添付一覧
7 3から5までの規定に従うことを条件として、締約国は、技術事務局が第二条5(b)の定義に該当すると確認した老朽化した化学兵器を第四条及び第四部(A)の規定に従って廃棄する。ただし、執行理事会は、締約国の要請に基づき、この条約の趣旨及び目的に危険をもたらさないと認める場合には、当該老朽化した化学兵器の廃棄の期限及び廃棄の規律に関する規定の適用を変更することができる。当該要請には、規定の適用の変更に関する具体的な提案及び変更を提案する理由についての詳細な説明を含める。
C 遺棄化学兵器のための制度
8 自国の領域内に遺棄化学兵器が存在する締約国(以下「領域締約国」という。)は、この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に、遺棄化学兵器に関するすべての入手可能な情報を技術事務局に提出する。この情報には、可能な範囲内で、遺棄化学兵器の所在地、種類、量及び現状並びに遺棄に関する情報を含める。
9 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後に遺棄化学兵器の存在を知った場合には、その後百八十日以内に、当該遺棄化学兵器に関するすべての入手可能な情報を技術事務局に提出する。この情報には、可能な範囲内で、遺棄化学兵器の所在地、種類、量及び現状並びに遺棄に関する情報を含める。
10 他の締約国の領域内に化学兵器を遺棄した締約国(以下「遺棄締約国」という。)は、この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に、遺棄化学兵器に関するすべての入手可能な情報を技術事務局に提出する。この情報には、可能な範囲内で、所在地、種類、量、遺棄に関する情報及び遺棄化学兵器の状態を含める。
11 技術事務局は、8から10までの規定に従って提出されるすべての利用可能な情報を検証し及び第四部(A)の41から43までの規定に基づく体系的な検証が必要であるか否かを決定するため、冒頭査察及び必要に応じてその後の査察を行う。技術事務局は、必要な場合には、遺棄化学兵器の出所を検証し、並びに遺棄に関する証拠及び遺棄国を特定する証拠を示す。
12 技術事務局の報告は、執行理事会、領域締約国及び遺棄締約国又は化学兵器を遺棄したことを領域締約国によって申告され若しくは技術事務局によって特定された締約国に提出される。直接関係する締約国のいずれかが当該報告に満足しない場合には、当該締約国は、この条約に従ってこの問題を解決する権利又は速やかに解決するためにこの問題を執行理事会に提起する権利を有する。
13 領域締約国は、第一条3の規定に基づき、8から12までの規定に従って遺棄締約国として特定された締約国に対し、当該領域締約国と協力して遺棄化学兵器を廃棄するために協議を行うよう要請する権利を有する。当該領域締約国は、その要請を直ちに技術事務局に通報する。
14 相互に合意する廃棄のための計画の作成を目的とする領域締約国と遺棄締約国との間の協議については、技術事務局が13に規定する要請について通報を受けた後三十日以内に開始する。相互に合意した廃棄のための計画については、技術事務局が13に規定する要請について通報を受けた後百八十日以内に、技術事務局に送付する。執行理事会は、遺棄締約国及び領域締約国の要請に基づき、相互に合意する廃棄のための計画の送付の期限を延期することができる。
15 遺棄締約国は、遺棄化学兵器の廃棄のため、すべての必要な資金、技術、専門家、施設その他の資源を提供する。領域締約国は、適切な協力を行う。
16 遺棄国を特定することができない場合又は遺棄国が締約国でない場合には、領域締約国は、遺棄化学兵器の廃棄を確保するため、当該遺棄化学兵器の廃棄について援助を提供するよう機関及び他の締約国に要請することができる。
17 8から16までの規定に従うことを条件として、第四条及び第四部(A)の規定は、遺棄化学兵器の廃棄についても適用する。遺棄化学兵器が第二条5(b)の老朽化した化学兵器の定義に該当する場合において、執行理事会がこの条約の趣旨及び目的に危険をもたらさないと認めるときは、執行理事会は、領域締約国の単独の要請又は遺棄締約国との共同の要請に基づき、廃棄に関する規定の適用を変更し又は例外的な状況において停止することができる。遺棄化学兵器が同条5(b)の老朽化した化学兵器の定義に該当しない場合において、執行理事会がこの条約の趣旨及び目的に危険をもたらさないと認めるときは、執行理事会は、領域締約国の単独の要請又は遺棄締約国との共同の要請に基づき、例外的な状況において廃棄の期限及び廃棄の規律に関する規定の適用を変更することができる。この17に規定する要請には、規定の適用の変更に関する具体的な提案及び変更を提案する理由についての詳細な説明を含める。
18 締約国は、締約国間で遺棄化学兵器の廃棄に関する協定又は取決めを締結することができる。執行理事会は、当該協定又は取決めが17に規定する遺棄化学兵器の廃棄を確保するものであると認める場合には、領域締約国の単独の要請又は遺棄締約国との共同の要請に基づき、当該協定又は取決めの特定の規定がこのCの規定に優先することを決定することができる。
第五部 第五条の規定に基づく化学兵器生産施設の廃棄及びその検証
A 申告
化学兵器生産施設の申告
1 第三条1(c)(ii)の規定に従って締約国が行う化学兵器生産施設の申告には、各化学兵器生産施設についての次の事項を含める。
(a) 当該施設の名称、その所有者の名称及び千九百四十六年一月一日以降当該施設を運営した又は運営している会社又は企業の名称
(b) 当該施設の正確な所在地(住所、複合体の所在地及び複合体内の当該施設の位置(建物及び工作物の特定の番号がある場合には、これを含む。)を含む。)
(c) 化学兵器として定義される化学物質の製造のための施設であるか否か若しくは化学兵器の充填のための施設であるか否か又はその双方であるか否かについての説明
(d) 当該施設の建設が完了した日及び当該施設の生産過程の性質を著しく変更するような変更(新たな設備又は改善された設備の設置を含む。)が行われた時期
(e) 当該施設において製造した化学物質であって化学兵器として定義されるものに関する情報、当該施設において充填した弾薬類、装置及び容器に関する情報並びにこのような製造又は充填の開始及び終了の日に関する情報
(i) 当該施設において製造した化学物質であって化学兵器として定義されるものについては、これらの情報は、製造された化学物質の具体的な種類(国際純正・応用化学連合の最新の命名法に基づく化学名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号を表示する。)及び各化学物質の量(トンの単位によって表示する重量)によって明示する。
(ii) 当該施設において充填した弾薬類、装置及び容器については、これらの情報は、充填した化学兵器の具体的な種類及び一つ当たりの充填化学物質の重量によって明示する。
(f) 当該施設の生産能力
(i) 化学兵器を製造した施設については、生産能力は、当該施設において実際に使用された技術的工程又は技術的工程が実際に使用されていない場合には使用が予定されていた技術的工程に基づいて特定の化学物質を一年間に製造し得る量によって明示する。
(ii) 化学兵器を充填した施設については、生産能力は、当該施設が化学兵器の具体的な種類ごとに一年間に充填し得る化学物質の量によって明示する。
(g) 廃棄されていない化学兵器生産施設については、次の事項を含む当該施設の説明
(i) 当該施設の図面
(ii) 当該施設の工程の流れの図面
(iii) 当該施設における建物、当該施設における特別な設備及びその予備の部品についての目録
(h) 次の事項を含む当該施設の現状
(i) 化学兵器が当該施設において最後に生産された日
(ii) 当該施設が廃棄されたか否か(廃棄の日及び廃棄の方法を含む。)。
(iii) この条約が効力を生ずる前に、当該施設が化学兵器の生産に関係しない活動のために使用されたか否か又は当該施設に当該活動のための変更が行われたか否か。使用され又は変更が行われた場合には、当該変更の内容、化学兵器の生産に関係しない活動が開始された日及び当該活動の性質に関する情報(可能な場合には、生成物の種類を示す。)
(i) 当該施設の閉鎖のために締約国がとった措置の詳細及び当該施設の活動を終了させるために締約国がとった又はとる措置の説明
(j) 活動を終了した当該施設における安全及び警備のための通常の活動の説明
(k) 化学兵器の廃棄のために当該施設が転換されるか否かについての説明及び転換される場合にはその転換の日
第三条1(c)(iii)の規定に基づく化学兵器生産施設の申告
2 第三条1(c)(iii)の規定に基づく化学兵器生産施設の申告には、1に規定するすべての情報を含める。自国の領域内に当該施設が存在し又は存在していた締約国は、申告が行われることを確保するために他の国と適当な措置をとる責任を有する。自国の領域内に当該施設が存在し又は存在していた締約国は、この2の規定に基づく義務を履行することができない場合には、その理由を表明する。
過去における移譲及び受領の申告
3 千九百四十六年一月一日以降に化学兵器の生産のための設備を移譲し又は受領した締約国は、第三条1(c)(iv)及び5の規定に従ってその移譲及び受領について申告する。締約国は、同日から千九百七十年一月一日までの間における当該設備の移譲及び受領について求められる情報が必ずしもすべて入手可能でない場合には、入手可能なすべての情報を申告し、及び完全な申告を行うことができない理由についての説明を行う。
4 3に規定する化学兵器の生産のための設備とは、次のものをいう。
(a) 特別な設備
(b) 化学兵器の使用に直接関連して使用するように特別に設計された装置の生産のための設備
(c) 化学兵器である弾薬類の化学物質以外の部分を生産するためにのみ設計され又は使用された設備
5 化学兵器の生産のための設備の移譲及び受領に関する申告は、次の事項を明示する。
(a) 当該設備を受領し又は移譲した者
(b) 当該設備の特定
(c) 移譲又は受領の日
(d) 判明している場合には当該設備が廃棄されたか否か。
(e) 判明している場合には現在の所在地
廃棄のための全般的な計画の提出
6 締約国は、各化学兵器生産施設について次の事項に関する情報を提供する。
(a) とられる措置に関する予定される時間的な枠組み
(b) 廃棄の方法
