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○向精神薬に関する条約

(平成二年九月一日)

(条約第七号)

向精神薬に関する条約をここに公布する。

向精神薬に関する条約

前文

締約国は、

人類の健康及び福祉に関心を有し、

ある種の向精神薬の濫用により生ずる公衆の健康上及び社会上の問題について懸念し、

これらの向精神薬の濫用及びその濫用が引き起こす不正取引を防止し、かつ、これらと戦うことを決意し、

これらの向精神薬が正当な目的に限り使用されるよう厳しい措置が必要であることを考慮し、

向精神薬の医療上及び学術上の目的のための使用が不可欠であること並びにこれらの目的のための向精神薬の入手が不当に制限されてはならないことを認め、

ある種の向精神薬の濫用に対する措置が効果的であるためには、協同して、かつ、世界的な規模で行動することが必要であることを信じ、

向精神薬の統制の分野における国際連合の権限を認め、また、関係国際機関が国際連合の枠内にあることを希望し、

このような目的を達成するために国際条約が必要であることを認めて、

次のとおり協定する。

第一条 用語

この条約において、別段の明示的な定めがある場合及び文脈により別に解釈される場合を除くほか、次の用語は、それぞれ、次に定める意味を有する。

(a) 「理事会」とは、国際連合の経済社会理事会をいう。

(b) 「麻薬委員会」とは、理事会の麻薬委員会をいう。

(c) 「統制委員会」とは、千九百六十一年の麻薬に関する単一条約に規定する国際麻薬統制委員会をいう。

(d) 「事務総長」とは、国際連合事務総長をいう。

(e) 「向精神薬」とは、付表Ⅰから付表Ⅳまでに掲げる天然若しくは合成の物質又は自然の産物をいう。

(f) 「製剤」とは、次のいずれかのものをいう。

(i) 一又は二以上の向精神薬を含有するすべての溶液又は混合物(これらの物理的状態のいかんを問わない。)

(ii) 投薬用の剤型にした一又は二以上の向精神薬

(g) 「付表Ⅰ」、「付表Ⅱ」、「付表Ⅲ」及び「付表Ⅳ」とは、この条約に附属する向精神薬の表でそれぞれ対応する番号を付したもの(次条の規定に従って修正された場合には、修正後のもの)をいう。

(h) 「輸出」及び「輸入」とは、それぞれの語意において、いずれかの国から他の国へ向精神薬を現実に輸送することをいう。

(i) 「製造」とは、向精神薬が得られるすべての工程(精製及び向精神薬の他の向精神薬への転換を含む。)をいい、製剤する(薬局において処方せんにより製剤する場合を除く。)工程を含む。

(j) 「不正取引」とは、向精神薬の製造又は取引であってこの条約の規定に違反するものをいう。

(k) 「地域」とは、国の一部分であって、第二十八条の規定に基づきこの条約の適用上個別の単位として取り扱われるものをいう。

(l) 「建造物」とは、建物又はその一部(これに附属する土地を含む。)をいう。

第二条 物質の統制範囲

1 締約国又は世界保健機関は、まだ国際的な統制の下にない物質に関し、自己の有する資料により当該物質をこの条約のいずれかの付表に加えることが必要であると認める場合には、事務総長に対し、その旨を通告し、かつ、その通告の裏付けとなる資料を提出する。このような手続は、締約国又は世界保健機関が一の物質をいずれかの付表から他の付表に転記し又は付表から削ることを正当とする資料を有する場合についても、適用する。

2 事務総長は、1の通告及び関係があると認める資料を締約国、麻薬委員会及びその通告が締約国によって行われたときは世界保健機関に送付する。

3 1の通告とともに送付された資料により、国際的な統制の下にない物質を4の規定に従って付表Ⅰ又は付表Ⅱに含めることが適当であることが明らかとなった場合には、締約国は、入手可能なあらゆる資料に照らして、それぞれの場合に応じて当該物質について付表Ⅰ又は付表Ⅱに掲げる物質に適用されるすべての統制措置を暫定的に適用することの可能性を、検討する。

4 世界保健機関は、国際的な統制の下にない物質が次の(a)及び(b)の基準を満たしていると認める場合には、麻薬委員会に対し、当該物質についての評価(濫用の程度又は可能性、公衆の健康上及び社会上の問題の重大さの程度並びに当該物質の治療上の有用性の程度を含む。)を、その評価に照らして適当と認める統制措置を勧告するときにあってはその勧告とともに、通知する。

(a) 当該物質に次の(i)又は(ii)のいずれかの状態を引き起こす作用があること。

(i) (1)依存の状態及び(2)幻覚をもたらし又は運動機能、思考、行動、知覚若しくは感情に障害を起こす中枢神経系の興奮又は抑制

(ii) 付表Ⅰから付表Ⅳまでに掲げる物質と同様の濫用及び悪影響

(b) 当該物質がこれを国際的な統制の下に置くことを正当化するような公衆の健康上及び社会上の問題となるほど濫用されており又は濫用されるおそれがあるという十分な証拠があること。

5 麻薬委員会は、世界保健機関の通知を考慮する(ただし、医療上及び学術上の事項に関する世界保健機関の評価は、そのまま受け入れなければならない。)とともに、経済的、社会的、法律的及び行政的要因その他関係があると認められる要因に留意して、国際的な統制の下にない物質を付表Ⅰから付表Ⅳまでに加えることができる。麻薬委員会は、世界保健機関その他の適当な情報源に対し、更に他の資料を求めることができる。

6 1の通告がいずれかの付表に既に掲げられている物質に関するものである場合には、世界保健機関は、麻薬委員会に対し、新たに判明した事項、4の規定を準用して行うことのある当該物質についての新たな評価及びその評価に照らして適当と認める統制措置に関する新たな勧告について通知する。麻薬委員会は、5の規定を準用して世界保健機関の通知を考慮するとともに、5に規定する諸要因に留意して、当該物質をいずれかの付表から他の付表に転記し又は付表から削ることを決定することができる。

7 麻薬委員会がこの条の規定に基づいて行ういずれの決定も、事務総長により、すべての国際連合加盟国、国際連合の非加盟国であるこの条約の締約国、世界保健機関及び統制委員会に通知される。当該決定は、その通知の日の後百八十日を経過した後、各締約国について完全に効力を生ずる。ただし、一の物質をいずれかの付表に加える決定に関し、例外的な事情のため、当該付表の物質について適用されるこの条約の規定のすべてを当該一の物質について適用する状況にはない旨の書面による通告をその期間内に事務総長に送付した締約国については、この限りでない。通告には、このような例外的な措置をとった理由を記載する。締約国は、その通告にかかわらず、最小限、次の統制措置を適用する。

(a) 従来統制の下になかった物質で付表Ⅰに加えられたものについて通告を行った締約国は、第七条に規定する特別の統制措置をできる限り考慮するとともに、当該物質について次のことを行う。

(i) その製造、取引及び分配について、付表Ⅱに掲げる物質に関する第八条の規定に従い免許の取得を義務付けること。

(ii) その供給又は調剤については、付表Ⅱに掲げる物質に関する第九条の規定に従い処方せんによることを義務付けること。

(iii) 第十二条に定める輸出及び輸入に関する義務を履行すること。ただし、(a)の物質について通告を行った他の締約国を相手とする輸出又は輸入については、この限りでない。

(iv) 輸出及び輸入に関する禁止及び制限についての義務であって付表Ⅱに掲げる物質に関して第十三条に定めるものを履行すること。

(v) 第十六条4(a)の規定に従い統制委員会に統計報告を提出すること。

(vi) (i)から(v)までに定める義務の履行のために定められた法令に違反する行為を防止するため、第二十二条の規定に従って措置を講ずること。

(b) 従来統制の下になかった物質で付表Ⅱに加えられたものについて通告を行った締約国は、当該物質について次のことを行う。

(i) 第八条の規定に従い、製造、取引及び分配のための免許の取得を義務付けること。

(ii) 第九条の規定に従い、供給又は調剤については処方せんによることを義務付けること。

(iii) 第十二条に定める輸出及び輸入に関する義務を履行すること。ただし、(b)の物質について通告を行った他の締約国を相手とする輸出又は輸入については、この限りでない。

