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○補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準

(平成十八年九月二十九日)

(厚生労働省告示第五百二十八号)

障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十九項及び第七十六条第二項の規定に基づき、補装具の種目、購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準を次のように定め、平成十八年十月一日から適用する。

補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準

(平三〇厚労告一二一・改称)

1 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号。以下「法」という。)第五条第二十五項に規定する主務大臣が定める補装具の種目は、義肢、装具、座位保持装置、視覚障害者安全つえ、義眼、眼鏡、補聴器、人工内耳(人工内耳用音声信号処理装置の修理に限る。)、車椅子、電動車椅子、座位保持椅子、起立保持具、歩行器、頭部保持具、排便補助具、歩行補助つえ及び重度障害者用意思伝達装置とし、次項から第五項までに定める基準以外の基準については、別表のとおりとする。ただし、障害の現症、生活環境等を特に考慮して市町村が費用を支給する補装具については、別表の規定にかかわらず、法第七十六条第三項の規定による身体障害者更生相談所その他主務省令で定める機関の意見に基づき当該市町村が定めるものとする。

2 前項ただし書の補装具は、購入又は修理をするものであって、同項前段に掲げる補装具の種目に該当し、かつ、別表の規定によらないものとする。

3 法第七十六条第二項の規定に基づき主務大臣が定める補装具の購入等に係る費用の額の基準は、別表の規定による価格の百分の百六に相当する額とする。ただし、第一項ただし書の補装具については、市町村が定める額とする。

4 次に掲げる購入等に係る費用の額の基準は、前項の規定にかかわらず、別表の規定による価格の百分の百十に相当する額とする。

一 別表の1の(5)の眼鏡(遮光用及び弱視用を除く。)の購入

二 別表の1の(5)の歩行補助つえ(プラットホーム杖に限る。)の購入

三 別表の3の(5)の視覚障害者安全つえの項中マグネット付き石突交換

四 別表の3の(5)の眼鏡の項中枠交換(遮光用及び弱視用に係るものを除く。)

五 別表の3の(5)の眼鏡の項中レンズ交換(遮光用レンズ及び遮光矯正用レンズに係るものを除く。)

六 別表の3の(5)の補聴器の項中重度難聴用イヤホン交換、眼鏡型平面レンズ交換、骨導式ポケット型レシーバー交換、骨導式ポケット型ヘッドバンド交換、ワイヤレスマイク充電用ACアダプタ交換及びイヤホン交換

七 別表の3の(5)の車椅子の項中クッション交換、クッション(ポリエステル繊維、ウレタンフォーム等の多層構造のもの及び立体編物構造のもの)交換、クッション(ゲルとウレタンフォームの組合わせのもの)交換、クッション(バルブを開閉するだけで空気量を調整するもの)交換、クッション(特殊な空気室構造のもの)交換、フローテーションパッド交換、背クッション交換、特殊形状クッション(骨盤・大腿部サポート)交換、クッションカバー(防水加工を施したもの)交換、枕(オーダー)交換、リフレクタ(反射器―夜光反射板)交換、テーブル交換、スポークカバー交換、ステッキホルダー(杖たて)交換、栄養パック取り付け用ガートル架交換、点滴ポール交換及び日よけ(雨よけ)部品交換

八 別表の3の(5)の電動車椅子の項中枕(オーダー)交換、バッテリー交換(マイコン内蔵型に係るものを含む。)、外部充電器交換、オイル又はグリス交換、ステッキホルダー(杖たて)交換、栄養パック取り付け用ガートル架交換、点滴ポール交換、延長式スイッチ交換、レバーノブ各種形状(小ノブ、球ノブ、こけしノブ)交換、レバーノブ各種形状(Uノブ、十字ノブ、ペンノブ、太長ノブ、T字ノブ、極小ノブ)交換、日よけ(雨よけ)部品交換、リフレクタ(反射器―夜光反射板)交換及びテーブル交換

