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○子どもの貧困対策の推進に関する法律

(平成二十五年六月二十六日)

(法律第六十四号)

第百八十三回通常国会

第二次安倍内閣

子どもの貧困対策の推進に関する法律をここに公布する。

子どもの貧困対策の推進に関する法律

目次

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 基本的施策(第八条―第十四条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、全ての子どもが心身ともに健やかに育成され、及びその教育の機会均等が保障され、子ども一人一人が夢や希望を持つことができるようにするため、子どもの貧困の解消に向けて、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。

(令元法四一・一部改正)

(基本理念)

第二条 子どもの貧困対策は、社会のあらゆる分野において、子どもの年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、子どもが心身ともに健やかに育成されることを旨として、推進されなければならない。

2 子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の安定に資するための支援、職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として、子ども等の生活及び取り巻く環境の状況に応じて包括的かつ早期に講ずることにより、推進されなければならない。

3 子どもの貧困対策は、子どもの貧困の背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、推進されなければならない。

4 子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない。

(令元法四一・一部改正)

(国の責務)

第三条 国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、子どもの貧困対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)

第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、子どもの貧困対策に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(国民の責務)

第五条 国民は、国又は地方公共団体が実施する子どもの貧困対策に協力するよう努めなければならない。

(法制上の措置等)

第六条 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

(年次報告)

第七条 政府は、毎年、国会に、子どもの貧困の状況及び子どもの貧困対策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。

2 こども基本法(令和四年法律第七十七号)第八条第一項の規定による国会への報告及び公表がされたときは、前項の規定による国会への報告及び公表がされたものとみなす。

(令四法七七・一部改正)

第二章 基本的施策

(子どもの貧困対策に関する大綱)

第八条 政府は、子どもの貧困対策を総合的に推進するため、子どもの貧困対策に関する大綱(以下「大綱」という。)を定めなければならない。

2 大綱は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 子どもの貧困対策に関する基本的な方針

二 子どもの貧困率、一人親世帯の貧困率、生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率、生活保護世帯に属する子どもの大学等進学率等子どもの貧困に関する指標及び当該指標の改善に向けた施策

三 教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援その他の子どもの貧困対策に関する事項

四 子どもの貧困に関する調査及び研究に関する事項

五 子どもの貧困対策に関する施策の実施状況についての検証及び評価その他の子どもの貧困対策に関する施策の推進体制に関する事項

3 こども基本法第九条第一項の規定により定められた同項のこども大綱のうち前項各号に掲げる事項に係る部分は、第一項の規定により定められた大綱とみなす。

4 第二項第二号の「子どもの貧困率」、「一人親世帯の貧困率」、「生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率」及び「生活保護世帯に属する子どもの大学等進学率」の定義は、政令で定める。

(令元法四一・令四法七七・一部改正)

(都道府県計画等)

第九条 都道府県は、大綱を勘案して、当該都道府県における子どもの貧困対策についての計画(次項及び第三項において「都道府県計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

2 市町村は、大綱(都道府県計画が定められているときは、大綱及び都道府県計画)を勘案して、当該市町村における子どもの貧困対策についての計画(次項において「市町村計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

3 都道府県又は市町村は、都道府県計画又は市町村計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(令元法四一・一部改正)

(教育の支援)

第十条 国及び地方公共団体は、教育の機会均等が図られるよう、就学の援助、学資の援助、学習の支援その他の貧困の状況にある子どもの教育に関する支援のために必要な施策を講ずるものとする。

(令元法四一・一部改正)

(生活の安定に資するための支援)

第十一条 国及び地方公共団体は、貧困の状況にある子ども及びその保護者に対する生活に関する相談、貧困の状況にある子どもに対する社会との交流の機会の提供その他の貧困の状況にある子どもの生活の安定に資するための支援に関し必要な施策を講ずるものとする。

(令元法四一・一部改正)

(保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援)

第十二条 国及び地方公共団体は、貧困の状況にある子どもの保護者に対する職業訓練の実施及び就職のあっせんその他の貧困の状況にある子どもの保護者の所得の増大その他の職業生活の安定と向上に資するための就労の支援に関し必要な施策を講ずるものとする。

(令元法四一・一部改正)

(経済的支援)

第十三条 国及び地方公共団体は、各種の手当等の支給、貸付金の貸付けその他の貧困の状況にある子どもに対する経済的支援のために必要な施策を講ずるものとする。

(調査研究)

第十四条 国及び地方公共団体は、子どもの貧困対策を適正に策定し、及び実施するため、子どもの貧困に関する指標に関する研究その他の子どもの貧困に関する調査及び研究その他の必要な施策を講ずるものとする。

(令元法四一・一部改正)

附 則 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(平成二六年政令第四号で平成二六年一月一七日から施行)

(検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則 (令和元年六月一九日法律第四一号)

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(令和元年政令第八九号で令和元年九月七日から施行)

(検討)

2 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の子どもの貧困対策の推進に関する法律(以下この項において「新法」という。)の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則 (令和四年六月二二日法律第七七号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、令和五年四月一日から施行する。