7 締約国は、自国が一時的に化学兵器の廃棄施設に転換することを意図する各化学兵器生産施設について次の事項に関する情報を提供する。
(a) 廃棄施設への転換に関する予定される時間的な枠組み
(b) 化学兵器生産施設を化学兵器の廃棄施設として使用することに関する予定される時間的な枠組み
(c) 新たな施設の説明
(d) 特別な設備の廃棄の方法
(e) 転換された化学兵器生産施設を化学兵器の廃棄のために使用した後に廃棄するための時間的な枠組み
(f) 転換された化学兵器生産施設の廃棄の方法
廃棄のための年次計画及び廃棄に関する年次報告の提出
8 締約国は、各廃棄年の開始の少なくとも九十日前までに廃棄のための年次計画を提出する。当該年次計画は、次の事項を明示する。
(a) 廃棄される生産能力
(b) 廃棄が行われる施設の名称及び所在地
(c) 各施設において廃棄される建物及び設備の一覧表
(d) 計画されている廃棄の方法
9 締約国は、各廃棄年の終了の後九十日以内に廃棄に関する年次報告を提出する。当該年次報告は、次の事項を明示する。
(a) 廃棄された生産能力
(b) 廃棄が行われた施設の名称及び所在地
(c) 各施設において廃棄された建物及び設備の一覧表
(d) 廃棄の方法
10 第三条1(c)(iii)の規定に従って申告される化学兵器生産施設が自国の領域内に存在し又は存在していた締約国は、当該施設について6から9までに規定する申告が行われることを確保するために適当な措置をとる責任を有する。自国の領域内に当該施設が存在し又は存在していた締約国は、この10の規定に基づく義務を履行することができない場合には、その理由を表明する。
B 廃棄
化学兵器生産施設の廃棄に関する一般原則
11 締約国は、第五条及びこの部に規定する原則に従い、化学兵器生産施設の廃棄について適用する方法を決定する。
化学兵器生産施設の閉鎖に関する原則及び方法
12 化学兵器生産施設の閉鎖は、当該施設の活動を終了させることを目的とする。
13 締約国は、化学兵器生産施設の具体的な性質に十分な考慮を払い、閉鎖のための合意される措置をとる。当該措置には、特に次の事項を含める。
(a) 合意される活動を除くほか、当該施設の特別な建物及び標準的な建物の使用の禁止
(b) 化学兵器の生産に直接関係する設備(特に、工程制御設備及び光熱・用水設備を含む。)の分離
(c) 当該施設の操業上の安全のためにのみ使用する防護機器及び設備の使用の停止
(d) 化学兵器として定義される化学物質の合成、分離若しくは精製のための工程用の特別な設備、貯蔵槽若しくは化学兵器の充填のための機器への化学物質の注入又はこれらの設備、貯蔵槽若しくは機器からの化学物質の除去を防止し及びこれらの設備、貯蔵槽又は機器に対する加熱、冷却又は電気その他のエネルギーの供給を防止するための閉そく板その他の装置の設置
(e) 合意される活動のために必要なものを除くほか、当該施設への重量物の輸送のための鉄道、道路その他の輸送路の遮断
14 化学兵器生産施設が閉鎖されている間、締約国は、当該施設において安全及び警備に関する活動を継続することができる。
化学兵器生産施設の廃棄の前に行われる当該施設の技術的な保守
15 締約国は、安全上の理由のためにのみ化学兵器生産施設における標準的な保守活動(目視による検査、予防的な保守及び日常の修理を含む。)を行うことができる。
16 計画されているすべての保守活動は、廃棄のための全般的及び詳細な計画において明示する。保守活動には、次の事項を含めない。
(a) 工程用の設備の取替え
(b) 化学工程に関する設備の性質の変更
(c) すべての種類の化学物質の生産
17 すべての保守活動は、技術事務局による監視の対象とする。
化学兵器生産施設の化学兵器の廃棄施設への一時的な転換に関する原則及び方法
18 化学兵器生産施設の化学兵器の廃棄施設への一時的な転換に関する措置については、化学兵器の廃棄施設に一時的に転換される施設のための制度が転換されていない化学兵器生産施設のための制度と同様に厳重であることを確保するものとする。
19 この条約が効力を生ずる前に化学兵器の廃棄施設に転換された化学兵器生産施設については、化学兵器生産施設として申告する。
当該廃棄施設は、査察員による冒頭訪問の対象とするものとし、査察員は、当該廃棄施設についての情報が正確であることを確認する。また、当該廃棄施設への転換が化学兵器生産施設として操業することができないように行われたことを検証することが必要であり、その検証については、この条約が効力を生じた後九十日以内に操業できないようにすることとされている施設について規定する措置の枠内で行う。
20 化学兵器生産施設の転換を行うことを意図する締約国は、この条約が自国について効力を生じた後又は一時的な転換のための決定を行った後三十日以内に、技術事務局に対し当該施設の転換のための全般的な計画を提出し、その後は年次計画を提出する。
21 この条約が自国について効力を生じた後に閉鎖した化学兵器生産施設を追加的に化学兵器の廃棄施設に転換する必要がある場合には、締約国は、その転換の少なくとも百五十日前までに技術事務局にその旨を通報する。技術事務局は、当該締約国と協力して当該廃棄施設がその転換の後に化学兵器生産施設として操業することができないようにするために必要な措置がとられることを確保する。
22 化学兵器の廃棄のために転換される施設は、閉鎖中で保守が行われている化学兵器生産施設よりも化学兵器の生産の再開に適したものであってはならない。当該転換される施設の生産の再開に必要な時間は、閉鎖中で保守が行われている化学兵器生産施設の活動を再開するのに必要な時間以上のものとなるようにしなければならない。
23 転換される化学兵器生産施設については、この条約が効力を生じた後十年以内に廃棄する。
24 化学兵器生産施設を転換するための措置は、当該施設にとって特有のものであり、当該施設の独自の性質に依存するものとする。
25 化学兵器生産施設を化学兵器の廃棄施設に転換するためにとる一連の措置は、この条約が締約国について効力を生じた後九十日以内に他の化学兵器生産施設が操業することができないようにするための一連の措置を下回るものであってはならない。
化学兵器生産施設の廃棄に関する原則及び方法
26 締約国は、化学兵器生産施設の定義に規定する設備及び建物を次のとおり廃棄する。
(a) すべての特別な設備及び標準的な設備は、物理的に廃棄する。
(b) すべての特別な建物及び標準的な建物は、物理的に廃棄する。
27 締約国は、充填されていない化学兵器である弾薬類及び化学兵器を使用するための装置を生産する施設を次のとおり廃棄する。
(a) 化学兵器である弾薬類の化学物質以外の部分又は化学兵器の使用に直接関連して使用するように特別に設計された装置を生産するためにのみ使用される施設を申告し及び廃棄する。廃棄の過程及びその検証については、化学兵器生産施設の廃棄を規律する第五条及びこの部の規定に従って行う。
(b) 化学兵器である弾薬類の化学物質以外の部分を生産するためにのみ設計され又は使用されるすべての設備については、物理的に廃棄する。特別に設計された鋳型及び金属加工金型を含む当該設備については、廃棄のための特別な場所に運ぶことができる。
(c) 当該弾薬類及び装置の生産のために使用されるすべての建物及び標準的な設備については、廃棄し、又はこの条約によって禁止されていない目的のために転換するものとし、その廃棄又は転換については、必要な場合には、第九条の規定に基づく協議及び査察によって確認する。
(d) この条約によって禁止されていない目的のための活動は、廃棄又は転換が行われる間継続することができる。
廃棄の規律
28 化学兵器生産施設の廃棄の規律は、第一条及び他の条に定める義務(体系的な現地検証に関する義務を含む。)を基礎とするものである。廃棄の規律は、廃棄のための期間中に安全保障が損なわれないことについての締約国の利害、廃棄の初期の段階における信頼の醸成及び化学兵器生産施設を廃棄する過程において漸進的に得られる経験を考慮し、並びに化学兵器生産施設の実際の性質及びその廃棄のために選択される方法のいかんにかかわらず当該廃棄の規律を適用することを考慮したものである。廃棄の規律は、平準化の原則を基礎とするものである。
29 締約国は、化学兵器生産施設の各廃棄期間につき、いずれの化学兵器生産施設を廃棄するかを決定し、並びに各廃棄期間の満了の時に化学兵器生産施設が30及び31に規定するものよりも多く残存しないように廃棄を行う。締約国は、当該施設をより速やかに廃棄することを妨げられるものではない。
30 表1の化学物質を生産する化学兵器生産施設については、次の規定を適用する。
(a) 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後一年以内に当該施設の廃棄を開始し、この条約が効力を生じた後十年以内に廃棄を完了する。この条約が効力を生じた時に締約国である国については、全体の期間を三の廃棄期間、すなわち、二年目から五年目まで、六年目から八年目まで及び九年目から十年目までに分割する。この条約が効力を生じた後に締約国となる国については、廃棄期間は、28及び29の規定を考慮して、調整される。
(b) 当該施設については、生産能力を比較の基礎とする。生産能力については、二成分型化学兵器のために定める規則を考慮して、トンの単位によって表示する化学物質の重量により明示する。
(c) この条約が効力を生じた後の八番目の年の終了の時の生産能力について合意される適当な水準を定める。当該水準を超える生産能力については、最初の二の廃棄期間中均等の割合で廃棄する。
(d) 定められる量の生産能力を廃棄する義務については、当該施設に供給した他のすべての化学兵器生産施設又は当該施設で生産された表1の化学物質を弾薬類若しくは装置に充填した他のすべての化学兵器生産施設にも同様に課する。
(e) 化学兵器の廃棄のために一時的に転換された化学兵器生産施設については、引き続き、この30の規定に従って生産能力を廃棄する義務を負う。
31 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後一年以内に、30の規定の対象となっていない化学兵器生産施設の廃棄を開始し、この条約が効力を生じた後五年以内に廃棄を完了する。
廃棄のための詳細な計画
32 締約国は、化学兵器生産施設の廃棄の開始の少なくとも百八十日前までに、当該施設の廃棄のための詳細な計画を技術事務局に提出する。当該計画には、特に次の事項に関する33(f)に規定する廃棄の検証のための措置についての提案を含める。
