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○再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

(平成二十六年八月六日)

(厚生労働省令第九十三号)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二十三条の二十五第二項第四号(同法第二十三条の三十七第五項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令を次のように定める。

再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

(趣旨)

第一条 この省令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第二十三条の二十五第二項第四号(法第二十三条の三十七第五項において準用する場合を含む。以下同じ。)の厚生労働省令で定める基準を定めるものとする。

(定義)

第二条 この省令で「製品」とは、製造所の製造工程を経た物(製造の中間工程で造られたものであって、以後の製造工程を経ることによって製品となるもの(以下「中間製品」という。)を含む。以下同じ。)をいう。

2 この省令で「資材」とは、製品の容器、被包及び表示物(添付文書を含む。以下同じ。)をいう。

3 この省令で「ロット」とは、一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品及び原料(以下「製品等」という。)の一群をいう。

4 この省令で「管理単位」とは、同一性が確認された資材の一群をいう。

5 この省令で「バリデーション」とは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいう。

6 この省令で「ベリフィケーション」とは、製造手順等が期待される結果を与えたことを確認し、これを文書とすることをいう。

7 この省令で「清浄度管理区域」とは、製造作業を行う場所(以下「作業所」という。)のうち、製品等(無菌操作により取り扱う必要のあるものを除く。)の調製作業を行う場所及び滅菌される前の容器等が作業所内の空気に触れる場所をいう。

8 この省令で「無菌操作等区域」とは、作業所のうち、無菌操作により取り扱う必要のある製品等の調製作業を行う場所、滅菌された容器等が作業所内の空気に触れる場所及び無菌試験等の無菌操作を行う場所をいう。

9 この省令で「ドナー」とは、再生医療等製品の原料となる細胞又は組織を提供する人(臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)第六条第二項に規定する脳死した者の身体に係るものを除く。)をいう。

10 この省令で「ドナー動物」とは、再生医療等製品の原料となる細胞又は組織を提供する動物をいう。

11 この省令で「品質リスクマネジメント」とは、製品の初期開発から製造販売が終了するまでの全ての過程において、製品の品質に対するリスクについて適切な手続に従い評価、管理等を行うことをいう。

12 この省令で「照査」とは、設定された目標を達成する上での妥当性及び有効性を判定することをいう。

(適用の範囲)

第三条 再生医療等製品の製造販売業者又は法第二十三条の三十七第四項に規定する選任外国製造再生医療等製品製造販売業者は、この省令の規定に基づき、製造業者及び法第二十三条の二十四第一項に規定する再生医療等製品外国製造業者(以下単に「再生医療等製品外国製造業者」という。)(以下「製造業者等」という。)に製造所における製品の製造管理及び品質管理を行わせなければならない。

2 製造業者等は、この省令の規定に基づき、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号。以下「施行規則」という。)第百三十七条の五十八に規定する製造所における製品の製造管理及び品質管理を行わなければならない。

3 法第八十条第三項の輸出用の再生医療等製品の製造業者は、この省令の規定に基づき、輸出用の再生医療等製品の製造所における製品の製造管理及び品質管理を行わなければならない。

(品質リスクマネジメント)

第四条 製造業者等は、製造所における製品の製造管理及び品質管理を行うに当たっては、品質リスクマネジメントの活用を考慮するものとする。

(製造部門及び品質部門)

第五条 製造業者等は、製造所ごとに、法第二十三条の三十四第六項に規定する再生医療等製品製造管理者(再生医療等製品外国製造業者にあっては、法第二十三条の二十四第一項の規定により認定を受けた製造所の責任者又は当該再生医療等製品外国製造業者があらかじめ指定した者。以下「製造管理者」という。)の監督の下に、製造管理に係る部門(以下「製造部門」という。)及び品質管理に係る部門(以下「品質部門」という。)を置かなければならない。

2 品質部門は、製造部門から独立していなければならない。

(令三厚労令一五・一部改正)

(製造管理者)

