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○医薬品又は体外診断用医薬品の総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置く場合の取扱い等について

(令和3年2月24日)

(薬生安発0224第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)

(公印省略)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号。以下「改正法」という。)については、令和元年12月4日に公布され、その後、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和2年政令第39号)が令和2年3月11日に公布され、改正法のうち、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第17条第1項及び第23条の2の14第1項に係る改正内容については、令和3年8月1日から施行することとされたところです。

また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和3年厚生労働省令第15号。以下「整備省令」という。)が令和3年1月29日に公布され、改正法と併せて、令和3年8月1日から施行することとされたところです。

これらの関係法令の改正により、これまで原則として薬剤師がその業務を担うとされていた医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下同じ。)又は体外診断用医薬品の総括製造販売責任者について、薬剤師を設置することが著しく困難である場合には、薬剤師以外の者を例外的に総括製造販売責任者とすることができるようになりました。

これらの改正の趣旨、内容等については下記のとおりですので、御了知の上、貴管下関係業者、関係団体、関係機関等に対し周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏なきよう、よろしく御配慮をお願いいたします。

第1 改正の趣旨

これまで、改正法第2条の規定による改正前の医薬品医療機器等法第17条第1項及び第23条の2の14第1項の規定に基づき、医薬品又は体外診断用医薬品の品質管理及び製造販売後安全管理を行わせるために、医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者はそれぞれ薬剤師を置かなければならないこととされていた(ただし、その品質管理及び製造販売後安全管理に関し薬剤師を必要としないものとして厚生労働省令で定める医薬品又は体外診断用医薬品についてのみその製造販売をする場合を除く。)。

こうした中、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」(平成30年12月25日)においては、医薬品医療機器等法の許可又は登録を受けて医薬品、体外診断用医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売、製造、販売等を行う者(以下「許可等業者」という。)による法令違反を防ぐため、許可等業者において法令を遵守して業務を行うことを確保する必要があるとして、許可等業者について、法令遵守、法令遵守のための体制整備等の必要な措置、必要な能力及び経験を有する責任者・管理者等の選任等の義務を明確化すべきとされた。あわせて、許可等業者が、必要な能力及び経験を有する技術責任者の選任義務を果たすことができるようにするため、総括製造販売責任者としての責務を果たすことが可能な職位を有する薬剤師が確保できない場合等に限り、薬剤師以外の者を選任できるような例外規定を設けることなどが求められた。

これらを踏まえ、改正法第2条の規定による改正後の医薬品医療機器等法第17条第1項第2号及び第23条の2の14第1項第2号において、医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者において、薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合等に、医薬品又は体外診断用医薬品の総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置くことできる旨を新たに規定し、整備省令による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「規則」という。)により、その具体的な要件を示すとともに、医薬品の製造販売業者が総括製造販売責任者を選任する際の基準を示したものである。

第2 改正の内容

1 医薬品又は体外診断用医薬品の総括製造販売責任者として薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合の取扱い(医薬品医療機器等法第17条第1項第2号及び第23条の2の14第1項第2号、規則第86条及び第114条の49の2関係)

医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者は、総括製造販売責任者として薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合、下記の「(1)薬剤師以外の技術者の要件」(規則第86条第1項第3号及び第114条の49の2第1項)を満たす者を、「(2)薬剤師以外の技術者を置くことができる期間」(規則第86条第2項及び第114条の49の2第2項)に限り、総括製造販売責任者として置くことができる。ただし、あくまで例外規定であり、医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者は、総括製造販売責任者の要件として、薬剤師であることが原則とされていることに留意すること。

なお、◆「薬剤師を置くことが著しく困難であると認められる場合」としては、例えば、予期しない退社等の事由により、総括製造販売責任者として必要な能力及び経験を有する薬剤師が不在となった場合が考えられる。◆

(1) 薬剤師以外の技術者の要件

以下のいずれかの要件を満たす者でなければならないこと。

① 大学等で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者

② 厚生労働大臣が①に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

(2) 薬剤師以外の技術者を置くことができる期間

薬剤師以外の技術者を置くことができる期間は、技術者を置いた日から起算して5年とする。

2 製造販売業者の遵守事項(規則第92条第4号及び第114条の54第6号関係)

医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者は、上記1により総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置く場合には、以下の措置を適切に実施すること。

(1) 薬剤師以外の技術者である総括製造販売責任者を補佐する薬剤師(以下「総括製造販売責任者補佐薬剤師」という。)を置くこと

(2) 1(2)の期間の経過後は、総括製造販売責任者として薬剤師を置くことができるよう、総括製造販売責任者として必要な能力及び経験を有する薬剤師を置くために必要な措置

なお、(2)の措置としては、例えば、総括製造販売責任者の候補者の一覧の作成、総括製造販売責任者の候補者の育成計画(キャリアパスの確立、総括製造販売責任者が参加する会議への同席、品質管理及び製造販売後安全管理に関する研修等)の作成及び実施が考えられる。

また、候補者である薬剤師がいない場合には、総括製造販売責任者として選任することが見込まれる薬剤師の採用計画等が考えられる。

3 薬剤師以外の技術者を置くための手続き

(1) 変更届出の提出(規則第99条及び第114条の69関係)