(iv) 第十三条に定める輸出及び輸入に関する禁止及び制限についての義務を履行すること。

(v) 第十六条4の(a)、(c)及び(d)の規定に従い統制委員会に統計報告を提出すること。

(vi) (i)から(v)までに定める義務の履行のために定められた法令に違反する行為を防止するため、第二十二条の規定に従って措置を講ずること。

(c) 従来統制の下になかった物質で付表Ⅲに加えられたものについて通告を行った締約国は、当該物質について次のことを行う。

(i) 第八条の規定に従い、製造、取引及び分配のための免許の取得を義務付けること。

(ii) 第九条の規定に従い、供給又は調剤については処方せんによることを義務付けること。

(iii) 第十二条に定める輸出に関する義務を履行すること。ただし、(c)の物質について通告を行った他の締約国を相手とする輸出については、この限りでない。

(iv) 第十三条に定める輸出及び輸入に関する禁止及び制限についての義務を履行すること。

(v) (i)から(iv)までに定める義務の履行のために定められた法令に違反する行為を防止するため、第二十二条の規定に従って措置を講ずること。

(d) 従来統制の下になかった物質で付表Ⅳに加えられたものについて通告を行った締約国は、当該物質について次のことを行う。

(i) 第八条の規定に従い、製造、取引及び分配のための免許の取得を義務付けること。

(ii) 第十三条に定める輸出及び輸入に関する禁止及び制限についての義務を履行すること。

(iii) (i)及び(ii)に定める義務の履行のために定められた法令に違反する行為を防止するため、第二十二条の規定に従って措置を講ずること。

(e) 一層厳しい統制及び義務が課される付表に転記された物質について通告を行った締約国は、当該物質につき、最小限、これが掲げられていた付表について適用のあるこの条約のすべての規定を適用する。

(a) この条の規定に基づいて行われた麻薬委員会の決定は、いずれかの締約国がその決定の通知を受領した日から百八十日以内に要請する場合には、理事会の審査を受ける。審査の要請は、その基礎となっているすべての関係資料とともに、事務総長に送付する。

(b) 事務総長は、審査の要請及び関係資料の写しを麻薬委員会、世界保健機関及びすべての締約国に送付し、九十日以内に意見を提出するよう要請する。事務総長が受領したすべての意見は、審議のため理事会に提出される。

(c) 理事会は、麻薬委員会の決定を確認し、変更し又は取り消すことができる。理事会の決定の通知は、すべての国際連合加盟国、国際連合の非加盟国であるこの条約の締約国、麻薬委員会、世界保健機関及び統制委員会に送付される。

(d) 審査が行われている間、麻薬委員会の最初の決定は、7の規定に従うことを条件として引き続き効力を有する。

9 締約国は、この条約の適用を受けない物質で向精神薬の不正な製造に使用されるおそれがあるものについて実行可能な監督をするため、最善の努力を払う。

第三条 製剤の統制に関する特別規定

1 製剤は、2から4までに規定する場合を除くほか、その含有する向精神薬に適用される統制措置と同一の統制措置の適用を受けるものとし、製剤が二以上の向精神薬を含有する場合には、これらの向精神薬のうち最も厳しい統制を受けるものに適用される措置の適用を受ける。

2 付表Ⅰに掲げる物質以外の向精神薬を含有する製剤が、濫用の危険性がないよう又はそれを無視し得るように調合されており、かつ、容易に用い得る手段では濫用されるおそれのある量を回収することができないため、公衆の健康上及び社会上の問題を引き起こさない場合には、3の規定に基づき、その製剤につきこの条約に規定する統制措置の一部を免除することができる。

3 締約国は、いずれかの製剤について2に規定する場合に該当するとの認定を行った場合には、次のものに係る義務を除くほか、自国又はその地域においてこの条約に規定する統制措置の一部又は全部をその製剤について免除することを決定することができる。

(a) 第八条(免許)の規定のうち製造に適用されるもの

(b) 第十一条(記録)の規定のうち免除される製剤に適用されるもの

(c) 第十三条(輸出及び輸入に関する禁止及び制限)

(d) 第十五条(監視)の規定のうち製造に適用されるもの

(e) 第十六条(締約国が提出する報告)の規定のうち免除される製剤に適用されるもの

(f) 第二十二条(刑罰規定)の規定のうち(a)から(e)までに定める義務の履行のために定められた法令に違反する行為を防止するための範囲内のもの

締約国は、免除の決定、免除される製剤の名称及び組成並びにその製剤について適用が免除される統制措置を事務総長に通告する。事務総長は、その通告を他の締約国、世界保健機関及び統制委員会に送付する。

4 締約国又は世界保健機関は、3の規定に基づいて免除された製剤につき、自己の有する資料により免除の全部又は一部を終止させることが必要であると認める場合には、事務総長に対し、その旨を通告し、かつ、その通告の裏付けとなる資料を提出する。事務総長は、その通告及び関係があると認める資料を締約国、麻薬委員会及びその通告が締約国によって行われたときは世界保健機関に送付する。世界保健機関は、麻薬委員会に対し、2に定める事項との関連における当該製剤についての評価を、免除が終止されるべき統制措置を勧告するときにあってはその勧告とともに、通知する。麻薬委員会は、世界保健機関の通知を考慮する(ただし、医療上及び学術上の事項に関する世界保健機関の評価は、そのまま受け入れなければならない。)とともに、経済的、社会的、法律的及び行政的要因その他関係があると認められる要因に留意して、当該製剤につき統制措置の免除の一部又は全部を終止させる決定を行うことができる。麻薬委員会がこの4の規定に基づいて行ういずれの決定も、事務総長により、すべての国際連合加盟国、国際連合の非加盟国であるこの条約の締約国、世界保健機関及び統制委員会に通知される。すべての締約国は、事務総長の通知の日から百八十日以内に、麻薬委員会がその終止を決定した統制措置の免除を終止するための措置をとる。

第四条 統制範囲に関する他の特別規定

締約国は、付表Ⅰに掲げる向精神薬以外の向精神薬について次のことを認めることができる。

(a) 一の国から他の国に移動する者が個人的な使用のために少量の製剤を携帯すること。もっとも、締約国は、その製剤が合法的に取得されたものであることを確認することができる。

(b) 当該向精神薬を向精神薬以外の物質又は生産物の製造のために産業上使用すること。ただし、当該向精神薬が実際に濫用されない状態又はこれを回収することができない状態になるまでは、この条約に基づく統制措置を適用することを条件とする。

(c) この条約に基づく統制措置を適用することを条件として、権限のある当局により特に認められた者が動物捕獲のために当該向精神薬を使用すること。

第五条 医療上及び学術上の目的への用途制限

1 締約国は、第七条の規定に従い付表Ⅰに掲げる物質の使用を制限する。

2 締約国は、前条に規定する場合を除くほか、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質の製造、輸出、輸入、分配、貯蔵、取引、使用及び所持を適当と認める措置により医療上及び学術上の目的にのみ制限する。

3 締約国は、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質の所持を法律によって認められる場合に限ることが望ましい。

第六条 特別の行政機関

この条約の規定を実施するため、各締約国は、特別の行政機関を設置し、維持することが望ましい。当該行政機関は、麻薬の統制のための条約に従って設置された特別の行政機関が兼ねるか又はこれと緊密に協力してその業務を行うことが望ましい。

第七条 付表Ⅰに掲げる物質に関する特別規定

締約国は、付表Ⅰに掲げる物質について次のことを行う。

(a) 自国の政府が直接に管理し又は特に承認する医療上又は学術上の施設において、正当に許可された者が学術上及び極めて限られた医療上の目的のために使用する場合を除くほか、すべての使用を禁止すること。

(b) 製造、取引、分配及び所持につき特別の免許又は事前の許可の取得を義務付けること。

(c) (a)及び(b)に規定する活動及び行為を厳しい監督の下に置くこと。

(d) 正当に許可された者に供給される数量をその許可に係る目的に必要な数量に制限すること。

(e) 医療又は学術研究に従事する者が当該物質の取得及び使用の詳細を記録すること並びに記載された最終の使用の日から少なくとも二年間その記録を保存することを義務付けること。

(f) 輸出者が輸出国(又はその地域)の権限のある当局若しくは機関又はその権限のある当局により特に輸出を許可された他の人若しくは企業であり、かつ、輸入者が輸入国(又はその地域)の権限のある当局若しくは機関又はその権限のある当局により特に輸入を許可された他の人若しくは企業である場合を除くほか、輸出及び輸入を禁止すること。付表Ⅱに掲げる物質の輸出及び輸入の許可書に関する第十二条1に定める義務は、付表Ⅰに掲げる物質についても適用する。

第八条 免許

1 締約国は、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質の製造、取引(輸出入取引を含む。)及び分配を、免許制度その他これに類する統制措置の下に置く。

2 締約国は、次のことを行う。

(a) 1の物質の製造、取引(輸出入取引を含む。)若しくは分配を行い又はこれらに従事することを正当に認められた人及び企業を監督すること。

(b) (a)の製造、取引又は分配を行う施設及びその建造物を、免許制度その他これに類する統制措置によって監督すること。

(c) 盗難その他貯蔵物の流用を防止するため、(b)の施設及びその建造物について保安措置を講ずることを定めること。

3 免許制度その他これに類する統制措置に関する1及び2の規定は、治療又は学術研究に従事することを正当に認められてこのような業務に従事している者については、適用することを必要としない。