九 別表の3の(5)の歩行補助つえの項中凍結路面用滑り止め(非ゴム系)交換

十 別表の3の(5)の重度障害者用意思伝達装置の項中本体修理、固定台(アーム式又はテーブル置き式)交換、固定台(自立スタンド式)交換、入力装置固定具交換、呼び鈴交換、呼び鈴分岐装置交換、接点式入力装置(スイッチ)交換、帯電式入力装置(スイッチ)交換、筋電式入力装置(スイッチ)交換、光電式入力装置(スイッチ)交換、呼気式(吸気式)入力装置(スイッチ)交換、圧電素子式入力装置(スイッチ)交換、空気圧式入力装置(スイッチ)交換、視線検出式入力装置(スイッチ)交換及び遠隔制御装置交換

十一 別表の3の(5)の人工内耳の項中人工内耳用音声信号処理装置修理

5 国、地方公共団体、日本赤十字社、社会福祉法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人の設置する補装具製作施設が製作した補装具を購入又は修理する場合の第三項又は前項の費用の額の基準は、前二項の規定にかかわらず、それぞれ第三項又は前項に掲げる額の百分の九十五に相当する額とする。

(平一九厚労告二三一・平二〇厚労告一四七・平二〇厚労告五三二・平二二厚労告一二四・平二三厚労告三三二・平二四厚労告二〇六・平二四厚労告二七七・平二五厚労告六・平二六厚労告一六一・平三〇厚労告一二一・令元厚労告一〇〇・令二厚労告一五七・令三厚労告一四五・令四厚労告一二九・令五厚労告一四〇・一部改正)

改正文 (平成一九年六月二九日厚生労働省告示第二三一号) 抄

平成十九年七月一日から適用する。ただし、この告示の適用の日前に補装具の購入又は修理に係る申請があり、かつ、この告示による改正後の補装具告示の別表に規定する当該補装具の購入又は修理に係る額がこの告示による改正前の補装具告示の別表に規定する当該補装具の購入又は修理に係る額を下回る場合には、当該補装具の購入又は修理に要する費用の額の算定に関しては、なお従前の例による。

改正文 (平成二〇年三月三一日厚生労働省告示第一四七号) 抄

平成二十年四月一日から適用する。

改正文 (平成二〇年一一月二八日厚生労働省告示第五三二号) 抄

平成二十年十二月一日から適用する。

改正文 (平成二一年三月三一日厚生労働省告示第二〇九号) 抄

平成二十一年四月一日から適用する。

改正文 (平成二二年三月三一日厚生労働省告示第一二四号) 抄

平成二十二年四月一日から適用する。

改正文 (平成二三年九月二二日厚生労働省告示第三三二号) 抄

平成二十三年十月一日から適用する。

改正文 (平成二四年三月三〇日厚生労働省告示第二〇六号) 抄

平成二十四年四月一日から適用する。

改正文 (平成二四年三月三〇日厚生労働省告示第二七七号) 抄

平成二十四年四月一日から適用する。

改正文 (平成二五年一月一八日厚生労働省告示第六号) 抄

平成二十五年四月一日から適用する。

改正文 (平成二六年三月三一日厚生労働省告示第一六一号) 抄

平成二十六年四月一日から適用する。

改正文 (平成二七年三月三一日厚生労働省告示第二〇二号) 抄

平成二十七年四月一日から適用する。

改正文 (平成三〇年三月二三日厚生労働省告示第一二一号) 抄

平成三十年四月一日から適用する。

改正文 (令和元年九月二日厚生労働省告示第一〇〇号) 抄

令和元年十月一日から適用する。

改正文 (令和二年三月三一日厚生労働省告示第一五七号) 抄

令和二年四月一日から適用する。

改正文 (令和三年三月三一日厚生労働省告示第一四五号) 抄

令和三年四月一日から適用する。

改正文 (令和四年三月三一日厚生労働省告示第一二九号) 抄

令和四年四月一日から適用する。

改正文 (令和五年三月三一日厚生労働省告示第一四〇号) 抄

令和五年四月一日から適用する。

別表

(平19厚労告231・平20厚労告147・平21厚労告209・平22厚労告124・平24厚労告277・平27厚労告202・平30厚労告121・令2厚労告157・令3厚労告145・令4厚労告129・令5厚労告140・一部改正)