第六条 製造管理者は、次に掲げる業務を行わなければならない。

一 製造管理及び品質管理に係る業務(以下「製造・品質管理業務」という。)を統括し、その適正かつ円滑な実施が図られるよう管理監督すること。

二 品質不良その他製品の品質に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、所要の措置が速やかに採られていること及びその進捗状況を確認し、必要に応じ、改善等所要の措置を採るよう指示すること。

2 製造業者等は、製造管理者が業務を行うに当たって支障を生ずることがないようにしなければならない。

(職員)

第七条 製造業者等は、製造・品質管理業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する責任者(以下単に「責任者」という。)を、製造所の組織、規模及び業務の種類等に応じ、適切に置かなければならない。

2 製造業者等は、製造所の組織、規模及び業務の種類等に応じ、適切な人数の責任者を配置しなければならない。

3 製造業者等は、製造・品質管理業務を適切に実施しうる能力を有する人員を十分に確保しなければならない。

4 製造業者等は、製造・品質管理業務に従事する職員(製造管理者及び責任者を含む。)の責務及び管理体制を文書により適切に定めなければならない。

(製品標準書)

第八条 製造業者等は、製品(中間製品を除く。以下この条において同じ。)ごとに、次に掲げる事項について記載した製品標準書を当該製品の製造に係る製造所ごとに作成し、保管するとともに、品質部門の承認を受けるものとしなければならない。

一 製造販売承認事項

二 法第四十二条第一項の規定により定められた基準その他薬事に関する法令又はこれに基づく命令若しくは処分のうち品質に関する事項

三 製造手順(第一号の事項を除く。)

四 原料として使用する人、動物、植物又は微生物から得られた物に係る名称、本質及び性状並びに成分及びその含有量その他の規格

五 製造又は試験検査に使用する動物(ドナー動物を含む。以下「使用動物」という。)の規格

六 その他所要の事項

(手順書等)

第九条 製造業者等は、製造所ごとに、構造設備の衛生管理、職員の衛生管理その他必要な事項について記載した衛生管理基準書を作成し、これを保管しなければならない。

2 製造業者等は、製造所ごとに、製品等の保管、製造工程の管理その他必要な事項について記載した製造管理基準書を作成し、これを保管しなければならない。

3 製造業者等は、製造所ごとに、検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他必要な事項を記載した品質管理基準書を作成し、これを保管しなければならない。

4 製造業者等は、前三項に定めるもののほか、製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するため、次に掲げる手順に関する文書(以下「手順書」という。)を製造所ごとに作成し、これを保管しなければならない。

一 製造所からの出荷の管理に関する手順

二 バリデーション又はベリフィケーションに関する手順

三 製品の品質の照査に関する手順

四 第十六条の変更の管理に関する手順

五 第十七条の逸脱の管理に関する手順

六 品質等に関する情報及び品質不良等の処理に関する手順

七 回収処理に関する手順

八 自己点検に関する手順

九 教育訓練に関する手順

十 文書及び記録の管理に関する手順

十一 その他製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するために必要な手順

5 製造業者等は、製品標準書、衛生管理基準書、製造管理基準書、品質管理基準書及び手順書(以下「手順書等」という。)を製造所に備え付けなければならない。

(構造設備)

第十条 製品の製造所の構造設備は、次に定めるところに適合するものでなければならない。

一 手順書等に基づき、その用途に応じ適切に清掃及び保守が行われ、必要に応じ滅菌され、また、その記録が作成され、保管されていること。

二 製品等により有毒ガスを取り扱う場合においては、その処理に要する設備を有すること。

三 作業所のうち、作業室又は作業管理区域(作業室及び廊下等から構成されていて、全体が同程度に清浄の維持ができるように管理される区域をいう。以下同じ。)は、製品の種類、構造、特性及び製造工程に応じ、清浄の程度を維持管理できる構造及び設備を有すること。

四 作業室は次に定めるところに適合するものであること。

イ 製品の種類、構造及び製造工程に応じ、じんあい又は微生物による汚染を防止するのに必要な構造及び設備を有していること。ただし、製造設備等の有する機能によりこれと同程度の効果を得られる場合においては、この限りでない。