4 締約国は、この条約に従って免許を取得し又は1若しくは前条(b)の規定に従って資格を認められたすべての者について、この条約に従って制定される法令を効果的かつ忠実に実施するための十分な能力を有することを義務付ける。

第九条 処方せん

1 締約国は、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質については処方せんによってのみ個人の使用のために供給され又は調剤されることを義務付ける。ただし、個人が正当に認められて行う治療又は学術研究において当該物質を合法的に取得し、使用し、調剤し又は施用する場合は、この限りでない。

2 締約国は、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質についての処方せんが健全な医療実務に従って発給されること並びに当該処方せんが公衆の健康及び福祉を保護するための規制、特にその再使用される回数及びその有効期間に関する規制の下に置かれることを確保するための措置を講ずる。

3 締約国は、1の規定にかかわらず、地域的事情により必要であると認める場合には、条件(記録保持を含む。)を定めた上で、自国又はその一部分における公衆の健康について責任を有する当局により指定された薬剤師の免許を受けた者又はその他の免許を受けた小売業者が、特別の状況において医療を目的とする個人的使用のため、付表Ⅲ及び付表Ⅳに掲げる物質を少量(その限度は、締約国が定める。)に限り、各自の裁量によりかつ処方せんなしで供給することを認めることができる。

第十条 包装に表示する注意書及び広告

1 締約国は、世界保健機関の関連の規則及び勧告を考慮して、実行可能な場合には向精神薬の小売用包装のラベルに、また、いかなる場合にも小売用包装に添付される文書に、使用者の安全のために必要であると認める使用上の指示(注意及び警告を含む。)を表示することを義務付ける。

2 締約国は、自国の憲法上の規定に妥当な考慮を払って、一般大衆に対する向精神薬の広告を禁止する。

第十一条 記録

1 締約国は、付表Ⅰに掲げる物質に関し、製造業者並びに第七条の規定に従って当該物質を取引し及び分配することを許可されたその他の者が各締約国の定めるところにより精確な製造量及び在庫量並びに取得及び処分ごとの精確な数量、日付、供給者及び受領者について記録することを義務付ける。

2 締約国は、付表Ⅱ及び付表Ⅲに掲げる物質に関し、製造業者、卸売業者、輸出者及び輸入者が各締約国の定めるところにより精確な製造量並びに取得及び処分ごとの精確な数量、日付、供給者及び受領者について記録することを義務付ける。

3 締約国は、付表Ⅱに掲げる物質に関し、小売業者、医療機関及び学術研究機関が各締約国の定めるところにより取得及び処分ごとの精確な数量、日付、供給者及び受領者について記録することを義務付ける。

4 締約国は、自国の職業上及び取引上の慣行を考慮して、適当な方法により、小売業者、医療機関及び学術研究機関による付表Ⅲに掲げる物質の取得及び処分に関する資料を容易に入手することができるようにしておく。

5 締約国は、付表Ⅳに掲げる物質に関し、製造業者、輸出者及び輸入者が各締約国の定めるところにより製造量、輸出量及び輸入量について記録することを義務付ける。

6 締約国は、第三条3の規定に基づいて免除される製剤の製造業者が、当該製剤の製造に使用した向精神薬の数量並びに製造した当該製剤の性質、総量及び最初の処分について記録することを義務付ける。

7 締約国は、この条に規定する記録及び資料のうち、第十六条の規定に基づく報告のために必要なものが少なくとも二年間保存されることを確保する。

第十二条 国際取引に関する規定

(a) 付表Ⅰ又は付表Ⅱに掲げる物質の輸出又は輸入を許可する締約国は、その各輸出又は各輸入(当該物質が一種類であるか二種類以上であるかを問わない。)について、麻薬委員会の定める様式による輸入又は輸出の個別の許可書の取得を義務付ける。

(b) (a)の許可書には、国際一般名称(これがないときは、付表に掲げる名称)、輸出し又は輸入する数量、剤型、輸出者及び輸入者の氏名及び住所並びにその輸出又は輸入を行わなければならない期間を記載する。当該物質を製剤の形で輸出し又は輸入する場合において、その製剤の名称があるときは、これを付記する。輸出許可書には、また、輸入許可書の番号、日付及び発給当局を記載する。

(c) 締約国は、輸出許可書を発給する前に、輸入する国又は地域の権限のある当局が発給した輸入許可書であってこれに掲載された物質の輸入が認められたことを証明するものを要求するものとし、その輸入許可書は、輸出許可書を申請する人又は企業が提出する。

(d) 各送り荷には、輸出許可書一通を添付するものとし、輸出許可書を発給する政府は、輸入する国又は地域の政府に対しその写し一通を送付する。

(e) 輸入する国又は地域の政府は、輸入が行われたときは、輸出する国又は地域の政府に対し、実際に輸入された数量を証明する裏書を付した輸出許可書を返送する。

(a) 締約国は、輸出者が付表Ⅲに掲げる物質の輸出につき麻薬委員会の定める様式による届出書であって次の事項を記載したもの三通を作成することを義務付ける。

(i) 輸出者及び輸入者の氏名及び住所

(ii) 国際一般名称(これがないときは、付表に掲げる名称)

(iii) 輸出する物質の数量及び剤型並びに製剤の形で輸出する場合においてその製剤の名称があるときはその名称

(iv) 発送の日付

(b) 輸出者は、自国又はその地域の権限のある当局に対し届出書二通を提出するものとし、送り荷に届出書一通を添付する。

(c) 自国の領域から付表Ⅲに掲げる物質が輸出された締約国は、その発送の日の後できる限り速やかに、遅くとも九十日以内に、輸入する国又は地域の権限のある当局に対し、受取通知を請求する書留郵便により輸出者から受け取った届出書一通を送付する。

(d) 締約国は、輸入者が送り荷の受領の際これに添付されている届出書に受領した数量及びその受領の日付を正しく裏書して自国又はその地域の権限のある当局に送付することを義務付けることができる。

3 付表Ⅰ及び付表Ⅱに掲げる物質については、次の追加的な規定を適用する。

(a) 締約国は、自由港及び自由地帯において、自国の領域の他の部分における監督及び統制と同一の監督及び統制を実施する。もっとも、一層厳しい措置をとることを妨げない。

(b) 郵便私書箱あて又は輸出許可書に記載された者以外の者の銀行口座あての荷送りによる輸出は、禁止する。

(c) 付表Ⅰに掲げる物質の保税倉庫あての荷送りによる輸出は、禁止する。付表Ⅱに掲げる物質の保税倉庫あての荷送りによる輸出は、輸出許可書を申請する人又は企業の提出する輸入許可書においてその送り荷を保税倉庫に入れておく目的でその輸入が承認されたことを輸入国政府が証明する場合を除くほか、禁止する。その証明がある場合には、その送り荷がそのような目的で輸出される旨を輸出許可書に明示する。保税倉庫から出すためには、その都度当該保税倉庫を管轄する当局の許可を受けることを必要とするものとし、外国を仕向地とする場合には、この条約上の新規の輸出として取り扱う。

(d) 締約国の領域に入り又はその領域を出る送り荷で輸出許可書が添付されていないものは、権限のある当局が留置する。

(e) 締約国は、自国の領域を通過して他の国へ送られる物質につき、その送り荷についての輸出許可書が当該締約国の権限のある当局に提示されない限り、その送り荷がこれを運搬する輸送手段から取り卸されるか取り卸されないかを問わず、その通過を認めてはならない。

(f) 物質の送り荷の通過を認める国又は地域の権限のある当局は、その送り荷がこれに添付されている輸出許可書に記載された仕向地と異なる仕向地へ転送されることを防止するための必要なすべての措置をとる。ただし、送り荷が通過する国又は地域の政府が転送を許可する場合は、この限りでない。送り荷が通過する国又は地域の政府は、要請された転送を自国又はその地域から新たな仕向地である国又は地域への輸出として取り扱う。転送が許可されたときは、1(e)の規定は、送り荷が通過する国又は地域と最初にその送り荷を輸出した国又は地域との間についても、適用する。

(g) 物質の送り荷に対しては、通過中又は保税倉庫に保管中は、当該物質の性質を変化させるいかなる加工も施してはならない。その包装は、権限のある当局の許可なしに変更してはならない。

(h) 物質が締約国の領域を通過することに関する(e)から(g)までの規定は、通過する国又は地域に着陸しない航空機によって送り荷が輸送される場合については、適用しない。航空機がこれらの国又は地域に着陸する場合には、これらの規定は、必要に応じて適用する。