1 購入基準

(1) 義肢―殻構造義肢

名称

型式

使用材料・部品及び工作法

価格

備考

上腕義手

装飾用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端との適合に注意し、装着感を良くするとともに安定性の確保に留意し、残存運動力を有効に伝えなければならないこと。

肩吊りバンドは、使用中容易に変形しない織物を用い、腋窩部に不快感、疼痛、皮膚の損傷を生じないよう留意すること。

イの採型区分によるウの基本価格にエ及びオのそれぞれ使用する材料・部品の価格を合算した額とすること。

 

 

作業用

ソケット及び支持部の工作に際しては、作業中の繰返し荷重、振動荷重、衝撃に耐えられるよう留意し、信頼性を高めること。

その他は装飾用と同じ。

 

 

能動式

ハンド型手部付

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端との適合に留意し、装着感の良さ、安定性、運動の伝達性を確保するとともに、トータルコンタクト(全面接触型)を原則とすること。

コントロールケーブル(伝導索)は、可撓性の大きい滑らかな鋼製ケーブル又はナイロン単繊維をハウジング(ケーブル鞘)とともに用い、摩擦によるケーブルの損耗と力の伝達効率の低下を防ぐこと。

肩吊りバンドは、肘継手、手部の作動力源で、その適合はコントロールケーブルのアライメントとともに義手の機能を左右することから適合と取付けに細心の注意を払い、また、腋窩部を過度に圧迫しないこと。

肘継手及び手部は、繰返し使用に対し機能の低下を来たさず信頼性の高いものであること。

 

 

 

 

フック型手部付

手部は、使用中変形を来たさず信頼性の高いものであること。

その他はハンド型手部付と同じ。

 

 


電動式

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端との適合に留意し、装着感の良さ、安定性及び運動の伝達性を確保すること。

操作は、筋電電極又はスイッチを用い、モーターにより手先具や継手を制御するものであること。



肩義手

装飾用

肩継手は、可動で外転式、屈曲―伸展式又は複合運動式とし、衣服の損耗を防ぐために突起部のないよう留意すること。

ハーネス(胸郭帯)は、義手を肩部によく落ち着かせるようその取付位置を注意して選び、着脱に便利な構造とすること。

その他は上腕義手装飾用と同じ。

 

 

 

作業用

肩継手は、必要に応じ固定できること。

その他は上腕義手作業用と同じ。

 

 

 

能動式普通用

ハンド型手部付

肩継手は、装飾用と同じ。

コントロールケーブルの取付けにはその位置に留意し、コントロールケーブルに引張力が働くとき肩継手が動かぬようにすること。

外観を良くするため、肩幅の復元に留意すること。

その他は上腕義手能動式と同じ。

 

 

 

 

フック型手部付

手部は、使用中変形を来たさず信頼性の高いものであること。

その他はハンド型手部付と同じ。

 

 

 

能動式肩甲鎖骨切除用

ハンド型手部付

ソケットの支持性を増すため、反対側の肩部までソケット後壁部を延長する等特別の配慮が必要であるとともに、疼痛、不快感のないよう適合に留意すること。

肩吊りバンドの工作に際しては、反対側の肩運動を有効に利用するため運動量増幅機構等を用い、コントロールケーブルのアライメントに際しては、機能の向上に特に留意すること。

その他は能動式普通用と同じ。

 

 

 

 

フック型手部付

手部は、使用中変形を来たさず信頼性の高いものであること。

その他はハンド型手部付と同じ。

 

 


電動式

上腕義手電動式と同じ。



肘義手

装飾用

上腕義手装飾用と同じ。

 

 

 

作業用

幹部は、作業種目を考慮したものとすること。

その他は上腕義手作業用と同じ。

 

 

 

能動式

上腕義手能動式と同じ。

 

 


電動式

上腕義手電動式と同じ。



前腕義手

装飾用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端との適合に注意し、装着感を良くするとともに残存運動力を有効に伝えるよう注意すること。

切断面に回旋能力が残っていない場合には、手継手部で回旋できることが必要であること。

 

 

 