(a) 廃棄する施設において査察員自身が検証を行う時期
(b) 申告した目録に記載された各物件について実施する措置の検証のための手続
33 化学兵器生産施設の廃棄のための詳細な計画には、次の事項を含める。
(a) 廃棄の過程の詳細な日程
(b) 当該施設の配置図
(c) 工程の流れの図面
(d) 廃棄する設備、建物その他の物件の詳細な目録
(e) 目録に記載された各物件について実施する措置
(f) 検証のために提案する措置
(g) 当該施設の廃棄が行われている間に遵守されるべき警備上及び安全上の措置
(h) 査察員に提供する作業及び居住の条件
34 締約国は、化学兵器生産施設を一時的に化学兵器の廃棄施設に転換することを意図する場合には、転換のための活動を行う少なくとも百五十日前までに、技術事務局に通報するものとし、その通報には、次の事項を含める。
(a) 化学兵器生産施設の名称、住所及び位置
(b) 化学兵器の廃棄に関係するすべての工作物及び場所を示す施設の図面並びに化学兵器生産施設において一時的に転換するすべての工作物の特定
(c) 廃棄する化学兵器の種類並びに充填化学物質の種類及び量
(d) 廃棄の方法
(e) 生産工程及び特別な設備のいずれの部分を化学兵器の廃棄のために転換するかを示す工程の流れの図面
(f) 適当な場合には、転換によって影響を受ける可能性がある封印及び査察のための装置
(g) 設計、化学兵器生産施設の一時的な転換、設備の設置及び点検、廃棄作業並びに閉鎖に割り当てる時間を明らかにする日程
35 化学兵器の廃棄のために一時的に転換した施設の廃棄については、32及び33の規定に従って情報を提供する。
詳細な計画の検討
36 技術事務局は、締約国が提出する廃棄のための詳細な計画及び検証のために提案する措置並びに従前の査察の経験に基づき、当該締約国と密接に協議の上、化学兵器生産施設の廃棄の検証のための計画を作成する。適当な措置に関する技術事務局と当該締約国との間の意見の相違は、協議によって解決されるべきである。解決されない問題は、この条約の完全な実施を促進することを目的として、適切な措置のために執行理事会に送付される。
37 第五条及びこの部の規定の実施を確保するため、廃棄及び検証のための統合された計画が執行理事会と締約国との間で合意される。当該計画は、廃棄の開始の予定の少なくとも六十日前までに合意されるべきである。
38 執行理事会の理事国は、廃棄及び検証のための統合された計画の妥当性に関する問題について技術事務局と協議することができる。執行理事会のいずれの理事国も異議を申し立てない場合には、当該計画は、実施に移される。
39 問題がある場合には、執行理事会は、当該問題について調整するために締約国と協議を開始する。問題が解決されない場合には、当該問題は、会議に提起される。廃棄の方法に関する意見の相違の解決は、廃棄のための計画の受入れ可能な他の部分の実施を遅滞させてはならない。
40 執行理事会との間で検証について合意されない場合又は承認された検証のための計画を実施することができない場合には、廃棄の検証については、現地に設置する機器による継続的な監視を通じて及び査察員自身によって行う。
41 廃棄及び検証については、合意された計画に従って行う。検証は、廃棄の過程を不当に妨げないものとし、現地において査察員自身によって行われる。
42 必要な検証又は廃棄の活動が計画どおりに行われない場合には、すべての締約国は、その旨の通報を受ける。
C 検証
化学兵器生産施設の申告の現地査察による検証
43 技術事務局は、この条約が各締約国について効力を生じた後九十日から百二十日までの間に、化学兵器生産施設の冒頭査察を行う。
44 冒頭査察は、次のことを目的とする。
(a) この条約に従い化学兵器の生産が停止し及び化学兵器生産施設の活動が終了したことを確認すること。
(b) 化学兵器生産施設において化学兵器の生産の停止のためにとられた措置について技術事務局が精通することができるようにすること。
(c) 査察員が一時的な封印を施すことができるようにすること。
(d) 査察員が建物及び特別な設備の目録を確認することができるようにすること。
(e) 化学兵器生産施設における査察の活動(手が触れられていないことを示す封印その他の合意される装置であって、当該施設に関する詳細な施設協定に従って設置するものを使用することを含む。)を計画するために必要な情報を取得すること。
(f) 化学兵器生産施設における査察手続に関する詳細な協定について予備的な討議を行うこと。
45 査察員は、適当な場合には、各化学兵器生産施設において申告された物件の目録を正確に確認することを容易にするため、定められた封印、標識その他の目録の管理手続を使用する。
46 査察員は、化学兵器の生産が再開され又は申告された物件が移動された場合にこれを表示するために必要な装置であって合意されたものを設置する。査察員は、被査察締約国による閉鎖のための活動を妨げないよう必要な注意を払う。査察員は、当該装置を保守し及び当該装置が保全されていることを検証するために訪問することができる。
47 事務局長は、冒頭査察に基づき、この条約に従って化学兵器生産施設の活動を終了させるための追加の措置が必要であると認める場合には、この条約が被査察締約国について効力を生じた後百八十日以内に当該措置を実施するよう、この条約が当該被査察締約国について効力を生じた後百三十五日以内に当該被査察締約国に要請することができる。当該被査察締約国は、その裁量により、当該要請を満たすことができる。当該被査察締約国が当該要請を満たさない場合には、当該被査察締約国及び事務局長は、問題を解決するため協議する。
化学兵器生産施設及びその活動の終了の体系的な検証
48 化学兵器生産施設の体系的な検証は、化学兵器の生産の再開又は申告された物件の移動を当該施設において探知することを目的とする。
49 化学兵器生産施設に関する詳細な施設協定は、次の事項を明示する。
(a) 詳細な現地査察手続(次の事項を含めることができる。)
(i) 目視による検査
(ii) 封印その他の合意される装置の点検及び保守
(iii) 試料の採取及び分析
(b) 探知されることなく当該施設の活動が再開されることを防止するための封印(手が触れられていないことを示すもの)その他の合意される装置を使用する手続であって、次の事項を明示するもの
(i) 当該封印その他の合意される装置の種類、配置及び設置のための措置
(ii) 当該封印その他の合意される装置の保守
(c) その他合意される措置
50 化学兵器生産施設の査察のための措置に関する詳細な協定において規定する封印その他の承認された装置は、この条約が締約国について効力を生じた後二百四十日以内に設置する。査察員は、当該封印その他の承認された装置を設置するため、当該施設を訪問することができる。
51 技術事務局は、各化学兵器生産施設について一暦年に四回を限度として査察を行うことができる。
52 事務局長は、体系的な査察又は訪問のための査察団の化学兵器生産施設への到着予定時刻の四十八時間前に、当該施設の査察又は訪問を行う旨の決定を被査察締約国に通告する。緊急の問題を解決するために査察又は訪問が行われる場合には、この期間を短縮することができる。事務局長は、査察又は訪問の目的を明示する。
53 査察員は、施設協定に基づき、阻害されることなく化学兵器生産施設のすべての部分へのアクセスが認められる権利を有する。査察を行う物件は、申告された目録に記載された物件から査察員が選定する。
54 体系的な現地査察の頻度を決定するための指針については、第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。査察が行われる具体的な化学兵器生産施設については、査察が行われる正確な時期が予知されることのないように技術事務局が選定する。
化学兵器生産施設の廃棄の検証
55 化学兵器生産施設の廃棄の体系的な検証は、当該施設がこの条約に基づく義務に従って廃棄されること及び申告された目録に記載された物件が合意された廃棄のための詳細な計画に従って廃棄されることを確認することを目的とする。
56 申告された目録に記載されたすべての物件が廃棄された時に、技術事務局は、その旨の締約国の申告を確認する。技術事務局は、その確認の後、化学兵器生産施設の体系的な検証を終了するものとし、査察員が設置したすべての装置及び監視のための機器を速やかに撤去する。
57 56の確認が行われた後、締約国は、化学兵器生産施設が廃棄されたことを申告する。
化学兵器生産施設の化学兵器の廃棄施設への一時的な転換の検証
58 化学兵器生産施設を一時的に転換する意図についての最初の通報の受領の後九十日以内に、査察員は、提案された一時的な転換について精通し及び転換が行われている間必要となる査察のための措置を研究するため、当該施設を訪問する権利を有する。
59 技術事務局及び被査察締約国は、58の訪問の後六十日以内に、一時的な転換のための期間における新たな査察のための措置を定める経過協定を締結する。当該経過協定は、転換の過程において化学兵器のいかなる生産も行われていないことを確認できるような査察手続(封印及び監視のための機器の使用並びに査察の実施を含む。)を明示する。当該経過協定は、一時的な転換のための活動の開始から化学兵器生産施設が化学兵器の廃棄施設として操業を開始するまでの間効力を有する。
60 被査察締約国は、経過協定が締結されるまでの間、化学兵器生産施設のいかなる部分も移動し若しくは転換してはならず、又は封印その他の合意された査察の装置がこの条約に従って設置されていた場合には当該封印その他の合意された査察の装置を移動し若しくは変更してはならない。
61 化学兵器生産施設が化学兵器の廃棄施設として操業を開始した後は、当該廃棄施設は、化学兵器の廃棄施設について適用される第四部(A)の規定に従う。操業を開始する前の期間における措置については、経過協定によって規律する。
62 査察員は、廃棄作業が行われている間、一時的に転換された化学兵器生産施設のすべての部分(化学兵器の廃棄に直接関係しない部分を含む。)へのアクセスを認められる。
63 化学兵器の廃棄のために化学兵器生産施設を一時的に転換する作業が当該施設において開始される前及び当該施設が化学兵器の廃棄施設としての機能を停止した後は、当該施設は、化学兵器生産施設について適用されるこの部の規定に従う。