(i) この3の規定は、締約国が通過中の物質について実施する統制を制限するいかなる国際協定の規定の適用も妨げるものではない。

第十三条 輸出及び輸入に関する禁止及び制限

1 締約国は、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質のうち自国又はその地域への輸入を禁止する一又は二以上のものを指定して、これを事務総長を通じて他のすべての締約国に通告することができる。その通告には、付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げる物質の名称を用いる。

2 1の規定に基づく禁止について通告を受けた締約国は、その通告において指定された物質がその通告を行った締約国又はその地域へ輸出されないことを確保するための措置を講ずる。

3 1及び2の規定にかかわらず、1の規定に基づく通告を行った締約国は、当該指定された物質又はこれを含有する製剤の特定された数量の輸入を、その都度特別の輸入許可書によって認めることができる。輸入国の輸入許可書の発給当局は、輸出する国又は地域の権限のある当局に対し、輸入者及び輸出者の氏名及び住所を明示する特別の輸入許可書二通を送付するものとし、その後、当該権限のある当局は、輸出者の輸出を認めることができる。輸出する国又は地域の権限のある当局によって適切に裏書された特別の輸入許可書一通は、送り荷に添付する。

第十四条 国際交通に従事する船舶、航空機その他公共の輸送手段における救急箱内の向精神薬の運搬に関する特別規定

1 船舶、航空機その他国際列車、国際バスのような国際的な公共の輸送手段が、その航行中又は運行中に救急の目的又は緊急の場合のために必要とされることがある少量の物質で付表Ⅱから付表Ⅳまでに掲げるものを国際間で運搬することは、この条約上の輸出、輸入又は通過として取り扱わない。

2 船舶、航空機その他国際的な公共の輸送手段の登録国は、1の物質の適正でない使用又は不正な目的への流用を防止するため、適当な保障措置をとる。麻薬委員会は、適当な国際機関と協議して、その保障措置を勧告する。

3 船舶、航空機その他国際列車、国際バスのような国際的な公共の輸送手段が1の規定に基づいて運搬する物質は、当該船舶、航空機その他国際的な公共の輸送手段の登録国の法令、許可又は免許によって規律する。ただし、関係地の権限のある当局が当該船舶、航空機その他国際的な公共の輸送手段内において点検、検査その他の取締措置を実施する権利は、害されない。緊急の場合における当該物質の施用は、第九条1の規定の違反として取り扱わない。

第十五条 監視

締約国は、向精神薬の製造業者、輸出者、輸入者、卸売業者及び小売業者並びに向精神薬を使用する医療機関及び学術研究機関に対する監視の制度を維持するものとし、また、必要と認める頻度でこれらの者及び機関の建造物、貯蔵物及び記録を検査する。

第十六条 締約国が提出する報告

1 締約国は、麻薬委員会がその任務の遂行上必要なものとして要請する資料、特に自国の領域におけるこの条約の運用に関する年次報告(次の事項に関する資料を含む。)を、事務総長に提出する。

(a) 向精神薬に関する法令の重要な変更

(b) 自国の領域における向精神薬の濫用及び不正取引についての特記すべき動向

2 締約国は、また、事務総長に対し、第七条(f)、第十二条及び第十三条3の当局の名称及び所在地を通知する。これらに関する資料は、事務総長がすべての締約国の利用に供する。

3 締約国は、次の観点から重要と認める向精神薬の不正取引又はその不正取引に係る押収につき、できる限り速やかに事務総長に対し報告を提出する。

(a) 不正取引について顕在化した新たな傾向

(b) 不正取引に係る数量

(c) 向精神薬の入手源の解明に役立つ事実

(d) 不正取引を行った者が用いた方法

締約国は、その報告の写しを第二十一条(b)の規定に従って送付する。

4 締約国は、次の事項に関する年次統計報告を、統制委員会に対しその作成した用紙を用いて提出する。

(a) 付表Ⅰ及び付表Ⅱに掲げる物質ごとの製造量、各国又は各地域との間の輸出量及び輸入量並びに製造業者が保有する在庫量

(b) 付表Ⅲ及び付表Ⅳに掲げる物質ごとの製造量並びに輸出及び輸入の総量

(c) 付表Ⅱ及び付表Ⅲに掲げる物質ごとの免除される製剤の製造に使用された数量

(d) 付表Ⅰに掲げる物質以外の向精神薬ごとの第四条(b)の規定に基づいて産業上の目的のために使用された数量

(a)及び(b)の製造量には、製剤の製造量を含まない。

5 締約国は、統制委員会の要請により、付表Ⅲ及び付表Ⅳに掲げる物質の将来の一定の期間に係る各国又は各地域との間の輸出量及び輸入量に関する補足統計資料を、同委員会に提出する。当該締約国は、統制委員会に対し、資料提出の要請及びこの5の規定に従って提出する資料のいずれも、秘密のものとして取り扱うよう要請することができる。

6 締約国は、麻薬委員会又は統制委員会が要請する方法及び期限に従って、1及び4に規定する資料を提出する。

第十七条 麻薬委員会の任務

1 麻薬委員会は、この条約の目的及び実施に関するすべての事項を審議し並びにこれらに関する勧告を行うことができる。

2 第二条及び第三条に規定する麻薬委員会の決定は、その構成国の三分の二以上の多数による議決で行う。

第十八条 統制委員会の報告

1 統制委員会は、その業務に関する年次報告を作成する。年次報告には、同委員会が利用することのできる統計資料の分析並びに、適当な場合には、締約国政府が行い又は要請されて行った説明の記述並びに同委員会が付することを希望する意見及び勧告を含む。統制委員会は、必要と認める追加の報告を作成することができる。これらの報告は、麻薬委員会を通じて理事会に提出するものとし、麻薬委員会は、適切と認める意見を付することができる。

2 統制委員会の報告は、事務総長が締約国に通知し、その後公表する。締約国は、その無制限の配布を認める。

第十九条 この条約の実施を確保するために統制委員会がとる措置

(a) 統制委員会は、締約国政府により提出された資料又は国際連合の機関により通知された資料を検討した結果、いずれかの国又は地域がこの条約を実施していないためにこの条約の目的が著しく損なわれていると信ずるに足りる理由を有する場合には、当該いずれかの国又は地域の政府に対して説明を求める権利を有する。統制委員会は、(c)に規定する問題につき締約国、理事会及び麻薬委員会の注意を喚起する権利を行使する場合を除くほか、この(a)の規定に基づく資料提出の要請及び政府の説明を秘密のものとして取り扱う。

(b) 統制委員会は、(a)の規定に基づく措置をとった後、必要と認めるときは、当該いずれかの国又は地域の政府に対し、この条約を実施するために状況に応じ必要と思われる是正措置をとることを求めることができる。

(c) 統制委員会は、当該いずれかの国又は地域の政府が(a)の規定に基づいて求められた説明を十分に行わず又は(b)の規定に従って求められた是正措置をとらなかったと認める場合には、このような問題につき締約国、理事会及び麻薬委員会の注意を喚起することができる。

2 統制委員会は、1(c)の規定に従い、何らかの問題につき締約国、理事会及び麻薬委員会の注意を喚起する場合において、必要と認めるときは、締約国に対し、当該いずれかの国又は地域との間の特定の向精神薬の輸出若しくは輸入又はその双方を、一定の期間又は統制委員会が当該いずれかの国若しくは地域における事情について満足するまでの間停止するよう勧告することができる。当該いずれかの国は、当該何らかの問題を理事会に提起することができる。

3 統制委員会は、この条の規定に従って処理したいずれの問題についても報告を公表し及びこれを理事会に通知する権利を有するものとし、理事会は、これをすべての締約国に送付する。統制委員会は、この条の規定に基づいて行った決定又はその決定に関連する資料を当該報告の中で公表する場合において、当該いずれかの国又は地域の政府が要請したときは、その意見も当該報告の中で公表する。

4 この条の規定に基づいて公表される統制委員会の決定が全会一致によるものでない場合には、少数意見も公表する。

5 いずれの国も、自国に直接関係のある問題がこの条の規定に基づいて審議される統制委員会の会合に代表者を出席させるよう招請される。

6 この条の規定に基づく統制委員会の決定は、委員の全員の三分の二以上の多数による議決で行う。

7 1から6までの規定は、統制委員会が第二条7の規定に基づく締約国の決定の結果この条約の目的が著しく損なわれていると信ずるに足りる理由を有する場合においても、適用する。