作業用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

必要に応じて上腕カフ(締革)にハーネスを付けること。

ソケット、支持部及び肘継手は、作業中の繰返し荷重、振動荷重、衝撃荷重に耐えられるよう材質及び工作法を十分吟味すること。

 

 

 

能動式

長断端用ハンド型

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端の運動を忠実に伝えるため及び装着感を良くするため、採型に細心の注意を払うこと。また、断端長の許す限り二重ソケットを原則とすること。

・ 長断端用には、前腕の回内外運動をできるだけ良く伝えるようにソケット先端部の適合に留意すること。

・ 中断端用には、肘の屈曲―伸展運動を忠実に伝えるとともに、135°の屈曲を妨げることのないように留意すること。

・ 短断端用には、ソケット及び前腕部が別個に動く構造、いわゆるスプリットソケット構造とし、屈曲時に断端の脱落を防止するため、ソケットは肘頭まで包含する構造とすること。

コントロールケーブルは、可撓性の大きい平滑な鋼製ケーブル又はナイロン単繊維をハウジングとともに用い、ケーブルの摩擦を少なくするとともに、摩耗によるケーブルの損傷を極力少なくすること。

肩吊りバンドの適合及びアライメントは、コントロールケーブルのアライメントとともに能動義手の機能を左右することから、適合と取付けには特に留意し、腋輪は、腋窩部の疼痛、不快感、皮膚の損傷を生じないよう適切な保護用被覆を行うこと。

 

 

 

 

長断端用フック型

 

 

 

 

中断端用ハンド型

 

 

 

 

中断端用フック型

 

 

 

 

短断端用ハンド型

 

 

 

 

短断端用フック型

 

 


電動式

上腕義手電動式と同じ。



手義手

装飾用

前腕義手装飾用と同じ。

 

 

 

作業用

前腕義手作業用と同じ。

 

 

 

能動式

前腕義手能動式長断端用と同じ。

 

 


電動式

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端との適合に留意し、装着感の良さ、安定性及び運動の伝達性を確保すること。

操作は、筋電電極又はスイッチを用い、モーターにより手先具を制御するものであること。



手部義手

装飾用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

手袋型とすること。

 

 

 

作業用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

手部又は前腕部に固定できるようにすること。

手部には、作業に必要な装置を付けること。

 

 


電動式

手義手電動式と同じ。



手指義手

装飾用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

キャップ式又は手袋型のいずれかによること。

 

 

 

作業用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

指部は、作業に適するよう形成すること。

 

 

股義足

常用

普通

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、装着感を良くするとともに完全に適合し、かつ、腸骨稜まで収納することにより、義足を懸垂するようにすること。革ソケットの場合は、ソケットの内側を牛クロム革で内張りすること。

回転台付の場合、皮革絞りのソケットは、変形防止のため帯鋼で補強枠を組み、取り付けること。

大腿部及び下腿部は、木製内部の水分を一定に保つための配慮を必要とすること。

アルミニウム合金の場合には、防蝕処理を施すこと。

運動部分の継手については、防音と減摩に十分留意すること。

 

大腿短断端を含む。

 

 

カナダ式

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、義足の懸垂、体重支持及び運動性を確保すること。

歩容に重要な影響を及ぼすので、アライメントは特に精密に決定すること。

アライメントカップリング(軸位調整装置)を用いて必ず試歩行を行うこと。

両脚の歩長をそろえるため、股屈曲角制限装置を取り付けること。

 

 

 

作業用

耐水性及び防蝕性に留意すること。

その他は足部を除き、常用普通と同じ。

 

 

大腿義足

常用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、装着感、体重支持及び運動性を良くするため、適合に留意し四辺型ソケットとすること。

ソフトインサートは、皮革、軟性発泡樹脂等のいずれでもよいこと。ただし、状況に応じてソフトインサートを省いてもよいこと。

アルミニウム合金を使用する場合は、防蝕処理を施すこと。

 

 

 

吸着式常用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、断端の解剖、生理学的特性に適合した最適形状と軽度の圧迫によって、体重支持、懸垂力を生じるので、適合には特に留意し、装着感、断端の変色、肉の盛り上がり、坐骨結節の位置等を、十分吟味すること。