医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者が、総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置くこととした場合又はすでに置いている場合であって当該総括製造販売責任者又は総括製造販売責任者補佐薬剤師を変更した場合には、都道府県知事に対し、変更届出書(様式第六)を提出すること。この際、以下の点に留意すること。

1) 総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置くこととした場合又はすでに置いている場合であって当該総括製造販売責任者を変更する場合

総括製造販売責任者の変更の届出の際、

① 「変更後」欄に、総括製造販売責任者の氏名及び住所に加え、当該者が規則第86条第1項第3号イ若しくはロ又は第114条の49の2第1項第1号若しくは第2号のいずれに該当するかを記載すること。

② 「変更後」欄に、総括製造販売責任者補佐薬剤師の氏名、住所及び当該者が薬剤師である旨(薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日)を記載すること。

③ 添付書類として、以下の書類を併せて提出すること。この際、提出先とされている都道府県知事にすでに提出済みの書類から変更がない場合には、「備考」欄にその旨を記載することで差し支えない。

i) 総括製造販売責任者が、1(1)の要件に該当する者であることを証する書類

ii) 総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置く理由を記載した書類

iii) 総括製造販売責任者補佐薬剤師の雇用契約書の写しなど、使用関係を証する書類

iv) 総括製造販売責任者として、必要な能力及び経験を有する薬剤師を置くために必要な措置に関する計画を記載した書類

なお、ii)については、例えば、予期しない退社等の事由により、総括製造販売責任者として必要な能力及び経験を有する薬剤師がいなくなったこと等を記載すること。

また、iv)については、2(2)として実施する措置に関する計画を記載すること。

2) 総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者をすでに置いている場合であって総括製造販売責任者補佐薬剤師を変更した場合

総括製造販売責任者補佐薬剤師の変更の届出の際、

① 「変更後」欄に、総括製造販売責任者補佐薬剤師の氏名及び住所に加え、当該者が薬剤師である旨(薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日)を記載すること。

② 添付書類として、1)③iii)及びiv)の書類を併せて提出すること。この際、提出先とされている都道府県知事にすでに提出済みの書類から変更がない場合には、「備考」欄にその旨を記載することで差し支えない。

なお、総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置くことができる期間は、1(2)に記載のとおり、当技術者を置いた日から起算して5年とされているため、それまでの間に、総括製造販売責任者として必要な能力及び経験を有する薬剤師を選任し、総括製造販売責任者の氏名等に係る変更の届出を行うこと。

(2) 製造販売業の許可申請時の手続き(規則第19条及び第114条の2関係)

医薬品又は体外診断用医薬品の製造販売業者が、所在地の変更等により製造販売業許可の新規申請を行う際に、上記1により総括製造販売責任者として薬剤師以外の技術者を置く場合には、都道府県知事に対し許可申請書(規則様式第九)を提出する際、通常の手続きに加え、以下の点に留意すること。

1) 総括製造販売責任者の資格として、規則第86条第1項第3号イ若しくはロ又は第114条の49の2第1項第1号若しくは第2号のいずれに該当するかを記載すること。

2) 総括製造販売責任者補佐薬剤師の氏名、住所及び当該者が薬剤師である旨(薬剤師名簿の登録番号及び登録年月日)を総括製造販売責任者の氏名、住所及び資格に併せて記載すること。

3) 添付書類として、(1)1)③の書類を併せて提出すること。

4 医薬品の製造販売業者が総括製造販売責任者を選任する際の基準(医薬品医療機器等法第17条第1項及び規則第85条関係)

今般、医薬品医療機器等法第17条により、医薬品等の製造販売業者は、医薬品等総括製造販売責任者として、その業務を遂行等するために必要な能力及び経験を有する者を置かなければならないことが明確化された。一方、医薬品の製造販売業者については、その品質管理及び製造販売後安全管理の適切な実施のため、「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について」(平成29年6月26日付け薬生発0626第3号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知。以下「三役留意事項通知」という。)により、総括製造販売責任者の要件を示してきたところである。このため、医薬品の製造販売業者が総括製造販売責任者を選任する際には、製造販売業者が「必要な能力及び経験を有する者」として判断することに加え、以下の要件を満たす者を選任しなければならないことを規定したこと。なお、(2)については、製造販売業の許可申請及び変更届出の際に、従事証明書等のその要件を満たすことを証する書類を添付すること。また、(2)については、整備省令の施行(令和3年8月1日)の際現に置かれている医薬品等総括製造販売責任者には、整備省令の施行後3年間は適用しない旨の経過措置を設けているので留意すること。

(1) 医薬品の品質管理及び製造販売後安全管理に関する業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者

(2) 第1種医薬品製造販売業許可を受けた製造販売業者については、医薬品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務その他これに類する業務に3年以上従事した者

第3 その他

医薬品の製造販売業者において総括製造販売責任者を選任する際には、上記の他、三役留意事項通知も引き続きも参照すること。

また、医薬品医療機器等法においては、医薬品の製造販売業者のみならず、許可等業者に対し、薬事に関する法令を遵守するための体制を構築することに加え、許可等業者における業務を管理する責任者について、その業務の管理を行う上で必要な能力及び経験を有する者を選任すること等を義務付けた。医薬品等の製造販売業者及び製造業者がこれらを実施するに際しては、「「製造販売業者及び製造業者の法令遵守に関するガイドライン」について」(令和3年1月29日付け薬生発0129第5号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)を参照すること。

以上