第二十条 向精神薬の濫用に対する措置

1 締約国は、向精神薬の濫用の防止並びに濫用に陥った者の早期発見、治療、教育、後保護、更生及び社会復帰のため、あらゆる可能な措置をとり、また、相互に協力する。

2 締約国は、向精神薬の濫用者の治療、後保護、更生及び社会復帰に従事する職員の養成をできる限り促進する。

3 締約国は、向精神薬の濫用及びその防止に係る問題に対する理解を職業上必要とする者がこれらの問題に対する理解を深めることを援助するものとし、また、向精神薬の濫用がまん延するおそれがある場合には、これらの問題に対する一般大衆の理解を増進する。

第二十一条 不正取引に対する措置

締約国は、自国の憲法上、法律上及び行政上の制度に妥当な考慮を払いつつ、次のことを行う。

(a) 不正取引に対する防止及び抑圧の措置について全国的な規模の調整を行うこと。このため、締約国がその調整について責任を有する適当な機関を指定することは、有益である。

(b) 向精神薬の不正取引を無くすための活動において相互に援助すること、特に、発覚した不正取引事件又は押収につき第十六条の規定に従って事務総長にあてた報告の写しを、外交上の経路により又は締約国がそのために指定した権限のある当局を通じて、直接に関係を有する他の締約国にあてて直ちに送付すること。

(c) 不正取引を無くすための協同活動を維持するため、相互に及び自国が構成国となっている関係国際機関と密接に協力すること。

(d) 適当な機関の間における国際協力が迅速に行われるようにすること。

(e) 司法書類が司法手続のために国際間で送付される場合には、その送付が締約国の指定する機関に対して迅速に行われるようにすること。この(e)の規定は、司法書類が外交上の経路により自国に送付されることを要求する締約国の権利を害するものではない。

第二十二条 刑罰規定

(a) 締約国は、自国の憲法上の制限に従うことを条件として、この条約に定める義務の履行のために定められた法令に違反するいかなる行為も、これが故意に行われた場合には、処罰すべき犯罪として取り扱うものとし、また、重大な犯罪に対しては相当な処罰を、特に拘禁刑その他の自由をはく奪する刑を科することを確保する。

(b) (a)の規定にかかわらず、締約国は、向精神薬の濫用者が(a)の犯罪を犯した場合には、有罪判決若しくは処罰に代わるものとして又は処罰のほかに、第二十条1の規定に従いそのような濫用者が治療、教育、後保護、更生及び社会復帰の措置を受けることとすることができる。

2 締約国の憲法上の制限、法制及び国内法に従うことを条件として、

(a)

(i) 1に規定する犯罪を構成する一連の関連する行為が二以上の国にわたって行われた場合には、国ごとに別個の犯罪とみなす。

(ii) 1に規定する犯罪への故意による参加、その犯罪の共謀及び未遂並びにこの条に規定する犯罪に関連する予備行為及び資金の操作は、1に規定する処罰すべき犯罪とする。

(iii) 1に規定する犯罪に対する外国の有罪判決は、累犯の認定のために考慮される。

(iv) 自国民又は外国人によって行われた1(a)の重大な犯罪は、その犯罪が行われた領域の属する締約国によって、又は犯罪者が発見された領域の属する締約国によって(犯罪人引渡しがその請求を受けた締約国の法律上認められず、かつ、その犯罪者がまだ訴追及び判決を受けていない場合に限る。)訴追される。

(b) 1及び2(a)(ii)に規定する犯罪は、締約国の間で締結されており又は将来締結されることのある犯罪人引渡条約においても、また、条約の存在又は相互主義を犯罪人引渡しの条件としない締約国間の関係においても、犯罪人引渡しの対象となる犯罪とすることが望ましい。ただし、犯罪人引渡しは、その請求を受けた締約国の法律に従って行わなければならないものとし、その締約国は、権限のある当局がその犯罪を重大でないものと認めたときは、逮捕をし又は犯罪人引渡しをすることを拒絶する権利を有する。

3 1及び2に規定する犯罪の実行に当たって用い又は用いようとした向精神薬その他の物質及び装置は、押収し及び没収することができる。

4 この条の規定は、裁判管轄権の問題に関しては、関係締約国の国内法の規定の適用を妨げるものではない。

5 この条のいかなる規定も、この条に規定する犯罪を締約国の国内法に従って定義し、訴追し及び処罰するという原則に影響を及ぼすものではない。

第二十三条 この条約が要求する措置よりも厳しい統制措置の適用

締約国は、公衆の健康及び福祉を保護するために必要であり又は望ましいと認める場合には、この条約の定める措置よりも精細な又は厳しい統制措置をとることができる。

第二十四条 国際機関がこの条約を実施するために負担する経費

麻薬委員会及び統制委員会がこの条約に基づくそれぞれの任務を遂行するための経費は、国際連合総会が決定する方法で国際連合が負担する。国際連合加盟国でない締約国は、同総会が公平と認め、かつ、当該締約国の政府と協議して随時決定する額をこれらの経費に充てるため分担する。

第二十五条 参加、署名、批准及び加入の手続

1 国際連合加盟国、国際連合の非加盟国であって国際連合の専門機関若しくは国際原子力機関の加盟国又は国際司法裁判所規程の当事国であるもの及び理事会が招請するその他の国は、次のいずれかの方法によりこの条約の締約国となることができる。

(a) 署名すること。

(b) 批准を条件として署名した後、批准すること。

(c) 加入すること。

2 この条約は、千九百七十二年一月一日までは署名のため、その後は加入のため、開放しておく。

3 批准書又は加入書は、事務総長に寄託する。

第二十六条 効力発生

1 この条約は、前条1に規定する国のうち四十の国が批准を条件とすることなく署名し又は批准書若しくは加入書を寄託した後九十日目の日に効力を生ずる。

2 1の署名又は寄託のうち最後のものの後に批准を条件とすることなく署名し又は批准書若しくは加入書を寄託する国については、この条約は、その署名又は批准書若しくは加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。

第二十七条 適用領域

この条約は、いずれかの締約国が国際関係について責任を有するすべての非本土領域について適用する。ただし、当該領域の事前の同意が当該締約国若しくは領域の憲法により又は慣行上必要とされる場合は、この限りでない。そのような場合には、当該締約国は、できる限り短い期間内に当該領域の必要な同意を得るように努力するものとし、その同意を得たときは、その旨を事務総長に通告する。この条約は、事務総長がその通告を受領した日からその通告に掲げる領域について適用する。非本土領域の事前の同意が必要とされない場合には、当該締約国は、署名、批准又は加入の際にこの条約を適用する非本土領域を宣言する。

第二十八条 この条約の適用上の地域

1 この条約の適用上、締約国は、その領域を二以上の地域に分割し又は二以上の地域を単一の地域に統合することを、事務総長に通告することができる。

2 二以上の締約国は、相互の間に関税同盟を設立したことによりこれらの締約国がこの条約の適用上単一の地域を形成することとなることを、事務総長に通告することができる。

3 1又は2の規定に基づく通告は、その通告が行われた年の翌年の一月一日に効力を生ずる。

第二十九条 廃棄

1 締約国は、この条約の効力発生の日から二年を経過した後は、自国のために又は自国が国際関係について責任を有する領域であって第二十七条の規定に従って与えた同意を撤回したもののために、事務総長に文書を寄託することによってこの条約を廃棄することができる。

2 廃棄は、事務総長がいずれの年においても七月一日以前にその文書を受領した場合には翌年の一月一日に効力を生じ、七月一日後にその文書を受領した場合には翌年の七月一日以前に受領したものとして同様に効力を生ずる。

3 この条約は、1及び2の規定により行われる廃棄の結果第二十六条1に定める効力発生のための条件が存在しなくなったときは、終了する。

第三十条 改正

1 いずれの締約国も、この条約の改正を提案することができる。改正案及びその理由は、事務総長に通告するものとし、事務総長は、これを締約国及び理事会に通知する。理事会は、次のいずれかのことを決定することができる。

(a) 改正案を審議するため、国際連合憲章第六十二条4の規定に従って会議を招集すること。

(b) 締約国に対し、改正案を受諾するかしないかを照会するとともに、その提案についての意見を理事会に提出するよう求めること。

2 1(b)の規定に従って配布した改正案についてその配布の後十八箇月以内にいずれの締約国も反対しなかった場合には、その改正案は、直ちに効力を生ずる。改正案についていずれかの締約国が反対した場合には、理事会は、締約国から受領した意見を考慮してその改正案を審議するための会議を招集するかどうかを決定することができる。

第三十一条 紛争

1 この条約の解釈又は適用に関して締約国間に紛争が生じた場合には、当該締約国は、交渉、調査、仲介、調停、仲裁、地域的機関への依頼、司法上の手続その他の当該締約国が選択する平和的手段により紛争を解決するため、協議する。