D この条約によって禁止されていない目的のための化学兵器生産施設の転換
転換を要請する手続
64 この条約によって禁止されていない目的のために化学兵器生産施設を使用するための要請については、締約国が当該目的のためにこの条約が当該締約国について効力を生ずる前に既に使用している施設又は当該目的のために使用することを計画している施設について行うことができる。
65 この条約が締約国について効力を生ずる時にこの条約によって禁止されていない目的のために使用されている化学兵器生産施設については、64の要請は、この条約が当該締約国について効力を生じた後三十日以内に事務局長に提出される。当該要請には、1(h)(iii)の規定に従って提出する資料のほか、次の事項に関する情報を含める。
(a) 当該要請が必要とされる詳細な理由
(b) 次の事項を明示する当該施設の転換のための全般的な計画
(i) 当該施設において行われる活動の性質
(ii) 計画されている活動が化学物質の生産、加工又は消費に関係する場合には、化学物質の名称、当該施設の工程の流れの図面及び計画されている年間の生産量、加工量又は消費量
(iii) 使用が予定されている建物又は工作物及び変更が予定されている場合には当該変更の内容
(iv) 廃棄された建物若しくは工作物又は廃棄が予定されている建物若しくは工作物及び廃棄が予定されている場合には当該廃棄のための計画
(v) 当該施設において使用される設備
(vi) 移動され若しくは廃棄された設備又は移動若しくは廃棄が予定されている設備及び廃棄が予定されている場合には当該廃棄のための計画
(vii) 適当な場合には転換のために予定されている日程
(viii) 当該施設が存在する地域において操業している他の施設の活動の性質
(c) (b)に規定する措置及び締約国が予定しているその他の措置が当該施設において化学兵器の生産能力が維持されないことをどのように確保するかについての詳細な説明
66 この条約が締約国について効力を生ずる時にこの条約によって禁止されていない目的のために使用されていない化学兵器生産施設については、64の要請は、転換の決定の後三十日以内に、いかなる場合にもこの条約が当該締約国について効力を生じた後四年以内に、事務局長に提出される。当該要請には、次の事項に関する情報を含める。
(a) 当該要請が必要とされる詳細な理由(経済的な必要性を含む。)
(b) 次の事項を明示する当該施設の転換のための全般的な計画
(i) 当該施設において行われることが計画されている活動の性質
(ii) 計画されている活動が化学物質の生産、加工又は消費に関係する場合には、化学物質の名称、当該施設の工程の流れの図面及び計画されている年間の生産量、加工量又は消費量
(iii) 引き続き維持することが予定されている建物又は工作物及び変更が予定されている場合には当該変更の内容
(iv) 廃棄された建物若しくは工作物又は廃棄が予定されている建物若しくは工作物及び廃棄が予定されている場合には当該廃棄のための計画
(v) 当該施設において使用が予定されている設備
(vi) 移動又は廃棄が予定されている設備及び廃棄が予定されている場合には当該廃棄のための計画
(vii) 転換のために予定されている日程
(viii) 当該施設が存在する地域において操業している他の施設の活動の性質
(c) (b)に規定する措置及び締約国が予定しているその他の措置が当該施設において化学兵器の生産能力が維持されないことをどのように確保するかについての詳細な説明
67 締約国は、その要請の中で、信頼を醸成するために適当と認めるその他の措置を提案することができる。
決定が行われるまでの間の措置
68 会議によって決定が行われるまでの間、締約国は、この条約が自国について効力を生ずる前にこの条約によって禁止されていない目的のために使用していた化学兵器生産施設を引き続き当該目的のために使用することができる。ただし、当該締約国が、その要請の中で、いかなる特別な設備又は特別な建物も使用していないこと並びに13に規定する方法により特別な設備及び特別な建物の活動を終了させたことを証明する場合に限る。
69 要請が行われた施設がこの条約が締約国について効力を生ずる前にこの条約によって禁止されていない目的のために使用されていなかった場合又は68の規定により必要となる証明が行われない場合には、当該締約国は、第五条4の規定に従ってすべての活動を直ちに停止する。当該締約国は、この条約が自国について効力を生じた後九十日以内に、13の規定に従って当該施設を閉鎖する。
転換のための条件
70 この条約によって禁止されていない目的のために化学兵器生産施設を転換する条件として、当該施設におけるすべての特別な設備については、廃棄しなければならず、また、この条約によって禁止されていない目的のために通常使用され、かつ、表1の化学物質に関係しない建物及び工作物と当該施設の建物及び工作物とを区別する特別な特徴については、除去しなければならない。
71 転換された施設は、次の活動のために使用してはならない。
(a) 表1又は表2の化学物質の生産、加工又は消費に関係する活動
(b) 毒性の高い化学物質(毒性の高い有機リン化学物質を含む。)の生産又は毒性若しくは腐食性の高い化学物質を取り扱うための特殊な設備を必要とするその他の活動。ただし、執行理事会が、毒性、腐食性及び適当な場合にはその他の技術的な要素のための基準(第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認するもの)を考慮して、このような生産又は活動がこの条約の趣旨及び目的に危険をもたらさないと決定する場合は、この限りでない。
72 化学兵器生産施設の転換は、この条約が効力を生じた後六年以内に完了する。
72の二 理事会は、72に規定する六年の転換のための期間が経過した後に、いずれかの国が、この条約を批准し又はこの条約に加入する場合には、二回目以降の通常会期において、この条約によって禁止されていない目的のために化学兵器生産施設を転換するための要請の提出の期限を定める。75の規定に従って当該要請を承認するための会議の決定は、転換の完了のため実行可能な最も早い期限を定める。転換は、できる限り速やかに、いかなる場合にもこの条約が当該締約国について効力を生じた後六年以内に完了する。この72の二の規定によって修正された場合を除くほか、この部のDのすべての規定を適用する。
執行理事会及び会議の決定
73 技術事務局は、事務局長が64の要請を受領した後九十日以内に、化学兵器生産施設の冒頭査察を行う。この査察は、当該要請において提供された情報が正確であることを確認し、転換が予定されている施設の技術的な性質に関する情報を取得し及びこの条約によって禁止されていない目的のための使用を承認するための条件を評価することを目的とする。事務局長は、執行理事会、会議及びすべての締約国に対し、この条約によって禁止されていない目的のために当該施設を転換するために必要な措置及び転換された施設がこの条約によって禁止されていない目的のためにのみ使用されることを保証するために必要な措置に関する事務局長の勧告を含む報告を速やかに提出する。
74 化学兵器生産施設が、この条約が締約国について効力を生ずる前にこの条約によって禁止されていない目的のために使用され、かつ、引き続き操業している場合において、68の規定に従って証明のために必要となる措置がとられなかったときは、事務局長は、直ちに執行理事会に通報する。執行理事会は、適当と認める措置の実施、特に、当該施設の活動の停止、特別な設備の移動及び建物又は工作物の変更を要請することができる。執行理事会は、これらの措置の実施のための期限を定めるものとし、これらの措置が十分に実施されるまでの間、64の要請に関する検討を停止する。当該施設は、これらの措置が実施されたか否かを確認するため、当該期限の満了の後速やかに査察を受ける。これらの措置が実施されなかった場合には、当該締約国は、当該施設のすべての操業を完全に停止しなければならない。
75 会議は、事務局長の報告の受領の後できる限り速やかに、執行理事会の勧告に基づき、当該報告及び締約国が表明する見解を考慮して、64の要請を承認するか否かを決定し、及び承認のための条件を定める。いずれかの締約国が当該要請の承認及びこれに伴う条件に異議を申し立てる場合には、相互に受入れ可能な解決を求めるため、九十日を限度として関係締約国の間で協議を行う。当該要請及びその承認に伴う条件並びにこれらについて提案される変更に関する決定については、実質事項として、当該協議の期間が経過した後できる限り速やかに行う。
76 施設協定は、64の要請が承認される場合には、その承認の決定が行われた後九十日以内に締結する。当該施設協定には、施設の転換及び使用が認められる条件(検証のための措置に関するものを含む。)を含める。転換については、当該施設協定を締結する前に開始してはならない。
転換のための詳細な計画
77 締約国は、化学兵器生産施設の転換の開始の予定の少なくとも百八十日前までに、当該施設の転換のための詳細な計画を技術事務局に提出する。当該計画には、特に次の事項に関する転換の検証のための措置についての提案を含める。
(a) 転換する施設において査察員自身が検証を行う時期
(b) 申告した目録に記載された各物件について実施する措置の検証のための手続
78 化学兵器生産施設の転換のための詳細な計画には、次の事項を含める。
(a) 転換の過程の詳細な日程
(b) 転換の前における及び転換の後における当該施設の配置図
(c) 転換の前における及び適当な場合には転換の後における当該施設の工程の流れの図面
(d) 廃棄する設備、建物、工作物その他の物件並びに変更する建物及び工作物の詳細な目録
(e) 目録に記載された各物件について措置を実施する場合には当該措置
(f) 検証のために提案する措置
(g) 当該施設の転換が行われている間に遵守されるべき警備上及び安全上の措置
(h) 査察員に提供する作業及び居住の条件
詳細な計画の検討
79 技術事務局は、締約国が提出する転換のための詳細な計画及び検証のために提案する措置並びに従前の査察の経験に基づき、当該締約国と密接に協議の上、化学兵器生産施設の転換の検証のための計画を作成する。適当な措置に関する技術事務局と当該締約国との間の意見の相違については、協議によって解決する。解決されない問題は、この条約の完全な実施を促進することを目的として、適切な措置のために執行理事会に送付される。