義足の組立てに際しては、試歩行により装着感、安定性及び運動性を確保するための歩行分析を行い、ソケット適合の場合の修正、アライメントの調整を行い、正常歩行に近づけるよう努めること。

膝継手の運動を制御するためのブレーキ装置は、その機能が確実で信頼性のあるものを用い、使用中の緩み、かじりつきのないものを用いること。

断端の状況に応じて、懸垂補助、歩容の改善のため、シレジアバンド(懸垂帯)を用いてもよいこと。

SACH足部は、体重、健肢の足の寸法、常用する履物、装着者の活動性を考慮して、適切な寸法、性状で、かつ、信頼性の高いものを使用すること。

断端の状況の許す限り、トータルコンタクトを原則とし、やむを得ない場合には断端末部に空気室を設けてもよいこと。

 

差込吸着式を含む。

 

作業用

耐水性及び防蝕性を与えるよう留意するとともに、十分な強度をもたせること。

その他は常用と同じ。

 

 

膝義足

常用

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットの適合には綿密な注意を払い、装着感を良くするとともに運動性を確保すること。

ソフトインサートは、必ずしも必要としないが、断端末支持には断端末受を入れること。

下腿部に強化プラスチックを用いる場合は、変形を防止するよう十分留意すること。

膝継手が遊動式の場合には、膝関節の運動をコントロールする構造又は装置を必要とするほか、防音、運動部の減摩に留意すること。

膝継手は、衣服の損耗を防止するため皮革で包むこと。

 

 

 

作業用

耐水性及び防蝕性に留意すること。

その他は足部を除き、常用に同じ。

 

 

下腿義足

常用

普通(軽便式を含む)

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、体重支持と義足の運動性のため、採型に特に留意すること。

膝継手軸の取付位置は、椅座時の快さ、歩行時のピストン運動及び遊脚時の義足の動きに重大な影響を与えるので、入念にその位置を決定すること。

アルミニウム合金を使用する場合は、防蝕処理を施すこと。

大腿もも締めの筋金は、歩容、義足の懸垂及び安定性に影響があるので、筋金のくせとり、長さの決定並びにもも締革の製作及び取付けには十分な配慮が必要であること。

 

 

 

 

PTB式

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

ソケットは、体重支持、安定性及び運動性を良くするため、適合に留意し、アライメントカップリングを用いて試歩行を行った上で組み立てること。

精密な適合によってソケットのみを用い、ソフトインサートを省いてもよいこと。その場合、断端末部はクッション材で支持すること。

外装は、強化プラスチック仕上げとすること。

膝カフを皮革で作る場合には、使用中に懸垂バンドが伸びるのを防止するため、表革と裏打との間に伸びのないベルト等をはさむこと。

膝継手金具及び大腿もも締革は、用いないことを原則とするが、断端の状況によりやむを得ない場合は、膝継手金具又は大腿もも締革を用いてもよいこと。

適合判定は、試歩行の段階及び義足完成時に行うこと。

 

サイム切断を含む。

 

 

PTS式

ソケット上部の適合には、細心の注意を払い、特に膝関節付近の解剖学的構造によく合わせることによって義足を懸垂させること。

採型後ギプスソケットによって適合をよく吟味、修正すること。

その他はPTB式と同じ。

 

 

 

 

KBM式

義足の懸垂は、内顆部の解剖学的構造によく適合したくさび又はFAJALの方法によって行われ、膝蓋骨部は露出するため、特に採型時及び仮合わせ時の適合は、綿密に吟味すること。

膝蓋靭帯より上部のソケットは、左右方向に変形しやすいものとなる傾向があるので、ソケット形成に際しては、補強材の種類、量、樹脂の強度を十分吟味して、強度、剛性を減少させぬよう留意すること。

その他はPTS式と同じ。

 

 



TSB式

ソケットは、精密な適合を行い全面が接触する形状になるよう製作すること。

その他はPTB式と同じ。



 

作業用

耐水性及び防蝕性に留意すること。

その他は常用普通と同じ。

 

 

果義足

 