2 1に定めるところによって解決することができない紛争は、いずれかの紛争当事国の要請により、決定のため国際司法裁判所に付託する。

第三十二条 留保

1 留保は、2から4までの規定に基づいて行われるものを除くほか、認められない。

2 いずれの国も、署名、批准又は加入の際に、この条約の次の規定について留保を付することができる。

(a) 第十九条の1及び2

(b) 第二十七条

(c) 前条

3 締約国となることを希望する国であって2及び4の規定に基づいて行う留保以外の留保が認められることを希望するものは、その意向を事務総長に通告することができる。当該留保について事務総長が通知した日の後十二箇月の期間の満了までに、当該期間の末日以前に批准を条件とすることなくこの条約に署名し、これを批准し又はこれに加入した国の三分の一が異議を申し立てないときは、当該留保は、認められたものとする。ただし、留保に対して異議を申し立てた国は、当該留保を行った国に対しこの条約に基づく法的義務で当該留保によって影響を受けるものを負うことを必要としないものと了解される。

4 付表Ⅰの向精神薬を含有する植物が自国の領域に自生しており、これが少数の明確に限定された集団により伝統的に幻術的又は宗教的儀式において使用されている国は、署名、批准又は加入の際に第七条の規定(国際取引についての規定を除く。)につきその植物に関する留保を付することができる。

5 留保を行った国は、書面で事務総長に通告することにより、いつでも、その留保の全部又は一部を撤回することができる。

第三十三条 通報

事務総長は、第二十五条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。

(a) 第二十五条の規定による署名、批准及び加入

(b) 第二十六条の規定によりこの条約が効力を生ずる日

(c) 第二十九条の規定による廃棄

(d) 第二十七条、第二十八条、第三十条及び前条の規定による宣言及び通告

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、各自の政府のためにこの条約に署名した。

千九百七十一年二月二十一日にウィーンで、ひとしく正文である中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により本書一通を作成した。この条約は、事務総長に寄託するものとし、事務総長は、その認証謄本をすべての国際連合加盟国及び第二十五条1に規定するその他の国に送付する。

付表に掲げる物質の表

付表Ⅰ

(令五外告四〇二・全改)


国際一般名称

他の一般名又は慣用名

化学名


二五B―NBOMe、二C―B―NBOMe

二―(四―ブロモ―二・五―ジメトキシフェニル)―N―[(二―メトキシフェニル)メチル]エタンアミン

ブロランフェタミン

DOB

(±)―四―ブロモ―二・五―ジメトキシ―α―メチルフェネチルアミン


二五C―NBOMe、二C―C―NBOMe

二―(四―クロロ―二・五―ジメトキシフェニル)―N―[(二―メトキシフェニル)メチル]エタンアミン

カチノン


(-)―(S)―二―アミノプロピオフェノン


DET

三―[二―(ジエチルアミノ)エチル]インドール


DMA

(±)―二・五―ジメトキシ―α―メチルフェネチルアミン


DMHP

三―(一・二―ジメチルヘプチル)―七・八・九・一〇―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール


DMT

三―[二―(ジメチルアミノ)エチル]インドール


DOC

一―(四―クロロ―二・五―ジメトキシフェニル)プロパン―二―アミン

一〇


DOET

(±)―四―エチル―二・五―ジメトキシ―α―メチルフェネチルアミン

一一

エチシクリジン

PCE

N―エチル―一―フェニルシクロヘキシルアミン

一二

エトリプタミン


三―(二―アミノブチル)インドール

一三


N―ヒドロキシMDA

(±)―N―[α―メチル―三・四―(メチレンジオキシ)フェネチル]ヒドロキシルアミン

一四


二五I―NBOMe、二C―I―NBOMe

二―(四―ヨード―二・五―ジメトキシフェニル)―N―[(二―メトキシフェニル)メチル]エタンアミン

一五

(+)―リゼルギド

LSD、LSD―二五

九・一〇―ジデヒドロ―N・N―ジエチル―六―メチルエルゴリン―八β―カルボキサミド

一六


MDE、N―エチルMDA

(±)―N―エチル―α―メチル―三・四―(メチレンジオキシ)フェネチルアミン

一七


MDMA

(±)―N・α―ジメチル―三・四―(メチレンジオキシ)フェニルエチルアミン

一八


メスカリン

三・四・五―トリメトキシフェネチルアミン

一九


メトカチノン

二―(メチルアミノ)―一―フェニルプロパン―一―オン

二〇


四―メチルアミノレクス

(±)―シス―二―アミノ―四―メチル―五―フェニル―二―オキサゾリン

二一


MMDA

五―メトキシ―α―メチル―三・四―(メチレンジオキシ)フェニルエチルアミン

二二


四―MTA

α―メチル―四―メチルチオフェネチルアミン

二三


パラヘキシル

三―ヘキシル―七・八・九・一〇―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

二四


パラ―メトキシメチルアンフェタミン、PMMA

一―(四―メトキシフェニル)―N―メチルプロパン―二―アミン

二五


PMA

p―メトキシ―α―メチルフェネチルアミン

二六


サイロシン、サイロトシン

三―[二―(ジメチルアミノ)エチル]インドール―四―オール

二七

サイロシビン


三―[二―(ジメチルアミノ)エチル]インドール―四―イルリン酸エステル

二八

ロリシクリジン

PHP、PCPY

一―(一―フェニルシクロヘキシル)ピロリジン

二九


STP、DOM

二・五―ジメトキシ―α・四―ジメチルフェネチルアミン

三〇

テナンフェタミン

MDA

α―メチル―三・四―(メチレンジオキシ)フェネチルアミン

三一

テノシクリジン

TCP

一―[一―(二―チエニル)シクロヘキシル]ピペリジン

三二


テトラヒドロカンナビノールの次の異性体及びその立体異性体

七・八・九・一〇―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

八・九・一〇・一〇a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

六a・九・一〇・一〇a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

六a・七・一〇・一〇a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

六a・七・八・九―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

六a・七・八・九・一〇・一〇a―ヘキサヒドロ―六・六―ジメチル―九―メチレン―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

三三


TMA

(±)―三・四・五―トリメトキシ―α―メチルフェネチルアミン

この付表Ⅰに掲げる物質の塩類が存在するときはその塩類

この付表Ⅰに掲げる物質の立体異性体が特定の化学名の下に存在しうるときはその立体異性体(特に除外されるものを除く。)

付表Ⅱ

(令五外告四〇二・全改)


国際一般名称

他の一般名又は慣用名

化学名


α―ピロリジノバレロフェノン、α―PVP

一―フェニル―二―(ピロリジン―一―イル)ペンタン―一―オン


AB―CHMINACA

N―[(二S)―一―アミノ―三―メチル―一―オキソブタン―二―イル)―一―(シクロヘキシルメチル)―一H―インダゾール―三―カルボキサミド


AB―FUBINACA

N―[一―アミノ―三―メチル―一―オキソブタン―二―イル]―一―[(四―フルオロフェニル)メチル]―一H―インダゾール―三―カルボキサミド


AB―PINACA

N―[(二S)―一―アミノ―三―メチル―一―オキソブタン―二―イル]―一―ペンチル―一H―インダゾール―三―カルボキサミド


ADB―BUTINACA

N―[一―(アミノカルボニル)―二・二―ジメチルプロピル]―一―ブチル―一H―インダゾール―三―カルボキサミド


ADB―CHMINACA(MAB―CHMINACA)

N―[(二S)―一―アミノ―三・三―ジメチル―一―オキソブタン―二―イル)―一―(シクロヘキシルメチル)―一H―インダゾール―三―カルボキサミド


ADB―FUBINACA

N―[(二S)―一―アミノ―三・三―ジメチル―一―オキソブタン―二―イル]―一―[(四―フルオロフェニル)メチル]―一H―インダゾール―三―カルボキサミド


アルファ―PiHP

四―メチル―一―フェニル―二―(ピロリジン―一―イル)ペンタン―一―オン


アルファ―PHP

一―フェニル―二―(ピロリジン―一―イル)ヘキサン―一―オン

一〇


AM―二二〇一

一―(五―フルオロペンチル)―一H―インドール―三―イル]―(ナフタレン―一―イル)メタノン

一一

アンフェタミン

アンフェタミン

(±)―α―メチルフェネチルアミン

一二

アミネプチン


七―[(一〇・一一―ジヒドロ―五H―ジベンゾ[a・d]シクロヘプテン―五―イル)アミノ]ヘプタン酸

一三


N―ベンジルピペラジン、BZP

一―ベンジルピペラジン

一四


二C―B

四―ブロモ―二・五―ジメトキシフェネチルアミン

一五


四―CMC(四―クロロメトカチノン、クレフェドロン)