80 第五条及びこの部の規定の実施を確保するため、転換及び検証のための統合された計画が執行理事会と締約国との間で合意される。当該計画については、転換の開始の予定の少なくとも六十日前までに合意する。
81 執行理事会の理事国は、転換及び検証のための統合された計画の妥当性に関する問題について技術事務局と協議することができる。執行理事会のいずれの理事国も異議を申し立てない場合には、当該計画は、実施に移される。
82 問題がある場合には、執行理事会は、当該問題について調整するために締約国と協議を開始すべきである。問題が解決されない場合には、当該問題は、会議に提起されるべきである。転換の方法に関する意見の相違の解決は、転換のための計画の受入れ可能な他の部分の実施を遅滞させるべきでない。
83 執行理事会との間で検証について合意されない場合又は承認された検証のための計画を実施することができない場合には、転換の検証については、現地に設置する機器による継続的な監視を通じて及び査察員自身によって行う。
84 転換及び検証については、合意された計画に従って行う。検証は、転換の過程を不当に妨げないものとし、転換を確認するために査察員自身によって行われる。
85 事務局長が転換の完了を確認した後十年間、締約国は、いかなる時にも、阻害されることなく転換した施設へのアクセスが認められる権利を査察員に与える。査察員は、当該施設におけるすべての場所、活動及び設備を監視する権利を有する。査察員は、当該施設における活動が執行理事会及び会議がこのDの規定に基づいて定める条件に合致していることを検証する権利を有する。査察員は、表1の化学物質、その安定した副産物及び分解生成物並びに表2の化学物質が存在しないことを検証し並びに当該施設における活動が執行理事会及び会議がこのDの規定に基づいて定める化学に関する活動についての他の条件に合致していることを検証するため、第二部Eの規定に基づき、当該施設のいかなる場所から採取された試料も受領し及び分析する権利を有する。査察員は、また、第十部Cの規定に基づき、当該施設が所在する事業所に対し管理されたアクセスが認められる権利を有する。十年の期間中、締約国は、転換した施設における活動に関し毎年報告する。当該十年の期間の満了の後、執行理事会は、技術事務局の勧告を考慮して、継続する検証措置の性質を決定する。
86 転換した施設の検証の費用は、第五条19の規定に従って分担される。
第六部 第六条に規定するこの条約によって禁止されていない活動(表1の化学物質及びこれに関係する施設のための制度)
A 一般規定
1 締約国は、この条約の締約国の領域外で表1の化学物質を生産し、取得し、保有し又は使用してはならない。締約国は、また、他の締約国に対して移譲する場合を除くほか、当該化学物質を自国の領域外に移譲してはならない。
2 締約国は、次の(a)から(d)までの要件が満たされる場合を除くほか、表1の化学物質を生産し、取得し、保有し、移譲し又は使用してはならない。
(a) 化学物質が研究、医療、製薬又は防護の目的に利用されるものであること。
(b) 化学物質の種類及び量が(a)の目的を正当化することのできる種類及び量に厳重に限定されていること。
(c) (a)の目的のための化学物質の総量がいかなる時にも一トン以下であること。
(d) 締約国が生産、貯蔵されている化学兵器からの回収及び移譲によって取得する(a)の目的のための総量がいかなる年にも一トン以下であること。
B 移譲
3 締約国は、他の締約国に対してのみ、かつ、2に規定する研究、医療、製薬又は防護の目的に限り、表1の化学物質を自国の領域外に移譲することができる。
4 移譲された化学物質は、第三国に対して再移譲してはならない。
5 他の締約国に対する移譲の少なくとも三十日前までに、締約国及び当該他の締約国は、技術事務局に当該移譲について通報する。
6 締約国は、前年における移譲に関し、詳細な年次申告を行う。当該年次申告については、前年の終了の後九十日以内に行うものとし、移譲された表1の各化学物質についての次の事項に関する情報を含める。
(a) 化学名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(b) 他の国から取得した量又は他の締約国に対して移譲した量。個別の移譲について、量、受領者及び目的を含める。
C 生産
生産に関する一般原則
7 締約国は、8から12までの規定に基づく生産に当たっては、人の安全を確保し及び環境を保護することを最も優先させる。締約国は、安全及び排出に関する自国の基準に従って当該生産を行う。
単一の小規模な施設
8 締約国は、研究、医療、製薬又は防護の目的のために表1の化学物質を生産する場合には、10から12までに規定する場合を除くほか、自国が承認する単一の小規模な施設においてその生産を行う。
9 単一の小規模な施設における生産は、継続的な稼働のために配置されたものでない生産工程の中の反応器内で行う。各反応器の容量は、百リットルを超えてはならず、五リットルを超える容量を有するすべての反応器の総容量は、五百リットルを超えてはならない。
他の施設
10 防護目的のための表1の化学物質の生産については、単一の小規模な施設以外の一の施設においてその総量が年間十キログラムを超えない範囲内で行うことができる。この施設は、締約国が承認する。
11 研究、医療又は製薬の目的のための施設当たり年間百グラムを超える表1の化学物質の生産については、施設当たりの年間の総量が十キログラムを超えない範囲内で単一の小規模な施設以外の施設において行うことができる。これらの施設は、締約国が承認する。
12 防護目的のためでなく、研究、医療又は製薬の目的のための表1の化学物質の合成であって施設当たりの年間の総量が百グラム未満のものについては、実験施設において行うことができる。これらの実験施設は、D及びEに規定する申告及び検証に関連する義務の対象とならない。
D 申告
単一の小規模な施設
13 締約国は、単一の小規模な施設の操業を計画する場合には、当該施設の正確な所在地に関する情報及び詳細な技術的な説明(設備の目録及び詳細な図面を含む。)を技術事務局に提供する。既存の施設については、この条約が当該締約国について効力を生じた後三十日以内に冒頭申告を行う。新たな施設に関する冒頭申告については、操業の開始の少なくとも百八十日前までに行う。
14 締約国は、予定される変更であって冒頭申告に関係するものについて技術事務局に事前に通報する。その通報については、当該変更が行われる少なくとも百八十日前までに行う。
15 締約国は、単一の小規模な施設において表1の化学物質を生産する場合には、前年における当該施設の活動に関して詳細な年次申告を行う。当該年次申告については、前年の終了の後九十日以内に行うものとし、次の事項を含める。
(a) 当該施設の特定
(b) 当該施設において生産し、取得し、消費し又は貯蔵した表1の各化学物質については、次の事項に関する情報
(i) 化学名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(ii) 使用された方法及び生産量
(iii) 表1の化学物質の生産のために使用した前駆物質であって化学物質に関する附属書の表1、表2又は表3に掲げるものの名称及び量
(iv) 当該施設における消費量及び消費目的
(v) 自国内で他の施設から受領した量又は他の施設に対して移譲した量。各移譲については、量、受領者及び目的を含めるべきである。
(vi) 前年における最大貯蔵量
(vii) 前年の終了時における貯蔵量
(c) 既に提出した当該施設の詳細な技術的な説明(設備の目録及び詳細な図面を含む。)の変更であって前年中に当該施設において生じたものに関する情報
16 締約国は、単一の小規模な施設において表1の化学物質を生産する場合には、翌年の当該施設の予定される活動及び予想される生産に関して詳細な年次申告を行う。当該年次申告については、翌年の開始の少なくとも九十日前までに行うものとし、次の事項を含める。
(a) 当該施設の特定
(b) 当該施設において生産し、消費し又は貯蔵することが予想される表1の各化学物質については、次の事項に関する情報
(i) 化学名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(ii) 予想される生産量及び生産目的
(c) 既に提出した当該施設の詳細な技術的な説明(設備の目録及び詳細な図面を含む。)の変更であって翌年中に当該施設において生ずることが予想されるものに関する情報
10及び11に規定する他の施設
17 締約国は、10及び11に規定する各施設について、技術事務局の要請に応じ、その名称及び所在地に関する情報並びに当該施設又はその一部の詳細な技術的な説明を技術事務局に提供する。防護目的のために表1の化学物質を生産する施設については、その旨を具体的に明示する。既存の施設については、この条約が当該締約国について効力を生じた後三十日以内に冒頭申告を行う。新たな施設に関する冒頭申告については、操業の開始の少なくとも百八十日前までに行う。
18 締約国は、予定される変更であって冒頭申告に関係するものについて技術事務局に事前に通報する。その通報については、当該変更が行われる少なくとも百八十日前までに行う。
19 締約国は、10及び11に規定する各施設について、前年における当該施設の活動に関して詳細な年次申告を行う。当該年次申告については、前年の終了の後九十日以内に行うものとし、次の事項を含める。
(a) 当該施設の特定
(b) 表1の各化学物質については、次の事項に関する情報
(i) 化学名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(ii) 生産量及び防護目的のための生産については使用された方法
(iii) 表1の化学物質の生産のために使用した前駆物質であって化学物質に関する附属書の表1、表2又は表3に掲げるものの名称及び量
(iv) 当該施設における消費量及び消費目的
(v) 自国内で他の施設に移譲した量。各移譲については、量、受領者及び目的を含めるべきである。
(vi) 前年における最大貯蔵量
(vii) 前年の終了時における貯蔵量
(c) 既に提出した当該施設の詳細な技術的な説明の変更であって前年中に当該施設又はその一部において生じたものに関する情報
20 締約国は、10及び11に規定する各施設について、翌年の当該施設の予定される活動及び予想される生産に関して詳細な年次申告を行う。当該年次申告については、翌年の開始の少なくとも九十日前までに行うものとし、次の事項を含める。