ロ 洗浄後の容器の乾燥及び保管を適切に行うために必要な設備を有すること。

ハ 製品の種類に応じ、その製造に必要な滅菌装置を備えていること。

ニ 無菌操作を行う区域は、フィルターにより処理された清浄な空気を供し、かつ、適切な差圧管理を行うために必要な構造設備を有すること。

ホ 注射剤に係る製品を製造する場合においては、無菌性保証に影響を及ぼす接液部の配管等は、洗浄が容易で、かつ、滅菌が可能な設備であること。

五 洗浄後の容器の乾燥作業又は滅菌作業を行う作業室は専用であること。ただし、洗浄後の容器が汚染されるおそれがない場合においては、この限りでない。

六 原料の秤量作業、製品の調製作業、製品の充填作業又は容器の閉塞作業を行う作業室は、当該作業室の職員以外の者の通路とならないように造られていること。ただし、当該作業室の職員以外の者による製品への汚染のおそれがない場合においては、この限りでない。

七 製品の調製作業、製品の充填作業又は容器の閉塞作業を行う作業室は、これら以外の作業室又は作業管理区域と区別され、専用であること。また、これらの作業を行う職員の専用の更衣室を有すること。

八 交叉汚染することにより他の製品に重大な影響を及ぼすおそれのある製品等を製造する場合においては、当該製品等の関連する作業室を専用とし、かつ、空気処理システムを別系統にしていること。ただし、検証された不活化の工程及び清浄手順又はそのいずれかを確立し、保守した場合においては、この限りでない。

九 製品の製造に必要な質及び量の水(設備及び器具並びに容器の洗浄水を含む。)を供給する設備を有すること。

十 製品の製造に必要な蒸留水等を供給する設備は、異物又は微生物による蒸留水等の汚染を防止するために必要な構造であること。

十一 作業所には、他から明確に区別された室において、次に掲げる設備を設けること。ただし、製品の種類、製造方法等により、当該製品の製造に必要がないと認められる設備を除く。

イ 細胞又は微生物等の貯蔵設備

ロ 製造又は試験検査に使用する動物で微生物等を接種した後のものを管理する設備

ハ 製造又は試験検査に使用する動物を処理する設備

ニ 細胞又は微生物等を培地等に移植する設備

ホ 細胞又は微生物等を培養する設備

ヘ 培養した細胞又は微生物等の採取、不活化、殺菌等を行う設備

ト 製造又は試験検査に使用した器具器械等について消毒を行う設備

十二 前号ニ及びヘに掲げる設備を有する室並びに製品等及び資材の試験検査に必要な設備のうち無菌試験を行う設備を有する室は、次に定めるところに適合するものであること。

イ 無菌室であること。ただし、当該作業室内に、製品の種類、製造方法等により支障なく無菌的操作を行うことができる機能を有する設備を設ける場合においては、この限りではない。

ロ イの無菌室には、専用の前室を付置し、通常当該前室を通じてのみ作業室内に出入りできるような構造のものとし、かつ、その前室の出入口が屋外に直接面していないものであること。

十三 第十一号に掲げるもののほか、次に掲げる設備を有すること。

イ 製造又は試験検査に使用する動物の飼育管理に必要な設備

ロ 培地及びその希釈用液を調製する設備

ハ 製造又は試験検査に使用する器具器械、容器等についてあらかじめ洗浄及び滅菌を行う設備

ニ 動物の死体その他の汚物の適切な処理及び汚水の浄化を行う設備

(製造管理)

第十一条 製造業者等は、製造部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。

一 製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した製造指図書を作成し、これを保管すること。

二 製造指図書に基づき製品を製造すること。

三 製品の製造に関する記録をロットごと(ロットを構成しない製品については製造番号ごと。以下同じ。)に作成し、これを保管すること。

四 製品の資材についてロットごとにそれが適正である旨を確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

五 製品等についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに適正に保管し、出納を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

六 構造設備の清浄を確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

七 構造設備を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

八 製造、保管及び出納並びに衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を品質部門に対して文書により報告すること。

九 作業室又は作業管理区域については、製造する製品の種類、構造、特性、製造工程及び当該作業室又は作業管理区域で行う作業内容等に応じて、清浄の程度等作業環境の管理の程度を適切に設定し、管理すること。

