含む既往歴に関する情報

コ 他科受診の有無

サ 副作用が疑われる症状の有無

シ 飲食物(現に患者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等

ス 後発医薬品の使用に関する患者の意向

セ 服薬指導の要点

ソ 指導した保険薬剤師の氏名

(4) (3)のエからスまでの事項については、処方せんの受付後、薬を取りそろえる前に、患者等に確認するよう努めること。

(5) 薬剤服用歴の記録は、同一患者についてのすべての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう保存・管理する。

(6) 薬剤に関する情報提供は、文書又はこれに準ずるものにより行うこととし、当該文書は、調剤を行ったすべての薬剤の情報が一覧できるようなものとする。ただし、調剤した薬剤をやむを得ず複数の薬袋に入れ交付する場合は、薬袋ごとに一覧できる文書とすることができる。

(7) 「これに準ずるもの」とは、視覚障害者に対する点字、カセットテープ又はボイスレコーダーへの録音その他のものをいう。

(8) 効能、効果、副作用及び相互作用に関する記載は、患者等が理解しやすい表現によるものとする。また、提供する情報の内容については正確を期すこととし、文書において薬剤の効能・効果等について誤解を招く表現を用いることや、調剤した薬剤と無関係の事項を記載しないこと。

(9) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。

(10) 服薬指導は、処方せんの受付の都度、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化(特に重大な副作用が発現するおそれがある医薬品については、当該副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況)を確認し、新たに収集した患者の情報を踏まえた上で行うものであり、その都度過去の薬歴を参照した上で、必要に応じて確認・指導内容を見直すこと。また、確認した内容及び行った指導の要点を、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、副作用に係る自覚症状の有無の確認に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とすること。

(11) 薬剤服用歴の記録は、最終の記入の日から起算して3年間保存する。

(12) 「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方せんによって調剤を行った場合に限り算定でき、それ以外の場合には算定できない。

(13) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、当該患者又はその家族等に対して、電話等により定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

イ 指導の要点は、薬剤服用歴の記録に記載すること。

(14) 重複投薬・相互作用防止加算

ア 重複投薬・相互作用防止加算は、薬剤服用歴の記録に基づき、併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)及び併用薬、飲食物等との相互作用を防止するために、処方医に対して連絡・確認を行った場合に算定する。処方医の同意を得て、処方の変更が行われた場合に「注3」のイを算定し、処方に変更が行われなかった場合は「注3」のロを算定する。

なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。

イ 薬剤の追加、投与期間の延長が行われた場合は、「注3」のイは算定できない。

ウ 重複投薬・相互作用防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。

エ 複数の保険医療機関又は複数の診療科で処方せんを交付された患者について、処方せんの受付時点が異なる場合であっても所定の要件を満たした場合は重複投薬・相互作用防止加算を算定できる。

オ 同時に複数の保険医療機関又は複数の診療科の処方せんを受け付け、複数の処方せんについて薬剤を変更した場合であっても、1回に限り「注3」のイを算定する。

カ 院内投薬と院外処方せんによる投薬に係る処方変更についても、重複投薬・相互作用防止加算は算定できる。

(15) 特定薬剤管理指導加算

ア 特定薬剤管理指導加算(「注4」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、処方せんの受付の際に、特に安全管理が必要な医薬品について、患者の服用状況、効果の発現状況、注意すべき副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況、注意すべき併用薬の有無等について確認するとともに、過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で、服用に際して注意すべき副作用やその対処方法、服用及び保管に係る取扱い上の注意事項等について詳細に説明し、必要な指導を行った場合に算定する。

なお、具体的な薬学的管理及び指導の内容については、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照すること。

イ 特に安全管理が必要な医薬品とは、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤(ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン、硫酸クロピドグレル及びシロスタゾール並びにこれらと同様の薬理作用を有する成分を含有する内服薬に限る。)、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬をいう。

ウ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、そのすべてについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。