(a) 当該施設の特定
(b) 表1の各化学物質については、次の事項に関する情報
(i) 化学名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(ii) 予想される生産量、生産が行われることが予想される時期及び生産目的
(c) 既に提出した当該施設の詳細な技術的な説明の変更であって翌年中に当該施設又はその一部において生ずることが予想されるものに関する情報
E 検証
単一の小規模な施設
21 単一の小規模な施設における検証活動は、表1の化学物質の生産量が正確に申告されていること及び特にその総量が一トンを超えないことを検証することを目的とする。
22 単一の小規模な施設は、現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証の対象とする。
23 具体的な施設に対する査察の回数、程度、期間、時期及び方法については、化学物質、当該施設の性質及び当該施設において行われる活動の性質がこの条約の趣旨及び目的に対してもたらす危険に基づいて定める。適当な指針については、第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
24 冒頭査察は、施設に関して提供された情報を検証すること(9に規定する反応器に関する制限について検証することを含む。)を目的とする。
25 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後百八十日以内に、モデル協定に基づき、施設に関する詳細な査察手続を規定する施設協定を機関との間で締結する。
26 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後に単一の小規模な施設を作ることを計画する場合には、当該施設の操業の開始又は使用の前に、モデル協定に基づき、当該施設に関する詳細な査察手続を規定する施設協定を機関との間で締結する。
27 モデル協定については、第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
10及び11に規定する他の施設
28 10及び11に規定する施設における検証活動は、次のことを検証することを目的とする。
(a) 当該施設が表1の化学物質(申告された化学物質を除く。)の生産のために使用されていないこと。
(b) 表1の化学物質の生産量、加工量又は消費量が、正確に申告されていること及び申告された目的のために必要なものに合致していること。
(c) 表1の化学物質が他の目的に転用され又は使用されていないこと。
29 10及び11に規定する施設は、現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証の対象とする。
30 具体的な施設に対する査察の回数、程度、期間、時期及び方法については、化学物質の生産量、当該施設の性質及び当該施設において行われる活動の性質がこの条約の趣旨及び目的に対してもたらす危険に基づいて定める。適当な指針については、第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
31 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後百八十日以内に、モデル協定に基づき、施設に関する詳細な査察手続を規定する施設協定を機関との間で締結する。
32 締約国は、この条約が効力を生じた後に10及び11に規定する施設を作ることを計画する場合には、当該施設の操業の開始又は使用の前に、機関との間で施設協定を締結する。
第七部 第六条に規定するこの条約によって禁止されていない活動(表2の化学物質及びこれに関係する施設のための制度)
A 申告
国内の集計された資料の申告
1 第六条の7及び8の規定に従って締約国が行う冒頭申告及び年次申告には、前暦年における表2の化学物質の生産量、加工量、消費量、輸入量及び輸出量に関する国内の集計された資料並びに相手国ごとの輸入量及び輸出量の明示を含める。
2 締約国は、次の申告を行う。
(a) この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に1の規定に従って行う冒頭申告
(b) 冒頭申告を行った年の翌暦年から開始する年次申告(前暦年の終了の後九十日以内に行う。)
表2の化学物質を生産し、加工し又は消費する事業所の申告
3 冒頭申告及び年次申告については、次に掲げるいずれかの量を超える化学物質を、前三暦年のいずれかの年において生産し、加工し若しくは消費した一若しくは二以上の工場又は翌暦年において生産し、加工し若しくは消費することが予想される一若しくは二以上の工場を有するすべての事業所について必要とする。
(a) 化学物質に関する附属書の表2Aにおいて(*)が付されている化学物質については一キログラム
(b) 化学物質に関する附属書の表2Aに掲げる化学物質((*)が付されているものを除く。)については百キログラム
(c) 化学物質に関する附属書の表2Bに掲げる化学物質については一トン
4 締約国は、次の(a)の申告並びに当該申告を行った年の翌暦年から開始する(b)及び(c)の申告を行う。
(a) この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に3の規定に従って行う冒頭申告
(b) 前暦年の終了の後九十日以内に行う過去の活動に関する年次申告
(c) 予想される活動に関する年次申告(翌暦年の開始の遅くとも六十日前までに行う。)。当該年次申告を行った後に新たに計画する活動については、当該活動の開始の遅くとも五日前までに申告する。
5 3の規定に基づく申告は、表2の化学物質を低濃度で含有する混合物については、一般的に必要とされない。当該申告は、指針に従い、当該混合物からの表2の化学物質の分離が容易であること及び当該化学物質の総量が、この条約の趣旨及び目的に対し危険をもたらすと認められる場合にのみ、必要とされる。当該指針については、第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
6 3の規定に基づく事業所の申告には、次の事項を含める。
(a) 当該事業所の名称、その所有者の名称及び当該事業所を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該事業所の正確な所在地(住所を含む。)
(c) 当該事業所内の工場であって第八部の規定に従って申告するものの数
7 3の規定に基づく事業所の申告には、当該事業所内に所在し、かつ、3に定める要件を満たす各工場についての次の事項に関する情報を含める。
(a) 当該工場の名称、その所有者の名称及び当該工場を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該工場の事業所内の正確な位置(建物又は工作物の具体的な番号がある場合には、これを含む。)
(c) 当該工場の主要な活動
(d) 当該工場が、
(i) 申告する表2の化学物質の生産、加工又は消費のいずれを行っているか。
(ii) (i)に規定する活動のみを行っているか又は当該活動以外の活動も行っているか。
(iii) 申告する表2の化学物質に関して(i)に規定する活動以外の活動を行っているか否か。行っている場合には、その活動(例えば、貯蔵)を特定する。
(e) 申告する表2の各化学物質についての当該工場の生産能力
8 申告に関する基準を超える表2の各化学物質についての3の規定に基づく事業所の申告には、次の事項に関する情報を含める。
(a) 化学名、施設において使用されている一般名又は商品名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(b) 冒頭申告については、前三暦年の各年における事業所の生産、加工、消費、輸入及び輸出の総量
(c) 過去の活動に関する年次申告については、前暦年における事業所の生産、加工、消費、輸入及び輸出の総量
(d) 予想される活動に関する年次申告については、翌暦年における事業所の生産、加工又は消費の予想される総量(生産、加工又は消費が行われることが予想される期間を含む。)
(e) 次に掲げるもののうちいずれのものを目的として、化学物質の生産、加工又は消費が行われたか又は行われるか。
(i) 現地における加工及び消費(該当する場合には生成物の種類の明示を含む)
(ii) 締約国の領域内における又はその管轄若しくは管理の下にあるその他の場所への販売又は移譲(該当する場合には他の産業、販売業者又はその他の仕向先のいずれに対する販売又は移譲であるかの明示及び可能な場合には最終生成物の種類の明示を含む。)
(iii) 直接の輸出(該当する場合には関係国の明示を含む。)
(iv) その他の目的(該当する場合には目的の明示を含む。)
化学兵器のための過去における表2の化学物質の生産に関する申告
9 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に、千九百四十六年一月一日以降のいずれかの時に化学兵器のために表2の化学物質を生産した工場を有するすべての事業所を申告する。
10 9の規定に基づく事業所の申告には、次の事項を含める。
(a) 当該事業所の名称、その所有者の名称及び当該事業所を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該事業所の正確な所在地(住所を含む。)
(c) 当該事業所内に所在し、かつ、9に定める要件を満たす各工場については、7の(a)から(e)までに規定する事項に関する情報
(d) 化学兵器のために生産された表2の各化学物質については、
(i) 化学名、事業所において化学兵器の生産のために使用された一般名又は商品名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(ii) 化学物質が生産された日及び生産量
(iii) 化学物質が送られた場所及び判明している場合には当該場所において生産された最終生成物
締約国に対する情報
11 このAの規定に従って申告された事業所の一覧表については、6、7(a)、7(c)、7(d)(i)、7(d)(iii)、8(a)及び10の規定に従って提供された情報と共に、要請に応じ、締約国に対し技術事務局が送付する。