十 製品等及び資材については、製造する製品の種類、構造、特性及び製造工程等に応じて、微生物等の数等必要な管理項目を適切に設定し、管理すること。

十一 製造工程において、製品等及び資材の微生物等による汚染等を防止するために必要な措置を採ること。

十二 製造する製品の種類、構造、特性及び製造工程等に応じて、製品の無菌性を保証するために重要な工程等については、工程管理のために必要な管理値を適切に定め、管理すること。

十三 製造用水については、その用途に応じ、所要の微生物学的項目及び物理化学的項目に係る管理値を適切に定め、管理すること。

十四 製造工程において、製品等に含まれる微生物等を不活化し、又は除去する場合においては、当該不活化又は除去が行われていない製品等による汚染を防止するために必要な措置を採ること。

十五 製造工程において、生物化学的な技術を用いる場合においては、温度、水素イオン指数等の製造工程の管理に必要な事項について、継続的に測定を行うこと。

十六 製造工程において、カラムクロマトグラフ装置等を用いる場合においては、微生物等による当該装置の汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、必要に応じエンドトキシンの測定を行うこと。

十七 製造工程において、培養槽中に連続的に培地を供給し、かつ、連続的に培養液を排出させる培養方式を用いる場合においては、培養期間中の当該培養槽における培養条件を維持するために必要な措置を採ること。

十八 微生物等により汚染された全ての物品(製造の過程において汚染されたものに限る。)等を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること。

十九 製造に使用する細胞の株の取扱いについて、次に掲げる事項に関する記録を作成し、これを保管すること。

イ 細胞の株の名称及び容器ごとに付された番号

ロ 譲受けの年月日並びに相手方の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)

ハ 生物学的性状及びその検査年月日

ニ 継代培養の状況

二十 製品の製造に使用する生物(植物を除く。)に由来する原料(以下「再生医療等製品生物由来原料」という。)については、当該再生医療等製品生物由来原料が当該製品の製品標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

二十一 製品の製造に使用する再生医療等製品生物由来原料については、厚生労働大臣の定めるところにより、記録しなければならないとされている事項を第二十二条第三号イ又はロに掲げる期間自ら保管し、又は当該再生医療等製品生物由来原料の原材料(製造に使用する原料又は材料(製造工程において使用されるものを含む。)の由来となるものをいう。)を採取する業者等(以下「原材料採取業者等」という。)との間で取決めを締結することにより、当該原材料採取業者等において適切に保管することとすること。

二十二 第八号及び前二号の記録を、製造する製品のロットごとに作成し、これを保管すること。

二十三 異なるドナー又はドナー動物から採取した細胞又は組織を取り扱う場合においては、当該細胞又は組織の混同及び交叉汚染を防止するために必要な措置を採ること。

二十四 原料となる細胞又は組織について、受入れ時に、次に掲げる事項に関する記録により、当該製品の製品標準書に照らして適切なものであることを確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること。

イ 当該細胞又は組織を採取した施設

ロ 当該細胞又は組織を採取した年月日

ハ 当該細胞又は組織が人に係るものである場合においては、ドナースクリーニング(ドナーについて、問診、検査等による診断を行い、製品の原料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。)のためのドナーの問診、検査等による診断の状況

ニ 当該細胞又は組織が動物に係るものである場合においては、ドナー動物の受入れの状況並びにドナースクリーニング(ドナー動物について、試験検査及び飼育管理を行い、製品の原料となる細胞又は組織を提供するにつき十分な適格性を有するかどうかを判定することをいう。)のためのドナー動物の試験検査及び飼育管理の状況

ホ 当該細胞又は組織を採取する作業の経過

ヘ 当該細胞又は組織の輸送の経過

ト イからヘまでに掲げるもののほか、製品の品質の確保に関し必要な事項

二十五 原料となる細胞又は組織をドナー動物から採取する場合においては、採取の過程における微生物等による汚染を防止するために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。

二十六 製品について、製品ごとに、出荷先施設名、出荷日及びロットを把握するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