一―(四―クロロフェニル)―二―(メチルアミノ)プロパン―一―オン

一六


CUMYL―4CN―BINACA

一―(四―シアノブチル)―N―(二―フェニルプロパン―二―イル)―一H―インダゾール―三―カルボキサミド

一七


CUMYL―PEGACLONE

五―ペンチル―二―(二―フェニルプロパン―二―イル)―二・五―ジヒドロ―一H―ピリド[四・三―b]インドール―一―オン

一八

デキサンフェタミン

デキサンフェタミン

(+)―α―メチルフェネチルアミン

一九


ジフェニジン

一―(一・二―ジフェニルエチル)ピペリジン

二〇

ドロナビノール(注)

デルタ―九―テトラヒドロカンナビノール及びその立体異性体

(六aR・十aR)―六a・七・八・一〇a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ[b・d]ピラン―一―オール

二一


N―エチルヘキセドロン

二―(エチルアミノ)―一―フェニルヘキサン―一―オン

二二


N―エチルノルペンチロン(エフィロン)

一―(二H―一・三―ベンゾジオキソル―五―イル)―二―(エチルアミノ)ペンタン―一―オン

二三


エチロン

一―(二H―一・三―ベンゾジオキソル―五―イル)―二―(エチルアミノ)プロパン―一―オン

二四


エチルフェニデート

エチルフェニル(ピペリジン―二―イル)酢酸

二五


ユーチロン

一―(一・三―ベンゾジオキソル―五―イル)―二―(エチルアミノ)ブタン―一―オン

二六


四―フルオロアンフェタミン(4―FA)

一―(四―フルオロフェニル)プロパン―二―アミン

二七


四F―MDMB―BINACA

メチル二―{[一―(四―フルオロブチル)―一H―インダゾール―三―カルボニル]アミノ}―三・三―ジメチルブタノアート

二八


五F―AMB―PINACA(五F―AMB、五F―MMB―PINACA)

メチル二―{[一―(五―フルオロペンチル)―一H―インダゾール―三―カルボニル]アミノ}―三―メチルブタノアート

二九


五F―APINACA(五F―AKB―48)

N―(アダマンタン―一―イル)―一―(五―フルオロペンチル)―一H―インダゾール―三―カルボキサミド

三〇


五F―MDMB―PICA(五F―MDMB―二二〇一)

メチル二―{[一―(五―フルオロペンチル)―一H―インドール―三―カルボニル]アミノ}―三・三―ジメチルブタノアート

三一


五F―MDMB―PINACA(五F―ADB)

メチル(二S)―二―{[一―(五―フルオロペンチル)―一H―インダゾール―三―カルボニル]アミノ}―三・三―ジメチルブタノアート

三二

フェネチリン


七―[二―[(α―メチルフェネチル)アミノ]エチル]テオフィリン

三三


五F―PB―二二

キノリン―八―イル一―(五―フルオロペンチル)―一H―インドール―三―カルボキシラート

三四


FUB―AMB(MMB―FUBINACA、AMB―FUBINACA)

メチル(二S)―二―({一―[(四―フルオロフェニル)メチル]―一H―インダゾール―三―カルボニル}アミノ)―三―メチルブタノアート

三五


GHB

γ―ヒドロキシ酪酸

三六


JWH―〇一八

ナフタレン―一―イル(一―ペンチル―一H―インドール―三―イル)メタノン

三七

レバンフェタミン

レバンフェタミン

(-)―(R)―α―メチルフェネチルアミン

三八


レボメタンフェタミン

(-)―N・α―ジメチルフェネチルアミン

三九


MDMB―CHMICA

メチルN―{[一―(シクロヘキシルメチル)―一H―インドール―三―イル]カルボニル}―三―メチル―L―バリナート

四〇


MDMB―四en―PINACA

メチル三・三―ジメチル―二―(一―(ペンタ―四―エン―一―イル)―一H―インダゾール―三―カルボキサミド)ブタノアート

四一

メクロカロン


三―(オルト―クロロフェニル)―二―メチル―四(三H)―キナゾリノン

四二


メフェドロン、四―メチルメトカチノン

(RS)―二―(メチルアミノ)―一―(四―メチルフェニル)プロパン―一―オン

四三

メタンフェタミン

メタンフェタミン

(+)―(S)―N・α―ジメチルフェネチルアミン

四四

メタンフェタミンラセメート

メタンフェタミンラセメート

(±)―N・α―ジメチルフェネチルアミン

四五

メタカロン


二―メチル―三―オルト―トリル―四(三H)―キナゾリノン

四六


メチオプロパミン(MPA)

N―メチル―一―(チオフェン―二―イル)プロパン―二―アミン

四七


メトキセタミン、MXE

二―(エチルアミノ)―二―(三―メトキシフェニル)シクロヘキサノン

四八


三―メトキシフェンシクリジン

一―(一―(三―メトキシフェニル)シクロヘキシル)ピペリジン

四九


三・四―メチレンジオキシピロ―バレロン、MDPV

(RS)―一―(ベンゾ[d][一・三]ジオキソル―五―イル)―二―(ピロリジン―一―イル)ペンタン―一―オン

五〇


四―メチルエトカチノン(四―MEC)

二―(エチルアミノ)―一―(四―メチルフェニル)プロパン―一―オン

五一


三―メチルメトカチノン

二―(メチルアミノ)―一―(三―メチルフェニル)プロパン―一―オン

五二


メチロン、ベータ―ケト―MDMA

(RS)―二―メチルアミノ―一―(三・四―メチレンジオキシフェニル)プロパン―一―オン

五三

メチルフェニデート


メチルα―フェニル―二―ピペリジン酢酸

五四


パラ―メチル―四―メチルアミノレクス、四・四'―DMAR

四―メチル―五―(四―メチルフェニル)―四・五―ジヒドロ―一・三―オキサゾール―二―アミン

五五


ペンテドロン

二―(メチルアミノ)―一―フェニルペンタン―一―オン

五六

フェンシクリジン

PCP

一―(一―フェニルシクロヘキシル)ピペリジン

五七

フェンメトラジン


三―メチル―二―フェニルモルホリン

五八

セコバルビタール


五―アリル―五―(一―メチルブチル)バルビツル酸

五九


UR―一四四

(一―ペンチル―一H―インドール―三―イル)(二・二・三・三―テトラメチルシクロプロピル)メタノン

六〇


XLR―一一

[一―(五―フルオロペンチル)―一H―インドール―三―イル](二・二・三・三―テトラメチルシクロプロピル)メタノン

六一

ジペプロール


α―(α―メトキシベンジル)―四―(β―メトキシフェネチル)―一―ピペラジンエタノール

この付表Ⅱに掲げる物質の塩類が存在するときはその塩類

注 この国際一般名称は、デルタ―九―テトラヒドロカンナビノールの立体異性体のうち、(-)―トランス―デルタ―九―テトラヒドロカンナビノールのみを示す。

付表Ⅲ

(令五外告四〇二・全改)


国際一般名称

他の一般名又は慣用名

化学名

アモバルビタール


五―エチル―五―イソペンチルバルビツル酸

ブプレノルフィン


二一―シクロプロピル―七a―[(S)―一―ヒドロキシ―一・二・二―トリメチルプロピル]―六・一四―エンド―エタノ―六・七・八・一四―テトラヒドロオリパビン

ブタルビタール


五―アリル―五―イソブチルバルビツル酸

カチン

(+)―ノルプソイドエフェドリン

(+)―(S)―α―[(S)―一―アミノエチル]ベンジルアルコール

シクロバルビタール


五―(一―シクロヘキセン―一―イル)―五―エチルバルビツル酸

フルニトラゼパム


五―(オルト―フルオロフェニル)―一・三―ジヒドロ―一―メチル―七―ニトロ―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

グルテチミド


二―エチル―二―フェニルグルタルイミド

ペンタゾシン


(二R・六R・一一R)―一・二・三・四・五・六―ヘキサヒドロ―六・一一―ジメチル―三―(三―メチル―二―ブテニル)―二・六―メタノ―三―ベンツアゾシン―八―オール

ペントバルビタール


五―エチル―五―(一―メチルブチル)バルビツル酸

この付表Ⅲに掲げる物質の塩類が存在するときはその塩類

付表Ⅳ

(令五外告四〇二・全改)


国際一般名称

他の一般名又は慣用名

化学名

アロバルビタール


五・五―ジアリルバルビツル酸

アルプラゾラム


八―クロロ―一―メチル―六―フェニル―四H―s―トリアゾロ[四・三―a][一・四]ベンゾジアゼピン

アンフェプラモン

ジエチルプロピオン

二―(ジエチルアミノ)プロピオフェノン

アミノレクス


二―アミノ―五―フェニル―二―オキサゾリン

バルビタール


五・五―ジエチルバルビツル酸

ベンツフェタミン

ベンツフェタミン

N―ベンジル―N―α―ジメチルフェネチルアミン

ブロマゼパム


七―ブロモ―一・三―ジヒドロ―五―(二―ピリジル)―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

ブロチゾラム


二―ブロモ―四―(オルト―クロロフェニル)―九―メチル―六H―チエノ[三・二―f]―s―トリアゾロ[四・三―a][一・四]ジアゼピン


ブトバルビタール

五―ブチル―五―エチルバルビツル酸

一〇

カマゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―三―ヒドロキシ―一―メチル―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オンジメチルカルバミン酸(エステル)