B 検証
総則
12 第六条4に規定する検証については、申告された事業所であって、次に掲げるいずれかの量を超える化学物質を、前三暦年のいずれかの年において生産し、加工し若しくは消費した一若しくは二以上の工場又は翌暦年において生産し、加工し若しくは消費することが予想される一若しくは二以上の工場を有するものにおいて、現地査察を通じて行う。
(a) 化学物質に関する附属書の表2Aにおいて(*)が付されている化学物質については十キログラム
(b) 化学物質に関する附属書の表2Aに掲げる化学物質((*)が付されているものを除く。)については一トン
(c) 化学物質に関する附属書の表2Bに掲げる化学物質については十トン
13 第八条21(a)の規定に従って会議が採択する機関の計画及び予算には、このBの規定に基づく検証のための計画及び予算を別個の項目として含める。第六条の規定に基づく検証のために利用可能な資金の割当てに当たり、技術事務局は、この条約が効力を生じた後の三年間においては、Aの規定に従って申告される事業所の冒頭査察を優先する。その後、資金の割当てについては、得られた経験を基礎として検討する。
14 技術事務局は、15から22までの規定に従って冒頭査察及びその後の査察を行う。
査察の目的
15 査察は、活動がこの条約に基づく義務に従っていること及び申告において提供された情報に合致していることを検証することを一般的な目的とする。Aの規定に従って申告された事業所における査察は、特に次のことを検証することを目的とする。
(a) 第六部の規定に従う場合を除くほか表1の化学物質が存在しないこと(特にその生産が行われていないこと)。
(b) 表2の化学物質の生産、加工又は消費の水準が申告に合致していること。
(c) 表2の化学物質がこの条約によって禁止されている活動のために転用されていないこと。
冒頭査察
16 12の規定に従って査察が行われる事業所については、この条約が効力を生じた後できる限り速やかに、望ましくは三年以内に冒頭査察を行う。この期間が経過した後に申告される事業所については、生産、加工又は消費が最初に申告された後一年以内に冒頭査察を行う。冒頭査察のための事業所の選定については、事業所の査察が行われる正確な時期が予知されることのないように技術事務局が行う。
17 冒頭査察に際しては、被査察締約国及び技術事務局が必要としないことを合意する場合を除くほか、事業所に関する施設協定案を作成する。
18 査察員は、冒頭査察に際して、その後の査察の頻度及び程度に関連して、特に次の基準を考慮して、化学物質、事業所の性質及び当該事業所において行われる活動の性質がこの条約の趣旨及び目的に対してもたらす危険を評価する。
(a) 化学物質に関する附属書の表に掲げる化学物質の毒性及び当該化学物質を使用して生産される最終生成物がある場合には当該最終生成物の毒性
(b) 化学物質に関する附属書の表に掲げる化学物質であって査察が行われる事業所において一般に貯蔵されているものの量
(c) 化学物質に関する附属書の表に掲げる化学物質の原料となる化学物質であって査察が行われる事業所において一般に貯蔵されているものの量
(d) 表2の化学物質を扱う工場の生産能力
(e) 査察が行われる事業所において毒性化学物質の生産、貯蔵又は充填を開始するための能力及びそのための転換の可能性
査察
19 12の規定に従って査察が行われる事業所は、冒頭査察を受けた後、その後の査察の対象とする。
20 技術事務局は、査察のために具体的な事業所を選定し並びに査察の頻度及び程度を決定するに当たり、各施設協定並びに冒頭査察及びその後の査察の結果を踏まえて、化学物質、事業所の性質及び当該事業所において行われる活動の性質がこの条約の趣旨及び目的に対してもたらす危険に十分な考慮を払う。
21 技術事務局は、査察が行われる正確な時期が予知されることのないように査察を行う具体的な事業所を選定する。
22 いかなる事業所も、このBの規定による査察を一暦年に二回を超えて受けない。ただし、このことは、第九条の規定に基づく査察を制限するものではない。
査察手続
23 合意される指針、この附属書の他の関連規定及び秘密扱いに関する附属書のほか、24から30までの規定を適用する。
24 申告された事業所に関する施設協定は、被査察締約国及び技術事務局がこれを必要としないことを合意する場合を除くほか、冒頭査察の完了の後九十日以内に被査察締約国と機関との間で締結する。当該施設協定は、モデル協定に基づくものとし、申告された事業所における査察の実施について規律する。当該施設協定は、査察の頻度及び程度並びに25から29までの規定に適合する詳細な査察手続を明示する。
25 査察については、申告された事業所内の申告された工場であって表2の化学物質を扱うものを中心に行う。査察団が当該事業所の他の部分へのアクセスを認めることを要請する場合には、第二部51の規定に基づく説明を行う義務に従い及び施設協定又は施設協定がないときは第十部Cに規定する管理されたアクセスの規則に従い、当該他の部分へのアクセスを認める。
26 記録へのアクセスは、適当な場合には、申告された化学物質が転用されなかったこと及び生産が申告に合致していたことを保証するために認められる。
27 試料の採取及び分析は、化学物質に関する附属書の表に掲げる化学物質であって申告されていないものが存在しないことを点検するために行う。
28 査察が行われる区域には、次のものを含めることができる。
(a) 原料となる化学物質(反応体)を搬入し又は貯蔵する場所
(b) 反応器に注入する前に反応体に対し処理を施す場所
(c) 適当な場合には(a)又は(b)の場所から反応器へ通ずる仕込配管(弁類、流量計等を含む。)
(d) 反応器の外面及び附属設備
(e) 反応器から、長期間若しくは短期間貯蔵するための場所又は申告された表2の化学物質を更に加工するための設備へ通ずる配管
(f) (a)から(e)までのいずれかに関連する制御設備
(g) 廃棄物及び排水の取扱いのための設備及び場所
(h) 規格外の化学物質の処分のための設備及び場所
29 査察期間は、九十六時間を超えてはならない。ただし、査察団と被査察締約国との間の合意により延長することができる。
査察の通告
30 締約国は、技術事務局により、査察が行われる事業所に査察団が到着する少なくとも四十八時間前までに査察の通告を受ける。
C この条約の締約国でない国に対する移譲
31 表2の化学物質については、専ら、締約国に対して移譲し、又は締約国から受領する。このような義務は、この条約が効力を生じた後三年で効力を生ずる。
32 締約国は、31の三年の暫定的な期間中、この条約の締約国でない国に対する表2の化学物質の移譲について、以下に規定する最終用途に関する証明書を要請する。締約国は、当該移譲に関し、移譲する化学物質がこの条約によって禁止されていない目的のためにのみ使用されることを確保するため、必要な措置をとる。特に、締約国は、受領国に対し、移譲する化学物質について、次のことを表明する証明書を要請する。
(a) この条約によって禁止されていない目的のためにのみ使用すること。
(b) 再移譲しないこと。
(c) 種類及び量
(d) 最終用途
(e) 最終使用者の名称及び住所
第八部 第六条に規定するこの条約によって禁止されていない活動(表3の化学物質及びこれに関係する施設のための制度)
A 申告
国内の集計された資料の申告
1 第六条の7及び8の規定に従って締約国が行う冒頭申告及び年次申告には、前暦年における表3の化学物質の生産量、輸入量及び輸出量に関する国内の集計された資料並びに相手国ごとの輸入量及び輸出量の明示を含める。
2 締約国は、次の申告を行う。
(a) この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に1の規定に従って行う冒頭申告
(b) 冒頭申告を行った年の翌暦年から開始する年次申告(前暦年の終了の後九十日以内に行う。)
表3の化学物質を生産する事業所の申告
3 冒頭申告及び年次申告については、三十トンを超える表3の化学物質を前暦年において生産した一若しくは二以上の工場又は翌暦年において生産することが予想される一若しくは二以上の工場を有するすべての事業所について必要とする。
4 締約国は、次の(a)の申告並びに当該申告を行った年の翌暦年から開始する(b)及び(c)の申告を行う。
(a) この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に3の規定に従って行う冒頭申告
(b) 前暦年の終了の後九十日以内に行う過去の活動に関する年次申告
(c) 予想される活動に関する年次申告(翌暦年の開始の遅くとも六十日前までに行う。)。当該年次申告を行った後に新たに計画する活動については、当該活動の開始の遅くとも五日前までに申告する。
5 3の規定に基づく申告は、表3の化学物質を低濃度で含有する混合物については、一般的に必要とされない。当該申告は、指針に従い、当該混合物からの表3の化学物質の分離が容易であること及び当該化学物質の総量が、この条約の趣旨及び目的に対し危険をもたらすと認められる場合にのみ、必要とされる。当該指針については、第八条21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
6 3の規定に基づく事業所の申告には、次の事項を含める。
(a) 当該事業所の名称、その所有者の名称及び当該事業所を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該事業所の正確な所在地(住所を含む。)
(c) 当該事業所内の工場であって第七部の規定に従って申告するものの数
7 3の規定に基づく事業所の申告には、当該事業所内に所在し、かつ、3に定める要件を満たす各工場についての次の事項に関する情報を含める。
(a) 当該工場の名称、その所有者の名称及び当該工場を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該工場の事業所内の正確な位置(建物又は工作物の具体的な番号がある場合には、これを含む。)
(c) 当該工場の主要な活動
8 申告に関する基準を超える表3の各化学物質についての3の規定に基づく事業所の申告には、次の事項に関する情報を含める。