二十七 配送について、製品の品質の確保のために必要な措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。

二十八 第二十四号から前号までの記録を、ロット(第二十六号の記録にあっては、製品)ごとに作成し、これを保管すること。

二十九 次に定めるところにより、職員の衛生管理を行うこと。

イ 製造作業に従事する職員以外の者の作業所への立入りをできる限り制限すること。

ロ 現に作業が行われている清浄度管理区域又は無菌操作等区域への職員の立入りをできる限り制限すること。

ハ 人若しくは動物の細胞又は微生物等の培養その他の加工等(その製造工程において現に原料等として使用されているものを除く。)に係る作業に従事する職員による汚染の防止のための厳重な手順を定め、これを遵守する場合を除き、製品の作業室又は作業管理区域に立入りさせないこと。

ニ 製造作業に従事する職員を、使用動物(その製造工程において現に使用されているものを除く。)の管理に係る作業に従事させないこと。

三十 次に定めるところにより、清浄度管理区域又は無菌操作等区域で作業する職員の衛生管理を行うこと。

イ 製造作業に従事する職員に、消毒された作業衣、作業用のはき物、作業帽、作業マスク及び作業手袋を着用させること。

ロ 製造作業に従事する職員が清浄度管理区域又は無菌操作等区域へ立入る際には、当該区域の管理の程度に応じて、更衣等を適切に行わせること。

ハ 職員が製品等を微生物等により汚染するおそれのある疾病にかかっていないことを確認するために、職員に対し、六月を超えない期間ごとに健康診断を行うこと。

ニ 職員が製品等を微生物等により汚染するおそれのある健康状態にある場合(皮膚若しくは毛髪の感染症若しくは風邪にかかっている場合、負傷している場合又は下痢若しくは原因不明の発熱等の症状を呈している場合を含む。)においては、当該職員を清浄度管理区域又は無菌操作等区域における作業に従事させないこと。

ホ 職員が細胞又は組織の採取又は加工の直前に細胞又は組織を汚染するおそれのある微生物等を取り扱っている場合においては、当該職員を清浄度管理区域又は無菌操作等区域における作業に従事させないこと。

ヘ 前号及びイからホまでの記録を作成し、これを保管すること。

三十一 その他製造管理のために必要な業務

2 前項に規定する製品に係る記録は、製造に使用した再生医療等製品生物由来原料に関する記録から当該再生医療等製品生物由来原料を使用して製造された製品に関する記録までの一連のものを適切に確認できるように保管されなければならない。

(品質管理)

第十二条 製造業者等は、製品について、ロットごとに(法第六十八条の七第三項に規定する指定再生医療等製品(以下単に「指定再生医療等製品」という。)に係る製品のうちロットを構成しない製品にあっては、その製造に使用した再生医療等製品生物由来原料について、当該製品の製造番号又は当該再生医療等製品生物由来原料のロットごとに)所定の試験検査に必要な量の二倍以上の量(ただし、量の確保が困難な場合には適当量)を参考品として、製造された日から次の各号に掲げる期間適切な保管条件の下で保管しなければならない。ただし、ロットを構成しない指定再生医療等製品に係る製品であって原材料採取業者等との間で当該原材料採取業者等が参考品を次の各号に掲げる期間保管することを取り決めているものについてはこの限りでなく、また、ロットを構成する製品にあっては、当該製品の有効期間に一年を加算した期間が経過した後は、当該製品の製造に使用された再生医療等製品生物由来原料の保管をもって製品の保管に代えることができる。

一 指定再生医療等製品に係る製品にあっては、その有効期間に十年を加算した期間

二 再生医療等製品に係る製品(前号に掲げるものを除く。)にあっては、適切な期間

2 製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製品の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない。

一 製品等についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うのに必要な検体を採取するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

二 採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに試験検査(当該製造業者等の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において行う試験検査であって、当該利用につき支障がないと認められるものを含む。以下同じ。)を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

三 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、試験検査に関する計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

