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○医療用接着剤基準

(昭和四十五年八月十日)

(厚生省告示第二百九十九号)

薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第四十二条第二項の規定に基づき、医療用接着剤基準を次のように定め、昭和四十五年八月十日から適用する。

医療用接着剤基準

Ⅰ 定義

医療用接着剤とは、人体の組織の接着に使用され、「ポリα―シアノアクリル酸エステル」を主成分とするもので、体内に残る可能性のあるものをいう。

Ⅱ 医療用接着剤の品質及び試験法

(1) 物理試験

ア 外観

本品は、ほとんど無色澄明の液である。

イ 赤外吸収スペクトル

本品を岩塩板にうすくぬり、硬化後赤外吸収スペクトルを測定するとき、2220cm-1付近、1740cm-1付近及び1250cm-1付近にそれぞれ吸収の極大を認める。

(2) 接着力試験

ガツト・シート(厚さ0.06~0.08mm)を長さ6cm、幅1cmに切断し、試験片とする。1枚の試験片の端1cmの幅に、本品を1滴落としてうすく延ばした上に、別の1枚の試験片の端1cmの幅の部分を重ね、ポリエチレン板をのせ、その上に1.96Nの荷重を3分間加えて接着する。次に接着したガツト・シートをとり出し、その一方を固定し、他方に9.8Nの荷重を加えるとき、接着面が離れてはならない。この操作を5回行なうとき、いずれの場合も接着面が離れてはならない。

(3) 化学試験

ア 強熱残分

本品5gをとり、日本薬局方(昭和51年4月厚生省告示第44号)一般試験法(以下「日局」という。)に規定する強熱残分試験法により試験を行なうとき、0.1%以下である。

イ 溶出物試験

本品をポリエチレンシート2枚の間に入れ、伸ばして硬化し、その1.0gを適当な容器にとり、水100mLを加え、還流冷却器を付けて30分間煮沸し、冷後、抽出液をろ過し、ろ液に水を加えて100mLとする。この液を試験液とし、次の試験を行なうとき、これに適合する。

(ア) pH

試験液及び水を各20mLとり、日局のpH測定法により試験を行なうとき、両液のpHの差は1.0以下である。

(イ) 重金属

試験液10mLをとり、日局の重金属試験法第1法により試験を行なう。比較液には鉛標準液1.0mLを加える。

(ウ) 過マンガン酸カリウム還元性物質

試験液5mLを共せん三角フラスコにとり、0.002mol/L過マンガン酸カリウム液20mL及び希硫酸1.0mLを加え、3分間煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム0.1g及びデンプン試液5滴を加え、0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。試験液の代わりに水5mLを用い、同様に操作するとき、過マンガン酸カリウム液の消費量の差は、2.0mL以下である。

(4) 生物学的試験

本品約20gをとり、厚さ約0.1mmの薄片としたのち、さらに約1cm2の細片とし、中性洗剤液、水及び注射用蒸留水を用いて順次洗つたのち、日局の注射剤用ガラス容器試験法のアルカリ溶出試験に適合する容積約500mLのガラス容器に入れ、生理食塩液125mLを加え、融封又は適当なせんで密封したのち、121℃で1時間抽出し、室温になるまで放置し、これを試験液とする。別に同様の方法で空試験液を調製する。

ア 発熱性物質試験

日局の発熱性物質試験法により試験を行なうとき、これに適合する。

イ 急性毒性試験

体重17~23gの均一系又は純系の雄マウス10匹ずつを用い、試験液及び空試験液をそれぞれ50mL/kgの割合で静脈内に注射するとき、注射後5日以内に死亡例を認めない。

ウ 皮膚反応試験

剃毛した健康な3匹の家兎の皮膚に、試験液1滴ずつを一定面積の2か所に滴下し、ポリエチレンシートを用いて軽く圧する。滴下後1週間以内に皮膚反応(紅斑、浮腫、壊死等)を認めない。

改正文(昭和五三年三月六日厚生省告示第四二号) 抄

昭和五十三年三月五日までに製造され、又は輸入されたものについては、なお従前の例による。

改正文(平成九年九月三〇日厚生省告示第二一一号) 抄

平成九年十月一日から適用する。