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

義足の懸垂は、断端の形状を利用し、ソケットを断端に固定することによって行われるので、適合に十分留意すること。

足部は、遊動足部又はSACH足部の構造特性を利用したものとすること。

特にソケットと足部との結合部の強度を保つように留意すること。

 

ピロゴフ切断を含む。

足根中足義足

鋼板入り

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

断端の骨突出部を損傷しないようソケットの適合とソケット構造に特に留意すること。

足底は、鋼板、ゴムベルト等を挿入して弾性と強度をもたせること。

足の形態の復元のため、スポンジで形成し、足底は牛なめし革を張り付けること。

 

 

 

足袋式

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

足底は、ゴムベルトを入れ足部の変形を防止し、かつ、耐久性を増加するようにすること。

断端から踵までを包み足袋型とすること。

締付けは、前後いずれでもよいこと。

足部は、牛なめし革を張り付けること。

 

 


下腿部支持式

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

義足の懸垂は、断端の形状を利用し、ソケットを断端に固定することによって行われるので、適合に十分留意すること。



足指義足

 

アの基本工作法により、エ及びオよりそれぞれ必要な材料・部品を選択し、組み合わせて製作すること。

踵部にゴムバンドで引き掛け、又は足袋型にし、足部を包んで装着できるようにすること。

 

 

(注)

1 義手の作業用に付ける手先用具は、3個を範囲として必要な数だけオの完成用部品を加えること。

2 手先用具の取付部は、ピン固定法又は溝固定法により、太さは9mmとすること。

3 二重ソケットは、断端の表面を均等に受けるようにするものとし、支持部に取り付け、変形を防止するためにプラスチック等硬質の材料を使用すること。なお、皮膚接触面には、軟性の材料を付加することがあること。

4 障害者の殻構造義肢の耐用年数は、カの耐用年数によるものとすること。

5 障害児の殻構造義肢の使用年数は、キの使用年数によるものとすること。

ア 基本工作法

工程

作業の内容

(ア) 断端の観察

断端の表面の状況、関節の運動機能(屈伸、内転、外転等)の状況、肢位の観察及び特徴の把握並びに筋肉の走路及び筋電位出力の確認(電動式)

(イ) 採寸及び投影図の作成

情報カードの記録、製作に必要な寸法及び角度の測定並びに記録並びに投影図の作成

(ウ) 採型

ギプス包帯法による陰性モデルの採型及び順型、陽性モデルの注型及び取出し並びに陽性モデルの修正

(エ) 適合のチェック

チェックソケットの製作、チェックソケットによる適合のチェック及び修正並びに継手の中心位置の設定

(オ) 陽性モデルの製作

チェックソケットへのギプスの注型、陽性モデルの修正、表面の仕上げ及び乾燥

(カ) ソケット製作

ストッキネットの被覆、強化材の付加、PVAバックの被覆、樹脂注型、取外し及びソケットトリミング並びに電極ダミーの設定(電動式)

(キ) 支持部材の外形の形成及び要素の結合

義手:パラフィン、プラスチックフォームギプス等による支持部芯材外形の形成及び要素の結合並びにバッテリー及びコントローラー収納場所の確保(電動式)

義足:股継手、膝継手、足部等の機能部品の支持部材による結合及び足部の調整

(ク) 組立て

義手:継手等各部の組合せ及び結合並びにハーネスの取付け

義足:アライメントカップリングの取付け、ベンチアライメントの設定、各部の組合せ及び結合、懸垂装置の取付け並びに角度調整

(ケ) 仮合わせ

義手:ソケットトリミングの修正、ハーネスの調整及び機能の点検、電極の位置確認及び感度調整(電動式)、義手操作の基本の指導並びに適合の修正

義足:アライメントの修正、適合の点検及び修正、各部の機能の点検並びに起立及び歩行の基本動作の指導

(コ) 外装及び仕上げ

義手:外形の研削、ストッキネットの被覆及びラミネーション並びに感度調整用窓加工(電動義手)

義足:アライメントカップリングの取外し、外形の形成、内部余肉の除去、外装並びにソケットの適合及び機能の最終点検

(サ) 適合検査

適合及びアライメントの点検並びに操作の指導