エ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。

区分11 薬剤情報提供料

(1) 薬剤情報提供料は、1回の処方せん受付において調剤を行った薬剤について、その投薬を受ける患者等に対して、当該患者の求めに応じて、調剤日、当該薬剤の名称(一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんの場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、用法、用量及び相互作用その他服用に際して注意すべき事項を患者の手帳に経時的に記載した場合に、月4回(当該薬局において継続して調剤を受けている患者であって、処方内容に変更があった場合には、上記にかかわらず処方ごとに月4回)を限度として算定する。

(2) 薬剤情報提供料は、調剤を行ったすべての薬剤についての情報提供を行った場合に算定する。また、類似する効能・効果を有する薬剤への変更の場合は算定できるが、薬剤の処方日数のみの変更の場合は、処方内容の変更には該当せず、算定できない。

(3) 「服用に際して注意すべき事項」とは、重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項、あるいは投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)等をいい、投薬された薬剤や病態に応じて、服用患者ごとに異なるものである。

(4) 「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。

ア 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録

イ 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録

ウ 患者の主な既往歴等疾病に関する記録

(5) 手帳に初めて記載する保険薬局の場合には、保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を記載すること。

(6) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。

(7) 情報提供に当たっては、患者に対して、保険医療機関を受診する際には、医師又は歯科医師に手帳を提示するよう指導を行うこと。また、患者が、保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものを含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合には、次回の来局時にそれらを持参してもらうこととし、当該保険医療機関等で交付された薬剤の分も含め、当該患者の薬剤服用歴が同一の手帳で管理できるように、保険薬局において1冊にまとめること。

(8) 手帳を所有しているが処方せんの受付時に持参しなかった患者については、新たに手帳を交付して薬剤情報提供料を算定するのではなく、所有している手帳に貼付できるよう、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付するとともに、次回、当該シール等が貼付されていることを確認するよう努めること。なお、手帳を持参しなかった患者にシール等を交付した場合は、薬剤情報提供料は算定できない。

(9) 薬剤情報提供料を算定する場合は、その旨を薬剤服用歴等に記録する。

(10) 「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、算定できない。

区分13 長期投薬情報提供料

(1) 長期投薬情報提供料1

ア 長期投薬情報提供料1は、次に掲げる事項をすべて満たした場合に算定する。

(イ) 長期投薬に係る処方せんの受付時に、当該処方せん受付薬局が、当該処方せんに係る薬剤の服薬期間中にその使用に係る新たな重要な情報を知ったときは、患者又はその家族等に対して当該情報を提供することにつき、あらかじめ患者又はその家族等の同意を得ること。

(ロ) (イ)の情報を入手後、速やかに患者又はその家族等に対して実際に当該情報を提供し、注意を促すこと。

(ハ) 当該患者の次回の処方せんの受付時に、当該保険薬局の保険薬剤師が、提供した情報に関連した副作用の発現状況、注意事項の遵守状況等を確認し、必要な指導を行うこと。

イ アの(イ)の同意を得た場合には、その旨を当該患者の薬剤服用歴の記録に記載すること。

ウ 「重要な情報」とは、処方せん受付時に提供した薬剤情報以外の情報で新たに知り得た情報であって、当該患者の薬剤服用歴に基づき、服薬中の患者に重大な影響を与えると思われる事項のことであり、例えば、以下のような情報が挙げられる。

(イ) 医薬品緊急安全性情報

(ロ) 医薬品・医療機器等安全性情報

エ 情報提供に当たって、特に配慮が必要と考えられる薬剤については、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。

オ 患者の服薬期間中に新たに情報提供した事項については、薬剤服用歴等の記録に記載する。

カ 長期投薬情報提供料1は「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

(2) 長期投薬情報提供料2

ア 長期投薬情報提供料2は、次に掲げる事項をすべて満たした場合に算定する。

(イ) 当該長期投薬に係る処方せんにおける薬剤の服用期間中に、患者又はその家族等が保険薬局を訪れた際又は電話等により、当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合に、本情報提供料の算定について患者の同意を得た上で、薬剤師が患者の服薬状況等を確認すること。