(a) 化学名、施設において使用されている一般名又は商品名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(b) 前暦年における化学物質のおよその生産量又は予想される活動に関する申告については翌暦年において予想される生産量を次の範囲で明示するもの。三十トン超二百トン以下、二百トン超千トン以下、千トン超一万トン以下、一万トン超十万トン以下及び十万トン超
(c) 化学物質の生産がいかなる目的で行われたか又は行われるか。
化学兵器のための過去における表3の化学物質の生産に関する申告
9 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に、千九百四十六年一月一日以降のいずれかの時に化学兵器のために表3の化学物質を生産した工場を有するすべての事業所を申告する。
10 9の規定に基づく事業所の申告には、次の事項を含める。
(a) 当該事業所の名称、その所有者の名称及び当該事業所を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該事業所の正確な所在地(住所を含む。)
(c) 当該事業所内に所在し、かつ、9に定める要件を満たす各工場については、7の(a)から(c)までに規定する事項に関する情報
(d) 化学兵器のために生産された表3の各化学物質については、
(i) 化学名、事業所において化学兵器の生産のために使用された一般名又は商品名、構造式及びCAS登録番号が付されている場合には当該番号
(ii) 化学物質が生産された日及び生産量
(iii) 化学物質が送られた場所及び判明している場合には当該場所において生産された最終生成物
締約国に対する情報
11 このAの規定に従って申告された事業所の一覧表については、6、7(a)、7(c)、8(a)及び10の規定に従って提供された情報と共に、要請に応じ、締約国に対し技術事務局が送付する。
B 検証
総則
12 第六条5に規定する検証については、申告された事業所であって、三十トンの申告に関する基準を超える表3の化学物質の生産の総量が、前暦年において二百トンを超え又は翌暦年において二百トンを超えると予想されるものにおいて、現地査察を通じて行う。
13 第八条21(a)の規定に従って会議が採択する機関の計画及び予算には、第七部13の規定を考慮して、このBの規定に基づく検証のための計画及び予算を別個の項目として含める。
14 技術事務局は、このBの規定に基づく査察については、次の考慮すべき要素を基礎として、適当な仕組み(例えば、特別に設計されるコンピュータ・ソフトウェアの利用)により、査察を行う事業所を無作為に選定する。
(a) 査察の衡平な地理的配分
(b) 申告された事業所に関する技術事務局が入手可能な情報であって、化学物質、当該事業所の性質及び当該事業所において行われる活動の性質に関係するもの
15 いかなる事業所も、このBの規定による査察を年二回を超えて受けない。ただし、このことは、第九条の規定に基づく査察を制限するものではない。
16 技術事務局は、このBの規定に基づく査察を行う事業所を選定するに当たり、この部及び第九部の規定に従って締約国が一暦年において受ける査察の合計の回数に関する次の制限を遵守する。当該回数は、この部及び第九部の規定に従って締約国が申告する事業所の総数の五パーセントに三を加えた数又は二十のうちいずれか低い方の数を超えてはならない。
査察の目的
17 Aの規定に従って申告された事業所においては、査察は、活動が申告において提供された情報に合致していることを検証することを一般的な目的とする。当該査察は、特に、第六部の規定に従う場合を除くほか表1の化学物質が存在しないこと(特にその生産が行われていないこと)を検証することを目的とする。
査察手続
18 合意される指針、この附属書の他の関連規定及び秘密扱いに関する附属書のほか、19から25までの規定を適用する。
19 施設協定は、被査察締約国が要請する場合を除くほか、締結しない。
20 査察については、申告された事業所内の申告された工場であって表3の化学物質を扱うものを中心に行う。査察団が第二部51の規定に基づいてあいまいな点を解消するため当該事業所の他の部分へのアクセスを認めることを要請する場合には、当該アクセスの範囲は、査察団と被査察締約国との間で合意する。
21 査察団及び被査察締約国が記録へのアクセスが査察の目的を達成するために役立つことを一致して認める場合には、査察団は、当該アクセスを認められる。
22 試料の採取及び現地における分析は、化学物質に関する附属書の表に掲げる化学物質であって申告されていないものが存在しないことを点検するために行うことができる。あいまいな点が解消されない場合には、試料については、被査察締約国との合意に従い、指定された現地外の実験施設において分析することができる。
23 査察が行われる区域には、次のものを含めることができる。
(a) 原料となる化学物質(反応体)を搬入し又は貯蔵する場所
(b) 反応器に注入する前に反応体に対し処理を施す場所
(c) 適当な場合には(a)又は(b)の場所から反応器へ通ずる仕込配管(弁類、流量計等を含む。)
(d) 反応器の外面及び附属設備
(e) 反応器から、長期間若しくは短期間貯蔵するための場所又は申告された表3の化学物質を更に加工するための設備へ通ずる配管
(f) (a)から(e)までのいずれかに関連する制御設備
(g) 廃棄物及び排水の取扱いのための設備及び場所
(h) 規格外の化学物質の処分のための設備及び場所
24 査察期間は、二十四時間を超えてはならない。ただし、査察団と被査察締約国との間の合意により延長することができる。
査察の通告
25 締約国は、技術事務局により、査察が行われる事業所に査察団が到着する少なくとも百二十時間前までに査察の通告を受ける。
C この条約の締約国でない国に対する移譲
26 締約国は、この条約の締約国でない国に対して表3の化学物質を移譲する場合には、移譲する化学物質がこの条約によって禁止されていない目的のためにのみ使用されることを確保するため、必要な措置をとる。特に、締約国は、受領国に対し、移譲する化学物質について、次のことを表明する証明書を要請する。
(a) この条約によって禁止されていない目的のためにのみ使用すること。
(b) 再移譲しないこと。
(c) 種類及び量
(d) 最終用途
(e) 最終使用者の名称及び住所
27 会議は、この条約が効力を生じた後五年を経過した時に、この条約の締約国でない国に対する表3の化学物質の移譲に関して他の措置をとる必要性について検討する。
第九部 第六条に規定するこの条約によって禁止されていない活動(他の化学物質を生産する施設のための制度)
A 申告
他の化学物質を生産する施設の一覧表
1 第六条7の規定に従って締約国が行う冒頭申告には、次のいずれかに該当するすべての事業所の一覧表を含める。
(a) 化学物質に関する附属書の表に掲げていない識別可能な有機化学物質を前暦年において二百トンを超えて合成により生産した事業所
(b) 化学物質に関する附属書の表に掲げていない識別可能な有機化学物質であって、りん、硫黄又はふっ素の元素を含むもの(以下「PSF化学物質」という。)を前暦年において三十トンを超えて合成により生産した一又は二以上の工場(以下「PSF工場」という。)を有する事業所
2 1の規定に従って提出する他の化学物質を生産する施設の一覧表には、火薬類又は炭化水素類のみを生産する事業所を含めない。
3 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後三十日以内に、他の化学物質を生産する施設の一覧表を1の規定に従って自国の冒頭申告の一部として提出するものとし、翌暦年の及びその後の各暦年の開始の後九十日以内に、当該一覧表を改定するために必要な情報を毎年提供する。
4 1の規定に従って提出する他の化学物質を生産する施設の一覧表には、各事業所についての次の事項に関する情報を含める。
(a) 当該事業所の名称、その所有者の名称及び当該事業所を運営する会社又は企業の名称
(b) 当該事業所の正確な所在地(住所を含む。)
(c) 当該事業所の主要な活動
(d) 当該事業所において1に規定する化学物質を生産する工場のおよその数
5 1(a)の規定に従って掲げる事業所の一覧表には、当該事業所についての化学物質に関する附属書の表に掲げていない識別可能な有機化学物質の前暦年におけるおよその総生産量を次の範囲で明示する情報を含める。千トン未満、千トン以上一万トン以下及び一万トン超
6 1(b)の規定に従って掲げる事業所の一覧表には、当該事業所内のPSF工場の数を明示し、及び各PSF工場が前暦年において生産したPSF化学物質のおよその総量を次の範囲で明示する情報を含める。二百トン未満、二百トン以上千トン未満、千トン以上一万トン以下及び一万トン超
技術事務局の援助
7 締約国は、1の規定に従って化学物質を生産する施設の一覧表を作成するに当たり、事務的な理由により援助を要請することが必要であると認める場合には、援助を提供するよう技術事務局に要請することができる。当該一覧表を完全なものとすることに関する問題については、その後、当該締約国と技術事務局との間の協議により解決する。
締約国に対する情報
8 1の規定に従って提出された他の化学物質を生産する施設の一覧表については、4の規定に従って提供された情報と共に、要請に応じ、締約国に対し技術事務局が送付する。
B 検証
総則
9 第六条6に規定する検証については、Cの規定に従って次に掲げる事業所において現地査察を通じて行う。
(a) 1(a)の規定に従って一覧表に掲げられた事業所
(b) 1(b)の規定に従って一覧表に掲げられた事業所であって、PSF化学物質を前暦年において二百トンを超えて生産した一又は二以上のPSF工場を有するもの
10 第八条21(a)の規定に従って会議が採択する機関の計画及び予算には、このBの規定に基づく検証のための計画及び予算をその検証の実施が開始された後別個の項目として含める。
11 技術事務局は、このBの規定に基づく査察については、次の考慮すべき要素を基礎として、適当な仕組み(例えば、特別に設計されるコンピュータ・ソフトウェアの利用)により、査察を行う事業所を無作為に選定する。
(a) 査察の衡平な地理的配分
(b) 他の化学物質を生産する施設の一覧表に掲げられた事業所に関する技術事務局が入手可能な情報であって、当該事業所の性質及び当該事業所において行われる活動に関係するもの