四 第二号の試験検査の結果の判定を行い、その結果を製造部門に対して文書により報告すること。

五 検体の混同及び交叉汚染を防止するために、検体を適切な識別表示により区分すること。

六 品質管理上重要であり、かつ、製品では実施することができない試験検査については、製造工程の適切な段階で実施すること。

七 微生物等により汚染された全ての物品(試験検査の過程において汚染されたものに限る。)等を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること。

八 試験検査に細胞の株を使用する場合においては、次に掲げる事項に関する記録を作成し、これを保管すること。

イ 細胞の株の名称及び容器ごとに付された番号

ロ 譲受けの年月日並びに相手方の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)

ハ 生物学的性状及びその検査年月日

ニ 継代培養の状況

九 試験検査結果の記録を、製造する製品のロットごとに作成し、これを保管すること。

十 ドナー動物の受入れ時及び受入れ後の試験検査を行うことその他必要な業務を自ら行い、又は当該業務の内容に応じてあらかじめ指定した者に行わせること。

十一 前号に規定する業務の記録を作成し、これを保管すること。

十二 その他品質管理のために必要な業務

3 輸入先国における製造管理及び品質管理の基準並びにこれらの基準に対する適合性の確認に関する手続が我が国のものと同等であると認められる場合においては、前項第二号に規定する試験検査(外観検査を除く。)は、輸入した物について輸入先の再生医療等製品外国製造業者が行った試験検査の記録を確認することをもって代えることができる。この場合において、製造業者は、品質部門に、次に掲げる業務を適切に行わせなければならない。

一 当該製品等が適切な製造手順等により製造されていることを定期的に確認すること。

二 当該再生医療等製品外国製造業者の製造所が、その国における製造管理及び品質管理に関する基準に適合していることを定期的に確認すること。

三 前二号の確認の記録を作成し、これを保管すること。

四 当該製品について当該再生医療等製品外国製造業者が行った試験検査の記録を確認するとともに、その確認の記録を作成し、これを保管すること。

4 前三項に規定する製品に係る記録は、製造に使用した再生医療等製品生物由来原料に関する記録から当該再生医療等製品生物由来原料を使用して製造された製品に関する記録までの一連のものを適切に確認できるように保管されなければならない。

5 製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、前条第一項第八号の規定により製造部門から報告された製造管理に係る確認の結果をロットごとに確認させなければならない。

(製造所からの出荷の管理)

第十三条 製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、製造管理及び品質管理の結果を適切に評価し、製品の製造所からの出荷の可否を決定する業務を行わせなければならない。

2 前項の業務を行う者は、当該業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する者でなければならない。

3 製造業者等は、第一項の業務を行う者が当該業務を行うに当たって、支障が生ずることがないようにしなければならない。

4 製造業者等は、第一項の決定が適正に行われるまで製造所から製品を出荷してはならない。

(バリデーション又はベリフィケーション)

第十四条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 次に掲げる場合においてバリデーションを行うこと。ただし、やむを得ない理由によりバリデーションを行うことができない場合には、ベリフィケーションを行うこと。

イ 当該製造所において新たに製品の製造を開始する場合

ロ 製造手順等に製品の品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合

ハ その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合

二 バリデーション又はベリフィケーションの計画及び結果を品質部門に対して文書により報告すること。

2 製造業者等は、前項第一号のバリデーション又はベリフィケーションの結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管しなければならない。

(製品の品質の照査)

第十五条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 製造工程の一貫性及び製品等の規格の妥当性について検証することを目的として、定期的に又は随時、製品の品質の照査を行うこと。

二 前号の照査の結果を品質部門に対して文書により報告すること。

三 前号の報告について品質部門の確認を受けること。

2 製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、前項第三号の確認の記録を作成させ、保管させるとともに、製造管理者に対して文書により適切に報告させなければならない。

3 製造業者等は、第一項第一号の照査の結果に基づき、製造管理若しくは品質管理に関し改善が必要な場合又はバリデーション若しくはベリフィケーションを行うことが必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置に関する記録を作成し、これを保管しなければならない。

(変更の管理)

第十六条 製造業者等は、製造手順等について、製品の品質に影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 当該変更による製品の品質への影響を評価し、その評価の結果をもとに変更を行うことについて品質部門の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