一一

クロルジアゼポキシド


七―クロロ―二―(メチルアミノ)―五―フェニル―三H―一・四―ベンゾジアゼピン―四―オキシド

一二

クロバザム


七―クロロ―一―メチル―五―フェニル―一H―一・五―ベンゾジアゼピン―二・四(三H・五H)―ジオン

一三

クロナゼパム


五―(オルト―クロロフェニル)―一・三―ジヒドロ―七―ニトロ―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

一四


クロナゾラム

六―(二―クロロフェニル)―一―メチル―八―ニトロ―四H―ベンゾ[f][一・二・四]―トリアゾロ[四・三―a][一・四]ジアゼピン

一五

クロラゼプ酸


エチル七―クロロ―二・三―ジヒドロ―二―オキソ―五―フェニル―一H―一・四―ベンゾジアゼピン―三―カルボン酸

一六

クロチアゼパム


五―(オルト―クロロフェニル)―七―エチル― 一・三―ジヒドロ―一―メチル―二H―チエノ[二・三 ―e]―一・四―ジアゼピン―二―オン

一七

クロキサゾラム


一〇―クロロ―一一b―(オルト―クロロフェニル)―二・三・七・一一b―テトラヒドロオキサゾロ[三・二―d][一・四]ベンゾジアゼピン―六(五H)―オン

一八

デロラゼパム


七―クロロ―五―(オルト―クロロフェニル)―一・三―ジヒドロ―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

一九

ジアゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―一―メチル―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

二〇


ジクラゼパム

七―クロロ―五―(二―クロロフェニル)―一―メチル―一・三―ジヒドロ―二H―ベンゾ[e][一・四]―ベンゾジアゼピン―二―オン

二一

エスタゾラム


八―クロロ―六―フェニル―四H―s―トリアゾロ[四・三―a][一・四]ベンゾジアゼピン

二二

エスクロルビノール


一―クロロ―三―エチル―一―ペンテン―四―イン―三―オール

二三

エチナメート


一―エチニルシクロヘキサノールカルバミン酸

二四

ロフラゼプ酸エチル


エチル七―クロロ―五―(オルト―フルオロフェニル)―二・三―ジヒドロ―二―オキソ―一H―一・四―ベンゾジアゼピン―三―カルボキシラート

二五

エチランフェタミン

N―エチルアンフェタミン

N―エチル―α―メチルフェネチルアミン

二六

エチゾラム


四―(二―クロロフェニル)―二―エチル―九―メチル―六H―チエノ[三・二―f][一・二・四]トリアゾロ[四・三―a][一・四]ジアゼピン

二七

フェンカンファミン


N―エチル―三―フェニル―二―ノルボルナンアミン

二八

フェンプロポレクス


(±)―三―[(α―メチルフェネチル)アミノ]プロピオニトリル

二九


フルアルプラゾラム

八―クロロ―六―(二―フルオロフェニル)―一―メチル―四H―ベンゾ[f][一・二・四]トリアゾロ[四・三―a][一・四]ジアゼピン

三〇


フルブロマゾラム

八―ブロモ―六―(二―フルオロフェニル)―一―メル―四H―ベンゾ[f][一・二・四]トリアゾロ[四・三―a][一・四]ジアゼピン

三一

フルジアゼパム


七―クロロ―五―(オルト―フルオロフェニル)―一・三―ジヒドロ―一―メチル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

三二

フルラゼパム


七―クロロ―一―[二―(ジエチルアミノ)エチル]―五―(オルト―フルオロフェニル)―一・三―ジヒドロ―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

三三

ハラゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―五―フェニル―一―(二・二・二―トリフルオロエチル)―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

三四

ハロキサゾラム


一〇―ブロモ―一一b―(オルト―フルオロフェニル)―二・三・七・一一b―テトラヒドロオキサゾロ[三・二―d][一・四]ベンゾジアゼピン―六(五H)―オン

三五

ケタゾラム


一一―クロロ―八・一二b―ジヒドロ―二・八―ジメチル―一二b―フェニル―四H―[一・三]オキサジノ[三・二―d][一・四]ベンゾジアゼピン―四・七(六H)―ジオン

三六

レフェタミン

SPA

(-)―N・N―ジメチル―一・二―ジフェニルエチルアミン

三七

ロプラゾラム


六―(オルト―クロロフェニル)―二・四―ジヒドロ―二―[(四―メチル―一―ピペラジニル)メチレン]―八―ニトロ―一H―イミダゾ[一・二―a][一・四]ベンゾジアゼピン―一―オン

三八

ロラゼパム


七―クロロ―五―(オルト―クロロフェニル)―一・三―ジヒドロ―三―ヒドロキシ―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

三九

ロルメタゼパム


七―クロロ―五―(オルト―クロロフェニル)―一・三―ジヒドロ―三―ヒドロキシ―一―メチル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

四〇

マジンドール


五―(パラ―クロロフェニル)―二・五―ジヒドロ―三H―イミダゾ[二・一―a]イソインドール―五―オール

四一

メダゼパム


七―クロロ―二・三―ジヒドロ―一―メチル―五―フェニル―一H―一・四―ベンゾジアゼピン

四二

メフェノレクス


N―(三―クロロプロピル)―α―メチルフェネチルアミン

四三

メプロバメート


二―メチル―二―プロピル―一・三―プロパンジオールジカルバミン酸

四四

メソカルブ


三―(α―メチルフェネチル)―N―(フェニルカルバモイル)シドノンイミン

四五

メチルフェノバルビタール


五―エチル―一―メチル―五―フェニルバルビツル酸

四六

メチプリロン


三・三―ジエチル―五―メチル―二・四―ピペリジン―ジオン

四七

ミダゾラム


八―クロロ―六―(オルト―フルオロフェニル)―一―メチル―四H―イミダゾ[一・五―a][一・四]ベンゾジアゼピン

四八

ニメタゼパム


一・三―ジヒドロ―一―メチル―七―ニトロ―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

四九

ニトラゼパム


一・三―ジヒドロ―七―ニトロ―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

五〇

ノルダゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

五一

オキサゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―三―ヒドロキシ―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

五二

オキサゾラム


一〇―クロロ―二・三・七・一一b―テトラヒドロ―二―メチル―一一b―フェニルオキサゾロ[三・二―d][一・四]ベンゾジアゼピン―六(五H)―オン

五三

ペモリン


二―アミノ―五―フェニル―二―オキサゾリン―四―オン

五四

フェンジメトラジン


(+)―(二S・三S)―三・四―ジメチル―二―フェニルモルホリン

五五

フェノバルビタール


五―エチル―五―フェニルバルビツル酸

五六


フェナゼパム

七―ブロモ―五―(二―クロロフェニル)―一・三―ジヒドロ―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

五七

フェンテルミン


α・α―ジメチルフェネチルアミン

五八

ピナゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―五―フェニル―一―(二―プロピニル)―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

五九

ピプラドロール


一・一―ジフェニル―(二―ピペリジル)メタノール

六〇

プラゼパム


七―クロロ―一―(シクロプロピルメチル)―一・三―ジヒドロ―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

六一

ピロバレロン


四'―メチル―二―(一―ピロリジニル)バレロフェノン

六二

セクブタバルビタール


五―セカンダリ―ブチル―五―エチルバルビツル酸

六三

テマゼパム


七―クロロ―一・三―ジヒドロ―三―ヒドロキシ―一―メチル―五―フェニル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

六四

テトラゼパム


七―クロロ―五―(一―シクロヘキセン―一―イル)―一・三―ジヒドロ―一―メチル―二H―一・四―ベンゾジアゼピン―二―オン

六五

トリアゾラム


八―クロロ―六―(オルト―クロロフェニル)―一―メチル―四H―s―トリアゾロ[四・三―a][一・四]ベンゾジアゼピン

六六

ビニルビタール


五―(一―メチルブチル)五―ビニルバルビツル酸

六七

ゾルピデム


N・N・六―トリメチル―二―パラ―トリルイミダゾ[一・二―a]ピリジン―三―アセタミド

この付表Ⅳに掲げる物質の塩類が存在するときはその塩類

(平成二年九月一日外務省告示第四一四号で平成二年一一月二九日に日本国について効力発生)