(ロ) (イ)の際に患者又はその家族等に対して薬剤の適正な使用のための指導を行うこと。

(ハ) 当該患者の次回の処方せんの受付時(当初受付の処方せんと同一の疾病又は負傷に係るものに限る。)に当該保険薬局の薬剤師が再度服薬状況等の確認を行うこと。

イ 服薬期間中の「服薬状況等の確認」とは、患者の服薬状況や服薬期間中の体調変化等の確認を行うことをいう。

ウ 「当初受付の処方せんと同一の疾病又は負傷に係るもの」とは、当初受け付けた処方せんの処方と同様の処方又は処方された薬剤から一連の治療に基づくことが類推され、患者等から確認が得られたものをいう。

エ 長期投薬情報提供料2は、長期投薬に係る処方せんの初回受付時には算定できない。また、次回の処方せん受付日に薬剤服用歴管理指導料を算定した場合にあっては、同日に行った当該情報提供料に係る服薬状況等の確認及び必要な指導については、当該情報提供料は算定できない。ただし、同日前に行った確認及び指導については、算定できる。

オ 患者の服薬期間中及び処方せん受付時に確認した患者の服薬状況等及び指導事項については、薬剤服用歴等の記録に記載する。

カ 長期投薬情報提供料2は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

区分14 後発医薬品情報提供料

(1) 一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんを受け付けた場合において、次に掲げる事項その他の事項を、保険薬剤師が作成した文書(保険薬剤師が記載した手帳でも可とする。)又はこれに準ずるものにより交付し、患者の同意を得て、後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合にその種類数にかかわらず10点を算定する。

ア 一般名

イ 剤形

ウ 規格

エ 内服薬にあっては、製剤の特性(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤等)

オ 備蓄医薬品の一覧とその品質(溶出性等)に関する情報

カ 先発医薬品との薬剤料の差に係る情報

キ 保険薬局の名称並びに保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

(2) 後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)を調剤した場合には、調剤した薬剤の銘柄(含量規格が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を、類似する別剤形の後発医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む。)等について、当該処方せんを発行した保険医療機関に情報提供することとする。ただし、当該保険医療機関との間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない。

(3) 過去に処方せんに記載された先発医薬品を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)に変更して調剤し、後発医薬品情報提供料を算定した患者に対して、過去に提供した情報と同じ内容の情報を提供した場合は、算定できない。

(4) 後発医薬品情報提供料は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

区分14の2 外来服薬支援料

(1) 外来服薬支援料は、保険薬局の保険薬剤師が、自己による服薬管理が困難な外来の患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者又はその家族等が持参した服薬中の薬剤について、治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性を判断し、当該薬剤の処方医にその必要性につき了解を得た上で、一包化や服薬カレンダーの活用等により薬剤を整理し、日々の服薬管理が容易になるよう支援した場合に、服薬支援1回につき算定する。なお、服薬管理を容易にするような整理を行わずに単に服薬指導を行っただけでは算定できない。

(2) 外来服薬支援を行うに当たっては、患者が、当該保険薬局で調剤した薬剤以外に他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤を服用していないか確認し、極力これらの薬剤も含めて整理するよう努めること。また、実際にこれらの薬剤も含めて服薬支援を行う場合には、重複投薬、相互作用等の有無を確認し、処方医に必要な照会を行い、適切な措置を講じること。なお、患者に対する服薬中の薬剤の確認や処方医への照会等を行った上で、結果として、他の保険薬局で調剤された薬剤又は保険医療機関で院内投薬された薬剤のみについて服薬支援を行うこととなった場合(当該保険薬局で調剤を受けていない患者が持参した、他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤について服薬支援を行う場合を含む。)でも算定できる。

(3) 外来服薬支援は、処方せんによらず、調剤済みの薬剤について服薬管理の支援を目的として行うものであるため、薬剤の一包化を行った場合でも、調剤技術料は算定できない。

(4) 薬剤の一包化による服薬支援は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に行うものである点に留意する。

(5) 外来服薬支援料を算定する場合は、服薬支援に係る薬剤の処方医の了解を得た旨並びに当該薬剤の名称、服薬支援の内容及び理由を薬剤服用歴の記録に記載する。