二 前号の規定により品質部門の承認を受けて変更を行うときは、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他所要の措置を採ること。

(逸脱の管理)

第十七条 製造業者等は、製造手順等からの逸脱(以下単に「逸脱」という。)が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 逸脱の内容を記録すること。

二 重大な逸脱が生じた場合においては、次に掲げる業務を行うこと。

イ 逸脱による製品の品質への影響を評価し、所要の措置を採ること。

ロ イに規定する評価の結果及び措置について記録を作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により報告すること。

ハ ロの規定により報告された評価の結果及び措置について、品質部門の確認を受けること。

2 製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、前項第二号ハの規定により確認した記録を作成させ、保管させるとともに、同号ロの記録とともに、製造管理者に対して文書により適切に報告させなければならない。

(品質等に関する情報及び品質不良等の処理)

第十八条 製造業者等は、製品に係る品質等に関する情報(以下「品質情報」という。)を得たときは、その品質情報に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 当該品質情報に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採ること。

二 当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により速やかに報告すること。

三 前号の報告について品質部門の確認を受けること。

2 製造業者等は、前項第三号の確認により品質不良又はそのおそれが判明した場合には、品質部門に、手順書等に基づき、当該事項を製造管理者に対して文書により報告させなければならない。

(回収処理)

第十九条 製造業者等は、製品の品質等に関する理由により回収が行われるときは、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 回収した製品を保管する場合においては、その製品を区分して一定期間保管した後、適切に処理すること。

二 回収の内容を記載した回収処理記録を作成し、保管するとともに、品質部門及び製造管理者に対して文書により報告すること。ただし、当該回収に至った理由が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合においては、この限りでない。

(自己点検)

第二十条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 当該製造所における製品の製造管理及び品質管理について定期的に自己点検を行うこと。

二 自己点検の結果を製造管理者に対して文書により報告すること。

三 自己点検の結果の記録を作成し、これを保管すること。

2 製造業者等は、前項第一号の自己点検の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を採るとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。

(教育訓練)

第二十一条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練を計画的に実施すること。

二 製造又は試験検査に従事する職員に対して、製品の製造のために必要な衛生管理、微生物学、医学、獣医学その他必要な教育訓練を実施すること。

三 清浄度管理区域及び無菌操作等区域等での作業に従事する職員並びに製品の製造に使用する人若しくは動物の細胞又は微生物等の培養その他の加工等に係る作業に従事する職員に対して、微生物等による汚染を防止するために必要な措置に関する教育訓練を実施すること。

四 教育訓練の実施状況を製造管理者に対して文書により報告すること。

五 教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。

(文書及び記録の管理)

第二十二条 製造業者等は、この省令に規定する文書及び記録について、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる事項を行わせなければならない。

一 文書を作成し、又は改訂する場合においては、手順書等に基づき、承認、配付、保管等を行うこと。

二 手順書等を作成し、又は改訂するときは、当該手順書等にその日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管すること。

三 この省令に規定する文書及び記録を、作成の日(手順書等については使用しなくなった日)から次に掲げる期間(教育訓練に係る記録にあっては五年間)保管すること。

イ 指定再生医療等製品に係る製品にあっては、その有効期間に三十年を加算した期間

ロ 再生医療等製品に係る製品(イに掲げるものを除く。)にあっては、その有効期間に十年を加算した期間

(記録の保管の特例)

第二十三条 前条の規定にかかわらず、製造業者等は、厚生労働大臣が指定する再生医療等製品に係る製品にあっては、あらかじめ指定した者に、前条に規定する記録を、厚生労働大臣が指定する期間、保管させなければならない。ただし、原材料採取業者等との間で取決めを締結することにより、当該原材料採取業者等において当該期間適切に保管することとする場合においてはこの限りでない。

附 則 抄

(施行期日)

第一条 この省令は、薬事法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八十四号)の施行の日(平成二十六年十一月二十五日)から施行する。

附 則 (令和三年一月二九日厚生労働省令第一五号) 抄

(施行期日)

第一条 この省令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)附則第一条第二号に規定する規定の施行の日(令和三年八月一日)から施行する。